JP4808275B2 - ネットワークブートシステム - Google Patents
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Description
11 物理ディスク(ハードディスク)
20 クライアント端末
21 ローカルディスク
22 仮想ディスク(Vdisk)
40 クライアントOS(又はアプリケーションソフト)
46 フィルタドライバ
48 ネットワークドライバ
50 リードキャッシュドライバ
・「サーバ」とは、クライアント端末上で動作するオペレーティングシステムを提供する少なくとも1台のコンピューターを指すものとする。サーバはクライアント端末が使用するOS、アプリケーションソフトその他のデータを含む仮想ディスクをイメージデータとして保存している。
・「仮想ディスク」とは、クライアント端末上のOSからネットワークを介して見えるイメージディスク(これを「Vdisk」と表記する場合がある。)を指し、その実体はネットワークを介して接続されるサーバ上の物理ディスクに保存されているデータの一部を指すものである。
・「ローカル」とは、LANなどの外部ネットワークを介さずクライアント端末の内部バスに接続されたデバイスを意味する。
・「物理ディスク」とは、ローカルバスに接続された実体を伴うハードディスクその他の記憶手段を指し、「ローカルディスク」という場合もある。但し、OSが認識できるかぎりハードディスクの種類(例えば、SCSIディスクやIDEディスクやSATAなど)は問わない。また、ディスク状であるかを問題とせず、例えば半導体メモリーその他ハードディスクに代替する実現可能な記憶手段を全て含むものとする。
・「ユーザーデータなど」というときは、ユーザーがクライアント端末を操作することによってクライアント端末のOS又はそのOS上で動作するアプリケーションソフトが保存する全てのデータをいうものとする。
・特に明示せず単に「OS」という場合は、クライアント端末で動作するOSを意味するものとする。また、「OS側からの書き込み(又は読み出し)要求信号」という場合も、OS側で動作するアプリケーションソフトがフィルタドライバに向けて発する要求信号を含むものとする。
ここで、一般的なネットワークブートシステムの基本原理について簡単に説明する。図6(a)及び図6(b)は、いずれも一般的なコンピュータシステムにおけるディスクアクセスの関係を説明するための図である。
以下、本発明にネットワークブートシステムの第1の実施態様について図面を参照して詳述する。
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態のネットワークブートシステムの基本構成を説明するための概念図である。図1(a)に示すように、このシステムは少なくとも1台のサーバ(ネットワークブートサーバ)10と、複数台のクライアント端末20(20a,20b,・・・)とがネットワークを介して接続されている。また、図1(b)に示すように、システムサーバ10は物理ディスク(例えばハードディスク)11を備えている。そのほか、システムサーバ10は図示しないCPUやメモリーなどサーバとしての基本的な構成を備えている。さらに、あるクライアント端末20aは、ローカルディスク21aを備えている。但し、システム全体の中の一部に「ローカルディスクを持たないクライアント端末」が含まれていても構わない。
図3(a)及び図3(b)は、クライアント端末側のディスク構成を示した図である。この図に示すように、クライアント端末は、ローカルディスク21aと仮想ディスク(Vdisk)22aとから構成される。
図3(a)は物理ディスクの構成を説明するための図である。物理ディスクは、クライアント端末側に直接接続されたローカルディスクであって、この実施形態においては、少なくとも3つの領域(パーティション)に分けられている。
図3(c)は、第1のパーティションP1に割り当てる機能の一例を説明するための図であり、以下の(i)〜(iii)の各説明に対応するものである。なお、第1のパーティションP1はクライアント端末側のOSにとって論理ドライブ或いはファイルやディレクトリとして認識されるのに対して、第2及び第3のパーティションP2及びP3は論理ドライブ或いはファイルやディレクトリといったアプリケーションのレベルで認識されるものではなく、ローカルディスク上のセクタ或いはクラスタといった物理的なレベルで認識されるものにとどまる。
物理ディスクの第1のパーティションP1には、必要に応じて、クライアント端末側OSの「スワップ領域」や、「書き込みキャッシュ」や「クライアント端末側で動作するアプリケーションソフトのワークエリア」などを割り当てることができる。なお、第1のパーティションP1は、本発明において必須のものではないが、これを設けるといずれもクライアント端末の処理能力が向上する利点がある。
「スワップ」とはクライアント端末の物理メモリの不足分を補うためにローカルハードディスクの一部をメモリのように使用するOSの機能の一つである。スワップ動作とは、ハードディスク上に「スワップ領域」を用意して、メモリ容量が不足してきたら使われていないメモリ領域の内容を一時的にハードディスクに退避させ、必要に応じてメモリに書き戻す動作のことを言う。そうした機能を用いて確保された実際のメモリ容量以上のメモリ領域を「仮想メモリ」という。クライアント端末がディスクレスの場合、クライアント端末側にスワップ領域を設けることができないため、メモリからあふれたデータは全てサーバ側のスワップ領域に送られることになり、サーバのリソースを消費すると共にネットワークの負荷がかかる原因ともなっていた。しかし、本発明に係るネットワークブートシステムのクライアント端末はローカルディスクを備えているため、物理領域の一部にスワップ領域を確保できることとなる。このようにネットワークを介してサーバ側でスワップ動作することを回避できる利点は大きい。
クライアント端末側のOS等40から書き込み要求信号がフィルタドライバ46に送られた場合、その書き込みデータをローカルディスクの物理領域にキャッシュする、いわゆる「書き込みキャッシュ」として用いることができる。なお、「書き込みキャッシュ」は「読み出しキャッシュ」としても用いることができる(但し、「読み出しキャッシュ」として読み出されるキャッシュデータはユーザーデータなどの書込みが行われた後のデータが含まれる。)。これにより、クライアント端末の更新情報(ユーザーデータなど)をクライアント端末側に保存できるため、ネットワーク負荷を軽減する利点がある。
クライアント端末側で動作するアプリケーションソフトのワークエリアを割り当てることにより、ネットワーク負荷を軽減する利点がある。
物理ディスクの第2のパーティションP2には、「読み出しキャッシュ領域」が割り当てられる。この領域P2の使用方法については「[4]システムの動作」において説明するが、ここでは、この領域には書き込みが行われた後のデータを一切保存しないことが重要でありこの意味において「(i)b.書き込みキャッシュ」において説明したものとは技術的意義が全く異なるものである。
物理ディスクの第3のパーティションP3には、「キャッシュ管理領域」が割り当てられる。この領域P3の使用方法については後述の「[4]システムの動作」において説明する。
図3(b)は、仮想ディスクの構成を示した図である。仮想ディスクはクライアント端末上のOSから認識されるものであるが、その実体はサーバ上のハードディスクの一部であって、この実施形態においては、全体が少なくとも2つの領域(パーティション)に分けられている。第1のパーティション(これを「V1」という。)は、クライアント端末側のOSによって認識される論理ドライブ(例えば、「Cドライブ」)となるが、第2のパーティション(これを「V2」という。)は、クライアント端末側のOSによって認識されない領域となる。第2のパーティションV2には、仮想ディスクの更新履歴情報などが記憶され、そして専用のツールによりサーバ上でディスクイメージ更新のたびごとにサーバ側のプログラムによって更新情報などが書き込まれる。
サーバ側ディスクへのディスクイメージの格納方法には、シェアーモードとプライベートモードの2つがある。シェアーモードは、全てのクライアント端末に共通のディスクイメージ1つと各クライアントごとの書き込みデータ(これを「ライトバックキャッシュデータ」という。)を必要数分だけ保存する構成である。一方、プライベートモードはクライアント端末と同数のディスクイメージを保存する構成である。前者はディスクの利用効率が高いなどの利点があり、後者はクライアントごとに異なるOSを提供したり、一つのクライアント端末で異なる動作環境を使い分けて使用できるなどの利点がある。
(1)「リードキャッシュドライバ」の基本動作
はじめに、「リードキャッシュドライバ」の基本動作について説明する。図2において、「クライアントOS(アプリケーション)」40を起点として、ローカルディスク21a及び仮想ディスク22aに向かう実線矢印は、読み出し又は書き込み要求信号(リクエスト信号)を意味している。この信号を受けた後、デバイスドライバはそれぞれのディスクと通信してデータの授受を行う。要求信号に隣接した一点鎖線の両矢印はデータ授受を表している。例えば、読み出し要求信号であればその後ディスク側からデータが読み出されてOS側に送出され、逆に書き込み要求信号であればその後OS側からディスク側にデータが送出されディスクに書き込まれる。
クライアント端末側のOS(又はアプリケーションソフト)40が「読み出し要求信号」を送出した場合、リードキャッシュドライバ50はフィルタドライバ46よりも先にこの「読み出し要求信号」を受け取ることになる。この場合は、「キャッシュ管理テーブル」を用いて物理ディスクの第2のパーティションP2に割り当てられている「読み出しキャッシュ領域」に記憶されているデータが存在しているか否か及び存在している場合はそのデータが書き込み済であるかどうかを判断し、もし書き込み済でない場合には、直ちにその読み出しキャッシュデータをOSに返す。しかし、読み出しキャッシュデータが書き込み済である場合又は読み出しキャッシュデータが存在しない場合には、リードキャッシュドライバ50は受け取った「読み出し要求信号」をそのまま後段のフィルタドライバ46に送る。なお、フィルタドライバ46が「読み出し要求信号」を受け取った場合は通常通りネットワークドライバ48を通じてサーバ側からデータの読み出しを行う。
上記(i)の場合、最終的にはサーバ側から読み出したデータがフィルタドライバ46及びリードキャッシュドライバ50をこの順序で通過してOS側40に送出されることになる。その際、リードキャッシュドライバ50は物理ディスクの第2のパーティションP2に割り当てられている「読み出しキャッシュ領域」にフィルタドライバ46が読み取ったデータをコピーすると共に、物理メモリ上のキャッシュ管理テーブルのフラグを変更して読み出しキャッシュデータが読み出し済の状態であることを記憶する。
クライアント端末のOS(又はアプリケーションソフト)40が「書き込み要求信号」を送出した場合、リードキャッシュドライバ50はフィルタドライバ46よりも先にこの「書き込み要求信号」を受け取る。しかし、「書き込み要求信号」をリードキャッシュドライバ50が受け取った場合には、リードキャッシュドライバは特に何もせずにこの「書き込み要求信号」をそのまま後段のフィルタドライバ46に送る。なお、フィルタドライバ46が「書き込み要求信号」を受け取った場合は通常通りネットワークドライバ48を通じてサーバ側にデータの書き込みを行う。
図4(a)は、「キャッシュ管理テーブル」を示している。キャッシュ管理テーブルは、ローカルディスク(物理ディスク)の読み取り単位ごとに2ビットの管理フラグを割り当て、以下に説明する2つの値(状態)を保持する。また、この管理フラグは物理メモリ上の非ページ領域(スワップ領域に退避されない領域)に確保する。
「キャッシュ管理テーブル」は2つの管理フラグを用いて読み出しキャッシュデータの状態を記憶する。これらのフラグの初期状態はいずれも0とする。
a.読み出し管理フラグ(0又は1)
b.書き込み管理フラグ(0又は1)
管理フラグは物理メモリの非ページ領域(スワップ領域に退避されない領域)に読み込まれるため、OSを再起動すればその内容はすべて消去される。しかし、読み出しキャッシュデータをOS再起動後も利用するためには、OS再起動前の読み出し管理フラグの状態を保持しておく必要がある。そこで、読み出し管理フラグの状態を物理ディスクの第3のパーティション(P3)の「キャッシュ管理領域」に定期的にバックアップする。このバックアップ動作はフィルタドライバに対するデータの読み出しや書き込み処理とは非同期に行ってよい。但し、同期漏れ(同期間隔の間に更新されること)があっても、そのセクタについては読み出しキャッシュデータの利用を断念し、後段のフィルタドライバに処理を委任する。これは、読み出しキャッシュであるため、状態Iに遷移して再度サーバ側ディスクイメージから読出しを行えばデータの不整合は生じないからである。
a.書き込み管理フラグ及び読み出し管理フラグが共に0の場合には、読み出しキャッシュデータが存在しないため、リードキャッシュドライバ50はOS側40からの読み出し要求信号の処理を後段のフィルタドライバ46に委任すると共に、フィルタドライバ46が受け取ったデータを読み出しキャッシュパーティション(P2)にコピーして読み出し管理フラグを0から1に変更する。(状態I→状態II)
b.書き込み管理フラグが0であって、読み出し管理フラグが1の場合(状態II)には、リードキャッシュドライバ50はOS等40からの読み出し要求信号に対して読み出しキャッシュデータから読み出したデータを応答する。
c.書き込み要求信号を受け取った場合は、読み出しキャッシュデータを利用せず、リードキャッシュドライバ50は常に後段のフィルタドライバ46に書き込み要求信号をスルーさせ、以後の処理は後段のフィルタドライバ46に委任すると共に書き込み管理フラグを0から1に変更する(状態II→状態III)。また、OS起動後、一度も読み込みが行われていない領域に、書き込みが行われた場合は、読み出し管理フラグ及び書き込み管理フラグが共に0の状態から、書き込み管理フラグのみを1に変更する(状態I→状態IV)。書き込み管理フラグに1がたっている時(状態III及び状態IV)は、読み出しキャッシュデータを使用してはならない。
d.サーバ側のイメージデータが更新されている場合やキャッシュデータが破損した場合等は、読み出し管理フラグと書き込み管理フラグの両方を0に変更する。
以上のような構成により、ネットワークブートを1度行ったクライアント端末が多数存在している場合は、2度目以降の起動はネットワークを経由せずローカルディスクのキャッシュデータを用いて起動することができるため、ネットワーク負荷を劇的に軽減することができる。
図5は第1の実施形態の変形例を示しており、読み出しキャッシュを主体としつつ、書き込みキャッシュを補助的に用いたこのシステムにおけるディスクアクセスの関係を説明した図である。この場合、書き込みが行われた場合の情報についてもローカルディスクに設けられた書き込みキャッシュによってネットワークアクセス無しにOS側に応答することができる。このような構成は本システムに特有の構成であり、その効果は上述の通り極めて大きいものである。
仮想ディスクは実体がサーバ側に存在するためセキュリティ上の問題は殆ど無いが、クライアント端末に直接接続されたローカルディスク(物理ディスク)に読み出しキャッシュデータ或いはライトキャッシュデータをクライアント端末側に保存することは、データをサーバ側で集中管理することを特徴とするネットワークブートシステムにおいて、セキュリティの脆弱部となる可能性がある。特に、物理ディスクの第1パーティションはOS上でドライブとして認識されるものであることを踏まえると、この部分はドライブ或いはディスク全体を暗号化しておくことが望ましい。物理ディスクの第2及び第3のパーティションは、セクタやクラスタレベルで扱われるものであるため、暗号化の必要性は第1のパーティションよりは小さいが、ローカルディスクごと盗難される場合などに備えて、暗号化しておくことが好ましい。
Claims (8)
- クライアント端末上で動作するオペレーティングシステムを提供するネットワークブートサーバと、物理的な記憶装置を備えたクライアント端末とがネットワークを通じて接続され、
前記クライアント端末は、前記オペレーティングシステム起動中に必要なデータを一時的に保存することができる物理メモリと、前記ネットワークを介して前記サーバにアクセスするためのネットワークインターフェースとを備えていると共に、
前記オペレーティングシステムは、
前記ネットワークインターフェースを駆動するためのネットワークドライバと、前記クライアント端末のローカルバスに対するアクセスを前記ネットワークに対するアクセスに変換するためのフィルタドライバと、前記記憶装置を駆動するためのリードキャッシュドライバを備えており、
前記リードキャッシュドライバが、前記クライアント端末から読み出し要求信号を受けた際には前記フィルタドライバによって前記サーバから読み出されたデータを前記記憶装置の読み出しキャッシュ領域にキャッシュデータとして保存し、
前記読み出しキャッシュ領域に対して書き込み要求信号を受けた際には書き込み要求信号を受けたことを記憶すると共にその領域に対するキャッシュデータを使用しないように制御することを特徴とするネットワークブートシステム。 - 前記クライアント端末は、前記リードキャッシュドライバが前記サーバから読み出されたデータが書き込み済であるか否かを判別するための管理フラグを前記物理メモリに保持することを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
- 前記クライアント端末は、前記リードキャッシュドライバが前記サーバから読み出されたデータが書き込み済であるか否かを判別するための管理フラグを前記物理メモリに保持すると共に、
前記記憶装置は、前記物理メモリに保持されている管理フラグの少なくとも一部を書き戻すためのキャッシュ管理領域を備えていることを特徴とする請求項2記載のネットワークブートシステム。 - 前記記憶装置は、前記物理メモリに記憶されているデータの一部を一時的に保存するためのスワップ領域を備えていることを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
- 前記記憶装置は、前記サーバに対して書き込みを行ったデータを保存することが許容された書き込みキャッシュ領域を備えていることを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
- 前記記憶装置は、前記オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションソフトのワークエリアを備えていることを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
- 前記サーバは前記クライアント端末が用いるオペレーティングシステム、アプリケーションソフトその他のデータを保持するための仮想ディスクを具備し、前記仮想ディスクはその更新情報を保持するための領域を備えていると共に、前記仮想ディスクが更新された場合には、前記記憶装置にキャッシュされている全てのデータを使用しないことを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
- 前記記憶装置は一部又は全部が暗号化されていることを特徴とする請求項1記載のネットワークブートシステム。
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