JP4815534B2 - パケット遅延特性計測装置及び方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ネットワーク内を転送されるパケットの遅延特性を計測する装置及び方法に関する。
近年、VoIP(Voice over Internet Protocol)技術等の登場により、IPネットワークを用いたIP電話等の通信システムが広く普及してきている。VoIP等を利用するIPネットワークにおける通信品質を維持するため、ネットワーク負荷が増大する場合の通信状況を事前に且つ高精度に把握することが重要である。
下記特許文献1には、運用中の実際のネットワークを利用してパケットの遅延時間およびジッタ(揺らぎ)特性を計測する方法が開示されている。当該方法は、測定パケット送信時にタイムスタンプ情報を挿入し、この測定パケットをネットワークの測定区間内で転送させることにより、転送遅延時間を測定する、というものである。
しかし、上記従来技術による方法によれば、PC(Personal Computer)などの安価な機器で計測する場合、受信端末において、CPU(Central Processing Unit)やOS(Operating System)の影響を受けて遅延が発生するが、ネットワークにおける遅延と受信端末における遅延との区別がつかないため、本来測定したい、ネットワークにおける遅延を正確に計測することができないという問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、パケットを受信する装置の内部で遅延が発生する可能性がある場合にも、ネットワークにおける遅延のみを正確に計測することができるようにすることにより、計測精度の向上を図ったパケット遅延特性計測装置及び方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ネットワークにおいて転送されるパケットの遅延特性を計測するパケット遅延特性計測装置であって、送信時刻情報を含む検査パケットを該ネットワークに周期的に送出する送信手段と、通信経路を電気的に分岐することにより、該ネットワークを介して入力された検査パケットを複数の通信経路の各々に出力する分岐手段と、前記分岐手段に接続されて同一の検査パケットを受信する複数の受信手段であって、各々、該送信時刻情報に基づいて遅延時間を算出する複数の受信手段と、同一の検査パケットについて前記複数の受信手段の各々によって算出される複数の遅延時間同士を比較して、最も小さい値の遅延時間を計測値として確定する計測値確定手段と、を具備するパケット遅延特性計測装置が提供される。
一つの好適な態様では、前記複数の受信手段の各々は、受信時刻と送信時刻との差である絶対遅延時間を遅延時間として算出する。
あるいは、前記複数の受信手段の各々は、複数の検査パケットについて受信時刻と送信時刻との差である絶対遅延時間を求め、該絶対遅延時間の最小値を基準とした相対遅延時間を遅延時間として算出する。
相対遅延時間を採用する場合には、前記複数の受信手段の一つを除く他の受信手段と前記分岐手段との間にそれぞれ異なる固定遅延時間を与える遅延手段を更に具備し、前記複数の受信手段が、各々に対応する複数の通信インタフェース手段と各々に共通の単一の遅延時間算出手段とにより構成されるようにすることも可能である。
一つの好適な態様では、前記計測値確定手段は、前記複数の受信手段によって受信された検査パケットのうち一定の基準を満たすもののみを有効検査パケットとして比較処理の対象とする。
一つの好適な態様では、前記分岐手段による分岐後の通信経路が無線である。
また、本発明によれば、上述のパケット遅延特性計測装置の技術的特徴と同一の技術的特徴を有するパケット遅延特性計測方法が提供される。さらに、本発明によれば、上述のパケット遅延特性計測装置に使用されるプログラムが提供される。
本発明によるパケット遅延特性計測装置及び方法は、ネットワーク上を流れて来た一つの検査パケットを複数の受信手段で受信して求めた複数の遅延時間を比較し、最も小さい値の遅延時間を計測値として採用するため、受信手段が原因で発生した遅延を除去することが可能となり、計測制度が向上する。
10 IPネットワーク
20 送信装置
30 分岐装置
40 第一の受信装置
50 第二の受信装置
60 収集データ処理装置
70 遅延発生装置
80 受信装置
20 送信装置
30 分岐装置
40 第一の受信装置
50 第二の受信装置
60 収集データ処理装置
70 遅延発生装置
80 受信装置
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明によるパケット遅延特性計測装置の第一実施形態を示すブロック図である。このパケット遅延特性計測装置は、IPネットワーク10における二つのノード間のパケット転送遅延時間を計測するものであり、送信装置20、分岐装置30、第一の受信装置40、第二の受信装置50及び収集データ処理装置60から構成される。
送信装置20は、具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)等であり、通信インタフェース(IF)22、CPU(Central Processing Unit)24、主メモリ26、補助メモリ28等を備える。補助メモリ28には、通信プログラム等が格納される。
分岐装置30は、具体的には、ネットワークタップ、無線アクセスポイント等であり、通信経路を電気的に分岐することにより、ネットワーク10上を流れて来たパケットを複数の通信経路の各々に受け渡す(配信する)。無線アクセスポイントの場合、分岐後の通信経路は無線となる。
第一の受信装置40は、具体的には、PC等であり、通信インタフェース42、CPU44、主メモリ46、補助メモリ48等を備える。第二の受信装置50も、同様であり、通信インタフェース52、CPU54、主メモリ56、補助メモリ58等を備える。補助メモリ48及び補助メモリ58の各々には、通信プログラム、収集されたデータ等が格納される。
収集データ処理装置60も、同様に、具体的には、PC等であり、通信インタフェース62、CPU64、主メモリ66、補助メモリ68等を備える。補助メモリ68には、収集されたデータ、そのデータを処理するための解析プログラム等が格納される。
また、送信装置20、第一の受信装置40、第二の受信装置50及び収集データ処理装置60の各装置における通信インタフェースは、ネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)等によって構成される。そして、送信装置20、第一の受信装置40、第二の受信装置50及び収集データ処理装置60の各装置は、補助メモリから主メモリへロードされたプログラムに従って動作することにより、それぞれの処理機能を実現する。
図1に示される構成において、送信装置20は、第一の受信装置40宛の検査パケットを作成し、ネットワーク10上に周期的に送出する。各検査パケットには、送信時刻情報が含まれる。分岐装置30は、ネットワーク10上を流れて来た検査パケットを第一の受信装置40に向けて配信するとともに、同一の検査パケットを第二の受信装置50にも配信する。
検査パケットに基づく遅延時間計測処理の手順が図2のフローチャートに示される。まず、一定時間にわたり、第一の受信装置40及び第二の受信装置50の各々が、送信されて来た検査パケットを受信し、各検査パケットについて遅延時間を算出することにより、遅延時間データを収集する(ステップ1010)。その遅延時間は、受信時刻Riと送信時刻Siとの差(Ri−Si)、すなわち絶対遅延時間diとして算出される。第一の受信装置40及び第二の受信装置50で収集された遅延時間データは、収集データ処理装置60に送られる。
次いで、収集データ処理装置60の解析プログラムが、一定の基準に基づいて検査パケットから有効パケットを選択する(ステップ1020)。例えば、図3に示されるように、検査パケットP1〜P5に関して遅延時間データが収集されたとする。その場合、まず、第一の基準として無条件に検査パケットP1〜P5の全てを有効パケットとして選択することが考えられる。
また、第二の基準として、第一の受信装置40で算出された遅延時間と第二の受信装置50で算出された遅延時間との差が一定の閾値5未満の検査パケットP1、P2、P4及びP5を有効パケットとして選択するようにしてもよい。これは、当該差が大きい場合、信頼度の点で問題がある場合が考えられるからである。
あるいは、第三の基準として、第一の受信装置40で算出された遅延時間と第二の受信装置50で算出された遅延時間とが一致する検査パケットP1及びP4を有効パケットとして選択するようにしてもよい。そのような場合のデータは、信頼度が高いと考えられるからである。
次いで、収集データ処理装置60の解析プログラムは、有効パケットの各々について小さい値の方の遅延時間データを有効データとして採用することにより、最終的に計測データを確定させる(ステップ1030)。これは、大きい値の方のデータは、受信装置内部の処理に起因する遅延時間が加わったために大きくなったと考えられるからである。
例えば、前述の第一の基準に基づいて検査パケットP1〜P5の全てが有効パケットとして選択されている場合、P1についての遅延時間5、P2についての遅延時間3、P3についての遅延時間3、P4についての遅延時間3、P5については遅延時間2、が有効な計測値として得られる。また、前述の第二の基準に基づいて検査パケットP1、P2、P4及びP5が有効パケットとして選択されている場合、P1についての遅延時間5、P2についての遅延時間3、P4についての遅延時間3、P5については遅延時間2、が有効な計測値として得られる。また、前述の第三の基準に基づいて検査パケットP1及びP4が有効パケットとして選択されている場合、P1についての遅延時間5、P4についての遅延時間3、が有効な計測値として得られる。
以上に説明された第一実施形態では、二つの受信装置によりデータが収集されているが、もちろん三つ以上の受信装置によりデータを収集するようにしてもよい。受信装置の数が多いほど、精度の高い計測値を得ることができる。また、収集データ処理装置60が備える解析プログラムを第一の受信装置40又は第二の受信装置50の補助メモリに持たせて受信装置で図2の処理を行わせることで、収集データ処理装置60を省略することも可能である。
図4は、本発明によるパケット遅延特性計測装置の第二実施形態を示すブロック図である。同図に示される第二実施形態では、図1に示される第一実施形態と比較すると、送信装置20及び分岐装置30は同一とされる一方、受信装置が1台とされ、収集データ処理装置が設けられていない。
しかし、第二実施形態における受信装置80は、第一の通信インタフェース82A、第二の通信インタフェース82B、CPU84、主メモリ86、補助メモリ88等を備える。すなわち、NIC等による通信インタフェースが二つ設けられている。さらに、補助メモリ88には、通信プログラム及びデータに加え、解析プログラムも格納されている。かくして、第二実施形態における受信装置80は、第一実施形態における第一の受信装置40、第二の受信装置50及び収集データ処理装置60の各機能を一つの装置で実現する。
しかし、受信装置80は、一つのCPUで処理を行うため、第一の通信インタフェース82A及び第二の通信インタフェース82Bで同時に同一の検査パケットを受信した場合、同時にCPUの影響を受け、受信装置内部の処理に起因する遅延時間に差が出ず、本発明の効果が出ない。そこで、図2の第二実施形態では、分岐装置30と受信装置80の第二の通信インタフェース82Bとの間の通信経路に、パケットに固定遅延時間を与える遅延発生装置70が設けられている。この遅延発生装置70は、スイッチ等によって構成される。分岐装置30と受信装置80の第二の通信インタフェース82Bとの間の通信経路にて、パケットに固定遅延時間を与えることにより、CPUの影響を同時に受けることがなくなる。
このような第二実施形態では、第二の通信インタフェース82Bへの検査パケットの到着が、第一の通信インタフェース82Aへの検査パケットの到着よりも遅れることとなるため、同一検査パケットについての二つの遅延時間を単純に比較することはできない。そこで、第二実施形態では、受信時刻Riと送信時刻Siとの差(Ri−Si)である絶対遅延時間diの算出後、相対遅延時間Diが算出される。
図5は、かかる相対遅延時間Diについて説明するための図である。同図に示されるように、検査パケットP1、P2、P3、P4及びP5について絶対遅延時間d1、d2、d3、d4及びd5が求められた後、それらの中の最小値d3が決定される。そして、検査パケットP1、P2、P3、P4及びP5についての相対遅延時間D1、D2、D3、D4及びD5が、それぞれ、d1−d3、d2−d3、d3−d3(=0)、d4−d3及びd5−d3として計算される。すなわち、絶対遅延時間diに対し、絶対遅延時間Diは、Di=di−min(all di)と定義される。
図6は、第二実施形態における遅延時間計測処理の手順を示すフローチャートである。まず、受信装置80は、一定時間にわたり、第一の通信インタフェース82A及び第二の通信インタフェース82Bで検査パケットを受信し、各検査パケットについて絶対遅延時間を算出することにより、通信インタフェースごとに絶対遅延時間データを収集する(ステップ1110)。
次いで、受信装置80は、通信インタフェースごとに、図5を用いて説明したように絶対遅延時間データを相対遅延時間データに変換する(ステップ1120)。
次いで、受信装置80は、図2のステップ1020と同様に、一定の基準に基づいて検査パケットから有効パケットを選択する(ステップ1130)。ただし、絶対遅延時間データではなく相対遅延時間データに対して当該基準が適用される。
最後に、受信装置80は、有効パケットの各々について、第一の通信インタフェース82Aに係るデータ及び第二の通信インタフェース82Bに係るデータのうち、小さい値の方の相対遅延時間データを有効データとして採用することにより、最終的な計測値を確定させる(ステップ1140)。
なお、パケット遅延特性として問題になるのは、遅延時間そのものよりも、遅延時間の揺らぎであるため、第二実施形態のように相対遅延時間を計測することで十分であると考えられる。一方、確定した相対遅延時間計測データと第一の通信インタフェース82Aに係る絶対遅延時間最小値とに基づいて、改めて絶対遅延時間計測値を算出することも可能である。
以上に説明された第二実施形態では、二つの通信インタフェースによりデータが収集されているが、もちろん三つ以上の通信インタフェースによりデータを収集するようにしてもよい。受信インタフェースの数が多いほど、精度の高い計測値を得ることができる。ただし、各経路に与えられる固定遅延時間を異なる値に設定する必要がある。
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態を採用することが可能である。例えば、第一実施形態においても、絶対遅延時間を相対遅延時間に変換してから一連の比較等の処理を行うようにすることができる。すなわち、第一実施形態においては、送信装置20、第一の受信装置40及び第二の受信装置50の各装置に備えられる時計が一致していることが前提となるが、相対遅延時間を採用することで、かかる制限が排除される。
Claims (8)
- ネットワークにおいて転送されるパケットの遅延特性を計測するパケット遅延特性計測装置であって、
送信時刻情報を含む検査パケットを該ネットワークに周期的に送出する送信手段と、
通信経路を電気的に分岐することにより、該ネットワークを介して入力された検査パケットを複数の通信経路の各々に出力する分岐手段と、
前記分岐手段に接続されて同一の検査パケットを受信する複数の受信手段であって、各々、該送信時刻情報に基づいて遅延時間を算出する複数の受信手段と、
同一の検査パケットについて前記複数の受信手段の各々によって算出される複数の遅延時間同士を比較して、最も小さい値の遅延時間を計測値として確定する計測値確定手段と、
を具備するパケット遅延特性計測装置。 - 前記複数の受信手段の各々は、受信時刻と送信時刻との差である絶対遅延時間を遅延時間として算出する、請求項1に記載のパケット遅延特性計測装置。
- 前記複数の受信手段の各々は、複数の検査パケットについて受信時刻と送信時刻との差である絶対遅延時間を求め、該絶対遅延時間の最小値を基準とした相対遅延時間を遅延時間として算出する、請求項1に記載のパケット遅延特性計測装置。
- 前記複数の受信手段の一つを除く他の受信手段と前記分岐手段との間にそれぞれ異なる固定遅延時間を与える遅延手段を更に具備し、前記複数の受信手段は、各々に対応する複数の通信インタフェース手段と各々に共通の単一の遅延時間算出手段とにより構成される、請求項3に記載のパケット遅延特性計測装置。
- 前記計測値確定手段は、前記複数の受信手段によって受信された検査パケットのうち一定の基準を満たすもののみを有効検査パケットとして比較処理の対象とする、請求項1に記載のパケット遅延特性計測装置。
- 前記分岐手段による分岐後の通信経路が無線である、請求項1に記載のパケット遅延特性計測装置。
- ネットワークにおいて転送されるパケットの遅延特性を計測するパケット遅延特性計測方法であって、
送信手段が、送信時刻情報を含む検査パケットを該ネットワークに周期的に送出するステップと、
通信経路を電気的に分岐する分岐手段が、該ネットワークを介して入力された検査パケットを複数の通信経路の各々に出力するステップと、
前記分岐手段に接続された複数の受信手段が、各々、同一の検査パケットを受信し、該送信時刻情報に基づいて遅延時間を算出するステップと、
計測値確定手段が、同一の検査パケットについて算出された複数の遅延時間同士を比較して、最も小さい値の遅延時間を計測値として確定するステップと、
を具備するパケット遅延特性計測方法。 - 送信時刻情報を含む検査パケットをネットワークに周期的に送出する送信手段と、通信経路を電気的に分岐することにより、該ネットワークを介して入力された検査パケットを複数の通信経路の各々に出力する分岐手段と、前記分岐手段に接続されて同一の検査パケットを受信する複数の受信手段であって、各々、該送信時刻情報に基づいて遅延時間を算出する複数の受信手段と、を含み、該ネットワークにおいて転送されるパケットの遅延特性を計測するパケット遅延特性計測装置に使用されるプログラムであって、コンピュータを、
同一の検査パケットについて前記複数の受信手段の各々によって算出される複数の遅延時間同士を比較する手段と、
該比較の結果、最も小さい値の遅延時間を計測値として確定する手段と、
として機能させるためのプログラム。
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