JP4810576B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

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Description

本発明は電気信号を音に変換するスピーカやヘッドホン、イヤホン等、あるいは受信した音を電気信号に変換するマイクロホンや音波センサ等に適用される電気音響変換器に関する。
従来、ガムーゾン型スピーカと呼ばれる電気音響変換器では、ボイスコイルに相当する導電体の平面コイルパターンが形成された音響振動板を磁界発生器の対の中間部に設置し、導電体に駆動電流を供給することによって音響振動板をその平面に対して垂直方向に振動させるようにしたものが用いられている。
このガムーゾン型スピーカの音響振動板は、導電体を音響振動板のほぼ全域に配置させた構造のために、全面が同位相で駆動され広帯域で良好な過渡特性を得ることができるという特徴を有している。
例えば(特許文献1)には、隣接する帯状磁石(または磁石板における帯状領域)のNS極を交互に異ならせて配置し、これら多数の帯状磁石からなる磁石板の全体を平板状に形成して、さらにNS極の方向がこの平板面に対して垂直になるように配置し、この磁石板の平面に対向して導電体が形成された音響振動板を配置した電気音響変換器が開示されている。
この電気音響変換器では、NS極の方向を交互に異ならせて配置しているので、音響振動板上で磁界の方向が反転する部分や磁束密度の低い部分も多く存在する。従って、音響振動板をその面に対して垂直な方向に駆動させるための磁束の密度、即ち音響振動板の導電体に作用する電磁力の方向が振動方向となる磁束(以下「有効作用磁束」という)の密度(以下「有効作用磁束密度」という)も変化が大きかった。また、反転する磁界の方向に合わせて導電体の巻回方向を反転させたり、部分的に存在する有効作用磁束密度の高い領域に合わせて導電体を配置させたりする必要があった。そのため、振動板の全面を平面コイルとすることができず、平面コイルを支持する合成樹脂シート等の支持部材が不可欠で、支持部材固有の音が音質に悪影響を及ぼしていた。さらに、振動板各部の駆動力に大きなばらつきが生じるという課題があり、質の高い音の再生にとって大きな問題となる分割振動を引き起こす原因となっていた。
また、(特許文献2)には、中心側と外周側にそれぞれ円柱状とリング状の磁石を同心円状に分離して配置した磁石板2枚を対向させ、その間に導電体を渦巻状にプリントした音響振動板(平面コイル振動板)を前記磁石板と平行に配設させ、且つ磁石の磁化方向を音響振動板に対して垂直方向として中心側と外周部で極性を反転させた電気音響変換器が開示されている。
この電気音響変換器では、導電体を渦巻状に全て同一方向に巻き回しているため、振動板の全面を平面コイルとすることが可能である。これにより、振動板の全面で駆動力を発生させることが可能となり、(特許文献1)のような問題に対して有効である。しかしながら、磁化方向を振動板に対して垂直方向のみとした磁石の配置では磁束密度の高い領域が非常に狭くなるため、振動板の面積を広くすることはできなかった。従って、振動板の径が大きくなる低音域用のスピーカとして採用することは難しく、磁束の利用効率が高い状態で使用するためには高音域用のスピーカに限られていた。また、平面コイルの各位置で有効作用磁束密度の変化が大きいため、振動板の全面で均一な駆動力を得ることができず、分割振動の問題も解消できなかった。
このように、磁化方向を振動板に対して垂直方向のみとした従来の磁石板では有効作用磁束密度の高い領域が非常に狭くなるため、振動板の面積を広くすることはできない。その対策として、(特許文献2)では、2つの部分領域となる中心側と外周側の各磁石の間隔を開けることによって前記領域を広げているが、今度は有効作用磁束密度が低下するため、その広さも限られていた。結局、振動板の径が大きくなる低音域用のスピーカとして採用することは難しかった。また、磁化方向が一方向であるため有効作用磁束密度の分布の調整は2種類の部分領域の間隔変化によるものが殆どとなる。このように限られた調整では音響振動板の各位置における有効作用磁束密度の分布について均一化が難しく、振動板の全面で均一な駆動力を得ることが難しかった。
これら従来の問題を解決するために、本出願人が鋭意研究し特許された(特許文献3)には、磁石板を多くの部分領域に分け、各部分領域を磁石の使用効率を高めるための磁化方向とした磁石板(以後、「最適磁化角度の磁石板」という)を用い、その磁石板の前方に、導電体を渦巻状に巻き回してなる音響振動板を前記磁石板と平行に配設させた電気音響変換器が開示されている。また、磁石板の磁化方向において音響振動板の振動面と平行な成分を磁石板の半径方向とし、前記音響振動板の振動面に対してなす角度を全て一定とした磁石板(以後、「半径方向磁化の磁石板」という)を用い、同様の音響振動板を設置した電気音響変換器も開示されている。
特公昭35−10420号公報 実開昭60−93397号公報 特許第3612319号
(特許文献3)の電気音響変換器で採用している新たな磁石板は、広い面積の音響振動板の全面に渡って一方向の高い有効作用磁束密度を均一に形成することができるという従来にない特徴を有している。そのため、音響振動板の平面コイルの巻回方向は一方向で良く、また平面コイルを音響振動板の全面に渡って非常に広範囲に配置できるというこれまでとは大きく異なる特徴を有している。
そして、これらの特徴により、振動面の全面を同位相で駆動させることのできる音響振動板の設計が可能となり、音響振動板の振動方向における有効作用磁束密度の高低の差により生じる歪を抑制でき、スピーカやヘッドホン等において発生する音の音質やマイクロホン等において音より変換される電気信号を良好に維持できるという優れた作用を有し、特に、低歪率の理想的な全面駆動型平面スピーカを実現できるものであった。
(1)しかしながら、最適磁化角度の磁石板として、例えば磁石板を半径方向に均等に7分割し、486個の小磁石を同心円状に配置し、全体を構成したもの(特許第3612319号の図4参照)を1枚使用する場合、磁石の材質としてSRフェライト(ストロンチウム・フェライト)を採用すれば各小磁石に発生する磁力が弱いため、磁石板を構成する各列毎にPPテープ等を巻きつけることにより各小磁石を固定することができた。しかしながら、SRフェライトでは磁束密度を高くすることができないため、音エネルギーへの変換能率(以後「能率」という)が非常に低く、Q(共振の鋭さ)が大きくなり過ぎ、汎用性に欠けるという課題を有していた。
(2)そこで、磁束密度を高めるために、磁石の材質として高性能なネオジム−鉄−ボロン系(以下「ネオジム」という)を採用した場合、磁石板を構成する各小磁石に働く磁力が10倍前後にまで増大することになる。従って、その強力な磁力のために磁石板の製作においてPPテープや接着剤等で固定することが困難であることが分かった。特に、音響振動板の中心軸と平行で音響振動板を設置する側に向かう磁力成分については固定方法が難しく、磁力の働く方向にフレームを介在させて各小磁石を固定しようとすると、音響振動板と磁石板の間にフレームが介在することになる。その結果、フレームが音響振動板の前後振動を邪魔することになるため、採用することができなかった。
(3)更に1枚の磁石板を追加して音響振動板の前方に設置し互いに反発する力を利用すれば、磁力を音響振動板の反対方向に向けることができるため音響振動板と磁石板の間にフレームを介在させる必要がなくなる。しかし、音響振動板の前方に設置する磁石板が音響特性に大きな影響を及ぼし、特に中音域以上でハイファイ用として使用することは困難であるという課題を有していた。また、磁石板を1枚ずつ取り扱うと分解してしまうため設計や組み立て工程が非常に複雑で量産性に欠けるという課題を有していた。
(4)さらに、各小磁石に働く磁力の方向は、周囲の磁石の状況によって大きく変化するため、全体を組み上げる過程でも磁力の方向が大きく変化し、組み上げる工程毎に仮固定する手段も必要となった。このような状況を踏まえて小磁石を個別に確実に固定する手段を用いると、磁石部の領域が少なくなって磁束の使用効率が非常に悪くなると共に、磁石やフレームの加工が困難となり、製作工程も増加して複雑化し、生産性に欠けるという課題を有していた。
(5)最適磁化角度の磁石板に比べると、半径方向磁化の磁石板は、小磁石となる台形状の磁石を準備し、上底側を磁石板の中心側、下底側を磁石板の外周側となるように向けて複数個を円周方向に並べ、磁石板全体の中心側と外周側をフレームで挟むだけでよいため、磁石板の製作が非常に簡単で生産性に優れている。だが、半径方向磁化の磁石板は磁束の利用効率が良くなく、有効作用磁束が非常に広い範囲に分散して有効作用磁束密度が低くなってしまうという特徴を持つ。このため、一般的な広くない領域で音響振動板を使用する場合は、磁束の利用効率がさらに大きく低下してしまう。特に中音域用や高音域用のような振動板の面積を広くできないスピーカでは、磁束を狭い振動板の領域に集中させて磁束密度を高める必要があるため、そのままでは利用することができず、汎用性、実用性に欠けるという課題を有していた。
以上のような観点から、簡素な構造で磁束の利用効率や能率を向上させることができ、汎用性、量産性に優れた電気音響変換器の開発が強く要望されていた。
本発明は上記要望に応えるもので、磁石として特別な形状や加工が不要で、磁化方向を細かく設定する必要がなく、半径方向磁化の磁石板のように製作工程がきわめて簡素であるにも関わらず、半径方向磁化の磁石板よりも有効作用磁束密度を大幅に高くして能率を向上させることができ、音響振動板の導電体に対して高い有効作用磁束密度の分布を設定した電気信号から音への変換を低歪で効率良く行えるスピーカ、ヘッドホン、イヤホン等、或いは、音から電気信号への変換を低歪で効率良く行えるマイクロホン、音波センサ等の電気音響変換器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の電気音響変換器は、以下の構成を有している。
請求項1に記載の電気音響変換器は、全体が円盤状又はリング状に形成された磁石板と、前記磁石板に対して平行配置され導電体を渦巻状に巻き回して形成された平面コイルを備えた円盤状又はリング状の音響振動板と、を有する電気音響変換器であって、前記磁石板の各部分領域の磁化方向において、前記音響振動板の振動面と平行な成分が前記音響振動板の中心に向かう半径方向となるように磁化された基本領域磁石に加え、前記基本領域磁石の中心側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の前方方向となるように磁化された中心領域磁石、又は前記基本領域磁石の外周側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の後方方向となるように磁化された外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)基本領域磁石の中心側に中心領域磁石、外周側に外周領域磁石を組み合わせた磁石板により、各部分領域における磁化の方向を調整して音響振動板の導電体に対する有効作用磁束の寄与分が大きくなるように設定できる。各部分領域をこのような効果的な磁化角度に設定した磁石板(以下「3方向磁化の磁石板」という)により、音響振動板の振動面に沿った半径方向の磁束を有効に発生させることができ、高い有効作用磁束密度を有する領域を広くまとまった範囲で確保できる。半径方向磁化の磁石板に比べると有効作用磁束密度が高くなり、不足していたスピーカの能率を実用的なレベルにでき、また、大きくなり過ぎていた低域用スピーカのQ(共振の鋭さ)の値を低くして実用的なものとすることが可能になった。
(2)3方向磁化の磁石板は半径方向磁化の磁石板に比べ、有効作用磁束密度が高い領域において内周側領域と外周側領域が減少して狭くなるが、有効作用磁束密度が全体的に高くなる。即ち、減少した内周側領域と外周側領域の有効作用磁束相当分だけ全体の有効作用磁束密度を高めることができるため、有効作用磁束を有用な領域に分布させることができる。このように、3方向磁化の磁石板は音響振動板で使用しない外周側領域と内周側領域の有効作用磁束を音響振動板で使用する有用な領域に分布させて有効作用磁束密度を高めることができるが、使用する領域をさらに狭めることにより有効作用磁束密度を集中的に高めることもできる。
(3)基本領域磁石とその中心側に中心領域磁石を組み合わせた磁石板や、基本領域磁石とその外周側に外周領域磁石を組み合わせた磁石板により、各部分領域における磁化の方向を調整して音響振動板の導電体に対する有効作用磁束の寄与分が大きくなるように設定できる。各部分領域をこのような効果的な磁化角度とした両磁石板(以下「2方向磁化の磁石板」という)により、音響振動板の振動面に沿った半径方向の磁束を有効に発生させることができ、高い有効作用磁束密度を有する領域を広くまとまった範囲で確保できる。
2方向磁化の磁石板は、3方向磁化の磁石板に比べ有効作用磁束密度の高い領域に対して磁石の領域を狭くできる。従って、音響振動板の裏側から発生する音を電気音響変換器後方へ放出する際に磁石による障害が少なくなり、音響振動板の振動に対する影響を少なくして音響特性の悪化を防ぐことができる。
(4)基本領域磁石とその中心側に中心領域磁石を組み合わせた2方向磁化の磁石板では、各部分領域を効果的な磁化角度としたものは、半径方向磁化の磁石板に比べ、有効作用磁束密度が高い領域において内周側領域が減少して狭くなるが、有効作用磁束密度が全体的に高くなる。即ち、減少した内周側領域の有効作用磁束相当分だけ全体の有効作用磁束密度を高めることができる。
3方向磁化の磁石板に比べると、有効作用磁束密度は全体的に低くはなるが外周領域磁石を採用しないため有効作用磁束密度の高い領域が外周側に広くなり、低音域用スピーカのように音響振動板の径を大きく設計する場合には最適な構造となる。
(5)基本領域磁石とその外周側に外周領域磁石を組み合わせた2方向磁化の磁石板では、各部分領域を効果的な磁化角度としたものは、半径方向磁化の磁石板に比べ、有効作用磁束密度が高い領域において外周側領域が減少して狭くなるが、有効作用磁束密度が全体的に高くなる。即ち、減少した外周側領域の有効作用磁束相当分だけ全体の有効作用磁束密度を高めることができる。
指向特性は振動板の外径を小さくする程、また、振動板が本発明のようにリング状の場合は、内径を小さくする程、良好になる。このように基本領域磁石とその外周側に外周領域磁石を組み合わせた磁石板は、外径と内径を小さくした音響振動板の領域に高い有効作用磁束密度の分布を形成させることができるため、指向特性や能率の良好な中音域用スピーカ、高音域用スピーカを製作できる。
(6)中心領域磁石を有する磁石板を用いた本発明の電気音響変換器において、さらにその中心部にも外周領域磁石を有する本発明の電気音響変換器を同軸に配置する場合は、前記中心領域磁石を中心部の電気音響変換器における外周領域磁石として兼用することができる。また、この場合、音響振動板の内周側において高い有効作用磁束密度を必要としない領域が広くなるため、前記中心領域磁石により内周側領域の有効作用磁束を使用する領域に分布させて有効作用磁束密度を高めることができる。このように、同軸型スピーカとする場合は、中心領域磁石の特徴を最大限に利用できる。
ここで、3方向磁化の磁石板は基本領域磁石の中心側に中心領域磁石、外周側に外周領域磁石を設置したものである。また、2方向磁化の磁石板は基本領域磁石の中心側に中心領域磁石のみを設置したもの、又は、基本領域磁石の外周側に外周領域磁石のみを設置したものである。
これらの各部分領域において音響振動板の導電体に対する有効作用磁束の寄与分が大きくなるような効果的な磁化角度とは、基本領域磁石の磁化方向によって2つの場合に分けられる。基本領域磁石の磁化方向は音響振動板の振動面と平行な成分を音響振動板の半径方向となるように磁化するが、中心側に向かう半径方向とする場合と、外周側に向かう半径方向とする場合がある。
基本領域磁石の前記磁化方向成分を前記中心側に向かう半径方向とする場合、中心領域磁石の磁化方向は音響振動板の中心軸と平行な成分が音響振動板の前方方向(以後、「中心軸前方向」という)となり、外周領域磁石の磁化方向は音響振動板の中心軸と平行な成分が音響振動板の後方方向(以後、「中心軸後方向」という)となる。また、基本領域磁石の前記磁化方向成分を前記外周側に向かう半径方向とする場合、中心領域磁石の磁化方向は音響振動板の中心軸と平行な成分が中心軸後方向となり、外周領域磁石の磁化方向は音響振動板の中心軸と平行な成分が中心軸前方向となる。
尚、3種類の部分領域において音響振動板の導電体に対する有効作用磁束の寄与分を最も大きくする磁化角度については、音響振動板と磁石板との間隔、音響振動板の導電体部の領域、磁石板の各部分領域が占める割合によって変化する。従って各部分領域の磁化角度は、これらの条件を基に全体の有効作用磁束密度の分布状態や磁束の利用効率を把握して適宜、決定する。
また、基本領域磁石の磁化角度については、音響振動板の中心に向かう半径方向を0度とし音響振動板の前方方向を正の方向とした場合、−30度以上70度以下の範囲とすることが好ましい。
基本領域磁石が形成する音響振動板の導電体に対する有効作用磁束の分布については、音響振動板と基本領域磁石との間隔、音響振動板の導電体部の領域、基本領域磁石の位置と大きさによって変化する。基本領域磁石は音響振動板の導電体部後方となる広い領域に設置することが多いが、このような領域とした場合の有効作用磁束密度の分布について述べる。
基本領域磁石の磁化角度を10度前後としたときは、有効作用磁束密度の高い領域が音響振動板の内周側と外周側のほぼ中間部に位置する。磁化角度が小さくなるにつれ有効作用磁束密度の高い領域が音響振動板の内周側に移動して行くが、−30度よりも小さくなると、有効作用磁束密度が全体的に低下して行き、磁束の利用効率も大きく低下する傾向が見られる。また、基本領域磁石の磁化角度が10度よりも大きくなるにつれ有効作用磁束密度の高い領域が音響振動板の外周側に移動して行くが、70度よりも大きくなると、有効作用磁束密度が全体的に低下して行き、磁束の利用効率も低下する傾向が見られる。
音響振動板の導電体における有効作用磁束をその導電体の領域で積算した値を従来の磁化角度が90度の場合(例えば、特許文献2)と比べると、2方向磁化の磁石板において各部分領域の磁化角度を最適化した場合では2.5倍にまで達するようになり、基本領域磁石の磁化角度を70度とした場合でも1.7倍程度となる。このように、基本領域磁石の磁化角度を、最適化することにより磁束の利用効率を飛躍的に高めることができる。
また、音響振動板の各位置における有効作用磁束密度の分布についても、従来の磁化角度が90度で一定の場合と比べ、磁化角度を変化させることにより分布状態を調整できるため、均一化が容易になり振動板の全面で均一な駆動力を得ることができる。
磁石板は音響振動板の後方に1枚配置する場合と、音響振動板の前後両側に対向して2枚を配置する場合がある。音響振動板の前後両側に2枚の磁石板を配置する構造は、効率良く有効作用磁束密度を高めることができるため磁石の使用量を少なくできる。さらに、音響振動板の前後方向の振動に対する有効作用磁束密度の差が少なくなるため、その差が原因となって生じる歪が減少するという特徴も持つ。従って、音響振動板の前方に磁石板を配置しても音響特性への影響を無視できる場合は、2枚を配置する構造を採用した方が良い。
また、磁石板を音響振動板の後方に1枚配置する場合でも中心領域磁石と外周領域磁石の何れか一方または両方を音響振動板の前方に設置することにより、音響振動板の前方の磁石板による音響特性への影響を少なくして有効作用磁束密度を高めることができる。
音響振動板の前方にも磁石を配置する場合、部分領域の磁化方向は一般的には音響振動板の振動面に対してそれぞれが対向するように配置するが、磁束の利用効率や音響振動板近傍における磁束分布の均一性を改善するために対称としない場合もある。
中心領域磁石は磁石板の中心部であり領域が小さいためリング状または円柱状の1枚の磁石で構成することが多いが、磁化方向を着磁が難しい方向とする場合や中心領域磁石に間隙を設けて音通過孔とする場合等では、複数の小磁石を組み合わせて用いる。基本領域磁石は磁化方向の半径方向成分が多いため1枚の磁石で構成すると着磁が難しい。また、基本領域磁石に設けた間隙を音通過孔として利用することが多いため、基本領域磁石は複数の小磁石を互いに離して構成する場合が多い。外周領域磁石は径の小さな音響振動板を採用する場合は1枚のリング状の磁石で構成することが多いが、径の大きな音響振動板を採用する場合には領域がかなり大きくなるため、小磁石に分割したものを組み合わせて構成することが好ましい。
このような磁石板の素材にはネオジムあるいはSm−Co系等の希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石などの永久磁石を適用することができる。
音響振動板は、アルミニウム、銅、銀、金等からなる絶縁された導電体を渦巻状に巻き回して導電体間をシリコーン樹脂やエポキシ、シアノアクリレート系等の合成樹脂系接着剤等で接着した平面コイルが用いられ、平面コイルの複数枚を貼り合わせて強度を増した複層平面コイルも用いられる。
また、非磁性体であるポリイミド、ポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂やセラミック、合成繊維、木質繊維あるいはこれらの複合材等からなる薄肉基板材の面に、アルミニウム、銅、銀、金等の導電体を蒸着手段やエッチング手段等でスパイラル状のパターンとして回路を形成したもの等が使用できる。
スピーカでは再生する帯域が高音域側になる程、指向特性の悪化を防ぐために振動板の直径を小さくしてゆく必要がある。また、マイクロホン等では直径の小さな振動板を用いる。振動板の面積を小さくすると能率や感度が低下するため有効作用磁束密度を高める必要があるが、3方向磁化の磁石板はこのような小さな直径の振動板に対しても有効作用磁束を集中させ、有効作用磁束密度を高めることにより効果的に能率や感度を向上させることができる。
3方向磁化の磁石板や中心領域磁石を有する2方向磁化の磁石板では、中心領域磁石により基本領域磁石の中心側に対して音響振動板と反対(後方)側に向かう磁力が働く。また、3方向磁化の磁石板や外周領域磁石を有する2方向磁化の磁石板では、外周領域磁石により基本領域磁石の外周側に対して音響振動板と反対(後方)側に向かう磁力が働く。
このことにより、3方向磁化の磁石板ではネオジム磁石のような強力な磁石を用いた場合、基本領域磁石は電気音響変換器の後方に設けたフレームで受け止めるだけで固定できる。従って、ネオジム磁石のような強力な磁力が働く磁石を採用しても、電気音響変換器の後方に設けたフレームに中心領域磁石と外周領域磁石をフレーム等で挟むことによって固定し、中心領域磁石と外周領域磁石の間に基本領域磁石をセットするだけで磁石板を構成することができる。
また、同様に2方向磁化の磁石板でも、中心領域磁石を有する場合は基本領域磁石の中心側を、外周領域磁石を有する場合は基本領域磁石の外周側を、電気音響変換器の後方に設けたフレームで受け止めるだけで固定することができる。
中心領域磁石や外周領域磁石を採用することにより半径方向磁化の磁石板よりも有効作用磁束密度を飛躍的に高めることができるが、このように製作では半径方向磁化の磁石板の容易さをそのまま継承することができる。従って、最適磁化角度の磁石板に近い有効作用磁束密度を維持しながら、高性能な磁石を使用する場合でも最適磁化角度の磁石板のような製作上の問題がなく、スピーカ、ヘッドホン、マイクロホン等の磁石板の製作がきわめて容易になる。
請求項2に記載の電気音響変換器は、全体が円盤状又はリング状に形成された磁石板と、前記磁石板に対して平行配置され導電体を渦巻状に巻き回して形成された平面コイルを備えた円盤状又はリング状の音響振動板と、を有する電気音響変換器であって、前記磁石板の各部分領域の磁化方向において、前記音響振動板の振動面と平行な成分が前記音響振動板の外周に向かう半径方向となるように磁化された基本領域磁石に加え、前記基本領域磁石の中心側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の後方方向となるように磁化された中心領域磁石、又は前記基本領域磁石の外周側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の前方方向となるように磁化された外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1と同様の作用を有する。
ここで、請求項2の電気音響変換器は、請求項1の電気音響変換器において、3方向磁化の磁石板や2方向磁化の磁石板の各部分領域における磁化方向が180度反転しているだけであり、その他については、請求項1で説明した通りであるので、説明を省略する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気音響変換器であって、前記磁石板において前記音響振動板が設置されている側と反対となる側に前記中心領域磁石又は前記外周領域磁石の少なくともいずれか一方を固定するフレームを有し、前記中心領域磁石又は前記外周領域磁石が前記基本領域磁石を前記フレーム側に押し付ける磁力により、前記基本領域磁石が前記フレームに固定されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)3方向磁化の磁石板や2方向磁化の磁石板では中心領域磁石により基本領域磁石の中心側に対して電気音響変換器後方のフレームに押し付ける磁力が働く。また、外周領域磁石により基本領域磁石の外周側に対して電気音響変換器後方のフレームに押し付ける磁力が働く。磁石として高性能なネオジム磁石等を用いるとこれらの磁力は非常に強力になり、基本領域磁石は固定される。
このような磁力を利用することにより基本領域磁石に対してそれぞれを固定するための特別なフレーム等の新たな固定手段が不要となる。これにより、限られた磁石の領域を有効に利用でき、磁束の利用効率を高めることができる。また、磁石の形状を固定手段のための特別な形状とする必要もないため、加工が簡単で製作工程も大幅に単純化することができる。
(2)一般的に音響振動板は磁石板の中心側と外周側でエッジ部を固定することにより取り付けられる。磁石板を組み立てた後で中心領域磁石を固定しているボルトを取り外すと、中心領域磁石は磁石板より前方に飛び出すが、完全に飛び出さずに半分程度で止まる。中心領域磁石が完全には飛び出さないため、そのまま音響振動板をセットして中心領域磁石を取り付けているボルトで共に締めることにより、音響振動板の中心側も同時に取り付けることができる。中心部の限られた空間でこのような手法が取れるため、音響性能や製作工程において非常に有利である。
ここで、フレームとしてはフェライト等磁力の影響が弱い磁石を使用する場合ではアクリル等の樹脂が好適に使用できるが、ネオジム等の磁石ではその大きな磁力のために割れてしまうので、アルミニウムや銅等のような非磁性体の金属が好適に用いられる。また、磁石をフレームに固定する手段として、フレームから磁石が外れる方向に磁力が働いている場合は、接着剤等による固定はかなり難しく、フレームとフレーム、フレームとボルトで挟み込んで固定する手段の方が容易で確実である。
3方向磁化の磁石板を組み立てる場合、まず、電気音響変換器後方のフレームに中心領域磁石と外周領域磁石を固定する。この作業は、中心領域磁石と外周領域磁石が互いに離れているため磁力の影響が弱い状態で容易に行うことができる。次に、基本領域磁石を中心領域磁石と外周領域磁石の間で磁石板の前方となる位置に持ってゆくと、基本領域磁石が磁力により磁石板の後方方向に引っ張られるため、これを電気音響変換器後方のフレームで受け止めることにより所定の位置に固定される。基本領域磁石が複数の小磁石から構成される場合には、その個数だけこの作業を繰り返すことで磁石板が出来上がる。
このように磁石板を製作する各工程は非常に簡単で、注意することといえばネオジム磁石等では基本領域磁石に働く磁力が強力なため、緩やかにセットして割れを防ぐこと程度である。また、設計でも、固定手段のための構造や組み立て途中の磁力の影響を考慮することが全く不要となるため、量産性に優れる。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気音響変換器であって、前記音響振動板を挟んで前記中心領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記中心領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方中心領域磁石、又は前記音響振動板を挟んで前記外周領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記外周領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)音響振動板を挟んで中心領域磁石や外周領域磁石と対向するように面対称な方向に磁化された前方中心領域磁石や前方外周領域磁石を配置することにより、音響振動板上の有効作用磁束密度をさらに高めることができる。しかも、音への影響が少ない音響振動板前方の中心側と外周側となる部分を利用できるため、音響特性を損なうことなく有効作用磁束密度を高めることができ、能率を向上させることが容易にできる。
ここで、音響振動板の前方の前方中心領域磁石や前方外周領域磁石は、その形状を変化させることにより音響特性を改善することができる。例えば、形状を工夫することにより前方中心領域磁石は指向特性を改善できるディフューザーとしても使用でき、また、前方外周領域磁石はホーンとしても使用できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電気音響変換器であって、前記音響振動板を挟んで前記基本領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記基本領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方基本領域磁石を備えている構成を有している。
この構成により、請求項4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)音響振動板の前方側に基本領域磁石と対向するように面対称な方向に磁化された前方基本領域磁石を設置することにより、音響振動板に近い位置で磁石量を増やすことができるため、効率良く有効作用磁束密度を高めることができる。
(2)音響振動板の後方の磁石板の他に、後方の磁石板と面対称な方向に磁化された前方中心領域磁石や前方外周領域磁石に加え前方基本領域磁石を音響振動板の前方に設置することにより、振動する音響振動板の各位置における有効作用磁束密度を音響振動板の設置位置に対して振動方向に対称とすることができる。これにより、音響振動板の振動方向において有効作用磁束密度の高低の差により生じる歪を抑制させることができる。
ここで、前方基本領域磁石は前方中心領域磁石、又は前方外周領域磁石の少なくともいずれか一方を有する前方磁石板として音響振動板の前方に配置することができる。
このとき、音響振動板の後方に配置される磁石板の各部分領域における磁化方向と、音響振動板の前方に配置される前方磁石板の各部分領域における磁化方向は、それぞれ対向している(音響振動板の振動面に対して面対称となっている)。よって、前方磁石板の前方(音響振動板が設置されている側と反対となる側)に前方中心領域磁石又は前方外周領域磁石を固定する前方フレームを配置するだけで、前方中心領域磁石又は前方外周領域磁石が前方基本領域磁石を前方フレーム側に押し付ける磁力により、前方基本領域磁石が前方フレームに固定される。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気音響変換器であって、前記磁石板の前記基本領域磁石、前記外周領域磁石、前記中心領域磁石の少なくともいずれか1つが、外部又は内部で発生する音を通過させる音通過孔を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)磁石板に音を通過させるための音通過孔が多数形成されているので、スピーカやヘッドホン等においては音響振動板の全域で発生した音を互いに干渉させることなく放出し、また、マイクロホン等においては外部より受信する音の干渉を少なくして歪の少ない電気信号を得ることができる。
ここで音通過孔は、磁石板の各部分領域に形成した開口部である。音通過孔を設ける方法としては、磁石に直接開口部を形成する方法や、隣り合う磁石間に設けた間隙を利用する方法等がある。音通過孔は主に孔の中心軸を音響振動板の振動面に対して垂直な方向にして形成させるが、この中心軸を傾斜させたり、孔の内部壁を音の進行方向に対して拡径、又は縮径するような傾斜部を設けたりすることにより、音響特性を改善したり集音性を高めたりすることもできる。
音通過孔は、基本領域磁石,外周領域磁石,中心領域磁石の各部分領域において設けることができるが、有効作用磁束密度の分布状態や磁束の利用効率に影響を及ぼすため、これらの状況を把握しながら位置や磁石に対する割合等を決定する。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気音響変換器を、それぞれサイズを異ならせて同心円状に複数配置した構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)それぞれ振動板のサイズや音響特性の異なる独立した電気音響変換器を同心円状(同軸)に構成して全体を複合型の電気音響変換器とすることができるため、音の放射面積等の適用条件に応じてこれらを一体に適正配置でき、音響特性に優れた電気音響変換器とすることができる。例えば、高音域用、中音域用、低音域用等の再生周波数帯域の異なる電気音響変換器を組み合わせることにより、優れた周波数特性や指向特性を有する複合型の電気音響変換器を容易に構成できる。
(2)互いに音響特性の異なる電気音響変換器を同軸に配置して複合型とすることができるので、位相特性に優れた電気音響変換器を提供できる。
以上のように、本発明の電気音響変換器によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)3方向磁化の磁石板や2方向磁化の磁石板を用いることにより、音響振動板の振動面に沿った半径方向の磁束を有効に発生させることができ、高い有効作用磁束密度を有する領域を広くまとまった範囲で確保できる。これにより、半径方向磁化の磁石板に比べ、有効作用磁束密度が高くなり、不足していたスピーカの能率を向上させることができると共に、大きくなり過ぎていた低域用スピーカのQ(共振の鋭さ)の値を低くすることができ、実用性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(2)3方向磁化の磁石板は、音響振動板で使用しない外周側領域と内周側領域の有効作用磁束を音響振動板で使用する有用な領域に分布させて全体の有効作用磁束密度を高めることができる。また、使用する領域をさらに狭めることにより有効作用磁束密度を集中的に高めることもでき、効果的に能率や感度を高めることができる効率性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(3)2方向磁化の磁石板は、3方向磁化の磁石板に比べ有効作用磁束密度の高い領域に対して磁石の領域を狭くできる。従って、音響振動板の裏側から発生する音を電気音響変換器後方へ放出する際に磁石による障害が少なくなり、音響振動板の振動に対する影響を少なくして音響特性の悪化を防ぐことができる。これにより、信頼性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(4)基本領域磁石と中心領域磁石を組み合わせた2方向磁化の磁石板は、半径方向磁化の磁石板に比べ、内周側領域の有効作用磁束を特定の領域に集中させて全体の有効作用磁束密度を高めることができる。また、3方向磁化の磁石板に比べ、有効作用磁束密度の高い領域を外周側に広げることができ、低音域用スピーカのように音響振動板の径を大きく設計する場合に最適な電気音響変換器を提供することができる。
(5)基本領域磁石と外周領域磁石を組み合わせた2方向磁化の磁石板は、半径方向磁化の磁石板に比べ、外周側領域の有効作用磁束を特定の領域に集中させて全体の有効作用磁束密度を高めることができる。また、リング状である音響振動板の外径と内径を小さくすることができ、指向特性や能率の良好な中音域用スピーカ、高音域用スピーカとして好適な電気音響変換器を提供することができる。
(6)中心領域磁石を有する磁石板を用いた本発明の電気音響変換器において、さらにその中心部にも外周領域磁石を有する本発明の電気音響変換器を同軸に配置する場合は、前記中心領域磁石を中心部の電気音響変換器における外周領域磁石として兼用することができる。従って、磁石の使用量を少なくでき、限られた磁石の領域を有効に利用することができる。また、前記中心領域磁石により音響振動板で使用しない内周側領域の有効作用磁束を使用する領域に分布させて有効作用磁束密度を高めることができるため、中心領域磁石の特徴を最大限に利用できる効率性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を有する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)3方向磁化の磁石板や2方向磁化の磁石板では、中心領域磁石及び外周領域磁石の各々により、基本領域磁石の中心側及び外周側に対して電気音響変換器後方のフレームに押し付ける磁力が働く。従って、特に、磁石として高性能なネオジム磁石等を用いることによって、非常に強力な磁力を利用して基本領域磁石を固定することができる。これにより、新たな固定手段が不要となるため作業性、量産性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(2)磁石のそれぞれを固定するための特別なフレーム等が不要であるため、限られた磁石の領域を有効に利用でき磁束の利用効率を高めることができる。また、磁石の形状を固定手段のための特別な形状に加工する必要もないため、製作工程が単純で量産性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(3)中心領域磁石を取り付けているボルトを使用して音響振動板の中心側も同時に取り付けることができるので、中心部の限られた空間を有効に利用できる。さらに、製作工程が簡便であるため量産性に優れると共に単純化した構造により高品質な電気音響変換器を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)音響振動板を挟んで中心領域磁石や外周領域磁石と対向するように前方中心領域磁石や前方外周領域磁石を配置することにより、音への影響が少ない音響振動板前方の中心側と外周側となる部分を利用して、音響特性を損なうことなく音響振動板上の有効作用磁束密度を高めることができる。これにより、容易に能率を高めることができる電気音響変換器を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)音響振動板を挟んで基本領域磁石と対向するように前方基本領域磁石を配置することにより、音響振動板に近い位置で磁石量を増やして有効作用磁束密度を効率良く高めることができる。これにより、少ない磁石量でも効果的に能率を高めることができる効率性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(2)振動する音響振動板の各位置における有効作用磁束密度を音響振動板の設置位置に対して振動方向に対称とすることができる。これにより、音響振動板の振動方向において有効作用磁束密度の高低の差により生じる歪を抑制させることができ、音響振動板の振幅が大きくなる低音域用のスピーカとして好適な電気音響変換器を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)磁石板に音を通過させるための音通過孔が多数形成されているので、スピーカやヘッドホン等においては音響振動板の全域で発生した音を互いに干渉させることなく放出し、また、マイクロホン等においては外部より受信する音の干渉を少なくして歪の少ない電気信号を得ることができる。これにより、音響特性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)それぞれ振動板のサイズや音響特性の異なる独立した電気音響変換器を同心円状(同軸)に構成して全体を複合型の電気音響変換器とすることができるため、音の放射面積等の適用条件に応じてこれらを一体に適正配置でき、音響特性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
(2)高音域用、中音域用、低音域用等の再生周波数帯域の異なる電気音響変換器を容易に同軸に組み合わせることができるため、優れた周波数特性や指向特性を有する複合型の電気音響変換器を提供することができる。
(3)互いに音響特性の異なる電気音響変換器を同軸に配置して複合型とすることができ、位相特性に優れた電気音響変換器を提供することができる。
実施の形態1の電気音響変換器の分解斜視図 実施の形態1の電気音響変換器の要部模式断面端面図 実施の形態2の電気音響変換器の要部模式断面端面図 実施の形態3の電気音響変換器の要部模式断面端面図 実施の形態4の電気音響変換器の要部模式断面端面図 実施の形態1の電気音響変換器の音響振動板の半径方向に対する有効作用磁束密度を示した図
符号の説明
10,20,30,40,50,60 電気音響変換器
11,21,41,51,61 磁石板
11a,21a,41a,51a,61a 中心領域磁石
11b,21b,41b,51b,61b 基本領域磁石
11b’,21b’,41b’,51b’,51c’,61b’,61c’,67b’,67c’ 小磁石
11c,51c,61c 外周領域磁石
11d,13h,14a,14c,14d,15a,16b,66b 挿入孔
12b,14b,22b,24b,42b,52b,52c,54b,54d,62b,62c,64b,68b,68c,69b 音通過孔
13a,23a,43a,53a,63a 音響振動板
13b,23b,43b,53b,63b 内周側支持部
13c,23c,43c,53c,63c 外周側支持部
13d,13e,23d,23e 引出線
13f,13g,23f,23g 端子部
14,24,54,64 後方フレーム
15,25a,55a 中央フレーム
15b,25b,55d,65c 外周フレーム
15c,16a 雌ねじ部
16,26,56,66 メインフレーム
17a,17b,17c,27a,27b,27c,57a,57b,57c,57d,70a,70b ボルト
18,28,58a,58b,71a,71b ナット
21d 前方中心領域磁石
21e 前方外周領域磁石
22c,54e,54f 吸音材
25c 中央支持フレーム
25d 外周支持フレーム
51d 溝部
54a 遮音板
55b 中間支持フレーム
55c 中間固定フレーム
55e スペーサー
65a 後方中央フレーム
65b 前方中央フレーム
67 前方磁石板
67a 前方中心領域磁石
67b 前方基本領域磁石
67c 前方外周領域磁石
69 前方フレーム
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の電気音響変換器の分解斜視図であり、図2は実施の形態1の電気音響変換器の要部模式断面端面図である。
図1及び2において、10は実施の形態1の電気音響変換器、11は全体が略円盤状に構成された電気音響変換器10の磁石板、11aは磁石板11の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた中心領域磁石、11bは磁石板11の部分領域においてネオジム磁石を用いた台形状の12個の小磁石11b’から構成される基本領域磁石、11cは磁石板11の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた外周領域磁石、11dは中心領域磁石11aの中央に設けられたボルト17aの挿入孔、12bは基本領域磁石11bにおいて隣り合う台形状の小磁石11b’間に形成された12個の音通過孔、13aは導電体を渦巻状に巻き回して形成された平面コイルを有し磁石板11の前方に設置された音響振動板、13bは音響振動板13aの内周側に連結され振動する音響振動板13aを弾性的に支える内周側支持部、13cは音響振動板13aの外周側に連結され振動する音響振動板13aを弾性的に支える外周側支持部、13dは音響振動板13aにおいて渦巻状に巻かれた導電体の内周側の引出線、13eは音響振動板13aにおいて渦巻状に巻かれた導電体の外周側の引出線、13fは後述する後方フレーム14の中心側に取り付けられ引出線13dが接続された端子部(図2参照)、13gは後方フレーム14の外周側に取り付けられ引出線13eが接続された端子部(図2参照)、13hは内周側支持部13bの中央に設けられたボルト17aの挿入孔、14は磁石板11を後方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器10の後方フレーム、14aは後方フレーム14の中央に設けられたボルト17aの挿入孔、14bは後方フレーム14に複数の開口部を形成して設けた音通過孔、14cは後方フレーム14の外周部内側に4箇所設けられたボルト17bの挿入孔、14dは後方フレーム14の外周側に4箇所設けられたボルト17cの挿入孔、15は非磁性体でリング状に形成され中心領域磁石11aの前方に設置された中央フレーム、15aは中央フレーム15の中央に設けられたボルト17aの挿入孔、15bは非磁性体で断面略L字型に形成され外周領域磁石11cの外周側前方に設置された外周フレーム、15cはボルト17bを取り付けるために外周フレーム15bに4箇所設けられた雌ねじ部、16は電気音響変換器10全体を前方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器10のメインフレーム、16aはボルト17cを取り付けるためにメインフレーム16に4箇所設けられた雌ねじ部、16bは電気音響変換器10全体をエンクロージャーに取り付けるためにメインフレーム16の外周部に4箇所設けられたボルト(図示せず)の挿入孔、18は非磁性体製のナット(図2参照)、17aはナット18に螺合されて音響振動板13aの中心部で後方フレーム14,中心領域磁石11a,中央フレーム15,音響振動板13aの内周側支持部13bを固定する非磁性体製のボルト、17bは後方フレーム14と外周フレーム15bを連結する非磁性体製のボルト、17cは外周部で後方フレーム14とメインフレーム16を連結する非磁性体製のボルトである。
尚、図2においては、説明の都合上、中心線の右側にはメインフレーム16の雌ねじ部16aを通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側にはメインフレーム16の挿入孔16bを通る位置で切断した断面を示している。
中心領域磁石11aは、ボルト17aを内周側支持部13bの挿入孔13h,中央フレーム15の挿入孔15a,中心領域磁石11aの挿入孔11d,後方フレーム14の挿入孔14aに挿入し、ナット18と螺合することにより固定されている。
外周領域磁石11cは、後方フレーム14と外周フレーム15bの間に挟まれ、ボルト17bを後方フレーム14の挿入孔14cに挿入し、外周フレーム15bの雌ねじ部15cに螺合することにより固定されている。
本実施の形態では、外周領域磁石11cは1個のリング状永久磁石で構成されているが、径が大きくなって取り扱いが難しくなる場合等は複数の小磁石を組み合わせてリング状の外周領域磁石11cとなるようにしても良い。
基本領域磁石11bを構成している複数の小磁石11b’には中心領域磁石11aとの間、及び外周領域磁石11cとの間に後方フレーム14に強力に押し付ける磁力が働いて固定されるため、その他の特別な固定手段は用いていない。尚、位置ずれを防止するために補助的に接着剤を塗布してもよい。後方フレーム14には基本領域磁石11bが押し付けられるため、後方フレーム14に設けた複数の開口部である音通過孔14bは、基本領域磁石11bを構成している小磁石11b’が後方に抜け落ちないような形状としている。
尚、基本領域磁石11bを構成している複数の小磁石11b’の形状を内周側が細く外周側が太い台形状としているが、その上底と下底の比率は適宜、選択することができる。また、台形状以外に六角形状等に形成することもできる。このような方法は、磁石板11における磁石部の分布状態を変化させて、音響振動板13aの有効作用磁束密度を半径方向に対して均一化させるための手段として用いられる。
音響振動板13aの内周側は、連結された内周側支持部13bがボルト17aと中央フレーム15との間に挟まれて固定されている。また、音響振動板13aの外周側は、連結された外周側支持部13cが外周フレーム15bとメインフレーム16との間に挟まれて固定されている。尚、外周側支持部13cは、ボルト17cによってメインフレーム16と後方フレーム14との間を固定する際に挟むようになっている。
中心領域磁石11aは、ボルト17aを取り外すと磁石板11より前方に飛び出すが、完全に飛び出さずに半分程で止まるため、基本領域磁石11bを構成している複数の小磁石11b’がばらばらになることにはならない。音響振動板13aの取り外しでは、メインフレーム16を取り外した状態でボルト17aを取り外せば、容易に分解作業を行うことができる。また、音響振動板13aの取り付けは、取り外しと逆の手順で容易に行うことができ組み立て作業性に優れる。
尚、中央フレーム15と外周フレーム15bは前後方向に振動する音響振動板13aが磁石板11に衝突しないように互いの間隔を保つスペーサーの役割も果たしている。
薄肉リング状の音響振動板13aは、絶縁された銅クラッド・アルミニウム線からなる導電体を渦巻状に一方向に巻き、線間をシリコーン樹脂で接合した1枚の平面コイルを用いている。複数枚を貼り合わせた複層平面コイルも用いることもできるが、その場合は平面コイルに流れる電流が全て同一方向となるようにする。平面コイルの材質としては絶縁されたアルミニウムや銅等を用いても良く、コイル間をエポキシ、シアノアクリレート系等の合成樹脂系接着剤等で接着しても良い。
駆動電流が外部から供給される端子部13f、端子部13gは、それぞれ平面コイルの内周側の引出線13dと外周側の引出線13eが接続されている。尚、マイクロホン等においては音により音響振動板13aを振動させ、導電体に発生する起電力を端子部13f、13gより電気信号として取り出す。
音通過孔12bは基本領域磁石11bを構成する台形状の小磁石11b’間に設けられた間隙を利用しており、音通過孔14bと共に音響振動板13aの裏側から発生する音を電気音響変換器10の後方に放出している。
内周側支持部13b及び外周側支持部13cは、それぞれシート状に形成され中央フレーム15及び外周フレーム15bと音響振動板13aとの間を弾性的に連結するサスペンション機能を有するものが用いられる。低音域を再生する場合は音響振動板13aの前後方向への振幅が大きくなるため、弾性変形を大きく行わせる襞部を形成したものが用いられるが、その場合は、中央フレーム15、外周フレーム15bにおいて音響振動板13aと磁石板11の間隔が広くなるように設計する。
内周側支持部13b,外周側支持部13cとしては、シリコーン樹脂やウレタンフォーム等のウレタン樹脂等で形成された合成樹脂製のものの他、ゴム製のもの等も用いられる。また、ポリエステル繊維等の合成樹脂製の繊維等で形成された織布,不織布等にシリコーン樹脂,ウレタン樹脂等の合成樹脂を含浸させた複合シート等で形成されたものも用いられる。その他、襞部の形状を良好に維持させるために前記複合シートを重ねて貼り合せた複層複合シート等で形成されたものも用いられる。
音響振動板13aのその他の製造方法は、従来と同様(例えば、特許第3612319号または、特願2005−159862参照)であるので、詳細な説明は省略する。
図2には磁石板11において各部分領域の種類別にNS極の方向が記述されている。磁石板11の部分領域において基本領域磁石11bの磁化方向は、音響振動板13aの振動面に対する磁化角度θを0度(音響振動板13aの振動面と平行)とし、音響振動板13aの外周側から中心に向かう半径方向となるようにしている。中心領域磁石11aの磁化角度θは+90度、即ち音響振動板13aの中心軸前方向としている。また、外周領域磁石11cの磁化角度θは−90度、即ち音響振動板13aの中心軸後方向としている。
ここでは、磁石板11の材質としてネオジム磁石を用いている。中心領域磁石11aとして外径20mm、内径6mm、厚さ10mmのリング状磁石1個を使用し、外周領域磁石11cとして外径80mm、内径60mm、厚さ10mmのリング状磁石1個を使用している。また、基本領域磁石11bを構成する小磁石11b’として上底4mm、下底11mm、高さ19mmの台形状で厚さ10mmのもの12個を使用している。基本領域磁石11bを構成する台形状の小磁石11b’間の間隙は音通過孔12bとしているが、これにより基本領域磁石11b部では磁石部の占める割合が68%となっている。従って、音通過孔12bとしての空間が占める割合が32%となる。
尚、音響振動板13aと磁石板11の間隔は3mmとしている。
次に、基本領域磁石11bに対して働く音響振動板13aの中心軸後方向の磁力、即ち、基本領域磁石11bを電気音響変換器10の後方フレーム14に押し付ける磁力について述べる。
一般的に基本領域磁石11bの磁化方向において、磁化角度θを0度とし音響振動板13aの中心に向かう半径方向となるようにした場合、中心領域磁石11aについては磁化角度θを90度とした時に後方フレーム14に押し付ける磁力が最も大きくなることが種々の検討・実験により分かった。また、外周領域磁石11cについては磁化角度θを−90度とした場合に後方フレーム14に押し付ける磁力が最も大きくなることが分かった。
従って、実施の形態1の中心領域磁石11aと外周領域磁石11cで採用している磁化角度は、基本領域磁石11bに対する後方フレーム14に押し付ける磁力が最も大きくなる磁化角度となる。実施の形態1では磁石の材質としてネオジムを採用し、このような電気音響変換器10の後方フレーム14に押し付ける大きな磁力を利用することにより基本領域磁石11bを固定している。
基本領域磁石11bを構成する台形状の小磁石11b’を固定するその他の方法として、後方フレーム14を利用せずに中心領域磁石11aや外周領域磁石11cに接着剤等で貼り付ける方法も考えられる。だが、この方法は磁石の材質としてネオジム磁石を採用する場合は磁力が強力で外れる可能性があり、また、安定性にも問題があるため注意を要する。その他、磁石板11と音響振動板13aの間に基本領域磁石11bを固定するためのフレーム等を設ける方法も考えられるが、磁石板11と音響振動板13aの間隔が広くなって有効作用磁束密度が多少低下する傾向がある。
実施の形態1では以上のように、音響振動板13aにおける有効作用磁束密度の高さと均一性、高い有効作用磁束密度を有する領域の広さ、磁石製作時の着磁の容易性、基本領域磁石11bに働く磁力の方向と強さ等を考慮することにより基本領域磁石11b、中心領域磁石11a、外周領域磁石11cにおける磁化角度やサイズを決定している。
以上のような本発明の実施の形態1における電気音響変換器10によれば、以下のような作用が得られる。
(1)磁石板11において中心側となる中心領域磁石11aの磁化角度θを+90度、外周側となる外周領域磁石11cの磁化角度θを−90度としているので、半径方向磁化の磁石板を用いる場合に比べ、一般的なサイズの音響振動板13aを用いる際に、導電体における有効作用磁束密度を飛躍的に高めることができる。これにより、非常に高音質という特徴を持つ音響振動板13aを使用した電気音響変換器10において、能率や感度についても優れたスピーカ、ヘッドホン、マイクロホン等を容易に作製することができる。
(2)磁石板11において中心側となる中心領域磁石11aの磁化角度θを+90度、外周側となる外周領域磁石11cの磁化角度θを−90度としているので、基本領域磁石11bに後方フレーム14に押し付ける大きな磁力が働く。従って、後方フレーム14によって受け止めるだけで特別な手段を用いることなく基本領域磁石11bを固定でき、磁石板11と音響振動板13aの間に基本領域磁石11bを固定するためのフレーム等を設ける必要がないため有効作用磁束密度が低下しない。
(3)磁石板11を構成する中心領域磁石11a、基本領域磁石11b、外周領域磁石11cに対して磁石を固定するための特別な形状を必要としない。
(4)リング状に形成された中心領域磁石11aと外周領域磁石11cの磁化の方向は軸方向であり、基本領域磁石11bを構成する台形状の小磁石11b’の磁化の方向は下底から上底に向かう方向である。このように、磁化の方向が全て単純であるため着磁が非常に簡単である。
尚、実施の形態1で記述している部分領域の磁化の方向については磁極が全く反転した状態、即ち、全ての部分領域の磁化方向を180度回転させた状態で磁石板を構成しても、端子部13f、13gに供給する駆動電流の極を逆にすれば共通の性能が得られる。
また、磁石の材質としてネオジム磁石を用いたが、その他の磁石を用いることもでき、Sm−Co等のように高い保磁力を有するものは特に適している。有効作用磁束密度や磁力は低下するがフェライト等も用いることができる。
(実施の形態2)
図3は実施の形態2の電気音響変換器の要部模式断面端面図である。
図3において、20は実施の形態2の電気音響変換器、21は全体が円盤状に構成された電気音響変換器20の磁石板、21aは磁石板21の部分領域におけるリング状のネオジム磁石を用いた中心領域磁石、21bは磁石板21の部分領域においてネオジム磁石を用いた複数の台形状の小磁石21b’から構成される基本領域磁石、21dは音響振動板23aの前方中心部に設置したリング状で前方部を半球状に丸く形成したネオジム磁石を用いた前方中心領域磁石、21eは音響振動板23aの前方外周部に設置したリング状のネオジム磁石を用いた前方外周領域磁石、22bは基本領域磁石21bにおいて隣り合う台形状の小磁石21b’間に形成された音通過孔、22cは音通過孔22bの後部に設置したグラスウールから成る吸音材、23aは導電体を渦巻状に巻き回した平面コイルを有し磁石板21の前方に設置された音響振動板、23bは音響振動板23aの内周側に連結され振動する音響振動板23aを弾性的に支える内周側支持部、23cは音響振動板23aの外周側に連結され振動する音響振動板23aを弾性的に支える外周側支持部、23dは音響振動板23aにおける渦巻状に巻かれた導電体の内周側の引出線、23eは音響振動板23aにおける渦巻状に巻かれた導電体の外周側の引出線、23fは後述する後方フレーム24の中心側に取り付けられ引出線23dが接続された端子部、23gは後方フレーム24の外周側に取り付けられ引出線23eが接続された端子部、24は磁石板21を後方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器20の後方フレーム、24bは後方フレーム24に複数の開口部を形成して設けた音通過孔、25aは非磁性体でリング状に形成され中心領域磁石21aの前方に設置された中央フレーム、25bは非磁性体で形成され基本領域磁石21bの外周側前方に設置された外周フレーム、25cは非磁性体でリング状に形成され前方中心領域磁石21dの後方に設置された中央支持フレーム、25dは非磁性体でリング状に形成され前方外周領域磁石21eの後方に設置された外周支持フレーム、26は電気音響変換器20全体を前方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器20のメインフレーム、27aは中央フレーム25aの雌ねじ部に螺合されて音響振動板23aの中心部で後方フレーム24に中心領域磁石21aを固定する非磁性体製のボルト、27bは後方フレーム24と外周フレーム25bを連結する非磁性体製のボルト、27cはメインフレーム26と後方フレーム24を連結する非磁性体製のボルト、28はボルト27aに螺合され音響振動板23aの内周側支持部23b,中央支持フレーム25c,前方中心領域磁石21dを中央フレーム25aに固定する非磁性体製のナットである。
尚、図3においては、説明の都合上、図2と同様に中心線の右側には基本領域磁石21bの小磁石21b’を通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側には音通過孔22bを通る位置で切断した断面を示している。
基本領域磁石21bを構成する複数の台形状の小磁石21b’の外周側は、後方フレーム24と外周フレーム25bの間に挟まれ、ボルト27bを外周フレーム25bの雌ねじ部に螺合することにより固定されている。基本領域磁石21bの中心側については、中心領域磁石21aとの間に働く磁力により、後方フレーム24に強力に押し付けられて固定されるため、その他の固定手段は用いていない。
ボルト27cはメインフレーム26に形成された雌ねじ部に螺合されることにより後方フレーム24とメインフレーム26とを連結するが、さらに後方フレーム24とメインフレーム26との間で磁石板21,外周フレーム25b,音響振動板23aの外周側支持部23c,外周支持フレーム25d,前方外周領域磁石21eを挟むことによりそれらを固定している。
尚、中央フレーム25a,外周フレーム25b,中央支持フレーム25c,外周支持フレーム25dについては、前後方向に振動する音響振動板23aや内周側支持部23b,外周側支持部23cが、後方の磁石板21,前方中心領域磁石21d,前方外周領域磁石21eに衝突しないように間隔を保つスペーサーの役割も果たしている。
音響振動板23a、引出線23d,23e、端子部23f,23gについては、それぞれ実施の形態1における音響振動板13a、引出線13d,13e、端子部13f,13gと同様なので説明を省略する。
基本領域磁石21bを構成する台形状の小磁石21b’間に設けられた間隙は音通過孔22bとして利用しており、音響振動板23aの裏側から発生する音は、この音通過孔22bと吸音材22c及び音通過孔24bを通して電気音響変換器20の後方に放出している。また、電気音響変換器20の側面側となる部分にも基本領域磁石21bを構成する台形状の小磁石21b’間の間隙ができるため、この音通過孔22bを経由して外周フレーム25bと後方フレーム24との間からも音を放出している。
内周側支持部23b,外周側支持部23cは実施の形態1における内周側支持部13b,外周側支持部13cと同様のものが好適に用いられる。内周側支持部23bについては中央フレーム25a,中央支持フレーム25cと音響振動板23aとの間を、また、外周側支持部23cについては外周フレーム25b,外周支持フレーム25dと音響振動板23aとの間を弾性的に連結するサスペンション機能を有している。
図3には磁石板21において各部分領域の種類別にNS極の方向が記述されている。各部分領域において基本領域磁石21bの磁化方向は、音響振動板23aの振動面に対して平行とし、音響振動板23aの中心に向かう半径方向となるようにしている。中心領域磁石21aの磁化方向は音響振動板23aの中心軸前方向としている。
前方中心領域磁石21dは中心領域磁石21aと対向するような、即ち、音響振動板23aの中心軸後方向となるような磁化方向としている。前方外周領域磁石21eは前方中心領域磁石21dの反対方向となるような、即ち、音響振動板23aの中心軸前方向となるような磁化方向としている。
実施の形態1では、基本領域磁石11bの中心側と外周側に磁化方向の異なる部分領域となる中心領域磁石11a,外周領域磁石11cを設置することにより、音響振動板13a部に有効作用磁束を集中させることができた。
実施の形態2では、少し異なった方法により、音響振動板23a部に非常に高い有効作用磁束を集中させるようにしている。
中心領域磁石21aによって形成される音響振動板23a上の磁束分布は、音響振動板23aの振動面に対して位置,形状及び磁化方向について中心領域磁石21aと面対称とした同サイズのものを設置した場合と全く同じ結果が得られる。従って、中心領域磁石21aと対向する前方中心領域磁石21dについても、中心領域磁石21aのように狭い範囲に有効作用磁束を集中させるような影響を及ぼす。このように前方中心領域磁石21dは中心領域磁石21aが及ぼす効果を高める目的で設置している。
同様にして前方外周領域磁石21eについても狭い範囲に有効作用磁束を集中させるような影響を及ぼす。従って、基本領域磁石21bの外周側には磁石を設置していないが、代わりに磁石板21の外周側前方に前方外周領域磁石21eを設置することにより同様な作用を確保している。このようにして、実施の形態2では基本領域磁石21bの外周側の磁石を廃止しても、音響振動板23a部に非常に高い有効作用磁束を集中させている。
尚、基本領域磁石21bについても音響振動板23aを挟んだ対称位置に音響振動板23aの振動面に対して面対称となる磁化方向の磁石を設置することにより、有効作用磁束密度を高めることができるが、再生する周波数が高くなると音響特性への影響が大きくなるため設置してない。
実施の形態2では、他にも音通過孔による音への影響を少なくするような構造を採用している。即ち、基本領域磁石21bの外周に外周領域磁石を設置しないようにし、電気音響変換器20の側面側となる部分(外周)の音通過孔22bを利用することにより、外周フレーム25bと後方フレーム24との間からも音を放出させるようにしている。このようにして音を放出すると音通過孔が浅くなり、音通過孔の開口部が占める割合も増えるため音響振動板23aの振動に与える影響が小さくなる。さらに、音通過孔の深さの種類が多くなるため、音響振動板23aの振動に与える影響が特定の周波数に偏ることを防ぐこともできる。
また、音響振動板23aと磁石板21の間にできる空間や音通過孔22bは、音響振動板23aが特定の周波数に偏った共振を引き起こす原因となる場合がある。実施の形態2ではその共振の原因となる音の反射を少なくするために、音通過孔22bの後方に吸音材22cを設置している。ある程度の音は吸音材22cを通過させ音通過孔24bを経由させて電気音響変換器20の後方に放出させるため、吸音材22cとしてグラスウールを設置している。尚、磁石板21や外周フレーム25b等において共振の原因となる空間に面する部分にシリコーン等の内部損失の大きなものを塗布して、音の反射を防ぐことよっても同様な効果が得られる。
このようにして音通過孔22b部に吸音材22cを設置することや電気音響変換器20の側面からも音を放出することにより音通過孔の音への影響を少なくしている。
また、リング状とした前方中心領域磁石21dは前方部を球面状に丸くしている。これは音の通路となる部分に角状のものが存在すると、周波数特性に山や谷を生じさせる原因となるので、その影響を避けるためである。同様に前方外周領域磁石21eに対しても音の通路となる部分の角を丸くすることにより、周波数特性を平坦化できる場合がある。
次に、基本領域磁石21bに対して働く音響振動板23aの中心軸後方向の磁力、即ち、後方フレーム24に押し付ける磁力について述べる。
一般的に基本領域磁石21bの磁化方向を音響振動板23aの振動面と平行とし、音響振動板23aの中心に向かう半径方向となるようにした場合、中心領域磁石21aの磁化方向が中心軸前方向の場合に基本領域磁石21bを後方フレーム24に押し付ける磁力が最も大きくなる。従って、実施の形態2の中心領域磁石21aで採用している磁化方向は、基本領域磁石21bに対する後方フレーム24に押し付ける磁力が最も大きくなる磁化角度である。実施の形態2では磁石の材質としてネオジムを採用し、このような後方フレーム24に強く押し付ける磁力を利用して基本領域磁石21bの中心側を固定している。
実施の形態2では以上のように、音通過孔の影響,音響振動板23aにおける有効作用磁束密度の高さと均一性,磁石製作時の着磁の容易性,基本領域磁石21bの固定方法等を考慮することにより磁石板21,前方中心領域磁石21d,前方外周領域磁石21eの磁化角度やサイズ,構成方法を決定している。
以上のような本発明の実施の形態2における電気音響変換器20によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)音響振動板23aの前方中心側に前方中心領域磁石21dを設置して、中心領域磁石21aと対向するような磁化方向とすることにより、音響振動板23a部に有効作用磁束をさらに集中させて密度を高めることができる。
(2)基本領域磁石21bの外周側の磁石を廃止することにより、電気音響変換器20の側面側となる部分(外周)にも基本領域磁石21bを構成する小磁石21b’間に音通過孔22bとなる開口部を形成することができる。この開口部により電気音響変換器20の側面からも音が放出されるので、音通過孔22bの深さを浅くして音響振動板23aの振動に与える影響を小さくできる。また、音通過孔22bの深さの種類が多くなって音響振動板23aの振動に与える影響が特定の周波数に偏ることを防ぐことができる。
(3)音響振動板23aの前方外周側に前方外周領域磁石21eを設置して、前方中心領域磁石21dと略逆方向の磁化方向とすることにより、基本領域磁石21bの外周側の磁石を廃止した影響を補うことができる。
(4)リング状とした前方中心領域磁石21dの前方部を半球状に丸く形成することにより、音の通路となる部分において角状のものを少なくしている。これにより周波数特性における山や谷を生じさせる原因を排除して周波数特性を平坦化することができる。
(5)基本領域磁石21bの外周側を後方フレーム24と外周フレーム25bで挟んで、ボルト27bで締めるため、確実に固定することができる。後方フレーム24に押し付けられる磁力のみによって基本領域磁石21bを固定する場合に比べ、磁石の材質等の影響で磁力が弱くなる場合でも確実に固定することができるため、設計自在性、固定安定性に優れる。
(6)音通過孔22b部に吸音材22cを設置しているため、空間部の音の反射を少なくして特定の周波数に偏った音響振動板23aの共振を減少させることができる。
(実施の形態3)
図4は実施の形態3の電気音響変換器の要部模式断面端面図である。
図4において、30は互いに独立して形成された高域用の電気音響変換器40と低域用の電気音響変換器50が同心円状に配置されて構成された実施の形態3の複合型の電気音響変換器、41は全体が円盤状に構成された高域用の電気音響変換器40の磁石板、41aは高域用の磁石板41の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた高域用の中心領域磁石、41bは高域用の磁石板41の部分領域においてネオジム磁石を用いた複数の台形状の小磁石41b’から構成される高域用の基本領域磁石、42bは高域用の基本領域磁石41bにおいて隣り合う台形状の小磁石41b’間に形成された高域用の音通過孔、43aは導電体を渦巻状に巻き回した平面コイルを有し高域用の磁石板41の前方に設置された高域用の電気音響変換器40の音響振動板、43bは高域用の音響振動板43aの内周側に連結され、振動する高域用の音響振動板43aを弾性的に支える内周側支持部、43cは高域用の音響振動板43aの外周側に連結され、振動する高域用の音響振動板43aを弾性的に支える外周側支持部、51は全体がリング状に構成された低域用の電気音響変換器50の磁石板、51aは低域用の磁石板51の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた中心領域磁石、51bは低域用の磁石板51の部分領域においてネオジム磁石を用いた複数の台形状の小磁石51b’から構成される基本領域磁石、51cは低域用の磁石板51の部分領域でネオジム磁石を用いた複数の直方体状の小磁石51c’から構成されている外周領域磁石、51dは外周領域磁石51cを構成する各々の小磁石51c’の外周面に形成された溝部、52bは低域用の基本領域磁石51bにおいて隣り合う台形状の小磁石51b’間に形成された低域用の音通過孔、52cは低域用の外周領域磁石51cにおいて隣り合う直方体状の小磁石51c’間に形成された外周側の音通過孔、53aは導電体を渦巻状に巻き回した平面コイルを有し低域用の磁石板51の前方に設置された低域用の音響振動板、53bは低域用の音響振動板53aの内周側に連結され、振動する低域用の音響振動板53aを弾性的に支える内周側支持部、53cは低域用の音響振動板53aの外周側に連結され、振動する低域用の音響振動板53aを弾性的に支える外周側支持部、54は高域用の磁石板41及び低域用の磁石板51を後方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器30の後方フレーム、54aは非磁性体で円盤状に形成され高域用の電気音響変換器40の後方に取り付けられた高域用の電気音響変換器40の遮音板、54bは後方フレーム54において低域用の基本領域磁石51bの後方に複数の開口部を形成して設けた低域用の音通過孔、54dは後方フレーム54において高域用の基本領域磁石41bの後方に複数の開口部を形成して設けた高域用の音通過孔、54eは高域用の電気音響変換器40と遮音板54aの間に設置したグラスウールから成る後方の吸音材、54fはリング状に形成され高域用の音響振動板43aと高域用の磁石板41で挟まれたグラスウールから成る支持用の吸音材、55aは非磁性体で薄くリング状に形成され高域用の中心領域磁石41aの前方に設置された中央フレーム、55bは非磁性体でリング状に形成され低域用の中心領域磁石51aの前方に設置された中間支持フレーム、55cは非磁性体でリング状に形成され高域用の音響振動板43aの外周側支持部43c及び低域用の音響振動板53aの内周側支持部53bの前方に設置された中間固定フレーム、55dは非磁性体で形成され低域用の外周領域磁石51cの各々の小磁石51c’の外周側で溝部51dに嵌合して設置された外周フレーム、55eは低域用の磁石板51の外周部で後述するメインフレーム56と後方フレーム54の間隔を一定に保つための非磁性体製のスペーサー、56は電気音響変換器30全体を低域用の磁石板51の前方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器30のメインフレーム、57aは非磁性体製のナット58aに螺合されて高域用の音響振動板43aの中心部で高域用の音響振動板43aの内周側支持部43b,中央フレーム55a,高域用の中心領域磁石41a,後方フレーム54を固定する非磁性体製のボルト、57bは中間支持フレーム55bの円周上に形設された雌ねじ部に螺合され後方フレーム54に低域用の中心領域磁石51aを固定する非磁性体製のボルト、57cは外周フレーム55dの円周上に形設された雌ねじ部に螺合され後方フレーム54に低域用の外周領域磁石51cを固定する非磁性体製のボルト、57dは外周部で後方フレーム54とメインフレーム56とを連結する非磁性体製のボルト、58bはボルト57bに螺合され高域用の音響振動板43aの外周側支持部43c,低域用の音響振動板53aの内周側支持部53bを中間固定フレーム55cと共に中間支持フレーム55bに固定する非磁性体製のナットである。
尚、図4においては、説明の都合上、中心線の右側には低域用の基本領域磁石51bの小磁石51b’を通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側には低域用の音通過孔52bを通る位置で切断した断面を示している。
低域用の中心領域磁石51aには、ボルト57bを通すために貫通孔が設けられている。また、低域用の外周領域磁石51cを構成する複数の小磁石51c’は直方体状で溝部を有しており、その溝部に外周フレーム55dを通してボルト57cを外周フレーム55dの円周上に形成された雌ねじ部に螺合することにより後方フレーム54に固定されている。後方フレーム54には溝を設けて、低域用の外周領域磁石51cを構成する複数の小磁石51c’を埋め込んでいるが、このようにして小磁石51c’を組み合わせる際に互いが反発し合う磁力によって全体が分解することを防いでいる。
後方フレーム54とメインフレーム56はボルト57dにより連結されるが、スペーサー55eにより外周部で互いの間隔を一定に保っている。また、低域用の音響振動板53aの外周側支持部53cは、その外周部がメインフレーム56の内周側後面に接着されることにより固定されている。
中央フレーム55a,中間支持フレーム55bについては、前後方向に振動する高域用の音響振動板43aや低域用の音響振動板53aが、後方の高域用の磁石板41や低域用の磁石板51に衝突しないように間隔を設けるスペーサーの役割も果たしている。また、低音域を再生する低域用の音響振動板53aは振幅が大きくなるため、低域用の磁石板51については前記間隔を広げるために、高域用の磁石板41に比べて後方にずらして設置している。尚、低域用の中心領域磁石51aは、低域用の基本領域磁石51bよりも少し前方に出して低域用の音響振動板53aに近くなるように設計することにより有効作用磁束密度や磁束の利用効率を高めている。このように設置する場合、前方に出す長さは、音響振動板53aが最大振幅となっても内周側支持部53bが低域用の中心領域磁石51aに当たらない範囲で決定する。
高域用の音響振動板43aは高域用の磁石板41と共に支持用の吸音材54fを挟み込んでいる。即ち、高域用の音響振動板43aの裏側全面に支持用の吸音材54fを触れさせることにより、支持用の吸音材54fによって高域用の音響振動板43aを弾性的に均一に支えている。このようにして支持用の吸音材54fに対して吸音機能だけでなく、高域用の音響振動板43aを制動する機能も持たせることにより、小さな分割振動さえも発生しないようにしている。このような場合の支持用の吸音材54fの材料としては、グラスウールだけでなくポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリエステル樹脂等を使用した不織布やポリエチレン樹脂,ポリウレタン樹脂等を材料とした発泡樹脂等に通気性を持たせたものでも良い。
高域用の基本領域磁石41bを構成する台形状の小磁石41b’間に設けられた間隙は高域用の音通過孔42bとして利用しており、高域用の音響振動板43aの裏側から発生する音を高域用の音通過孔54dと共に高域用の電気音響変換器40の後方に放出している。また、低域用の基本領域磁石51bを構成する台形状の小磁石51b’間に設けられた間隙も低域用の音通過孔52bとして利用しており、低域用の音響振動板53aの裏側から発生する音を低域用の音通過孔54bと共に低域用の電気音響変換器50の後方に放出している。
低域用の基本領域磁石51bと低域用の外周領域磁石51cについては、それぞれの小磁石51b’,51c’間に形成される低域用の音通過孔52bと外周側の音通過孔52cの位置が一致するように設置している。このようにして低域用の音響振動板53aの裏側から発生する音を低域用の音通過孔52bと外周側の音通過孔52cを経由させることにより、外周フレーム55dと後方フレーム54の間からも放出することができている。
実施の形態3では、その他にも低域用の音響振動板53aの裏側から発生する音をメインフレーム56と低域用の外周領域磁石51cの間より低域用の電気音響変換器50の側面側へ放出している。即ち、メインフレーム56と後方フレーム54間にスペーサー55eを挟むことによりメインフレーム56と低域用の外周領域磁石51cとの間に空間を確保して低域用の電気音響変換器50の側面側より音を外部に放出している。
この場合、メインフレーム56の設置位置は、低域用の音響振動板53aに対して、できるだけ前方とした方が音を放出する空間を広く確保できる。従って、実施の形態3では、低域用の音響振動板53aの外周側支持部53cの襞部において、できるだけ前方となる位置でメインフレーム56に接続されるように襞部の最も前方部で固定している。このような方法は、音通過孔となる開口部を増やして音響特性に及ぼす音通過孔の影響を少なくする対策として非常に有効である。
低域用の音響振動板53aの裏側から発生する音と、高域用の音響振動板43aの裏側から発生する音は遮音板54aを設けることにより互いの干渉を防いでいる。即ち、遮音板54aを高域用の電気音響変換器40の後方で蓋をするように後方フレーム54に接着することにより、互いの音を完全に遮断して干渉を防いでいる。尚、高域用の音響振動板43aの裏側から発生する音については、高域用の電気音響変換器40と遮音板54aの間に設置された後方の吸音材54eによって吸音される。
薄肉リング状の高域用の音響振動板43aは、実施の形態1の音響振動板13aと同様のものを用いている。薄肉リング状の低域用の音響振動板53aは、絶縁された銅クラッド・アルミニウム線からなる導電体を渦巻状に一方向に巻き、シリコーン樹脂で接合した平面コイル2枚を貼り合せたものを用いている。平面コイル2枚を貼り合せることによって機械的強度を確保し、振幅が大きくなる低音域の再生において低域用の音響振動板53aが破れないようにしている。尚、各平面コイルには実施の形態1,2と同様に引出線(図示せず)が接続され、駆動電流が外部から供給される端子部(図示せず)に接続されている。
実施の形態3の複合型の電気音響変換器30は、高音域を再生するための高域用の電気音響変換器40と低音域を再生するための低域用の電気音響変換器50を同軸(同心円状)に配置して構成している。従って、高域用の音響振動板43aの中心軸と低域用の音響振動板53aの中心軸は共通である。
低域用の音響振動板53aでは振幅が大きくなるため、内周側支持部53b,外周側支持部53cには襞部を形成したものが用いられているが、高域用の音響振動板43aでは振幅が大きくならないため、内周側支持部43b,外周側支持部43cは平坦な形状としている。内周側支持部43b,外周側支持部43cとしては、シリコーン樹脂等の合成樹脂製やゴム製のもの等が用いられる。振幅が大きくなる低域用の音響振動板53aを支える内周側支持部53b,外周側支持部53cとしては、機械的強度を増すために、ポリエステル繊維等の合成樹脂製の繊維等で形成された織布にシリコーン樹脂等の合成樹脂を含浸させた複合シートが用いられる。また、襞の形状を良好に維持させるために前記複合シートを重ねて貼り合せた複層複合シート等が用いられる。
図4では磁石の各部分領域の種類別にNS極の方向が記述されている。各部分領域において高域用の基本領域磁石41bの磁化方向は、高域用の音響振動板43aの振動面に対して平行とし、高域用の音響振動板43aの中心に向かう半径方向としている。高域用の中心領域磁石41aの磁化方向は高域用の音響振動板43aの中心軸前方向としている。
また、低域用の中心領域磁石51aの磁化方向は高域用の音響振動板43aの中心軸後方向としている。低域用の基本領域磁石51bの磁化方向は、一般的に高域用の基本領域磁石41bに対して対向する方向となる。従って、低域用の基本領域磁石51bの磁化方向は高域用の基本領域磁石41bの磁化方向と反対の方向、即ち、低域用の音響振動板53aの外周に向かう半径方向となるようにしている。低域用の外周領域磁石51cの磁化方向は低域用の基本領域磁石51bに対して決定しており、低域用の音響振動板53aの中心軸前方向としている。
実施の形態1では、磁化方向を音響振動板の半径方向とした基本領域磁石11bに対し、その中心側と外周側に磁化方向の異なる中心領域磁石11aと外周領域磁石11cを設置することにより、有効作用磁束を集中させて密度を高めることができた。実施の形態3でも非常に高い有効作用磁束密度を形成させるために同様な手段を用いている。即ち、低域用の基本領域磁石51bに対しては、その中心側となる低域用の中心領域磁石51aと、その外周側となる低域用の外周領域磁石51cを配置している。また、高域用の基本領域磁石41bに対しては、その中心側となる高域用の中心領域磁石41aを配置している。
尚、高域用の基本領域磁石41bの外周側に磁石板51の低域用の中心領域磁石51aを配置しているが、この低域用の中心領域磁石51aは、低域用の基本領域磁石51bに対する中心領域磁石としての機能に加え、高域用の基本領域磁石41bに対する外周領域磁石としての機能も兼ねることができている。
実施の形態3では、このようにして高域用の音響振動板43aや低域用の音響振動板53aの導電体部に有効作用磁束を集中させ、高い有効作用磁束密度の分布を形成させながら高域用の電気音響変換器40と低域用の電気音響変換器50を同軸に配置した複合型の電気音響変換器30を実現している。
高域用の基本領域磁石41bに対しては、高域用の中心領域磁石41aとの間に働く磁力、及び低域用の中心領域磁石51aとの間に働く磁力により、高域用の基本領域磁石41bを後方フレーム54に強く押し付ける力が働いて固定されるため、その他の固定手段は用いていない。また、低域用の基本領域磁石51bについては、高域用の基本領域磁石41bと磁化方向が反対であるが、その中心側に位置する低域用の中心領域磁石51a及び外周側に位置する低域用の外周領域磁石51cの磁化方向も高域用の中心領域磁石41a及び高域用の外周領域磁石に相当する低域用の中心領域磁石51aの磁化方向と反対方向である。従って、同様に低域用の基本領域磁石51bにも後方フレーム54に強く押し付ける磁力が働いて固定されるため、その他の固定手段は用いていない。
以上のような本発明の実施の形態3における電気音響変換器30によれば、実施の形態1又は2に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)それぞれサイズや音響特性の異なる独立した本発明の高域用の電気音響変換器40と低域用の電気音響変換器50を組み合わせて複合型としているため、高域用の音響振動板43aや低域用の音響振動板53aにおける音の放射面積、及び重量等の適用条件に応じてこれらを一体に適正配置できる。これにより、高域用の電気音響変換器40と低域用の電気音響変換器50を組み合わせて周波数帯域別にそれぞれの特徴を生かすことができ、全周波数帯域において優れた性能を有する複合型の電気音響変換器30を構成できる。
(2)高域用の電気音響変換器40と低域用の電気音響変換器50を同心円状(同軸)に配置して複合型としているため、位相特性や指向特性に優れた複合型の電気音響変換器30とすることができる。
(3)低域用の中心領域磁石51aは低域用の磁石板51における中心領域磁石として機能するだけでなく、高域用の磁石板41における外周領域磁石としても機能している。これにより、限られた磁石の領域を有効に利用して磁束の利用効率を高めることができると共に1種類の部分領域磁石が不要となるため磁石の使用量を少なくすることができる。
(4)低域用の音響振動板53aの裏側から発生する音をメインフレーム56と低域用の外周領域磁石51cの間からも放出できる。従って、音を低域用の磁石板51を経由せずに直接外部に放出できるようになり、音響振動板53aの振動に与える音通過孔の影響を小さくできる。
(実施の形態4)
図5は実施の形態4の電気音響変換器の要部模式断面端面図である。
図5において、60は実施の形態4の電気音響変換器、61は全体が円盤状に構成された電気音響変換器60の後方の磁石板、61aは後方の磁石板61の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた後方の中心領域磁石、61bは後方の磁石板61の部分領域においてネオジム磁石を用いた複数の台形状の小磁石61b’から構成される後方の基本領域磁石、61cは後方の磁石板61の部分領域でネオジム磁石を用いた複数の直方体状の小磁石61c’から構成されている後方の外周領域磁石、62bは後方の基本領域磁石61bにおいて隣り合う台形状の小磁石61b’間に形成された音通過孔、62cは後方の外周領域磁石61cにおいて隣り合う直方体状の小磁石61c’間に形成された音通過孔、63aは導電体を渦巻状に巻き回した平面コイルを有し後方の磁石板61と後述する前方磁石板67の中間部に設置された音響振動板、63bは音響振動板63aの内周側に連結され振動する音響振動板63aを弾性的に支える内周側支持部、63cは音響振動板63aの外周側に連結され振動する音響振動板63aを弾性的に支える外周側支持部、64は後方の磁石板61を後方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器60の後方フレーム、64bは後方フレーム64に複数の開口部を形成して設けた音通過孔、65aは非磁性体でリング状に形成され後方の中心領域磁石61aの前方(音響振動板63aの後方)に設置された後方中央フレーム、65bは非磁性体でリング状に形成され音響振動板63aの前方に設置された前方中央フレーム、65cは非磁性体で形成され後方の外周領域磁石61cの外周側前方に設置された外周フレーム、66は電気音響変換器60の全体を音響振動板63aの外周部前方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器60のメインフレーム、66bは電気音響変換器60全体をエンクロージャーに取り付けるためにメインフレーム66の外周部に6箇所設けられたボルト(図示せず)の挿入孔、67は全体が円盤状に構成され電気音響変換器60の前方部に配置された電気音響変換器60の前方磁石板、67aは前方磁石板67の部分領域においてリング状のネオジム磁石を用いた前方中心領域磁石、67bは前方磁石板67の部分領域においてネオジム磁石を用いた複数の台形状の小磁石67b’から構成される前方基本領域磁石、67cは前方磁石板67の部分領域でネオジム磁石を用いた複数の直方体状の小磁石67c’から構成されている前方外周領域磁石、68bは前方基本領域磁石67bにおいて隣り合う台形状の小磁石67b’間に形成された音通過孔、68cは前方外周領域磁石67cにおいて隣り合う直方体状の小磁石67c’間に形成された音通過孔、69は前方磁石板67を前方で支える非磁性体で形成された電気音響変換器60の前方フレーム、69bは前方フレーム69に複数の開口部を形成して設けた音通過孔、70aは非磁性体製のナット71aに螺合されて音響振動板63aの中心部で後方フレーム64,後方の中心領域磁石61a,後方中央フレーム65a,音響振動板63aの内周側支持部63b,前方中央フレーム65b,前方中心領域磁石67a,前方フレーム69を固定する非磁性体製のボルト、70bは非磁性体製のナット71bに螺合されて音響振動板63aの外周部で後方フレーム64,後方の外周領域磁石61c,外周フレーム65c,音響振動板63aの外周側支持部63c,メインフレーム66,前方外周領域磁石67c,前方フレーム69を固定する非磁性体製のボルトである。
尚、図5においては、説明の都合上、中心線の右側には後方の基本領域磁石61bの小磁石61b’を通る位置で切断した断面を示し、中心線の左側には音通過孔62bを通る位置で切断した断面を示している。
後方の中心領域磁石61aと前方中心領域磁石67aには、ボルト70aを通すために貫通孔が設けられている。後方の外周領域磁石61cを構成する複数の直方体状の小磁石61c’は後方フレーム64と外周フレーム65cの間に挟まれ、また、前方外周領域磁石67cを構成する複数の直方体状の小磁石67c’は前方フレーム69とメインフレーム66の間に挟まれてボルト70bをナット71bに螺合することにより固定されている。
後方の磁石板61の中心領域磁石61a,基本領域磁石61b,外周領域磁石61cと前方磁石板67の前方中心領域磁石67a,前方基本領域磁石67b,前方外周領域磁石67cはそれぞれ音響振動板63aを挟んで対称に配置され、それぞれの磁化方向も音響振動板63aの振動面に対して対称(面対称)となっている。
後方の基本領域磁石61bは、後方の中心領域磁石61aとの間、及び後方の外周領域磁石61cとの間に働く磁力により後方フレーム64に強力に押し付けられる力が働いて固定されている。同様にして前方基本領域磁石67bは、前方中心領域磁石67aとの間、及び前方外周領域磁石67cとの間に働く磁力により前方フレーム69に強力に押し付けられる力が働いて固定されている。
後方中央フレーム65a,前方中央フレーム65b,外周フレーム65c,メインフレーム66については、前後方向に振動する音響振動板63aが後方の磁石板61や前方磁石板67に衝突しないように間隔を設けるスペーサーの役割も果たしている。
後方の基本領域磁石61bを構成する台形状の小磁石61b’間に設けられた間隙は音通過孔62bとして利用しており、音響振動板63aの裏側から発生する音を音通過孔64bと共に電気音響変換器60の後方に放出している。また、後方の基本領域磁石61bと後方の外周領域磁石61cについては、それぞれの小磁石61b’間,小磁石61c’間に形成される音通過孔62b,音通過孔62cの円周方向の位置が一致するように設置している。このようにして音響振動板63aの裏側から発生する音は、音通過孔62bと音通過孔62cを経由させることによって外周フレーム65cと後方フレーム64の間からも放出することができている。
実施の形態4では、音響振動板63aの表側から発生する音についても裏側から発生する音と同様に音通過孔を経由して放出するようにしている。即ち、前方基本領域磁石67bを構成する台形状の小磁石67b’間に設けられた間隙は音通過孔68bとして利用しており、前方フレーム69の音通過孔69bと共に電気音響変換器60の前方に放出している。また、前方基本領域磁石67bと前方外周領域磁石67cについても、それぞれの小磁石67b’間,小磁石67c’間に形成される音通過孔68b,音通過孔68cの円周方向の位置が一致するように設置して、音響振動板63aの表側から発生する音を音通過孔68bと音通過孔68cを経由させることにより、メインフレーム66と前方フレーム69の間からも放出している。
薄肉リング状の音響振動板63aは、絶縁された銅クラッド・アルミニウム線からなる導電体を渦巻状に一方向に巻き、シリコーン樹脂で接合した平面コイル2枚を貼り合せたものを用いている。尚、平面コイルには実施の形態1,2と同様に引出線(図示せず)が接続され、駆動電流が外部から供給される端子部(図示せず)に接続されている。
音響振動板63aは振幅が大きくなる低音域用として用いられる場合が多いため、内周側支持部63b,外周側支持部63cには襞部を形成したものが用いられている。内周側支持部63b,外周側支持部63cの材質としては、実施の形態1に記述されたものと同様なので説明を省略する。
一般的に前方にも磁石板を設ける場合は、その効果を大きくするために後方の磁石板61における各部分領域の磁化方向と前方磁石板67における各部分領域の磁化方向は、音響振動板63aの振動面に対してそれぞれが面対称となるような方向とする場合が多い。従って、後方の基本領域磁石61bと前方基本領域磁石67bの磁化方向は音響振動板63aの振動面に対して平行とし、音響振動板63aの中心に向かう半径方向となるようにしている。また、後方の中心領域磁石61aの磁化方向は音響振動板63aの中心軸前方向とし、前方中心領域磁石67aの磁化方向は音響振動板63aの中心軸後方向としている。そして、後方の外周領域磁石61cの磁化方向は音響振動板63aの中心軸後方向とし、前方外周領域磁石67cの磁化方向は音響振動板63aの中心軸前方向としている。
このようにして、後方の磁石板61に対向する磁化方向とした前方磁石板67を設置することにより、音響振動板63aにおける有効作用磁束密度を後方の磁石板61のみの場合に比べ2倍にまで高めることができている。
実施の形態4では後方の磁石板61に対向する磁化方向とした前方磁石板67を音響振動板63aの前方にも設置しているが、このような構造は低音域を再生する電気音響変換器60において非常に都合が良い。
低音域の再生では音響振動板63aの振幅が大きくなるため、磁石板に当たらないようにするために音響振動板63aに対する後方の磁石板61や前方磁石板67の間隔は大きくする必要がある。この間隔は大きくする程、音響振動板63a上に形成される有効作用磁束密度は低下して行く。低下する有効作用磁束密度を高める方法としては、後方の磁石板61を後方側に厚くするよりは音響振動板63aの前方側に前方磁石板67を設置する方が、音響振動板63aに近い位置で磁石量を増やすことができるため効率的である。
さらに、音響振動板63aに対して後方の磁石板61のみ1枚を配置する場合は、音響振動板63aが後方の磁石板61から遠ざかるにつれ有効作用磁束密度が低くなる。従って、振動する音響振動板63aの各位置における有効作用磁束密度は音響振動板63aの設置位置に対して振動方向に非対称となる。これに対して実施の形態4では後方の磁石板61に対向する磁化方向とした前方磁石板67を音響振動板63aの前方にも設置しているため、振動する音響振動板63aの各位置における有効作用磁束密度は音響振動板63aの設置位置に対して振動方向に対称となる。このようにして音響振動板63aの振動方向において有効作用磁束密度の高低の差により生じる歪を抑制することができる。
次に、音響振動板63aの前方に前方磁石板67を配置することによる音への影響について説明する。一般的に、音響振動板63aの前方に前方磁石板67を配置する場合、音響振動板63aと前方磁石板67の間の空間は音響振動板63aの前方から放出される音が特定の周波数に偏って共振する原因となる。音響振動板63aと前方磁石板67の間の空間は、その体積が大きくなる程、共振周波数が低くなり、また、音通過孔68bや音通過孔68cにおいて開口部の面積が小さくなる程、共振が強くなる傾向にある。
ただ、音響振動板63a部の外径を15cmとし、音響振動板63aと前方磁石板67の間隔を10mmとした一般的な例でも、この共振周波数が1000Hzよりも低くなるようなことはなかった。実施の形態4の構造を採用した場合、音響振動板63aの振幅が大きくなる程その効果も大きくなるが、その効果を利用できるような周波数帯域は一般的に前記1000Hzよりもかなり低くなる。従って、前記共振を引き起こす周波数を避けて使用することは容易であり実質的な問題が発生することは少ない。
このように、低音域を再生する電気音響変換器60では共振等による音質への影響はなく、音響振動板63aの前方側に前方磁石板67を設置する方法を有効に利用することができる。
以上のような本発明の実施の形態4における電気音響変換器60によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)低音域の再生では、振幅が大きくなる音響振動板63aが当たらないようにするために、音響振動板63aと後方の磁石板61との間隔を大きくする必要があるが、音響振動板63a上に形成される有効作用磁束密度が低下する。この対策として後方の磁石板61を後方側に厚くしても増やす磁石部が音響振動板63aから離れているため、効率良く有効作用磁束密度を高めることは難しい。電気音響変換器60では音響振動板63aの前方側に前方磁石板67を設置することにより、音響振動板63aに近い位置で磁石量を増やすことができるため、効率良く有効作用磁束密度を高めることができる。
(2)後方の磁石板61の他に磁石板61と対向するような磁化方向とした前方磁石板67を音響振動板63aの前方に設置することにより、前後方向に振動する音響振動板63aの各位置における有効作用磁束密度を音響振動板63aの設置位置に対して振動方向に対称とすることができる。これにより、音響振動板63aの振動方向において有効作用磁束密度の高低の差により生じる歪を抑制させることができる。
以上、実施の形態1〜4について述べたが、本発明はこれらのものに限定されることなく適用できる。例えば、本発明の電気音響変換器は各実施の形態で示された特定のサイズや材質のものに限定されるものではなく、表示されている磁極についてもそのNS極の全体が逆になっても構わない。
尚、主に電気信号を音に変換するスピーカを例としてその構成について記述したが、類するものとしてヘッドホン、イヤホン等にも適用できる。また、受信した音を電気信号に変換するものとして、マイクロホンや音波センサ等にも適用できる
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施の形態1と同様の構成で形成した3方向磁化の磁石板について、各部分領域の磁化角度によって有効作用磁束密度の分布がどのように変化するか、シミュレーションによる解析を行った。
(解析例1)
3方向磁化の磁石板を用いた例で、各部分領域の磁化角度やサイズは実施の形態1の電気音響変換器10における磁石板11と同じ条件としている。
実施の形態1の電気音響変換器10における磁石板11の各部分領域を小さく分割し、その分割した小さな領域における磁化の方向と強さのデータをプログラムに組み込んだ。そして、磁石板11の各位置より音響振動板13a上に寄与する磁界の強さをビオ・サバールの法則を用いて計算し、有限要素法によって解析して音響振動板13aにおける有効作用磁束密度の分布を求めた。
(比較例1)
半径方向磁化の磁石板を用い、磁化角度を0度とした例である。
実施の形態1と同じように基本領域磁石11bの磁化角度θを0度としているが、さらに中心領域磁石11a、外周領域磁石11cの磁化角度も基本領域磁石11bと同じ0度とした。即ち、全ての部分領域の磁化方向において、磁化角度θを0度とし音響振動板13aの半径方向とした場合の音響振動板13aにおける有効作用磁束密度の分布を解析例1と同様にして求めた。
(比較例2)
2方向磁化の磁石板を用いた例である。
中心領域磁石11a側の磁化角度θを実施の形態1と同じ+90度とした以外は比較例1と同じ条件で、音響振動板13aにおける有効作用磁束密度の分布を求めた。
(比較例3)
2方向磁化の磁石板を用いた例である。
外周領域磁石11c側の磁化角度θを実施の形態1と同じ−90度とした以外は比較例1と同じ条件で、音響振動板13aにおける有効作用磁束密度の分布を求めた。
(解析例2)
3方向磁化の磁石板を用いた例で、各部分領域の磁化角度は磁束の利用効率を最も高めた角度としている。
実施の形態1の電気音響変換器10における磁石板11について、磁束の利用効率を最も高めることのできる磁化角度について求めた。尚、この角度は、音響振動板13aにおける導電体部の領域、磁石板11と音響振動板13aの間隔、磁石板11における各部分領域の幅や厚さによって変化する。
音響振動板13aの導電体における有効作用磁束をその導電体の領域で積算した値が最も大きくなるような部分領域の磁化角度が、3方向磁化の磁石板11において磁束の利用効率を最も高めるための最適な磁化角度となる。このような角度をシミュレーションにおいて部分領域の各種類別に磁化角度θを変化させながらトライアル・アンド・エラーを繰り返すことにより求めた。
結果は、基本領域磁石11bで23度、中心領域磁石11aで88度、外周領域磁石11cでは−90度となった。
図6は電気音響変換器の音響振動板の半径方向に対する有効作用磁束密度を示した図である。
図6において、横軸は音響振動板13aの中心からの距離を表し、縦軸は音響振動板13aの中心からの各距離における有効作用磁束密度を表している。横軸において12mm位置が音響振動板13aの導電体の内周縁部で、30mm位置が外周縁部となる。従って、図の12mm位置より30mm位置までの間の有効作用磁束密度に比例して音響振動板13aの導電体に駆動力が働く。
比較例2は、比較例1に比べ、中心領域磁石11aの磁化角度θを+90度とすることにより有効作用磁束密度の高い領域において、内周側の領域が減少して狭くなったが、有効作用磁束密度が全体的に上昇し、内周側が特に上昇している。
比較例3は、比較例1に比べ、外周領域磁石11cの磁化角度θを−90度とすることにより有効作用磁束密度の高い領域において、外周側の領域が減少して狭くなったが、有効作用磁束密度が全体的に上昇し、外周側が特に上昇している。
解析例1(実施の形態1)の有効作用磁束密度の分布は、比較例2の内周側における特徴と比較例3の外周側における特徴を合成した特徴を有している。即ち、有効作用磁束密度の高い領域において、内周側と外周側の領域が減少して共に狭くなったが、有効作用磁束密度が全体的に大きく上昇している。
そして、音響振動板13aの導電体部である半径12mmと半径30mmの間における有効作用磁束をその領域で積算した値を比較すると、解析例1(実施の形態1)の磁石板11の分布を基準とした場合、全ての部分領域の磁化角度θを0度とした半径方向磁化の磁石板を用いた比較例1では58%となった。音響振動板13aとして径の大きなものを採用すればこのようなことにはならないが、音響振動板13aとして一般的な径を採用するとこのように低い値となってしまうことが分かった。
以上のように、基本領域磁石11bの磁化方向において磁化角度θを0度として音響振動板13aの中心に向かう半径方向となるようにした場合は、基本領域磁石11bの中心側となる中心領域磁石11aの磁化角度θを+90度側に向けることや、基本領域磁石11bの外周側となる外周領域磁石11cの磁化角度θを−90度側に向けることにより、有効作用磁束を集中させることができ、狭い範囲に非常に高い有効作用磁束密度の分布を形成できることが判明した。これまで、半径方向磁化の磁石板は、一般的に有効作用磁束が広い範囲に分散して音響振動板13aの導電体の領域よりも広い範囲に分布する傾向があった。このような場合に、3方向磁化の磁石板や2方向磁化の磁石板は、必要な領域に有効作用磁束を集中させて密度を高める方法として非常に有効な手段であることが分かった。
また、スピーカでは再生する帯域が高音域側になる程、指向特性を改善するために音響振動板13aの直径を小さくする必要があるが、振動板の面積を小さくすると能率が低下するため有効作用磁束密度を高める必要がある。特に、このような場合には極めて効果的な手段であることが分かった。
尚、解析例2が得られる磁化角度を最適化した磁石板において、音響振動板13aの導電体における有効作用磁束をその導電体の領域で積算した値を求めてみると、解析例1(実施の形態1)の磁石板11を採用した場合の105%となった。
このように、実施の形態1で採用している各サイズでは、中心領域磁石11aは磁化角度θを88度とした場合に磁束の利用効率が最も高くなる。そして、この角度を小さくしてゆくと20度付近になるまで有効作用磁束密度の高い領域が広がりながら磁束の利用効率が低くなってゆく。また、外周領域磁石11cは磁化角度θを−90度とした場合に磁束の利用効率が最も高くなる。そして、この角度を0度に近付けてゆくと有効作用磁束密度の高い領域が広がりながら磁束の利用効率が低くなってゆく。
このような有効作用磁束密度の分布に関する特徴をスピーカに利用する場合、能率という点では音響振動板13aの導電体における有効作用磁束をその導電体の領域で積算した値を最も高くできる方法を選択することになる。高音域用や中音域用のスピーカでは、音響振動板13aの導電体部の面積を広くできないため、狭い範囲に非常に高い有効作用磁束密度の分布を形成できることが優先する条件となるが、低音域用スピーカでは、振幅が大きくならないように音響振動板13aの導電体部の面積を広くすることも必要である。このように、中心領域磁石11aや外周領域磁石11cの磁化角度θを決めるためには、有効作用磁束密度の高さだけでなく、高い有効作用磁束密度を有する領域の広さも考慮する必要がある。また、さらに磁石製作時の着磁の容易性、有効作用磁束密度の分布の均一性、基本領域磁石11bに働く磁力の方向と強さ等も考慮して決める必要がある。
本発明は、磁石として特別な形状や加工が不要で、磁化方向を細かく設定する必要がなく、半径方向磁化の磁石板のように製作工程がきわめて簡素であるにも関わらず、半径方向磁化の磁石板よりも音響振動板の導電体に対して高い有効作用磁束密度の分布を設定した電気信号から音への変換を低歪で効率良く行えるスピーカ、ヘッドホン、イヤホン等、或いは、同様にして音から電気信号への変換を低歪で効率良く行えるマイクロホン、音波センサ等の電気音響変換器の普及を図ることができる。

Claims (7)

  1. 全体が円盤状又はリング状に形成された磁石板と、前記磁石板に対して平行配置され導電体を渦巻状に巻き回して形成された平面コイルを備えた円盤状又はリング状の音響振動板と、を有する電気音響変換器であって、
    前記磁石板の各部分領域の磁化方向において、前記音響振動板の振動面と平行な成分が前記音響振動板の中心に向かう半径方向となるように磁化された基本領域磁石に加え、前記基本領域磁石の中心側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の前方方向となるように磁化された中心領域磁石、又は前記基本領域磁石の外周側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の後方方向となるように磁化された外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする電気音響変換器。
  2. 全体が円盤状又はリング状に形成された磁石板と、前記磁石板に対して平行配置され導電体を渦巻状に巻き回して形成された平面コイルを備えた円盤状又はリング状の音響振動板と、を有する電気音響変換器であって、
    前記磁石板の各部分領域の磁化方向において、前記音響振動板の振動面と平行な成分が前記音響振動板の外周に向かう半径方向となるように磁化された基本領域磁石に加え、前記基本領域磁石の中心側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の後方方向となるように磁化された中心領域磁石、又は前記基本領域磁石の外周側となる位置で前記音響振動板の中心軸と平行な成分が前記音響振動板の前方方向となるように磁化された外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする電気音響変換器。
  3. 前記磁石板において前記音響振動板が設置されている側と反対となる側に前記中心領域磁石又は前記外周領域磁石の少なくともいずれか一方を固定するフレームを有し、前記中心領域磁石又は前記外周領域磁石が前記基本領域磁石を前記フレーム側に押し付ける磁力により、前記基本領域磁石が前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
  4. 前記音響振動板を挟んで前記中心領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記中心領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方中心領域磁石、又は前記音響振動板を挟んで前記外周領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記外周領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方外周領域磁石の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
  5. 前記音響振動板を挟んで前記基本領域磁石と対称となる位置に配置され前記音響振動板の振動面に対して前記基本領域磁石の磁化方向と面対称な方向に磁化された前方基本領域磁石を備えていることを特徴とする請求項4に記載の電気音響変換器。
  6. 前記磁石板の前記基本領域磁石、前記外周領域磁石、前記中心領域磁石の少なくともいずれか1つが、外部又は内部で発生する音を通過させる音通過孔を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
  7. 請求項1又は2に記載の電気音響変換器を、それぞれサイズを異ならせて同心円状に複数配置したことを特徴とする電気音響変換器。
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