JP4796153B2 - 振動板及びスピーカー装置 - Google Patents
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- H04R9/00—Transducers of moving-coil, moving-strip, or moving-wire type
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Description
本発明は、携帯機器等に好適に用いることが可能なスピーカー装置における、振動板の構造に関する。
従来より、長方形の振動板を有し、かかる振動板の中央に直線状のボイスコイルを配置して構成される、リッフェル型のスピーカーが知られている。例えば、特許文献1には、この種の構成を有するスピーカーが記載されている。
特許文献1に記載のスピーカーは、平行に且つ磁束方向が逆となる磁気ギャップを設けた上下2つの磁気回路と、これら磁気回路に結合した断面コの字状のフレームと、略中央にてボイスコイルを支持し、且つ外周がフレームによって支持される振動板と、ボイスコイルの下方に配置され、且つ外周がフレームに取り付けられたダンパーと、によって構成されている。かかる構成により、横幅を狭くした細長構造を採用しても、最低共振周波数f0を低くすることができ、音圧周波数特性等を向上できるとされている。
上記の特許文献1に記載のスピーカーでは、ボイスコイルが振動板によって支持されているので、音響放射方向に対するボイスコイルの支持力は大きいものと考えられる。一方、ボイスコイルの側面は支持されていないので、音響放射方向と略直交する方向(即ち、磁気ギャップ内における磁束の向き)に対するボイスコイルの支持力はそれ程強くないものと考えられる。このため、このスピーカーの駆動時には、ボイスコイル及び振動板等を含む振動体が前記磁束の向きに沿って横揺れし易くなっている(ローリング現象)。
よって、このスピーカーにおいて、そのようなローリング現象が生じた場合には、かかるローリング現象が原因となり、ボイスコイルが磁気回路を構成する磁石やプレート等と衝突し、異常音が発生してしまう、といった課題がある。
なお、このスピーカーでは、振動板に対してボイスコイルが接合されている。このため、ボイスコイル、中心(ボイスコイルボビンに相当)と振動板とを振動体としてみた場合には、振動体そのものの剛性が乏しく、また、ボイスコイルを振動板に取り付ける際、振動板を一旦反転させてボイスコイルを振動板に取り付ける必要があり、その取付作業が困難である、といった課題も存在する。
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、ローリング現象を抑止して異常音の発生を防止すること、出力音圧レベルの向上を図ること、最低共振周波数f0を下げること、などを可能とする振動板及びそれを用いたスピーカー装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、振動板であって、ボイスコイルを支持するためのボイスコイル支持部と、前記ボイスコイル支持部の一端に連なって形成された放音部と、を備え、前記ボイスコイル支持部は、音響放射方向に対し逆方向に延在した形状を有し、前記放音部は、前記音響放射方向に対し略垂直な面を有する段部と、前記段部の一端から前記ボイスコイル支持部の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部と、を備えることを特徴とする。
5 振動板
6 ボイスコイル
30 磁気回路
31 振動体
70a 第1の磁気ギャップ
70b 第2の磁気ギャップ
51 ボイスコイル支持部
52 放音部
52a 頂部
52c 段部
52d 湾曲部
52x 内周端
52r 補強用リブ
53 取付部
100 スピーカー装置
800、900 携帯電話機
6 ボイスコイル
30 磁気回路
31 振動体
70a 第1の磁気ギャップ
70b 第2の磁気ギャップ
51 ボイスコイル支持部
52 放音部
52a 頂部
52c 段部
52d 湾曲部
52x 内周端
52r 補強用リブ
53 取付部
100 スピーカー装置
800、900 携帯電話機
本発明の1つの実施形態では、振動板は、ボイスコイルを支持するためのボイスコイル支持部と、前記ボイスコイル支持部の一端に連なって形成された放音部と、を備える。前記ボイスコイル支持部は、音響放射方向に対し逆方向に延在した形状を有する。前記放音部は、前記音響放射方向に対し略垂直な面を有する段部と、前記段部の一端から前記ボイスコイル支持部の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部と、を備える。
上記の振動板は、ボイスコイルを支持するためのボイスコイル支持部と、ボイスコイル支持部の一端に連なって形成された放音部と、を備える。ボイスコイル支持部は、音響放射方向に対し逆方向に延在した形状を有する。
特に、振動板では、放音部は、音響放射方向に対し略垂直な面を有する段部と、その段部の一端からボイスコイル支持部の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部と、を備える。
これにより、振動板では、ボイスコイル支持部の可動範囲が段部と湾曲部によって規定される。よって、振動板が振動する時には、湾曲部の湾曲方向の略中心がボイスコイル支持部が動く際の基点となる。また、ボイスコイルが音響放射方向又はその逆方向へ移動するのに伴って、ボイスコイル支持部の湾曲部の曲率半径を略半径として且つ当該湾曲部の湾曲方向の略中心を基点として、ボイスコイル支持部は円弧を描くように可動する。このため、振動板では、ローリング現象が生じたとしても、ボイスコイル支持部の横揺れの幅を極めて小さくすること、当該横揺れしにくくすること、が夫々可能になり、ローリング現象を生じ難くすることができる。その結果、振動板と、磁気回路とを備え、ボイスコイル支持部が磁気回路の中央部に配置される構成を有するスピーカー装置では、その駆動時に、ボイスコイル支持部が磁気回路に衝突するのを回避でき、異常音が発生することを防止できる。
上記の振動板の一つの態様では、前記放音部は、前記音響放射方向に向かって湾曲した形状を有し、前記放音部の外周端には、被取付部に取り付けるための取付部が設けられ、前記放音部の頂部は、前記放音部の中心より外側に配置されている。
これにより、振動板における有効振動面積(実質的に振動に寄与する放音部の面積)が大きくなり、出力音圧レベルを大きくすることができる。また、振動板のコンプライアンス(振動板のスチフネスの逆数)が大きくなり、最低共振周波数f0を下げることができる。
上記の振動板の他の態様では、前記放音部は長軸及び短軸を含む形状を有し、前記放音部には、前記長軸又は前記短軸から前記放音部の外周端に向かって補強用リブが形成されている。好適な例では、補強用リブは、音響放射方向又はその逆方向に窪む形状を有するのが好ましい。
これにより、振動板の振動方向(音響放射方向)において、振動板のコンプライアンスが大きくなり、最低共振周波数f0を下げることができる。また、振動板の剛性が大きくなり、ローリング現象の発生を抑止できる。
本発明の他の実施形態では、上記のスピーカー装置を備える携帯機器(例えば、携帯電話機など)を構成することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[スピーカー装置の構成]
図1及び図2等を参照して、本発明の実施例に係るスピーカー装置100の構成について説明する。
図1及び図2等を参照して、本発明の実施例に係るスピーカー装置100の構成について説明する。
図1は、本発明の実施例に係るスピーカー装置100の正面図を示す。図2は、図1の切断線A−A’に沿ったスピーカー装置100の断面図であり、特にスピーカー装置100の中心軸L1を通る位置で切断した断面図を示す。
スピーカー装置100は、携帯機器用スピーカー、或いはマイクロスピーカーとして好適に用いられる。スピーカー装置100は、主として、一対の第1のプレート1a及び1bと、一対のマグネット2a及び2bと、一対の第2のプレート3a及び3bと、を有する内磁型の磁気回路30と、振動板5及びボイスコイル6を有する振動体31と、磁気回路30及び振動体31を支持するフレーム4と、を備えて構成される。なお、以下では、各マグネット、及び各第1又は各第2のプレートを区別する場合にはそれぞれマグネット2a又は第1のプレート1aのように表記すると共に、それらを特に区別しない場合には、マグネット2又は第1のプレート1のように表記する。
(磁気回路の構成)
磁気回路30は、一対の第1のプレート1a及び1b、一対のマグネット2a及び2bと、並びに一対の第2のプレート3a及び3bをその構成部材とし、その構成部材の各構成は次の通りである。
磁気回路30は、一対の第1のプレート1a及び1b、一対のマグネット2a及び2bと、並びに一対の第2のプレート3a及び3bをその構成部材とし、その構成部材の各構成は次の通りである。
一対の第1のプレート1a及び1bの各々は、略直方体状及び略角型棒状の形状を有し、所定の距離をおいて対向配置されている。第1のプレート1aと第1のプレート1bの間には、第1の磁気ギャップ70aが形成されている。第1の磁気ギャップ70a内に生じる磁束の方向は、例えば矢印Y2方向に設定されている。
一対のマグネット2a及び2bの各々は、略直方体状及び略角型棒状の形状を有し、一定の距離をおいて対向した状態で、一対の第1のプレート1a及び1bの各々の上面に取り付けられている。
一対の第2のプレート3aと3bは、略直方体状及び略角型棒状の形状を有している。また、一対の第2のプレート3aと3bは、一定の距離をおいて対向した状態で配置されている。第2のプレート3aはマグネット2aの上面に取り付けられ、第2のプレート3bはマグネット2bの上面に取り付けられている。第2のプレート3aと第2のプレート3bの間には、第2の磁気ギャップ70bが形成されている。第2の磁気ギャップ70b内に生じる磁束の方向は、第1の磁気ギャップ70a内における磁束の方向と逆向きであり、第2の磁気ギャップ70bと、第1の磁気ギャップ70aとに生じる磁力の大きさは相対的にほぼ同一の大きさに設定されている。図2には、磁束の向きとして、第1の磁気ギャップ70a内における磁束の方向が矢印Y2、第2の磁気ギャップ70b内における磁束の方向が矢印Y3として、例示されている。
(振動体の構成)
振動体31は、振動板5及びボイスコイル6をその構成部材とし、その構成部材の各構成は次の通りである。
振動体31は、振動板5及びボイスコイル6をその構成部材とし、その構成部材の各構成は次の通りである。
振動板5は、対向し合う直線部と対向し合う曲線部とを備える外形を有している。また、振動板5は、長軸L20及び短軸L21で規定される細長の外形を有し、ボイスコイル6を支持するボイスコイル支持部51と、音波を放射する役割を担う放音部52と、後述するフレーム4の被取付部4aに取り付けるための取付部53と、を備える。
ボイスコイル支持部51は、振動板5の短軸L21の方向の中央部に且つ放音部52の内側に配置されている。ボイスコイル支持部51は、音響放射方向Y1に対し逆方向に延在した形状を有すると共に、長軸L20の方向に延在した細長形状を有する。また、ボイスコイル支持部51は、袋状又は凹状の断面形状を有する。ボイスコイル支持部51は、その短軸L21の方向に一定幅の間隙を有し、その間隙は略直方体状の空間を形成している。かかる間隙の幅は、磁束密度を大きくするため、できる限り狭い値に設定されているのが好ましく、例えば約0.2mm程度に設定される。また、ボイスコイル支持部51は、その長軸L20の方向に所定の間隔をおいて、前記間隙幅より大きな間隙幅を有する膨らみ部分51aを備える。膨らみ部分51aの間隙は略円柱状の空間を形成している。これにより、ボイスコイル支持部51の剛性を大きくすることができる。放音部52は、ボイスコイル支持部51の一端(外周端)に連なって形成され、音響放射方向Y1に向かって湾曲した形状を有する。取付部53は、放音部52の外周端に設けられている。以上の基本構成を有する振動板5は、ボイスコイル支持部51が磁気回路30の中央部に配置された状態で、且つ取付部53がフレーム4の被取付部4aに取り付けられ、フレーム4に支持されている。なお、本発明の実施例に係る振動板5の特徴的な構成については後述する。
ボイスコイル6は、一対のプラス及びマイナスのリード線(図示略)を有し、長円状及び環状の平面形状を形成するように巻かれている。また、ボイスコイル6は、互いに平行になるよう配置される、第1の平行部6aと第2の平行部6bとを有する。第1の平行部6aは一方向に延在し、第2の平行部6bは第1の平行部6aと一定の間隙6dを置いて対向するように配置されている。ボイスコイル6は、ボイスコイル支持部51内に配置され、当該ボイスコイル支持部51により支持される。そして、第1の平行部6aは、第1の磁気ギャップ70a内に位置している一方、第2の平行部6bは、第2の磁気ギャップ70b内に位置している。
ここで、ボイスコイル6のプラス側のリード線はL(又はR)チャンネル信号の入力配線であり、マイナス側のリード線はグランド(GND:接地)信号の入力配線である。各リード線は、図示しないアンプ側の各出力配線にも電気的に接続される。このため、ボイスコイル6には、その各リード線を通じてアンプ側から信号及び電力(以下、単に「音声電流」とも称する)が夫々入力される。なお、かかる構成を有するボイスコイル6では音声電流が周回するように流れるため、第1の平行部6aに流れる音声電流の向きと、第2の平行部6bに流れる音声電流の向きとは相対的に逆向きとなる。
(フレームの構成)
フレーム4は、細長形状を有すると共に振動体31の放音部52を取り囲む形状を有する。好適な例では、フレーム4は、成形加工が容易な樹脂材料にて形成されていることが好ましい。フレーム4は、その上端部に、振動板5の外周部(取付部)53が取り付けられる被取付部4aを備える。また、フレーム4は、その中央部に、振動板5のボイスコイル支持部51を挿入する為の細長形状の開口4bを備えている。
フレーム4は、細長形状を有すると共に振動体31の放音部52を取り囲む形状を有する。好適な例では、フレーム4は、成形加工が容易な樹脂材料にて形成されていることが好ましい。フレーム4は、その上端部に、振動板5の外周部(取付部)53が取り付けられる被取付部4aを備える。また、フレーム4は、その中央部に、振動板5のボイスコイル支持部51を挿入する為の細長形状の開口4bを備えている。
以上の構成を有するスピーカー装置100では、アンプ側から出力された音声電流は、ボイスコイル6の一対のプラス及びマイナスのリード線を通じて、当該ボイスコイル6へ入力されてボイスコイル6に音声電流が流される。ボイスコイル6に音声電流が流されることで、第1の磁気ギャップ70a内でボイスコイル6の第1の平行部6aに電磁気力(ローレンツ力)が作用すると共に、第2の磁気ギャップ70b内でボイスコイル6の第2の平行部6bに電磁気力(ローレンツ力)が作用する。この電磁気力がボイスコイル6の駆動力となり、その駆動力が振動板5に伝わることで、振動板5が音響放射方向Y1又はその逆方向に動き、振動板5の放音部52から音響放射方向Y1に音波が放射される。
[振動板の構成]
次に、図3を参照して、本発明の実施例に係る振動板5の特徴的な構成について詳述する。
次に、図3を参照して、本発明の実施例に係る振動板5の特徴的な構成について詳述する。
図3は、図1の切断線B−B’に沿った振動板5の断面図であり、短軸L21の方向に沿った振動板5の断面図である。
振動板5の基本的な構成は上述した通りであり、特に、本実施例では、放音部52の内周端側が特徴的な形状を有する。
具体的には、放音部52は、その内周端側52xに、音響放射方向Y1に対し略垂直な面を有する段部52c(破線にて囲まれる部分)と、段部52cの一端(内周端)からボイスコイル支持部51の内側(中心軸L2側)に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部52d(破線にて囲まれる部分)と、を備える。
かかる構成により、本実施例では、後述する比較例と比較して、ローリング現象が生じ難くなっている。この点について、図4を参照して説明する。
図4(a)は、本実施例に係る振動板5の短軸L21の方向に沿った要部断面図であり、特に、スピーカー装置100の駆動時における振動板5の動きを説明するための説明図である。図4(b)は、図4(a)に対応する比較例に係る振動板5xの短軸L21方向に沿った要部断面図であり、特に、スピーカー装置の駆動時における振動板5xの動きを説明するための説明図である。
まず、比較例に係る振動板5xの構成について簡単に説明する。なお、以下では、本実施例に係る振動板5と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
比較例に係る振動板5xは、ボイスコイル6を支持するボイスコイル支持部511と、音波を放射する役割を担う放音部522と、フレーム4の被取付部4aに取り付けるための取付部53(図示略)と、を備える。放音部522の内周端522x(破線にて囲まれる部分)は、ボイスコイル支持部511の内側(中心軸L2側)に向かって湾曲した断面湾曲形状を有する。以下では、説明の便宜上、放音部522の「内周端522x」を、放音部522の「湾曲部522x」と呼称する。
ここで、比較例に係る振動板5xと、本実施例に係る振動板5とを比較した場合、図4(a)及び(b)に示すように、比較例に係る放音部522の湾曲部522xの曲率半径R2は、本実施例に係る振動板5の湾曲部52dの曲率半径R1と比べて大きい。さらに、比較例に係る放音部522の湾曲部522xは、本実施例の放音部52の内周端52xに設けられる段部52cを有しない点で、振動板5の湾曲部52dに対し異なっている。このため、比較例に係る振動板5xでは、湾曲部522xによって、ボイスコイル支持部51xの可動範囲が規定される。
このような構成を有する比較例では、図4(b)に示すように、スピーカー装置の駆動時に、ボイスコイル6が音響放射方向Y1又はその逆方向へ移動するのに伴って、放音部522の湾曲部522xの曲率半径R2を略半径とし、当該湾曲部522xの湾曲方向Y20の略中心P2を基点として、ボイスコイル支持部511は円弧L11を描くように可動する。
ここで、比較例の振動板5xは、放音部522の湾曲部522xの曲率半径R2が大きいことに加え、本実施例の放音部52の内周端52x側に設けられる段部52cを有していない。そのため、振動板5xが振動する時には、その短軸方向への、ボイスコイル支持部511の横揺れの幅L30が大きくなってしまう。そのため、比較例の振動板5xを備えるスピーカー装置において、そのローリング現象の発生が原因となり、ボイスコイル支持部511が磁気回路30(図示略)と衝突し、異常音が発生してしまう、といった課題がある。
これに対して、本実施例では、上述したように、放音部52は、その内周端52x側に、音響放射方向Y1に対し略垂直な面を有する段部52cと、段部52cの一端(内周端)からボイスコイル支持部51の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部52dと、を備える。
これにより、本実施例に係る振動板5では、ボイスコイル支持部51の可動範囲が段部52cと湾曲部52dによって規定される。よって、本実施例では、図4(a)に示すように、スピーカー装置100の駆動時には、湾曲部52dの湾曲方向Y21の略中心P1がボイスコイル支持部51が動く際の基点となる。つまり、ボイスコイル6が音響放射方向Y1又はその逆方向へ移動するのに伴って、放音部52の湾曲部52dの曲率半径R1(<R2)を略半径として且つ当該湾曲部52dの湾曲方向Y21の略中心P1を基点として、ボイスコイル支持部51は円弧L10を描くように可動する。このため、本実施例では、ローリング現象が生じたとしても、ボイスコイル支持部51の横揺れの幅を極めて小さくすること、当該横揺れしにくくすること、が夫々可能になり、ローリング現象を生じ難くすることができる。即ち、本実施例では、振動板5の短軸L21の方向への、ボイスコイル支持部51の可動範囲、言い換えれば、ボイスコイル支持部51の横揺れ幅L31(<比較例に係る横揺れ幅L30)が極めて小さくなり、ローリング現象が生じ難くなる。その結果、本実施例では、ボイスコイル支持部51が磁気回路30に衝突するのを回避でき、異常音が発生することを防止できる。
また、本実施例に係る振動板5では、放音部52は音響放射方向Y1に向かって湾曲した形状を有している。また、放音部52の外周端には、フレーム4の被取付部4aに取り付けるための取付部53が設けられている。さらに、放音部52の頂部52aは、図3に示すように、放音部52の中心を通る直線L5より外側に配置されている。なお、直線L5は、放音部52において、ボイスコイル支持部51の略中心を通る直線(中心軸)L2と、取付部53の略中心を通る直線L3とを結ぶ直線L4の中心を通る直線である。
これにより、振動板5における有効振動面積(実質的に振動に寄与する放音部52の面積)が大きくなり、出力音圧レベルを大きくすることができる。また、振動板5のコンプライアンス(振動板5のスチフネスの逆数)が大きくなり、最低共振周波数f0を下げることができる。
さらに、本実施例に係る振動板5では、放音部52は長軸L20及び短軸L21を含む形状を有し、放音部52には、長軸L20又は短軸L21から放音部52の外周端に向かって補強用リブ52rが形成されている。これにより、振動板5の振動方向(音響放射方向Y1)において、振動板5のコンプライアンスが大きくなり、最低共振周波数f0を下げることができる。また、長軸方向L20における振動板5の剛性が大きくなり、ローリング現象の発生を抑止できる。
なお、好適な例では、補強用リブ52rは、図3に示すように、音響放射方向Y1に対し逆方向(又は音響放射方向Y1)に窪む形状を有する。また、短軸L21の方向に設けられた補強用リブ52rは、長軸L20に対して対称的な形状を有すると共に、長軸L20の方向に対して斜め方向に延在する形状を有する。また、長軸L20の方向に設けられた補強用リブ52rは、短軸L21に対して対称的な形状を有する。また、長軸L20の方向に設けられた複数の補強用リブ52rのうち、少なくとも1つの補強用リブ52rは、長軸L20に対して対称的な形状を有すると共に、長軸L20の方向に対して斜め方向に延在する形状を有する。なお、本発明では、補強用リブ52rの形状や、放音部52における補強用リブ52rの設定数などについて特に限定はしない。
[携帯電話機への適用例]
次に、本発明の実施例に係るスピーカー装置100を、携帯電話機内の受信部及着信部に適用した例について説明する。
次に、本発明の実施例に係るスピーカー装置100を、携帯電話機内の受信部及着信部に適用した例について説明する。
図5(a)は、この携帯電話機800の構成を示す概略平面図である。同図に例示の携帯電話機800は、ケース800gの表側に設けられた、複数の操作ボタン800aと、画像を表示するための表示部800bと、受話口800c及び送話口800dと、ケース800gの裏側に設けられ、着信アラーム音を鳴らす機能を有する着信部800eと、ケース800gの一側面に設けられた送受信アンテナ800fと、を備えて構成される。以上の構成を有する携帯電話機800では、スピーカー装置100がケース800g内に搭載され、例えば受話口800c及び着信部800eに対応する位置に各々設けられる。
また、本発明では、図5(b)に示されるような、携帯電話機900の側面側にスピーカー装置100を設けることも可能である。
なお、本発明では、このような携帯電話機以外にも、各種の携帯機器に対して本発明の実施例に係るスピーカー装置100を好適に用いることができる。
本発明は、携帯機器用スピーカー又は電子機器などに搭載されるマイクロスピーカーとして利用することができる。
Claims (5)
- ボイスコイルを支持するためのボイスコイル支持部と、前記ボイスコイル支持部の一端に連なって形成された放音部と、を備え、
前記ボイスコイル支持部は、音響放射方向に対し逆方向に延在した形状を有し、
前記放音部は、前記音響放射方向に対し略垂直な面を有する段部と、前記段部の一端から前記ボイスコイル支持部の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部と、を備えることを特徴とする振動板。 - 前記放音部は、前記音響放射方向に向かって湾曲した形状を有し、
前記放音部の外周端には、被取付部に取り付けるための取付部が設けられ、
前記放音部の頂部は、前記放音部の中心より外側に配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の振動板。 - 前記放音部は長軸及び短軸を含む形状を有し、
前記放音部には、前記長軸又は前記短軸から前記放音部の外周端に向かって補強用リブが形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の振動板。 - ボイスコイルを支持するためのボイスコイル支持部と、前記ボイスコイル支持部の一端に連なって形成された放音部と、を備える振動板と、磁気回路と、を備え、
前記磁気回路の中央には、前記ボイスコイル支持部が配置され、
前記ボイスコイル支持部は、音響放射方向に対し逆方向に延在した形状を有し、
前記放音部は、前記音響放射方向に対し略垂直な面を有する段部と、前記段部の一端から前記ボイスコイル支持部の内側に向かって湾曲した断面湾曲状の湾曲部と、を備えることを特徴とするスピーカー装置。 - 請求の範囲第4項に記載のスピーカー装置を備えることを特徴とする携帯機器。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2006/326039 WO2008081503A1 (ja) | 2006-12-27 | 2006-12-27 | 振動板及びスピーカー装置 |
Publications (2)
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