JP4792601B2 - 偽造防止印刷物 - Google Patents

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本発明は、証券・小切手・宝くじ等の資産価値を有する証券類やパスポート・査証等の冊子類に、浸透性のインキを用いて模様が形成された印刷物に関するものであり、偽造、変造、改ざん等を防止することを目的とするものである。
従来から資産価値を有する証券類やパスポート・査証等の冊子類には、その媒体の持つ価値を有益に保持するため、様々なセキュリティ技術が用いられてきている。セキュリティ技術として一般に使われているのは、ホログラムやマイクロ文字が印刷されたスレッドの安全線、透かし模様等を盛り込んだ用紙、光学的に変化するインキ(OVI)等の機能性インキ、オフセット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷等の印刷技術、画線配置等のデザインを効果的に組み合わせて、偽変造等の抑止効果を図っている。
ここで、セキュリティ技術の一つである機能性インキについては、赤外反射・吸収の組合せや磁気特性を付与したもの、あるいは、光の反射を利用した光学的変化インキの他、紙などの基材に浸透して模様の改ざん等を防止する浸透性インキが知られている。
一般的な浸透性インキとしては、2種の着色料の浸透性の強弱と、紙や布のような溶剤浸透性のある筆記面との関係を利用して、筆記面に対して拡散しない着色料には金属紛顔料、筆記面に対して浸透・拡散する着色料には染料を使用して、着色料による筆跡周囲に輪郭線を生じ筆跡を強調するとともに、美麗な二重発色が得られるものが開示されている(例えば、特許文献1)。
また、浸透性インキに蛍光機能を付与して、用紙上に形成する改ざん等の不正を防止したい文字や数字情報等を着色剤及び蛍光顔料又は染料をビヒクルに分散させた印刷物が開示されている(例えば、特許文献2)。
さらに、別の技術として、顔写真画像等を形成するための色材としては顔料を用い、それに加えて蛍光染料をインク内に混入することにより、偽造行為として顔料部分を剥ぎ取って新たな画像を形成した場合においても、基材深部に染み込んだ蛍光染料を取り去ることを困難とし、画像形成部に紫外線を照射することにより、もともとの画像を改ざんしたかどうかを容易に判定する方法が知られている(例えば、特許文献3)。
特願昭55−189315号公報 特許第3263315号公報 特開2002−226740号公報
特許文献1の技術は、2種の着色料の浸透性の強弱を利用して、文字部は浸透しづらい顔料、文字輪郭部は浸透・拡散しやすい染料を使用することで、筆跡部に二重発色が得られるというものであるが、異なる発光体を持つ材料を用いて、浸透しやすい材料によって印刷後、浸透しづらい材料を用いて重ね刷りすれば、同様の効果を容易に得ることが可能となるため、偽造、変造等の抑止効果は望めないものとなっている。
また、特許文献2の技術については、着色剤と蛍光染料を紫外線の照射により硬化する樹脂成分とブリード促進液を含有するビヒクルに分散させた浸透性蛍光インキを用いて印刷することにより、印刷後に蛍光染料がブリード促進液によって、印刷模様(模様等)の周囲に浸透するため、印刷物に紫外線を照射すると、印刷模様(模様等)の周囲が発光するものであるが、印刷物の判別を行う際には紫外線を照射する必要があり、そのための器具又は装置を用いなければならない。
さらに、蛍光染料が含有されていることが判明してしまうと、同様のインキを作製されてしまうか、印刷模様(模様等)の印刷後に、無色等の視認出来ない蛍光インキにより周囲に印刷を施すことにより、同様の印刷物を得られるという問題があった。
また、特許文献3の技術については、特許文献2における出願人がさらに特許文献2に記載の蛍光染料を含有した浸透性インキを用いて、多層構成されている基材に印刷を施すことで、基材表面の画像形成体が剥がされたとしても、蛍光機能性が紙層内部へ浸透しているので、判別器具を用いて蛍光発光の有無を確認することで、偽造行為が行われたかを確認するには有効な技術として開示されている。
しかしながら、一般の使用者にとっては、その媒体が精巧に真似されている場合には、紫外線の照射装置等を保持していないため、一見して真正品か不正品か判別することは不可能であり、さらにインキの機能性が判明してしまうと、同様のインキを使用することで、容易に偽造されてしまう等、改善の余地が残されている。
また、基材自体が多層構造(OVD含む)を要していることから、単純な単層構造の基材よりも製造が複雑になる。
本発明は、前述の従来技術の問題点にかんがみてなされた発明であり、高セキュリティ性を必要とされる資産価値を有する証券類やパスポート、査証等の冊子類(これらのものに必ずしも限定されない)に対する、偽造、変造、改ざんに対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような発見容易性能を備える印刷物とその真偽判別方法を提供することを目的とする。
本発明の偽造防止印刷物は、基材と、基材上の表面に無色又は有色の浸透性インキにより構成された模様と、基材の内部の一部又は全部に浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料により構成された領域からなる印刷物であって、浸透性インキ(の溶剤)が基材内部に浸透して、基材内部の所定の材料と反応し、浸透性インキとは異なる色の顔料が放出されることで、印刷物を表面から観察した場合の浸透性インキにより構成された模様の色と、印刷物を裏面から観察した場合に表面から観察した場合の模様の色とは異なる色に見えることを特徴としている。
また、本発明の偽造防止印刷物における基材は、少なくとも一層以上の紙層から形成され、紙層の少なくとも一層の一部又は全部に、浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の偽造防止印刷物は、少なくとも一層の紙層に形成される浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域は、浸透性インキにより構成された模様と重なり合う位置に配置され、かつ、その形状が異なることを特徴としている。
また、本発明の偽造防止印刷物は、基材を形成する紙層が二層以上の多層であり、多層の中の少なくとも二層に浸透性インキとは各々異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の偽造防止印刷物は、浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料が、顔料を包含した樹脂を有する溶解性インキであることを特徴としている。
また、本発明の偽造防止印刷物における浸透性インキは、蛍光、赤外線、紫外線、磁性の少なくとも一つ以上の機能性材料を有することを特徴としている。
また、本発明は、基材と、基材上の表面に無色又は有色の浸透性インキにより構成された模様と、基材の内部の一部又は全部に浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料から構成された領域からなる印刷物の判別方法であって、印刷物の表裏に対してそれぞれ光を照射し、そこで得られる光情報を取り込み、光情報を画像として解析した測定値とあらかじめ記憶してある正規の測定値とを比較して良否を判別する偽造防止印刷物の判別方法である。
さらに、本発明の偽造防止印刷物の判別方法は、印刷物の表裏に対してそれぞれ光を照射して得られた光情報を画像として解析した測定値が、浸透性インキによる模様及び浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料から構成された模様の形状、濃度及び/又は機能性であり、あらかじめ記憶してある正規の測定値が、浸透性インキ及び浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料から構成された領域の形状、濃度及び/又は機能性の少なくとも一つを含んだ基準値であることを特徴としている。
本発明の偽造防止印刷物は、基材表面に形成された模様又は色彩と基材裏面側から観察した際に視認できる模様又は色彩が異なるため、特別な判別装置を用いることなく、目視にて容易に判別することが可能である。また、本願発明のように、観察した際に表裏の模様又は色彩を異ならせて形成することは、紙と印刷の技術融合によって達成される事象であるから、容易に改ざん等を行うことは困難であり、偽造等の抑止効果を奏することができる。
また、浸透性インキとして、模様等を形成する色材に顔料を用い、それに加えて蛍光、赤外、紫外等の染料や磁性成分のうち、少なくと一つ以上をインク内に混入することにより、偽造・変造・改ざん等の行為によって、基材表面の顔料部分を剥ぎ取り、別のインキを用いて新たな模様を形成した場合においても、基材内部又は基材裏面に染み込んだ機能性成分を取り去ることは困難となる。
さらに、模様に蛍光・赤外・紫外線を照射するか、磁気センサにより磁性パターンを読み取ることにより、もともとの模様を改ざんしたかどうかを容易に判定することができる。
次に図面を参照して本発明に係る偽造防止印刷物()の実施形態を説明する。なお、本実施形態については、最も本発明の効果が発揮すると考える紙を基材とした場合について説明するが、基材は浸透性インキを浸透する材質及び溶解性のインキを含有することが可能な材質であればこれに限定しない。
図1(a)は基材上に浸透性インキ(1)を用いて模様(1’)が印刷された本発明の偽造防止印刷物の表面を真上から見た図であり、浸透性インキを用いた模様(1’)と通常のオフセットインキを用いた模様(3)が印刷されていることが確認できる。図1(b)は(a)におけるA−A’断面図を示す図である。また、図2は図1の印刷物を裏面から見た図であり、裏面側に通常のオフセットインキにより印刷された模様(6)と、表面に模様(1’)を印刷した浸透性インキが、紙製造工程中において付与された溶解性インキと反応して、浸透性インキとは異なる色となり、模様(5)を薄く表現しているところが見え、表面に通常のオフセットインキにより印刷した模様(3)は確認できない。
本発明は紙(浸透性インキに含まれる溶剤が浸透する吸収性の高い材料の基材であればよい)の技術と印刷の技術融合により構成された印刷物であるため、まずは紙(2)の製造工程において紙中に溶解性インキ(4)を付与する。この溶解性インキ(4)については、紙色に影響を及ぼさないように作製されたものを使用する。
紙色に影響を及ぼさないような溶解性インキを付与することは、一見して基材そのものに偽造防止策が施されていることを悟られないという効果を奏し、紙色を変化させることのないように、顔料と樹脂を混合することで、樹脂が顔料を覆うこととなり、実質的に顔料の色が紙への影響とならなくなるものである。
溶解性インキを紙に付与する方法としては、紙の製造工程において紙料中に溶解性インキを配合する方法、ワイヤーパートと呼ばれる水分をまだ多量に含んでいる工程で噴霧式により用紙全面に均一に付与する方法がある。ただし、噴霧式の方法により紙料中に溶解性インキを付与する方法では、紙の内部まで溶解性インキを均一に混合しておくことは困難であり、表面から中間位までの混合となってしまうため、あらかじめ紙料中に溶解性インキを配合しておくことが好ましい。
また、浸透性インキにより施された模様と異なる形状を出現させるためには、紙の全体に溶解性インキを付与するのではなく、部分的に所望する模様となるような噴霧口の形状をした噴霧装置(図示せず、例えば公知のインクジェット方式)や、所望の形状があらかじめ付与されたシートを用いて転写する方法がある。ただし、いずれの方法も紙の一部分に施された模様と同じところに後から印刷を施すこととなるため、同一個所への印刷となるように、紙に付与する溶解性インキの位置鑑と、浸透性インキにより施される模様の位置鑑とを同一となるように設計することが重要となる。
基材となる紙が二層以上の紙層により構成されている場合は、同出願人が既に開示した特開2003−13395による技術を用いることで多層の紙を製造することが可能となる。
そのようにして、基材の色に影響のないように付与された溶解性インキを含有する基材(2)に対して、所望する色の顔料を石油系溶剤と樹脂が約1/2ずつ配合されたワニスと混合した浸透性インキ(1)により模様(1’)を印刷すると、インキ中の石油系溶剤が基材内部へ浸透し、基材内の溶解性インキの樹脂と反応することで、顔料を包含している樹脂成分が溶けだし、内部の顔料が放出されてくる。したがって、図2に示すように、印刷物の裏面から観察すると、基材内部の溶解性インキ(4)と浸透性インキ(1)の石油系溶剤が反応したところのみの色が変化して表面と同様の形状をした色の異なる模様が薄く見えてくることとなる。
なお、通常のオフセットインキにより印刷した表面の模様(3)と裏面の模様(6)については、石油系溶剤が浸透していかないので、反対側から観察しても確認できない。
次に、本発明の真偽判別方法について、図7、図8及び図9(フローチャート)に基づき説明する。
まず、本発明の偽造防止印刷物(X)表裏の面にそれぞれ特定の光(10)を照射し、その光情報を受光装置(11)で取得する。受光装置は特に限定はしないが、カラーCCDカメラ等のような画像取得ができる装置が好ましい。取得した光情報を画像による形状、色彩等による濃度及びインキに含有された機能性の少なくとも一つを測定して分析する。その分析した値と、あらかじめ記憶してある正規の印刷物に対して測定した値とを比較して、良否を判定する。
良否の判定については、図8を用いて説明する。良否の判定は二通りの比較により行われる。図8の(A)は測定対象から取得した光情報(B)は比較対象とするあらかじめ記憶してある正規印刷物の光情報であり、(a)(b)は表面から確認できる浸透性インキによる印刷模様の情報で、(a’)(b’)は裏面から確認できる溶解性インキにより出現した模様の情報である。
比較する光情報は、印刷模様の形状、色濃度及びインキの機能性であり、いずれも実際の印刷物の表面と裏面との比較(イ)と、あらかじめ記憶してある正規印刷物の表面と裏面との比較(イ’)とを比較するもの、実際の印刷物の表面とあらかじめ記憶してある正規印刷物の表面の比較(ロ)と、実際の印刷物の裏面とあらかじめ記憶してある正規印刷物の裏面の比較(ロ’)とがある。ただし、実施例4に記載したように、溶解性インキを部分的に所望の形状として付与した場合については、表裏別々の形状として確認できることから、実際の印刷物の表裏の比較(イ)、正規印刷物の表裏の比較(ロ’)は、比較の対象項目から形状のみを除くこととすればよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の形態はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、基材には紙を使用し、青色系顔料を含む溶解性インキ4が紙層全体に混入され、この紙の表面には、以下の配合比からなる赤色系浸透性インキを用いて印刷を行った。
赤系顔料・・・30%
ワニス ・・・70%
(ワニス:石油系溶剤50〜60%、樹脂40〜50%)
印刷物は図1及び図2に示すように、印刷された浸透性インキ(1)は、石油系溶剤が紙層内部へ浸透し、紙層に混入されている溶解性インキ(4)の樹脂と反応することで、顔料を包んでいる樹脂成分が溶け出し、青色系顔料が放出された状態となった。
紙表面には、浸透性インキの赤色系顔料が残留しているため、赤色の色彩で模様(1’)が形成されており、一方、紙の裏面から観察すると、青色系顔料による色彩によって、薄く浸透性インキにより印刷された模様(1’)と同じ形成の模様(5)が確認された。
(実施例2)
また図3は、二つの紙層からなる基材(2)の第2の紙層(8)内のみに黄色系顔料を含む溶解性インキ(4)を付与しており、その溶解性インキを含んでいない第1の紙層の表面には、実施例1と同様に赤色系浸透性インキで模様(1’)が印刷されているものを示している。
印刷された浸透性インキ(1)は、石油系溶剤が紙層内部へ浸透し、第1の紙層(7)から第2の紙層(8)へ達する。石油系溶剤は第2の紙層(8)に混入されている溶解性インキの樹脂と反応することで、顔料を包んでいる樹脂成分が溶け出し、黄色系顔料が放出される状態となる。
第1の紙層の表面には、浸透性インキの赤色系顔料が残留しているため、赤色の色彩で模様が形成されており、一方、第2の紙層には、黄色系顔料による色彩と模様が形成され、基材の裏面から観察するとこの黄色系顔料により模様が確認できることとなる。
なお、図4に示すように、図3の溶解性インキ(4)を含む第2の紙層(8)を、溶解性インキを含まない第1の紙層(7)と同様の第3の紙層(9)で挟むように形成することもできる。
(実施例3)
別の実施の形態として図5に基づき説明する。本実施例による基材については、第1の紙層(7)(浸透性インキにより模様を印刷する側の層)、第2の紙層(8)(中間層)及び第3の紙層(9)(浸透性インキにより模様を印刷する紙層とは反対側の層)からなる三つの紙層から構成され、第2の紙層(8)に黄色系顔料を含む溶解性インキ(4)を、第3の紙層(9)には青色系顔料を含む溶解性インキ(4’)をそれぞれ混入しており、第1の紙層(7)には、実施例1と同様に、表面には赤色系浸透性インキ(1)を用いて模様(1’)が印刷されている。
第2の紙層(8)は、第1の紙層(7)に印刷された浸透性インキの石油系溶剤が浸透し、第2の紙層(8)に混入されている溶解性インキ(4)の樹脂と反応することで、顔料を包んでいる樹脂成分が溶け出し、黄色系顔料が放出される状態となる。
また、第3の紙層(9)は、第1の紙層(7)に印刷された浸透性インキの石油系溶剤が第2の紙層(8)へ浸透して樹脂と反応後、さらに石油系溶剤は第3の紙層(9)に混入されている溶解性インキ(4’)の樹脂と反応する。この際、青色系顔料を包んでいる樹脂成分が溶け出し、青色系顔料が放出される状態となる。
基材の第1の紙層(7)には、浸透性インキの赤色系顔料が残留しているため、赤色の色彩で模様(1’)が形成されており、一方、第2の紙層(8)には、黄色系顔料による色彩と模様(5)が形成される。さらに第3の紙層(9)には、青色系顔料による色彩と模様(5’)が形成されることとなる。この基材を裏面側となる第3の紙層の方から視認すると、第2の紙層(8)の黄色と第3の紙層(9)の青色が混色した色彩を発している。
(実施例4)
さらに別の実施の形態として、図6に基づき説明する。二つの紙層からなる基材の第1の紙層(7)には、赤外線機能を含む黒色系浸透性インキで星型柄模様(1’)を形成している。また、第2の紙層(8)には、第1の紙層(7)の表面に印刷されている模様(1’)の領域と重なりあう領域内には、あらかじめ紙の製造工程において黄色系顔料を含む溶解性インキ(4)をインクジェット方式により、第1の紙層表面に施された星型の模様(1’)とは異なる模様(5)となるように混入している。
印刷された浸透性インキは、石油系溶剤が紙層内部へ浸透し、第2の紙層(8)に達する。石油系溶剤は第2の紙層(8)に混入されている溶解性インキの樹脂と反応することで、顔料を包んでいる樹脂成分が溶け出し、黄色系顔料が放出される状態となる。
第1の紙層(7)の表面には、浸透性インキの赤色系顔料が残留することによって、赤色の色彩で星型の模様(1’)が形成され、一方、第2の紙層(8)には、黄色の色彩で星型とは異なる模様(5)が形成されたことが、浸透性インキにより施された模様(1’)とは反対側の面を観察した際に確認できた。
二つ以上の紙層により構成された基材を用いて、浸透性インキによる模様と異なる模様を溶解性インキにより基材内部に施す別の形態としては、前述した同出願人が既に開示した特開2003−13395に基づく、多層の抄き合わせ方法において不織布に溶解性インキにより所望の模様を印刷しておいて紙層内に抄き込むことでも可能である。
印刷方式としては、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれの方式を採用しても良好な結果を得ることができるが、浸透性インキの石油系溶剤成分を紙層内部へ浸透しやすい方式として、凸版印刷方式が最良である。なお、印刷方式については、これらに限定されるものでなく、特に、凸版印刷方式に類似する方法としてインパクトプリント方式でも良好な結果を得ることができる。
(実施例5)
次に、内部に製造工程において溶解性インキを全面に付与した紙の基材を用い、表面に赤外線吸収材料の染料を配合した赤色の浸透性インキにより星型の模様を印刷した偽造防止印刷物の真偽判別を行った。裏面には特に模様の印刷は行っていないが、紙層内に青色の顔料を包含する溶解性インキが全面に付与されていることから、浸透性インキの石油系溶剤が浸透して溶解性インキと反応し、裏面から観察すると青色の星型の模様が確認できた。
この偽造防止印刷物を、搬送装置(図示しない)によって搬送し、表裏の面に、それぞれ特定の光を照射し、その光情報を受光装置で取得後、あらかじめ記憶してある正規印刷物の情報と比較した。比較の結果は次のとおりである。
Figure 0004792601
上表のように、模様の形状は、溶解性インキを紙層内全面に施した基材を使用していることから、印刷物自体における表裏同形状、さらにあらかじめ記憶した正規の印刷物と同形状であり、完全一致している。
また、色濃度については、表裏の模様を分光反射率から測定した結果、表面を測定した色濃度及び裏面を測定した色濃度とが、あらかじめ記憶した正規印刷物の表裏の色濃度とそれぞれ一致しており、また、裏面から観察可能な模様は、表面印刷におけるインキの浸透から確認できるものであることから、色濃度は表面より淡くなるという特長を正確に発現しており、その濃淡差50%と、あらかじめ記憶した正規印刷物の表裏の濃淡差50%が完全に一致していた。
さらに、機能性の比較では、赤外線反射率を測定したところ、実際の印刷物の赤外線反射率30%と、あらかじめ記憶した正規印刷物の赤外線反射率30%も完全に一致していた。
これらの光情報を比較することによって、形状、色濃度、濃度差、インキの機能性が完全一致していれば、偽造・変造等がなされていない真正品と判定され、仮に、比較項目の一つでも不一致となった場合は、偽造・変造等の疑いがある不正品と判定できる。
本発明の偽造防止印刷物の模式的な断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る実施例を示す断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る別の実施例を示す断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る別の実施例を示す断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る別の実施例を示す断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る別の実施例を示す断面図。 本発明の偽造防止印刷物に係る真偽判別方法を説明する図。 真偽判別において、比較の対象を説明する図 本発明の偽造防止印刷物に係る真偽判別方法のフローチャート図。
符号の説明
1 浸透性インキ
1’ 浸透性インキを用いて印刷した模様
2 基材
3 通常のインキを用いて印刷した模様(表面)
4、4’ 溶解性インキ
5、5’ 溶解性インキによる模様(反応個所)
6 通常のインキを用いて印刷した模様(裏面)
7 第1の紙層
8 第2の紙層
9 第3の紙層
10 光源
11 受光装置
12 判別装置(表裏)
X 偽造防止印刷物

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材上の表面に無色又は有色の浸透性インキにより構成された模様と、前記基材の内部の一部又は全部に前記浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料により構成された領域からなる印刷物であって、
    前記浸透性インキの溶剤が基材内部に浸透して、前記基材内部の所定の材料と反応し、前記浸透性インキとは異なる色の顔料が放出されることで、前記印刷物を表面から観察した場合の前記浸透性インキにより構成された模様の色と、前記印刷物を裏面から観察した場合に前記表面から観察した場合の前記模様の色とは異なる色に見えることを特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 前記基材は、少なくとも一層以上の紙層から形成され、前記紙層の少なくとも一層の一部又は全部に、前記浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の偽造防止印刷物。
  3. 前記少なくとも一層の紙層に形成される前記浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域は、前記浸透性インキにより構成された模様と重なり合う位置に配置され、かつ、その形状が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止印刷物。
  4. 前記基材を形成する紙層が二層以上の多層であり、前記多層の中の少なくとも二層に前記浸透性インキとは各々異なる色の顔料を含んだ所定の材料を有する領域が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の偽造防止印刷物。
  5. 前記浸透性インキとは異なる色の顔料を含んだ所定の材料が、前記顔料を包含した樹脂を有する溶解性インキであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の偽造防止印刷物。
  6. 前記浸透性インキは、蛍光、赤外線、紫外線、磁性の少なくとも一つ以上の機能性材料を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の偽造防止印刷物。
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