JP4822745B2 - 圧力脈動解析装置 - Google Patents

圧力脈動解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4822745B2
JP4822745B2 JP2005166813A JP2005166813A JP4822745B2 JP 4822745 B2 JP4822745 B2 JP 4822745B2 JP 2005166813 A JP2005166813 A JP 2005166813A JP 2005166813 A JP2005166813 A JP 2005166813A JP 4822745 B2 JP4822745 B2 JP 4822745B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
equation
rotating machine
motion
excitation force
input
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005166813A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006342681A (ja
Inventor
博行 松田
久雄 井土
慈朗 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiyoda Corp
Original Assignee
Chiyoda Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chiyoda Corp filed Critical Chiyoda Corp
Priority to JP2005166813A priority Critical patent/JP4822745B2/ja
Publication of JP2006342681A publication Critical patent/JP2006342681A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4822745B2 publication Critical patent/JP4822745B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Non-Positive-Displacement Pumps (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Air Blowers (AREA)

Description

本発明は、ポンプや圧縮機などの回転機による圧力変動に基づく配管内の圧力脈動を解析する技術に関し、特に遠心ポンプや遠心圧縮機などの遠心式回転機の圧力脈動を解析する技術に関する。
従来より、往復動圧縮機などの容積形の回転機については、脈動解析手法が確立されており、プラント設計において実用化されている。往復動圧縮機においては、吸入配管と吐出配管とを切り離せるため、比較的容易にモデル化を行うことができる。
一方で、遠心ポンプなどの遠心式回転機については、吸入配管と吐出配管とが連通しているため、吸入配管と吐出配管との間で脈動伝達が生じる。そのため、従来より回転機のモデル化が困難とされてきた。例えば、関連した研究として、実測値をもとにポンプの伝達特性を設定する方法(Two-Port Model)が提案されているが、物理的な根拠に乏しく、実用化には至っていないのが現状である。
特公平6−103238号公報 G.ツェントコウスキーおよびS.バオヤ、「遠心ポンプのブレード通過周波数での音源としての実験特性」、JPS、第14巻、p.529-558、2000年(Experimental characterization of centrifugal as an acoustic source at the blade-passing frequency, G.Rzentkouski and S.Zbaoja, JPS, vol14, pp.529-558, 2000)
Figure 0004822745
上記式は、Two-Port Modelで示される実験式である。P1は出口圧力変動、Q1は出口流量変動、P2は入口圧力変動、Q2は入口流量変動である。またP’、Q’は、補正項であり、ポンプの強制源としての作用による圧力と流量の振幅である。マトリックスの要素A、B、C、Dは、系の特性により定められる定数であり、Two-Port Modelによると、要素A、B、C、Dは、振動数ごとに実測で定められる。この実験式は、補正項を求めてポンプの伝達特性を定式化した点で優れているが、実測によりマトリックス要素を求めているため、配管系が変わると適用が困難という問題がある。また、共鳴の発生する条件が配管系ごとに異なるため、補正項算出に使用した配管系以外の配管系では、この実験式をもとに脈動の予測を解析的に行うことは困難であった。
従来の解析手法によると、配管内における遠心ポンプの設置箇所を設計する際、一般的な数式を用いて解析を行うことが困難であり、結局のところベテラン設計者の経験によるところが大きい。また、遠心ポンプを含んだ配管系にて故障が発生した場合であっても、脈動解析が困難であるために、故障の原因究明に時間がかかっている実情もある。このような事情から、遠心式回転機における吸入側配管と吐出側配管の圧力脈動を解析して、その伝達特性を評価できる汎用性の高い技術の登場が望まれている。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、遠心式回転機における脈動を解析する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の遠心式回転機の圧力脈動解析装置は、遠心式回転機と、当該遠心式回転機の吸入側配管と吐出側配管とを含む物理モデルの設定条件を入力する入力手段と、当該物理モデルにおいて配管を流れる流体の運動方程式を保持する第1保持手段と、運動方程式における遠心式回転機の励振力パラメータを導出するための関数ないしはデータを保持する第2保持手段と、第2保持手段にて保持された関数ないしはデータを利用して、入力手段において入力された遠心式回転機の回転数をもとに励振力パラメータを取得する第1取得手段と、入力手段において入力された設定条件と、第1取得手段において取得された励振力パラメータを、第1保持手段にて保持された運動方程式に代入して、遠心式回転機による圧力脈動を解析する解析手段とを備える。
この態様によると、遠心式回転機の固有特性である励振力パラメータを関数またはデータから容易に取得できるため、配管系の圧力脈動解析を効率的に実施できる。このとき、励振力パラメータを遠心式回転機の回転数依存のパラメータとして設定するため、運動方程式に一般性をもたせることが可能となる。
解析手段による解析結果を受けて、入力手段において入力された設定条件の是非を判定する評価手段をさらに備えてもよい。例えば、圧力脈動の応答値が所定値を超える場合に、設定条件が不適切であることを判定してもよい。
なお、この場合の運動方程式は、
Figure 0004822745
で表現されてもよい。
また、本態様の圧力脈動解析装置は、運動方程式における遠心式回転機内の抵抗パラメータを導出するための関数ないしはデータを保持する第3保持手段と、第3保持手段にて保持された関数ないしはデータを利用して、入力手段において入力された遠心式回転機における流体速度をもとに抵抗パラメータを取得する第2取得手段とをさらに備えてもよい。解析手段は、抵抗パラメータを運動方程式に代入して、遠心式回転機による圧力脈動を解析してもよい。
なお、この場合の運動方程式は、
Figure 0004822745
で表現されてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、遠心式回転機における脈動を解析する技術を提供することができる。
本発明は、入口(吸入口)と出口(吐出口)が連通する回転機の脈動解析を行う技術を提案する。具体的には、回転機の吸入側と吐出側の境界における流量変動および圧力変動に対して、流体の運動方程式および連続の式に基づいて脈動解析を行う遠心式回転機の脈動物理モデルを提案する。この脈動物理モデルでは、回転機で加振される力(励振力)が、運動量の変化および圧力の変化として与えられる。また、吸入側および吐出側の配管内の脈動応答によって回転機の励振力が変化し、回転機を含んだ配管系で共鳴が発生する現象を予測する。
図1は、本発明者が考案した脈動解析手法を適用するための脈動物理モデルである。遠心ポンプ10は、遠心式回転機の一例であり、吸入側と吐出側とが連通していることを特徴とする。遠心式回転機としては、例えば遠心式の圧縮機であってもよい。吸入側配管12と吐出側配管14の間に遠心ポンプ10が配置され、吸入側配管12にタンク16を、吐出側配管14にタンク18を接続している。吸入側配管12の配管長はL、吐出側配管14の配管長はLである。
本実施例では、脈動物理モデルにおいて、流体の運動方程式に基づき、以下のように境界条件を設定する。タンクや配管の伝達特性は既知とし、したがって吸入側配管12とタンク16の境界、吐出側配管14とタンク18の境界は、一般の境界条件を設定すればよい。なお脈動物理モデルにおいては、遠心ポンプ10の吸入側と吐出側とが連通しているため、遠心ポンプ10から吐出された流体によるタンク18からの圧力波のはね返りの影響が、遠心ポンプ10の吐出口を通過した伝達されることになる。すなわち、吸入側の圧力P、吐出側の圧力Pは、はね返り圧力波の増減も含めた重ね合わせの結果となっている。遠心ポンプ10は励振源であり、本モデルにおいて、吸入側の圧力P、吐出側の圧力Pは不連続となる。
本実施例の脈動物理モデルでは、ポンプの励振力パラメータを導入して、流体の運動方程式を構築する。
本実施例で対象とする遠心ポンプ10は、吸入側と吐出側とが連通しているため、本発明者は、運動方程式において、吸入側流量と吐出側流量とを等しく設定することとした。
=m・・・(1)
:遠心ポンプ10の吸入側流量変動(kg/s)
:遠心ポンプ10の吐出側流量変動(kg/s)
続いて、流体の運動方程式を以下のようにたてる。
Figure 0004822745
:ポンプ励振部断面積(m
f:ポンプ励振力パラメータ(N=kg・m/s
:吸入側圧力変動(Pa)
:吐出側圧力変動(Pa)
Δx:ポンプ励振部長さ(m)
式(2)において、運動方程式にポンプ励振力パラメータfを加えることで、遠心ポンプ10による圧力脈動を精度よく解析することが可能となる。なお、励振力パラメータfは、ポンプの種類によりポンプの回転数に依存して変化する。そのため、例えば、遠心ポンプ10ごとに励振力パラメータfを定式化しておき、入力条件として設定される回転数に応じて適切な励振力パラメータfを求められるようにすることが好ましい。なお回転数は、Zn周波数、すなわちポンプの羽根通過周波数を意味し、以下、回転数を、単に、周波数、と呼ぶこともある。
以下に、励振力パラメータfの導出方法を説明する。まず、所定の長さの単純配管を、遠心ポンプ10に対してそれぞれ上流側、下流側に設置する。次に、遠心ポンプ10の回転数を、例えば3種類設定して、それぞれのときに発生する脈動振幅を測定する。これを式(2)で解析することにより、励振力パラメータfと遠心ポンプ10の回転数の対応関係を3つ取得できる。この3つの対応点をもとに、遠心ポンプ10の回転数を変数とする励振力パラメータfの関数を導出できる。
図2は、励振力パラメータfと、遠心ポンプ10の回転周波数の対応関係を示したグラフである。図中、菱形で示すプロット点は、実験により取得した励振力パラメータfと遠心ポンプ10の回転数の対応点である。例えば、3つのプロット点を通過する曲線を計算して求めることで、遠心ポンプ10の励振力パラメータfを、遠心ポンプ10の回転数の関数として取得することができる。図中、実線はf推定関数を示す。またプロット点の数を増やすことができれば、f推定関数の精度を高めることができる。複数のプロット点から関数を生成しておくことで、任意の回転数における励振力パラメータfを求めることができ、式(2)における運動方程式を利用して、脈動解析を行うことができる。このようにして求めた励振力パラメータfは、遠心ポンプ10の固有特性であるため、配管の長さなどを変化させても使用でき、式(2)の運動方程式に一般性をもたせることができる。なお、励振力パラメータfはポンプの種類毎に定められるため、複数種類の遠心ポンプ10における脈動解析を行う場合には、それぞれの遠心ポンプ10についてのf推定関数を予め求めておくことが必要である。
以上のように、ポンプの励振力(加振力)を流体運動方程式の要素として組み込むことで、ポンプの伝達特性を正確に求めることができるようになった。本発明者は、さらにポンプ内の抵抗も運動方程式に組み込むことで、ポンプの伝達特性をより高精度に求められることを見いだした。このとき、流体の運動方程式は、以下のようになる。
Figure 0004822745
R:抵抗パラメータ(kg/s
式(3)において、抵抗パラメータRを加えることで、遠心ポンプ10の脈動を精度よく解析することが可能となる。なお、抵抗パラメータRは、流体速度に依存して変化する。そのため、例えば、遠心ポンプ10ごとに抵抗パラメータRを定式化しておき、入力条件として設定される流体速度に応じて適切な抵抗パラメータRを求められるようにすることが好ましい。
以下に、抵抗パラメータRの導出方法を説明する。まず、所定の長さの単純配管を、遠心ポンプ10に対してそれぞれ上流側、下流側に設置する。次に、流体速度を、例えば3種類設定して、それぞれのときに発生する脈動振幅を測定する。これを式(3)で解析すること、抵抗パラメータRと流体速度の対応関係を3つ取得できる。この3つの対応点をもとに、流体速度を変数とする抵抗パラメータRの関数を導出できる。
図3は、抵抗パラメータRと、流体速度の対応関係を示したグラフである。図中、菱形で示すプロット点は、実験により取得した抵抗パラメータRと流体速度の対応点である。例えば、3つのプロット点を通過する曲線を計算して求めることで、遠心ポンプ10の抵抗パラメータRを、流体速度の関数として取得することができる。図中、実線はR推定関数を示す。またプロット点の数を増やすことができれば、R推定関数の精度を高めることができる。複数のプロット点から関数を生成しておくことで、任意の流体速度における抵抗パラメータRを求めることができ、式(3)における運動方程式を利用して、脈動解析を行うことができる。このようにして求めた抵抗パラメータRは、遠心ポンプ10の固有特性であるため、配管の長さなどを変化させても使用でき、式(3)の運動方程式に一般性をもたせることができる。なお、抵抗パラメータRはポンプの種類毎に定められるため、複数種類の遠心ポンプ10における脈動解析を行う場合には、それぞれの遠心ポンプ10についてのR推定関数を予め求めておくことが必要である。
図4は、本発明の実施例にかかる遠心式回転機の圧力脈動解析装置の構成を示す。圧力脈動解析装置100は、設計条件入力部102、励振力パラメータf取得部104、抵抗パラメータR取得部106、解析部108、評価部110、設計条件決定部112、f関数保持部120、R関数保持部122および運動方程式保持部124を備える。f関数保持部120、R関数保持部122および運動方程式保持部124は、記憶装置として構成される。f関数保持部120、R関数保持部122および運動方程式保持部124は、ハードディスクなどの単一の記憶装置における記憶領域として構成されてもよく、またこれらは、異なる記憶装置により構成されてもよい。
圧力脈動解析装置100は、CPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現され、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。プログラムは、圧力脈動解析装置100に内蔵されていてもよく、また記録媒体に格納された形態で外部から供給されるものであってもよい。したがってこれらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者に理解されるところである。
設計条件入力部102は、遠心ポンプ10と、遠心ポンプ10の吸入側配管12と吐出側配管14とを含む物理モデルの設定条件を入力する。設定条件として、脈動解析に用いるパラメータ、すなわち回転機形状や境界条件、また励振力パラメータfの導出に必要な遠心ポンプ10の回転数や、抵抗パラメータRの導出に必要な流体速度などの運転条件、また配管系寸法などが入力される。設定条件とは、物理モデルの解析に必要なパラメータであり、具体的には流体の運動方程式に要求されるパラメータである。運動方程式保持部124は、物理モデルにおいて配管を流れる流体の運動方程式を保持する。以下では、運動方程式として式(3)に示したものを利用する例について説明するが、式(2)に示したものを利用することも可能である。
f関数保持部120は、運動方程式における遠心ポンプ10の励振力パラメータfを導出するためのf推定関数を保持する。この励振力パラメータfの推定関数は、図2に関して説明したように、複数点、好ましくは3点以上の実測値から、遠心ポンプ10の回転数Nとの関係で定められたものである。励振力パラメータf取得部104は、f関数保持部120において保持された関数を利用して、設計条件入力部102において入力された遠心ポンプ10の回転数Nをもとに、励振力パラメータfを取得する。励振力パラメータfの推定関数を利用すると、設定条件として入力される回転数Nをもとに、簡単に励振力パラメータfを算出できる。
なお、以上はf関数保持部120が励振力パラメータfの関数を保持する場合であるが、励振力パラメータfと回転数Nの関係を多数実測したデータが存在する場合には、f関数保持部120は、その多数の実測値データをデータベース化して保持していてもよい。例えば、遠心ポンプ10の回転数を密な間隔で変化させて、それぞれの回転数における励振力パラメータfを実測しておく場合である。このとき、設定条件として入力される回転数Nが既に実測されている場合には、励振力パラメータf取得部104が、データベースを参照して、その対応する励振力パラメータfを取得する。入力される回転数Nが実測値として存在しない場合には、その前後の実測値に対応する2つの励振力パラメータ値の間で励振力パラメータfを推定して取得する。実測値が多数存在し、データベース化できる場合には、励振力パラメータfを高精度に推定することが可能である。なお、この場合であっても励振力パラメータfを導出するためのf推定関数を生成することが可能である。
f関数保持部120が解析対象と同機器の実測データを有しない場合、励振力パラメータf取得部104は、類似機器のデータと遠心ポンプ10の幾何学的なパラメータから、励振力パラメータfを推定して取得してもよい。
R関数保持部122は、運動方程式における遠心ポンプ10内の抵抗パラメータRを導出するための関数を保持する。この抵抗パラメータRの関数は、図3に関して説明したように、複数点、好ましくは3点以上の実測値から、配管における流体速度(流量変動)mとの関係で定められたものである。抵抗パラメータR取得部106は、R関数保持部122において保持されたR推定関数を利用して、設計条件入力部102において入力された遠心ポンプ10の流体速度mをもとに、抵抗パラメータRを取得する。抵抗パラメータRの推定関数を利用すると、設定条件として入力される流体速度mをもとに、簡単に抵抗パラメータRを算出できる。
なお、以上はR関数保持部122が抵抗パラメータRの関数を保持する場合であるが、抵抗パラメータRと流体速度mの関係を多数実測したデータが存在する場合には、R関数保持部122は、その多数の実測値データをデータベース化して保持していてもよい。例えば、配管内部を流れる流量を密な間隔で変化させて、それぞれの流量における抵抗パラメータRを実測しておく場合である。このとき、設定条件として入力される流体速度mが既に実測されている場合には、抵抗パラメータR取得部106が、データベースを参照して、その対応する抵抗パラメータRを取得する。入力される流体速度mが実測値として存在しない場合には、その前後の実測値に対応する2つの抵抗パラメータ値の間で抵抗パラメータRを推定して取得する。実測値が多数存在し、データベース化できる場合には、抵抗パラメータRを高精度に推定することが可能である。なお、この場合であっても抵抗パラメータRを導出するためのR推定関数を生成することが可能である。
R関数保持部122が解析対象と同機器の実測データを有しない場合、抵抗パラメータR取得部106は、類似機器のデータベースから、抵抗パラメータRを推定して取得してもよい。
解析部108は、設計条件入力部102において入力された設定条件と、励振力パラメータf取得部104において取得された励振力パラメータf、さらに抵抗パラメータR取得部106において取得された抵抗パラメータRを、運動方程式保持部124にて保持された運動方程式を読み出してその運動方程式に代入し、遠心ポンプ10による圧力脈動を解析する。配管系の脈動解析には、例えば伝達マトリックス法、剛性マトリックス法、有限要素法、境界要素法などの汎用的な解析手法を利用することができる。運動方程式保持部124は、式(3)を保持しており、各パラメータを代入することで、遠心ポンプ10を含んだ配管系の圧力脈動を取得できる。
例として、一つの解析手法について説明する。上記した例では運動方程式保持部124が式(3)を保持して抵抗パラメータRを加味した解析を行ったが、以下に説明する解析手法では、便宜上、抵抗パラメータRを考慮せず、励振力パラメータfを加味した式(2)を用いる。式(2)では、大まかにいえば、この運動方程式において圧力変動値であるP、Pと、流量変動(流体速度)値であるmとが未知であり、励振力パラメータfを設定して、これらの未知数を求めていく。
まず、励振力パラメータfを仮定して設定する。この励振力パラメータfは、既述したように、励振力パラメータf取得部104により回転数Nをもとに求められる。次に、設定条件としての流体速度mを仮定し、この流体速度mで遠心ポンプ10が加振したと仮定したときの圧力変動P、Pを求める。続いて、求めた圧力変動P、Pより、励振力パラメータf’を算出する。この励振力パラメータf’と、最初に仮定した励振力パラメータfとの差を小さくするように、流体速度mを求める。これを繰り返すことで、最終的に脈動物理モデルにおける圧力変動P、Pと、流量変動(流体速度)mとを求める。これにより、配管系の伝達特性を解析することができる。
なお、抵抗パラメータRを運動方程式に含めない場合には、励振力パラメータfにリミッタを設定して、応答を制限することが好ましい。すなわち、式(2)によると、設定した回転数などに応じて圧力脈動の応答特性が導き出されるが、例えば励振力パラメータfを設定したときに、その数値の何千倍もの共鳴による応答が発生することは物理的にあり得ない。そこで、リミッタを設定して、応答値の上限を励振力パラメータfに応じて設定することが好ましい。例えば、応答値の上限を、励振力パラメータfの100倍と設定しておけば、導出される伝達特性における圧力脈動の上限を抑えることが可能となる。
以上は抵抗パラメータRを含まない式(2)を用いて解析する例であるが、抵抗パラメータRを含んだ式(3)についても同様に解析することができる。式(3)を用いる場合、抵抗パラメータRは、脈動変動応答に対する減衰項として機能し、応答値の異常上昇を抑制することができる。
評価部110は、解析部108による解析結果を受けて、設計条件入力部102において入力された設定条件の是非を判定する。たとえば、入力した設計条件により共鳴が発生する場合、その設定条件が不適切であることを判定する。共鳴の発生は、例えば脈動変動値が所定値を超えたかどうかの判断に基づいて判定される。このとき、評価部110は、新たな設計条件の入力を行うように、設計条件入力部102に指示してもよい。この指示は、脈動解析プログラムに対して自動的に実行されるものであってもよく、設計条件を入力するオペレータに対してモニタないしは音声を通じて示されるものであってもよい。
設計条件決定部112は、評価部110による評価結果で設計条件が適切であったことが判定された場合に、その設計条件を適切なものとして決定する。
以下に、図1に示す脈動物理モデルを利用して、本実施例の手法による解析結果を示す。この解析では、式(2)を利用し、励振力パラメータfにリミッタを設けて、配管内圧力脈動の周波数(回転数)応答解析を行った。作動流体は水とし、吸入側、排出側とも音速は1500m/sとした。吸入側配管12と吐出側配管14の合計長、すなわち全体の配管長さを10mとした。また、吸入側配管12の長さLを4mとし、遠心ポンプ10を4mの地点に設置した。
図5は、x=2mの地点の脈動応答を示し、図6は、x=5.5mの地点の脈動応答を示す。縦軸は脈動値[無次元]であり、横軸は回転数[Hz]である。図1に示すように、x軸は配管長方向に設定し、また原点をタンク16と吸入側配管12の境界に設定している。したがって、図5は、吸入側配管12における脈動応答を表現し、図6は、吐出側配管14における脈動応答を表現している。これらの脈動応答特性により、75Hzおよび150Hzの付近で、共鳴により圧力脈動振幅が大きくなることが分かる。
図7は、L=4mとしたときの共鳴時の配管内圧力脈動分布を示す。縦軸は脈動値[無次元]であり、横軸は距離である。図7より、共鳴周波数において配管内の1次モードおよび2次モードが励起されていることが確認される。
図8は、ポンプ設置位置と2次モードの最大脈動値の関係を示す。ここでは、ポンプの設置位置をx=1m〜9mの範囲内で変化させ、横軸に配管全長に対する吸入側配管12の比[無次元]をとり、縦軸は脈動値[無次元]をとる。図8より、ポンプ設置位置を変えると配管内の脈動値が変化し、ポンプ設置位置が圧力脈動分布の腹の位置と一致したとき、脈動値が最も大きくなることが確認された。この傾向は実験結果と一致しており、したがって本発明の解析手法を用いることで、圧力脈動を精度よく解析できることが確認された。
この圧力脈動解析手法を用いると、脈動低減対策として、ポンプの最適な設置位置を設計することが可能となる。また、稼働中のプラントにおいて故障が発生した場合に、実機と同一の条件をもとに脈動解析を行うことで、故障原因の究明を行うことも可能となる。
本発明者は、遠心式回転機の励振力が、励振力パラメータfと抵抗パラメータRにより支配されることを見いだした。さらに本発明者は、実施例における脈動物理モデルを利用することで、特に配管内で共鳴が発生する周波数(回転数)では励振力パラメータfと抵抗パラメータRによって圧力脈動の応答値が定まり、一方共鳴が発生していない周波数帯域では励振力パラメータfが支配的となることを見いだした。
図9は、抵抗パラメータRのみを変化させて、抵抗パラメータRが配管内の圧力脈動応答に与える影響を考察した解析結果を示す。本実施例の脈動物理モデルでは、116Hzで共鳴が発生しており、R=0では減衰がないため、理論上、脈動値は無限大に発散する。一方、抵抗パラメータRを大きくすると、主として、共鳴周波数付近の応答値が低減することが確認される。共鳴周波数以外では抵抗パラメータRの値にかかわらず脈動値は一定であり、非共鳴時には、励振力パラメータfが支配的であることが確認される。
このように、抵抗パラメータRを運動方程式に加えることで、共鳴周波数での脈動解析を精度よく行うことが可能となる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例の脈動解析手法を適用するための脈動物理モデルを示す図である。 励振力パラメータfと、遠心ポンプの回転周波数の対応関係を示したグラフである。 抵抗パラメータRと、流体速度の対応関係を示したグラフである。 本発明の実施例にかかる遠心式回転機の圧力脈動解析装置の構成を示す図である。 x=2mの地点の脈動応答を示す図である。 x=5.5mの地点の脈動応答を示す図である。 共鳴時の配管内圧力脈動分布を示す図である。 ポンプ設置位置と2次モードの最大脈動値の関係を示す図である。 抵抗パラメータRが配管内の圧力脈動応答に与える影響を考察した解析結果を示す図である。
符号の説明
10・・・遠心ポンプ、12・・・吸入側配管、14・・・吐出側配管、16・・・タンク、18・・・タンク、100・・・圧力脈動解析装置、102・・・設計条件入力部、104・・・励振力パラメータf取得部、106・・・抵抗パラメータR取得部、108・・・解析部、110・・・評価部、112・・・設計条件決定部、120・・・f関数保持部、122・・・R関数保持部、124・・・運動方程式保持部。

Claims (3)

  1. 遠心式回転機の圧力脈動解析装置であって、
    遠心式回転機と、当該遠心式回転機の吸入側配管と吐出側配管とを含む物理モデルの設定条件を入力する入力手段と、
    当該物理モデルにおいて前記配管を流れる流体の運動方程式を保持する第1保持手段と、
    前記運動方程式における遠心式回転機の励振力パラメータを導出するための関数ないしはデータを保持する第2保持手段と、
    前記第2保持手段にて保持された関数ないしはデータを利用して、前記入力手段において入力された遠心式回転機の回転数をもとに励振力パラメータを取得する第1取得手段と、
    前記入力手段において入力された設定条件と、前記第1取得手段において取得された励振力パラメータを、前記第1保持手段にて保持された運動方程式に代入して、遠心式回転機による圧力脈動を解析する解析手段とを備え、
    前記第1保持手段により保持される運動方程式は、
    Figure 0004822745
    で表現されることを特徴とする圧力脈動解析装置。
  2. 遠心式回転機の圧力脈動解析装置であって、
    遠心式回転機と、当該遠心式回転機の吸入側配管と吐出側配管とを含む物理モデルの設定条件を入力する入力手段と、
    当該物理モデルにおいて前記配管を流れる流体の運動方程式を保持する第1保持手段と、
    前記運動方程式における遠心式回転機の励振力パラメータを導出するための関数ないしはデータを保持する第2保持手段と、
    前記第2保持手段にて保持された関数ないしはデータを利用して、前記入力手段において入力された遠心式回転機の回転数をもとに励振力パラメータを取得する第1取得手段と、
    前記運動方程式における遠心式回転機内の抵抗パラメータを導出するための関数ないしはデータを保持する第3保持手段と、
    前記第3保持手段にて保持された関数ないしはデータを利用して、前記入力手段において入力された遠心式回転機における流体速度をもとに抵抗パラメータを取得する第2取得手段と、
    前記入力手段において入力された設定条件と、前記第1取得手段において取得された励振力パラメータと、前記第2取得手段おいて取得された抵抗パラメータを、前記第1保持手段にて保持された運動方程式に代入して遠心式回転機による圧力脈動を解析する解析手段とを備え、
    前記第1保持手段により保持される運動方程式は、
    Figure 0004822745
    で表現されることを特徴とする圧力脈動解析装置。
  3. 前記解析手段による解析結果を受けて、前記入力手段において入力された設定条件の是非を判定する評価手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力脈動解析装置。
JP2005166813A 2005-06-07 2005-06-07 圧力脈動解析装置 Expired - Fee Related JP4822745B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005166813A JP4822745B2 (ja) 2005-06-07 2005-06-07 圧力脈動解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005166813A JP4822745B2 (ja) 2005-06-07 2005-06-07 圧力脈動解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006342681A JP2006342681A (ja) 2006-12-21
JP4822745B2 true JP4822745B2 (ja) 2011-11-24

Family

ID=37639838

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005166813A Expired - Fee Related JP4822745B2 (ja) 2005-06-07 2005-06-07 圧力脈動解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4822745B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4881751B2 (ja) * 2007-01-29 2012-02-22 千代田化工建設株式会社 圧力脈動解析装置
GB2581799B (en) * 2019-02-26 2021-08-11 Edwards Ltd Determining pressure of gas pumped by a turbomolecular pump

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06103238B2 (ja) * 1990-06-29 1994-12-14 株式会社神戸製鋼所 圧力脈動解析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006342681A (ja) 2006-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2296724B1 (en) Applications of pump performance monitoring
CA2605943C (en) Method and ultrasonic meter system for determining pipe roughness
KR100441719B1 (ko) 가변안내장치를 구비한 유체기계
US7693684B2 (en) Process, sensor and diagnosis device for pump diagnosis
Černetič The use of noise and vibration signals for detecting cavitation in kinetic pumps
JP2011157894A (ja) キャビテーション壊食量予測方法及び予測装置
Mousmoulis et al. Experimental analysis of the onset and development of cavitation in a centrifugal pump
Chalghoum et al. Numerical modeling of the flow inside a centrifugal pump: Influence of impeller–volute interaction on velocity and pressure fields
JP4822745B2 (ja) 圧力脈動解析装置
Barzdaitis et al. Investigation of pressure pulsations in centrifugal pump system
Luca et al. Full-wave numerical simulation of ultrasonic transit-time gas flowmeters
Wu et al. Investigation of the correlation between noise & vibration characteristics and unsteady flow in a circulator pump
Sedlář et al. Numerical and experimental research on unsteady cavitating flow around NACA 2412 hydrofoil
Figaschewsky et al. Simplified Estimation of Aerodynamic Damping for Bladed Rotors: Part 2—Experimental Validation During Operation
Wang et al. Experimental measurement of cavitation-induced vibration characteristics in a multi-stage centrifugal pump
Yao et al. Experimental investigation of pressure instabilities affected by cavitation for a double-suction centrifugal pump
Cyklis et al. The CFD based estimation of pressure pulsation damping parameters for the manifold element
Rehman et al. CFD based condition monitoring of centrifugal pump
JP2006009581A (ja) 羽根車の損傷検出方法及び装置
JP2004108177A (ja) 縦型ポンプの監視診断方法および装置
JP4881751B2 (ja) 圧力脈動解析装置
Lucius et al. 3D time accurate CFD simulations of a centrifugal compressor
Usman et al. ANSYS-CFX Simulation and Experimental Studies on Centrifugal Pump Impeller Design: Performance Effects Using Corrosive and Non-corrosive Resources
CN108331767B (zh) 叶顶间隙对汽车水泵压力脉动影响的模拟方法及模拟装置
Dogan et al. Numerical simulations of the acoustic noise radiated by radial fans

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110830

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110906

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4822745

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees