本実施形態に係る部品運搬用ロボット(以下、単に「ロボット」とする場合がある)は、種類別にそれぞれ複数個の部品を収容して列状に並設された複数の収容器の中から、所定の組立物を組み上げるために必要な部品を、組立順序に従って前記収容器から取出し、取出した部品を、部品供給部に前記組立物の組立順に配列することを可能としたものであって、前記複数の収容器が並設された列に沿って敷設された軌道上を自走可能な走行部と、この走行部上に設けられた本体部に可動自在に連接され、先端部に部品保持部を設けたアーム部と、このアーム部に設けられ、前記軌道の方向に対する前記収容器の位置を検出する第1検知部と、同じく前記アーム部に設けられ、前記軌道に直交する方向に対する前記収容器の位置、及び当該収容器内に配列された前記部品の位置を検出する第2検知部と、前記走行部、前記アーム部の各動作を、前記第1検知部及び/又は前記第2検知部の検知結果に基いて制御する制御部とを備えている。
すなわち、ロボットが自走可能な軌道を略直線状に付設しておくとともに、この軌道に沿って、それぞれに複数の部品が収容された複数の収容器を、所定間隔をあけて列状に並設しておき、制御部によって駆動制御されたロボットが走行し、所定のプログラムにしたがって、所定の順番で必要な部品を前記収容器からロボット本体部に設けたアーム部によって取り出して部品供給部に移動して、取り出した部品を組立物の組立順序に従って部品供給部に載置し配列させるようにしたものである。
ロボットのアーム部は、第1アーム部と第2アーム部とからなり、人間同様に双腕による安定した作業が行えるようにしており、かかるアーム部に、前記軌道の方向に対する前記収容器の位置を検出する第1検知部と、前記軌道に直交する方向に対する前記収容器の位置、及び当該収容器内に配列された前記部品の位置を検出する第2検知部とをそれぞれ設けている。したがって、目的とする収容器を検知して、この収容器内に列状に収容された対象となる部品を正確に取り出すことができる。
また、ロボットの走行は軌道上を往復移動するだけであり、走行部の構造としては軌道上を転動する車輪を備えた比較的単純な構成でよく、また、本実施形態では、前記第1検知部を前記第1及び第2アーム部の各部品保持部に設けたレーザーセンサーとするとともに、前記第2検知部を、前記第1アーム部の部品保持部に設けた超音波センサーとしている。
したがって、第1検知部、第2検知部は、光学式カメラなどを用いたセンサーとは異なり、比較的に安価に構築可能であり、しかも、共に光の照度の強弱の影響を受けることがないため、第1検知部は軌道の方向に対する収容器の位置を正確に検出することができ、第2検知部は、軌道に直交する方向に対する収容器の位置及び収容器内に配列された部品の位置を正確に検出することができる。
また、低コストでありながら、走行部による走行距離や、前記アーム部の先端部に設けた部品保持部の移動距離などを正確に検出できるように、本実施形態では、前記走行部の軌道上の移動距離を検出する第1エンコーダと、前記部品保持部の前記軌道に対して直交する方向への移動距離を検出する第2エンコーダとを設け、各エンコーダを制御部に接続して検出結果を入力させるようにしている。
制御部は、CPUやメモリなどを備えたマイクロコンピュータにより構成しており、CPUがメモリに格納されたプログラムを読み出し、プログラムに従って走行部やアーム部を駆動させるとともに、前記第1、第2エンコーダからの検出結果を参照しながらその駆動制御を行っている。
このように、本実施形態によれば、たとえ重量のある部品であっても双腕アームの先端にそれぞれ設けた部品保持部を用いることで、たとえ長尺部品であってもこれを安定して保持することができ、第1検知部に、光学式カメラなどに比べて安価なレーザーセンサーを、第2検知部にこれも比較的安価な超音波センサーを用いることで、外部環境による光の強度変化の影響を受けることなく、測定精度を高く安定させ、収容器の位置検出機能、収容器内の部品の検出機能を良好にはたらかせることができる。
特に、第1検知部のレーザーセンサーは、第1アーム部及び第2アーム部の各部品保持部に設けており、軌道上を走行しながら、各収容器の軌道に沿った位置を正確にセンシングすることができる。
また、第2検知部の超音波センサーは、第1アーム部の部品保持部に設けているため、第1アーム部を軌道に直交する方向に進出させることで、収容器が所定位置に至っているか否か、及び収容器内の部品の検出を精度良くセンシングすることができる。
このように、上述した構成のロボットを用いることにより、これまで安価に構築することが困難であった順立て作業のロボット化が実現できる。なお、「順立」とは、例えば自動車組立てラインで各部品を組立てて自動車に組上げる作業を行う前工程において、この自動車に複数の部品を組付ける作業に対して、組立物ラインを流れる車種の順番に対応して各車種に合致した複数の部品を組み立て順に順次並べて置くことをいう。
上述してきた部品運搬用ロボットを用いて構築した順立て供給システムについて説明する。
本実施形態に係る順立て供給システムは、種類別に複数個の部品を収容した複数の収容器を列状に並設した部品貯留部と、前記部品貯留部に略平行に付設した軌道上を自走可能に配置され、前記部品を保持する部品保持部を備えた部品運搬用ロボットと、この部品運搬用ロボットにより前記部品貯留部から取出された前記部品を、所定の組立物の組立順に配列して載置するための部品供給部とを備えた構成としている。
そして、部品運搬用ロボットは、前述したように、軌道上を自走可能な走行部と、この走行部上に設けられた本体部に可動自在に連接され、先端部に部品保持部をそれぞれ設けた第1アーム部及び第2アーム部と、前記第1アーム部及び前記第2アーム部にそれぞれ設けられ、前記軌道の方向に対する前記収容器の位置を検出する第1検知部と、前記第1アーム部に設けられ、前記軌道に直交する方向に対する前記収容器の位置、及び当該収容器内に配列された前記部品の位置を検出する第2検知部と、前記走行部の軌道上の移動距離を検出する第1エンコーダと、前記部品保持部の前記軌道に対して直交する方向への移動距離を検出する第2エンコーダと、前記走行部、前記アーム部の各動作を制御する制御部とを備えている。
かかる構成の順立て供給システムにより、部品供給部には、組立物を組み立てるのに必要な多種多様な部品が、組立順に効率良く並べられることになり、作業者は円滑に組み立て作業を行うことができる。しかも、前述したロボットを適用した場合、順立てに必要な部品の認識については、安価でありながらも工場内の明るさに検知精度が左右されない超音波センサなどを用いることになるため、工場などにおける部品の順立て作業に極めて有益となる。
また、かかる順立て供給システムでは、前記部品搬送用ロボットに外部通信手段を設けておくことが望ましい。すなわち、前記第2検知部により、複数の収容器が所定位置にセッティングされていないこと、又は前記収容器内の部品が空であることを検出した場合、前記制御部は、前記外部通信手段から外部へ所定の信号を送信させるのである。
したがって、収容器の位置不良などの不具合や部品の欠品などの対応をいち早く行うことが可能となり、生産工程の遅延を可及的に防止することができる。
以下、本実施の形態に係る部品の順立て供給システム、及び部品運搬用ロボットについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
[1.部品の順立て供給システムの概要]
図1は本実施の形態に係る部品の順立て供給システムを示す概略構成図である。以下、部品運搬用ロボット1の走行する軌道方向をx軸方向として、x軸に直交する収容器を載置している方向をy軸方向として説明する。なお、本実施の形態では、組立物を自動車とし、順立てて供給される部品を、自動車のプロペラシャフトとしている。
先ず、本実施形態に係る順立て供給システムが導入されている自動車生産工場の概要を説明する。
図1において、50は最終組立工程のラインの一である組立物ラインであり、車種の異なる複数種の自動車が順次流れている。そして、この組立物ライン50の近傍の載置領域52には順立部品収容台61が配置されており、各順立部品収容台61内には、本実施形態に係る順立て供給システムによって、各車種に応じた3種類のプロペラシャフトa,b,cが自動車の車種の順番に対応して、それぞれ複数本ずつ列状に載置されるようになっている。
また、プロペラシャフトa,b,cを自動車の車種の順番に順立てし直すためのブースが順立領域51として組立物ライン50の側方に配置されている。
この順立領域51は、種類毎に区分けされた各種プロペラシャフトa,b,cを収容した収容器60a,60b,60cをそれぞれ搬送するレール59a、59b、59cが並列に三列配設されており、これらレール59a、59b、59cの各終端の前方には、同レール59a、59b、59cと直交する方向に、後に詳述する部品運搬用ロボット1が走行するための軌道55が敷設されている。
また、かかる軌道55の基端側には、部品運搬用ロボット1が動作を始動する原位置56が設けられるとともに、この原位置56側を始端とし、終端を組立物ライン50方向に向けたレール63が配設されている。そして、このレール63上には予め部品運搬用ロボット1によって供給部品受具62がセットされており、この供給部品受具62に、部品運搬用ロボット1が前記順立領域55から組立順番(順立)に搬送したプロペラシャフトa,b,cが列状に組み立て順に載置される。本実施形態では、このレール63が敷設された領域を部品供給部54としている。
部品供給部54は2段構造となっており、上方の段にレール63が設けられ、下方の段には複数の供給部品受具62を配設している。なお、レール63は、供給部品受具62が転がり易いように始端から終端に向かって緩やかな傾斜を備えている。
一方、軌道55の終端側には、プロペラシャフトa,b,cが部品運搬用ロボット1により取り出されて空になった収容器60a,60b,60cを回収する回収台車64が載置され、この軌道55終端と直交した方向に、空の収容器60a,60b,60cを外部へ排出する回収部58が設けられる。また、この回収部58には、回収台車64から空の収容器60a,60b,60cを基の位置に返送するために、終端側から外部方向に向かって緩やかに傾斜させたレール59fを連結している。
本実施形態における順立領域51のレール59a、59b、59cは、プロペラシャフトa,b,cの種類に応じて三列配設されており、1列のレールに前後2つの収容器(60a,60b,60c)が載置され、各収容器内には同種類のプロペラシャフト(a,b,c)がそれぞれ複数個、軌道55に向かうように列状に載置されている。なお、これらの収容器60a,60b,60cは、作業者の人手により、各レール59a、59b、59c上に適宜搬送されて載置される。
また、各レール59a、59b、59cは、基端から終端(軌道55側)に向かって緩やかに傾斜しており、収容器(60a,60b,60c)の軌道55側に面する端面の左右位置には、収容器(60a,60b,60c)自身の位置を規定する位置規定ポール69,69が取付けられている。したがって、各レール59a、59b、59c上の収容器60a,60b,60cの各軌道55方向に対する正確な位置は、位置規定ポール69,69によって規定することができる。なお、図中68は、各収容器60a,60b,60cの滑降を規制して位置決めするためにレール59a、59b、59cの先端及び中間位置にそれぞれ設けられた位置決めポールである。
[2.部品運搬用ロボット]
ここで、本実施形態における部品の順立供給システムに用いられる部品運搬用ロボットについて詳細に説明する。図2は本実施の形態に係る部品運搬用ロボットを示す構成図、図3は同ロボットの制御ブロック図である。
図2(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る部品運搬用ロボット1は、前述した軌道55(図1参照)上を自走可能な走行部2と、この走行部2上に設けられた本体部3と、この本体部3に可動自在に連接されると共に、先端部に部品保持部6,7を設けた第1アーム部4と第2アーム部5とからなる双腕のアーム部と、このアーム部(第1アーム部4及び第2アーム部5)に設けられて、軌道55の方向に対する収容器60の位置を検出する第1検知部としてのレーザーセンサー8,9と、前記第1アーム部4に設けられて、軌道55に直交する方向に対する収容器60の位置、及び収容器60内に配列されたプロペラシャフトa,b,cの位置を検出する第2検知部としての超音波センサー10と、走行部2、アーム部(第1アーム部4及び第2アーム部5)の各動作を、第1検知部及び/又は第2検知部の検知結果に基いて制御する制御部41(図3)とを備えている。
第1アーム部4及び第2アーム部5は、複数(例えば5軸)の関節部を介して3次元軸方向に屈曲自在に連結された可動アームから構成されるとともに、各先端にはペンチ状の部品保持部6,7を設けている。
そして、5軸の多関節の可動部を駆動制御することで、第1アーム部4及び第2アーム部5の長さを調整し、必要に応じた位置に部品保持部6,7を届かせることができる。本実施形態では、第1検知部であるレーザーセンサー8,9をこれら部品保持部6,7に設けるとともに、第2検知部である超音波センサー10については第1アーム部4の部品保持部6に設けている。
図2(c)に示すように、各部品保持部6,7は、部品を把持可能な一対の爪体11,12からなり、第1アーム部4と第2アーム部5の先端に開閉自在に連動連結されている。そして、前記一対の爪体11,12間に、例えばシリンダからなる伸縮駆動装置13を介設し、この伸縮駆動装置13を伸縮することで、爪体11,12の基端同士を枢支連結した連結部を中心に開閉駆動してプロペラシャフトa,b,cを把持又は開放することができる。
一方の爪体11は、基端から先端間の中途部に断面凹状部14を形成し、他方の爪体12は、基端から終端を断面へ字状に形成されている。そして、図2(c)に示すように、前記断面凹状部14にプロペラシャフトa,b,cを係止して爪体11,12によりしっかりと挟持できるようにしている。したがって、プロペラシャフトa,b,cのように外周面に曲面を有する部品であっても確実に保持可能となる。
また、図2(c)に示すように、爪体12L,12Rの先端にレーザーセンサー8,9の発光部8b,9bを設ける一方、爪体11L,11Rの先端には、発光部8b,9bと対向するようにレーザーセンサー8,9の受光部8a,9aを設けている。また、特に第1アーム部4には、爪体11L外側の基端側に超音波センサー10を配設している。
これらのセンサー8,9,10は、光学式カメラなどと異なり、照度の変化が激しい場所などにおいても検知精度が変わらず、しかも、光学式カメラなどよりも安価で入手可能であり、さらに画像処理装置なども不要であるため、順立て供給システムを構築するに当たり、コスト低減に大きく寄与することができる。
ところで、レーザーセンサー8,9は、発光部8b,9bより出射して受光部8a,9aで受光しているレーザー光の出射領域間を物体が通過すると、レーザー光を遮断もしくは減少することにより、物体の通過を検知することができ、ここでは、出射領域間を、各収容器60の前部に設けた基準点となる位置規定ポール69,69が通過したことをセンシングすることにより、軌道55方向に対する各収容器60の搬入位置(x軸方向)を検知し、また、プロペラシャフトa,b,cを把持する際に、出射領域間を部品(ここではプロペラシャフトa,b,c)が通過することにより、部品保持部6,7によるプロペラシャフトa,b,cの把持状態を検知することができる。
なお、レーザーセンサー8,9は、相対位置に設けるような受光部、発光部を備えたものを用いたが、同一位置に受光部と発光部を備えた反射式のセンサー部品を用いてもよい。
超音波センサー10は、部品保持部6の爪体11Lの外側の基端側に、部品保持部6の先端部方向へ超音波を照射するように取り付けられている。かかる取付位置としたため、プロペラシャフトa,b,cの把持に邪魔になることがなく、かつ左右のアーム部4,5を可動させた場合でも、他の物体と接触あるいは衝突しにくくセンサ10を破損させるおそれがない。
かかる超音波センサー10は、出射部と検知部とからなり、出射部より発した超音波が対象物で反射され、この反射波を検知部で検知することで対象物までの距離を検出している。本実施形態では、超音波センサー10により各収容器60の前端面をセンシングして収容器60の搬入位置(図1のy軸方向)を検出すると共に、収容器60内のプロペラシャフトa,b,cの載置位置のx軸方向とy軸方向の2軸方向を検出している。
また、図3に示すように、部品運搬用ロボット1は、制御部41を備えており、この制御部41は、図示しない中央演算装置(CPU)や所定のプログラムが格納されたROM(Read-Only Memory)や作業用のRAM(Random-Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータからなり、走行部2、アーム部4,5の各動作を、第1検知部であるレーザーセンサー8,9と第2検知部である超音波センサー10の検知結果に基いて制御している。ROMには、制御部41を起動して制御する基本的なプログラムを格納している。RAMには、センサー8,9,10の検出結果や例えば収容器60の位置座標データ等の書き換え可能なデータを一時的に格納する。そして、中央演算装置は、ROM、RAMに記憶されたデータに基づいて演算する。
また、部品運搬用ロボット1は、制御部41に接続した第1エンコーダ42と第2エンコーダ43とを備えており、第1エンコーダ42は、軌道55上の走行部2の移動距離を検出し、第2エンコーダ43は、軌道55に対して直交する方向への部品保持部6,7の移動距離を検出する。
すなわち、第1エンコーダ42は走行部2の車輪の転動量を介して得られた機械的な変位量を電気信号に変換して、電気信号を処理して走行部2の軌道55上の移動距離を検出する。そして、制御部41は、原位置56からの移動距離を判別することにより、ロボット1の軌道55上における座標位置を決定する。
第2エンコーダ43は、アーム部を駆動したときに、超音波センサー10によってセンシングして得たy軸方向の検知結果に基いて、このアーム部が駆動した機械的な変位量を電気信号に変換して、電気信号を処理して部品保持部6,7の移動距離を検出する。そして、制御部41は、部品保持部6,7の移動距離を検出してフィードバックしながら各アーム部を制御する。
したがって、この第2エンコーダ43を用いることにより、制御部41は、アーム部を駆動しつつ超音波センサー10によって収容器60内のプロペラシャフト(a,b,c)の長手方向(y軸方向)の長さや列方向(x軸方向)における隣接するプロペラシャフト(a,b,c)同士間の間隔を正確に検出することができ、この検出結果に基いて、ロボット1は、プロペラシャフト(a,b,c)の最適位置を部品保持部6,7により把持して収容器60から取り出し、供給部品受具62に載置することができる。
このように構成された部品運搬用ロボット1は、図1に示すように、各レール59a、59b、59cの終端前方に敷設した軌道55に沿って走行しながら、自動車の組立物ライン50の車種の順番に合致したプロペラシャフトa,b,cの供給順序、すなわち順立を決定して、次々に各レール59a、59b、59c上の各収容器60a,60b,60cから各プロペラシャフトa,b,cを把持し、部品供給部54のレール63上の供給部品受具62に載置していくことができる。
[3.部品運搬用ロボットによる主な順立て動作]
上述してきたように、本実施形態に係る部品の順立て供給システムでは、部品運搬用ロボット1を用いて、図1に示した順立領域51内でプロペラシャフトa,b,cを自動的に順立てすることができる。
部品運搬用ロボット1は、図2に示すように、軌道55上を移動する車輪を備えた走行部2と、この走行部2上に、図示しない軸回りに水平方向に回転自在に設けられた本体部3と、この本体部3に可動自在に連接され、各収容器60a,60b,60c内の各プロペラシャフトa,b,cを把持可能な双腕多関節の第1、第2アーム部4,5とを備えている。
以下、図1〜図8を参照して、部品運搬用ロボットの主な動作について具体的に説明する。図4は部品運搬用ロボットによる収容器のセンシングを示す説明図、図5は同ロボットによる前記収容器内における部品のセンシングを示す説明図、図6は同ロボットの収容器内における部品の把持動作を示す説明図、図7は同ロボットの部品供給部内における作業動作を示す説明図、図8は同ロボットの空の収容器返し動作を示す説明図である。
先ず、上記構成の部品運搬用ロボット1が、部品貯留部53に載置された各収容器60a,60b,60cの位置検出を行う場合について説明する。
初期状態において、部品運搬用ロボット1は、図1に示すように、原位置56に位置しており、収容器60a,60b,60cの位置検出を行う際には、先ず、原位置56から部品貯留部53の手前側の収容器60aの前部まで所定の走行ポジションを維持しながら軌道55上を走行して移動する。
そして、図4(a)に示すように、収容器60aの前部で本体部3を回転して走行ポジションから収容器60aの前部に向かい合うポジションを取り、双腕アームのうち一方の第1アーム部4の部品保持部6を収容器60aの前面部70に合わせた後、同部品保持部6に装着された超音波センサー10から超音波を照射してセンシングすることで収容器60aのy軸方向における位置の検知結果を得る。
次に、収容器60aのy軸方向における位置の検出結果から、収容器60aの前面部70右側の配置された位置規定ポール69のy軸方向における位置を認識した部品運搬用ロボット1は、図4(b)に示すように、双腕アームのうち他方の第2アーム部5の部品保持部7の爪体11,12で、収容器60aの前面部70右側の配置された位置規定ポール69を跨ぐようにした状態でx軸方向へ移動する。このとき、部品保持部7に装着されたレーザーセンサー8の照射を位置規定ポール69が遮ったことを検知することにより、収容器60aのx軸方向の位置を検出するための基準点71が検出される。
また、部品運搬用ロボット1は、前述したように、制御部41に接続した第1エンコーダ42を備えており、原位置56からこの基準点71の検知位置までの移動距離が検出されているため、レーザーセンサー8のセンシングの検知結果を参照して収容器60aのx軸方向の位置を決定し記憶する。
このとき、制御部41は、第1エンコーダ42の移動距離の検出結果に基いて収容器60aのx軸方向の位置バラツキ補正を行い、収容器60aの座標位置を記憶する。同様にして、部品運搬用ロボット1は、他の2つの収容器60b,60cのx軸方向の位置をそれぞれ記憶する。
各収容器60a,60b,60cの位置検出作業の完了後、図1中、走行ポジションを維持して原位置56へ移動する。
なお、部品運搬用ロボット1は、外部通信手段44(図3参照)を備えており、超音波センサー10のセンシングにより、収容器60aが所定位置にセッティングされていない場合には、制御部41は外部通信手段44を介して外部へ所定の信号を送信するように制御する。
上述した各収容器60a,60b,60cの位置検出処理を行った後、次に、部品運搬用ロボット1は、組立物ライン50を流れる車種の順番に対応して各車種に合致した順序にプロペラシャフトを順立するために、外部の図示しない生産指示サーバより部品貯留部53の収容器内のプロペラシャフトa,b,cを順立てし直す順番の生産指示データを取得して読み込む。
次に、各種のプロペラシャフトa,b,cの中から生産指示データに基いて順序を順立し直す順立作業について説明する。
部品運搬用ロボット1は、生産指示データに基いて、プロペラシャフトaの順立て作業を開始するが、図1に示した原位置56において、本体部3を軌道55方向を向いた走行ポジションから回転して部品供給部54に向かい合わせて、供給部品受具62を把持するセットポジションを取る。すなわち、両アーム部4,5の多関節を調整しつつ、部品供給部54の下段の台車置場に載置された供給部品受具62を両部品保持部6,7で把持して、この両アーム部4,5の多関節を調整して同供給部品受具62を部品供給部54の上段のレール63始端へ載置する。
次いで、部品供給部54に向かい合うポジションから軌道55方向へ本体部3を回転して、軌道55上を走行するときの走行ポジションを取る。
走行ポジションを維持しながら原位置56から、既に位置を認識した収容器60aの前部へ、軌道55上を走行して移動する。
図5(a)に示すように、走行ポジションから収容器60aに向き合うように本体部3を回転し、部品保持部6の超音波センサー10で、収容器60a内のプロペラシャフトa位置をセンシングするポジションを取る。ここでのポジションは、多関節の両アーム部4,5を折り曲げるようにして、超音波センサー10でプロペラシャフトaをセンシングし易いように調整されている。
そして、多関節の第1アーム部4を伸ばすように調整しながら収容器60a内の前方から後方(y軸方向)に可動させると共に超音波センサー10で収容器60a内の前方から後方(y軸方向)の順にセンシングする。
超音波センサー10でy軸方向にセンシングして、現時点で最も手前側に配置されたプロペラシャフトaを検出する。ここでは、収容器60aの前から3番目まではすでに取り出されたか、あるいは空となっており、4番目に配置されたプロペラシャフトaが検出される。なお、超音波センサー10でy軸方向にセンシングしてプロペラシャフトaが収容器60a内に検出されない場合、すなわち収容器60aが空であると認識した場合は、後述する空収容器の処理を行う。さらに、部品運搬用ロボット1は、収容器60a内のプロペラシャフトaが空であることを検出した場合、制御部41は、外部通信手段44を介して外部へ所定の信号を送信するように制御する。
図5(b)に示すように、部品運搬用ロボット1は、多関節の第1アーム部4を調整しながら超音波センサー10で収容器60a内のx軸方向をセンシングして、プロペラシャフトaの長手方向を認識する。この超音波センサー10で得られた収容器60a内のプロペラシャフトaのx軸方向及びy軸方向の検知結果に基いて、第2エンコーダ43でプロペラシャフトaのx軸方向及びy軸方向の長さを検出する。
制御部41は、超音波センサーによるx軸方向及びy軸方向の各移動距離の検出結果により、第1、第2アーム部4,5によってプロペラシャフトaを把持する座標位置を決定する。
なお、この収容器60a内に横架して載置されている複数のプロペラシャフトaは、それぞれが左右長手方向(x軸方向)にずれた状態で配置されている場合が多いが、このような状態で配置されたプロペラシャフトaであっても、超音波センサー10でセンシングして、各プロペラシャフトaにおける適切な把持位置を決定することが可能である。しかも、超音波センサー10は、環境の明るさの変化などに影響されることがないため、天窓などが設けられた自動車生産工場内で、昼夜問わず正確なセンシングが可能となっている。
次に、部品運搬用ロボット1は、プロペラシャフトaを把持するポジションを取り、第1アーム部4と第2アーム部5の多関節を駆動調整しつつ、第1アーム部4と第2アーム部5の双腕アーム間隔をプロペラシャフトaを把持可能なポジションに調整する。
図6(c)に示すように、両部品保持部6、7でプロペラシャフトaの長手方向の中途部を把持する。このとき、プロペラシャフトaは、両部品保持部6、7の一方の基材である左右の爪体11L,11Rの断面凹状部14に係合した状態となり、同プロペラシャフトaは、爪体11L,11Rと他方の爪体12L,12Rとの間の伸縮駆動装置13が駆動されることにより挟持される。制御部41は、プロペラシャプトaが部品保持部6,7に装着したレーザーセンサー8,9の発光領域を通過することにより、部品保持部6、7の爪体11,12間に位置したことを認識する。
そして、図6(d)に示すように、多関節の左右のアーム部4,5を上方所定位置まで引き上げると共に、関節部を介してアーム部4,5を折り畳んで手前側に引き、図6(e)に示すように、プロペラシャフトaを把持した状態で本体部3を回転して走行ポジションを取る。そして、プロペラシャフトaを把持した状態で軌道55上を走行して原位置56へ移動する。この一連の動作において、左右のアーム部4,5で把持した長いプロペラシャフトaは、搬送中に何物にも衝突することはなく、安全に搬送可能である。
その後、図7(a)に示すように、原位置56に戻った部品運搬用ロボット1は、走行ポジションから本体部3を120度回転して部品供給部54に向かい合うポジションを取り、多関節の左右のアーム部4,5を駆動してレール63上の供給部品受具62までの距離を調整しつつ、部品保持部6,7で把持したプロペラシャフトaを供給部品受具62に移載する。
そして、図7(b)に示すように、多関節のアーム部4,5を駆動してプロペラシャフトaが載置された供給部品受具62を、部品保持部6,7の各先端部で押す。このとき、プロペラシャフトaを載置した供給部品受具62は、下り傾斜のレール63上を移動して順立部品収容台61内に収納される。
順立部品収容台61内のプロペラシャフトが6本になるまで、生産指示データに従ってプロペラシャフトa,b,cの順立作業を繰返す。
順立部品収容台61内に載置するプロペラシャフトが6本になると、制御部41は、順立てしての部品供給が完了したことを外部通信手段44のPHSを用いて外部の作業者へ連絡して、所定の信号で報告する。
そして、外部通信手段44で連絡を受けた作業者は、順立部品収容台61を載せた台車を搬出して、組立物ライン50の載置領域52へ載置する(図1参照)。
こうして、組立物ライン50の組立作業者は、順立部品収容台61から順立てされたプロペラシャフトを取り出して、所定の車種に順次組み付けていくことができ、極めて効率的な自動車部品の組立作業が実現することになる。
次に、図1及び図8を参照しながら、部品運搬用ロボット1による空収容器の回収作業について説明する。なお、ここでは部品貯留部53において二列目に配置された収容器60b内をセンシングした結果、プロペラシャフトbが一本も検出されなかった場合としている。
部品運搬用ロボット1は、先ず、軌道55上を終端まで走行して回収置場57の空収容器の回収台車64へ移動する(図1参照)。
そして、図8(a)に示すように、走行ポジションから軌道55方向に本体部3を回転すると共に、左右のアーム部4,5を駆動して、空収容器の回収台車64の把持部64hをアーム部4の部品保持部6で把持する。
図8(b)に示すように、部品貯留部53の空の収容器60bの前に空収容器の回収台車64を牽引して移動する。
そして、部品貯留部53に向き合うように本体部3を回転し、多関節の第2アーム部5を駆動して部品貯留部53の空の収容器60bの前方側部に設けられた空収容器の回収釦65を押す。この操作により、空の収容器60bの進行を規制していた前部の位置決めポール68が下がり、空収容器60bが回収台車64上に移動する。
次いで、図8(c)に示すように、アーム部5を駆動して、上記回収釦65の横に設けられた供給釦66を押すことにより、複数のプロペラシャフトbが積載された新たな収容器60bが、部品貯留部53の後方から前方へ移動する。
部品運搬用ロボット1は、アーム部4を駆動して、空の収容器60bを載置した回収台車64の把持部64hをアーム部4の部品保持部6で把持する。
そして、部品運搬用ロボット1は、空収容器60bを載置した回収台車64を回収置場57へ牽引走行して移動した後、回収台車64から空の収容器60bを回収部58へ移動させる。なお、回収部58上に載置された空収容器60bは、作業者によって外部に運び出される。
ここでは、プロペラシャフトbが順立てに必要とされていたため、部品運搬用ロボット1は、再度収容器60bの位置を確認するために、前述した収容器の位置検出を行い、収容器60bからプロペラシャフトbの取り出して順立部品収容台61に載置する作業を実行する。
[順立ての制御処理を含む順立て作業の流れ]
本実施の形態に係る部品の順立て供給システムでは、部品運搬用ロボット1は上述してきたような主なる動作を行うが、ここで、部品の順立て供給システムにおける作業の流れについて、制御部41が実行する制御処理を含めて、図9〜図12のフローチャートに沿ってさらに説明を加える。図9は部品運搬用ロボットを用いた部品の順立て供給システムのメインのフローチャート、図10は収容器位置検出処理であるサブルーチンを示すフローチャート、図11は部品運搬用ロボットの部品運搬処理であるサブルーチンを示すフローチャート、図12は同部品運搬用ロボットによる空の収容器返し処理であるサブルーチンを示すフローチャートである。
図9に示すように、部品運搬用ロボット1の制御部41は、先ず、ステップS1〜S3で各収容器60a,60b,60cの位置検出処理を実行する(図4参照)。なお、この収容器60a,60b,60cの位置検出処理については、図10に示すサブルーチンを用いて後に詳述する。
次に、制御部41は、ステップS4において、部品運搬用ロボット1を順立領域51内の軌道55上を走行させて原位置56へ移動させる(図1参照)。
ステップS5はメイン処理ループの始点設定であり、制御部41は、ステップS6において、供給部品受具62を収納した順立部品収容台61内へプロペラシャフトを順立てる作業回数すなわちワーク数をカウントしているカウンターをリセットして初期値設定を行う。
次に、制御部41は、部品供給部54の供給部品受具62に各種プロペラシャフトa,b,cを6本積込んだか否かの判断する(ステップS7)。ここでは、部品運搬用ロボット1は、供給部品受具62に各種プロペラシャフトa,b,cを6本積込むまで処理を繰返す。プロペラシャフトを6本積込んでいない場合(NO)は、処理をステップS8へ移す。一方、ステップS7の判断が(YES)場合は、後述する。
ステップS8で、制御部41は、順立するプロペラシャフトa,b,cの生産指示データ(V)をリセットし、ステップS9において、生産指示サーバより順立てるプロペラシャフトa,b,cの生産指示データ(V)を読み込む。
制御部41は、ステップS10において、生産指示データ(V)が収容器60aであるか否かを判断し、生産指示データ(V)が収容器60aであれば(YES)処理をステップS13に移す。一方、生産指示データ(V)が収容器60aでない場合(NO)は処理をステップS11に移す。
ステップS11では、生産指示データ(V)が収容器60bであるか否かを判断し、生産指示データ(V)が収容器60bであれば(YES)処理をステップS14に移す。一方、生産指示データ(V)が収容器60bでない場合(NO)は処理をステップS12に移す。
また、ステップS12では、生産指示データ(V)が収容器60cであるか否かを判断し、生産指示データ(V)が収容器60cであれば(YES)処理をステップS15に移し、生産指示データ(V)が収容器60bでない場合(NO)は処理をステップS17に移す。
ステップS17では、生産指示データ(V)がdすなわち収容器60a〜60cのいずれでもなくプロペラシャフトを必要としない場合であり、ステップS18に移し、n=nでステップS7に戻る。このとき、生産指示データの指示は受けるがプロペラシャフトを順立てしないワークとして処理される。
ステップS13,S14,S15は、収容器60a,60b,60cからのプロペラシャフトa,b,cの取り出し及び搬送処理であり、これらの処理については図11のサブルーチンを用いて詳述する。
ステップS13,S14,S15の処理を終えると、制御部41は、処理をステップ16へ移し、供給部品受具62へのプロペラシャフトの積込み本数に「1」を足してステップS7に処理を戻す。
ステップ7で、プロペラシャフトを6本積込んだ場合(YES)は、ステップS19に進み、制御部41は、ステップS19で、管理用ディスプレイ上に順立完了の表示を行う。なお、この管理用ディスプレイは、管理者が随時視認できる位置に適宜設置されている。
次に、制御部41は、部品供給部54の供給部品受具62にプロペラシャフト6本を順立して積込み完了したことを、ロボット1に内蔵した外部通信手段44のPHS(Personal Handyphone System)を用いて外部の作業者へ所定の信号で報告する(ステップS20)。このとき、順立部品収容台61には、順立てしたプロペラシャフトa,b,cの載置が完了していることになる。
ステップS20における順立完了報告を受け、作業者は順立部品収容台61を載せた台車を搬出して、組立物ライン50の載置領域52へ載置する(ステップS21)。
次いで、作業者は順立領域51の部品供給部54に順立部品収容台61を載置した台車を搬入し(ステップS22)、その後、作業者が釦押して、台車の搬入完了を部品運搬用ロボット1に知らせ認識させる(ステップS23)。
なお、ステップS21〜S23までの作業者が行うステップについては、例えば、ロボットなどに置き換えて自動化することも可能である。
こうして、ステップS5からの処理ループが完了して(ステップS24)、部品の順立て供給システムのメインのフローチャートが終了する。
[収容器位置検出処理]
次に、上述した図9のS1〜S3の収容器位置検出処理について、図10のサブルーチンを用いて説明する。なお、収容器60a,60b,60cのいずれの位置検出処理も、実質的な処理内容は同じであるため、以下では収容器60aに関する位置検出処理、すなわちステップS1についての説明を行う。
図10に示すように、収容器60a位置検出の処理動作が開始されると、部品運搬用ロボット1の制御部41は、先ず、収容器60aのx軸方向のバラツキ変数をリセットする(ステップS31)。ここでは、収容器60aごとの寸法の誤差及び収容器60の配設位置の誤差によるx軸方向のバラツキである。
ステップS32で、制御部41は、部品運搬用ロボット1に軌道55上を走行させて、部品貯留部53の収容器60aの前に停止させる。
ステップS33で、制御部41は、図4(a)に示すように、第1アーム部4の部品保持部6を収容器60aの前面部70に合わせた後、部品保持部6の超音波センサー10から超音波を照射して、収容器60aの前面部70のy軸方向の検知結果を記憶させる。第2エンコーダ43による検出結果に基づき、制御部41は、部品保持部6,7の軌道55に対して直交する方向への移動距離を検出して、収容器60aのy軸方向の位置座標を決定する。
ステップS34で、図3(b)に示すように、第2アーム部5の部品保持部7を収容器60aの前面部70右側の基準点71に合わせた後、部品保持部7のレーザーセンサー8で位置規定ポール69をx軸方向にセンシングすることで、収容器60aの前面部70のx軸方向の検知結果を記憶させる。制御部41は、第1エンコーダ42の検出結果に基いて、走行部2の軌道55上のx軸方向の移動距離から収容器60aのx軸方向の検出位置座標をRAMに記憶する。
制御部41は、収容器60aの位置座標が検出されたか否かについて判断し(ステップS35)、収容器60aが検出されない場合(NO)は、ステップS34に戻って収容器60aの位置座標が検出されるまでセンシングを繰り返すようにしている。
なお、ステップS33において、y方向における収容器60aの位置のセンシングを行って、収容器60aそのものが検出されない場合、制御部41は、外部通信手段44を用いて、収容器60aが所定位置に配置されていないことを管理者などに連絡する。
このように、収容器60aがセッティングされていない、あるいは大きく位置ずれしている場合、外部通信手段44から外部へ所定の信号を送信するように制御されているため、管理者は早期に対応することができ、自動車生産工程の遅延を可及的に防止することができる。
ステップS35において収容器60aの位置座標が検出された場合(YES)、制御部41は、処理をステップS36に移し、第1エンコーダ42で検出された軌道55上の走行軸のエンコーダ値を読み取る。
ステップS37で、第1エンコーダ42で検出された移動距離の検出結果を、収容器60aのx軸方向の位置バラツキ補正を行い、収容器60aの座標位置を決定し、有効座標位置として記憶する。なお、A(B,C)は定数である。
ステップS38で、制御部41は部品運搬用ロボット1に走行ポジションを取らせ、収容器60aの位置検出処理が終了する。また、残りの収容器60b、60cについても、上述してきた収容器60aと同様にステップS31〜S38までの処理を行うことで、収容器60b、60cの有効位置座標を決定することができる。
[部品運搬用ロボットによる部品順立処理]
次に、図9のステップS13〜S15の処理である部品運搬用ロボットの順立作業について、図11のサブルーチンを用いて説明する。この処理により、部品運搬用ロボット1が、自動車の車種の生産順序にしたがい、部品貯留部53の各収容器60内から各プロペラシャフトa,b,cを運搬移動して、供給部品受具62へ各プロペラシャフトa,b,cを順立して供給することになる。
先ず、制御部41は、ステップS51で、収容器60aが空であることを示す最終部品判定フラグをリセットし、RAMに「0」をセットする。
続いて制御部41は、ステップS52で、軌道55方向から部品供給部54に向かい合うように部品運搬用ロボット1の本体部3を回転させ、後にプロペラシャフト(部品)を載置する供給部品受具62を把持するセットポジションを取らせる。このとき、部品運搬用ロボット1は、次に把持する供給部品受具62までの距離に合わせて、多関節のアーム部4,5を折り曲げて調整する。
ステップS53で、部品運搬用ロボット1は両アーム部4,5の多関節を調整しつつ、下段の台車置場に載置された供給部品受具62を両部品保持部6,7で把持して、再度、両アーム部4,5の多関節を調整して同供給部品受具62を部品供給部54の上段のレール63始端へ載置する(図7参照)。
ステップS54で、制御部41は、部品供給部54に向かい合うポジションから軌道55方向へ、部品運搬用ロボット1の本体部3を回転させ、軌道55上を走行するときの走行ポジションを取らせる。
ステップS55で、制御部41は、原位置56の値と、ステップS37で得た収容器60の位置バラツキ補正の値を足した値を読み込み、読込んだ値に基づいて、原位置56から収容器60aの前部へ軌道55上を走行して移動する。
ステップS56で、制御部41は部品運搬用ロボット1に走行ポジションから収容器60aに向き合うように本体部3を回転させて姿勢を変更させ、部品保持部6の超音波センサー10で、収容器60a内のプロペラシャフトa位置をセンシングするポジションを取らせる。ここでのポジションは、多関節の両アーム部4,5を折り曲げるようにして、超音波センサー10でプロペラシャフトaをセンシングし易いように調整されている。
ステップS57で、多関節の第1アーム部4を伸ばすように調整しながら収容器60a内の前方から後方(y軸方向)に可動させると共に超音波センサー10で収容器60a内の前方から後方(y軸方向)の順にセンシングしていく。
ステップS58で、制御部41は、超音波センサー10でy軸方向にセンシングしてプロペラシャフトaを検出したか否かの判断を行い、プロペラシャフトaが検出された場合(YES)、ステップS61へ処理を移す。一方、収容器60a内のy軸方向におけるプロペラシャフトaが検出されない場合(NO)、ステップS59に処理を移す。
ステップS59では、制御部41は、超音波センサー10でセンシングした結果が収容器60a内のy軸方向の終端であるか否かを判断し、収容器60a内のy軸方向の終端である場合(YES)、ステップS60に処理を移して空の収容器返しの処理(図12)を行い、処理を終了した後は、ステップS55へ処理を戻す。他方、ステップS59における判定処理で、収容器60a内のy軸方向の終端でない場合(NO)、ステップS57へ戻り収容器60a内のy軸方向のセンシングを継続する。
なお、ステップS60の処理に移す際に、制御部41は、外部通信手段44を用いて、収容器60a内が空であることを管理者などに連絡する。したがって、連絡を受けた管理者は、ただちにプロペラシャフトaの補充を行うことができ、生産工程の遅延を防止することができる。
ステップS61で、制御部41は、収容器60a内の最後のプロペラシャフトaであるか否かの判断を行う。
収容器60a内の最後のプロペラシャフトaである場合(YES)、ステップS63で最終のプロペラシャフトaであることを示す判定フラグを「1」とRAMに記憶する処理を行い、収容器60a内の最後のプロペラシャフトaでない場合(NO)はそのままステップS62へと進む。
ステップS62で、制御部41は、第1アーム部4を調整しながら超音波センサー10で収容器60a内のx軸方向をセンシングして、プロペラシャフトaの長手方向を認識する(図5(b)参照)。
次いで、制御部41は、ステップS64において、超音波センサーによるx軸方向のセンシング検知結果により、プロペラシャフトaを把持する座標位置を決定する。
ステップS65で、制御部41は、部品運搬用ロボット1にプロペラシャフトaを把持するポジションを取らせる。例えば、第1アーム部4と第2アーム部5の関節部を調整して、第1アーム部4と第2アーム部5のアーム間隔をプロペラシャフトaを把持可能なポジションに調整する。
その後、制御部41は、ステップS66において、プロペラシャフトaの両端を部品保持部6、7で把持させる(図5(c)参照)。このとき、部品運搬用ロボット1は、プロペラシャプトaが部品保持部に装着したレーザーセンサー8,9の発光領域を通過することにより、部品保持部6、7に把持されることを認識することになる。また、プロペラシャフトaは、両部品保持部6、7の一方の基材である左右の爪体11L,11Rの断面凹状部14に係合した状態であり、制御部41は、伸縮駆動装置13を駆動して爪体11L,11Rと他方の爪体12L,12Rとでこれを挟持する。
ステップS67で、制御部41は、左右のアーム部4,5を駆動調整して、プロペラシャフトaを把持した状態で本体部3を回転させ、ロボット1に走行ポジションを取らせる(図6(e)参照)。
ステップS68で、制御部41は走行部2を駆動制御して、プロペラシャフトaを把持した状態で部品運搬用ロボット1に軌道55上を走行させて原位置56へ移動させる。
ステップS69では、制御部41は、走行ポジションから本体部3を120度回転してロボット1に部品供給部54に向かい合うポジションを取らせ、左右のアーム部4,5を駆動してレール63上の供給部品受具62までの距離を調整しつつ、部品保持部6,7で把持したプロペラシャフトaを供給部品受具62に移載する(図7(a)参照)。
ステップS70で、部品運搬用ロボット1は、供給部品受具62へ移載したプロペラシャフトが6本目であるか否かの判断を行い、プロペラシャフトが6本目である場合(YES)はそのままステップS72へ処理を移すとともに、プロペラシャフトが6本目でない場合(NO)、ステップS71に処理を移して部品運搬用ロボット1の部品保持部6,7でプロペラシャフトaが載置された供給部品受具62の端部を押す動作を実行させ、その後、ステップS72へ処理を移す。なお、ロボット1によって押された供給部品受具62は、図7(b)に示すように、移動して順立部品収容台61内に収納される。例えば、ワーク数n=5の処理後であり、かつ、全てのワークが供給部品受具62へのプロペラシャフトの積込み処理後であるとき、プロペラシャフトの本数は6本目となる。
ステップS72で、ステップS64の最終のプロペラシャフトの判定フラグが「1」であるか否かの判断を行い、判定フラグが「1」である場合(YES)、ステップS73で、空収容器返しの処理(図8参照)を行う。なお、ステップS73の処理については、図12に示すサブルーチンを用いて後述する。
制御部41は、ステップS73の処理を終えると、部品運搬用ロボット1を軌道55上を走行させて原位置56へ復帰させ、ステップS51からのこの部品順立処理を完了する。
また、ステップS72において、判定フラグが「1」でない場合(NO)、制御部41は、そのまま原位置56に復帰させてステップS51からの部品順立処理を完了する。
[空収容器回収処理]
ここで、図11のS73の処理である空収容器の回収作業処理について、図12に示すサブルーチンを参照しながら説明する。
図12に示すように、この空の収容器の回収作業処理では、先ず、制御部41は部品運搬用ロボット1に走行ポジションを取らせる(ステップS81)。
ステップS82で、制御部41は、部品運搬用ロボット1に軌道55上を走行させて回収置場57の空収容器の回収台車64へ移動させる(図8(a)参照)。
そして、ステップS83において、空収容器の回収台車64の把持部64hをアーム部4の部品保持部6で把持させる。
ステップS84において、図8(b)に示すように、制御部41はロボット1に、部品貯留部53の空収容器60bの前に空収容器の回収台車64を牽引して移動させる。
次いで、ステップS85で、ロボット1に部品貯留部53の空の収容器60bの前方側部に設けている空収容器の回収釦65を押させる。これにより、空の収容器60bの進行を規制していた前部の位置決めポール68(図1参照)が下がり、空収容器60bが回収台車64上に移動することになる。
続いて制御部41は、図8(c)に示すように、ロボット1に供給釦66を押させる。これにより、複数のプロペラシャフトbを積載した収容器60bが、部品貯留部53の後方から前方へ移動することになる。
そして、ステップS87において、空収容器60bを載置した回収台車64の把持部64hをアーム部4の部品保持部6で把持させる。
ステップS88では、ロボット1を回収置場57へ走行させて、空収容器60bを載置した回収台車64を移動した後、回収台車64から空収容器60bを回収部58へ移動させる。
その後、制御部41は、ステップS89において、部品運搬用ロボット1に再度収容器60a(60b、60c)の位置を確認させるために、新たに順立領域51に供給された収容器60a(60b、60c)の位置検出を行わせ、収容器60a(60b、60c)からプロペラシャフトa(b,c)の取り出して順立部品収容台61に載置する作業を実行する。すなわち、図10に示した処理を行い、この空収容器の回収作業処理を終了する。
以上説明してきたように、本実施の形態に係る部品運搬用ロボットを用いた部品の順立て供給システムによれば、例えば多種類のプロペラシャフトa,b,cのような部品を複数種類の自動車に適切に組み込む場合、ラインにおける自動車の流れる順序に合わせて適切なプロペラシャフトa,b,cを収容器60a,60b,60cから取出し、取出したプロペラシャフトa,b,cを、部品供給部54に組立順に配列する、所謂「順立て」作業を、効率よく、かつ正確に行うことができる。
また、ロボット1が備える第1検知部であるレーザーセンサー8,9及び第2検知部である超音波センサー10は、工場内などにおいて日中や夜間で全く異なる光照度の強弱の影響を受けることがないため、収容器60a,60b,60cの位置検出、さらには収容器60a,60b,60c内のプロペラシャフトa,b,cの認識を高精度で行える。そして、かかる高精度なセンサー8.9.10の検知結果に基いて制御しているため、工場内において、ロボット1の走行部2及びアーム部4,5の各動作の駆動制御を良好に行うことができる。
また、本実施の形態に係る部品運搬用ロボット1は、第1アーム部4と第2アーム部5とからなる双腕アームを備え、その先端に部品保持部6,7を設けているため、部品を把持しつつ、部品を安定して搬送することができ、しかも、プロペラシャフトa,b,cのように長尺な部品、さらには重量のある部品であっても安定して保持、搬送することができる。
なお、上述してきた例では、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、順立てする部品はプロペラシャフトに限らず、いかなる部品であっても本部品運搬用ロボット及び本部品の順立て供給システムは適用可能である。この場合、本部品運搬用ロボットのアーム部(特に、部品保持部)及び部品を載置している収容器等を変更するのみで、本部品運搬用ロボット及び本部品の供給システムの所要の効果を得ることができる。
また、レーザーセンサー8,9及び超音波センサー10の取り付け位置は、適宜調整可能であり、必ずしも実施例に限定されるものではない。
また、本実施の形態において、外部通信手段としてPHSを用いたが、これに限定されるものではなく、既存の携帯電話システム、有線LAN、無線LAN等を用いてもよい。
また、順立領域51内の部品貯留部53(図1)に用意された収容器60a,60b,60cは、作業者によってレール59a,59b,59cの基端からそれぞれ供給するようにしているが、この作業者による収容器60a,60b,60cの搬入作業についても、例えば搬入用ロボットを用いて省力化することもできる。