以下に添付図面を参照して、この発明にかかる自動合焦点装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、自動合焦点装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動合焦点装置は、液晶(LC)レンズ系1、光学レンズ系2、撮像素子3、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)4、オートフォーカス(AF)コントローラ5、液晶レンズドライバ6および温度センサー61を備えている。液晶レンズ系1は、P波用液晶レンズとS波用液晶レンズを組み合わせた構成を有する。光学レンズ系2は、絞り、組レンズおよび赤外線カットフィルタを有し、光学レンズ系2から所定距離にある被写体を撮像素子3上に結像する。撮像素子3は、CCDやCMOS等の固体撮像素子よりなるイメージセンサーとアナログ−デジタル変換器を有する。温度センサー61は、液晶レンズ系1の近傍に配置され、液晶レンズ系1の近傍の温度を測定することにより、液晶レンズ系1の温度を推定する。
液晶レンズ系1および光学レンズ系2を通過して結像した光学像は、撮像素子3のイメージセンサーにより、電気信号に変換される。イメージセンサーから出力された電気信号は、アナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換される。DSP4は、アナログ−デジタル変換器から出力されたデジタル信号に対して、特定領域の画像の高周波成分を抽出し、焦点信号(以下、オートフォーカス信号とする)を求めている。オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号一括抽出制御により、液晶レンズ系1に印加する駆動電圧を変化させた際の過渡応答時に、DSP4から出力される焦点整合度に対応した複数のオートフォーカス信号を抽出する。さらに、オートフォーカスコントローラ5は、温度センサー61からの温度情報及び/又は撮像素子3のフレーム周波数に基づいて、液晶レンズ系1に印加する電圧を調整する。なお、オートフォーカスコントローラ5は、撮像素子3のフレーム周波数を、撮像素子3の露光時間、光学レンズ系2に設けられる絞りの絞り径などを制御する、図示しない露出コントローラから取得する。
上述した「焦点信号一括抽出制御」とは、例えば、液晶レンズドライバにより所定電圧が印加されて過渡応答動作中の液晶レンズを通過した光学像に基づいて生成された画像信号を、所定の周期でサンプリングすることにより複数の焦点信号を抽出する制御のことを指す。焦点信号一括抽出制御の具体的な方法については後述する。
オートフォーカスコントローラ5は、抽出された複数のオートフォーカス信号に基づいてオートフォーカス信号のレベルが最大となるように、液晶レンズ系1の駆動条件の制御を行う。
オートフォーカスコントローラ5は、上述した一連の制御を行うマイクロプロセッサ51と記憶手段52を有する。記憶手段52は、マイクロプロセッサ51が実行するプログラムや最適な駆動電圧を求めるために必要な種々の関係などを格納した読み出し専用メモリ部(ROM部)と、マイクロプロセッサ51が作業領域として使用する書き込み可能なメモリ部(RAM部)を有する。液晶レンズドライバ6は、オートフォーカスコントローラ5から出力された制御信号に基づいて液晶レンズ系1に電圧を印加する。
オートフォーカスコントローラ5により実行される処理内容については、後述する。撮像素子3およびDSP4は、光電変換手段に相当する。オートフォーカスコントローラ5は、液晶レンズ制御手段を駆動する制御手段に相当する。液晶レンズドライバ6は、液晶レンズ制御手段に相当する。温度センサー61は、温度検出手段に相当する。
図2および図3は、それぞれ液晶レンズのセル構成を示す正面図および断面図である。これらの図に示すように、液晶レンズ7は、一対の対向するガラス基板8,9の内側にパターン電極10と共通電極11が対向して配置され、パターン電極10および共通電極11の内側に配向膜12,13が対向して配置され、その間に例えばホモジニアス配向の液晶層14が封入された液晶パネルを構成している。
P波用液晶レンズとS波用液晶レンズの構成は同じであるが、液晶層14の配向方向が90°異なる。これは、P波用液晶レンズの屈折率分布を変化させた場合、P波用液晶レンズの配向方向と同じ方向の偏光面を有する光は、屈折率分布の変化の影響を受けるが、P波用液晶レンズの配向方向に対して直交する方向の偏光面を有する光は、屈折率分布の変化の影響を受けない。S波用液晶レンズについても同様である。
従って、配向方向が90°異なる2枚の液晶レンズ、すなわちP波用液晶レンズとS波用液晶レンズが必要となる。P波用液晶レンズとS波用液晶レンズは、同じ波形の駆動電圧によって駆動される。駆動電圧は、例えばパルス高さ変調(PHM)またはパルス幅変調(PWM)された交流電圧である。
液晶パネルの中央部には、印加電圧に応じて屈折率が変化するレンズ部15が設けられている。また、液晶パネルの周縁部は、シール部材16により封止されている。液晶層14の厚さは、スペーサ部材17により一定に保たれている。パターン電極10の電極取り出し部18には、フレキシブルプリント配線板(FPC)19が異方性導電膜を用いて接続されている。電極取り出し部18の一部は、パターン電極10から絶縁されており、共通電極11に接続されている。
特に限定しないが、一例として液晶レンズ7の寸法を示す。ガラス基板8,9の一辺の長さは数mmから十数mm程度、例えば10mmである。ただし、パターン電極10側のガラス基板8については、パターン電極10の電極取り出し部18を被う部分を除いた寸法である。ガラス基板8,9の厚さは数百μm程度、例えば300μmである。液晶層14の厚さは十数μmから数十μm程度、例えば23μmである。レンズ部15の直径は数mm程度、例えば2.4mmである。
図4は、パターン電極10の構成を示す正面図である。図4に示すように、パターン電極10は、円形状の中心部電極20の回りに、半径の異なる複数の同心円の円周に沿って複数のC字状の輪帯電極21,22が配置されたパターンを有する。中心部電極20と最も内側の輪帯電極21の間、および隣り合う輪帯電極21,22の間は、空間となっている。そして、中心部電極20と最も内側の輪帯電極21、および隣り合う輪帯電極21,22は、輪帯接続部23を介して互いに接続されている。
中心部電極20からは、中心部引き出し電極24が、他の輪帯電極21,22および輪帯接続部23から離れて(すなわち、絶縁された状態で)最外周の輪帯電極22(以下、外周部電極22とする)の外側まで伸びている。一方、外周部電極22からは、その外側まで、外周部引き出し電極25が他の電極から絶縁された状態で伸びている。パターン電極10の図4に示すパターンは、レンズ部15に重なるように配置される。
中心部引き出し電極24と外周部引き出し電極25にそれぞれ印加された電圧に応じて、共通電極11に対する中心部電極20、中心部電極20と外周部電極22との間の各輪帯電極21、および外周部電極22のそれぞれの電圧値が異なる状態となる。つまり、パターン電極10によってレンズ部15に電圧分布が生じる。この電圧分布を変化させることによって、液晶レンズ7の屈折率の分布が変化し、液晶レンズ7を凸レンズの状態にしたり、平行ガラスの状態にしたり、凹レンズの状態にすることができる。
特に限定しないが、一例としてパターン電極10の各部の寸法や特性値を示す。中心部電極20、外周部電極22およびその間の輪帯電極21の総数は、例えば27である。また、中心部電極20の径、各輪帯電極21の幅および外周部電極22の幅は、レンズ部15において所望の屈折率の分布が得られるように選択される。中心部電極20、輪帯電極21および外周部電極22の隣り合うもの同士の間にある空間の幅は、例えば3μmである。また、各輪帯接続部23の抵抗値は、例えば1kΩである。
次に、液晶の配向方向と同じ方向の偏光面を有する光が液晶を透過している状態で、液晶に電圧を印加したときの屈折率の変化について説明する。図5に示すように、液晶に外部から駆動電圧V0が印加されると(図5(a))、液晶の屈折率は、その駆動電圧V0の立ち上がりのタイミングからtfの時間だけ遅れて駆動電圧V0に対応した状態となる(図5(b))。また、液晶の屈折率は、駆動電圧V0の立ち下がりのタイミングからtrの時間だけ遅れて元の状態に戻る(図5(b))。このtfおよびtrの時間は、液晶が過渡応答動作をしている期間であり、屈折率が漸次変化する。ここで、上述した通り、駆動電圧V0は、例えばパルス高さ変調(PHM)またはパルス幅変調(PWM)された交流電圧である。
例えば、各部の寸法や特性値が上述した値の液晶レンズ7およびパターン電極10を用いるとする。また、液晶層14として、異常光線についての屈折率neおよび通常光線についての屈折率noがそれぞれ1.75および1.5であり、複屈折Δnが0.25であるネマティック液晶を用いるとする。
次に、焦点信号一括抽出制御に関して説明する。オートフォーカスコントローラ5は、液晶の過渡応答動作期間中に、液晶レンズ系1および光学レンズ系2を通過した光学像から生成された画像信号をフレーム周波数でサンプリングする。すなわち、フレーム周波数が画像信号取得周期となる。そして、オートフォーカスコントローラ5は、特定領域の画像の高周波成分を抽出し、焦点信号(以下、オートフォーカス信号とする)を求めている。そして、求めた複数のオートフォーカス信号に基づいてオートフォーカス信号のレベルが最大となる液晶レンズ系1の焦点距離を判定する。オートフォーカスコントローラ5は、オートフォーカス信号の最大レベルに対応する焦点距離になるように、液晶レンズドライバ6を通じて、液晶レンズ系1に電圧を印加する。
図6には、駆動電圧の立ち上がり時の過渡応答動作期間tfにおける液晶の屈折率の変化の様子と、液晶レンズ7の焦点距離の変化の様子が示されている。
例えば、図6(a)に示すように、液晶の屈折率は、過渡応答動作期間tf中に変化し、過渡応答動作期間tfが経過すると一定になるので、液晶レンズ7の中心部電極20、各輪帯電極21および外周部電極22のそれぞれに対応する液晶部分の屈折率も一定となる。従って、過渡応答動作期間tfが経過した時点で、液晶レンズ7の屈折率分布がある分布に定まり、図6(b)に示すように、液晶レンズ7の焦点距離fは、その屈折率分布に応じたある一定値に収束する。
図6(b)の横軸よりも上側および下側に描かれた線は、それぞれ液晶レンズ7が凸レンズの状態および凹レンズの状態のときの焦点距離fの変化の様子を表している。実施の形態1では、説明の便宜上、液晶レンズ7が凸レンズの状態になるときの焦点距離fを正の数値で表し、液晶レンズ7が凹レンズの状態になるときの焦点距離fを負の数値で表している。このように表すと、液晶レンズ7の焦点距離fが正または負の無限大であるとき、液晶レンズ7は平行ガラスの状態となる。
焦点信号一括抽出制御では、液晶レンズ7の焦点距離fが一定値に収束するまでの過渡応答動作期間tfの時刻t1、t2、t3、t4、t5およびt6において画像信号をサンプリングする。各サンプリングタイミングでは、液晶レンズ7の焦点距離fが異なる。従って、液晶レンズ7の1回の過渡応答動作期間中に、焦点距離fが種々異なる状態の液晶レンズ7を通過した光学像から生成された画像信号をサンプリングすることができるので、焦点整合度に対応した複数のオートフォーカス信号を抽出することができる。
ここで、サンプリング周期tsは、例えばフレームの周期に同期している。なお、液晶レンズ7の立ち下がり時の過渡応答動作期間trにおいて、画像信号をサンプリングしてもよい。また、サンプリング数は、6個に限らない。
予め、1番目にサンプリングする時刻t1における液晶レンズ7の焦点距離f1、2番目にサンプリングする時刻t2における液晶レンズ7の焦点距離f2、というように、サンプリングする時刻と液晶レンズ7の焦点距離との関係が求められている。この関係は、例えばオートフォーカスコントローラ5内の記憶手段52のROM部に格納されている。
従って、オートフォーカスコントローラ5のマイクロプロセッサ51は、液晶レンズ7の過渡応答動作期間中に画像信号をサンプリングした時刻に基づいて、各サンプリング時刻における液晶レンズ7の焦点距離を求めることができる。それによって、液晶レンズ7の各焦点距離とオートフォーカス信号のレベルとの対応関係を得ることができるので、オートフォーカス信号のレベルが最大になったとき、すなわちピントが合ったときの液晶レンズ7の焦点距離を求めることができる。
また、予め、静的な状態で液晶レンズ7の焦点距離がf1になるときの液晶レンズ7の外周部電極22の電圧Vouterおよび中心部電極20の電圧Vinnerの値、静的な状態で液晶レンズ7の焦点距離がf2になるときのVouterおよびVinnerの値、というように、静的な状態における液晶レンズ7の焦点距離fと、液晶レンズ7の焦点距離fをある値にするために液晶レンズ7に印加する駆動電圧との関係も求められている。この関係も、例えばオートフォーカスコントローラ5内の記憶手段52のROM部に格納されている。
従って、マイクロプロセッサ51は、実際にピントを合わせるため、すなわち液晶レンズ7の焦点距離を、オートフォーカス信号のレベルが最大になったときの焦点距離に合わせるには、液晶レンズ7にどの程度の駆動電圧を印加すればよいかということを知ることができる。図7に、静的な状態における液晶レンズ7の焦点距離と、液晶レンズ7の焦点距離をある値にするために液晶レンズ7に印加する電圧との関係の一例を示す。
次に、液晶レンズ7を凸レンズの状態と凹レンズの状態の両方に変化させる場合の液晶レンズ7への電圧印加パターンについて説明する。液晶レンズ7は、パターン電極10の外周部電極22に印加する電圧Vouterが、中心部電極20に印加する電圧Vinnerよりも高いときに凸レンズの状態となり、その逆のときに凹レンズの状態となる。電圧印加パターンとしては、様々なものが考えられるが、以下に代表的な2例を挙げて説明する。
第1のパターンを図8に示す。図8(a)及び図8(b)は、それぞれ外周部電極22に印加する電圧Vouterの経時変化及び中心部電極20に印加する電圧Vinnerの経時変化を表す。各図において、グラフの横軸は経過時間を表し、縦軸は電圧を表す。また、図8(c)は、第2のパターンにおける焦点距離fの逆数の変化を表す。図8(c)において、グラフの横軸は経過時間を表し、縦軸は焦点距離fの逆数を表す。図8(a)および図8(b)に示すように、最初に外周部電極22に印加する電圧Vouterと中心部電極20に印加する電圧Vinnerをともに第1の電圧V1とする。次いで、時刻T0で外周部電極22の電圧Vouterのみを第2の電圧V2に変化させる。次いで、時刻T1で外周部電極22の電圧Vouterのみを第1の電圧V1に変化させる。次いで、時刻T2で中心部電極20の電圧Vinnerのみを第2の電圧V2に変化させ、時刻T3で終了する。
液晶レンズ7は、時刻T0、時刻T0から時刻T1までの期間、時刻T1から時刻T2までの期間、および時刻T2から時刻T3までの期間では、それぞれ平行ガラスの状態、レンズパワーが徐々に大きくなる凸レンズの状態、レンズパワーが徐々に小さくなる凸レンズの状態、およびレンズパワーが徐々に大きくなる凹レンズの状態となる。
図8(c)に示すように、1/fの値は、時刻T0、T1、T2およびT3において、それぞれゼロ、正の値の最大値、ゼロおよび負の値の最大値となる。従って、時刻T1において、レンズパワーが最大の凸レンズの状態となり、時刻T3において、レンズパワーが最大の凹レンズの状態となる。
第2のパターンを図9に示す。図9(a)及び図9(b)は、それぞれ外周部電極22に印加する電圧Vouterの経時変化及び中心部電極20に印加する電圧Vinnerの経時変化を表す。各図において、グラフの横軸は経過時間を表し、縦軸は電圧を表す。また、図9(c)は、第2のパターンにおける焦点距離fの逆数の変化を表す。図9(c)において、グラフの横軸は経過時間を表し、縦軸は焦点距離fの逆数を表す。図9(a)および図9(b)に示すように、最初に外周部電極22の電圧Vouterと中心部電極20の電圧Vinnerをともに第2の電圧V2とする。次いで、時刻T0で外周部電極22の電圧Vouterのみを第1の電圧V1に変化させる。次いで、時刻T1で外周部電極22の電圧Vouterのみを第2の電圧V2に変化させる。次いで、時刻T2で中心部電極20の電圧Vinnerのみを第1の電圧V1に変化させ、時刻T3で終了する。
液晶レンズ7は、時刻T0、時刻T0から時刻T1までの期間、時刻T1から時刻T2までの期間、および時刻T2から時刻T3までの期間では、それぞれ平行ガラスの状態、レンズパワーが徐々に大きくなる凹レンズの状態、レンズパワーが徐々に小さくなる凹レンズの状態およびレンズパワーが徐々に大きくなる凸レンズの状態となる。
図9(c)に示すように、1/fの値は、時刻T0、T1、T2およびT3において、それぞれゼロ、負の値の最大値、ゼロおよび正の値の最大値となる。従って、時刻T1において、レンズパワーが最大の凹レンズの状態となり、時刻T3において、レンズパワーが最大の凸レンズの状態となる。
次に、液晶レンズ7を凸レンズの状態にして得た複数のオートフォーカス信号と、液晶レンズ7を凹レンズの状態の両方の状態にして得た複数のオートフォーカス信号の評価について説明する。特に限定はしないが、ここでは、図1に示す構成において液晶レンズ系1のない構成のときに、光学レンズ系2によって被写体までの距離Lが200mmでピントが合うように調整されているとする。
従って、図1に示す構成では、被写体までの距離Lが200mmよりも近いときには、液晶レンズ7は凸レンズの状態にされる。一方、被写体までの距離Lが200mmよりも遠いときには、液晶レンズ7は凹レンズの状態にされる。上述したように、実施の形態1では、液晶レンズ7が凸レンズの状態になるときの焦点距離fを正の数値で表し、液晶レンズ7が凹レンズの状態になるときの焦点距離fを負の数値で表している。
従って、液晶レンズ7のパワーは、凸レンズの状態の場合には、例えばfの値が100mm、200mm、500mm、1000mmとなるに連れて弱くなり、凹レンズの状態の場合には、例えばfの値が−100mm、−200mm、−500mm、−1000mmとなるに連れて弱くなる。
上記第1の電圧印加パターンを例にして説明する。図10および図11は、第1の電圧印加パターンにおけるオートフォーカス信号の評価の仕方を示す説明図である。図10または図11の(a)、(b)および(c)に示すように、第1の電圧印加パターンでは、時刻T0から時刻T1までの、液晶レンズ7が凸レンズの状態になっている期間、複数、特に限定しないが、図示例では6個のオートフォーカス信号が得られる。
また、時刻T2から時刻T3までの、液晶レンズ7が凹レンズの状態になっている期間、複数、特に限定しないが、図示例では6個のオートフォーカス信号が得られる。その際、外周部電極22の電圧Vouterまたは中心部電極20の電圧Vinnerの電圧を変化させた後は、少し時間が経ってからサンプリングを開始する。
図10(c)に示す例は、被写体までの距離Lが200mmよりも短い場合、例えばLが170mmである場合である。従って、液晶レンズ7が凸レンズの状態になっているときに、オートフォーカス信号が最大となっている。ここで、便宜上、焦点距離fの逆数をとり、その値の正負を反転させた値、すなわち−1/fの値を用いる。
液晶レンズ7の過渡応答動作期間中のサンプリングにより得られた複数のオートフォーカス信号を、−1/fの値が負側に大きい方から正側に大きい方まで順に並べると、図10(d)に示すようになる。この図示例では、−1/fの値が−1/100から1/100までの範囲でオートフォーカス信号をサンプリングしていることがわかる。そして、−1/fの値が−1/100と−1/1000との間でオートフォーカス信号が最大となっていることがわかる。
また、図11(c)に示す例は、被写体までの距離Lが200mmよりも長い場合、例えばLが350mmである場合である。従って、液晶レンズ7が凹レンズの状態になっているときに、オートフォーカス信号が最大となっている。液晶レンズ7の過渡応答動作期間中のサンプリングにより得られた複数のオートフォーカス信号を、−1/fの値が負側に大きい方から正側に大きい方まで順に並べると、図11(d)に示すようになる。
この図示例でも、−1/fの値が−1/100から1/100までの範囲でオートフォーカス信号をサンプリングしていることがわかる。そして、−1/fの値が1/100と1/1000との間でオートフォーカス信号が最大となっていることがわかる。いずれの場合も、すべてのオートフォーカス信号をサンプリングし終えてから、すべてのオートフォーカス信号のレベルを比較してその最大値を判定する。
上記第2の電圧印加パターンの場合も同様である。被写体にピントが合ったときにオートフォーカス信号が最大値となる輪郭検出方式の原理については、上記非特許文献1に開示されているので、ここでは省略する。
次に、オートフォーカスコントローラ5による液晶レンズに印加する電圧の調整制御について説明する。
一般に、液晶レンズの過渡応答動作期間は、液晶レンズの温度が高くなるにつれて短くなる。一方、上述したように、オートフォーカス信号は、撮像された画像信号を撮像素子3のフレーム周波数でサンプリングして取得される。そのため、一定期間内に取得されるオートフォーカス信号の数はフレーム周波数に依存して決定される。一例として、上述した第1の電圧印加パターンに対して、時刻T0からT1の期間及び時刻T2からT3の期間についてそれぞれ5点ずつの計10点の焦点位置でオートフォーカス信号を取得する場合について説明する。上述した第1の電圧印加パターンでは、時刻T0からT1までの間および時刻T2からT3の間は、立ち上がり応答なので、過渡応答動作期間はそれぞれtfである。したがって、それぞれの過渡応答動作期間中に、5個の焦点位置に対するサンプリング信号を取得するためには、フレーム周波数をα(Hz)として、tf(msec)≧5×(1000/α)を満たさなければならない。したがって、フレーム周波数が20Hzとすると、液晶レンズ7の立ち上がり応答時間tfが250msec以上でなければ、所定数のオートフォーカス信号を取得できないことになる。なお、フレーム周波数は、被写体の明暗による露光時間の変化に応じて変化する。例えば、被写体が明るい場合、露出オーバーとなることを避けるために、撮像素子3のフレーム周波数は高く設定される。逆に、被写体が暗い場合、露出アンダーとなることを避けるために、撮像素子3のフレーム周波数は低く設定される。
さらに、印加する電圧が高いほど、液晶レンズ7の立ち上がり応答時の過渡応答動作期間tf、立ち下がり応答時の過渡応答動作期間trとも短くなる。そこで、オートフォーカスコントローラ5は、液晶レンズの温度が低いほど、印加電圧を高くなるように設定する。そのように制御することで、液晶レンズの温度が低い場合でも、過渡応答動作期間を短縮し、オートフォーカス処理を短時間で行うことができる。また、オートフォーカスコントローラ5は、被写体が明るく、フレーム周波数が高い場合、短時間で所定数のサンプリング信号を取得することができるので、さらに印加電圧を高くする。そのように制御することで、より短時間でオートフォーカス処理を行うことができる。
そのために、オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号一括抽出制御中に、液晶レンズ7パターン電極10の外周部電極22に印加する電圧Vouter及び中心部電極20に印加する電圧Vinnerを示したテーブル(以下、電圧テーブルとする)を予め複数準備し、記憶手段52に記憶しておく。そして、オートフォーカスコントローラ5は、液晶レンズ系1近傍の温度と撮像素子3のフレーム周波数に基づいて、それら電圧テーブルから最適なものを選択する。なお、電圧テーブルを選択するために、各電圧テーブルには、その電圧テーブルを使用する温度およびフレーム周波数の条件が関連付けられる。具体的には、例えば、温度とフレーム周波数で使用する電圧テーブルを決定するルックアップテーブルを予め準備し、オートフォーカスコントローラ5の記憶手段52に記憶しておく。
図12及び図13を用いて、この制御について詳細に説明する。図12(a)〜(d)は、液晶レンズ系1近傍の温度と撮像素子3のフレーム周波数に基づいて決定される、液晶レンズ7パターン電極10の外周部電極22に印加する電圧Vouter及び中心部電極20に印加する電圧Vinnerの電圧テーブルの例を示す。図12(a)に示す電圧テーブル1は、温度が20℃以上でフレーム周波数が40Hz未満の場合を示す。また、図12(b)に示す電圧テーブル2は、温度が20℃未満でフレーム周波数が40Hz未満の場合を示す。同様に、図12(c)に示す電圧テーブル3は、温度が20℃以上でフレーム周波数が40Hz以上の場合を示す。さらに、図12(d)に示す電圧テーブル4は、温度が20℃未満でフレーム周波数が40Hz以上の場合を示す。図12の各電圧テーブルにおいて、初期状態、凸状態、フラット状態及び凹状態は、それぞれ上記第1の電圧印加パターンにおける時刻〜T0、時刻T0〜T1、時刻T1〜T2、時刻T2〜T3の状態に対応する。
また、図12(e)は、電圧テーブルを選択するためのルックアップテーブルを示す。図12(e)において、テーブルの左端の縦列は温度範囲を示し、テーブルの上端列はフレーム周波数を示す。そして、テーブルの各欄の数値は、各電圧テーブルに関連付けられた識別番号を示す。
図13は、オートフォーカスコントローラ5による、液晶レンズ7へ印加する電圧の調製制御の動作を示すフローチャートである。
まず、温度センサー61から液晶レンズ系1近傍の温度及び撮像素子3のフレーム周波数を取得する(ステップS101)。次に、上記のルックアップテーブルを記憶手段52から読み込む(ステップS102)。そして、ルックアップテーブルを参照して、取得した温度およびフレーム周波数に該当する電圧テーブルを特定する(ステップS103)。電圧テーブルを特定すると、その特定された電圧テーブルを記憶手段52から読み込み、液晶レンズ7パターン電極10の外周部電極22に印加する電圧Vouter及び中心部電極20に印加する電圧Vinnerを決定する(ステップS104)。
なお、上記では、液晶レンズ7に印加する電圧を示した電圧テーブルを4通り準備したが、さらに多数の電圧テーブルを準備してもよい。特に、液晶レンズ系1の温度によって、液晶レンズ7の応答速度は大きく変動するので(例えば、図14参照)、液晶レンズ系1近傍の温度が5℃変化する度に、異なる電圧テーブルを準備してもよい。
また、本実施形態にかかる自動合焦点装置に冷却装置が付加されるような場合、液晶レンズ系1の温度をほぼ一定に保つことができる。この場合、上記の印加電圧の調整を、過渡応答動作に要する時間を一定と仮定して、フレーム周波数のみに基づいて行ってもよい。同様に、撮像素子3の露出調整を、光学レンズ系2の絞りのみで行う場合には、フレーム周波数は一定となる。この場合、上記の印加電圧の調整を、フレーム周波数を一定として、温度のみに基づいて行ってもよい。
さらに、一般に、液晶の立ち上がり応答時の過渡応答動作期間は、立ち下がり応答時の過渡応答時間よりも短い。そこで、フレーム周波数が高い場合には、液晶レンズの立ち上がり応答時の過渡応答時にサンプリングを行ってオートフォーカス信号を取得し、フレーム周波数が低い場合には、液晶レンズの立ち下がり応答時の過渡応答時にサンプリングを行ってオートフォーカス信号を取得するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、液晶レンズに所定電圧が印加され、それによって液晶レンズが過渡応答動作をしている期間中に、複数の焦点信号がサンプリングされ、その複数の焦点信号に基づいて焦点信号の最大値が求められる。焦点信号のレベルは、被写体にピントが合っているときに最大となり、ピントのずれ具合(ボケ具合)が強くなるに従って小さくなる。従って、液晶に印加する電圧を段階的に変化させ、その都度、液晶の応答が安定するまで待ってから焦点信号をサンプリングする必要がないので、短時間で合焦点を検出することができる。また、液晶レンズ系の温度及び撮像素子のフレーム周波数を考慮して、液晶レンズに印加する駆動電圧を調整することにより、液晶レンズの過渡応答期間を調整するので、オートフォーカス処理をより短時間で実行することができる。
次に、オートフォーカスコントローラ5によるオートフォーカス処理の別の制御方法について説明する。この場合、オートフォーカスコントローラ5は、上述した焦点信号一括抽出制御の代わりに、焦点信号逐次抽出制御によってオートフォーカス信号を取得することもできる。そして、オートフォーカスコントローラ5は、温度センサー61から取得した温度及びフレーム信号に基づいて、オートフォーカス処理の際、焦点信号逐次抽出制御または焦点信号一括抽出制御の何れかを選択して使用する。
上述した「焦点信号逐次抽出制御」とは、例えば、液晶レンズに所定電圧を印加する液晶レンズドライバにより液晶レンズに印加する電圧を変化させて、液晶レンズの液晶の動作が安定した状態でサンプリングすることにより複数の焦点信号を抽出する制御のことを指す。この制御によって所定数の焦点位置に対するオートフォーカス信号を取得するためには、焦点位置の数×過渡応答動作期間に相当する時間を要する。なお、焦点信号逐次抽出制御の具体的な方法については後述する。
図14及び図15を用いて、焦点信号逐次抽出制御と焦点信号一括抽出制御の選択について説明する。図14は、液晶に電圧を印加したときの温度毎の応答時間、焦点信号逐次抽出時の処理時間及び焦点信号一括抽出時のサンプリング数を示す図表である。図14において、一例として、駆動電圧V0の3Vから5Vへの立ち上がりに対する液晶の過渡応答動作期間tf、および駆動電圧V0の5Vから3Vへの立ち下がりに対する液晶の過渡応答動作期間trを示す。
図14の図表から、例えば、温度が40℃の場合に、立ち上がりに対する液晶の過渡応答動作期間tfおよび立ち下がりに対する液晶の過渡応答動作期間trは、それぞれ100ミリ秒および150ミリ秒であり、温度が20℃の場合に、立ち上がりに対する液晶の過渡応答動作期間tfおよび立ち下がりに対する液晶の過渡応答動作期間trは、それぞれ250ミリ秒および375ミリ秒であることがわかる。
ここで、本実施形態における液晶レンズ系1及び光学レンズ系2を含む光学系が、被写体の像を撮像素子3上に合焦するために、液晶レンズ系1の焦点距離を、10ポジションに分けて変化させるものとする。図14の逐次抽出時処理時間は、近遠景に対して予め設定されている焦点位置が10ポジションである場合の処理時間であり、一括抽出時サンプリング数1は、フレーム周波数20Hz、すなわち50ミリ秒毎にオートフォーカス信号が求められる場合の液晶の過渡応答動作中のサンプリング数である。一括抽出時サンプリング数2は、フレーム周波数40Hz、すなわち25ミリ秒毎にオートフォーカス信号が求められる場合の液晶の過渡応答動作中のサンプリング数である。なお、一括抽出時サンプリング数は、液晶レンズ7のパワーを負から正までの設定された範囲全域で変化させる間に取得されるサンプリング数である。したがって、そのサンプリング数は、少なくとも2回の過渡応答動作に要する時間に基づいて算出される。
ここで、図14の逐次抽出時処理時間に示すように、15℃より低い温度において、逐次抽出制御を行ってしまうと、3秒以上のオートフォーカス動作時間が必要となってしまい、実用的なものではなくなってしまう。一方、被写体が比較的暗い場合、図14の一括抽出時サンプリング数1に示すように、20℃より高い温度では、過渡応答動作中に取得できるサンプリング数が、近遠景に対して予め設定されている焦点位置のポジション数よりも少ない。そのため、一括抽出制御を行ってしまうと、全ての焦点位置に対応するオートフォーカス信号を取得できなくなってしまい、正確な焦点位置を判定できなくなってしまう。しかし、被写体が比較的明るい場合、図14の一括抽出時サンプリング数2に示すように、温度が30℃以下であれば、一括抽出制御を行っても、近遠景に対して設定されている10ポジションの焦点位置全てのオートフォーカス信号を取得することが可能となる。
そこで、オートフォーカスコントローラ5は、温度センサー61から得た温度に基づいて液晶レンズ系1に含まれる液晶レンズ7の過渡応答動作期間を算出し、その過渡応答動作期間とフレーム周波数に基づいて、一括抽出制御を行った場合に取得可能なサンプリング数を算出する。そして、そのサンプリング数が、所定の焦点位置のポジション数以上となる場合は、一括抽出制御を行い、それ以外の場合には、逐次抽出制御を行う。なお、図14から分かるように、例えば、20℃の場合、一括抽出制御におけるオートフォーカス信号の取得に要する時間は、時刻T0〜T1が250ミリ秒、時刻T1〜T2が375ミリ秒、そして時刻T2〜T3が250ミリ秒となるので、合計で875ミリ秒となる。
次に、オートフォーカスコントローラ5におけるオートフォーカス処理について、図15のフローチャートを用いて説明する。図15は、実施の形態1における自動合焦点装置のオートフォーカス動作を示すフローチャートである。
オートフォーカス処理が開始されると、まず、図1に示した温度センサー61より液晶レンズ系1の近傍の温度を検出する(ステップS201)。
次に、検出した温度に基づき、記憶手段52から液晶レンズ7の過渡応答動作期間と温度との関係を示したテーブルを読み込み、液晶レンズ7の過渡応答動作期間を算出する(ステップS202)。そして、液晶レンズ7の応答時間と、フレーム周波数に基づいて、液晶レンズ7の焦点距離を設定範囲全域にわたって変化させる間に、取得可能なオートフォーカス信号のサンプリング数を算出する(ステップS203)。そして、算出したサンプリング数と、焦点位置のポジション数を比較する(ステップS204)。算出したサンプリング数が焦点位置のポジション数以上の場合(ステップS204:Yes)、オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号一括抽出制御を選択する(ステップS205)。
一方、ステップS204において、算出したサンプリング数が所定の焦点位置のポジション数よりも少ない場合(ステップS204:No)、オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号逐次抽出制御を選択する(ステップS206)。
このように、液晶レンズ系1の近傍の温度と撮像素子3のフレーム周波数に基づいて、焦点信号逐次抽出制御と焦点信号一括抽出制御を選択して使用することにより、オートフォーカス処理に要する時間を極力少なく抑えつつ、正確なフォーカスを行うことができる。
なお、オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号逐次抽出制御と焦点信号一括抽出制御の選択に、上述した印加電圧調整制御を組み合わせてもよい。この場合、オートフォーカスコントローラ5は、印加電圧の調整を行っても、所定のサンブリング数を確保できない特定条件では焦点信号逐次抽出制御を行い、それ以外の条件では焦点信号一括抽出制御を行う。そのような選択制御を行うために、例えば、上述した電圧テーブル選択のルックアップテーブルにおいて、上記の特定条件に相当する部分に、電圧テーブルの識別番号の代わりに焦点信号逐次抽出制御を示すコードを埋め込んだルックアップテーブル(ここでは、統合ルックアップテーブルと呼ぶ)を予め準備する。そして、オートフォーカスコントローラ5は、上述した図13の手順と同様に、取得した温度およびフレーム周波数に基づいて、統合ルックアップテーブルを参照することにより、焦点信号逐次抽出制御を行うか、焦点信号一括抽出制御を行うか判定することができる。また、焦点信号一括抽出制御が選択される場合には、液晶レンズへの印加電圧も決定できる。
次に、焦点信号逐次抽出制御について説明する。図16(a)及び図16(b)は、それぞれスキャン方式及び山登り方式による焦点信号逐次抽出制御による動作を模式的に示した図である。図16(a)及び図16(b)において、横軸は液晶レンズ7の焦点距離を表し、縦軸はオートフォーカス信号を表す。
図16(a)に示すスキャン方式では、オートフォーカスコントローラ5が液晶レンズドライバ6を通じて、あるポジションに対応する駆動電圧を液晶レンズ7に印加し、図14の過渡応答動作期間経過後にオートフォーカス信号を取得する。その後、次のポジションに対応する駆動電圧を液晶レンズ7に印加して、図14の過渡応答動作期間経過後に、オートフォーカス信号の取得を行う。そして、このような動作を繰り返し行い、全フォーカシング領域のオートフォーカス信号を求める。オートフォーカスコントローラ5は、その中から、オートフォーカス信号の最大値を求め、その最大値に対応する駆動電圧を液晶レンズ7に印加して合焦する。
また、図16(b)に示す山登り方式では、取得したオートフォーカス信号を、直前に取得したオートフォーカス信号と比較して増減を逐次調べながら最大値を求める。
焦点信号逐次抽出制御では、上記のスキャン方式と山登り方式の何れを用いても構わないが、以下ではスキャン方式に基づいて説明する。
図17及び図18を用いて、この焦点信号逐次抽出制御における、液晶レンズ7への電圧印加方法について説明する。図17(a)は、焦点信号逐次抽出時における印加電圧の変化を示す。また、図17(b)は、合焦時における印加電圧の変化を示す。さらに、図17(c)は、合焦後における印加電圧の変化を示す。各図において、縦軸は印加電圧を表す。また、図の左端は、中心部電極20への印加電圧Vinnerを表し、図の右端は、外周部電極22への印加電圧Vouterを表す。そして左端と右端の中間部分は、各輪帯電極21に印加される電圧を模式的に表し、右端に近いほど外周部電極22に近い輪帯電極に印加される電圧を表す。
図17(a)に示すように、まず、オートフォーカスコントローラ5は、パターン電極10の中心部電極20に印加する電圧Vinnerを点171を固定する。そして、液晶レンズ7に立ち上がり応答動作のみを行わせるように、印加電圧を変化させる。すなわち、オートフォーカスコントローラ5は、外周部電極22に印加する電圧Vouterを図中の点172から173にまで変化するように、外周部電極22に印加する電圧のみを徐々に高く変化させる。
図18(a)は、図17(a)に対応する制御を行う場合の印加電圧の具体例を示す。図18(a)では、液晶レンズ系1および光学レンズ系2からなる光学系の焦点位置を無限遠から最短撮影距離までの間で10ポジションに設定した場合において、各焦点位置で液晶レンズ7の中心部電極20及び外周部電極22に印加する電圧を示す。この例では、中心部電極20に印加する電圧を5.5Vで固定する。そして、光学系の合焦位置が無限遠から徐々に短くなるように液晶レンズ7の焦点距離を凹から凸に変化させるため、オートフォーカスコントローラ5は、外周部電極22に印加する電圧を、負のパワーが最大となる状態(レンズレベル9)に相当する3.5Vから、正のパワーが最大となる状態(レンズレベル0)に相当する7.5Vまで変化させる。なお、各レンズレベルi(i=0,1,2,...,9)は、各焦点位置に対応する液晶レンズ系1の焦点距離を便宜的に表したものである。
全てのポジションのオートフォーカス信号を取得すると、オートフォーカスコントローラ5は、オートフォーカス信号が最大となるレンズレベルを求める。そして、オートフォーカスコントローラ5は、合焦するために、求めたレンズレベルとなるように、液晶レンズドライバ6を通じて液晶レンズ7に電圧を印加する。
その際、オートフォーカスコントローラ5は、オートフォーカス信号取得時において、印加電圧を固定した方の電極に対する電圧を調整する。例えば、外周部電極22に対する印加電圧が、図17(a)の点174のところでオートフォーカス信号が最大となったとする(このとき、レンズレベルをLmaxとする)。オートフォーカスコントローラ5は、図17(b)に示すように、外周部電極22の印加電圧を点173で固定し、中心部電極20に印加する電圧を上昇させる。そして、その印加電圧Vinnerを、液晶レンズ7のレンズレベルがLmaxとなる点175に設定する。このように電圧を調整することで、液晶の立ち上がり応答だけを用いて合焦させることができるので、オートフォーカス処理を高速化することができる。なお、図17(a)において、点174でオートフォーカス信号が最大であると判定できる場合は、必ずしも点173まで順にスキャンする必要はなく、オートフォーカス信号が最大値と判定できた時点で、点173までVouterをシフトさせても構わない。この様に制御することにより、オートフォーカス制御に要する時間をより短縮させることができる。
上記のようなオートフォーカス処理を行う場合、複数回のオートフォーカス処理を続けて実行すると、液晶レンズ7に印加する電圧が徐々に上昇する。そのため、液晶レンズドライバ6は、液晶レンズ7の駆動電圧範囲を広く持つ必要が生じる。または、オートフォーカスコントローラ5は、オートフォーカス処理の度に、液晶レンズ7のパワーが正の最大設定値から負の最大設定値となるように、あるいは、液晶レンズ7のパワーが負の最大設定値から正の最大設定値となるように、印加電圧を固定しない方の電極に印加する電圧を下げなければならず、オートフォーカス信号の取得を開始する前に多くの時間を要してしまう。
そこで、オートフォーカスコントローラ5は、一旦オートフォーカス処理が行われた後、オートフォーカス処理と関係のないタイミングで、中心部電極20及び外周部電極22に印加する電圧を、液晶レンズ7のレンズレベルを合焦時の状態に保つようにして、待機時の基準電圧まで低下させる。なお、オートフォーカス処理と関係のないタイミングとは、例えば、シャッタが切られた直後の、キャプチャされた画像が図示しない画像メモリに書き込まれている期間のように、オートフォーカス処理が一定期間要求されないと推定されるタイミングである。このように、キャプチャ画像の書き込み中に印加電圧を低下させることにより、キャプチャ画像の書き込み中、ビューファインダにその書き込み中のキャプチャ画像を表示するカメラでは、電圧低下時の過渡応答によるピントのずれをユーザに気付かせずに済ませることができる。あるいは、オートフォーカスコントローラ5は、3段階程度に分けて、徐々に基準電圧まで低下させてもよい。このように制御すると、キャプチャ画像の書き込み中も、ビューファインダに最新のキャプチャ画像を表示するカメラであっても、各段階での過渡応答時のゆらぎが小さいため、ピントのずれをユーザに気付かれることなく、液晶レンズ7の印加電圧を低下させることができる。
図18(b)に、待機時におけるレンズレベルと中心部電極20及び外周部電極22に印加する基準電圧の関係を表すテーブルの一例を示す。このテーブルは予め準備され、オートフォーカスコントローラ5の記憶手段52に記憶される。そして、待機時の基準電圧の取得時に使用される。
図17(c)に示すように、オートフォーカスコントローラ5は、合焦時のレンズレベルLmaxに基づき、図18(b)に示したテーブルを参照して、レンズレベルLmaxに対応する中心部電極20および外周部電極22への印加電圧176、177を取得する。そして、オートフォーカスコントローラ5は、取得した印加電圧になるように、液晶レンズドライバ6を制御し、液晶レンズ7への印加電圧を低下させる。
液晶レンズ7が待機時にある場合において、再度オートフォーカス処理を実行する場合、オートフォーカスコントローラ5は、中心部電極20に対する印加電圧をレンズレベルが9(液晶レンズ7のパワーが負の最大値)になるまで上昇させる。その後、上記と同様にオートフォーカス処理を実行する。
以上説明してきたように、焦点信号逐次抽出制御において、立ち上がり応答のみを用いることにより、オートフォーカス処理に要する時間を抑制することができる。
また、オートフォーカス処理に関係しないタイミングで液晶レンズに印加する電圧を低下させるよう液晶レンズドライバ6を制御することで、液晶レンズドライバ6は、広い駆動電圧範囲を持つ必要が無く、またオートフォーカス処理に要する時間の増大を防止することができる。
なお、オートフォーカスコントローラ5は、オートフォーカス処理開始直前の液晶レンズ7に対する電圧印加状態を参照して、中心部電極20に印加する電圧と外周部電極22に印加する電圧のどちらを固定するかを決定してもよい。この場合、オートフォーカス処理開始時の初期状態を達成するまでに要する時間が少なくて済むように、印加されている電圧が高い方を基準電圧として固定する。例えば、オートフォーカス処理開始直前において、液晶レンズ7が、凹レンズである場合、中心部電極20に印加された電圧の方が外周部電極22に印加された電圧よりも高いため、中心部電極20に印加する電圧を基準電圧として固定する。逆に、オートフォーカス処理開始直前において、液晶レンズ7が、凸レンズである場合、外周部電極22に印加された電圧の方が中心部電極20に印加された電圧よりも高いため、外周部電極22に印加する電圧を基準電圧として固定する。
さらに、逐次抽出制御によってフォーカス動作を行う場合においても、一括抽出制御を行う場合と同様に、液晶レンズ系1の温度等に基づいて、液晶レンズ7に印加する電圧を調整してもよい。
また、一括抽出制御を、上述した逐次抽出と同様に、立ち上がり応答のみを用いて実行するようにしてもよい。この場合、オートフォーカスコントローラ5は、例えば、中心部電極20に印加する電圧を固定し、一方、外周部電極22に印加する電圧を、液晶レンズ7のレンズレベルが9(液晶レンズ7のパワーが負の最大値となる状態)になるように設定する。その後、オートフォーカスコントローラ5は、外周部電極22に印加する電圧を、液晶レンズ7のレンズレベルが0(液晶レンズ7のパワーが正の最大値となる状態)となる値まで上昇させる。そして、液晶レンズ7の過渡応答動作中のオートフォーカス信号を順次取得すればよい。
実施の形態2.
図19は、本発明の自動合焦点装置の概略構成を示すブロック図である。図19に示すように、本発明の自動合焦点装置は、カメラレンズユニット70とオートフォーカスコントローラ5から構成される。ここで、カメラレンズユニット70は、液晶レンズ系1、光学レンズ系2、撮像素子3、液晶(LC)レンズコントローラ100、温度センサー61とを備えている。液晶レンズ系1は、P波用液晶レンズとS波用液晶レンズを組み合わせた構成を有する。光学レンズ系2は、絞り、組レンズおよび赤外線カットフィルタを有し、光学レンズ系2から所定距離にある被写体を撮像素子3上に結像する。撮像素子3は、CCDやCMOS等の固体撮像素子よりなるイメージセンサーとアナログ−デジタル変換器を有する。温度センサー61は液晶レンズ系1の近傍に配置され、液晶レンズ系1の近傍の温度を測定して液晶レンズ系1の温度を推定する。
液晶レンズ系1および光学レンズ系2を通過して結像した光学像は、撮像素子3のイメージセンサーにより、電気信号に変換される。イメージセンサーから出力された電気信号は、アナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換される。オートフォーカスコントローラ5は、アナログ−デジタル変換器から出力されたデジタル信号に対して、所定の周期のサンプリングで、特定領域の画像の高周波成分を抽出し、焦点信号(以下、オートフォーカス信号とする)を求めている。そして、求めた複数のオートフォーカス信号に基づいてオートフォーカス信号のレベルが最大となる焦点位置を判定し、液晶レンズコントローラ100に対してそのレベルが最大となる焦点位置に対応するレンズレベルを設定する。なお、レンズレベルは、上記の焦点信号逐次抽出制御で説明したのと同様に、各焦点位置に対応する液晶レンズ系1の焦点距離を便宜的に表したものである。
オートフォーカスコントローラ5は、上述した一連の制御を行うマイクロプロセッサ201と(第2の)記憶手段202を有する。(第2の)記憶手段202は、マイクロプロセッサ201が実行するプログラムを格納した読み出し専用メモリ部(ROM部)と、マイクロプロセッサ201が作業領域として使用する書き込み可能なメモリ部(RAM部)を有する。
液晶レンズコントローラ100は、液晶レンズ駆動手段101、(第1の)記憶手段102、計測手段103および電圧調整手段104を備えている。オートフォーカスコントローラ5からオートフォーカス処理開始要求を受けると、計測手段103により、過渡応答開始からの経過時間を計測する。(第1の)記憶手段102には、温度毎に、過渡応答開始からの経過時間とそのときのレンズレベルを予め記憶しておく。液晶レンズ駆動手段101は、過渡応答中には、後述する駆動方法により、液晶レンズ系1に電圧を印加する。電圧調整手段104は、液晶レンズ系1の近傍の温度および撮像素子3のフレーム周波数(画像信号取得周期)を参照して、液晶レンズ系1に印加する電圧を調整する。
撮像素子3は、光電変換手段に相当する。オートフォーカスコントローラ5は、焦点信号抽出手段、第2の記憶手段に相当し、焦点信号の一括抽出を行う。液晶レンズコントローラ100は、制御手段、液晶レンズ駆動手段、第1の記憶手段、計測手段に相当する。温度センサー61は、温度検出手段に相当する。
このように、カメラレンズユニット70内の液晶レンズコントローラ100が過渡応答開始からの経過時間に対応したレンズレベルを保持するため、オートフォーカスコントローラ5は液晶パネルの特性やバラツキを考慮することなく、正確にレンズレベルを取得することができる。
実施の形態2にかかる自動合焦点装置における液晶レンズ系1の構成については、図2および3に示した実施の形態1に係る自動合焦点装置と同様であるのでそれらの説明は省略する。また、実施の形態2に係る自動合焦点装置における液晶レンズ7に備えたパターン電極10の構成とこの液晶レンズ7の作用についても、図4に示した実施の形態1にかかる自動合焦点装置と同様であるのでそれらの説明は省略する。また、液晶の配向方向と同じ方向の偏光面を有する光が液晶を透過している状態で、液晶に電圧を印加したときの屈折率の変化についても、図5に示した実施の形態1にかかる自動合焦点装置と同様であるのでそれらの説明は省略する。また、実施の形態2にかかる自動合焦点装置における駆動電圧の立ち上がり時の過渡応答動作期間tfにおける液晶の屈折率の変化の様子と、液晶レンズ7の焦点距離の変化の様子については、図6に示した実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。さらに、液晶レンズに印加する電圧の調整についても、実施の形態1に係る電圧調整制御と同様であるため、その説明は省略する。
次に、オートフォーカスコントローラ5と液晶レンズコントローラ100とにおける自動合焦処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。図20は、実施の形態2における自動合焦点装置のオートフォーカス動作を示すフローチャートである。
オートフォーカス処理が開始されると、まず、オートフォーカスコントローラ5においては、液晶レンズコントローラ100に対して、焦点信号抽出開始要求を出力する(ステップS301)。
そして、ステップS302において、液晶レンズコントローラ100に対して、レンズレベル取得要求を出力する(ステップS302)。
一方、液晶レンズコントローラ100においては、オートフォーカスコントローラ5からの焦点信号抽出開始要求を受けると、温度センサ61より液晶レンズ系1の近傍の温度を取得する。またオートフォーカスコントローラ5から撮像素子3のフレーム周波数を取得する(ステップS401)。そして、上述した電圧調整制御に基づいて、液晶レンズ系1に印加する電圧を調整する(ステップS402)。なお、撮像素子3のフレーム周波数は、オートフォーカスコントローラ5より受信する。そして、上述した電圧印加方法により、過渡応答動作を開始する(ステップS403)。ここで、過渡応答の開始の際には、計測手段103により、過渡応答動作が開始してからの経過時間の計測を開始する(ステップS404)。
そして、液晶レンズコントローラ100においては、予め(第1の)記憶手段102に記憶している過渡応答終了時間と計測手段103による経過時間とを比較して(ステップS405)、過渡応答終了時間を経過している場合(ステップS405:Yes)は、過渡応答動作を終了する。
それに対して、ステップS405において、過渡応答終了時間が経過していない場合(ステップS405:No)は、オートフォーカスコントローラ5からのレンズレベル取得要求(リクエスト)を受信したか否かの判断を行う(ステップS406)。ここで、オートフォーカスコントローラ5からのレンズレベル取得要求がない間(ステップS406:No)は、ステップS404に戻り、以後、ステップS405とステップS406とを繰り返す。
また、ステップS406において、オートフォーカスコントローラ5からのレンズレベル取得要求を受けた場合(ステップS406:Yes)は、取得した液晶レンズ系1の近傍の温度に基づいて(第1の)記憶手段102に記憶している温度情報毎のレンズレベルテーブルから過渡応答開始からの経過時間に対応したレンズレベルを取得し(ステップS407)、オートフォーカスコントローラ5にレンズレベルを送信する(ステップS408)。既に、過渡応答動作が終了している場合には、レンズレベルの代わりに、過渡応答動作が示すレンズレベルとして、例えば負数の値をオートフォーカスコントローラ5に送信する。
一方、オートフォーカスコントローラ5においては、液晶レンズコントローラ100からレンズレベルを受け取ると、過渡応答動作中であるかを判断し(ステップS303)、過渡応答動作中であれば、オートフォーカス(AF)値を算出し(ステップS305)、過渡応答を開始してから最も大きいオートフォーカス値であるか否かを判断し(ステップS306)、最も大きいオートフォーカス値である場合(ステップS306:Yes)は、オートフォーカスコントローラ5内の(第2の)記憶手段202に、その時点のオートフォーカス値とレンズレベルを保持(更新)する(ステップS307)。一方、最も大きいオートフォーカス値でない場合(ステップS306:No)は、何もせずに、ステップS308へ移行する。
そして、例えばフレーム時間である50ミリ秒後(ステップS308)に、ステップS302に戻り、以後、過渡応答動作が完了するまで繰り返す。ステップS303において、過渡応答動作が完了していた場合(ステップS303:No)は、(第2の)記憶手段202に記憶している最も大きなオートフォーカス値となったレンズレベルを液晶レンズコントローラ100に対して設定し(ステップS304)、一連の処理を終了する。
ここで、ステップS407における第1の記憶手段102に記憶しているレンズレベルテーブルについて説明する。図21は、過渡応答動作開始からの経過時間とレンズレベルとの対応テーブル例を示す図表である。
図21の図表に示す(第1の)記憶手段102におけるレンズレベルテーブルは、予め設定された温度状態(ここでは、一例として温度状態1〜4を示している。)毎の、過渡応答からの経過時間とレンズレベルとの関係を示している。本図表に記載したデータは、液晶レンズ7の光学的な実特性に基づいてテーブルが作成されている。また、経過時間とレンズレベルとのテーブルは、5℃刻みや10℃刻みの温度状態毎に設けている。これも光学的な特性に基づいて設定すべきである。
例えば、温度状態1においては、過渡応答が開始してから150ミリ秒未満の時には、オートフォーカスコントローラ5には、レンズレベル「0」を送信する。同様に、150ミリ秒以上250ミリ秒未満のときにはレンズレベル「1」、250ミリ秒以上330ミリ秒未満のときにはレンズレベル「2」、330ミリ秒以上450ミリ秒未満のときにはレンズレベル「3」、450ミリ秒以上600ミリ秒未満の時にはレンズレベル「4」、600ミリ秒以上680ミリ秒未満の時にはレンズレベル「5」、680ミリ秒以上780ミリ秒未満の時にはレンズレベル「6」、780ミリ秒以上900ミリ秒未満の時にはレンズレベル「7」、900ミリ秒以上1000ミリ秒未満の時にはレンズレベル「8」、1000ミリ秒以上の時にはレンズレベルとして「負数」をオートフォーカスコントローラ5に送信する。
そして、他の温度状態2〜4においても、図21の図表に示すデータに基づき動作させる。なお、本データは一例を示したものであり、温度情報を5以上設けることにより、より精度よくレンズレベルを制御することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、液晶レンズの過渡応答動作中に焦点整合度に対応した複数の焦点信号を一括して抽出することにより、実用にあたって十分な速さで合焦点検出することができる。また、カメラレンズユニット70内の液晶レンズコントローラ100で過渡応答開始からの経過時間に対応したレンズレベルを保持することで、オートフォーカスコントローラ5では液晶レンズの特性を考慮することなく、独立したモジュールとして設計、作成することができる。
なお、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、液晶レンズの近傍の温度及び/又は撮像素子3のフレーム周波数に基づいて、焦点信号一括制御と焦点信号逐次抽出制御を選択するようにしてもよい。そして、焦点信号逐次制御に基づいてオートフォーカス処理を行う場合には、オートフォーカスコントローラ5がレンズレベル取得要求を出す代わりに、液晶レンズコントローラ100は、液晶レンズのレンズレベルを変更し、液晶の過渡応答動作が終了する度に、オートフォーカスコントローラ5にレンズレベルを送信する。そして、オートフォーカスコントローラ5は、レンズレベルを取得する度にオートフォーカス信号を算出する。
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した寸法や特性値や時間などの値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、液晶の種類もネマティック液晶に限定されるものではない。