以下に、本発明にかかる商品発注量計算装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。
まず、本実施の形態にかかる商品発注量計算装置100の構成について図1を参照して説明する。図1は、商品発注量計算装置100の構成を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。商品発注量計算装置100は、当該商品発注量計算装置を統括的に制御するCPU等の制御部102と、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して当該商品発注量計算装置をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部104と、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部106と、入力装置112や出力装置114に接続する入出力インターフェース部108と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
なお、ネットワーク300は、商品発注量計算装置100と外部システム200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN等である。また、外部システム200は、ネットワーク300を介して商品発注量計算装置100と相互に通信可能に接続され、商品に関する出荷実績または販売実績である出荷販売実績や各種パラメータ等に関する外部データベースや、商品の基準在庫量や発注量を計算するための外部プログラム等を提供する機能など、を有する。また、外部システム200はWEBサーバやASPサーバ等として構成してもよく、そのハードウェアは一般に市販されるワークステーションやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置で構成してもよい。また、外部システム200の各機能は外部システム200のハードウェア構成中のCPUやディスク装置やメモリ装置や入力装置や出力装置や通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等で実現される。
記憶部106は、ストレージ手段であり、例えば、RAM、ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、図示の如く、出荷販売計画ファイル106a、ランク別パラメータ等ファイル106b、基準在庫量等ファイル106c、出荷販売実績等ファイル106d、ランク別出荷販売比等ファイル106e、商品別実日出荷販売実績ファイル106f、を格納する。
出荷販売計画ファイル106aは、商品に関する期間単位(例えば月単位)の出荷計画(出荷金額、出荷数量)または商品に関する期間単位の販売計画(販売金額、販売数量)である出荷販売計画を格納する。ここで、出荷販売計画ファイル106aに格納される情報について図2を参照して説明する。図2は、出荷販売計画ファイル106aに格納される情報の一例を示す図である。図2に示すように、出荷販売計画ファイル106aは、全商品に関する出荷販売計画と、定番商品に関する出荷販売計画と、特売商品に関する出荷販売計画と、を期間ごと(例えば月度ごと)に相互に関連付けて格納する。
図1に戻り、ランク別パラメータ等ファイル106bは、商品の基準在庫量を調整するためのパラメータであるランク別パラメータなどを格納する。ここで、ランク別パラメータ等ファイル106bに格納される情報について図3を参照して説明する。図3は、ランク別パラメータ等ファイル106bに格納される情報の一例を示す図である。図3に示すように、ランク別パラメータ等ファイル106bは、全商品に関する出荷販売計画と、定番商品に関する出荷販売計画と、特売商品に関する出荷販売計画と、全商品に関する在庫計画と、定番商品に関する在庫計画と、特売商品に関する在庫計画と、ランク別パラメータと、をランクごとに相互に関連付けて格納する。
図1に戻り、基準在庫量等ファイル106cは、商品の基準在庫量(最大在庫量)や、所定の時点から所定の日数が経過した時点において想定される商品の在庫量である想定在庫量、商品の発注量を格納する。ここで、基準在庫量等ファイル106cに格納される情報について図4を参照して説明する。図4は、基準在庫量等ファイル106cに格納される情報の一例を示す図である。図4に示すように、基準在庫量等ファイル106cは、商品名や商品コードなど商品を一意に識別するための商品識別情報と、基準在庫量と、想定在庫量と、発注量と、を相互に関連付けて格納する。
図1に戻り、出荷販売実績等ファイル106dは、商品に関する期間単位(例えば月単位)の出荷実績(出荷金額、出荷数量)または商品に関する期間単位(例えば月単位)の販売実績(出荷金額、出荷数量)である出荷販売実績などを格納する。ここで、出荷販売実績等ファイル106dに格納される情報について図5を参照して説明する。図5は、出荷販売実績等ファイル106dに格納される情報の一例を示す図である。図5に示すように、出荷販売実績等ファイル106dは、全商品に関する出荷販売実績と、定番商品に関する出荷販売実績と、特売商品に関する出荷販売実績と、全商品に関する出荷販売実績における定番商品に関するものと特売商品に関するものとの比である定番特売出荷販売比と、を期間ごと(例えば月度ごと)に相互に関連付けて格納する。
図1に戻り、ランク別出荷販売比等ファイル106eは、全商品に関する出荷販売実績と所定の指標に付き設けた各々のランクに属する商品に関する出荷販売実績との比であるランク別出荷販売比や、各々のランクに属する商品の在庫率であるランク別在庫率などを格納する。ここで、ランク別出荷販売比等ファイル106eに格納される情報について図6を参照して説明する。図6は、ランク別出荷販売比等ファイル106eに格納される情報の一例を示す図である。図6に示すように、ランク別出荷販売比等ファイル106eは、全商品に関する出荷販売実績と、定番商品に関する出荷販売実績と、特売商品に関する出荷販売実績と、全商品に関する在庫実績と、定番商品に関する在庫実績と、特売商品に関する在庫実績と、ランク別出荷販売比と、ランク別在庫率と、をランクごとに相互に関連付けて格納する。
図1に戻り、商品別実日出荷販売実績ファイル106fは、商品に関する実日の出荷販売実績である商品別実日出荷販売実績を格納する。ここで、商品別実日出荷販売実績ファイル106fに格納される情報について図7を参照して説明する。図7は、商品別実日出荷販売実績ファイル106fに格納される情報の一例を示す図である。図7に示すように、商品別実日出荷販売実績ファイル106fは、商品識別情報と、実日出荷販売実績(実日出荷販売金額、実日出荷販売数量)と、対応するランクと、を相互に関連付けて格納する。なお、各々のランクに属する商品に関する実日の出荷販売実績であるランク別出荷販売実績は、商品別実日出荷販売実績ファイル106fに格納された情報をランクごとに集計することで作成することができるので、商品別実日出荷販売実績ファイル106fに格納されているものとする。
図1に戻り、通信インターフェース部104は、商品発注量計算装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
入出力インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114に接続する。ここで、出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下で、出力装置114をモニタとして記載する場合がある。)。また、入力装置112には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、図示の如く、大別して、出荷販売計画取得部102aと、出荷販売計画分割部102bと、ランク別パラメータ計算部102cと、基準在庫量計算部102dと、基準在庫量妥当性評価部102eと、ランク別パラメータ調整部102fと、発注量計算部102gと、発注実行部102hと、指標設定部102iと、ランク設定部102jと、ランク別出荷販売実績等集計部102kと、ランク別出荷販売比等計算部102mと、頻度・数量着目出荷販売実績集計部102nと、境界値設定部102pと、出荷販売実績分割部102qと、定番特売出荷販売比計算部102rと、を備えている。
出荷販売計画取得部102aは、全商品に関する出荷販売計画を取得する。出荷販売計画分割部102bは、出荷販売計画取得部102aで取得した出荷販売計画が特売商品に関するものを含む場合に、当該出荷販売計画および記憶部106で記憶した定番特売出荷販売比に基づいて、当該出荷販売計画を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割する。
ランク別パラメータ計算部102cは、出荷販売計画取得部102aで取得した出荷販売計画(具体的には、出荷販売計画分割部102bで分割した定番商品に関する出荷販売計画)ならびに記憶部106で記憶したランク別出荷販売比、ランク別在庫率およびランク別実日出荷販売実績に基づいてランク別パラメータを計算する。ここで、ランク別パラメータ計算部102cは、ランク別出荷販売計画作成部102c1と、ランク別在庫計画作成部102c2と、準ランク別パラメータ計算部102c3と、をさらに備えている。ランク別出荷販売計画作成部102c1は、出荷販売計画およびランク別出荷販売比に基づいて当該出荷販売計画をランクごとに分割することで、各々のランクに属する商品に関する出荷販売計画であるランク別出荷販売計画を作成する。ランク別在庫計画作成部102c2は、ランク別出荷販売計画作成部102c1で作成したランク別出荷販売計画およびランク別在庫率に基づいて、各々のランクに属する商品に関する在庫計画であるランク別在庫計画を作成する。準ランク別パラメータ計算部102c3は、ランク別在庫計画作成部102c2で作成したランク別在庫計画およびランク別実日出荷販売実績に基づいてランク別パラメータを計算する。
基準在庫量計算部102dは、ランク別パラメータ計算部102cで計算したランク別パラメータおよび記憶部106で記憶した商品別実日出荷販売実績に基づいて、商品の基準在庫量を計算する。なお、後述するランク別パラメータ調整部102fでランク別パラメータを調整した場合には、基準在庫量計算部102dは、当該調整した後のランク別パラメータおよび記憶部106で記憶した商品別実日出荷販売実績に基づいて、商品の基準在庫量を再度計算してもよい。
基準在庫量妥当性評価部102eは、基準在庫量計算部102dで計算した基準在庫量の妥当性を評価する。ランク別パラメータ調整部102fは、基準在庫量妥当性評価部102eでの評価結果に基づいて、ランク別パラメータ計算部102cで計算したランク別パラメータを調整する。
発注量計算部102gは、基準在庫量計算部102dで計算した基準在庫量および記憶部106で記憶した想定在庫量に基づいて、商品の発注量を計算する。発注実行部102hは、発注量計算部102gで計算した発注量に基づいて、商品の発注を実行する。
指標設定部102iは、所望の指標(例えば出荷販売件数や出荷販売頻度、1日あたりの出荷販売数量、出荷販売量、配荷店数、1回あたりの出荷販売数量(POS)、出荷販売金額、出荷販売日数、曜日波動など)を利用者に設定させる。ランク設定部102jは、指標設定部102iで設定された指標に対して所望の複数のランクを利用者に設定させる。ランク別出荷販売実績等集計部102kは、予め取得した出荷販売実績および商品に関する在庫実績ならびに指標設定部102iで設定された指標およびランク設定部102jで設定された複数のランクに基づいて、当該出荷販売実績および当該在庫実績をランクごとに集計する。ランク別出荷販売比等計算部102mは、ランク別出荷販売実績等集計部102kでの集計結果に基づいて、ランク別出荷販売比およびランク別在庫率を計算する。
頻度・数量着目出荷販売実績集計部102nは、予め取得した出荷販売実績を、商品の出荷頻度または販売頻度である出荷販売頻度と商品の出荷数量または販売数量である出荷販売数量との関係に着目して集計する。境界値設定部102pは、頻度・数量着目出荷販売実績集計部102nでの集計結果に基づいて出荷販売頻度の極小値を検索し、検索した極小値に対応する出荷販売数量を、出荷販売実績を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割する際の境界値として設定する。出荷販売実績分割部102qは、境界値設定部102pで設定した境界値および出荷販売実績に基づいて、当該出荷販売実績を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割する。定番特売出荷販売比計算部102rは、出荷販売実績分割部102qで分割した定番商品に関する出荷販売実績および特売商品に関する出荷販売実績に基づいて、定番特売出荷販売比を計算する。
以上の構成において、商品発注量計算装置100の制御部102が行うメイン処理などを、図8などを参照して説明する。図8は、制御部102が行うメイン処理の一例を示すプロ−チャートである。なお、本説明では、記憶部106の所定の記憶領域に、ランク別出荷販売比とランク別在庫率とランク別実日出荷販売実績と商品別実日出荷販売実績と想定在庫量と定番特売出荷販売比とが予め格納されているものとする。
まず、制御部102は、出荷販売計画取得部102aで、特売商品(新商品を含む)を含む全商品に関する期間単位の出荷販売計画を取得し、取得した出荷販売計画を出荷販売計画ファイル106aの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−1)。なお、出荷販売計画に関しては人為的要素が大きく、定番商品に関する出荷販売計画は或るレベルで均衡していくが特売商品や新商品に関する出荷販売計画は人が意思を持って作成するものなので、装置内で一律に設定することは妥当でないと考え、利用者が作成したものを取り込む。
つぎに、制御部102は、出荷販売計画分割部102bで、ステップSA−1で取得した出荷販売計画および記憶部106の所定の記憶領域に格納した定番特売出荷販売比に基づいて、当該出荷販売計画を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割し、分割した定番商品に関する出荷販売計画および特売商品に関する出荷販売計画を出荷販売計画ファイル106aの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−2)。つまり、定番特売出荷販売比を適用して、全商品に関する月次の販売計画から、定番商品に関する販売計画と特売商品に関する販売計画とを求める。なお、定番特売出荷販売比は、過去実績を分析してデータベース化しておくが、年間の過去実績が蓄積できれば前年同月の定番特売出荷販売比が活用できるようになるので、導入後一年も経過すれば分割精度はより向上する。
ここで、ステップSA−1では全商品に関する出荷販売計画の他に特売商品に関する出荷販売計画も併せて取得してもよい。なお、ステップSA−1で特売商品に関する出荷販売計画も取得した場合には、ステップSA−2では全商品に関する出荷販売計画から特売商品に関する出荷販売計画を差し引くことで、定番商品に関する出荷販売計画を分割する。
つぎに、制御部102は、ランク別パラメータ計算部102cで、ステップSA−2で分割した定番商品に関する出荷販売計画ならびに記憶部106の所定の記憶領域に格納したランク別出荷販売比、ランク別在庫率およびランク別実日出荷販売実績に基づいてランク別パラメータをランクごとに計算し、計算したランク別パラメータをランク別パラメータ等ファイル106bの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−3:ランク別パラメータ計算処理)。
ここで、ランク別パラメータ計算部102cが行うランク別パラメータ計算処理の一例について、図9を参照して説明する。図9は、ランク別パラメータ計算部102cが行うランク別パラメータ計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ランク別パラメータ計算部102cは、ランク別出荷販売計画作成部102c1で、定番商品に関する出荷販売計画およびランク別出荷販売比に基づいて当該出荷販売計画をランクごとに分割することで、定番商品に関するランク別出荷販売計画をランクごとに作成し、作成したランク別出荷販売計画をランク別パラメータ等ファイル106bの所定の記憶領域に格納する(ステップSB−1)。具体的には、定番商品に関する出荷販売計画とランク別出荷販売比とを掛け算することで、定番商品に関するランク別出荷販売計画をランク数分作成する。
つぎに、ランク別パラメータ計算部102cは、ランク別在庫計画作成部102c2で、ステップSB−1で作成した定番商品に関するランク別出荷販売計画およびランク別在庫率に基づいて、定番商品に関するランク別在庫計画(ランク別出荷販売計画に連動したランク別在庫計画)をランクごとに作成し、作成したランク別在庫計画をランク別パラメータ等ファイル106bの所定の記憶領域に格納する(ステップSB−2)。具体的には、定番商品に関するランク別出荷販売計画とランク別在庫率とを掛け算することで、定番商品に関するランク別在庫計画をランク数分作成する。ここで、ランク別パラメータは、導入最初の段階で作成しておけばよく、それ以降は、作成済みのものを自動で判断してランク別パラメータを適宜変更する。また、ランク別在庫率は過去の出荷販売実績に基づいて計算し(導入先固有の目標値をさらに加味して計算してもよい)、データベースとして記憶部106に予め記憶させておくが、ランク別在庫率と全体の在庫率との関係を明らかにしておく必要がある。ランク別在庫率のメンテナンスは行わなくてもよい。ランク別在庫計画を集計して、全体の在庫計画を作成してもよい。また、出荷販売計画の中には、定番商品の出荷販売見込み・特売商品のような特別要因による出荷販売見込み・新商品の出荷販売見込みなど幾つかの出荷販売見込みが混在しているのが一般的である。そのため、このような出荷販売計画から定番商品に関するものを抽出して、在庫計画に反映させることが望ましい。ただし、在庫としては定番商品・特売商品といった区別無く保有していなければならないので、全体の出荷販売計画の中から特売商品や新商品のものを排除しつつ、全体として適正な在庫水準を維持させる必要がある。
つぎに、ランク別パラメータ計算部102cは、準ランク別パラメータ計算部102c3で、ステップSB−2で作成した定番商品に関するランク別在庫計画(出荷販売計画に連動した在庫保有計画)およびランク別実日出荷販売実績(本メイン処理を行う前に記憶部106に格納した最新のランク別実日出荷販売実績)に基づいて、ランク別パラメータをランクごとに計算し、計算したランク別パラメータをランク別パラメータ等ファイル106bの所定の記憶領域に格納する(ステップSB−3)。具体的には、定番商品に関するランク別在庫計画をランク別実日出荷販売実績で割り算することで、ランク別パラメータを計算する。
なお、ランク別パラメータ計算部102cは、例えば以下の手順1から3に従ってランク別パラメータを計算してもよい。
(手順1)定番商品に関する期間単位の出荷販売計画と利用者が予め設定した期間単位の在庫率とを掛け算することで、定番商品に関する期間単位の在庫計画を作成する(図10参照)。なお、利用者が設定した在庫率は、「在庫金額÷販売金額/1」で絶えず検証する。
(手順2)定番商品に関する期間単位の在庫計画とランク別出荷販売比とを掛け算することで、定番商品に関するランク別在庫計画をランクごとに作成する。
(手順3)定番商品に関するランク別在庫計画をランク別実日出荷販売実績で割り算することで、ランク別パラメータを計算する。
これにて、ランク別パラメータ計算処理の一例についての説明を終了する。
ここで、ステップSA−2で分割した定番商品に関する出荷販売計画および特売商品に関する出荷販売計画を活用して、定番商品に関する在庫計画および特売商品に関する在庫計画を作成してもよい。具体的には、定番商品に関する在庫計画(月度の在庫金額)は、定番商品に関する出荷販売計画(月度の出荷販売計画)と利用者が予め設定した定番商品の在庫率とを掛け算することで作成する。特売商品に関する在庫計画(月度の在庫金額)は、在庫保持期間が短く一定の基準で切り分けることは難しいので、特売商品に関する出荷販売計画(月度の出荷販売計画)と、予め計算した特売商品の平均在庫率とを掛け算することで作成する。特売商品の平均在庫率は、予め計算した特売商品に関する平均在庫実績(期間内の平均在庫金額)を、定番商品および特売商品を含む全商品に関する出荷販売実績(月度の出荷販売実績)で割り算することで計算する。特売商品に関する平均在庫実績(平均在庫金額)は、全商品に関する出荷販売実績(月度の出荷販売実績)から計算する。計算した平均在庫率と営業日数とを掛け算して、特売商品の在庫保持期間を計算する。そして、定番商品に関する在庫計画(例えば在庫金額)と特売商品に関する在庫計画(例えば在庫金額)の和が、全商品に関する在庫計画(例えば月度の目標在庫金額)となる。
なお、特売商品については事前に発注して対応を図ることが基本であるので、特売商品の在庫計画を作成して特売商品を管理することに意味が無いと考えられるが、現時点での手持ちの全商品の在庫の中で占める特売商品の在庫を明らかにすることは必要であるので、特売商品の保有在庫量が許容されるレベルであるかどうかを判断する基準として特売商品の在庫水準を計算し、現状の保有在庫と比較する。また、定番商品に関する在庫計画は、機械でコントロールする基準在庫量となるが、特売商品に関する在庫計画は、保有在庫を評価する目安値となる。すなわち、特売商品は在庫保有期間が少ないため平均在庫を導入して目標値として計画を立てる。なお、特売商品の在庫計画は、商品ごとの在庫計画ではなく特売商品全体としての在庫計画である。これにより、在庫計画は、販売計画に連動して増減する。
また、定番商品の在庫率および特売商品の平均在庫率は同じ値を設定してもよい。また、作成した定番商品に関する在庫計画および特売商品に関する在庫計画は、図11に示すような在庫計画表として記憶部106に格納してもよい。なお、出荷販売実績が捕捉できた段階で当該出荷販売実績と出荷販売計画との差異を明らかにしておくために、当該差異を計算して図11に示す在庫計画表に格納してもよい。この差異は、差異分析を行うときの資料とする(図23参照)。
図8に戻り、制御部102は、基準在庫量計算部102dで、ステップSA−3で計算したランク別パラメータおよび記憶部106で記憶した商品別実日出荷販売実績に基づいて、商品の基準在庫量を計算し、計算した基準在庫量を基準在庫量等ファイル106cの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−4)。具体的には、ランク別パラメータと商品別実日出荷販売実績とを掛け算することで、商品の基準在庫量を計算する。なお、図24に示すように、ステップSA−4で計算した商品ごとの基準在庫量をランク単位で集計してもよい。
ここまでが基準在庫量の決め方についての説明であるが、本実施の形態にかかる商品発注量計算装置100によれば、例えば在庫管理単位の部門別販売計画を基にして在庫水準を決めてもよい。また、本実施の形態にかかる商品発注量計算装置100によれば、例えば毎月変動する販売計画を活用することで基準在庫量を決めてもよい。これにより、販売計画にスライドさせて基準在庫量を容易に設定することができる。
今までは、過去実績に基づいて日数パラメータを設定していたので、在庫金額は売り上げの変化に遅れて追随してきた。しかし、参照する週数が長いとそれまでの過去実績を反映して基準在庫量を計算するので、在庫過多になってしまい、在庫管理の実態に適応できるまでには相当な時間を要していた。
そこで、必要な在庫を保有するには販売計画に準拠した在庫計画が必要であるため、本実施の形態では、月度の販売計画に在庫率を掛けることで月度の在庫計画を作成する。また、基準在庫を計算し販売計画に合わせて在庫を自動的に変更させるために、本実施の形態では、販売計画に合わせて基準在庫を計算し、計算した基準在庫から新たなパラメータ(ランク別パラーメータ)を求め、求めたパラメータを使って商品別に在庫を設定し直す。
ここで、商品の基準在庫量を計算する際の留意点について説明する。基準在庫量として保有する在庫の中には、絶えず決め込む発注必要量に加えて、出荷の触れ幅分を併せ持つことが必要である。現状のパラメータから求められた商品の基準在庫量は、今までの在庫管理水準を反映しているに過ぎないので、ここに包含されるバッファー部分を明らかにすることで、さらに精度よく基準在庫量を計算することができる。具体的には、図12に示すように、想定発注量(予測出荷量(発注点量)+バッファーa)と見込み変動量(バッファーb)とを足し合わせることで、基準在庫量を計算する。これにより、バッファー部分の重みが明らかになり、さらに精度よく基準在庫量を計算することができる。なお、図12に示すように、バッファーには2種類あり、基準在庫量を決める上でのバッファーbと、発注量を決める上でのバッファーaとがある。バッファーbは、予測出荷量に加えて持つ見込み変動量である。バッファーaは、入荷までの販売変動を吸収するためのものである。バッファーbは、基準在庫量から予測出荷量(発注点量)を差し引いた値である。バッファーaは、出荷実績の集計から計算された出荷の触れ幅に関する平均値(1日分+α)である。
図8に戻り、制御部102は、基準在庫量妥当性評価部102eで、ステップSA−4で計算した基準在庫量の妥当性を評価する(ステップSA−5)。具体的には、商品の基準在庫量と商品の平均単価とを掛け算することで全商品の基準在庫金額の合計値を出し、当該合計値と在庫計画(例えばランク別在庫計画)との差異を求め、求めた差異を評価結果として出力する。
つぎに、制御部102は、ランク別パラメータ調整部102fで、ステップSA−5での評価結果に基づいて、ステップSA−3で計算したランク別パラメータを調整し、調整したランク別パラメータをランク別パラメータファイル106bの所定の記憶領域に上書きして格納する(ステップSA−6)。
つぎに、制御部102は、基準在庫量計算部102dで、ステップSA−6で調整したランク別パラメータおよび記憶部106で記憶した商品別実日出荷販売実績に基づいて、商品の基準在庫量を再度計算し、計算した基準在庫量を基準在庫量等ファイル106cの所定の記憶領域に上書きして格納する(ステップSA−7)。
ここで、基準在庫量の妥当性の評価、ランク別パラメータの調整および基準在庫量の再計算について詳細に説明する。ステップSA−4で計算した基準在庫量が妥当な量であるかを判断するために、本実施の形態では、基準在庫量に対して発注シミュレーションを行う。そして、発注シミュレーションの結果と照合して基準在庫量を決め、決めた基準在庫量が本来設定しているものと乖離があるかないかを判断し、必要に応じてランク別パラメータの調整を行う。
これまでの在庫管理システムでは、ランクごとに商品が分類されている商品管理基盤を作り、その分類の中にある商品に対して予め設定したパラメータを対応付け、基準在庫量や発注点などを決めていた。このように、パラメータは一度設定すれば後で殆ど触る必要がないと考えられていた。また、保有する在庫については販売量の変動に対して時間的に多少の遅れがあるものの時間の経過と共に販売量の変動に対応してくるので、パラメータの自動計算は不要であると考えられていた。ところが、実際は、販売計画に即して在庫を保有することが在庫管理を進める上で重要であり、またニーズが高いことも判明していた。しかし、販売計画に応じて在庫量を調節しようとした場合、パラメータを操作しなければ対応することができない。この“パラメータを操作する工程”は、多くの企業に在庫管理システムの導入を断念させる大きな要因であった。本来、在庫金額や在庫量は、企業の経営計画に基づいて決定されるべき戦略的要素の極めて高い経営の意思決定事項であるが、たとえ実際の経営計画が提示されても、従来の在庫管理システムは、パラメータを調整することなく過去実績に基づいて在庫を決めるので、最終的に在庫量や在庫金額を調整することはできなかった。そのため、従来の在庫管理システムでは、目標の在庫金額になるようにパラメータをマニュアルで操作・調整する必要があった。これに対し、本実施の形態では、パラメータを自動で調整することができるようにし、従来存在したパラメータをマニュアルで操作する工程を省いた。
具体的には、品切れが多い場合には、猶予率を事前に設定して、基準在庫量がその範囲内に収まるようにランク別パラメータを調整する。ここで、基準在庫量の設定には、上述したように2つのバッファーが内在しているので、基準在庫量が多い場合にはバッファー部分の値を引き下げる。なお、2つのバッファーのうち、バッファーaは日々の運用上のものでもあるので、通常はバッファーbに着目する。そして、目標金額と基準在庫金額の合計との間で差異がある場合には、この差異の部分はバッファーbに相当するので、その差異分バッファーbを引き下げる。
また、具体的には、日々の受注実績と基準在庫量との関係において、受注実績から特売実績を除いた定番商品の実績と基準在庫量とを絶えず比較し、基準在庫量の妥当性を評価する。日々の出荷実績が基準在庫量を超えることは考え難いが、実日の出荷実績との比較において、比較時点での実日の出荷実績と当日の出荷実績とを比較し、n%以上の乖離があった場合に利用者に対して喚起を促す。また、喚起を促すと共にレポートを作成するが、当該レポートにおいて乖離幅は任意設定とし、過去実績の分析から目安値を作成し、利用者に対して提供する。また、出荷実績を積算して例えば2日分の移動平均、3日分の移動平均、4日分の移動平均といったように、移動平均値を絶えず細かくしてレポートする。
また、一度計算したランク別パラメータに不都合が生じた場合には、商品別の基準在庫量とランク別の基準在庫量との差異を分析し、当該分析結果に応じてランク別パラメータを修正する。なお、この際、販売計画の他に、出荷予測値が必要である。例えば、商品別の基準在庫量と予測発注量とを比較し、基準在庫量が予測発注量を下回る場合には、差分について商品ごとに基準在庫量を修正する。例えば、基準在庫量をN%倍に修正する。
図8の説明に戻り、制御部102は、発注量計算部102gで、ステップSA−7で再計算した基準在庫量および記憶部106で記憶した想定在庫量に基づいて、商品の発注量を計算する(ステップSA−8)。具体的には、本出願人による特許出願である特開2006−178777号公報に記載の技術を用いて予め算出したN日後の想定在庫量(着荷日想定在庫量、予測想定在庫量)を基準在庫量から差し引くことで、発注量を計算する(図13参照)。これにより、発注点を持たずに、着荷日想定在庫量から発注量を計算することができる。詳細に述べると、本実施の形態では、発注点を持つ必要が無く、基準在庫量の中で任意に発注点が決まることが特徴である。現在時点から数日経過した時点での在庫量を予測し、その時点で在庫が無くなる場合に発注が起きる仕組みである。これにより、異なる納品リードタイムを持つ商品であっても同じ仕組みで発注量を的確に計算することができる。なお、発注は任意の時点で行う“不定期発注”になるが、次回の発注までの必要量と保有在庫量とを分析して発注の可否を決めるので、無駄な在庫は持たずに、今ある在庫が無くなる頃になると商品が到着するといった仕組みを構築することができる。商品の売れ行きは変化するので、発注点は利用者が決めたものではなく変動するものであることが特徴である。
例えば、栗きんとんや梅瓶、ラッキョウ酢などの季節性の高い商品は、特に季節性が高くあるときに販売数量が突然落ち込んでしまうという販売特性を有する。そのため、このような商品に関しては、季節性の高い商品であることをデータとして発注管理マスター(図14参照)に書き込んでおき、参照週数を直近の一週間にすることで、基準在庫量を下げることは可能であった。一方、基準在庫量として仮に単純な予測値を使ったとすると、当該予測値は過去実績の延長上にあるものなので、仮に過去実績が下がったとしても、それを極端に反映させた低い値として基準在庫量を提示することは困難である。しかし、本実施の形態で活用する特開2006−178777号公報に記載の技術では、予測値の算出方法として、指数平滑法および出荷のインターバルを読み込む方法から適切なものを判断して用いる。指数平滑法は“販売実績の低下に、直近の販売実績が重く反映させる”という特性を持っているので、販売が落ち込んだ時点での予測値を強く反映させるために平滑化定数を高めに持てば、予測値として算出した必要量が下がる。よって、このような予測を毎日繰り返えせば、実態とうまく合うようになる。このように、発注管理マスター上で季節性が高く要注意として区分されている商品であれば、予測手法を使うことで、その商品の販売実績が低下した時点で翌日からの予測値を強制的に下げ、必要以上に商品を確保しないようにすることができる。なお、発注管理マスターの様式は図14に示すようにメーカー単位を基本とするが、商品カテゴリー単位で発注日や納品リードタイムが異なる場合があるので、このような場合にも対応できるようにその様式を適宜変更する。発注管理マスターには、定期的な発注と不定期な発注の区分を持たせてもよい。
ここで、発注量の決め方について別の一例を説明する。予め決めたパラメータを活用して発注点を決める従来の手法では、需要の変化に合わせた適切な発注が必ずしも出来ていた訳ではなかった。例えば、需要の変化の度合いが激しい場合では、パラメータが変化しないと発注量への反映が遅くなり、場合によっては品切れになったり逆に在庫が過剰になってしまったりするといった状況が発生してしまう。そのため、従来の手法では、事前に想定していたほど思ったように商品の在庫が絞り込めないことがあり、適切な在庫量を維持しながら品切れの少ない発注を実現させるには無理があった。そこで、本実施の形態では、本出願人による特許出願である特開2006−178777号公報に記載の技術を用いて算出した近未来の販売量の予測値を活用して発注量を計算する。なお、特開2006−178777号公報に記載の技術では、指数平滑法とインターバル法の2つの予測値を算出する方法から適切なものを自動で判断して予測値を出す。これにより、いつでも最適な予測値を導き出すことができる。例えば、期間内の見込み販売量(予測値)とリードタイム相当分の出荷量と振幅量とを足し合わせることで、発注量を計算する。また、曜日別の出荷予測値を活用し、発注日に合わせて予定を先取りするために、例えば、出荷が毎日発生する商品の発注については、曜日別の出荷予測値をそのまま活用する。具体的には、図15に示すように、曜日別の予測値(図15に示す丸印)のリードタイム分の総和と、触れ幅としての安全値(図15に示すα)とを足し合わせることで発注データを作る。なお、触れ幅としての安全値は、実日の出荷実績(平均値)でもよい。また、例えば、出荷にインターバルのある商品(出荷頻度が週に1回程度以下である商品)の発注については、見込み出荷量を活用し、触れ幅としての安全値(図15に示すα)は用いずに、曜日別の予測値(図15に示す丸印)のリードタイム分の総和だけを足し合わせることで発注データを作る。
また、週間レベルの予測値を活用し、商品納入時点直前の在庫保有量を想定し、当該時点での品切れ対応を検討してもよい。出荷波動に関する最大値および最小値を抽出し、当該値の検証を行ってもよい。なお、特売商品の出荷実績は除いてあるので、ここでの出荷波動は定番商品のものを捕捉する程度で比較する。
図8に戻り、制御部102は、発注実行部102hで、ステップSA−8で計算した発注量に基づいて、商品の発注を実行する(ステップSA−9)。
これにて、制御部102が行うメイン処理の一例についての説明を終了する。
以上説明したように、商品発注量計算装置100は、出荷販売計画を取得し、取得した出荷販売計画および記憶した定番特売出荷販売比に基づいて、当該出荷販売計画を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割し、分割した定番商品に関する出荷販売計画ならびに記憶したランク別出荷販売比、ランク別在庫率およびランク別実日出荷販売実績に基づいてランク別パラメータを計算し、計算したランク別パラメータおよび記憶した商品別実日出荷販売実績に基づいて商品の基準在庫量を計算し、計算した基準在庫量の妥当性を評価し、評価結果に基づいてランク別パラメータを調整し、調整したランク別パラメータおよび商品別実日出荷販売実績に基づいて商品の基準在庫量を再度計算し、計算した基準在庫量および記憶した想定在庫量に基づいて、商品の発注量を計算する。これにより、今までは在庫管理システムの導入が難しかった企業などでも商品発注量計算装置100であれば導入することが可能になり、導入希望企業の規模やシステムの運用環境に依存せずにどんな所でも比較的簡便に導入することができる。また、メンテナンスを行わずに、需要変動に自動的に対応して発注量を計算することができる。
また、商品発注量計算装置100は、出荷販売計画およびランク別出荷販売比に基づいて当該出荷販売計画をランクごとに分割することで、ランク単位の出荷販売計画であるランク別出荷販売計画を作成し、作成したランク別出荷販売計画およびランク別在庫率に基づいて、商品に関するランク単位の在庫計画であるランク別在庫計画を作成し、作成したランク別在庫計画およびランク別実日出荷販売実績に基づいてランク別パラメータを計算する。
なお、記憶部106の所定の記憶領域に格納されているランク別出荷販売比とランク別在庫率は、商品発注量計算装置100で計算したものでもよい。具体的には、商品発注量計算装置100は、制御部102が行うランク別出荷販売比等計算処理により、指標を設定させ、設定された指標に対して複数のランクを設定させ、予め取得した出荷販売実績および在庫実績ならびに設定された指標および設定された複数のランクに基づいて、当該出荷販売実績および当該在庫実績をランクごとに集計し、集計結果に基づいてランク別出荷販売比およびランク別在庫率を計算し、計算したランク別出荷販売比およびランク別在庫率を記憶部106の所定の記憶領域に格納してもよい。
ここで、制御部102が行うランク別出荷販売比等計算処理の一例について図16を参照して説明する。図16は、制御部102が行うランク別出荷販売比等計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部102は、指標設定部102iで、予め用意した指標リストの中から所望の指標を利用者に1つだけ設定させる(ステップSC−1)。なお、指標リストでは、出荷販売件数、出荷販売数量、出荷販売金額、出荷販売頻度、配荷店数、出荷販売日数、1日あたりの出荷販売数量、1回あたりの出荷販売数量(例えばPOS(Point Of Sale)のレシートのデータ)、曜日波動などの指標を保有する。
つぎに、制御部102は、ランク設定部102jで、利用者に、ステップSC−1で設定された指標に対して複数のランクを設定させる(ステップSC−2)。なお、ステップSC−1において出荷販売頻度が指標として設定された場合、ステップSC−2では、図17に示すように複数のランク(出荷販売頻度の数値)を設定させてもよい。なお、ランクは一度決めてしまえば、それ以後は変更しなくても、図17に示すような商品分類ができる。
図16に戻り、制御部102は、ランク別出荷販売実績等集計部102kで、予め取得した出荷販売実績および在庫実績ならびにステップSC−1で設定された指標およびステップSC−2で設定された複数のランクに基づいて、当該出荷販売実績および当該在庫実績をランクごとに集計する(ステップSC−3:図6参照)。
図16に戻り、制御部102は、ランク別出荷販売比等計算部102mで、ステップSC−3での集計結果に基づいて、ランク別出荷販売比およびランク別在庫率を計算する(ステップSC−4:図6参照)。
ここで、図18に示す従来の2次元マトリクスは、商品を区分しその特性に応じてランクを決めるためのものとして優れたものである。しかし、当該マトリクスを活用する際には、導入先が管理するシステムに高度な対応力が要求され、また表面上の仕組みが複雑化してしまう。そのため、2次元マトリクスを活用したクラス分類の仕組みは、高度なシステムを持つ企業などでしか導入することができず、どこでも活用できるものではなかった。また、従来の2次元マトリクスでは分析軸(本実施の形態における“指標”に対応)が金額および頻度に固定されていた。つまり、事前に設定された分析軸でしか商品管理基盤を作ることができなかった。このため、従来の2次元マトリクスによるクラス分類の仕組みは、活用場面や導入先、業種などを限定していた。これにより、例えば自動発注システムの導入を検討している企業にとって当該マトリクスの分析軸が適当なものでない場合、当該企業は当該自動発注システムの導入を控えてしまう方向に進んでしまうので、本来であれば活用可能な業種や業態に対し導入の道を閉ざしてしまっていた。つまり、導入先を事前に絞り込んでしまっていた。業種によっては、金額および頻度といった分析軸から例えば出荷量や届け先件数などといった分析軸に変化させたほうが、マトリクスを活用したクラス分類の仕組みを効果的且つ実践的に活用することができると考えられる。また、出荷内容を吟味し新たな提案に活用するための分析では、従来の2次元マトリクスを使うことができなかった。
そこで、本実施の形態では、マトリクスを活用したクラス分類の仕組みを、導入先を選ばずどこでも活用できるように改良した。具体的には、図18に示すように複数の分析軸を設定するのではなく図17に示すように1つの分析軸に限定し、しかも活用場面や業種によって分析軸は多様であるので利用者が活用場面(分析開始時点)で分析軸を自由に選択設定することができるようにした。つまり、従来のマトリクスを簡素化する(シンプルマトリクスを活用する)ことで、機能性を維持しつつ更に簡便に活用できるようにし、活用場面を限定したり導入先を選んだりせずに容易にどこでも導入できるようにした。これにより、導入先の利用者が分析軸を自由に設定することができるので、導入先の業界において特有な出荷波動を捉えることができる。また、分析軸を自由に設定することができるので、発注以外にも様々な場面で活用することができ、例えば仮説の検証などで活用することができる。また、自由度を保ちながらその場で分析軸を設定できるので、分析機能が飛躍的に増大し、発注に活用する以外にも各種のデータが活用できるようになる。
なお、図18に示す従来の2次元マトリクスと図17に示す本実施の形態のマトリクスとを組み合わせたような図19に示す多次元のマトリクスを活用してもよい。これにより、固定されている2つの分析軸はそのままで、追加した分析軸はリストから自由に設定することができる。また、実際にデータ取りしながら評価することができ、実践上での新たな管理指標も見えてくる。つまり、分析機能を強化することができる。
これにて、制御部102が行うランク別出荷販売比等計算処理の一例についての説明を終了する。
また、商品発注量計算装置100は、制御部102が行う定番特売出荷販売比計算処理により、予め取得した出荷販売実績を出荷販売頻度と出荷販売数量との関係に着目して集計し、集計結果に基づいて出荷販売頻度の極小値を検索し、検索した極小値に対応する出荷販売数量を境界値として設定し、設定した境界値および出荷販売実績に基づいて、当該出荷販売実績を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割し、分割した定番商品の出荷販売実績および特売商品の出荷販売実績に基づいて定番特売出荷販売比を計算し、計算した定番特売出荷販売比を記憶部106の所定の記憶領域に格納してもよい。
ここで、制御部102が行う定番特売出荷販売比計算処理の一例について図20を参照して説明する。図20は、制御部102が行うランク別出荷販売比等計算処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部102は、頻度・数量着目出荷販売実績集計部102nで、予め取得した出荷販売実績を、出荷販売頻度と出荷販売数量との関係に着目して集計する(ステップSD−1)。具体的には、図21に示すように、商品の出荷販売数量を横軸とし商品の出荷販売頻度を縦軸として各出荷販売数量での出荷販売頻度を累積させることで、ヒストグラムを作成する。
図20に戻り、制御部102は、境界値設定部102pで、ステップSD−1での集計結果に基づいて出荷販売頻度の極小値を検索し、検索した極小値に対応する出荷販売数量を境界値として設定する(ステップSD−2)。具体的には、図21に示すヒストグラムの場合、出荷販売頻度の極小値が出現する箇所は1箇所のみで、当該極小値に対応する出荷販売数量は4であるので、境界値(図21に示す分岐点に対応)として4を設定する。
ここで、出荷販売数量を出荷販売数量単位で横軸に並べ、出荷販売数量ごとの出荷販売頻度を累積させた結果を縦軸とした図21に示すヒストグラムにおいて、出荷販売頻度の値は出荷販売数量が増加するにつれてなだらかに減少していくのが一般的である。ところがこの動きに逆らって、出荷販売数量が多いにも拘らず出荷販売頻度が増加する部分(出荷販売頻度が突出する部分)がヒストグラムに出現することがある。そして、当該突出部分が特売商品に相当する。この突出部分の出現位置は商品ごとに異なるので、全ての商品を同一の基準で切り分けることは無理である。しかし、全ての商品の出荷実績を集計すると図21のような変化を示すヒストグラムになるので、商品ごとにヒストグラムを描画し、突出部分を捕捉すれば、商品ごとに分岐点を設定することができ、これを境に出荷実績を定番商品のものと特売商品のものとに分割することができる。そこで、本実施の形態では、ステップSD−2において、ヒストグラムにおける突出部分の出荷販売頻度とその直前部分の出荷販売頻度との比がN倍以上または1/N倍以下になる場合に、当該直前部分に対応する出荷販売数量を分岐点(境界値に対応)として設定してもよい。具体的には、図22に示すヒストグラムの場合、販売個数が少ないほうから多いほうに向かって販売頻度がなだらかに低下し、販売個数が10と12のところで販売頻度が突出しているので、例えば販売頻度の突出部分の直前部分に対応する販売個数である7を分岐点として設定する。
なお、曜日と店名をマッチングさせ、その条件に整合した出荷実績を特売商品のものとして当該出荷実績から分ける手法と、本実施の形態にかかる境界値(分岐点)による手法とを組み合わせてもよい。これにより、定番商品と特売商品の管理をより精度よく行うことができる。
また、設定した境界値(分岐点)の妥当性について検証してもよい。具体的には、境界値(分岐点)以下の出荷販売数量に対応する出荷販売頻度の総和を全ての出荷販売頻度の総和で割り算することで、定番商品の出荷販売構成比を求め、この出荷販売構成比を商品のカテゴリーや特性など要素別に蓄積してデータベース化し、蓄積した出荷販売構成比に基づいて境界値(分岐点)を検証する。出荷販売構成比は、データベースとして一度作り込んでおけば常時活用することができ、変更の必要は無いので、利便性が高い。
図20に戻り、制御部102は、出荷販売実績分割部102qで、ステップSD−2で設定した境界値および出荷販売実績に基づいて、当該出荷販売実績を定番商品に関するものと特売商品に関するものとに分割する(ステップSD−3)。具体的には、図22に示したヒストグラムの場合、販売個数が少ないほうから多いほうに向かって販売頻度がなだらかに低下し、販売個数が10と12のところで販売頻度が突出しているので、当該突出している部分に対応する商品を特売商品とし、それ以外を定番商品として出荷販売実績を分割する。つまり、商品単位の期間内出荷実績を横に並べたヒストグラムから突出部分を明らかにし、突出部分に対応する商品を特売商品として抽出する。これにより、データベース上で保有する出荷販売実績に、特売商品に関するものと定番商品に関するものとが区別されて記録される。この実績を一年間保有していくと該当月における定番商品と特売商品の販売比率が捕捉できるようになる。なお、特売商品の平均在庫保有量に関しても、月間の特売商品の在庫と決めて販売計画から保有在庫量を計算すると、その残りが定番商品の在庫ということになる。
図20に戻り、制御部102は、定番特売出荷販売比計算部102rで、ステップSD−3で分割した定番商品の出荷販売実績および特売商品の出荷販売実績に基づいて、定番特売出荷販売比を計算する(ステップSD−4)。
ここで、商品の出荷の絶対量は商品ごとに異なるので、どれだけの出荷量であれば特売商品であるのかを決めることは難しかった。しかしながら、現状では、出荷量に関する一律の基準(抽出条件)で特売商品を抽出していた。また、データの入り口で出荷販売実績を定番商品のものと特売商品のものとに分割し、定番商品の出荷販売実績のみを発注の対象とする考え方が一般的な発注システムであるが、特売商品を抽出することは多くの企業にとって困難であった。そのため、企業は自動発注システムを導入したくても容易に踏み切れないといった事例が多くある。一方、特売商品を抽出できないと、発注の対象となるデータが必要以上に多くなってしまい、適切な発注量を維持することが困難になってしまう。また、今までは、特売商品の抽出を事前に行って作成した特売商品の抽出条件を活用して特売商品の抽出を行う仕組みであったので、当該抽出条件が適切でないと正しく特売商品を抽出することができず、結果的に全ての商品を対象としていた。これにより、結果的に発注システムの導入先が限られることになっていた。しかし、管理精度の高い企業でしか発注システムを活用できないとなると、導入のための環境要因としてのハードルが高くなり過ぎてしまう。
そこで、本実施の形態では、商品を選ばず又特定の基準に左右されずに、全ての商品を対象として出荷実績の変化の仕方(出荷波動)から特売商品を抽出する。換言すると、出荷実績の時系列分析から規則性を自動的に探し出して特売商品を抽出する。換言すると、全ての商品に関するデータを対象として入力した上で、機械が自動的に特売商品を抽出する。これにより、事前に特売商品を抽出しておかなくても全てのデータを対象として分析が開始できるとともに、分析を進める中で特売商品の販売波動を分析して全体のデータから特売商品のものを除くことができ、最適な発注環境をどこでも作れるようになる。
なお、出荷波動を抽出してそれをなだらかにすることによって、自動発注の導入環境が容易に構築できるようになるが、そのためには出荷波動中の突出部分をデータ入手時点で抽出できなければならない。また、予め企画した特売情報を事前に入手し、特売計画を特売計画マスターとして作っておき、商品名・日付・店名を抽出のキーとして実績データと特売計画とをマッチングさせ、条件に合致した実績を特売商品として抽出して当該実績にフラグを付けてもよい。また、出荷実績量で1回あたりの出荷量を比較して特売商品を抽出し、実績を分ける方法を活用して、1回あたりの期間出荷量平均(対称軸は、企業単位、曜日単位、単純平均といった項目を使い分けられるようにする。)に比べてN倍多いものを特売商品として抽出してもよい。なお、残った出荷実績は定番商品とする。また、店頭でのPOS実績が入手できる場合には、POS実績に付いている販売価格を、特売商品を抽出する際のキーとして活用してもよい。また、店頭では、時間帯で販売価格を変更する販売手法であるタイムサービスが行われるため、タイムサービスを実施した時間だけ販売実績の売り上げが高くなる現象が見られる。そこで、販売実績が、通常の基準価格と比較して一定の乖離率以上であった場合に、対応する販売実績を特売商品のものとして抽出してもよい。つまり、店頭では販売量を基準として特売商品を抽出することができないので、販売価格を特売抽出のキーとしてもよい。また、POS実績でジャーナルデータが入手可能な場合には、纏め買い商品を特売商品として抽出してもよい。なお、この場合、ジャーナルデータと販売時点での時間データとが必要である。
これにて、制御部102が行う定番特売出荷販売比計算処理の一例についての説明を終了する。