JP4795274B2 - 適応等化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、適応等化装置に関するものであり、特に、キャリア周波数偏差等により高速に変動する伝送路で使用される通信装置に適した適応等化装置に関するものである。
従来の等化方式として、下記特許文献1に記載のビタビ等化について説明する。従来のビタビ等化手段は、たとえば、レプリカ生成手段、チャネルインパルス応答ベクトル推定手段、ブランチメトリック算出手段、状態推定手段に加えて、レプリカ補正手段と位相誤差推定手段を備えている。
レプリカ生成手段は、トランスバーサルフィルタで構成されており、推定チャネルインパルス応答ベクトルとビタビアルゴリズムによって選択したパス情報との畳み込み演算(等化処理)を行ってレプリカを生成する。チャネルインパルス応答ベクトル推定手段は、一般的に用いられる適応アルゴリズムによって、受信サンプルデータとレプリカとの誤差が最小になるように推定位相誤差を更新する。ブランチメトリック算出手段および状態推定手段では、ビタビアルゴリズムに基づいてブランチメトリックおよびパスメトリックを求め、最適パスの選択を行う。
また、位相誤差推定手段は、受信サンプルデータと状態毎に選択したパスの最新ブランチに相当する補正レプリカとの残留位相誤差を求め、残留位相誤差が小さくなるように推定位相誤差を逐次更新する。レプリカ補正手段は、各状態におけるレプリカについて、推定位相誤差だけ位相を回転させて補正を行う。
そして、上記のように構成されたビタビ等化手段では、上記レプリカ補正手段により補正されたレプリカと受信サンプルデータの誤差に基づいてビタビ復号を行う。
このように、従来は、受信サンプルデータとレプリカの誤差を最小とするように推定チャネルインパルス応答ベクトルを更新し、その推定チャネルインパルス応答ベクトルから生成したレプリカに対して位相誤差を補正することにより、周波数偏差の影響を軽減して、ビタビアルゴリズムによるシンボル判定精度を向上させている。
特開平6-268540号公報
しかしながら、従来の等化方式では、等化処理を行う際に、キャリア周波数偏差成分を含んだ受信サンプルデータを用いてチャネルインパルス応答ベクトルを推定し、その推定結果に基づいて等化処理を行っている。そのため、チャネルインパルス応答ベクトルの推定が可能なキャリア周波数偏差の範囲を超えてしまうと、推定精度が劣化し、結果的に受信誤り率の劣化が生じる、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キャリア周波数偏差等により高速に変動する伝送路下であっても受信誤り率の劣化を改善可能な適応等化装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる適応等化装置は、位相変調された受信ベースバンドサンプルデータと無線フレームに挿入されている既知信号とを用いて、周波数選択性フェージングによる波形歪みが含まれない伝送路の変動を推定する伝送路変動推定手段と、前記既知信号から前記伝送路変動推定手段により推定された周波数選択性フェージング以外の伝送路変動の影響を軽減することにより、伝送路変動に追従した参照信号を生成する参照信号生成手段と、前記参照信号を用いて周波数選択性フェージングによる波形歪みが含まれた伝送路を推定する伝送路推定手段と、前記受信ベースバンドサンプルデータと前記伝送路推定手段による伝送路推定結果との畳み込み演算により等化処理を行う等化手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、キャリア周波数偏差等により高速に変動する伝送路環境下であっても、安定した等化特性が得られ、受信誤り率の劣化を抑えることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる適応等化装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる適応等化装置の一構成例を示す図である。図1において、本実施の形態の適応等化装置は、既知信号系列を生成し出力する既知信号生成部1と、既知信号と受信ベースバンドサンプルデータから伝送路位相誤差を推定し位相誤差の変動を推定する伝送路変動推定部2と、平均化処理部3と、既知信号に推定した伝送路の変動を付加した参照信号を生成する参照信号生成部4と、トランスバーサルフィルタで構成された等化処理部5と、等化処理に用いられる伝送路推定部6と、を備えている。
また、図2は、上記本実施の形態の適応等化装置において用いる無線フレームのフォーマットの一構成例を示す図であり、この無線フレームフォーマットは、たとえば、伝送路の推定に用いる既知信号区間とデータ区間で構成される。
以下、図1および図2に基づいて、本実施の形態の適応等化装置の動作を説明する。ここでは、一例として、既知信号が挿入された無線フレームを採用している無線通信システムにおいて、PSK変調を実施して通信を行う場合を想定する。また、本実施の形態では、アンテナから受信した位相変調された受信信号を直交検波した後に、受信波形整形,シンボルタイミング抽出,周波数偏差補正が行われた受信ベースバンドサンプルデータを入力とする。また、図2に示すように、本実施の形態の適応等化装置は、無線フレーム内に挿入されている既知信号を利用して伝送路を推定する。
まず、既知信号区間の受信ベースバンドサンプルデータが伝送路変動推定部2に入力される。伝送路変動推定部2は、既知信号生成部1で生成された既知信号と受信ベースバンドサンプルデータに基づいて、シンボル毎に伝送路誤差を求め、その伝送路誤差を平均化処理部3へ出力する。平均化処理部3は、伝送路変動推定部2から受け取った伝送路誤差を所定のシンボル数で平均化する。具体的には、平均化処理部3は、たとえば、FIRフィルタで構成することができ、所定のシンボル数で重み付き平均を行い、伝送路変動の推移を推定する。そして、所定のシンボル数で平均化した伝送路推定値を既知信号数分だけ出力する。
参照信号生成部4は、伝送路変動推定部2と平均化処理部3によって推定された伝送路変動の推移に基づいて、既知信号から参照信号を生成する。参照信号は、既知信号と伝送路変動推定値の複素乗算を行うことにより生成される。したがって、ここで生成された参照信号は、既知信号に対して伝送路の変動が付加された変調点を表す。なお、受信信号に周波数選択性フェージングによる波形歪みが含まれている場合、伝送路変動推定部2と平均化処理部3で行われる伝送路変動推定では、周波数選択性フェージングの波形歪みを推定することができないので、周波数選択性フェージングによる波形歪みが含まれない伝送路変動だけを抽出することができる。そのため、参照信号生成部4で生成された参照信号は、周波数選択性フェージング以外のキャリア周波数オフセット等の伝送路変動成分だけ、既知信号を補正したものとなる。
伝送路推定部6は、参照信号を用いて伝送路推定を行う。参照信号は周波数選択性フェージング以外の伝送路変動の影響が軽減されているため、ここでは、マルチパス遅延波に起因した周波数選択性フェージングによる波形歪みの伝送路を推定する。また、伝送路推定では、公知の適応アルゴリズムを用いる。たとえば、SMI(Sample Matrix Inversion)、RLS(Recursive Least Squares)、LMS(Least Mean Squares)アルゴリズムなどが適用可能である。
等化処理部5は、伝送路推定部6で推定した結果に基づいて等化処理を行う。具体的には、受信ベースバンドサンプルデータと伝送路推定値との畳み込み演算を行い出力する。
つづいて、上記伝送路変動推定部2,平均化処理部3,参照信号生成部4による参照信号の生成方法を具体的に説明する。
たとえば、既知信号数をM、シンボル時間をm、既知信号をxm、受信ベースバンドサンプルデータをrmとすると、伝送路変動の推移は、下記(1)式を用いて推定することができる。
Figure 0004795274
なお、Nは平均シンボル数、αは平均化重み係数を表す。Nとαにより伝送路変動への追従速度を変化させることができる。
また、下記(2)式のように、上記(1)式により求めた推定値を既知信号系列にかけることにより、伝送路変動成分を含んだ参照信号を生成することができる。
Figure 0004795274
そして、上記(2)式で求めた参照信号を用いて等化器伝送路推定を行う。また、本実施の形態では、平均化処理部3においてFIRフィルタ構成による重み付き平均を行っているが、平均化方法はこれに限定されるものではなく、FIRフィルタ構成による重み付き平均の代わりにIIRフィルタ構成による平均化を適用することとしてもよい。
このように、本実施の形態においては、等化処理のための伝送路推定処理の前に周波数選択性フェージング以外の伝送路の変動を推定し、その推定値に基づいて既知信号から伝送路変動に追従した参照信号を生成することとした。そして、キャリア周波数偏差の影響を軽減して等化器伝送路推定精度を高めることとした。すなわち、マルチパス遅延波に起因する周波数選択性フェージング以外の高速な伝送路変動の影響を軽減し、その後、周波数選択性フェージングによる波形歪みの伝送路を推定することができるので、キャリア周波数偏差等により高速に変動する伝送路環境下であっても、安定した等化特性が得られ、受信誤り率の劣化を抑えることができる。
なお、本実施の形態では、伝送路推定に用いる参照信号に関して、既知信号区間を利用して伝送路変動推移を推定して伝送路追従性能を向上させる場合を一例として示したが、これに限らず、既知信号の代わりにシンボル判定値を用いて伝送路変動推移を推定し、伝送路変動成分を補正した参照信号を生成することとしてもよい。
また、本実施の形態では、等化処理部に最も簡易な構成のトランスバーサルフィルタを用いることとしたが、参照信号を用いて適応等化を行う構成であれば、どのような手段を用いてもよい。
また、本実施の形態において説明した伝送路変動の推定方法については、あくまでも一例であり、伝送路変動の推定方法はこれに限定されるものではない。
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の適応等化装置の一構成例を示す図である。図3は、前述した実施の形態1の構成に加えて、伝送路推定値を補間する補間処理部7をさらに備えることとした。なお、実施の形態1の図1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる処理について説明する。
図4は、実施の形態2の適応等化装置における補間処理部7の処理のイメージを示す図である。図4において、21は平均化処理ブロックを表し、22はシンボル毎の伝送路推定値を表し、23および24は平均化処理後の伝送路推定値を表し、25は補間処理後のシンボル単位の伝送路推定値を表す。
以下、図3および図4に基づいて、本実施の形態の適応等化装置の動作を説明する。ここでは、既知信号が挿入された無線フレームを採用している無線通信システムにおいて、PSK変調を実施して通信を行う場合を想定する。
本実施の形態では、前述した実施の形態1の構成に加えて、平均化処理部3と参照信号生成部4の間に補間処理部7を備えている。実施の形態1では、伝送路変動推定部2において既知信号を用いてシンボル単位で伝送路推定処理を行った後、平均化処理部3においてシンボル単位および所定のシンボル数で重み付き平均処理を行い、平均化処理部3では、既知信号数分の伝送路変動推定値を出力していた。
しかしながら、平均化処理部3では、シンボル間隔で畳み込み演算による平均化処理を行うため、平均化シンボル数が大きくなるにしたがって処理が増大する。
そこで、本実施の形態では、平均化処理部3が1シンボル以上の間隔で平均化処理を行い、各平均化された伝送路推定値の出力に対して、補間処理部7が、シンボル間隔で補間処理を行うこととした。これにより処理量を削減する。たとえば、図4に示すように、平均化処理部3における平均化シンボル数をNとした場合に、N+1シンボル単位を平均化処理ブロック21とし、そのブロック毎に平均化処理部3が平均化処理を行うと、その出力として、N/2シンボルタイミング間隔の平均化処理後の伝送路推定値23,24が得られる。そして、補間処理部7では、出力されたN/2間隔の伝送路推定値の間をシンボル間隔で補間し、既知信号数分の補間後の平均伝送路推定値25を出力する。
なお、本実施の形態では、補間処理部7における補間方法については特に限定しない。たとえば、簡易な方法として線形補間を適用することができる。
このように、本実施の形態においては、実施の形態1の構成に加えて、補間処理部7を備えることとした。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、平均化処理部の処理量を削減することができる。
以上のように、本発明にかかる適応等化装置は、キャリア周波数偏差等により高速に変動する伝送路で使用される通信装置に適している。
本発明にかかる適応等化装置の一構成例を示す図である。 無線フレームフォーマットの一構成例を示す図である。 本発明にかかる適応等化装置の一構成例を示す図である。 補間処理部の処理のイメージを示す図である。
符号の説明
1 既知信号生成部
2 伝送路変動推定部
3 平均化処理部
4 参照信号生成部
5 等化処理部
6 伝送路推定部
7 補間処理部

Claims (5)

  1. 位相変調された受信ベースバンドサンプルデータと無線フレームに挿入されている既知信号とを用いて、シンボル毎に伝送路誤差を求め、さらに、当該伝送路誤差を所定のシンボル数で平均化することにより、周波数選択性フェージング以外の伝送路変動を推定する伝送路変動推定手段と、
    前記既知信号から前記伝送路変動推定手段により推定された周波数選択性フェージング以外伝送路変動に追従した参照信号を生成する参照信号生成手段と、
    前記参照信号を用いて周波数選択性フェージングによる波形歪みが含まれた伝送路を推定する伝送路推定手段と、
    前記受信ベースバンドサンプルデータと前記伝送路推定手段による伝送路推定結果との畳み込み演算により等化処理を行う等化手段と、
    を備えることを特徴とする適応等化装置。
  2. 前記伝送路変動推定手段は、前記伝送路誤差を所定のシンボル数で平均化した後、さらに、前記平均化の時間間隔よりも細かい時間間隔で前記平均化後の伝送路誤差を補間する処理を行い、当該処理を実行した後の伝送路誤差を最終的な推定結果とすることを特徴とする請求項1に記載の適応等化装置。
  3. 前記平均化処理では、FIR型フィルタによる重み付き平均を行うことを特徴とする請求項に記載の適応等化装置。
  4. 前記平均化処理では、IIR型フィルタによる平均化を行うことを特徴とする請求項に記載の適応等化装置。
  5. 前記伝送路変動推定手段および前記参照信号生成手段が、前記既知信号の代わりにシンボル判定値を用いて、前記伝送路変動推定処理および前記参照信号生成処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の適応等化装置。
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