JP4817201B2 - 慣性センサ - Google Patents
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Description
光学式ジャイロは、高い計測精度を有しているが高価であり、サイズが大きい。振動ジャイロは、安価で小サイズであるが計測精度が比較的低い。
本発明者等は、安価でかつ小型・高精度なジャイロを実現するため、回転型ジャイロの回転体を磁気軸受で支承し、磁気浮上させた状態で回転する方式を先に提案した(非特許文献1)。
この磁気浮上式ジャイロの誘導モータ200は、電磁石401〜410で非接触支持された回転体100を回転する。そのため、回転体100は、ジャイロ効果により、回転軸の向きを変える力が作用しなければ、その向きを一定に保ち続け、軸の向きを変える力が加われば、その力と直角の方向に動く。
その結果、回転体100とステータ(不図示)との相対位置は元の状態に保たれ、その際に電磁石401〜410に供給された励磁電流の変動分から、ステータの角速度及び加速度が算出される。
Maruyama, Y., Takasaki, M., Ishino, Y., Mizuno, Ishigami, T. and Kameno, H., Basic Study on Gyroscopic Sensor Using Active Magnetic Bearing, Proc. 9th International Symposium on Magnetic Bearings, New Fields in Magnetic Bearings and Industrial Applications, pp.57-60 (2006.08).
また、棒状の回転体は、その長さが長くなる程、力が加わったときのジャイロ効果による回転軸の動きが遅くなる。これも計測可能な周波数帯域を狭める一因となっている。
さらに、この磁気浮上式ジャイロは、回転体に非接触で回転を与える必要があり、使用できるモータの種類及び形状が制限される。
また、回転体を非接触浮上させるためには電磁石及びセンサのターゲットを回転体に取り付ける必要があるが、これらのターゲットには遠心力が作用するため、この遠心力によってターゲットが離脱しないように固定する必要があり、その固定方法が難しい。加えて、回転時にはターゲットが電磁石に対して動き続けるため、積層構造のターゲットを用いなければならない。このため、回転体の製造コストが高くなる。
また、前記回転体保持体と前記ステータとの相対変位を検出するセンサを前記ステータまたは回転体保持体に固定する。
この電磁石の励磁電流の変動分に相当する制御入力が、角速度等の算出に用いられる。
また、電磁石やセンサのターゲットが取り付けられる前記回転体保持体は、回転しないため、ターゲットの固定方法及び構造を簡素にすることができる。
さらに、前記回転体保持体は、非接触支持されているため、摩擦による計測誤差が発生しない。回転体の回転はモータで軸支されているため、摩擦を生じるが、この摩擦力は、角速度等の算出に用いる制御入力には直接影響しないので、計測精度は損なわれない。
このように構成することで、回転体の軸長を短くすることができ、また、回転体保持体の回転中心と電磁石の作用点との距離を大きく取ることができるため、計測可能な周波数帯域の一層の広帯域化や、高感度化が可能になる。
回転体保持体を扁平な5面体に形成すると、扁平な6面体形状とする場合に比べて、回転体保持体の非接触支持や運動制御を行う磁力発生手段の数を減らすことができる。
この場合は、回転体保持体の回転運動の制御を、従来の磁気浮上式ジャイロと同様に行うことができる。
回転体の回転軸を流体軸受けモータで軸支することにより、装置の小型化や回転速度の高速化、摩擦力の低減等を図ることができる。
例えば、回転体保持体のz軸方向の並進運動を永久磁石の反発力で制御し、x軸周り及びy軸周りの回転運動を電磁石で制御することにより、この電磁石の励磁電流の変動分から角速度を求めることができる。
例えば、回転体保持体のx軸方向、y軸方向及びz軸方向の並進運動、並びに、x軸周り及びy軸周りの回転運動を、それぞれ電磁石で制御することにより、この電磁石の励磁電流の変動分から回転体の回転軸と直交する2軸周りの角速度と3軸方向の加速度とを求めることができる。
図1は、第1の実施形態に係る慣性センサの断面図であり、図2は、この慣性センサの回転体保持体と電磁石との配置を示す斜視図である。
この慣性センサは、図1に示すように、回転体21と、回転体21を回転する流体軸受けモータ20と、回転体21及び流体軸受けモータ20を収容するフレーム(回転体保持体)10と、フレーム10を囲むステータ70と、ステータ70に固定された電磁石41、44、45、47と、ステータ70に固定された永久磁石51、52と、ステータ70に固定されたセンサ31〜34と、フレーム10に固定されたセンサ31〜34のターゲット61〜64と、永久磁石51、52に対向してフレーム10に固定された永久磁石53、54とを備えている。
流体軸受けモータ20は、フレーム10の一方の面12の中心位置に固定されており、回転体21は、この流体軸受けモータ20に回転自在に軸支されている。回転体21の回転軸方向は二つの面11、12に垂直であり、回転軸の延長線は二つの面11、12の中心位置を貫いている。
なお、流体軸受けモータ20を駆動する駆動回路及び電池が、流体軸受けモータ20内、あるいは、フレーム10の内部空間に配置されているが、ここでは、その図示を省略している。フレーム10は、その内部空間に配置された全てのものを含む重心が、回転体21の回転軸上に在るように設定されており、回転体21は、フレーム10の内部空間において偏心せずに高速回転することができる。
また、ステータ70には、フレーム10の面11に対向して4個のセンサ(図1では、その内の2個31、32を示している。)が固定され、面12に対向して4個のセンサ(図1では、その内の2個33、34を示している。)が固定されている。フレーム10の面11、12には、各センサと向き合ってターゲット61〜64が配置されている。センサ31〜34は、光学的手段、あるいは、磁気的手段等でターゲット61〜64の位置を識別し、ステータ70とフレーム10との相対変位を検出する。
角速度の計測は、次のように行われる。
流体軸受けモータ20によって高速回転する回転体21は、ジャイロ効果により、外力が加わらなければ、一定の向きを保ち続け、フレーム10を介して外力が加われば、その力と直角の方向に回転する。そのため、回転体21を内蔵するフレーム10も、外力が加わらなければ、一定の向きを保ち続け、外力が加われば、回転体21の動きに応じた動きを示す。
フレーム10は、ステータ70に固定された電磁石41〜48や永久磁石51、52により非接触支持されている。
図2に示すように、フレーム10の前後に配置された8個の電磁石41〜48で、フレーム10のz軸方向の並進運動、x軸周り及びy軸周りの回転運動が能動的に制御されるものとする。x軸及びy軸方向の並進運動、並びにz軸周りの回転運動は、フレーム10の面11、12以外の4面に対向する永久磁石51、52の反発力によって受動的に制御されるものとする。
aθ=8Kdl2/Ir,bθ=Kil/Ir
である。
流体軸受けモータ20は、HDD用などに小型かつ扁平なものが開発されており、それを用いることで慣性センサの小型化を図ることができる。
また、回転体21を回転するモータは、流体軸受け以外の軸受で回転体21を軸支するものであっても良い。
第2の実施形態の慣性センサでは、フレームの姿勢制御に用いる電磁石や永久磁石の数を減らしている。
図5は、扁平な5面体に成形した慣性センサのフレームと、電磁石との配置を示し、図6は、この慣性センサの構成部品を示している。図7(a)は、この慣性センサを下方から見た図、また、図7(b)は、この慣性センサを上方から見た図である。
この慣性センサは、扁平な5面体から成るフレーム10と、各面に対向するようにステータ(不図示)に固定された電磁石141〜147とを有しており、フレーム10には、電磁石141〜147に対向する各位置にターゲット60が配置されている。なお、ここではセンサの図示を省略している。
フレーム10は、図7に示すよう、正三角形の2つの平行する面13、14を有しており、これらの面13、14が接近して扁平な5面体を形成している。フレーム10の内部空間には、回転体と、回転体を回転する流体軸受けモータとが内蔵されており、回転体の回転軸の延長線が二つの面13、14の中心位置を貫くように流体軸受けモータがフレーム10の内部空間に固定されている。
電磁石の合計数は7個であり、この7個の電磁石による能動制御により、回転体の回転軸と直交する2軸周りの角速度と、全ての方向の加速度とを計測することができる。
ここで、電磁石142、143及び144は、それらから発生する磁力の作用線が、互いに平行な組み合せを生じないように、また、少なくとも一つの作用線(ここでは電磁石143及び144からの作用線)の延長線上にフレーム10の重心が無いように設定している。
また、電磁石145、146及び147は、それらから発生する磁力の作用線が、電磁石141から発生する磁力の作用線と直交しないように設定している。
ここでは、フレーム10を扁平な5面体としているが、フレームがその他の形状であっても、電磁石142、143及び144から発生する磁力の作用線には、互いに平行な組み合せが無く、少なくとも一つの作用線の延長線上にフレーム10の重心が無く、かつ、電磁石145、146及び147から発生する磁力の作用線が、電磁石141から発生する磁力の作用線と直交しないようにターゲットを配置できる形状であれば、7個の電磁石141、142、143、144、145、146、147で、回転体の回転軸と直交する2軸周りの角速度、及び、全ての方向の加速度を計測することができる。
また、回転体の回転軸方向の加速度、及び、これと直交する軸周りの角速度のみを計測する場合は、電磁石142、143、144を永久磁石に代えることができる。この場合には、永久磁石に変えた磁石のターゲットを、反発力が働くように着磁された永久磁石とする。
このように、この慣性センサは、フレーム10を扁平な6面体で構成した第1の実施形態の慣性センサと比べて、少ない数の電磁石や永久磁石により角速度や加速度を計測することができる。
第3の実施形態の慣性センサは、フレームの回転を打ち消すように制御する電磁石を、回転体の回転軸方向と平行なフレーム面に対向させている。
図8は、この慣性センサの断面図を示している。
この慣性センサは、断面が正方形の直方体または円筒形のフレーム10と、フレーム10の内部空間に収容された回転体21及びモータ20と、フレーム10を囲むステータ70と、ステータ70に固定された電磁石241〜246と、ステータ70に固定されたセンサ31〜33と、フレーム10に固定されたターゲット60とを備えている。
回転体21を回転するモータ20は、第1の実施形態で用いたものと同様の構造を有しており、このモータ20に軸支された回転体21は、フレーム10の内部空間において高速で安定して回転する。
回転体21の回転軸方向に平行なフレーム10面に対向する電磁石241、242は、従来の磁気浮上式ジャイロ(図9)の電磁石401、402、403、404と同様に、この図に現れていない2つの電磁石と組になってフレーム10の周囲を取り囲み、また、電磁石243、244も、図9の電磁石405、406、407、408と同様に、この図に現れていない2つの電磁石と組になってフレーム10の周囲を取り囲む。
そして、各電磁石241〜246に供給された励磁電流の変動分から、角速度及び加速度を求める。
また、小型のモータ20を用いることで、装置の小型化を図ることができる。
11 正方形の面
12 正方形の面
13 正三角形の面
14 正三角形の面
20 流体軸受けモータ
21 回転体
31〜34 センサ
41〜50 電磁石
51 永久磁石
52 永久磁石
53 永久磁石
54 永久磁石
60〜64 ターゲット
70 ステータ
141〜147 電磁石
200 誘導モータ
241〜247 電磁石
301〜305 センサ
401〜410 電磁石
Claims (10)
- モータと、
前記モータに軸支されて回転する回転体と、
前記モータ及び回転体を収容する内部空間を有し、前記モータを支持して前記回転体の前記内部空間での回転を許容する回転体保持体と、
前記回転体保持体を取り囲んで該回転体保持体を磁力により非接触支持する複数の磁力発生手段と、
前記磁力発生手段が固定されたステータと、
を備え、
前記磁力発生手段の少なくとも一部は前記回転体保持体の運動制御を行う電磁石であり、前記回転体保持体と前記ステータとの相対変位を打ち消すように、前記電磁石の励磁電流が可変され、
前記励磁電流の変動分から、前記ステータが固定された物体の角速度または加速度が算出されることを特徴とする慣性センサ。 - 請求項1に記載の慣性センサであって、前記電磁石以外の前記磁力発生手段が、永久磁石であることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1または2に記載の慣性センサであって、さらに、前記回転体保持体と前記ステータとの相対変位を検出するセンサを有していることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項3に記載の慣性センサであって、前記センサが前記ステータに固定されていることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項3に記載の慣性センサであって、前記センサが前記回転体保持体に固定されていることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の慣性センサであって、前記磁力発生手段は、前記回転体保持体の3軸周りの回転運動及び3軸方向の並進運動を合わせた計6自由度の運動が能動的または受動的に制御できるように前記ステータに固定されており、前記6自由度の内の少なくとも1自由度は、電磁石によって能動的に制御されていることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1から6のいずれかに記載の慣性センサであって、前記回転体保持体が、扁平な6面体を構成していることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1から6のいずれかに記載の慣性センサであって、前記回転体保持体が、扁平な5面体を構成していることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1から6のいずれかに記載の慣性センサであって、前記回転体保持体が、円筒形状であることを特徴とする慣性センサ。
- 請求項1から9のいずれかに記載の慣性センサであって、前記モータが流体軸受けモータであり、前記回転体の回転軸が前記モータの流体軸受けで軸支されていることを特徴とする慣性センサ。
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