JP4789627B2 - 鋼構造物の電気防食方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼構造物の電気防食方法に関するものであり、より詳細には、淡水環境の鋼構造物におけるエレクトロコーティングの形成を制御し、淡水環境の鋼構造物を効果的に電気防食することができる鋼構造物の電気防食方法に関するものである。
水溶液環境に接した鋼構造物の電極電位を制御して鋼構造物の腐食を防止する電気防食方法が知られている。例えば、上水路等の淡水路を形成する鋼構造物を電気防食する電気防食方法が、本発明者等の特許出願に係る特開2004−359972号公報(特許文献1)に開示されている。この電気防食方法は、電源装置の陽極に接続した電極を淡水路内に配置するとともに、淡水路を形成する鋼構造物を電源装置の陰極に接続し、鋼製淡水路を電気防食することを意図したものである。
電気防食方法において、カソード電流によって海水中の鋼構造物の鋼材表面にカルシウム塩CaCO3及びマグネシウム塩 Mg (OH)2のスケール皮膜を沈着せしめ、鋼材表面にエレクトロコーティング(電解被覆)を形成する技術が知られている(非特許文献1〜7)。この種のエレクトロコーティングは、Ca2+やMg2+の溶解量が少ない淡水環境では海水環境ほど期待できないことから、これまでのエレクトロコーティングの研究は、主として、海水中の鋼構造物の電気防食に向けられてきた。
淡水中の鋼構造物の電気防食に関し、鋼材表面にエレクトロコーティングが生成し得ることが過去の研究報告書に記載されているが(非特許文献8〜10)、これらの研究報告は、Ca2+やMg2+の溶解量が少ない淡水環境のカソード防食であっても、エレクトロコーティングの形成を期待できることを示唆しているにすぎず、エレクトロコーティングを淡水環境の鋼構造物に積極的に形成するための条件又は構成について言及したものではない。
特開2004-359972号公報 H. A. Humble, Corrosion, 4, 358 (1948) F. L. Laque, Corrosion, 6, 161 (1950) S. L. Wolfson and W. H. Hartt, Corrosion, 37, 70 (1981) H. Fukuzawa, Bosei Kanri (Rust Prev. Control), 27[10], 301 (1983) W. H. Hartt, C. H. Culberson and S. W. Smith, Corrosion, 40, 609 (1984) K. E. Mantel, W. H. Hartt and T. -Y. Chen, Corrosion, 48, 489 (1992) J. S. Luo, R. U. Lee, T. Y. Chen, W. H. Hartt and S. W. Smith, Corrosion, 47, 189 (1991) Yu. N. Noginov, M. I. Budnevich, N. A. Peshkova and G. V. Khaldeev, Protection of Metals, 14, 64 (1978) Y. Yamada, Y. Yamazaki, S. Isoda and S. Asakura, Piping Eng., 34, 66 (1992) T. Tsuda, T. Nagai, M. Suzuki, T. Hosaka and S. Asakura, Zairyo-to-Kankyo (2004)
Ca2+やMg2+の溶解量が少ない淡水中の鋼構造物に関し、エレクトロコーティングが形成される条件を解明し、実用的且つ一般化可能な条件を明らかにすることができれば、エレクトロコーティングの形成を制御し、電気防食を効果的に実施する方法を実現することができると考えられる。即ち、淡水中の鋼構造物に関し、エレクトロコーティングを積極的に形成可能な防食電流密度及び電位等の条件が判明すれば、新たな電気防食方法を実現し得るであろう。
しかしながら、このような淡水路においては、前述の如く、Ca2+やMg2+の溶解量が少なく、エレクトロコーティングの形成が困難であり、しかも、流水の流速が設計仕様等により異なるので、エレクトロコーティングの形成条件を画一的に定めることができないという特殊性がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上水路等の淡水路を形成する鋼構造物にエレクトロコーティングを積極的に施すことができる電気防食方法を提供することにある。
本発明者は、水道水の流水中においてエレクトロコーティングが鋼材に形成される条件に関し、水道水の流速にかかわらず、次のように総括し得ることを見出した。
(1)防食電流密度を溶存酸素の拡散限界電流密度以上に設定する(防食電流の設定条件)。
(2)鋼材の示す電位が-0.7V(SHE)以下になるように防食電流を設定する(防食電流の設定条件)。
(3)電位が-0.7V以下に低下し、その状態が継続すればエレクトロコーティングが形成していると判断する(エレクトロコーティング形成の判断基準)。
本発明は、上記目的を達成すべく、流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、防食電流密度を溶存酸素の拡散限界電流密度以上に設定することを特徴とする鋼構造物の電気防食方法を提供する。
本発明の上記構成によれば、溶存酸素の拡散限界電流密度以上に設定した防食電流密度の防食電流を鋼材表面に供給することにより、エレクトロコーティングを比較的早期に鋼材表面に生成することができる。電気防食は、淡水の流速にかかわらず、電位及び電流の制御によって実行される。
好適には、溶存酸素の拡散限界電流密度と淡水の流速との関係が予め求められ、防食電流密度は、淡水の流速に基づいて設定される。これは、淡水の流速と溶存酸素の拡散限界電流密度との間に相関関係があり、防食電流密度を淡水の流速に基づいて設定し得る点に着目したものである。エレクトロコーティングは、このように設定した防食電流密度に基づく電位及び電流の制御によって鋼材表面に形成される。
本発明は又、流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、淡水と接触する鋼材表面部分の電位が初期的に-0.7V(SHE)以下に低下するように防食電流を制御することを特徴とする鋼構造物の電気防食方法を提供する。
本発明の上記構成によれば、鋼材表面部分の電位が初期的に-0.7V(SHE)以下に低下するので、エレクトロコーティングは、比較的早期に鋼材表面に生成する。電気防食は、淡水の流速にかかわらず、電位及び電流の制御によって実行される。
好ましくは、一定の防食電流が鋼構造物に持続的に通電される。一定の防食電流を鋼材表面部分に継続的に供給することにより、エレクトロコーティングが生成し難い鋼材表面部分に電流を集中させ、このような部分にも積極的にエレクトロコーティングを形成することができる。
本発明は又、流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、防食電流密度を溶存酸素の拡散限界電流密度未満に設定して防食電流を定電流制御し、エレクトロコーティングの部分的な形成によって、淡水と接触する鋼材表面部分の電位が-0.7V(SHE)以下に低下するようにしたことを特徴とする鋼構造物の電気防食方法を提供する。
本発明の上記構成は、エレクトロコーティングが鋼材表面部分に生成するにつれて鋼材表面部分の電位が低下する現象を利用したものであり、上記構成によれば、比較的少量の防食電流を維持することにより、鋼材表面に効率的にエレクトロコーティングを形成することができる。なお、この構成においても、電気防食の制御は、淡水の流速にかかわらず、電位及び電流の制御によって実行される。
好ましくは、淡水と接触する鋼材表面部分の電位が-1.0V(SHE)以上に規制されるように上記防食電流が制御される。電位が-0.7Vを大きく下回ると、水の電気分解による電力の損失を生じ、また、電気分解による水素気泡の発生も無視できなくなり、一旦形成されたエレクトロコーティングの再剥離を引き起こす可能性が懸念される。このため、電位は、-1.0V(SHE)以上に維持することが望ましい。
本発明によれば、淡水路を形成する鋼構造物にエレクトロコーティングを積極的に施すことができる電気防食方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
Ca2+やMg2+を含む水溶液中において金属をカソード防食すると、金属表面近傍のpHが上昇し、防食面にCaCO3やMg(OH)2などを主成分とするエレクトロコーティングが生成し易い状態が生じる。緻密且つ密着性に優れたエレクトロコーティングが金属表面に形成されると、防食電流の低減が可能となるなど、金属のカソード防食にとって望ましい環境が得られる。
エレクトロコーティングに関する研究は、Ca2+やMg2+を多量に含む海水中の金属に関し、従来、活発に行われてきた (非特許文献1〜7)。反面、淡水中の金属に関するエレクトロコーティングの研究は、非常に少ない。しかしながら、Ca2+やMg2+の含有量が少ない淡水に関しても、カソード防食の作用としてエレクトロコーティングを形成し得ることが複数の研究報告書(非特許文献8〜10)において示唆されている。例えば、Yamada等(非特許文献9)は、水道配管の内面においてエレクトロコーティングの形成が観られることを報告しており、また、本発明者等(非特許文献10)は、河川水を送水する鋼製水路において、エレクトロコーティングの形成が観られることを報告している。これらの研究報告は、カソード防食の結果として生じるエレクトロコーティングの有効性を示唆しているものの、エレクトロコーティングを積極的に活用するために必要なエレクトロコーティング形成条件は、未だ判明していない。また、Noginov等(非特許文献8)は、保護性のエレクトロコーティングを金属表面に形成するためのカソード分極条件について報告しているが、その形成条件に影響を及ぼす因子については、明らかにされていない。
本発明者は、淡水中におけるエレクトロコーティングの形成条件を検討すべく、以下のとおりカソード分極実験を行った。
図1は、カソード分極試験のための実験装置の構造を概略的に示す概念図である。
カソード分極試験の実験装置は、水槽1、試験片支持体2、対極3、参照電極4、塩橋5、水道水供給源6、エアポンプ7、排水管8、電流・電位制御装置(ポテンショ・ガルバノスタット)9、記録装置10、マグネチックスターラー(撹拌装置)11から構成される。
カソード分極試験は、3電極法で行われ、対極3として、白金が用いられ、参照電極4として、飽和KCl溶液を内部液とした銀−塩化銀電極が用いられた。なお、本明細書において示す以下の電位は、標準水素電極基準に換算した値(V vs. SHE)である。
試験片12として、10mm×10mm×3mmに切り出した一般構造用圧延鋼材(JIS G3101 SS400)が用いられた。試験片12は、露出面以外を冷間樹脂(支持体2)によって被覆された。
試験片12の試験面は、実験前に#1000のSiC研磨紙で湿式研磨された後、エタノールおよびアセトンで脱脂され且つ洗浄された。10-3m3の試験液が水槽1内に収容され、試験液は、エアポンプ7によって空気バブリングされるとともに、スターラー11によって攪拌された。
水道水供給源6は、実験中、常に新しい水道水を平均流量70mm3/sの供給速度で滴下し、排水管8は、同量の水を水槽1から排水し、これにより、水槽1内の試験液は、水質変動を防止された。なお、実験温度(水温)は、25℃に設定された。
先ず、本発明者は、試験片12の浸漬直後にカソード分極曲線を測定した。これは、制御装置9によって自然電位から数十mVずつステップ状に分極し、電位設定から2分後の電流値を測定することよって行われた。測定時の電流値は、ほぼ定常に達していた。なお、IR降下は、電流遮断法によって除去された。
次いで、本発明者は、カソード分極曲線の測定に用いた試験片を使用して定電流カソード分極実験を行った。カソード電流密度は、0.2〜30A/m2の範囲内の所定値に設定され、実験期間は、30日に設定された。試験面の目視観察及び電位測定が実験期間内に行われ、試験面の観察によって、エレクトロコーティング形成の確認が行われた。なお、電位は、毎日、電流遮断法によってIR降下分を除去して測定された。
試験液として使用した水道水は、横浜市の水道水である。試験液(水道水)の水質を下表に示す。
Figure 0004789627
この水質は、日本における一般的な淡水の水質と同等である(JSCE(ed.), Corrosion Handbook (Jpn.), 156 (2000))。なお、ランゲリア指数は、pH、Ca2+濃度、およびHCO3 -濃度から算出された(JSCE(ed.), Corrosion Engineer’s Handbook (Jpn.), 172 (1986))。ランゲリア指数の算出に用いた試験液のpHは、pHメーターで測定され、Ca2+濃度は、JIS K0102に基づいて原子吸光度測定装置で測定され、HCO3 -の濃度は、溶存するCO2の濃度が大気平衡状態の純水のCO2濃度と等しい0.4ppm(JSCE(ed.), Corrosion Engineer’s Handbook (Jpn.), 172 (1986))であるものとして、計算により算出された。また、ランゲリア指数の算出の際には、イオン強度の補正が必要であるが、水道水は希薄溶液であるため、イオン強度を考慮した場合と考慮しない場合のランゲリア指数の差は、0.1〜0.2(JSCE(ed.), Corrosion Engineer’s Handbook (Jpn.), 172 (1986))と小さく、このため、本例の実験では、イオン強度の影響については考慮されていない。水道水に含まれる残留塩素は、実験セルに供給する前の半日程度の時間、水道水をタンクに貯水することによって除去された。
図3は、カソード分極実験の測定結果の一例を示す線図であり、カソード分極曲線が、図3に例示されている。
カソード分極曲線を測定したところ、図3に示す如く、溶存酸素の拡散限界電流(以下、「限界電流」という。)が-0.75〜-0.5Vの電位域に顕れた。本発明者は、電位-0.7Vにおいて、カソード電流密度を読取り、その値を限界電流密度として把握した。図3に示す測定結果においては、限界電流密度は、1.5A/m2である。限界電流密度は、試験液の攪拌程度に相応して変化するので、試験液の攪拌状態によって淡水路の流水速度を模擬することができる。試験液の撹拌状態をスターラーによって調節することにより、電位-0.7Vにおいて、1.5A/m2の他、0.87、2.2及び3A/m2のカソード電流密度が得られた。これらの電流密度は、流水速度に相応した限界電流密度として把握することができる。
エレクトロコーティング形成条件は、カソード電流密度やカソード防食時の電位の他、流速、表面状態及び水質等にも影響されると考えられる。殊に、流水環境の金属表面近傍には、溶存酸素が供給され続けることから、淡水の流速は、限界電流密度と密接に関連すると考えられる。従って、淡水の流速と限界電流密度との相関関係を明確にすることができれば、淡水の流速と直接に関連なく、エレクトロコーティングの形成を限界電流密度に基づいて制御することが可能となると考えられる。更には、エレクトロコーティングを形成可能な電位(SHE)を明確にすることができれば、限界電流密度、防食電流密度及び/又は電位(SHE)の制御によってエレクトロコーティングの形成を制御することができると考えられる。
限界電流密度は、流速の関数であることが理論式から導かれる(電気化学協会編、新編電気化学測定法、第36頁(1988))。本発明者は、図2に示す実験装置を用いて、限界電流密度と流速との関係を調べるための実験を行った。
図2は、流速と酸素拡散電流との関係を求めるための実験装置の構造を概略的に示す概念図である。
中空直方体の実験装置20は、作用極22及び対極23を両側壁面に対向配置するとともに、参照電極4を実験装置20の流路内に挿入した構成を有する。作用極22及び対極23は、露出面積100mm2の炭素鋼(JIS G3101 SS400)からなり、実験装置20の各側壁面に夫々埋込まれた。作用極22及び対極23の露出面(試験面)は、前述のカソード分極実験と同様の表面処理を施された。参照電極4として、飽和KClを内部液とした銀−塩化銀電極が使用された。
流水の流速u(mm/s)と限界電流密度ilim(A/m2)との間には、理論式から導かれた下式の関係があると考えられる(電気化学協会編、新編電気化学測定法、第36頁(1988))。
ilim =k・u1/3
上式は、チャンネルフロー電極に適用される式である。kは、比例定数であり、電極反応に関与する電子数、ファラデー定数、試験液中の溶存酸素濃度、酸素拡散係数、チャンネルの高さ、電極の幅、および電極の長さによって決定される。
上式は理論式であることから、本発明者は、実際の自然環境で成立するか否かを確認すべく、実験装置20を使用して、流速と限界電流密度との関係を求めた。
所定流量の水道水が実験装置20の片側の開口部(入口)から実験装置20の流路内に通水され、様々な流速におけるカソード分極曲線が測定された。なお、流速は、流量/流路断面積によって求められた。
カソード分極曲線の測定方法は、前述のカソード分極実験で述べたものと実質的に同じ計測方法である。実験に用いた水道水は、蛇口から直に実験装置20に通水された。水道水は、前述の表1に示す水質のものであり、実験時の水道水の温度は、18℃であった。
図4は、流速の3乗根と限界電流密度との関係を示す線図である。
図4に示す如く、流速の3乗根と限界電流密度との間には相関関係があり、また、上式の比例定数kは1.0に近い値であった。従って、限界電流密度及び流速は、互いに換算可能であることが実験的に確認された。ただし、比例定数kには、チャンネルの高さ、電極の幅、および電極の長さのパラメーターが含まれている。チャンネルの高さとは、装置の規模を表すものである。従って、装置の規模、或いは、電極の幅や長さが図2の実験装置20と異なる場合、必ずしも比例定数kは1.0にならないことが推定される。
図5は、試験面の観察結果をプロットした線図であり、横軸は、限界電流密度を指示し、縦軸は、カソード電流密度(防食電流密度)を指示する。なお、横軸には、限界電流密度を換算した流速の値が併記されている。
本発明者は、図1に示す実験装置を使用し、前述のカソード分極実験で得られた限界電流密度(0.87、1.5、2.2、3A/m2)の環境を夫々形成し、各々の環境において、カソード電流密度を変化させて、エレクトロコーティングの形成を観察した。
図5に丸印(○)で示す如く、限界電流密度の増大(即ち、流速の増大)につれて、エレクトロコーティングの形成に必要なカソード電流密度は、増大した。これは、流速の増大が鋼表面pHの上昇を抑制するように作用することに起因すると考えられる。従って、エレクトロコーティングを形成するには、限界電流観密度の増大(即ち、流速の増大)に相応して、カソード電流密度を増大させることが必要となる。
図5に示す丸印(○)と、黒塗り三角印(▲)とは、エレクトロコーティングの形成開始時期が相違する。なお、エレクトロコーティングの形成開始時期は、試験面に微小な白色粒子が目視され、試験面におけるエレクトロコーティングの被覆率が持続的に増大し始める時点とした。
図5に示す丸印(○)は、1日以内にエレクトロコーティングの形成が開始する条件をプロットしたものである。従って、このような時期にエレクトロコーティングの形成を開始させるには、カソード電流密度を限界電流密度以上に設定する必要がある。また、このような条件の下では、エレクトロコーティングは、8日以内に鋼表面全体に形成された。
他方、黒塗り三角印(▲)は、エレクトロコーティングの形成開始に4日以上の日数を要する条件をプロットしたものである。このような条件として、カソード電流密度が限界電流密度未満に設定されている点が挙げられる。このような条件では、エレクトロコーティングの形成開始時期に再現性が観られなかった。例えば、限界電流密度が1.5A/m2の環境において、カソード電流密度を1A/m2に設定した条件の実験を3回行ったところ、エレクトロコーティングの形成開始時期は、4日、7日及び22日後となり、測定結果がばらつき、再現性を推定させる結果は、得られなかった。このようなばらつきが生じた原因は、明らかではないが、いずれにせよ、エレクトロコーティングの形成開始までの時間は、不確定であった。
図5に示すバツ印(×)は、60日経過後においてもエレクトロコーティングが形成されない条件をプロットしたものである。カソード電流密度は、限界電流密度未満である。
図5に示す実験結果は、淡水の流水に接触する鋼材にエレクトロコーティングを形成するのに要するカソード電流密度を限界電流密度によって規定し得ることを示唆しており、これは、カソード電流密度の制御によって、淡水の流水中の鋼材にエレクトロコーティングを積極的に形成し得ることを意味する。
図6は、エレクトロコーティングを積極的に形成するための電位を示す線図である。
前述のカソード分極実験で得られた限界電流密度(0.87、1.5、2.2、3A/m2)において、エレクトロコーティングの形成をカソード分極後1日以内に開始させることができる電位が、図6に丸印(○)で示されている。
また、上記限界電流密度(0.87、1.5、2.2、3A/m2)において、分極開始から4日以上経過した後にエレクトロコーティングの形成が開始する電位が、図6に黒塗り三角印(▲)で示されている。
更に、上記限界電流密度(0.87、1.5、2.2、3A/m2)において、分極開始後にエレクトロコーティングが形成されない電位が、図6にバツ印(×)で示されている。
図6に丸印(○)で示す如く、分極開始直後の電位が-0.7V以下であれば、エレクトロコーティングの形成が分極後1日以内に開始する。これに対し、図6に黒塗り三角印(▲)で示す如く、分極開始直後の電位が-0.7Vより高い場合、エレクトロコーティングの形成が分極後一定期間経過時(本例では4日以上経過後)に開始する。これは、局所的に形成されたエレクトロコーティングが核となってエレクトロコーティングを成長させること、そして、部分的にエレクトロコーティングが形成されることにより、鋼材表面の電位が徐々に低下し、ついには、エレクトロコーティング形成の環境(-0.7V以下の電位)が成立することに起因すると考えられる。以下、このような電位(▲)を遷移域と呼ぶものとする。
図7は、遷移域における電位の時間変化を示す線図である。
限界電流密度=1.5A/m2の環境において、カソード電流密度1.0A/m2の定電流を試験片に与え、電位の時間変化を計測した結果が、図7に示されている。図7には、同一条件で行った3回の実験結果が示されており、エレクトロコーティングの形成開始時期は、各実験によって異なるものの、電位は、徐々に低下する特性を示しており、電位が-0.7V以下に低下したとき、エレクトロコーティングの形成開始が試験片の表面に確認された。これと同様の結果は、他の限界電流密度の環境(0.87、2.2、3A/m2)においても得られた。
図6を参照すると、分極開始直後の電位が-0.7Vより高く、-0.4〜-0.2Vの間である場合には、図6にバツ印(×)で示す如く、エレクトロコーティングが形成されなかった。
従って、分極開始直後の電位が-0.7Vよりも高い場合には、エレクトロコーティングが形成する条件(黒塗り三角印(▲))と、エレクトロコーティングが形成されない条件(バツ印(×))とが存在する。即ち、上記遷移域の条件で比較的長時間に亘って定電流を鋼材に与えることにより、エレクトロコーティングを施すことも可能であるが、エレクトロコーティングを早期且つ確実に形成するには、分極開始時の電位が-0.7V以下になるようにカソード電流を設定することが必要となる。
エレクトロコーティングは、溶存酸素の拡散障壁(非特許文献6)などのカソード反応抑制作用によって、防食電流を低減し、防食電流の分布を改善する。このため、カソード反応の抑制効果が大きいエレクトロコーティングほど、カソード防食にとって有利であると考えられる。
図8は、エレクトロコーティングが形成される前のカソード電流密度と、エレクトロコーティングが形成された後のカソード電流密度との比を前述の限界電流密度(0.87、1.5、2.2、3A/m2)との関係で示す線図である。
エレクトロコーティング形成前のカソード電流密度は、裸鋼における限界電流密度である。エレクトロコーティング形成後のカソード電流密度は、実験終了直後に-0.7Vで定電位分極したときの電流値である。なお、-0.7Vは、前述の如く、裸鋼において限界電流密度を決定する基準(電位)と同じである。
図8には、エレクトロコーティングの形成前及び形成後のカソード電流密度の比が、プロットされるとともに、エレクトロコーティングが形成されなかった場合の結果(比=1)が、×印でプロットされている。図8に示す如く、エレクトロコーティングの形成によって、カソード電流密度は、限界電流密度の値にかかわらず10分の1程度に低減されることが認められた。
Luo等(非特許文献7)は、海水中において保護性のあるエレクトロコーティングを得るためのカソード分極条件を検討しているが、この検討結果によれば、エレクトロコーティング形成前後のカソード電流密度の比は、最も大きいもので5分の1程度である。また、Wolfsonら(非特許文献3)が行った海水中の定電位分極実験によれば、最も保護性のあるエレクトロコーティングが形成された場合、カソード電流密度は、実験開始時に比べ10分の1程度に減少する。従って、本発明者の実験で得られたエレクトロコーティングのカソード反応抑制効果は、淡水環境という点で相違するものの、従来の研究(海水中)で保護性のあるエレクトロコーティングとされているものと同程度であることがわかる。即ち、本発明者の実験で得られたエレクトロコーティングは、海水中において有効なエレクトロコーティングとされたものと同等のものであり、これは、前述の各実験結果から得られた淡水中のエレクトロコーティングが、海水中のエレクトロコーティングに匹敵する十分なカソード反応抑制効果を発揮し得るものであることを裏付けている。
以上の実験結果及びその考察より、以下の技術的知見を提示することができる。
(1)電位-0.7V付近で現れる限界電流密度よりも大きいカソード電流密度では、分極を始めてから1日以内にエレクトロコーティングの形成開始が目視で確認された。
(2)カソード電流密度を限界電流密度より小さくすると、エレクトロコーティングの形成開始時間が不定となる遷移域が現れた。更に小さいカソード電流密度では、60日経過してもエレクトロコーティングが生成しない領域が存在した。
(3)カソード電流密度が限界電流密度より小さく、分極開始直後の電位が-0.7Vより高い場合であっても、一定期間経過後、電位が約-0.7V以下に低下したときには、試験片表面にエレクトロコーティングの形成開始が認められた。
(4)エレクトロコーティングは、カソード電流密度を裸鋼の場合に比べて10分の1程度に抑制したことから、本実験で得られたエレクトロコーティングは、十分なカソード反応抑制効果を発揮した。
かくして、水道水中においてエレクトロコーティングを積極的に形成するためには、カソード電流密度を初期的に限界電流密度以上に制御するか、或いは、エレクトロコーティングの成形過程で電位が-0.7V以下になるようにカソード電流を制御すれば良いことが判明した。
図9は、本発明の電気防食方法を適用した鋼製水路の電気防食装置を概念的に示す部分斜視図である。
鋼構造物30は、水道水31の水路を構成する。水道水31は、鋼構造物30内を継続的に流れる。流水方向に延びる線型補助電極32が、水路内に配置される。電極32の両端部には、ループ状通電線34が接続される。通電線34は、直流電源装置35の陽極端子に接続される。通電線34には、スイッチ33が介装される。スイッチ33は、電流遮断法による計測時に使用される。直流電源装置35の陰極端子が、通電線37、38及び制御装置36を介して鋼構造物30に接続される。参照電極41が、水路内に配置され、電圧測定装置40が、制御信号線42、43を介して参照電極41及び鋼構造物30に接続される。電圧測定装置40は、参照電極41及び鋼構造物30の電位差を測定し、電圧測定装置40の測定結果は、制御信号線44を介して制御装置36に入力される。なお、変形例として、直流電源装置35、制御装置36及び電圧測定装置40を内蔵した制御ユニット60(仮想線で示す)を本例において採用しても良い。
制御ユニット36の制御部は、鋼構造物30の鋼材が示す電位(SHE)を−0.7〜−1.0Vの範囲の所定値に設定可能な防食電流値を演算し、これを目標値として設定する。鋼構造物30及び電極32を含む回路には、目標値に相当する防食電流が直流電源装置35から供給される。鋼材表面近傍のpHが上昇し、鋼構造物30の表面にCaCO3及びMg(OH)2の石灰質皮膜(電解皮膜)、即ち、エレクトロコーティングが形成される。
制御ユニット36は、エレクトロコーティングの形成に伴って防食電流を低減し又は遮断することができるが、好ましくは、制御ユニット36は、目標値の防食電流を所定期間、継続的に鋼構造物30及び電極32に供給する。
図10は、エレクトロコーティング形成の態様を概念的に示す部分断面図である。図10には、防食電流が矢印で示されている。
図10に示すように防食電流が鋼材表面39に流れると、皮膜形成し易い鋼材表面39の部分には、エレクトロコーティング50が比較的早期に形成される(図10(B))。この段階で防食電流を低下させると、皮膜形成し難い鋼材表面39の部分は、エレクトロコーティングが形成されない状態のまま残ることが懸念される。しかしながら、一定の防食電流を鋼材表面39に継続的に供給することにより、防食電流は、図10(C)に示す如く、皮膜形成し難い鋼材表面39の部分に集中し、この結果、鋼材表面39の全域にエレクトロコーティング50が形成される(図10(D))。
変形例として、制御ユニット36は、エレクトロコーティングの生成過程で生じる電位低下の結果として鋼材表面39の電位(SHE)を−0.7〜−1.0Vの範囲内に低下させるように防食電流の目標値を設定し、防食電流を定電流制御しても良い。即ち、鋼材表面39の電位(SHE)は、初期的には−0.7Vを超える高い電位であるが、制御ユニット36は、このような低い目標値の一定電流を継続的に鋼材表面39に供給し続ける。この結果、エレクトロコーティングは、鋼材表面39の電位低下に伴って比較的長時間の期間内に鋼材表面39に生成する。これは、前述の遷移域におけるエレクトロコーティング形成の作用を利用したものである。
いずれの場合においても、鋼材表面39の電位(SHE)が−0.7〜−1.0Vの範囲内に低下することにより、鋼材表面39にエレクトロコーティングが形成される。制御ユニット36は、水道水の流速が不明又は不定な場合であっても、限界電流密度を基準にカソード電流密度を設定し、エレクトロコーティングを形成するための電流・電位制御を実行することができる。
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、淡水の流速が特定可能な場合、制御装置36は、流速を基準にカソード電流密度を設定し、エレクトロコーティングを形成するための電流・電位制御を実行しても良い。
また、流速測定用の計測装置を淡水流路に配設し、流速を測定した上でカソード電流密度を設定しても良い。
本発明の電気防食方法は、鋼構造物の電気防食技術、殊に、エレクトロコーティングの形成をコントロールして淡水環境における鋼構造物の電気防食する技術に適用される。殊に、本発明の電気防食方法は、水道水を給送する水道管やその他の水道施設、貯水施設、或いは、河川の水門施設等の如く、水道水、河川水、地下水等に接触する比較的大型の鋼製施設を電気防食するための技術として好適に使用し得るものである。
本発明によれば、塗膜の劣化部を再被覆するとともに、防食電流の分布を改善し、防食電流を低減することができる。また、本発明によれば、淡水環境中で塗膜の劣化が進みつつある既設鋼構造に対して電気防食を適切に適用することが可能となる。更に、本発明によれば、補助電極を密に設置することなく、電気防食法を大型鋼構造物に適用することができる。しかも、本発明を実施するにあたって、水道施設で望まれる「非断水」の施工が可能となる。この点は、従来の再塗装方法(断水により施設の機能を停止する必要が生じる)と対比すると、実用的に有利である。
カソード分極試験の実験装置の構造を概略的に示す概念図である。 流速と酸素拡散電流との関係を求めるための実験装置の構造を概略的に示す概念図である。 図1に示す装置で測定したカソード分極曲線を例示する線図である。 流速の3乗根と限界電流密度との関係を示す線図である。 限界電流密度と限界電流密度との関係を示す線図である。 電位の条件を示す線図であり、分極開始直後の電位と、限界電流密度との関係が示されている。 遷移域の鋼材における電位の時間変化を示す線図である。 エレクトロコーティングが形成される前のカソード電流密度と、これが形成された後のカソード電流密度との比を限界電流密度との関係で示す線図である。 本発明の電気防食方法を適用した鋼製水路の電気防食装置を概念的に示す部分斜視図である。 エレクトロコーティング形成の態様を概念的に示す部分断面図である。
符号の説明
31 水路
32 線型補助電極
33 スイッチ
34 通電線
35 直流電源装置
36 制御装置
37、38 通電線
39 鋼材表面
40 電圧測定装置
41 参照電極
42、43、44 制御信号線
50 エレクトロコーティング

Claims (6)

  1. 流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、防食電流密度を溶存酸素の拡散限界電流密度以上に設定することを特徴とする鋼構造物の電気防食方法。
  2. 流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、淡水と接触する鋼材表面部分の電位が初期的に-0.7V(SHE)以下に低下するように防食電流を制御することを特徴とする鋼構造物の電気防食方法。
  3. 流動する淡水と接触する鋼構造物の電気防食方法において、防食電流密度を溶存酸素の拡散限界電流密度未満に設定して防食電流を定電流制御し、エレクトロコーティングの部分的な形成によって、淡水と接触する鋼材表面部分の電位が-0.7V(SHE)以下に低下するようにしたことを特徴とする鋼構造物の電気防食方法。
  4. 溶存酸素の拡散限界電流密度と淡水の流速との関係が予め求められ、前記防食電流密度は、淡水の流速に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は3に記載の電気防食方法。
  5. 前記防食電流を定電流制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気防食方法。
  6. 淡水と接触する鋼材表面部分の電位が-1.0V(SHE)以上に規制されるように防食電流を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気防食方法。
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