JP4797197B2 - 玉葱外皮添加飼料を用いた養豚方法 - Google Patents

Description

本発明は、病気の発生を抑制し、成長を促進して、さらに食肉の品質を向上させることのできる養豚方法に関するものである。

食肉用家畜の飼育では、できるだけ短い期間で出荷体重にまで肥育することが重要である。このため、様々な成長促進剤を飼料に配合して、飼育が行われてきた。成長促進剤の例として、特許文献１にはアシル系抗生物質が記載されている。

また、これまで豚の細菌感染を予防するために、抗生物質が用いられてきた。しかし、抗生物質によりある程度の細菌感染は予防できるが、抗生物質が食肉に残存することや、耐性菌の出現といった問題があるため、積極的な使用はできなかった。

抗生物質を使用しない細菌感染予防の方法として、特許文献２では、セージを飼料に配合することや、特許文献３では、ツバキ植物の種子抽出物を飼料に添加することが記載されている。

特開平７−３３０６２５号公報 特開平１１−１９６７７５号公報 特表平１１−５０４２２２号公報

本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、病気の発生を抑制し、成長を促進して、さらに食肉の品質を向上させることのできる養豚方法を提供することを目的とする。

前記の目的を達成するためになされた本発明の請求項１に記載の発明は、玉葱の外皮のみを乾燥して、粉砕した玉葱外皮添加物を飼料に０．５〜３％混合添加して与えることを特徴とする養豚方法である。

玉葱外皮添加物は、まず、前処理として玉葱の外皮のみを、圧搾空気により除塵し、粉砕機で粉砕して、水洗いにより塵芥を除去する。次に、圧力空気を噴射して、さらに粉砕し、乾燥機で乾燥することにより得られる。

玉葱外皮添加物の原料は、剥き玉葱加工の未利用部分で、玉葱の外皮の外側から２〜３枚目までを使用することが好ましい。

玉葱外皮添加物の原料は、玉葱であるため、安全性に優れ、また、剥き玉葱加工の未利用部分を利用することにより、従来は廃棄されていた部分であるため、安価に製造することができる。

玉葱外皮添加物は、外形最大長さ（メッシュ）が０．３〜３ミリであると好ましい。

飼料は通常使用されている一般配合飼料を用いることができる。一般配合飼料としては、例えば、くみあい飼料である、ピッグジュニア、ピッグヤングＥＸＲ、信州ポークＢＥＸ、信州ポークＣ７７が挙げられる。

玉葱外皮添加物には、食物繊維とフラクトオリゴ糖が含まれている。これらの成分が、体内浄化とビフィズス菌の増殖を促して、成長が促進されると考えられる。

また、玉葱外皮添加物を飼料に添加して与えると、玉葱の抗菌性により、細菌の繁殖が抑えられる。これにより、従来使用されていた抗生物質を使用しなくても、病気の発生を抑制することができる。

上記の成長の促進および細菌の繁殖抑制の効果は、玉葱外皮添加物を飼料に対して最低でも０．５％あれば足り、３％程度を超えてもさほど効果の向上はない。

請求項２に記載の発明は、該玉葱外皮添加物を混合する割合が飼料に対して、生後３０〜７５日では、２〜３％、生後７５〜１２０日では、１．５〜３％、生後１２０日〜出荷までは１〜３％であることを特徴とする養豚方法である。

本発明の養豚方法で製造された食肉は、抗生物質を使用していないため、安全で、肉質の良いものである。

以上、詳細に説明したように本発明の養豚方法によれば、玉葱の抗菌性により、抗生物質を使用することなく、病気の発生を抑制することができる。

また、抗生物質を使用していないため、安全で、肉質のよい食肉を得ることができる。

玉葱外皮添加物により成長が促進されるため、肥育期間を短縮することができる。

玉葱外皮添加物の原料が、玉葱加工の未利用部分であるため、経済的であり、環境負荷を軽減することができる。

以下、本発明の実施例を詳細に説明する。

（玉葱外皮添加物の製造例）
玉葱の外皮６００ｋｇを圧搾空気により除塵し、粉砕機で粉砕後、水洗いにより塵芥を除去した。次に、圧力空気噴射装置（ジェット乾燥方式）（株式会社ヤマウラ社製）を用いて、圧力空気を噴射して粉砕し、乾燥すると玉葱外皮添加物が６０ｋｇ得られた。

（肥育試験）
試験区では、玉葱外皮添加物を一般配合飼料１トンにつき３０ｋｇ混合撹拌して、離乳後の子豚２０頭に継続供給した。対照区では、一般配合飼料のみを離乳後の子豚２０頭に継続供給した。何れの飼育方法も同一条件として、肥育の比較を行った。

（肥育の比較）
生後後８０〜８５日は、ほとんど差は認められなかった。この時点での育成豚の体重は約４０ｋｇであった。

さらに生後１４１日の試験区の体重は８５ｋｇ、対照区の体重は７２ｋｇと、生育に１３ｋｇの差が生じた。

出荷体重１１５ｋｇに到達するまでの肥育日数は、試験区では平均１７０日であった。対照区の出荷体重１１５ｋｇに到達するまでの肥育日数は、１６７日から２００日とばらつきがあり、平均で１９０日であった。この肥育試験では２０日間の肥育日数の差が見られた。

一般的に養豚の出荷体重１１５ｋｇに到達するまでの肥育日数は生後１８５〜１９０日と認識されていることからも、肥育日数が２０〜２５日短縮されたことがわかる。

（疾病の比較）
と殺後の固体検査では、試験区では軽い風邪症状の痕跡が見られたが、対照区では重度の肺炎症状の痕跡が見られた。このことから、玉葱外皮添加物を飼料に添加したことにより、病気の発生が抑制されたことがわかる。

（官能試験）
官能試験による食味試験でも、試験区の肉質が大幅に向上しているという結果が得られた。

Claims (2)

1. 玉葱の外皮のみを乾燥して、粉砕した玉葱外皮添加物を飼料に０．５〜３％混合添加して与えることを特徴とする養豚方法。
2. 該玉葱外皮添加物を混合する割合が飼料に対して、生後３０〜７５日では、２〜３％、生後７５〜１２０日では、１．５〜３％、生後１２０日〜出荷までは１〜３％であることを特徴とする請求項１に記載の養豚方法。