JP4815058B2 - 医療用ナイフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い勝手の安定化をはかり、且つ製造上の手数を削減することを実現した医療用ナイフに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば眼科手術では、角膜或いは角膜と強膜の間を切開して初期切開創を形成する際にナイフ(医療用ナイフ)が使用される。医療用ナイフには、使用後、洗浄及び再滅菌処理して再使用するものと廃棄するものとがあり、最近では再滅菌処理のためのコストが嵩むことから、使い捨ての医療用ナイフが使用されることが多い。
【0003】
医療用ナイフは、医師が保持するハンドルと、患部を切開する刃部及び該刃部から連続して形成されたシャンク部とからなる作業部材と、を有し、該作業部材のシャンク部とハンドルとを一体化して構成されている。作業部材のシャンク部とハンドルを一体化させる場合、シャンク部を丸棒状に形成すると共にハンドルに丸穴を形成し、シャンク部の直径及び穴の直径にしまり嵌めの公差を設定して加工し、両者を圧入することが行なわれている。
【0004】
医療用ナイフは、ハンドルを保持した医師によって操作されるものであり、目底の患部、例えば角膜或いは角膜と強膜との間を切開する。このとき、切開寸法や切開角度及び円滑で良好な切開創を得るために、医療用ナイフには高い寸法精度を維持すること、良好な切れ味を保持すること、安定した操作性を有すること等の点が要求される。
【0005】
即ち、刃部の寸法精度が低い場合、医療用ナイフ毎に切開創の寸法が変化することとなり、安定した手術をし得なくなるという問題や、刃部の先端からハンドルまでの寸法が変化したような場合、或いは作業部の軸心とハンドルの軸心が一致しない場合、医師が手術を行なう際の感覚に微妙なズレが生じて必要な寸法や形状を持った切開創を形成し得なくなるという問題がある。また切れ味が劣化した場合、鋭利な切開創を形成することが出来ず、創の回復に時間がかかるという問題が生じることがある。更に、作業部とハンドルとの一体化が不安定な場合、安定した操作が出来ず実際上手術が困難になる等の問題が生じる虞がある。このため、医療用ナイフは、前記各問題を回避し得るように構成されている。
【0006】
上記医療用ナイフに於けるハンドルは、射出成形によって、外形が医師が保持して患部を切開する際に良好な操作性を発揮し得る形状に成形されると共に、略軸心に一致させてシャンク部を圧入するための穴が成形されている。また作業部は、ステンレス鋼からなる丸棒を切断して素材を形成し、該素材の一端をプレス加工及び研磨加工して鋭利な刃部を成形すると共に、他端側をシャンク部として形成している。そしてシャンク部をハンドルの穴に圧入して両者を一体化することで製造される。
【0007】
上記の如き医療用ナイフ、特に眼科手術に用いられるナイフは、シャンク部の径が約0.5mm〜1.5mm程度の極めて微細な寸法を持って形成される。このような寸法範囲では、僅かな寸法差が生じた場合であっても基準寸法に対しては大きな比率となり、しめ代に与える影響は極めて大きい。このため、ハンドルの穴の寸法及びシャンク部の寸法は厳密に管理される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、医療用ナイフでは、ハンドルに形成された穴に対し、刃部を完成させた作業部材のシャンク部を圧入して一体化させるため、操作の際の力の伝達は穴とシャンク部との摩擦によって行なわれることとなり、シャンク部の径や仕上がり状態及びハンドルの穴径を極めて高い精度で管理する必要がある。即ち、シャンク部の径を基準とした場合、穴の径が設定された公差を超えて小さいと圧入の際に予期せぬ大きな力が必要となり、この力によってシャンク部に座屈が生じる虞がある。また穴の径が設定された公差を超えて大きいと圧入したシャンク部に充分な締付力が作用せず、手術中に緩みが生じて操作不能になる虞がある。
【0009】
特に、直径が0.5mm〜1.5mm程度の寸法に於ける圧入代(しめ代)は極めて小さい寸法になるため、穴の寸法を厳密に管理するには、ハンドルを成形するための金型の精度,射出条件,射出後の収縮等を考慮した素材の選定、等にわたる高度な技術が要求され、これに伴って製造コストが増大するという問題がある。また成形されたハンドルの穴径を全数検査する必要が生じたりする等の検査に要するコストや、検査の結果として生じる不良品の増加による製造コストの増加等の問題も生じる。
【0010】
またハンドルに形成された穴の径にバラツキが生じた場合、作業部材のシャンク部をチャックして圧入する過程で、ハンドルの軸心に一致して真っ直ぐに挿入されず傾きが生じたり、挿入長さが安定しなくなるという問題が生じる。
【0011】
またシャンク部に微細なバリが生じていても圧入工程に於ける作業に支障があるため、作業部の加工工程中にバリの除去工程を組み込んでおく必要があり、コスト増に対する要因となっている。
【0012】
シャンクを有する工具と合成樹脂製のハンドルを一体化させる場合、ハンドルの成形時にシャンクをインサート成形するのが一般的であり、この製造方法を採用する場合、大きなコスト増を生じることがない。しかし、医療用ナイフのシャンク部をインサート成形によってハンドルと一体化させる場合、成形工程を経る過程で、完成した刃部を有する作業部材の移動や成形型に対する着脱等のハンドリング回数が多くなり、その都度、既に完成された刃部が障害物に衝突し或いは接触して切れ味を損なうという危険がある。特に切れ味は、如何に軟らかいものであっても刃部に接触した場合、該刃部の切れ味は劣化するため、刃部を完成させた後のインサート成形は現実的ではないという特殊な事情がある。
【0013】
また予め所定の長さに切断した作業部材の素材をインサート成形してハンドルと一体化させておき、その後、刃部の加工を行なうという加工順序も考えられるが、この場合、合成樹脂製のハンドルを付けた状態で、プレス加工工程から研磨工程を経ることとなる。特に、研磨工程では超微細な加工を行い、更に刃部に対する化学的な表面処理を行なうことが必要であり、この過程で不良品の発生も見込まれるため、先にハンドルを一体化させておくのも現実的ではない。
【0014】
上記の如き諸問題から、現在も予め刃部を完成させた作業部材のシャンク部をハンドルに形成された穴に圧入しているのが実情である。このため、本発明の目的は、ハンドルに形成された穴の寸法精度を厳密に管理しなくとも、シャンク部を容易に且つ安定した状態で一体化することが出来る医療用ナイフを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る医療用ナイフは、合成樹脂製のハンドルと、金属製のシャンク部及び該シャンク部と接続して形成された刃部とを有し、前記シャンク部を前記合成樹脂製のハンドルに圧入して構成した医療用ナイフであって、前記シャンク部は丸棒状に形成されると共に前記合成樹脂製のハンドルに圧入される部位にプレス加工により前記シャンク部の直径よりも大きい幅寸法を持った少なくとも1つの幅広部が形成され、前記ハンドルには前記幅広部の幅寸法よりも小さい径を持った丸穴が形成され、前記シャンク部の幅広部を前記ハンドルの丸穴の内壁面に食い込ませて圧入したものである。
【0016】
上記医療用ナイフ(以下「ナイフ」という)では、シャンク部に於けるハンドルに圧入される部位に少なくとも1つの幅広部を設けたので、シャンク部をハンドルに形成した丸穴(以下、単に「穴」という)に圧入したとき、幅広部が穴の内壁に食い込んで固定される。このため、医師がハンドルを操作する際の力は、主にハンドルに食い込んだ幅広部に作用する剪断力として刃部に伝えられることとなる。従って、ハンドルに形成された穴の径にバラツキが生じた場合、幅広部の穴の内壁に対する食い込み深さに影響を与えることとなるが、この食い込み深さに変化が生じた場合であっても、伝え得る剪断力に大きな影響はなく、安定した操作性を保持することが出来る。
【0017】
このため、ハンドルに形成された穴の径を、シャンク部を圧入して一体化させる際の公差範囲よりも広い範囲に設定して管理することが可能となり、該寸法管理に要するコストを軽減することが出来る。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るナイフの好ましい実施形態について説明する。本発明のナイフは患部を切開する医療用のナイフに関するものであり、好ましくは、角膜や角膜と強膜との間を切開する際に用いる眼科用ナイフとして構成される。
【0019】
本発明に係るナイフは、合成樹脂によって成形され軸心に穴が形成されたハンドルと、一方の端部側に刃部が形成され該刃部から他方の端部にかけて且つハンドルの穴に圧入される部位に少なくとも1つの幅広部が形成されたシャンク部からなる作業部材とを有しており、前記ハンドルの穴に作業部材のシャンク部の幅広部を圧入して一体化することで構成されている。
【0020】
特に、本発明に係るナイフは、シャンク部に形成した幅広部をハンドルの穴の内壁面に食い込ませるように圧入することで、穴の寸法にバラツキが生じた場合であっても、作業部材のハンドルに対する圧入作業を安定させることが可能であり、ハンドルから刃部の先端までの距離のバラツキを少なくし、且つ作業部材をハンドルに対して安定した状態で一体化して医師の操作性を安定させることが可能となる。
【0021】
このため、ハンドルに形成された穴の寸法公差の範囲を拡大すると共に、該寸法公差の管理の厳密さを軽減させることが可能となり、穴の寸法管理及びこの管理に伴う不良品の発生に起因した製造コストを上昇させることがない。従って、本発明のナイフは比較的価格が低いことが要求される使い捨てのナイフとしたときに有利である。
【0022】
例えば、使い捨てナイフとする場合、材料としては比較的に安価な鋼やステンレス鋼を採用することが好ましく、硬さや切れ味の鋭いナイフを構成する場合、チタン合金を採用することが好ましい。
【0023】
特に、作業部材の材料として金属を採用するため、使い捨てナイフであるか否かに関わらず、錆びが発生することのないものであることが条件となる。このような材料を採用することで、製造後の流通段階を経て使用されるまでの日数の如何,消毒・処理等の実施に関わらず、錆びが発生することがなく、且つ切れ味を維持したナイフとすることが可能である。
【0024】
上記の如き材料としてステンレス鋼があり、特に、オーステナイト系ステンレス鋼を目的の径まで冷間線引き加工することによって、オーステナイト組織をファイバー状に伸長させると共に加工硬化させた材料を用いることが好ましい。この材料では、安定した高い硬度と高い強度、及び曲げに対する強度を有する。従って、刃部を形成したとき、鋭利な切れ味を発揮することが可能であり、切開時の操作に伴って曲げ力が作用しても、この曲げ力に対抗することが可能である。
【0025】
更に、例えば材料が熱処理によって硬化するタイプのマルテンサイト系ステンレス鋼である場合、生産の効率化をはかる上で、先ず熱処理前の柔らかい状態でプレス成形して刃部を形成し、熱処理を行なって硬化させた後、切刃を形成し、その後で幅広部を形成するという手順が採用される。即ち、マルテンサイト系ステンレス鋼の丸棒を熱処理して硬化させた後では、プレス成形して刃部を形成することが困難となり、また柔らかい状態で刃部及び切刃を形成した後熱処理するのでは、テンパーカラーの発生の問題や切れ味の管理の問題等が生じる。このように、幅広部を形成する際には既に硬度が高くなっており、プレス成形し難くなっている。これに対し、オーステナイト系ステンレス鋼は、プレスによって加工硬化させることが可能であり、幅広部の形成を円滑,容易に行なうことが可能であり、且つこの加工によって硬度の上昇を期待し得るという利点がある。
【0026】
上記刃部は形状を限定するものではなく、患部を目的の形状に円滑に切開し得るものであれば良い。特に、刃部は良好な切れ味を有することが必須であり、このような刃部を形成するために、プレス加工や研磨加工が行なわれる。例えば、プレス加工によって目的の形状に成形された刃部を、砥石やベルトサンダー或いはラッピングフィルム等の研磨手段による研磨を施すことで、切れ味の良い鋭い切刃を形成することが可能である。また刃部の形状に起因して前記研磨手段では満足な研磨を実現し得ない場合には、電解研磨や化学研磨等の処理を施すことで鋭い切刃を形成することが可能である。
【0027】
更に、患部を切開する際により円滑で安定した切れ味を得るために、研磨した刃部にシリコーンコーティングを施すことが好ましい。シリコーンコーティングを施すことによって刃部に極めて薄いシリコーン層を形成して表面を円滑にすることが可能であり、患部の組織を通過する際の摩擦抵抗を軽減することが可能である。
【0028】
作業部材に形成されたシャンク部には、少なくとも1つの幅広部が形成されている。この幅広部は、研磨工程や他の工程でシャンク部をチャッキングするために取っておいたチャック代を切断する際に同時に、或いはその前後に形成することが好ましい。特に、シャンク本体部は、作業部材の素材をそのまま利用することが、加工工程を増加することがないため好ましい。従って、作業部材の材料として冷間線引き加工を施したオーステナイト系ステンレス線を採用する場合、該材料の断面形状である円形のまま、シャンク本体部とすることが好ましい。
【0029】
幅広部は、シャンク部をハンドルの穴に圧入したとき、該穴の内面に食い込んでハンドルとの一体化をはかるものであり、医師がハンドルを保持して患部を切開する操作を行なう際に、該医師の力が充分に伝達し得るものであれば良く、シャンク部に於けるハンドルの穴に圧入される部位に少なくとも1つ形成される。
【0030】
シャンク部に於ける幅広部の位置はハンドルの穴に圧入される部位であることが要件であり、前記部位であれば特に限定するものではない。また幅広部はシャンク部に於けるハンドルの穴に圧入される部位であって長さ方向の異なる複数の位置に、互いに直交する方向に形成しても良い。
【0031】
例えばシャンク部の自由端に幅広部を形成することが可能である。この場合、材料を切断して得た作業部材の素材に於ける端部に発生したバリをプレスによって潰すことが可能となり、圧入の際のバリの影響を排除することが可能となる。またシャンク部に於ける穴に対する圧入深さの境界部位に幅広部を形成した場合、該シャンク部の穴に対する圧入長さを管理する目安とすることが可能である。
【0032】
幅広部はシャンク部をプレス加工することで形成することが可能である。
【0033】
シャンク部をプレス加工を施すことで幅広部を形成する場合、幅広部を膨出させる分、
シャンク部の断面積が小さくなる。
【0034】
作業部材が金属製であるため、幅広部の形成はプレス加工によることが好ましく、眼科手術用のナイフのように、シャンク部の太さが0.5mm〜1.5mm程度である場合は特に好ましい。
【0035】
幅広部の幅や厚さは、ハンドルの穴の径やハンドルの材質に対応させて選択的に設定されるべき数値であるが、本件発明者等がシャンク部の径を0.7mm,0.9mm,1.0mm,1.3mm,1.6mmとし、夫々に対応するハンドルの穴径を各径の93%〜97%の範囲内にあるように設定して実験した結果、前記各径を100%としたとき、幅広部の幅が110%〜125%の範囲、幅広部の厚さが55%〜80%の範囲にあるとき、圧入作業が容易で且つ作業部材とハンドルとの安定した一体化に好ましい結果を得ている。
【0036】
幅広部の長さ、即ち、シャンク部の長さ方向に於ける幅広部の寸法は、特に限定するものではなく、シャンク部に形成すべき幅広部の数や、シャンク部をハンドルに圧入したときのしめ代等の条件に応じて設定される。しかし、幅広部は穴の径のバラツキによって前記しめ代が不足したような場合であっても、医師が患部の切開を行なう際の力を安定した状態で刃部にまで伝えることを保証し得る長さを有することが必要である。
【0037】
ハンドルは合成樹脂によって成形され、軸心に一致させて一方側の端部から穴が形成されている。ハンドルの長さや太さを含む外形形状は限定するものではなく、目的のナイフの機能に対応させて適宜設定される。また穴の径も同様に目的のナイフを構成する素材の太さに対応して適宜設定される。特に、穴の径を設定する場合、前述したように、シャンク部の太さの93%〜97%の範囲内にあるように選択される。
【0038】
ハンドルに穴を形成する方法は特に限定するものではなく、ハンドルを成形した後、ドリル加工して形成することが可能である。しかし、コストや精度の点で射出成形法によって形成することが好ましい。即ち、成形金型のキャビティに穴を形成するための中子を配置しておき、射出成形後、脱型する際に中子を引き抜くことで、ハンドルの成形と同時に穴を形成することが可能である。
【0039】
このような方法で成形されたハンドルでは穴の精度は中子の精度に依存するため、該中子の寸法精度を向上させることで、精度を保持することが可能である。しかし、一度の射出で複数のハンドルを成形する場合、個々の中子に起因するバラツキが発生する。
【0040】
本発明に於いて、作業部材をハンドルに一体化させたとき、固定機能を発揮するのは、
ハンドルの穴の内面に食い込んだシャンク部の幅広部である。
【0041】
ハンドルを構成する合成樹脂材料としては特に限定するものではなく、例えば、ABS樹脂,ポリカーボネート(PC),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエチレンテレフタレート(PET),エポキシ樹脂(EP),フェノール樹脂(PF)等があり、これらの中から選択して用いることが可能である。特に、ナイフを再使用可能に構成する場合、選択する合成樹脂は滅菌処理に充分に耐え得ることが必要であり、滅菌処理の際の温度や薬品に対応して選択することが好ましい。
【0042】
次に、上記ナイフの好ましい実施例について図を用いて説明する。図1はナイフの全体構成を説明する正面図である。図2は第1実施例に係る作業部材をハンドルに圧入したナイフの要部を示す断面図である。図3は第1実施例に係る作業部材の構成を説明する正面図と側面図である。図4はハンドルの穴の構成例を説明する斜視図である。図5は作業部材の他の例を説明する図である。図6は他の例に係る作業部材をハンドルに圧入した断面図である。
【0043】
図1によりナイフAの全体構成について説明する。このナイフAは眼球に対する手術に際し、角膜或いは角膜と強膜との間を切開して自己閉鎖性の高い切開創を形成し得るように構成されたものである。このナイフAは、一方の端部側にへら状の刃部1が形成され、該刃部1の外周部分に切刃2が形成され、更に、刃部1から他方の端部側に連続して形成されたシャンク部3を有して構成された作業部材Bと、作業部材Bと一体化されたハンドルCとによって構成されている。
【0044】
作業部材Bはオーステナイト系ステンレス線を材料とし、この材料を加工の際に必要なチャック代を考慮した所定の長さで切断して素材を形成し、この素材の一方側の端部をプレス加工して刃部1を形成すると共に、該刃部1に研磨加工を施して切刃2を形成する。次いで、素材の他方側の端部のチャック代を切断し、その後或いは同時にプレス加工して幅広部4を形成することで、目的の形状と寸法を持って製造されている。作業部材Bに於ける刃部1の形状や該刃部1の両側に形成された切刃2の最大幅等は、前述したように切開すべき患部の部位や切開の目的等の条件に応じて適宜設定されるものであって、図の形状に限定されるものではない。
【0045】
ハンドルCは合成樹脂材料を射出成形して成形されており、形状や太さ,長さ等の寸法を限定するものではなく、医師が保持して操作し易い外形形状と寸法をもって形成される。そして、後述するように、作業部材Bのシャンク部3をハンドルCに圧入して一体化させることで、ナイフAが構成されている。
【0046】
次に、図2〜図4により第1実施例に係るナイフAについて説明する。図に示すように、作業部材Bを構成するシャンク部3の端部には幅広部4が形成されている。この幅広部4は、シャンク部3の端部をプレス加工することで形成され、幅寸法(図3に示すW寸法)はシャンク部3(幅広部4を形成することなく且つ刃部1の形状の影響を受けることのない部分であるシャンク本体部3a)の直径を基準として110%〜125%の範囲に、厚さ寸法(図3に示すT寸法)はシャンク部3の直径を基準として55%〜80%の範囲に保持されている。また幅広部4の長さは、シャンク部3の太さと略等しい寸法を有している。
【0047】
ハンドルCの一方の端部側から軸心に一致した位置に所定の深さを持った穴5が形成されている。本実施例では、図4に示すように、穴5は丸穴として形成されており、直径は、シャンク部3(シャンク本体部3a)の径を基準として93%〜97%の範囲の公差を持って設定されている。
【0048】
従って、ハンドルCに形成された穴5にはしまり嵌めの公差が設定されることとなり、該穴5に幅広部4及びシャンク部3を圧入したとき、幅広部4のシャンク部3から突出した部分が穴5の内面に食い込むと共に、シャンク部3が穴5にしめ代を持って圧入される。
【0049】
例えば、シャンク部3の直径が1mmに設定されている場合、幅広部4の幅寸法(W)は1.10mm〜1.25mmとなり、穴5の直径は0.93mm〜0.97mmとなる。従って、幅広部4の穴5に対する最大食込深さ(1.25−0.93)は0.32mm(片側0.16mm)となり、最小食込深さ(1.10−0.97)は0.17mm(片側0.085mm)となる。
【0050】
上記条件のナイフでは、幅広部4の穴5に対する食込深さが0.1mm程度になった場合でも、充分に医師の力を刃部1に伝えることが可能であり、且つ作業部材BがハンドルCに対して回転することがなかった。従って、穴5の径が上記公差範囲を逸脱して図2に点線6で示すようにシャンク部3の直径よりも僅かに大きくなっても、作業部材BとハンドルCの一体化をはかることが可能である。
【0051】
医療用のナイフでは、患部を切開する際に、該患部を特別に大きな力でこじることはない。またシャンク部3の太さに比例して刃部1の寸法も変化し、作用する力も変化する。
このため、シャンク部3の太さが細いナイフでも、シャンク部3の寸法を基準として幅広部4の寸法及び穴5の寸法を上記範囲に設定することで、作業部材BとハンドルCを一体化したナイフとしての機能を発揮することが可能である。
【0052】
次に、図5,図6により、他の例に係る作業部材D,Eの構成について簡単に説明する。尚、図に於いて、前述の作業部材Bと同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図5(a)に示す作業部材Dは、幅広部4をシャンク部3に於ける中間部であってシャンク部3をハンドルCの穴5に圧入したとき、該穴5の入口部分に対応する部位に形成したものである。この作業部材Dは、図6に示すように、シャンク部3の自由端側から穴5に圧入される。このため、シャンク部3の自由端にはバリを除去するための面取り部3bが形成されている。
【0054】
上記の如く構成されたナイフであっても、幅広部4が穴5に食い込んでいる限り、作業部材DはハンドルCに安定した状態で一体化することが可能であり、患部を切開する際に作用する力を受けた場合でも、作業部材Dが回転したり、穴5から離脱することがない。
【0055】
図5(b)に示す作業部材Eは、シャンク部3の2個所に幅広部4を形成したものである。幅広部4をこのように形成することによって、作業部材EはハンドルCの穴5に対し長さ方向の2個所で食い込むこととなり、より安定した状態で一体化することが可能である。
【0056】
尚、シャンク部3の2個所に幅広部4を形成する場合、同図に示すように、幅広部4の突出方向を同方向としても良く、例えば90度の角度で交差させて形成しても良い。また幅広部の大きさを変えても良く、例えば、端部側の幅広部は小さく、刃部側の幅広部を大きくすることも可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係るナイフでは、シャンク部のハンドルに圧入される部位に少なくとも1つの幅広部を形成することによって、該幅広部を穴の内面に食い込ませて一体化することが出来る。このため、作業部材を安定して穴に圧入することが出来、且つ圧入させた作業部材がハンドルに対して回転することがない。
【0058】
このため、穴の径に生じるバラツキの範囲を広く許容することが可能となり、寸法の管理を軽減することが出来る。従って、不良品の発生を減らすことが出来、製造コストを引き下げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ナイフの全体構成を説明する正面図である。
【図2】 第1実施例に係る作業部材をハンドルに圧入したナイフの要部を示す断面図である。
【図3】 第1実施例に係る作業部材の構成を説明する正面図と側面図である。
【図4】 ハンドルの穴の構成例を説明する斜視図である。
【図5】 作業部材の他の例を説明する図である。
【図6】 他の例に係る作業部材をハンドルに圧入した断面図である。
【符号の説明】
A ナイフ
B,D,E 作業部材
C ハンドル
1 刃部
2 切刃
3 シャンク部
3a シャンク本体部
3b 面取り部
4 幅広部
5 穴
Claims (1)
- 合成樹脂製のハンドルと、金属製のシャンク部及び該シャンク部と接続して形成された刃部とを有し、前記シャンク部を前記合成樹脂製のハンドルに圧入して構成した医療用ナイフであって、
前記シャンク部は丸棒状に形成されると共に前記合成樹脂製のハンドルに圧入される部位にプレス加工により前記シャンク部の直径よりも大きい幅寸法を持った少なくとも1つの幅広部が形成され、
前記ハンドルには前記幅広部の幅寸法よりも小さい径を持った丸穴が形成され、
前記シャンク部の幅広部を前記ハンドルの丸穴の内壁面に食い込ませて圧入したことを特徴とする医療用ナイフ。
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