JP4793339B2 - 動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

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Description

本発明は、動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。特に動画像データのデータ圧縮処理として実行されるデータ変換において、画質劣化を抑え高品質なデータ変換を可能とする動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
動画像データは、HDD、DVD、ブルーレイディスク(次世代光ディスク)などの記憶媒体への保存、あるいはネットワークを介した配信などにおいて、データ量を削減するためのデータ変換、すなわち圧縮処理が行なわれる。特に、近年、動画像データの高品質化、例えばHD(High Definition−高品位)データなど、データ品質の改善が進んでおり、このデータの高品質化に伴って、保存・伝送等で扱うデータ量が急激に増大している。このような状況において、動画像データの圧縮処理における圧縮効率の改善や、品質劣化防止に関する技術について多くの検討、研究がなされている。
動画像の圧縮処理方法としては、例えば動画像データを構成する画像フレームの構成画素の間引き処理、すなわち空間方向の間引き処理や、フレームレートを間引く処理、すなわち時間方向の間引き処理などが知られている。
このようなデータ変換によるデータ量削減により記憶媒体への保存やネットワークを介したデータ転送が効率的に行なわれるという利点がある。しかしながら、圧縮されたデータを復元し再生する場合、画質の劣化が発生してしまうという問題がある。特にオリジナルデータが高精細画像である場合には、その品質劣化がより顕著になってしまう。
このような画質劣化をいかに低減するかについては様々な検討がなされている。例えば特許文献1には、被写体の移動速度の大小に応じて空間方向の画素数間引き処理と時間方向の画素数間引き処理を切り替える画像圧縮処理構成を開示している。また、特許文献2には、特許文献1の処理に対し、さらに空間方向の画素数間引きにおいて被写体の移動速度に応じた標本点の位相変化を施す処理を加えた圧縮処理構成を開示している。
上記の2件の文献に記載の構成は、観察者の視覚の時間積分効果を利用して、空間間引きに伴い発生する折り返し歪みを再生時には知覚されないようにした構成を持つ。さらに、より広範に知られる技術としての画素数間引き処理、すなわちダウンサンプリング処理においては、アンチエイリアシングフィルタを用いた帯域制限により折り返し歪みの発生を抑制したデータ圧縮が実現される。
特開2005−198268号公報 特開2006−5904号公報
上述のように、いくつかの従来技術において、処理対象画像から求められる様々な特性に基づいて圧縮態様を変更し、データ品質を高める構成が開示されているが、これまでに開示されている圧縮方法では、圧縮画像データを復元し、再生した場合の画質劣化を十分に抑えるには至っていない。
アンチエイリアシングフィルタによる帯域制限を伴うダウンサンプリング処理においては、サンプリングによる折り返し歪みの発生を抑制することが可能であるが、原信号に対してローパスフィルタを適用するため、原信号から高周波成分が失われ、復元の結果得られる画像は非常にボケ感の強い画像となってしまう。
また、特許文献1および特許文献2では、帯域制限を行なわずに画素数の間引き処理を施すことで原信号の情報を失うことのない画像圧縮を実現した。折り返し歪みの発生は抑制できないが、被写体の移動量などに応じた適切な間引き処理を行なうことで、再生時に観察者が被写体を追従視した場合に視覚の時間積分により高調波成分を知覚できないようにしており、間引き処理に伴い発生した折り返し歪みの知覚を抑制した。しかしながら、実際には折り返し歪みを一切知覚できないような処理を実現することは困難であり、一部の折り返し歪みに関しては知覚されてしまい画質低下の原因となることがあった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、画像の各領域の特徴、特に被写体の動きに対応した最適なアンチエイリアシングフィルタの阻止域周波数およびダウンサンプリングのサンプリング位置の変化レートを決定し、決定した態様に従って領域ごとに最適な態様でデータ変換処理を行なう構成とすることで品質劣化の極めて少ない圧縮および復元を可能とした動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は、
動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、
動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割するブロック分割部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定する制御部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去するプレフィルタ部と、
前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減するダウンサンプリング部と、
を有することを特徴とする動画像変換装置にある。
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記制御部は、1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)を前記プレフィルタ部に入力する構成であり、前記プレフィルタ部は、前記制御部から、前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、前記ダウンサンプリング部が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行する構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記制御部は、1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、阻止対象高調波成分次数(K)未満の次数の高調波成分により発生する折り返し歪みが、前記移動量検出部の検出したブロック移動量で観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により知覚不能となるようなフレーム毎のサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出し、算出した結果をサンプリング位相変化レート(ΔP)として前記ダウンサンプリング部に供給する構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記ダウンサンプリング部は、前記制御部から入力する各ブロックに対応するサンプリング位相変化レート(ΔP)に従って、フレームの進行と共にブロックに対するサンプリング位置を変化させたダウンサンプリング処理を実行する構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記プレフィルタ部は、予めメモリに記録された阻止対象高調波成分次数(K)、または外部から入力する阻止対象高調波成分次数(K)を利用して前記阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去する処理を実行する構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の第2の側面は、
動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元装置であり、
動画像変換データを構成する各ブロック対応変換データと、該ブロック対応変換データの変換態様を示す変換態様情報とを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記ブロック対応変換データ中に含まれない画素の画素値を0として変換処理前の画素数からなる画像データを生成するアップサンプリング部と、
前記アップサンプリング部の生成した画像データを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記画像データの構成画素の各々の画素値を、近傍画素の画素値を利用して決定する処理を実行するポストフィルタ部と、
を有することを特徴とする動画像復元装置にある。
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記ポストフィルタ部は、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのダウンサンプリング方向と隣接ブロックのダウンサンプリング方向が同一であり、かつサンプリング位相が異なる場合、サンプリング位相を一致させる前処理を実行した後、サンプリング位相を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行う構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記ポストフィルタ部は、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのサンプリング周波数と隣接ブロックのサンプリング周波数が異なる場合、サンプリング周波数を一致させる前処理を実行した後、サンプリング周波数を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行う構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記ポストフィルタ部は、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのダウンサンプリング方向と隣接ブロックのダウンサンプリング方向が異なる場合、ダウンサンプリング方向を一致させる前処理を実行した後、ダウンサンプリング方向を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行う構成であることを特徴とする。
さらに、本発明の第3の側面は、
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、
ブロック分割部が、動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割するブロック分割ステップと、
移動量検出部が、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出ステップと、
制御部が、前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定する制御ステップと、
プレフィルタ部が、前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去するプレフィルタ処理ステップと、
ダウンサンプリング部が、前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減するダウンサンプリング処理ステップと、
を有することを特徴とする動画像変換方法にある。
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記制御ステップは、1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)を前記プレフィルタ部に入力するステップであり、前記プレフィルタ処理ステップは、前記制御部から、前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、前記ダウンサンプリング部が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行するステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記制御ステップは、1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、阻止対象高調波成分次数(K)未満の次数の高調波成分により発生する折り返し歪みが、前記移動量検出部の検出したブロック移動量で観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により知覚不能となるようなフレーム毎のサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出し、算出した結果をサンプリング位相変化レート(ΔP)として前記ダウンサンプリング部に供給するステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記ダウンサンプリング処理ステップは、前記制御部から入力する各ブロックに対応するサンプリング位相変化レート(ΔP)に従って、フレームの進行と共にブロックに対するサンプリング位置を変化させたダウンサンプリング処理を実行するステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記プレフィルタ処理ステップは、予めメモリに記録された阻止対象高調波成分次数(K)、または外部から入力する阻止対象高調波成分次数(K)を利用して前記阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去する処理を実行するステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の第4の側面は、
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元方法であり、
アップサンプリング部が、動画像変換データを構成する各ブロック対応変換データと、該ブロック対応変換データの変換態様を示す変換態様情報とを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記ブロック対応変換データ中に含まれない画素の画素値を0として変換処理前の画素数からなる画像データを生成するアップサンプリング処理ステップと、
ポストフィルタ部が、前記アップサンプリング部の生成した画像データを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記画像データの構成画素の各々の画素値を、近傍画素の画素値を利用して決定する処理を実行するポストフィルタ処理ステップと、
を有することを特徴とする動画像復元方法にある。
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記ポストフィルタ処理ステップは、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのダウンサンプリング方向と隣接ブロックのダウンサンプリング方向が同一であり、かつサンプリング位相が異なる場合、サンプリング位相を一致させる前処理を実行した後、サンプリング位相を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行うステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記ポストフィルタ処理ステップは、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのサンプリング周波数と隣接ブロックのサンプリング周波数が異なる場合、サンプリング周波数を一致させる前処理を実行した後、サンプリング周波数を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行うステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記ポストフィルタ処理ステップは、前記アップサンプリング部の生成した画像データの構成画素の画素値決定処理に際して、処理対象画素を含むブロックのダウンサンプリング方向と隣接ブロックのダウンサンプリング方向が異なる場合、ダウンサンプリング方向を一致させる前処理を実行した後、ダウンサンプリング方向を一致させた複数ブロックの構成画素の画素値を適用したフィルタリング処理を施すことにより画素値決定処理を行うステップであることを特徴とする。
さらに、本発明の第5の側面は、
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
ブロック分割部にが、動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割させるブロック分割ステップと、
移動量検出部に、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出させる移動量検出ステップと、
制御部に、前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定させる制御ステップと、
プレフィルタ部に、前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去させるプレフィルタ処理ステップと、
ダウンサンプリング部に、前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減させるダウンサンプリング処理ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
さらに、本発明の第6の側面は、
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
アップサンプリング部に、動画像変換データを構成する各ブロック対応変換データと、該ブロック対応変換データの変換態様を示す変換態様情報とを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記ブロック対応変換データ中に含まれない画素の画素値を0として変換処理前の画素数からなる画像データを生成させるアップサンプリング処理ステップと、
ポストフィルタ部に、前記アップサンプリング部の生成した画像データを入力し、前記変換態様情報に基づいて、前記画像データの構成画素の各々の画素値を、近傍画素の画素値を利用して決定する処理を実行させるポストフィルタ処理ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
本発明の一実施例の構成によれば、画素数間引き処理により動画像データのサンプル数を1/M倍に削減するダウンサンプリング処理の前に、ダウンサンプリング後のサンプリング周波数fに対して、阻止域周波数fsがfs>f/2であるようなローパスフィルタを用いて帯域制限を行なう構成としたので、高い次数の高調波により発生する折り返し歪みを抑制しつつ、原信号の高周波成分を大きく損失することはないので、復元時のボケの発生をも抑制することができる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、ダウンサンプリング処理部が動画像データに対して施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならないような阻止域周波数fsに基づくローパスフィルタによる帯域制限を予め動画像データに対して適用する構成としたので、K次以上の高調波による折り返し歪みの発生を抑制できる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、各ブロックの移動量に応じて最適に設定されたサンプリング位相変化レートに基づいて、フレームの進行と共にサンプリング位置が変化するダウンサンプリング処理を各ブロックまたは一部のブロックに対して施す構成としたので、領域毎の被写体の移動量に対してロバストなデータ圧縮処理が実現できる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果によりK未満の次数の高調波成分が知覚不能となるようなサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出する構成としたので、K次未満の高調波により発生する折り返し歪みは再生時に抑制される。
また、本発明の一実施例の構成によれば、サンプリング位相変化レートP=0の場合に、ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、L次未満の次数の高調波成分の全てに関して、移動量v=v0から少なくともv=v0+1(ピクセル/フレーム)の範囲内の移動速度で移動する被写体を観察者が追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果によりそれらL次未満の次数の高調波成分が知覚不能となる基準移動量v0が存在するような最大のLに対して阻止対象高調波成分次数K=L+1とする構成としたので、画像を構成するブロック間でサンプリング位相変化レートが頻繁に変わることを防ぐことができる。
さらに、本発明の一実施例の構成によれば、動画像変換データを構成する各ブロック対応変換データと各ブロック対応変換態様情報とを入力し、変換態様情報に基づきサンプル数を0内挿によりM倍に増加するアップサンプリング処理部と、変換態様情報に基づき動画像変換データの補間処理を行なう補間フィルタ部を有する動画像復元装置を構成し、補間フィルタでは動画像変換装置のプレフィルタ部における帯域制限で用いたものと同様の阻止域周波数を持つローパスフィルタを用いる構成としたので、再生時にはオリジナルに近い、ボケおよび折り返し歪みの抑制された動画像を知覚することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムの構成について説明する。
図1に本発明の動画像変換装置100の構成例を示す。この動画像変換装置100は、帯域制限および超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量の削減を行なうことができる構成としたものである。
なお、超解像効果とは、観測者がある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果である。人の視覚は刺激を知覚すると、その刺激を、その刺激の呈示が終了した後もある時間記憶するという機能(感覚記憶機能と称する)を有している。この時間については10ms乃至200msであるという報告が多数なされている。この機能は、アイコニックメモリー、あるいは視覚的持続などとも呼ばれ、例えば、"視覚情報ハンドブック、日本視覚学会編、pp229−230"などに記載されている。なお、超解像効果は、人間の視覚機能における時間的積分機能および感覚記憶機能が複雑に関係して引き起こされていると考えられる。
図1に示す動画像変換装置100は、時間的積分機能によって引き起こされる超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、画質劣化を観測者が知覚しないようにデータを削減する圧縮を行なう構成としたものである。図1の動画像変換装置100の構成について説明する。
ブロック分割部101は、入力された動画像の各フレームを、所定画素の区分領域としてのブロックに分割し、移動量検出部102およびプレフィルタ部104に供給する。移動量検出部102は、ブロック分割部101から供給された各ブロックについての移動量を検出し、検出した移動量を制御部103に供給する。制御部103は移動量検出部102から供給された各ブロックについての移動量に基づき、阻止対象高調波成分次数Kを算出し、プレフィルタ部104に供給する。
阻止対象高調波成分次数Kについては後段で詳細に説明するが、ここで簡単に説明する。図1に示す動画像変換装置100は、入力画像のダウンサンプリング、すなわち間引き処理を実行してデータ量を削減した圧縮画像を生成して出力する。例えば、ダウンサンプリング量(間引き量)をMとして、入力データを1/Mのデータ量に削減する1/M倍のダウンサンプリングを行なう。このように1/M倍のダウンサンプリングを行なう場合、1次からM−1次までの高調波が発生し、各高調波成分が周波数領域において原信号成分と重なることで折り返し歪みが発生する。
その結果、圧縮画像を復元して再生した画像に折り返し歪みに起因する画質劣化が知覚される場合がある。そこで、本発明の動画像変換装置では、プレフィルタ部104において予め特定の次数以上の高調波成分を除去する帯域制限処理を実行して、高調波成分を除去したデータをダウンサンプリング部105においてダウンサンプリング、すなわち間引き処理を実行してデータ量を削減した圧縮画像データを生成する。その場合の高調波成分の除去レベルに相当するのが、阻止対象高調波成分次数Kとなる。なお、阻止対象高調波成分次数Kの決定手法、および、プレフィルタ部104における処理の詳細については後段で詳細に説明する
制御部103は移動量検出部102から供給された各ブロックについての移動量に基づき、各ブロックに対応するサンプリング位相変化レートを算出し、ダウンサンプリング部105に供給する。プレフィルタ部104は、ブロック分割部101から供給された各ブロックに対して、制御部103から供給された阻止対象高調波成分次数Kに基づく帯域制限処理、すなわち、各ブロック画像に含まれる高調波成分を阻止対象高調波成分次数Kに基づいて除去する処理を施し、ダウンサンプリング部105に供給する。ダウンサンプリング部105は、プレフィルタ部104から供給された帯域制限後のブロックデータに対して、制御部103から供給されたサンプリング位相変化レートに基づくダウンサンプリング処理を施し、出力する。
続いて、図1に示す動画像変換装置100の各構成部の詳細について説明する。
まず、ブロック分割部101について説明する。ブロック分割部101は入力された動画像の各フレームを1つ以上の任意の個数のブロックに分割する。このときのブロックサイズは各ブロックに関して共通でなくとも構わない。しかしながら、任意の正の整数Mに対して、1/M倍のダウンサンプリング(間引き処理)を行なう場合、ブロックの縦横の画素数はMの整数倍とするのが最も適切である。例えば、M=4として1/4倍のダウンサンプリング(間引き処理)を実行する構成では、ブロックサイズを4×4画素や、8×8画素等のブロックサイズとする設定が好ましい。
続いて、移動量検出部102について説明する。移動量検出部102はブロック分割部101から供給された各ブロックに対応する移動量を任意の方法(例えばブロックマッチング)によって検出する。例えば、P番目のフレームのあるブロックの移動量の検出をブロックマッチングによって行なう場合、P−1番目のフレームの対応ブロックを参照ブロックとして、フレーム間の移動量(例えば動きベクトル)を検出する。従って、ブロックマッチングによって移動量の検出を行なう場合は、移動量検出部102はカレントフレーム以外のフレームも参照可能な構成とする。移動量は動きベクトルの形式で制御部103に供給される。ただし、ブロックのX方向およびY方向の移動量を知ることができるような情報であれば、動きベクトル以外の形式で制御部103に移動量を供給しても良い。
続いて、制御部103の前にプレフィルタ部104およびダウンサンプリング部105について詳細を説明する。
まず、プレフィルタ部104について説明する。プレフィルタ部104はブロック分割部101から供給されたブロックの各々について、ブロック画像に含まれる高調波成分を阻止対象高調波成分次数Kに基づいて除去する処理、すなわち、帯域制限を施す。帯域制限にはフィルタが適用可能であるが、適用するフィルタの種類は、高調波成分除去を実現するものであれば、どのような設計方法によって設計されたものであっても良い。ここでは一例としてFIR(Finit−duration Impulse Response(有限インパルス応答))フィルタを適用した帯域制限を行なう構成について説明する。
フィルタの阻止域周波数fsは制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数Kに基づいて決定される。周波数fs以上の高調波成分が除去される。なお、阻止対象高調波成分次数Kは各ブロックによって異なっても、全てのブロックで共通であっても良い。前述したように、1/M倍のダウンサンプリングを行なう場合、1次からM−1次までの高調波が発生する。このとき、各高調波成分が周波数領域において原信号成分と重なることで折り返し歪みが発生する。ダウンサンプリング前に予め適切な帯域制限を行なうことで特定の次数以上の高調波成分が原因で発生する折り返し歪みを抑制することが可能である。
ダウンサンプリング前の帯域制限により特定の次数以上の高調波成分が原因で発生する折り返し歪みが抑制される理論について図2以下を用いて説明する。
0.5Hzで帯域制限された1次元アナログ信号f(x)を1/T(Hz)でサンプリングした1次元離散信号fd(n)について考える。1次元離散信号fd(n)は、0.5Hzで帯域制限された1次元アナログ信号f(x)を用いて以下のように得られる。
・・・・・(式1)
ここでTはサンプリング間隔、δ(t)はデルタ関数であり、t=0の場合のみδ(t)=1となり、他の場合はδ(t)=0となる関数である。1次元アナログ信号f(x)を1次元の被写体と考えると、1次元離散信号fd(n)はそれを撮像した結果得られる1次元の画像信号であると考えることができる。
1次元離散信号fd(n)の周波数領域における特性を知るために、fd(n)のフーリエ変換を計算する。f(x)のフーリエ変換をF(ω)とすると、離散化信号fs(n)のフーリエ変換Fs(ω)は、
・・・・(式2)
となる。ここでωは角周波数を示す。
図2(a)に0.5Hzで帯域制限された1次元アナログ信号f(x)の周波数特性|F(ω)|120の例を示す。0.5Hz(ω=π)で帯域制限されているので、ω=π以上の周波数成分を持たない。図2(b)は、サンプリング間隔T=1、すなわち1Hzでサンプリングした場合のfd(n)の周波数特性|Fd(ω)|であり、(式2)からもわかるように、2π周期で同じ波形が繰り返し生じている。
図2(b)におけるデータ130はr=0の項に、データ131はr=−1の項に対応しており、データ132はr=1の項に対応している。
ここで、fd(n)のサンプル数をダウンサンプリングによって1/4に減らすことを考える。つまり、サンプリング間隔Tを、図2(b)ではT=1であったものを、T=4とする。このときの周波数特性は、(式2)においてT=4とすれば得られる。T=4の場合の周波数特性|Fd(ω)|を図2(c)に示す。
図2(c)では波形の繰り返し周期が1/4なっていることがわかる。図2(c)においてデータ141の点線の波形はr=±1に対応する項から得られる波形であり、これを1次高調波成分と呼ぶ。データ142の点線の波形はr=±2に対応する項から得られる波形であり、これを2次高調波成分と呼ぶ。データ143の点線の波形はr=±3に対応する項から得られる波形であり、これを3次高調波成分と呼ぶ。ダウンサンプリングによってサンプル数を1/4に減らしたことで図2(b)では見られなかった1次から3次の高調波成分が発生する。
実際のサンプリング間隔T=4の場合の1次元離散信号fd(n)の周波数特性|Fd(ω)|はこれら全てを加算したものであるから、図2(c)のデータ144で示した波形となり、図2(b)の信号とは全く異なる信号になっていることがわかる。これが折り返し歪みであり、サンプリング周波数が原信号の帯域に対して十分ではないために、各高調波成分と原信号成分が重なることで発生する。
ここで、ダウンサンプリングの前に帯域制限を施すと折り返し歪みを抑制することができることについて図3、図4を参照して説明する。
図3(a)に示すデータ150は図2(a)の信号に対して、理想的なローパスフィルタを用いて、阻止域周波数(カットオフ周波数)を0.25Hzとして帯域制限をおこなった信号を示している。その後、同様に1/4倍のダウンサンプリングを施した例を図3(b)に示す。図3(b)では、原信号成分データ160と重なっている高調波は、1次の高調波データ161のみであり、2次の高調波データ162と3次の高調波データ163は原信号成分データ160と重なっていない。よって折り返し歪みを発生させる高調波は1次の高調波のみとなる。
同様に図4(a)のデータ170は図2(a)の信号に対して、理想的なローパスフィルタを用いて、阻止域周波数(カットオフ周波数)を0.375Hzとして帯域制限をおこなった信号を示している。その後、同様に1/4倍のダウンサンプリングを施した例を図4(b)に示す。図4(b)では、原信号成分データ180と重なっている高調波は、1次の高調波データ181と2次の高調波データ182であり、3次の高調波データ183は原信号成分データ180と重なっていない。よって折り返し歪みを発生させる高調波は1次の高調波と2次の高調波となる。
以上のように、ダウンサンプリング前の帯域制限における阻止域周波数を適切に設定することで、ダウンサンプリング後に特定の次数以上の高調波成分による折り返し歪みの発生を防ぐことができる。M=4であり、原信号が0.5Hzで帯域制限されている場合には図2に示したようにローパスフィルタの阻止域周波数を0.25Hzとすることで2次以上の、0.375Hzとすることで3次以上の高調波成分による折り返し歪みを抑制することができる。
一般的に、原信号がg(Hz)で帯域制限されているとすると、1/Mダウンサンプリングに伴う、K次以上の高調波成分による折り返し歪みの発生を抑制したい場合は、阻止域周波数fsを、
fs=K・g/M (式3)
上記式(式3)によって算出される周波数となるように設定すればよい。
図1に示す動画像変換装置100におけるプレフィルタ部104は、このようにして、制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数Kに基づいて、上記(式3)に基づいて阻止域周波数fsを算出し、阻止域周波数をfsとしたローパスフィルタによって帯域制限を行なう。なお、阻止域周波数fsは、カットする高周波の下限周波数を設定しているものであり、上記(式1)により算出される値以下に設定することで、K次以上の高調波成分による折り返し歪みの発生を抑制できることになり、プレフィルタ部104は、上記(式1)により算出される値、またはその値以下の周波数を阻止域周波数fsとしたローパスフィルタによって帯域制限を行なう。
次に、プレフィルタ部104の具体的な帯域制限処理について説明する。帯域制限はどのようなフィルタを用いて実行しても良いが、ここでは1例として9タップのFIR(有限インパルス応答)フィルタによる帯域制限処理を行なう場合について説明する。
ダウンサンプリング量(間引き量)[M]を、M=4として1/4倍のダウンサンプリング(間引き処理)を実行する構成とし、帯域制限を施すブロックのサイズが4画素×4画素であるとする。制御部103から、ブロックに対応する阻止対象高調波成分次数Kとダウンサンプリングを施す方向(縦または横)が与えられれば、プレフィルタ部104は帯域制限フィルタの阻止域周波数を上記(式3)に従って計算可能であり、帯域制限をブロックに対して施すことができる。
例えば、原信号がg(Hz)=0.5Hzで帯域制限されており、制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数K=2とすると、1/4ダウンサンプリングに伴う、2次以上の高調波成分による折り返し歪みの発生を抑制したい場合は、阻止域周波数fsは、上記式(式3)に基づいて、
fs=K・g/M
=2×0.5/4
=0.25
すなわち、
fs=0.25Hzとなる。
任意のフィルタ設計方法によって阻止域周波数が0.25Hzの9タップのFIRフィルタのインパルス応答を計算し、そのインパルス応答を[A0、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8]とする。このインパルス応答を[A0、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8]と画素値との縦方向または横方向の畳み込みによってフィルタリングを完了することができる。例えば、ダウンサンプリングを横方向に行なう場合、畳み込み(フィルタリング)は横方向に行なわれる。
図5を参照して、阻止域周波数fs=0.25Hzとした場合のフィルタリング処理例について説明する。図5(a)は、プレフィルタ部104に対して、ブロック分割部101から入力される3つのブロック201〜203を示している。各ブロック201〜203は4画素×4画素のブロックである。
図5(b)は、4画素×4画素の中央のブロック202を構成する画素のうちの1画素(t00)204を対象としたフィルタリング処理の例を示している。プレフィルタ部104の帯域制限フィルタとして利用する9タップのFIR(有限インパルス応答)フィルタのインパルス応答206は、図5(b)に示すA0〜A8である。
画素(t00)204を対象としたフィルタリング処理を9タップのFIRフィルタを適用してフィルタリングを行う場合、画素(t00)204を中心として横方向に前後4画素の画素値を取得し、計9画素データ205を適用してフィルタリング処理を実行する。9画素データ205は、ブロック201の画素s00〜s03、ブロック202の画素t00〜t03、ブロック203の画素u00の計9画素によって構成される。
画素t00およびその左右4画素の計9画素の画素データ205と、インパルス応答206との積和を計算し、その結果を、帯域制限後の画素204の画素値[t'00]207とする。プレフィルタ部104は、ブロックを構成するその他の全ての画素の画素値を同様の処理で得て、その結果をダウンサンプリング部105に出力する。
なお、プレフィルタ部104では、図5を参照して説明したように、ブロックを跨った処理が行なわれる。図5に示す例は、9タップのFIRフィルタを適用したフィルタリング処理であり、処理対象画素を含む9画素、すなわち処理対象画素の含まれるブロックと両隣のブロックの画素を利用して処理が実行されるが、フィルタのタップ長がさらに長い場合は、隣接ブロック以外のブロックの画素値を利用することもある。
このように、プレフィルタ部104では、制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数Kに基づいて、上記(式3)に基づいて阻止域周波数fsを算出し、阻止域周波数をfsとしたローパスフィルタによって帯域制限を行なう。例えば、動画像変換装置100に入力される画像信号がg(Hz)で帯域制限されており、ダウンサンプリング部105で1/Mダウンサンプリングを行う場合、プレフィルタ部104は、制御部103の決定する阻止対象高調波成分次数Kに基づいて、阻止域周波数fsを前述の式(fs=K・g/M)によって算出し、阻止域周波数をfsとしたローパスフィルタによって、例えば図5に示す画素値変換を実行して、画像の高周波成分を除去した帯域制限画像を生成し、この結果をダウンサンプリング部105に出力する。
なお、上記説明では、プレフィルタ部104は、制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数Kに基づいて、上記(式3)に基づいて阻止域周波数fsを算出し、阻止域周波数をfsとしたローパスフィルタによって帯域制限を行なうとして説明したが、プレフィルタ部104は、予め動画像変換装置100のメモリに記録された阻止対象高調波成分次数(K)、または外部から入力する阻止対象高調波成分次数(K)を利用して阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去する処理を実行する構成としてもよい。
続いて、ダウンサンプリング部105において実行するダウンサンプリング処理について説明する。ダウンサンプリング部105はプレフィルタ部104から供給される帯域制限の施されたブロックデータに対して、画素数の削減処理を施す。画素数の削減処理は、制御部103より供給されるサンプリング位相変化レート(ΔP)に基づいて行なわれる。サンプリング位相変化レートΔPは、ダウンサンプリング量(間引き量)をM、すなわち、1/M倍のダウンサンプリングを行う場合、
ΔP=0〜M−1
の整数であり、フレーム毎のサンプル位相の変化を示している。t番目のフレームのサンプリング位相Pは、以下の式(式4)、
P=t×ΔP%M(式4)
によって得られる。上記式(式4)において、[%]は剰余演算を示す。
例えば、
ダウンサンプリング量(間引き量)M=4、
サンプリング位相変化レートΔP=1、
であれば、t番目のフレームのサンプリング位相Pは、
t=0→P=0
t=1→P=1
t=2→P=2
t=3→P=3
t=4→P=0
となる。
また、
ダウンサンプリング量(間引き量)M=4、
サンプリング位相変化レートΔP=3、
であれば、t番目のフレームのサンプリング位相Pは、
t=0→P=0
t=1→P=3
t=2→P=2
t=3→P=1
t=4→P=0
となる。
このように、サンプリング位相は4フレーム周期で変化する。
例えば、B画素×B画素のブロックの左上の画素の座標を(x、y)とするとき、水平方向のダウンサンプリングによって画素値が残る画素の座標は、
(x+P+M×W、y+H)・・・(式5)
上記式(式5)を満たすような、ブロック内の全ての画素となる。ここでWおよびHは任意の整数である。
また、垂直方向のダウンサンプリングによって画素値が残る画素の座標は、
(x+W、y+P+M×H)・・・(式6)
上記式(式6)を満たすような、ブロック内の全ての画素となる。
ブロックに施されるダウンサンプリングが水平方向か垂直方向かの情報は制御部103から供給される。制御部103は、移動量検出部102から入力するブロック単位の移動ベクトルの向きに応じてダウンサンプリング方向を決定して、決定情報をサンプリング位相変化レートΔPとともに、ダウンサンプリング部105に供給する。
図6にダウンサンプリング部105において実行するダウンサンプリング処理の一例を示す。図6に示す例は、
ブロック=4画素×4画素、
ダウンサンプリングレート:M=4、
サンプリング位相変化レートΔP=1、
としている。
s00からs33がそれぞれ画素を表している。
図6の(A)〜(D)が水平方向のダウンサンプリングの例であり、(E)〜(H)が垂直方向のダウンサンプリングの例である。
例えば、図6の(A)〜(D)は、水平方向のダウンサンプリングの例であり、連続する4フレームの同一位置のブロックを示しており、(A)〜(D)の各々の左側に示す4画素×4画素のブロックが1つのプレフィルタ部104においてフィルタリング処理結果としてのブロックデータであり、矢印の右側に示すブロックがブウンサンプリング(間引き)処理の結果として選択されるデータである。1ブロック16画素中、4画素のみが選択され、その他の画素データは捨てられる。すなわち、1/4羽手のダウンサンプリング処理が実行される。
(A)〜(D)は、連続する4フレームの同一位置のブロックを示しており、先行するフレーム(A)については左端の画素データのみを残して他の画素データを捨て、次のフレーム(B)は左から2番目の画素データのみを残し他の画素データを捨て、次のフレーム(C)は左から3番目の画素データのみを残して他の画素データを捨て、次のフレーム(D)は左から4番目の画素データのみを残し他の画素データを捨てるというダウンサンプリング(間引き処理)を実行している。
図6(A)〜(D)に示す例は、
サンプリング位相変化レートΔP=1、
であり、t番目のフレームのサンプリング位相Pは、
(A)t=0→P=0
(B)t=1→P=1
(C)t=2→P=2
(D)t=3→P=3
となる。このダウンサンプル処理によってブロック内のデータ量を1/4に削減することができる。
図6(E)〜(H)は、垂直方向のダウンサンプリングの例であり、連続する4フレームの同一位置のブロックを示しており、先行するフレーム(E)については上端の画素データのみを残して他の画素データを捨て、次のフレーム(F)は上から2番目の画素データのみを残し他の画素データを捨て、次のフレーム(G)は上から3番目の画素データのみを残して他の画素データを捨て、次のフレーム(H)は上から4番目の画素データのみを残し他の画素データを捨てるというダウンサンプリング(間引き処理)を実行している。
図6(E)〜(H)に示す例は、
サンプリング位相変化レートΔP=1、
であり、t番目のフレームのサンプリング位相Pは、
(E)t=0→P=0
(F)t=1→P=1
(G)t=2→P=2
(H)t=3→P=3
となる。このダウンサンプル処理によってブロック内のデータ量を1/4に削減することができる。
以上のようにして、動画像変換装置100はプレフィルタ部104による帯域制限の後、ダウンサンプリング部105によりダウンサンプリング(画素数の間引き処理)を施すことで動画像のデータ量を削減する。
最後に、制御部103の実行する処理について説明する。制御部103は、移動量検出部102から、各ブロック単位の移動量(例えば動きベクトル)を入力して、
プレフィルタ部104に提供する阻止対象高調波成分次数K、さらに、
ダウンサンプリング部105に提供するサンプリング位相変化レート(ΔP)とサンプリング方向、
これらの処理パラメータを決定して、決定した処理パラメータをプレフィルタ部104、ダウンサンプリング部105に出力する。
制御部103は、人間の持つ知覚積分効果による超解像現象を利用して、人間が画質劣化を知覚しないようなダウンサンプリング処理が実現されるように、これらの処理パラメータを決定する。
人間の持つ知覚積分効果による超解像現象を利用して、人間が画質劣化を知覚しないようなダウンサンプリング処理を実現する原理について、以下、説明する。
空間的なサンプリング位置が異なる複数の低解像度画像から高解像度の画像を生成する技術は、超解像処理として知られている。超解像の空間周波数領域における解釈は、例えば特開平8−336046号公報に詳細に示されている。また、人間の視覚効果に基づく超解像効果に関する原理や説明等は、特開2005−198268号公報において詳しく解説がなされている。特開2005−198268号公報に説明されている超解像効果の発生条件を以下に説明する。
動画像中の動被写体を観察者が追従視することを考える。Blochの法則によれば、人間は短時間に提示された光を積分して知覚するので、動画像が十分に高速なフレームレートで表示されている場合、観察者が認識する映像は表示された連続の複数フレームを全て積分した結果であると考えられる。このとき、積分される各フレームにおけるサンプル位置は、動被写体の移動量に応じてずれて加算される。フレーム番号tにおけるサンプル位置のずれ量φ(t)は被写体のフレームあたりの移動量:v(単位:ピクセル)を用いて記述可能であり、以下の式(式7)によって示される。
・・・・・・(式7)
となる。なお、上記式(式7)において、Xはサンプリング間隔である。
サンプル位置のずれ量は最初のフレームのサンプル位置からの相対的なずれ量を示すとするので、φ(0)=0である。原信号f(x)をサンプリング間隔Xで離散化した信号f(x)は、以下の式(式8)によって示される。
・・・・・・(式8)
さらに、そのフーリエ変換F(ω)は、以下の式(式9)によって示される。
・・・・・・(式9)
ここで、F(ω)は、原信号のフーリエ変換である。k=0の項が原信号成分であり、それ以外の項がk次の高調波成分に対応する。さらに、原信号を同様に離散化して、φ(t)だけシフトした信号のフーリエ変換[Fsφ(t)(ω)]は、以下の式(式10)によって示される。
・・・・・・(式10)
上記式(式10)は、フレーム番号[t]における離散化信号のフーリエ変換であるから、観察者の視覚系において、T枚のフレームが積分されると考えると、実際に観察者が知覚する映像のフーリエ変換[I(ω)]は、上記式(式10)を異なるtに関して足し合わせた結果となり、以下の式によって表される。
・・・・・・(式11)
上記式(式11)において、全てのk≠0に対して、以下の式、
・・・・・・(式12)
上記式が成立するとき、k=0の原信号成分の項のみが残るので、
となり、観察者は原信号を知覚する。
サンプリング間隔[X]をあらかじめ特定の値に設定し、観察者が積分するフレーム数[T]が既知であるとすると、前述の式(式7)により、(式12)の左辺値は被写体の移動速度[v]に依存することがわかる。
すなわち、被写体が(式12)を満足するような速度で移動している場合には、信号をサンプリング間隔[X]離散しても発生したエイリアシングは全て観察者の知覚の積分処理によって相殺され、観察者は原信号を認識することになる。結局、例えば、サンプリング間隔X=4において(式12)が成立するような動被写体に関しては、その被写体を構成する画素数を、移動方向に1/4にダウンサンプリングしてしまっても、画質の劣化は観察者には認識されず、結果的にデータ量の圧縮を実現することができることになる。実際には(式12)が完全に満たされなくともある程度の超解像現象は発生し、画質の劣化は観察者にはほとんど認識されないと考えられる。
なお、上述の式(式12)は、
V=e−j2πkφ(t)
と置けば、複素平面上のベクトルV(t)の総和であると考えることができる。このとき、各ベクトルは、
回転角θ=2πkφ(1)
の間隔で複素平面上で回転する。その回転の様子を図7に示す。
このときの回転角θが適当な値であれば、視覚系の積分時間内におけるベクトル和をほぼ0となり、超解像が発生する。すなわち、上述の(式12)の条件は被写体の移動速度の他に、視覚系の積分時間にも依存する。しかしながら、視覚の積分時間は環境によって変化することが知られている。また、環境によって変化することがなくとも実際に正確に計測することは困難であるため、(式12)の条件を満たすような被写体移動速度の範囲を限定することは難しい。一方、視覚認知実験の結果からは、フレームレートが高い、つまり積分される画像数が多ければ、サンプリング間隔Xすなわち間引き量が大きくなっても超解像が得られることが分かっている。このとき、超解像が得られる条件は被写体速度に依存しており、およそ次式(式13)のような関係にあると考えることができる。(n:整数)
・・・・・・(式13)
前述のように、次数kの高調波成分は位相が2πkφ(1)間隔で回転していく。上記(式13)は、各次の高調波成分の位相回転間隔が2πの倍数に近いときには超解像が得られないことを表している。位相回転間隔が2πの倍数に近いということは、時間tが変化しても高調波成分の位相がほとんど変わらないことを意味しており、高調波成分は打ち消されずに残ってしまう。位相回転間隔が(式13)を満たしていれば、高調波成分の位相回転角を表すベクトルV(t)は適切な間隔で回転しており、視覚系の積分時間内のベクトル和が十分に小さくなると考えられる。図8に(式11)を図示したものを示す。図8の斜線の範囲内に角度2πkφ(1)が入っていれば超解像が発生する。
上記(式13)は超解像を得られる条件を示しているが、超解像を得られない条件は以下のようになる。
・・・・・・(式14)
上記式(式14)のφ(t)に前述の(式7)を代入すると、
・・・・・・(式15)
超解像を得られない条件は、上記式(式15)のように表すことができる。さらに、これを変換すると、以下の式、すなわち、超解像を得られない被写体移動速度vの判定を規定する式がせ得られる。
・・・・・・(式16)
ここで、ダウンサンプリング部105で1/M倍のダウンサンプリングを行なう場合を考えると、サンプリング間隔:X=Mである。さらに、
α=Mσ/2π
と置けば、超解像を得られない被写体移動速度vの範囲を高調波成分次数kと、ダウンサンプリング量(間引き量)をMとによって規定した以下の式が得られる。
・・・・・・(式17)
上記(式17)は超解像を得られない条件被写体の移動速度vを規定しており、これは、1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する次数kの高調波成分が観察者の視覚系の積分処理によって「打ち消されない」被写体の移動速度vの範囲を示している。すなわち、被写体が(式17)を満たすような速度vで移動している場合に1/M倍のダウンサンプリングを施すと、観察者が被写体を追従視した場合、折り返し歪みを知覚し、画質劣化を認識する。(式17)はM/kの整数倍の速度と、その速度の±αM/kの範囲の速度で画質劣化が発生することを示している。なお、αMは心理物理実験などの結果から得ることができる。
図9は、(式17)に示す式における移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係を示す図であり、ダウンサンプリング量(間引き量)をM=4として、入力データを1/4のデータ量に削減する1/4倍のダウンサンプリングを行う場合の移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係を示している。すなわち、図9はダウンサンプリング量(間引き量):M=4の場合に発生する各次数の高調波成分について、超解像効果が発生するか否かを示している。
横軸は被写体の移動速度(v(ピクセル/フレーム))を示す軸であり、データ301〜303は、高調波成分次数k=1,2,3、すなわち、それぞれ1次、2次、3次の高調波成分が打ち消される被写体の移動速度領域を示すデータである。
データ301〜303に示す斜線領域は、前述の(式17)に示す式を満足しない領域であり超解像効果が発生する移動速度であることを示しており、斜線領域に対応する移動速度で被写体が移動しているならばそれを追従視することによって対応する次数の高調波成分は打ち消され、折り返し歪みは知覚されない。
これに対し、データ301〜303に示す白色領域は、前述の(式17)に示す式を満足する移動速度の領域であり、超解像効果が発生しない領域である。すなわちこれらのデータ301〜303に示す白色領域に対応する移動速度で被写体が移動している場合は、それを追従視しても対応する次数の高調波成分は打ち消されないので、折り返し歪みが知覚される。なお、図9に示した高調波成分の各次数に対応する斜線/白色のパターンが4ピクセル/フレームごとに周期的に繰り返すことは前述の(式17)より明らかであるので、連続する4ピクセル/フレーム間の範囲のみに着目すればよい。
例えば、図9に示す例において、
被写体移動速度v:v=2ピクセル/フレーム
である場合、図9に示すライン311上の各高調波成分次数k=1〜3のデータから理解されるように、
k=1次および3次の高調波成分に関しては超解像効果が発生するが、2次の高調波成分では超解像効果が発生しない。
十分に高い画質を得るためには全ての次数の高調波成分に伴う折り返し歪みの発生を抑制する必要があるが、それが実現される速度範囲は非常に少ない。例えば図9の例では速度領域321,322で示した速度帯ならば全ての次数で折り返し歪みが発生しないが、その範囲は全体のごく一部である。
先に、図6を参照して説明したように、ダウンサンプリング処理部105は、ダウンサンプリングを行なう際にサンプリング位相変化レートΔPに基づいて、サンプル位置をずらしてサンプリングを実行する。人間が動画像中の動被写体を追従して観察するときの、視覚系により積分される各フレーム(t)におけるサンプル位置のずれ量φ(t)は、サンプリング間隔をX、被写体のフレームあたりの移動量:v(単位:ピクセル)とした場合、先に説明した(式7)、すなわち、
φ(t)=(vt)/X・・・(式7)
として示されるが、この式では、サンプリング位相変化レートを考慮していなかった。すなわち、
サンプリング位相変化レート:ΔP=0
と仮定していた。
サンプリング位相変化レートΔPを考慮すると、上記式(式7)は以下のように変形される。
・・・・・・(式18)
前述の超解像を得られない被写体移動速度vの範囲を高調波成分次数kと、ダウンサンプリング量(間引き量)をMとによって規定した(式17)を、この(式18)を用いて変形すると、以下の式(式19)が得られる。
・・・・・・(式19)
上記(式19)は、あるΔPのサンプリング位相変化レートでダウンサンプリング処理をおこなった場合に、超解像を得られない被写体移動速度vの範囲、すなわち、次数kの高調波成分による折り返し歪みが発生する速度範囲を示している。なお、サンプリング位相変化レートΔPの範囲はサンプリング量(間引き量):M未満、すなわち、
サンプリング位相変化レートΔP=0〜M−1
である。
サンプリング位相変化レートΔP=0〜M−1は、制御部103において、各ブロック単位で0〜M−1の範囲で任意に設定可能な値であり、制御部103で決定したサンプリング位相変化レートΔPに従ってダウンサンプリング部でダウンサンプリング(間引き処理)が実行される。この処理は、先に図6を参照して説明したとおりである。
上記(式19)は、あるΔPのサンプリング位相変化レートでダウンサンプリング処理を行った場合に、超解像を得られない被写体移動速度vの範囲を示しており、上記(式19)を満足しないようにサンプリング位相変化レートΔP=0〜M−1を選択することも可能である。
例えばサンプリング位相変化レートΔP=0としたとき、被写体移動速度v=sからs+1(ピクセル/フレーム)の速度範囲で、上記(式19)が成立しないとすれば、この被写体移動速度:v=sからs+1では折り返し歪みが発生しない。
このとき、被写体移動速度:v=s+1からs+2の場合には、サンプリング位相変化レートΔP=1とすれば、上記(式19)が成立せず、被写体移動速度:v=s+1からs+2の場合には、サンプリング位相変化レートΔP=1としてダウンサンプリング処理を実行すれば、被写体移動速度:v=s+1からs+2の被写体に関して折り返し歪みが発生しない。
同様に、被写体移動速度:v=s+M−1からs+Mの場合には、サンプリング位相変化レートΔP=M−1とすれば、被写体移動速度:v=s+M−1からs+Mの被写体に関して折り返し歪みが発生しない。
上記の(式19)で示した折り返し歪みが発生する速度範囲は周期Mでの繰り返しなので、結局あらゆる速度において折り返し歪みが発生しないようにすることができる。すなわち、どのような移動速度の被写体であってもダウンサンプリングによって折り返し歪みが発生しないようにするためには、例えばサンプリング位相変化レートΔP=0としたときに連続する1ピクセル/フレームの速度範囲(例えばv=s〜s+1)に渡って、全ての次数で折り返し歪みが発生しないような処理を行えばよい。この様な設定とすれば、被写体移動速度v=s〜s+M−1において、サンプリング位相変化レートΔPを0〜M−1と変化させることで、あらゆる速度において折り返し歪みが発生しないようにすることができる。
ここで、再度、図9を参照する。図9に示す3次の高調波データ303において伴う折り返し歪みが一切発生しないと仮定する。その場合、3次の高調波データ303は無視することが可能であり、1次と2次の高調波データのみを考慮すればよい。
図10は、図9に示す3次の高調波データ303を除去した場合の移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係を示している。図9と同様、ダウンサンプリング量(間引き量)をM=4として、入力データを1/4のデータ量に削減する1/4倍のダウンサンプリングを行う場合の移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係を示している。横軸は被写体の移動速度(v(ピクセル/フレーム))を示す軸であり、データ301〜302は、高調波成分次数k=1,2すなわち、それぞれ1次、2次、3次の高調波成分が打ち消される被写体の移動速度領域を示すデータである。斜線領域は、前述の(式17)に示す式を満足しない領域であり超解像効果が発生する移動速度であることを示しており、斜線領域に対応する移動速度で被写体が移動しているならばそれを追従視することによって対応する次数の高調波成分は打ち消され、折り返し歪みは知覚されない。
この場合、データ領域331,332で示すように、ほぼ1ピクセル/フレームの間、全ての次数で折り返し歪みが発生しないような速度区間が存在する。仮にデータ領域332の速度区間をsからs+1ピクセル/フレームであるとする。図10に示すデータは、サンプリング位相変化レートΔP=0の場合の超解像効果の発生の有無を各高調波成分次数k=1,2において示すデータである。先に説明したように、ダウンサンプリングにおいてΔPを1に設定した場合はs+1からs+2で、ΔPを2に設定した場合にはs+2からs+3で、ΔPを3に設定した場合にはs+3からs+4の速度区間において折り返し歪みが発生しない。この傾向は4ピクセル/フレーム間での繰り返しになるので、結局、ΔPを適切に選択すれば全ての速度において折り返し歪みの発生を抑制することができる。
制御部103は移動量検出部102から供給される移動量に基づき、折り返し歪みが発生しない、適切なサンプリング位相変化レートΔPを設定し、ダウンサンプリング部105に供給する。すなわち、移動量検出部102から供給される移動量[v]に基づいて、前述の式(式17)を満足しないように、サンプリング位相変化レートΔPを設定し、ダウンサンプリング部105に供給する。なお、このサンプリング位相変化レートΔPの設定はブロック単位の移動量vに応じてブロック単位で設定することができる。
なお、特定の次数以上の高調波に伴う折り返し歪みの発生を防ぐには、適切な阻止域周波数を設定したローパスフィルタによる高域周波数の除去を実行すればよい。この処理は、先に、図5を参照して説明したようにプレフィルタ部104において実行される。
上述した図10を参照して説明した例の場合は、
高調波成分次数k=3
すなわち、次数が3の高調波成分による折り返し歪みを防げばよいので、制御部103は、阻止対象高調波成分次数Kを3に設定して、プレフィルタ部104に供給する。
プレフィルタ部104は、制御部103から供給される阻止対象高調波成分次数Kに基づいて、前述した(式3)に基づいて阻止域周波数fsを算出し、阻止域周波数をfsとしたローパスフィルタによって、図5を参照して説明したように高周波成分を除去した帯域制限画像を生成し、この結果をダウンサンプリング部105に出力する。例えば、阻止対象高調波成分次数Kを3とした設定では、次数=3以上の高調波成分が除去された帯域制限画像が生成されダウンサンプリング部105に出力される。
ダウンサンプリング部105では、このような帯域制限画像に対して、制御部103から供給されるサンプリング方向およびサンプリング位相変化レートΔPを適用して、例えば図6を参照して説明したダウンサンプリングを実行する。制御部103は、移動量検出部102から供給される移動量[v]に基づいて、前述の式(式17)を満足しないようにサンプリング方向、サンプリング位相変化レートΔPを設定し、ダウンサンプリング部105に供給する。
ダウンサンプリング部105は、制御部103から入力するサンプリング方向、サンプリング位相変化レートΔPに従ったサンプリングを行う。この結果、前述の式(式17)を満足しない、すなわち、超解像効果が発生し、追従視することによって対応する次数の高調波成分は打ち消され、折り返し歪みは知覚されない画像を得ることができる。なお、このサンプリング位相変化レートΔPの設定はブロック単位の移動量vに応じてブロック単位で設定することができ、ダウンサンプリング部105は、ブロック毎にサンプリング位相変化レートΔPを制御部から受領して、受領したサンプリング位相変化レートΔPを適用したダウンサンプリングを行う。
制御部103の実行する処理シーケンスについて、図11に示すフローチャートを参照して説明する。図11に示すフローチャートはある1つのブロックに対応する阻止対象高調波成分次数K、およびサンプリング位相変化レートを定める処理の手順を説明するフローチャートである。
まず、ステップS101において、制御部103に対する入力として、
(a)ダウンサンプリングレート:M、
(b)ステップS103で用いる(条件式1)で適用するパラメータ:α、
(c)ブロックに対応する移動速度:Vin(スカラー値)
である。
ブロックに対応する移動速度Vinは移動量検出部102から供給される。ダウンサンプリングレートMや、パラメータαは外部から供給される。
制御部103は、まず、これらの入力値の受領後、ステップS102において変数の初期化を実行する。
J=M+1、
p=−1、
とする。さらに、
Vin←Vin%M
として、ブロックに対応する移動速度[Vin]の範囲を[0、M)とする。%は剰余演算を示す。
なお、Jは、このフローの処理によって決定されプレフィルタ部104に出力される阻止対象高調波成分次数Jであり、pは、このフローにおいて決定され、ダウンサンプリング部105に出力されるサンプリング位相変化レートpである。これらの初期値は、上記のように、
J=M+1、
p=−1、
とする。
次に、ステップS103において、Jを減算しJ=Mとする。ステップS103からステップS104のループにおいて、移動速度vが1ピクセル/フレーム区間、すなわち区間[s、s+1]で超解像が発生するためには、何次以上の高調波成分による折り返し歪みをフィルタによって取り除く必要があるかを判定する。具体的には、全ての高調波成分次数:k(0<k<J)、全ての移動速度:v∈[s、s+1]について、下記(条件式1)が成立しないようなsが存在するかどうかを調べる。
・・・・・・(条件式1)
上記(条件式)は、先に説明した(式19)、すなわち、あるΔPのサンプリング位相変化レートでダウンサンプリング処理をおこなった場合に、超解像を得られない被写体移動速度vの範囲、すなわち、次数kの高調波成分による折り返し歪みが発生する速度範囲を規定する式において、サンプリング位相変化レート:ΔP=0とした場合の式に相当する。すなわち、先に説明した(式17)と同様の式である。
ステップS103からステップS104のループにおいて、全ての高調波成分次数:k(0<k<J)、全ての移動速度:v∈[s、s+1]について、上記(条件式1)が成立しないようなsが存在するかどうかを調べる。これは、1ピクセル/フレーム区間、すなわち区間[s、s+1]で超解像が発生するためには、何次以上の高調波成分による折り返し歪みをフィルタによって取り除く必要があるかを判定する処理に相当する。
全ての高調波成分次数:k(0<k<J)、全ての移動速度:v∈[s、s+1]について、上記(条件式1)が成立しないようなsが存在しない場合には、Jを1減算する、つまり、高調波成分次数:kの上限を下げる。
全ての高調波成分次数:k(0<k<J)、全ての移動速度:v∈[s、s+1]について、上記(条件式1)が成立するsの存在が検出された場合、その時点のJを阻止対象高調波成分次数とする。
続いて、ステップS105に進み、pの値を更新、すなわちpの値をp+1として1加算するpの更新処理を実行する。次にステップS105〜S106のループにおいてサンプリング位相変化レートを求める。pを1ずつ増加させながら(S105)、Vinが[(s+p)%M、(s+p+1)%M]の範囲に含まれるかどうかを調べる(S106)。含まれない場合はpを増加させる。Vinと範囲[(s+p)%M、(s+p+1)%M]には共にMによる剰余演算が施されているので、p=0からM−1の範囲内で必ずループは終了する。
このループは、ブロック対応の移動速度Vinを、上記(条件式1)が成立しないsに適合させるためのサンプリング位相変化レートpを算出する処理である。先に図も6を参照して説明したように、サンプリング位相変化レートpを0とした場合は、ダウンサンプリングにおいてサンプリングする画素位置は各フレームにおいて変更されないが、サンプリング位相変化レートpを0以外の値とすると、各フレームにおいてサンプリングする画素位置がずれるため、その圧縮画像を復元再生する場合、ブロック対応の移動速度Vinは元のブロックと異なる移動速度に視覚的に変更されることになり、その結果として上記(条件式1)が成立しない移動速度が得られ、結果として超解像効果が発生し、返し歪みの発生のない高品質な再生画像を得ることを可能とする圧縮画像を生成することができる。
最終的に、ステップS107において、
ステップS103〜S104のループにおいて得られたJ、
ステップS105〜S106のループにおいて得られたp、
これら(J,p)を出力する。Jは阻止対象高調波成分次数でありプレフィルタ部104に供給され、pはサンプリング位相変化レートであり、ダウンサンプリング部105に供給される。
なお、制御部103は、ブロックに対するダウンサンプリング処理の方向も設定する。さらに、ブロックに対してダウンサンプリングを施すべきか否かの設定も行なうものとする。これらの設定には任意の方法が使用可能だが、例えば、ダウンサンプリングの方向に関しては、ブロックに対応するX方向の移動量とY方向の移動量を比較し移動量の大きい方向にダウンサンプリングを行なうことにするなどの方法がある。また、ダウンサンプリングを施すべきか否かの設定は、ダウンサンプリングを施す方向への移動量が予め定められた閾値以上であればダウンサンプリングを施すものとし、閾値未満であればダウンサンプリングを施さないとするなどの方法がある。
上述したように、制御部103は、1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)をプレフィルタ部104に入力する。プレフィルタ部104は、制御部103から、前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、ダウンサンプリング部105が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行する。
例えば、制御部103は、サンプリング位相変化レートが0の場合に、ダウンサンプリング部105が動画像データに対して施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、L次以下の次数の高調波成分の全てに関して、ブロック移動量v=v0(ピクセル/フレーム)から少なくともv=v0+1(ピクセル/フレーム)の範囲内の移動速度で移動する被写体を観察者が追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により、L次以下の次数の高調波成分が知覚不能となる移動量v0が存在するような最大のLによって、阻止対象高調波成分次数K=L+1を決定する。この際、制御部103は、予め設定された閾値αに対して、ブロック移動量vが任意の整数Nに対して、
(N−α)×M/k≦v≦(N+α)×M/k
を満たさないとき次数kの高調波成分をブロック移動量vにおいて観察者が知覚不能であると判定し、該判定結果に基づいて前記阻止対象高調波成分次数K=L+1を決定する。
なお、制御部103は、1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、阻止対象高調波成分次数(K)未満の次数の高調波成分により発生する折り返し歪みが、移動量検出部102の検出したブロック移動量で観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により知覚不能となるようなフレーム毎のサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出し、算出した結果をサンプリング位相変化レート(ΔP)としてダウンサンプリング部105に供給する。
動画像変換装置100は、上述したように、入力動画像をブロックに分解し、各ブロックに対して適切な帯域制限と適切なサンプリング位相変化レートに基づくダウンサンプリング処理を施すことでデータ量の圧縮を行う。圧縮結果は、上記(条件式1)が成立しない移動速度を持つブロックによって構成された圧縮データであり、この圧縮データの復元、再生画像は超解像効果が発生し、返し歪みの発生のない高品な画像が再現される。
次に、上述した処理によって得られた圧縮画像データを伸張処理によって復元し再生画像を生成する動画像復元装置に関して説明する。
図12に本発明の動画像復元装置500の構成例を示す。この動画像復元装置500は、動画像変換装置100による変換データを復元し、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないように動画像データの再構成を行なうものである。図12に示す動画像復元装置500の構成について説明する。
アップサンプリング部501は、図1を参照して説明した動画像変換装置の生成した変換データである圧縮画像データを入力し、入力された変換データに含まれる画素データを適切に配置し、さらにアップサンプリング処理により画素数を復元し、完全な動画像データのフレームを構築する。ポストフィルタ部502は、アップサンプリング部501から供給された動画像データの各ブロックを構成する画素に対してフィルタを適用し、画質劣化を観測者が知覚しないように画素値の調整、補間処理を行う。以下、各構成部の処理の詳細について説明する。
まず、アップサンプリング部501の処理について、図13を参照して説明する。アップサンプリング部501は、先に図1を参照して説明した動画像変換装置100のダウンサンプリング部105によって削除された画素数を復元する。動画像変換装置100のダウンサンプリング部105は、例えば図5を参照して説明したように、1/M倍のダウンサンプリングを実行し、入力画像を1/Mのデータ量に削減するため、ブロックを構成する画素の一部のみを残し、その他を削除している。
動画像復元装置500のアップサンプリング部501では、ブロックを構成する画素のうち、ダウンサンプリング処理において残された画素、すなわち変換データとして供給された画素に関しては、それら画素が元々原画像のブロック内において存在していた位置に配置し、それ以外の画素値データが存在しない削除画素については、仮の画素値として画素値=0を設定する。この処理により、画素数に関しては原画像と同一にすることができる。
例えば、動画像変換装置において、ダウンサンプリング量(間引き量)をM=4として、入力データを1/4のデータ量に削減する1/4倍のダウンサンプリングを行ったデータを入力した場合のアップサンプリング部501におけるアップサンプリング処理の例を図13に示す。
図13はブロックの大きさが4画素×4画素であり、動画像変換装置100のダウンサンプリング部105が1/4倍のダウンサンプリング、すなわち、
ブロック=4画素×4画素、
ダウンサンプリングレート:M=4、
サンプリング位相変化レートΔP=1、
この設定でのダウンサンプリング画像データのアップサンプリング例を示している。s00からs33は、ダウンサンプリング処理において残された画素、すなわち変換データとして供給された画素である。
図13の(A)〜(D)が水平方向のダウンサンプリングデータに対するアップサンプリングの例であり、(E)〜(H)が垂直方向のダウンサンプリングデータに対するアップサンプリングの例である。図13の各(A)〜(H)の左側に示されている点線で囲まれたデータがダウンサンプリング後の変換データの1ブロックに相当し、ブロックを構成するデータ数は元のブロック内の画素数の1/4となっている。
アップサンプリング部501は、変換データに含まれる画素データについては元々それら画素が存在していた位置に画素データを配置し、ブロックを構成するその他の画素については、ダウンサンプリングによって削除された画素位置に画素値0を設定することで画素数を元々の4×4=16画素にする。
水平方向のダウンサンプリングデータに対するアップサンプリング処理(A)〜(D)は、連続する4フレームの同一位置のブロックを示しており、先行するフレーム(A)はサンプリング位置が0、すなわち左端の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(B)はサンプリング位置が1、すなわち左から2番目の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(C)はサンプリング位置が2、すなわち左から3番目の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(D)はサンプリング位置が3、すなわち右端の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。
垂直方向のダウンサンプリングデータに対するアップサンプリング処理(E)〜(H)は、連続する4フレームの同一位置のブロックを示しており、先行するフレーム(E)はサンプリング位置が0、すなわち上端の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(F)はサンプリング位置が1、すなわち上から2番目の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(G)はサンプリング位置が2、すなわち上から3番目の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。次のフレーム(H)はサンプリング位置が3、すなわち下端の画素データのみがオリジナル画素の画素値として設定され、その他の画素は画素値=0として設定される。
アップサンプリング部501は上記のようにして画素数を復元し、画素数を復元したデータをポストフィルタ部502に供給する。続いて、ポストフィルタ部502の処理について説明する。ポストフィルタ部502は、アップサンプリング部501から供給された画像データに補間フィルタを適用することによって、ダウンサンプリングによって削除されておりアップサンプリングによって画素値0が設定されていた画素に対してより適切な画素値を設定し、観測者が画質劣化を知覚しにくいように動画像データを復元する。
ポストフィルタ部502が適用するフィルタリング処理に用いるフィルタはどのような方法で設計してもよい。しかしながら、動画像変換装置100のプレフィルタ部104で用いた帯域制限フィルタの阻止域周波数fs以上の周波数成分を遮断する周波数特性を持ったフィルタであることが望ましい。
上記のような周波数特性を持ったフィルタの使用が適切であるという理由は、動画像変換装置100のプレフィルタ部104によって、阻止域周波数fsを阻止域周波数とする帯域制限が適用されているからである。帯域制限により、原信号のfs以上の周波数成分は失われており、これはポストフィルタ部502に供給される画像データについても同様である。つまり、ポストフィルタ部502に供給される画像データの阻止域周波数fs以上の周波数成分に原信号成分は含まれておらず、高調波の成分のみから構成される。追従視における視覚の時間積分によりこれら高調波は打ち消され知覚されないが、阻止域周波数fs以上の周波数の成分をそのまま残したとしても画質が向上することはないので、ポストフィルタによって阻止域周波数fs以上の周波数成分は遮断するべきである。
ここでは1例として、上記の2条件を満足するような9タップのFIRフィルタによるフィルタリングを行なう場合について、図14を参照して説明する。ブロックの大きさが4画素×4画素であり、動画像変換装置100のダウンサンプリング部105が1/4倍のダウンサンプリング、すなわち、ダウンサンプリングレート:M=4としたダウンサンプリングデータに対応する画素値復元のための補間処理である。
9タップのFIRフィルタのインパルス応答を[B0、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8]とする。このインパルス応答と画素値との縦方向または横方向の畳み込みによってフィルタリングを行う。
図14に示す例は、ダウンサンプリングが横方向に行なわれた場合のフィルタリング処理例である。図14(a)に示す3つの4画素×4画素の隣接ブロック601〜603のブロック602を構成する画素のうちの1画素604を対象としたフィルタリング処理の例である。
図14(a)に示す3つの4画素×4画素の隣接ブロック601〜603中のs01〜s31、t01〜t31、u01〜u31は各ブロック601、602、603をそれぞれ構成する画素のうち、動画像変換装置100により削除されずに残った画素である。ブロックを構成するその他の画素は、前述したアップサンプリング部501の0内挿処理によって画素値=0として設定された画素である。
図14(a)に示す画素604を対象とした補間フィルタ処理は、図14(b)に示すように、画素604およびその左右4画素の計9画素からなる画素列データ605と、インパルス応答606との積和を計算し、その結果を、画素604の補正画素値[t'00]607とする処理である。ブロックを構成するその他の画素についても同様の処理で得ることができる。
なお、図14に示す例は、9タップのFIRフィルタを適用したフィルタリング処理であり、処理対象画素を含む9画素、すなわち処理対象画素の含まれるブロックと両隣のブロックの画素を利用して処理が実行されるが、フィルタのタップ長がさらに長い場合は、隣接ブロック以外のブロックの画素値を利用することもある。
図14(b)には、9タップFIRフィルタのインパルス応答B0〜B8,606を示している。インパルス応答B0〜B8の設定例としては、例えば、図15(a),(b)に示すような設定が利用可能である。図15に示すグラフは縦軸が寄与率(0〜1)を示し、横軸が、フィルタリングとしての補間処理に適用される9つの画素を示している。それぞれ中心(5)が補間処理対象の画素に対応する。図15(a)は、補間位置の画素を中心として近い位置の画素の画素値の寄与率を高く設定して、遠方の画素の画素値の寄与率を低く設定した例であり、図15(b)は、補間位置の画素の画素値を含む近傍の4画素の画素値のみを適用して処理を行う例である。なお、図15に示す例以外にも様々なインパルス応答を持つフィルタを利用可能である。
図14に示すポストフィルタ部502におけるフィルタリング処理例は、データ圧縮処理、すなわち図1に示す動画像変換装置において隣接ブロックに対して実行されたダウンサンプリングにおけるサンプリング位相が全て1であり同一であるものとして説明した。すなわち、図14(a)に示す3つのブロック601〜603に対して実行されたダウンサンプリングのサンプリング位相が全て1である。また、ダウンサンプリングの方向も各ブロック共に横方向で共通となっている。しかし、実際は隣接するブロックに施された処理が異なる処理である場合も存在する。そのような場合のフィルタリングの方法について図16を参照して説明する。
図16(A)〜(C)は、矢印の左側のような状況の、隣接するブロックに対して施されたダウンサンプリング処理の態様、すなわちサンプリング位相やサンプリング方向が異なる場合に、どのようなフィルタリングを行なうべきかを示したものである。
図16(A)はフィルタリング対象ブロック712と隣接ブロック711のダウンサンプリング方向は一致しているが、サンプリング位相が異なる場合を示している。図16(A)ではフィルタリング対象ブロック712のサンプリング位相が1であるのに対して、隣接ブロック711のサンプリング位相は0となっており、2つの隣接するブロックのサンプリング位相は一致していない。
このような場合は、図16(A)矢印右側に示すように隣接ブロックの画素の配置を一部変更してフィルタリングを行なう。ブロック714はフィルタリング対象ブロックであり、このブロックには何も変更を加える必要はない。ブロック713はフィルタリング対象ブロック714に隣接するブロックであるが、このブロックには画素の配置に変更が行なわれおり、変更前のブロック711では一番左の列にあった、s00からs30の画素値が左から2番目の列に設定され、ブロック713において、一番左の列の画素値は全て0になっている。すなわち、アップサンプリング部501の0内挿によって得られるもの以外の画素(有効画素)の位相がフィルタリング対象ブロックのものと一致させる。
このように、ポストフィルタ部502は、フィルタリング対象ブロックと隣接するその他のブロックのサンプリング位相が異なる場合には、隣接ブロックの有効画素の位相をフィルタリング対象ブロックと一致させた上でフィルタリング処理を行なう。
図16(B)はブロック722にフィルタリングを施す際の隣接ブロック721に対してダウンサンプリング処理が施されていない場合を示している。すなわち、隣接ブロックのサンプリング周波数が異なる場合である。このような場合は、ブロック723に示すように、フィルタリング対象ブロック724と同一の方向・サンプリング位相でダウンサンプリング処理が施された状態と仮定して、サンプリング位置に当たる画素以外の画素値を0に設定する。すなわち、サンプリング周波数を一致させる前処理を実行する。その上で、ブロック724の各画素に対してフィルタリング処理を行なう。
図16(C)はブロック732にフィルタリングを施す際の隣接ブロック731に対して、方向の異なるダウンサンプリング処理が施されていた場合を示している。このような場合は、ブロック733に示すように画素の配置変更を行なう。すなわち、隣接ブロックの有効画素のうち、対象ブロックのサンプリング位相と一致する位置にある画素値を縦方向にコピーし、その他の画素については0に設定する。図16(C)では処理対象ブロック732のサンプリング位相は1であるから、隣接ブロック731のサンプリング位相1に対応する列の画素のうち、有効画素であるs11を同じ列にコピーし、その他の画素s10、s12、s13に関しては0に設定する。その結果がブロック733である。
ポストフィルタ部502は、このようにフィルタリング処理に適用する画素を持つ隣接ブロックに対して施されたダウンサンプリング処理の態様、すなわちサンプリング位相やサンプリング方向が異なる場合には、図16に示すように各ブロックの構成、すなわちダウンサンプリング処理態様一致させる前処理を実行した後、図15を参照して説明したフィルタリング処理を行い、各画素の画素値を設定する。なお、図16に示したような隣接ブロックへの変更は対象ブロックへのフィルタリングのために一時的に行なわれるものである。ポストフィルタ部502がブロックを処理した結果得られる出力は、そのブロックを構成する各画素に関するフィルタリング結果のみである。
以上のようにして、動画像復元装置500は、動画像変換装置100の生成した変換データに対して、変換データを構成する各ブロックに対して、アップサンプリング処理と、補間フィルタリング処理を施すことで画質劣化を最小限に抑えた、画素数の復元処理を実現する。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、画素数間引き処理により動画像データのサンプル数を1/M倍に削減するダウンサンプリング処理の前に、ダウンサンプリング後のサンプリング周波数fに対して、阻止域周波数fsがfs>f/2であるようなローパスフィルタを用いて帯域制限を行なう構成としたので、高い次数の高調波により発生する折り返し歪みを抑制しつつ、原信号の高周波成分を大きく損失することはないので、復元時のボケの発生をも抑制することができる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、ダウンサンプリング処理部が動画像データに対して施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならないような阻止域周波数fsに基づくローパスフィルタによる帯域制限を予め動画像データに対して適用する構成としたので、K次以上の高調波による折り返し歪みの発生を抑制できる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、各ブロックの移動量に応じて最適に設定されたサンプリング位相変化レートに基づいて、フレームの進行と共にサンプリング位置が変化するダウンサンプリング処理を各ブロックまたは一部のブロックに対して施す構成としたので、領域毎の被写体の移動量に対してロバストなデータ圧縮処理が実現できる。
また、本発明の一実施例の構成によれば、観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果によりK未満の次数の高調波成分が知覚不能となるようなサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出する構成としたので、K次未満の高調波により発生する折り返し歪みは再生時に抑制される。
また、本発明の一実施例の構成によれば、サンプリング位相変化レートP=0の場合に、ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、L次未満の次数の高調波成分の全てに関して、移動量v=v0から少なくともv=v0+1(ピクセル/フレーム)の範囲内の移動速度で移動する被写体を観察者が追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果によりそれらL次未満の次数の高調波成分が知覚不能となる基準移動量v0が存在するような最大のLに対して阻止対象高調波成分次数K=L+1とする構成としたので、画像を構成するブロック間でサンプリング位相変化レートが頻繁に変わることを防ぐことができる。
さらに、本発明の一実施例の構成によれば、動画像変換データを構成する各ブロック対応変換データと各ブロック対応変換態様情報とを入力し、変換態様情報に基づきサンプル数を0内挿によりM倍に増加するアップサンプリング処理部と、変換態様情報に基づき動画像変換データの補間処理を行なう補間フィルタ部を有する動画像復元装置を構成し、補間フィルタでは動画像変換装置のプレフィルタ部における帯域制限で用いたものと同様の阻止域周波数を持つローパスフィルタを用いる構成としたので、再生時にはオリジナルに近い、ボケおよび折り返し歪みの抑制された動画像を知覚することができる。
動画像変換装置の構成を示す図である。 ダウンサンプリング前の帯域制限により特定の次数以上の高調波成分が原因で発生する折り返し歪みが抑制される理論について説明する図である。 ダウンサンプリング前の帯域制限により特定の次数以上の高調波成分が原因で発生する折り返し歪みが抑制される理論について説明する図である。 ダウンサンプリング前の帯域制限により特定の次数以上の高調波成分が原因で発生する折り返し歪みが抑制される理論について説明する図である。 動画像変換装置のプレフィルタ部の実行するフィルタリング処理例について説明する図である。 ダウンサンプリング部105において実行するダウンサンプリング処理の一例について説明する図である。 超解像現象の発生原理について説明する図である。 超解像現象の発生原理について説明する図である。 移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係において各次数の高調波成分について、超解像効果が発生する速度領域を示す図である。 移動速度vと、高調波成分次数kとの対応関係において各次数の高調波成分について、超解像効果が発生する速度領域を示す図である。 動画像変換装置の制御部の実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。 本発明の動画像復元装置の構成例を示す図である。 本発明の動画像復元装置のアップサンプリング部の処理について説明する図である。 本発明の動画像復元装置のポストフィルタ部の実行するフィルタリング処理の例について説明する図である。 本発明の動画像復元装置のポストフィルタ部の実行するフィルタリング処理に適用するFIRフィルタのインパルス応答例について説明する図である。 隣接するブロックに施されたダウンサンプリング処理が異なる処理である場合におけるフィルタリングの方法について説明する図である。
符号の説明
100 動画像変換装置
100 ブロック分割部
100 移動量検出部
103 制御部
104 プレフィルタ部
105 ダウンサンプリング部
500 動画像復元装置
501 アップサンプリング部
502 ポストフィルタ部

Claims (9)

  1. 動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、
    動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割するブロック分割部と、
    前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出部と、
    前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定する制御部と、
    前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去するプレフィルタ部と、
    前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減するダウンサンプリング部と、
    を有し、
    前記制御部は、
    1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)を前記プレフィルタ部に入力する構成であり、
    前記プレフィルタ部は、
    前記制御部から、前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、
    前記ダウンサンプリング部が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行する構成であることを特徴とする動画像変換装置。
  2. 前記制御部は、
    1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、阻止対象高調波成分次数(K)未満の次数の高調波成分により発生する折り返し歪みが、前記移動量検出部の検出したブロック移動量で観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により知覚不能となるようなフレーム毎のサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出し、算出した結果をサンプリング位相変化レート(ΔP)として前記ダウンサンプリング部に供給する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
  3. 前記ダウンサンプリング部は、
    前記制御部から入力する各ブロックに対応するサンプリング位相変化レート(ΔP)に従って、フレームの進行と共にブロックに対するサンプリング位置を変化させたダウンサンプリング処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
  4. 前記プレフィルタ部は、
    予めメモリに記録された阻止対象高調波成分次数(K)、または外部から入力する阻止対象高調波成分次数(K)を利用して前記阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
  5. 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、
    ブロック分割部が、動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割するブロック分割ステップと、
    移動量検出部が、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出ステップと、
    制御部が、前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定する制御ステップと、
    プレフィルタ部が、前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去するプレフィルタ処理ステップと、
    ダウンサンプリング部が、前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減するダウンサンプリング処理ステップを有し、
    前記制御ステップは、
    1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)を前記プレフィルタ部に入力するステップであり、
    前記プレフィルタ処理ステップは、
    前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、
    前記ダウンサンプリング部が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行するステップであることを特徴とする動画像変換方法。
  6. 前記制御ステップは、
    1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、阻止対象高調波成分次数(K)未満の次数の高調波成分により発生する折り返し歪みが、前記移動量検出部の検出したブロック移動量で観察者が動画像を追従視した場合に、観察者の視覚の時間積分効果により知覚不能となるようなフレーム毎のサンプリング位相変化レートを各ブロックについて算出し、算出した結果をサンプリング位相変化レート(ΔP)として前記ダウンサンプリング部に供給するステップであることを特徴とする請求項に記載の動画像変換方法。
  7. 前記ダウンサンプリング処理ステップは、
    前記制御部から入力する各ブロックに対応するサンプリング位相変化レート(ΔP)に従って、フレームの進行と共にブロックに対するサンプリング位置を変化させたダウンサンプリング処理を実行するステップであることを特徴とする請求項に記載の動画像変換方法。
  8. 前記プレフィルタ処理ステップは、
    予めメモリに記録された阻止対象高調波成分次数(K)、または外部から入力する阻止対象高調波成分次数(K)を利用して前記阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去する処理を実行するステップであることを特徴とする請求項に記載の動画像変換方法。
  9. 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
    ブロック分割部にが、動画像データを構成するフレームを1個以上のブロックに分割させるブロック分割ステップと、
    移動量検出部に、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出させる移動量検出ステップと、
    制御部に、前記移動量検出部の検出したブロック移動量を入力し、ブロックに対する処理パラメータとして、ダウンサンプリング(画素間引き)処理におけるサンプリング位相変化レート(ΔP)を決定させる制御ステップと、
    プレフィルタ部に、前記ブロック分割部において分割された各ブロックを入力し、超解像効果の発生条件として決定される阻止対象高調波成分次数(K)に基づいて算出される阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を各ブロックから除去させるプレフィルタ処理ステップと、
    ダウンサンプリング部に、前記プレフィルタ部において高域周波数成分が除去されたブロックを入力し、前記サンプリング位相変化レート(ΔP)に従って入力ブロックのダウンサンプリング(画素数間引き)処理を実行し、各ブロックの構成画素数を1/M(M≧2、整数)倍に削減させるダウンサンプリング処理ステップを有し、
    前記制御ステップは、
    1/M倍のダウンサンプリングに伴い発生する各次数の高調波成分データ各々に対して算出される視覚の時間積分効果による超解像効果が発生するブロック移動速度領域情報を適用して、超解像効果の発生する被写体速度領域のみとしたダウンサンプリングが可能となるように阻止対象高調波成分次数(K)を決定し、決定した阻止対象高調波成分次数(K)を前記プレフィルタ部に入力させるステップであり、
    前記プレフィルタ処理ステップは、
    前記阻止対象高調波成分次数(K(1<K<M、整数))を入力し、
    前記ダウンサンプリング部が施す1/M倍ダウンサンプリングに伴って発生する高調波成分のうち、K以上の次数の高調波成分が原信号成分と重ならない設定となる阻止域周波数(fs)以上の高域周波数成分を除去するローパスフィルタによる帯域制限処理を実行させるステップであることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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