JP4802011B2 - 和装用帯板の下締め装置 - Google Patents
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Description
例えば、帯の裏面(内側)に装着する帯留め用のバンドを備えた帯板(特許文献1参照)などが提案されている。
また、帯枕、帯結びなどを固定するための止め紐を設けた帯板も各種提案されている。
また、帯の形自体は崩れなくても使用中に帯と帯板の全体が、帯の重みで下にずり下がることもある。
そのように一旦帯の着崩れが起きた場合には、着直しをすれば良いが、それには場所と時間が必要であり、その人の置かれた時間的又は場所的状況によっては着直しすることができない場合もある。
そこで本発明は、装着した帯が見苦しい形に崩れることがなく、たとえ帯の重みで帯が帯板と共に下がってしまっても着物の着直しせずに簡単に帯を見栄え良く調え直すことができ、さらにその帯の見栄えの良さをしばらく維持することが可能となる和装用帯板の下締め装置を提供することを目的とする。
また、使用者の胴部に巻いたとき両端部が結べる程度の長さを有する絞紐を該帯板の一方側の挿通孔から他方側の挿通孔に向って順に挿通し、該絞紐の両端部を一方側の挿通孔と他方側の挿通孔から突出させる。
そして、前記絞紐の両端を同時に引くと挿通孔が前記帯板の内面から起き上がって該帯板の下部を胴部に締め付けできるようにしたことを特徴とする。
また、使用者の胴部に巻いたとき両端部が結べる程度の長さを有する絞紐を該帯板の一方側の挿通孔から他方側の挿通孔に向って挿通し、該絞紐の両端部を一方側の挿通孔と他方側の挿通孔から突出させる。
そして、前記絞紐の両端を同時に引くと挿通孔が前記帯板の内面から起き上がって該帯板の下部を胴部に締め付けできるようにしたことを特徴とする。
このように、帯板の下辺を絞紐によって絞るため、図8の(イ)に示すように、帯板の上に巻かれる帯が、不恰好な下開き状態にはならず、必ず見栄えの良い上広がりの状態となり、その見栄えの良さが維持される。
また、バンドや止め紐などで固定した帯の結び目側の帯板に帯全体の荷重がかかるが、その荷重は絞紐で受け止められるので、使用中に帯板の後部が下がることがなくなり、この結果、着物を飾る帯結び部分と着物の背部分とに空間が開くほど後ろに垂れ下がしまうことと、使用中に帯の前上辺から帯板が露出することが同時に解消される。
さらに、使用中に帯と帯板の全体が、帯の重みでずり下がってしまった場合には、着物の着直しせずに絞紐を緩めて帯と帯板の全体を持ち上げ、最適位置で再度絞紐を絞って胴部に固定することによって、帯を簡単に調え直すことが可能となり、気軽に着物を着て外出できるようになる。
また、絞紐に係止具を装着した形態では、絞紐の絞り強の調節や、絞紐の両端部の固定が簡単にできるようになる。
なお、本発明では、絞紐によって胴部は締め付けられるが、帯板の上に巻いた帯や止め紐などが直接に胸を締め付けることがなくなり、胸の窮屈さが解消され呼吸が楽になる利点がある。
本発明に用いる和装用帯板自体は特に限定するものではないが、帯板は帯の前の形を調えるものなので、その材質はプラッスチックや発泡樹脂などの帯よりも多少硬質であって、しかも胴部に軽く巻ける程度の柔軟性を有し、長さは胴部着衣上の前半周程度から全周にわたる長さのものが使用できる。
そして、その帯板の内面などに各種止め紐などの補助的な構造を備えたものが提案されているが、それらの帯板が使用できる。
本発明は、図1に示すように、和装用の帯板1に、その左右両端部寄り部分を除く内面の下部辺縁1b寄り部位1aに、絞紐5が遊挿可能な挿通孔4を備えた数センチの長さの起伏体2を、5〜7個、該帯板1の下部辺縁1bに沿って一定に間隔を置いて設ける。
前記起伏体2は、前記挿通孔4を形成する筒状体6を、口径を大きくして該帯板1の内面からその大きい口径が細長く変形して帯板1の内面から一定の起伏幅Hに自由に起伏できるように形成する。
また、使用者の胴部に巻いたとき両端部5a、5bが結べる程度の長さを有する絞紐5を、該帯板1の一方側の挿通孔4から他方側の挿通孔4に向って順に挿通し、その両端部5a、5b寄り部分で絞紐5を繋げて縛ることができるように該絞紐5の両端部5a、5bを一方側の挿通孔4と他方側の挿通孔4から突出させておく。
そして、使用する際には、前記絞紐5の両端部5a、5bを同時に引いて、前記起伏体3の挿通孔4を備えた先端側が前記帯板1の内面から大きく起き上がって(図8の(ハ)に示す)、該帯板1の下部を窄めるようにし、前記起伏体2を内側へ引っ張るようにして絞紐5で胴部を締め付けできようにする。
前記絞紐5は、挿通孔4に挿通できて結束可能となる、紐、又は伸縮可能なゴムが織り込まれた紐などの各種材質の紐の使用が可能である。
これは、使用の際に、装着した前記起伏体2から帯板1の端部に突出した絞紐5を結ぶときに、重なった左右の帯板1端部と前記起伏体2の最端部寄り部分とが重なって帯板1が絞れなくなるのを妨ぎ、また絞紐5の両端部5a、5bを余裕をもって引き絞り、結ぶことができつるようにするためである。
さらに、前記起伏体2は、上記筒状を成す各種挿通孔4を上記のように前記帯板1の内面に数個を一定間隔を置いて設けるのではなく、前記帯板1の両端部から内側に少し距離を置いた帯板1下部の中央寄りの域内において、図4(挿通孔4の口径を大きくし筒状体6とした形態)及び図5(起伏体2の基部側に、先端側の挿通孔4を帯板1の内面から一定範囲自由に起伏可能とする繋ぎ布を配した係留部3を備えた形態)に示すように、帯板1の下部の周方向全体に一体のものを設けることも可能である。
また、前記起伏体2の挿通孔4は上記のような筒状体6ではなくとも良く、図3に示すように、紐を輪にした輪状体7を一定間隔で並べて設けた形態も可能となる。
それらのいずれの起伏体2においても、前記帯板1の内面から略等距離に起伏幅H分起伏可能となり、通した絞紐5で帯板1の全周囲で均一な絞りが可能となるようにする。
上記いずれの形態でも、挿通孔4に前記絞紐5を通し、その前記絞紐5の両端を同時に引くと挿通孔4が前記帯板1の内面から起き上がるので帯板1の下部を絞って胴部に帯板1を締め付けることができる。
なお、前記絞紐5の固定は起伏体の一箇所に固定しても同様の効果があるのでそれでも良い。
前記係止具は、各種可能であるが、例えば、図6に示す態様の係止具10においては、孔13付き係止体11と、その孔に嵌合する突起14付き係止体11とを組み合わせた係止具10を、絞紐5の両端部5a、5bに長さ調節及び着脱可能な係止具10を用いることができる。
前記係止具10では、突起14にフック状溝15を絞紐5の端部5bに向けて形成し、係止体11の孔13に、フック状溝15が掛かるように突起14を差し込み、そのフック状溝15が孔13に掛かることによって絞紐5を両側から引っ張っても容易に外れないようにしてある。
こうすれば、その係止具10で絞紐5の長さを調節と、絞紐5の両端部5a、5bの固定が簡単にできるようになるので便利である。
また、この他にも、その絞紐5の両端部5a、5bを簡単に固定する方法は各種あり、例えば前記絞紐5の両端部に面ファスナーを、少なくとも約10cm程度の調節対応幅を加味した長さで設けても良い。
先ず、着付け時について説明すると、着物を着るときには、まず、図7で示すように、身体の胴部Dの上に着物Kを着て、図10の(イ)に示すように、その上に帯板1を巻き、その帯板の上に帯をしめる。そして前記絞紐5の両端部5a、5bが着物と帯板の間から下がっているのを確認する。
そして、図10の(ロ)に示すように、帯の形を作り、帯揚げ、帯締を結んで形を整える。
さらに、胴部に対する位置を整えて、位置が決まってから前記絞紐5の両端部5a、5bを同時に引き絞って胴部にフィットさせ(このとき、図10の(ハ)に示すように、帯板1の内側に起伏体2が起き上がって絞紐5が帯板1から離れるが、着物Kと帯板1間には殆ど隙間のないように締めて、そのまま絞紐5の両端部5a、5bを結ぶ。
この際に、図6に示すような、係止具10を備えたものでは、絞紐5の両端部5a、5bで絞紐5の絞り強さを調節したり、ワンタッチで極めて簡単に接続固定することが可能となる。
そして、前記絞紐5の両端部5a、5b側の結び目残り紐部分は、だらりと下げないで図7に示すように、帯の表側より見えないように帯板1内側と着物の間に挟んで隠すようにする。
こうして、着付け時には帯板1の下周縁1bが絞紐5によって窄められた状態となり、胴体Dに巻いた帯Bが、図8の(イ)に示すように、必ず上広がりの状態となって固定され、帯Bの形が引き締まって美しく見えようになる。
そして、止め紐などで固定した帯の結び目側の帯板上部に帯全体の荷重がかっても、その荷重は胴部に巻いた絞紐が受け止め帯全体を支えるので、従来の問題であった、帯結び部分が後ろに垂れ下がってしまうことと帯の前上辺から帯板が露出することが同時に解消できるようになった。
使用中に、図8の(イ)に示す装着時の状態から、図8の(ロ)に示すように、着物Kから帯の重みで帯板1が下がってしまった状態になった場合について説明する。
図11の(イ)に示す着物Kから帯の重みで帯板1が下がってしまった状態を示す。
この状態になったら、帯板1の中に隠した前記絞紐5の両端部5a、5bを摘まみ出し、絞紐5の結び目を解く。
そして、帯と帯板の全体を、図11の(ロ)に示すように、胴部に対する高さ位置を最適部位まで上に持ち上げて整え、さらに、図11の(ハ)に示すように、前記絞紐5の両端部5a、5bを同時に引いて帯板1を胴部Dに対して引き絞り、後ろ結びでは、再度回して前後入れ替えし、前結びではそのままで再度結び直してその位置で固定する。
この作業は、帯板1の中に隠した絞紐5の結び目を解いて、再度絞紐5を引き締め状態で結び直すだけの簡単な作業なので、特別に着付け部屋がなくても、他人の手を借りず単独で手軽に簡単に行うことができる。
従来、日本の伝統衣装の着物は、艶やかさ、華やかさ、豪華さなどがあって女性にとって着る機会があればできるだけ着てみたいとする願望が多くあったが、着物を所有していても、着付けと着崩れの対応の困難さから着用することは敬遠されがちであった。
しかし、本発明によって、着崩れが起きた場合の対応については、着物の着直しせずに自分自身の絞紐の操作によって簡単にできるようになったので、安心して外出できるようになり、これによって着物を着る機会が増えることが期待される。
1b 帯板内面の下辺縁
1a 帯板内面の下辺縁寄りの部位
2 起伏体
3 係留部
4 挿通孔
5 絞紐
5a 絞紐の端部
5b 絞紐の端部
6 筒状体
7 輪状体
8 固定部
9 係止具
10 嵌合係止具
11 孔付き係止体
12 突起付き係止体
13 係止孔
14 係止突起
15 フック状溝
H 起伏幅
A 従来の帯板
a 帯板露出部
B 帯
D 胴部
K 着物
F 蝶結び
C 止め紐
D 帯枕
E 帯の結び目
Claims (5)
- 和装用帯板の左右両端部寄り部分を除く内面の下部辺縁寄り部位に帯板の内面を含まずに輪状又は筒状を成し且つ絞紐を挿通可能とした挿通孔が該帯板の内面から一定範囲自由に起伏可能に形成した起伏体を、該帯板の下部辺縁に沿って間隔置きに設け、
使用者の胴部に巻いたとき両端部が結べる程度の長さを有する絞紐を、該帯板の一方側の挿通孔から他方側の挿通孔に向って順に挿通するとともに該絞紐の両端部を一方側の挿通孔と他方側の挿通孔から突出させて成り、
前記絞紐の両端を同時に引くと挿通孔が前記帯板の内面から起き上がって該帯板の下部を胴部に締め付けできるようにしたことを特徴とする和装用帯板の下締め装置。 - 和装用帯板の左右両端部寄り部分を除く内面の下部辺縁寄り部位に帯板の内面を含まずに筒状を成し且つ絞紐を挿通可能とした挿通孔が該帯板の内面から一定範囲自由に起伏可能に形成した起伏体を、該帯板の下部辺縁に沿った略全域に設け、
使用者の胴部に巻いたとき両端部が結べる程度の長さを有する絞紐を、該帯板の一方側の挿通孔から他方側の挿通孔に向って挿通するとともに該絞紐の両端部を一方側の挿通孔と他方側の挿通孔から突出させて成り、
前記絞紐の両端を同時に引くと挿通孔が前記帯板の内面から起き上がって該帯板の下部を胴部に締め付けできるようにしたことを特徴とする和装用帯板の下締め装置。 - 起伏体が、挿通孔を帯板の内面から一定範囲自由に起伏可能とする係留部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の和装用帯板の下締め装置。
- 絞紐を、起伏体の一箇所又は帯板の一箇所に固定したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の和装用帯板の下締め装置。
- 絞紐の一方端部又は両端部に、該絞紐の両端部を繋いで絞紐の胴回り長さの絞り調節と絞紐の端部の固定とを可能とする係止具を装着したことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の和装用帯板の下締め装置。
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