JP4781717B2 - 鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、新幹線等の高速鉄道車両の制動装置を構成する鉄道車両用ブレーキディスクに於いて、軽量で且つ高靱性を有し、しかも優れた耐摩擦特性、耐熱性、耐亀裂性を有する、アルミニウム合金製の部分とアルミニウム合金基複合材料製の部分とから成る鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法の改良に関する。
新幹線等の高速鉄道車両には、通常、電気式と機械式との制動装置が使用されており、機械式としてはディスクブレーキが多く使用されている。この様にディスクブレーキを使用する高速鉄道車両で、高速から制動する場合には、通常、先ず、電気式の制動装置が作動し、所定の速度まで減速した後にディスクブレーキが作動して車両を停止させる。又、走行時に地震等、緊急事態が発生した場合には、高速走行中でもディスクブレーキが作動する場合がある。
この様なディスクブレーキとして、従来から、鉄道車両用車輪の両側に一対のブレーキディスクを結合して成る一体型のブレーキディスク付車輪を使用する事が考えられている。この様なブレーキディスク付車輪は、鉄道車両用車輪の複数個所に形成した第一の取付孔と、各ブレーキディスクの一部でこれら各第一の取付孔に整合する複数個所に形成した第二の取付孔とに挿通したボルトとナットとを螺合し、更に緊締する事により、上記鉄道車両用車輪とブレーキディスクとを一体に結合している。
この様なブレーキディスク付車輪の場合、制動に伴う各ブレーキディスクと摩擦材との摩擦に伴う発熱により、各ブレーキディスクが大きく温度上昇する。しかも、鉄道車両用の制動装置の作動時間は長く、且つ、作動時の摩擦材とブレーキディスクとの摩擦に基づく、単位時間当たりの発熱量も多い。この為、上記ブレーキディスクには、大きな応力(特に熱応力)が発生する。
即ち、異議2002−73163号の異議の決定の謄本に記載され、従来から知られている様に、鉄道車両用のディスクブレーキの場合、制動力の上限となる摩擦力(粘着力)は鉄道車両用車輪とレールとの金属同士の摩擦によって決定される為、ゴム製のタイヤを使用する自動車用の場合と異なり、この摩擦の上限が著しく小さくなる。この為、ブレーキディスクの摩擦材への押し付け圧力を特に高くする事は困難である。又、通常240km/h以上(場合によっては300km/h)の高速を制動初速度とする事を前提とする鉄道車両用ブレーキディスクの場合には、これよりも遥かに低い速度を制動初速度とする自動車用の場合とは異なり、停止までの時間が長く、比較的低い摩擦係数で高速から低速まで安定している事が必要になる。従って、鉄道車両用ブレーキディスクの場合には、自動車用の場合とは異なる摩擦性能を有する事が求められる。又、鉄道車両用ブレーキディスクは、自動車用のブレーキディスクの場合に比べて、径方向のサイズが著しく大きい。この様な鉄道車両用ブレーキディスクの場合には、高速からの制動により高負荷が加わる事と相俟って、制動に伴う大きな応力(特に熱応力)が発生する。
特に、鉄道車両用ブレーキディスクの場合、鉄道車両がより高速化し、制動時にブレーキディスクに加わる応力がより大きくなった場合には、制動時に摩擦材と摩擦し合う外径側半部が著しく温度上昇するのに対し、この摩擦材と摩擦せず、しかも低温の鉄道車両用車輪に当接している内径側半部の温度上昇は限られたものとなる。この結果、上記ブレーキディスクの内径側と外径側との間で大きな温度差を生じ、外径側が膨張して内径側を引っ張るので、このブレーキディスクの一部(特に内径側端部近傍)に大きな熱応力が発生する。
一方、近年は、鉄道車両(主に新幹線)の高速化が進んでおり、走行時の騒音や地盤振動等を抑える事に対する要求が高くなっている。この様な要求に応える為の対策として、鉄道車両の軽量化、特にばね下重量の軽減がある。又、この様なばね下重量の軽減の為には、鉄道車両用ブレーキディスクを従来の鉄系材料から軽量なアルミニウム又はアルミニウム合金に変える事が有効である。但し、鉄系材料に比べて硬度が低いアルミニウム又はアルミニウム合金のみにより鉄道車両用ブレーキディスクを構成した場合、摩擦面部の耐摩耗性が低下する為、鉄道車両用制動装置の使用には耐えられない。
この様な事情から近年は、鉄道車両用ブレーキディスクを、アルミニウム合金にセラミックスを加えたアルミニウム合金基複合材料製とする事で、摩擦面部の耐摩耗性を向上させる事も考えられている。但し、アルミニウム合金基複合材料は、アルミニウム合金に比べて、飛躍的に硬度を高める事ができる反面、アルミニウム合金の長所である靱性は大きく低下してしまう。
例えば、特許文献1に記載された鉄道車両用ブレーキディスクの場合には、ブレーキディスクの全体を、Siを6〜13%含むAl−亜共晶Si合金を母相とし、粒径が3〜50μmのセラミックスであるSiCを母相金属に対し5〜30重量%の範囲で均等に分散強化させたものにより造っている。但し、この様に、鉄道車両用ブレーキディスクの全体を、SiCの様に低靱性の材料を含むアルミニウム合金基複合材料製とした鉄道車両用ブレーキディスクの場合、ブレーキディスク全体の靱性が低下してしまう為、高負荷が加わる制動時に、大きな応力の発生により、強度上好ましくない事態が生じる原因となる。又、高負荷が加わる制動の繰り返しによっても強度上好ましくない事態が生じる原因となる。
これに対して、特許文献2に記載された鉄道車両用ブレーキディスクの場合は、Siを6〜13重量%含むAl−Si合金を母相とし、粒径が3〜50μmのSiCを母相金属に対し5〜30重量%の範囲で分散して耐摩耗性を向上させた摩擦面部と、上記Al−Si合金のみにより構成した放熱面とを溶着により一体化させている。又、この様な特許文献2に記載された鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法の場合、先ず、上記Al−Si合金の溶融金属中に上記SiCの粒子を分散させた溶湯Aと、Al−Si合金の溶融金属のみから成る溶湯Bとを用意し、先ず、鋳型の湯口に上記溶湯Aを注入し、この鋳型内の摩擦面部となるべき部分に所望の厚さの溶融層を形成すると共に、上記湯口に上記溶湯Aが滞留している間に上記溶湯Bを注入し、上記鋳型内の他の部分に充填し、上記溶融層の上面に一体的に液相接合する、二段階に分けた鋳造工程により造る。
この様な特許文献2に記載された鉄道車両用ブレーキディスクによれば、上記特許文献1に記載された鉄道車両用ブレーキディスクの場合に懸念される、靱性が低い為にブレーキディスクに強度上好ましくない事態が生じる原因となると言った問題を、或る程度は抑える事ができる。但し、特許文献2に記載されたブレーキディスクの場合、二段階に分けた鋳造工程により造っており、最初の鋳造工程で、アルミニウム合金基複合材料を構成するSiCとアルミニウム合金との比重の違いから、比重の重いSiCが沈降を生じる可能性がある。この沈降を生じた場合には、鉄道車両用ブレーキディスクの摩擦面部でのSiCの配分が不均一になる。又、最初に鋳造により造るアルミニウム合金基複合材料製の部分と、その後の鋳造により造るAl−Si合金のみにより造る部分との間の界面部分に酸化物の巻き込みが生じたり、Al−Si合金を注入する場合に乱流が生じる事により、これら両部材の健全な界面を得られない可能性がある。この為、制動時にこの界面で強度が低下し、良好な制動性能を得られない可能性がある。
又、特許文献3には、アルミニウム合金を鍛造又は鋳造する事により成形した基部となるべき部材を鋳型内に設置してこの鋳型を予熱し、摩擦面部となるべき部分に、アルミニウム又はアルミニウム合金にセラミックスの粒子又は繊維を分散させた複合材料の溶湯を上記鋳型に流し込み、一体成形する事により造る鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法が記載されている。この様な特許文献3に記載された鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法の場合も、特許文献2に記載された製造方法の場合と同様に、鋳造時にSiCとアルミニウム合金との比重の違いにより、比重の重いSiCが沈降する可能性がある。この為、鉄道車両用ブレーキディスクの完成品で、摩擦面部のSiCの配分が不均一になる可能性がある。特に、摩擦面部の表面部分に存在するSiCが少なくなると、良好な耐摩耗性を得られなくなってしまう。又、複合材料の溶湯を流し込む鋳造時に上記基部と摩擦面部との界面部分に酸化物の巻き込みが生じたり、この鋳造時の乱流により健全な界面を得られない可能性もある。この為、特許文献3に記載された製造方法の場合も、制動時にこの界面で強度が低下し、良好な制動性能を得られない可能性がある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1〜3の他に特許文献4〜6がある。
特許第3316831号公報 特開2001−287018号公報 特開平10−89389号公報 特開平5−279770号公報 特開2002−5208号公報 特開2004−316829号公報
本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法は、この様な事情に鑑みて、摩擦面を有する表層部をアルミニウム合金基複合材料製とし、他の部分をアルミニウム合金製とした鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法で、表層部でのセラミックスの配分をほぼ均一にできると共に、この表層部と他の部分との界面で強度を保ち、良好な制動性能を得られる鉄道車両用ブレーキディスクを実現すべく発明したものである。
本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法は、側面に摩擦材を押し付ける為の摩擦面を有する表層部が、SiC等のセラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方を含むアルミニウム合金基複合材料製であり、上記表層部以外の部分がAl−Si−Mg合金等のアルミニウム合金製であり、内径側半部に、それぞれが内周縁に開口する複数の切り欠きを、円周方向に亙って等間隔に形成している、鉄道車両用車輪の側面に固定される鉄道車両用ブレーキディスクを製造する。
この為に、本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法は、上記粒子又は繊維若しくはその両方を固めて焼成する事により予備成形体を造り、その後、この予備成形体を350〜600℃に予熱した状態でこの予備成形体を、鋳型の内側で上記表層部となるべき部分である、この鋳型内で鉄道車両用ブレーキディスクの内周縁のうちの最も外径側となる位置よりも3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側に外れた位置に上記予備成形体の内周縁が位置する様に配置し、この鋳型内にアルミニウム合金の溶湯を加圧した状態で送り込み、上記予備成形体にこの溶湯を加圧含浸する事と、上記表層部以外の部分を成形する事とを、上記金型内で連続して行なう
上述の様に構成する本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法によれば、軽量で且つ高靱性を有し、しかも、優れた耐摩耗性、耐熱性、耐亀裂性を有する鉄道車両用ブレーキディスクを得られる。即ち、本発明の製造方法により得られるブレーキディスクは、アルミニウム合金製の部分とアルミニウム合金基複合材料製の部分とから成る為、十分な軽量化を図れる。又、このブレーキディスクの表層部が、セラミックスの粒子又は繊維若しくはその両方を含むアルミニウム合金基複合材料製である為、摩擦面の耐摩耗性を十分に高くできる。又、上記ブレーキディスクのうちの上記表層部以外の部分がアルミニウム合金製である為、ブレーキディスク全体の靱性を十分に高くでき、優れた耐熱性及び耐亀裂性を有し、強度を十分に確保できる。しかも、本発明の場合には、鋳造工程が1回で済み、しかも、予備成形体中にアルミニウム合金を含浸して上記表層部を造る事と、この表層部以外の部分をアルミニウム合金の鋳造により造る事とが、連続的に行なわれる。この為、これら表層部と表層部以外の部分との界面で酸化物を巻き込む事がなくなり、この界面で強度を確保し易くできる。この為、これら両部が強固に結合される。又、上記表層部中でのセラミックスの配分をほぼ均一にできる。この結果、良好な制動性能を有する鉄道車両用ブレーキディスクの実現を図れる。
又、本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法の場合には、予備成形体を350〜600℃に予熱した状態で鋳型の内側で上記表層部となるべき部分に配置するので、アルミニウム合金の溶湯が予備成形体の極く一部に含浸した後、直ちに温度低下する事を防止できる。この為、上記予備成形体の極く一部のみにしか上記溶湯が含浸されない事を防止でき、この予備成形体中にアルミニウム合金を、ほぼ均一に含浸させる事ができる。この結果、良好な表層部を実現し易くできる。
更に、本発明の鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法の場合には、上記予備成形体を、鋳型内で鉄道車両用ブレーキディスクの内周縁のうちの最も外径側となる位置よりも3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側に外れた位置に上記予備成形体の内周縁が位置する様に配置する為、制動時に熱応力が過大となり易い部分に靱性が低いアルミニウム合金基複合材料製の表層部が存在する事を防止できると共に、この表層部の摩擦面となる部分の面積を十分に確保できる。これに対して、上記予備成形体を、鋳型内で鉄道車両用ブレーキディスクの内周縁のうちの最も外径側となる位置から外径側に3mm未満の範囲に上記予備成形体の内周縁が位置する様に配置した場合には、制動時に上記鉄道車両用ブレーキディスクの内径側端部に加わる熱応力が過大となり、ブレーキディスクの強度確保上好ましくない。又、上記予備成形体を、鋳型内で鉄道車両用ブレーキディスクの内周縁のうちの最も外径側となる位置よりも10mmを越えた大きさ分外径側に外れた位置に上記予備成形体の内周縁が位置する様に配置した場合には、上記表層部の摩擦面となる部分の面積、つまり、摺動摩擦部となる部分の面積を十分に確保する事が著しく困難になる。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記セラミックスを炭化珪素又はアルミナとする。
この好ましい構成によれば、上記表層部の硬度をより有効に高くでき、耐摩耗性をより有効に向上させる事ができる。この為、鉄道車両用ブレーキディスクの寿命を、より有効に向上させる事ができる。
又、より好ましくは、請求項3に記載した様に、上記表層部中での、上記セラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方の含有率を、体積換算で25〜40%とする。
このより好ましい構成によれば、上記表層部の硬度をより有効に高くでき、耐摩耗性の向上をより有効に図れる。この為、鉄道車両用ブレーキディスクの寿命を、より有効に向上させる事ができる。
又、より好ましくは、請求項4に記載した様に、上記予備成形体の厚さを、鉄道車両用ブレーキディスクの完成品の最大厚さの6〜20%とする。
このより好ましい構成によれば、製造時に於ける上記予備成形体の取り扱い(ハンドリング)を容易に行なえると共に、ブレーキディスクの耐摩耗性をより有効に確保できる。又、予備成形体の全体にアルミニウム合金の溶湯を行き渡らせる事を、より有効に行なえると共に、この予備成形体にアルミニウム合金の溶湯を加圧含浸する際のこの予備成形体の潰れを有効に防止でき、しかも、制動時にブレーキディスクが強度低下する事をより有効に防止できる。これに対して、上記予備成形体の厚さを、鉄道車両用ブレーキディスクの完成品の最大厚さの6%未満とした場合には、上記予備成形体の使い勝手、鋳型への配置(セッティング)し易さ等、取り扱い性が著しく低下する。又、この場合には、高負荷の制動が繰り返される厳しい条件で使用された場合に、予備成形体が全摩耗して、ブレーキディスクの耐摩耗性を確保する事が著しく困難になる。又、上記予備成形体の厚さを、鉄道車両用ブレーキディスクの完成品の最大厚さの20%を越える大きさとした場合には、上記予備成形体の全体にアルミニウム合金の溶湯を行き渡らせる事が、著しく困難になる。この為、この予備成形体にアルミニウム合金の溶湯を加圧含浸する際のこの予備成形体の潰れを生じる可能性が著しく高くなり、歩留りが悪化する原因となる。即ち、予備成形体の一部のみにしか上記溶湯が含浸されない状態が生じ易くなり、この場合には、更に加圧含浸した場合に上記予備成形体が潰れ易くなってしまう。又、この場合には、制動時にブレーキディスクの強度上好ましくない事態が生じる原因となる。
図1〜5は、本発明の実施例を示している。これら各図のうち、図1〜4は、本実施例の製造方法により造る鉄道車両用のブレーキディスク1を示しており、図5は、このブレーキディスク1の製造方法を示している。先ず、本実施例の製造方法により造る上記ブレーキディスク1に就いて説明する。ブレーキディスク1は、アルミニウム合金製の本体部2と、アルミニウム合金をマトリックス材とし、これにSiC、アルミナ等のセラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方を分散配合したアルミニウム合金基複合材料製の表層部3とを有し、全体を円輪状としている。上記ブレーキディスク1は、上記本体部2の片面に上記表層部3を一体に結合して成る。本実施例の場合、上記ブレーキディスク1は、片面(図1の表側面、図2の裏側面、図3、4の左側面、図5(ニ)の上側面)の外径側半部を、制動時に図示しない摩擦材を押し付ける為の摩擦面4としている。この摩擦面4は、上記表層部3の片面により構成している。これに対して、上記ブレーキディスク1の他面(図1の裏側面、図2の表側面、図3、4の右側面、図5(ニ)の下側面)の内径寄り部分は、鉄道車両用車輪(図示せず)の側面に固定できる様に、この側面にがたつきなく突き当て可能な形状としている。尚、図1では斜格子部分により、上記表層部4を表している。
又、本実施例の場合には、上記ブレーキディスク1の他面外径寄り半部を、それぞれが放射状に形成された凸部と凹部とを円周方向に亙って交互に配置した形状としている。これにより、上記ブレーキディスク1の凸部が上記鉄道車両用車輪の側面に突き当たり、又は近接対向した状態で、上記ブレーキディスク1の他面外径寄り半部とこの鉄道車両用車輪の側面との間(上記凹部と側面との間)に、冷却用の空気が流通自在な通路が形成される様にしている。
又、上記ブレーキディスク1の内径側半部には、それぞれがこのブレーキディスク1の内周縁に開口する複数の切り欠き5、5を、円周方向に亙って等間隔に形成している。これら各切り欠き5、5の断面形状は、複数の円弧を連続させた複合円弧である。又、これら各切り欠き5、5は、上記摩擦面4よりも内径側に外れた位置に形成しており、上記ブレーキディスク1の内周縁の一部を構成している。特に、本実施例の場合には、上記ブレーキディスク1の内周縁のうちの最も外径側となる位置である、上記各切り欠き5、5の奥端よりも3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側にずれた位置に、上記摩擦面4の内周縁が位置する様にしている。言い換えれば、前記表層部3の内周縁は、上記各切り欠き5、5の奥端よりも、3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側にずれた位置に存在する。これに対して、上記摩擦面4の外周縁は、上記ブレーキディスク1の外周縁にまで達している。又、円周方向に隣り合う上記各切り欠き5、5同士の間部分に、それぞれ前記鉄道車両用車輪にブレーキディスク1を取り付ける為のボルト挿通用の取付孔6、6を設けている。そして、上記各切り欠き5、5の頂点(奥端)を上記各取付孔6、6のピッチ円よりも外側に存在させている。
又、本実施例の場合、上記表層部3中での前記セラミックスの粒子(又は繊維、或は繊維及び粒子の両方を分散配合する場合にはその両方)の含有率を、体積換算で25〜40%としている。更に、上記表層部3の厚さt3 (図4)を、上記ブレーキディスク1全体の最大厚さT1 (図4)の6〜20%としている(0.06T1 ≦t3 ≦0.20T1 )。
そして、上述の様に構成するブレーキディスク1を製造する為に、本実施例の場合には、次の様な製造方法を用いる。この製造方法を、図5を用いて説明する。本実施例の製造方法の場合、先ず、上記表層部3を構成する予備成形体(プリフォーム)7を造る。この予備成形体7は、SiC、アルミナ等のセラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方を適宜のバインダを用いて混練した後固めて、焼成する事により、全体を円輪状に造る。尚、図5では、上記予備成形体7として、SiCの粒子とアルミナの繊維とを焼成し固める事により造ったものを、模式的に表している。尚、上記予備成形体7は、上記粒子又は繊維、若しくはその両方を攪拌混合したものをプレスにより所定の形状に固めて乾燥工程により乾燥後、焼成により造る事もできる。
又、ブレーキディスク1の完成品での表層部3(図5の(ニ))中での、上記セラミックスの粒子(又は繊維、或は繊維及び粒子の両方を分散配合する場合には、その両方)の含有率を、体積換算で25〜40%とする為に、上記予備成形体7での、上記セラミックスの粒子(又は繊維、或は繊維及び粒子の両方を分散配合する場合には、その両方)の含有率(予備成形体7の内部の空隙を除いた割合)を、体積換算で25〜40%とする。又、上記予備成形体7の厚さt7 を、ブレーキディスク1の完成品の最大厚さT1 の6〜20%としている。
そして上述の様に構成する予備成形体7を、図5(イ)に示す様に、鋳造用の鋳型8内に設置する。この鋳型8は、上下二分割型で、それぞれが円輪状である、上型9と下型10とを有する。これら上型9と下型10とを突き合わせた状態で、鋳型8の内部には、ブレーキディスク1の完成品の外面とほぼ一致する形状を有するキャビティ11を形成する。又、上記鋳型8の内径側に、このキャビティ11に後述するアルミニウム合金の溶湯13を加圧注入する為の湯口(図示せず)を設けている。更に、上記上型9のうち、少なくとも上記予備成形体7と対向する部分に、それぞれが厚さ方向に貫通する複数の小孔(図示せず)を形成している。そして、この様な鋳型8を構成する下型10内に、その摩擦面4となるべき面が上記下型10の上端に位置する様に、上記予備成形体7を設置する。尚、図示は省略するが、この予備成形体7を上記鋳型8内の所定位置に設置する為に、例えば、上記下型10の外径側の内周面に段差面を設け、この段差面上に上記予備成形体7を設置する事もできる。但し、この場合には、ブレーキディスク1の完成後に上記表層部3の外周部が他の部分よりも外径側に突出した状態となる為、必要に応じてこの突出した部分を削り落とす。又、上記鋳型8内に上記予備成形体7を設置した状態で、上記上型9の片面(図5の下面)で、ブレーキディスク1の完成品の各切り欠き5、5(図1〜3参照)の奥端となるべき位置(図5の点D)から、外径側に3〜10mm(好ましくは3〜5mm)ずれた位置に、上記予備成形体7の内周縁12を位置させる。この様に各切り欠き5、5の奥端となるべき位置から予備成形体7の内周縁12を外径側にずらせた量は、図4の寸法Lに相当する。
又、上記予備成形体7は、予め350〜600℃の範囲の所定温度に十分に予熱し、この状態で上記鋳型8内に、この鋳型8の内側で表層部3となるベき部分に配置する。そして、図5(ロ)に示す様に、上記鋳型8に上記湯口を通じて、アルミニウム合金の溶湯13を加圧した状態で送り込む。このアルミニウム合金としては、例えば、Al−Si−Mg合金を使用する。又、この溶湯13を送り込む際の圧力は、50MPa以上(例えば80MPa)の高圧とする。この様な溶湯13の送り込みにより、上記キャビティ11内でブレーキディスク1の本体部2となるべき部分に上記溶湯13が充填されると共に、上記予備成形体7にこの溶湯13が加圧含浸される。この予備成形体7に溶湯13が加圧含浸される際には、予備成形体7中の空隙部分に存在する空気が、前記複数の小孔を通じて外部に排出される。尚、上記キャビティ11内に溶湯13を送り込むのに伴って、このキャビティ11内に存在する空気も上記複数の小孔を通じて外部に排出される。そして、このキャビティ11内に溶湯13が充填されると共に、上記予備成形体7中で上記空隙部分に上記溶湯13が加圧含浸され、温度低下後、上記鋳型8内からブレーキディスク1を取り出し、必要に応じて形状を整える為の仕上加工を施して、ブレーキディスク1(図1〜4)の完成品とする。
又、上記キャビティ11内で摩擦面4となるべき部分にその一部を配置した予備成形体7は、上述した鋳造工程により、アルミニウム合金基複合材料製の表層部3となる。この表層部3の靱性は、他の部分である本体部2の靱性よりも低くなる。この為、上記鋳型8内での上記予備成形体7の配置位置は、使用時に大きな応力が発生する部分を避ける為の考慮が必要になる。特に、制動時にはブレーキディスク1の外径側が膨張して内径側端部近傍を引っ張るので、内径側端部近傍に大きな熱応力が発生し易い。この為、熱応力に対して破壊靱性が小さいアルミニウム合金基複合材料製の表層部3は、使用時の熱応力が大きくなり易い、ブレーキディスク1の内径側端部となるべき部分を避けて配置する事が好ましい。より具体的には、上記予備成形体7を、上記鋳型8内で上記ブレーキディスク1の内周縁のうちの最も外径側となる位置である、前記複数の切り欠き5、5の奥端(図5の点D)よりも図4の寸法Lに相当する、3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側に外れた位置に上記予備成形体7の内周縁12が位置する様に配置するのが好ましい。
尚、本実施例の様に、ブレーキディスク1の内周縁に形成した各切り欠き5、5の頂点(奥端)を、前記ボルト挿通用の取付孔6、6のピッチ円よりも外側に存在させた場合には、熱膨張に基づく引っ張り応力並びに歪みが最大となる部分が、上記各切り欠き5、5の頂点部分となる。この事は、特許文献6に記載されている様に従来から知られている事項である。
上述の様に構成する本実施例の鉄道車両用ブレーキディスク1の製造方法によれば、軽量で且つ高靱性を有し、しかも、優れた耐摩耗性、耐熱性、耐亀裂性を有する鉄道車両用ブレーキディスク1を得られる。即ち、本実施例の製造方法により得られるブレーキディスク1は、アルミニウム合金製の本体部2とアルミニウム合金基複合材料製の表層部3とから成る為、十分な軽量化を図れる。又、上記ブレーキディスク1の表層部3が、セラミックスの粒子又は繊維若しくはその両方を含むアルミニウム合金基複合材料製である為、摩擦面4の耐摩耗性を十分に高くできる。又、上記ブレーキディスク1のうちの上記表層部3以外の本体部2がアルミニウム合金製である為、ブレーキディスク1全体の靱性を十分に高くでき、優れた耐熱性及び耐亀裂性を有し、強度を十分に確保できる。しかも、本実施例の場合には、鋳造工程が1回で済み、しかも、予備成形体7中にアルミニウム合金を含浸して上記表層部3を造る事と、表層部3以外の本体部2をアルミニウム合金の鋳造により造る事とが、連続的に行なわれる。この為、上記表層部3と本体部2との界面で酸化物を巻き込む事がなくなり、この界面で強度を保ち易くなる。この為、これら両部3、2が強固に結合される。又、上記表層部3中でのセラミックスの配分をほぼ均一にできる。この結果、良好な制動性能を有するブレーキディスク1の実現を図れる。
又、本実施例の場合には、上記予備成形体7を構成するセラミックスを炭化珪素又はアルミナとしている為、上記表層部3の硬度をより有効に高くでき、耐摩耗性をより有効に向上させる事ができる。この為、ブレーキディスク1の寿命を、より有効に向上させる事ができる。更に、ブレーキディスク1の完成品の表層部3中での上記セラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方を分散配合している場合にその両方の含有率を、体積換算で25〜40%としている。この為、上記表層部3の硬度をより有効に高くでき、耐摩耗性の向上をより有効に図れる。この結果、ブレーキディスク1の寿命を、より有効に向上させる事ができる。
又、本実施例の場合には、上記予備成形体7を焼成により造った後、この予備成形体7を予熱し、温度を所定値(例えば400℃)以上にした状態でこの予備成形体7を鋳型8内に、この鋳型8の内側で表層部3となるベき部分に配置し、上記予備成形体7に上記溶湯13を加圧含浸する事により造っている。この為、アルミニウム合金の溶湯13が、予備成形体7の極く一部に含浸した後、直ちに温度低下する事を防止できる。この為、上記予備成形体7の極く一部のみにしか上記溶湯13が含浸されない事を防止でき、この予備成形体7中にアルミニウム合金を、ほぼ均一に含浸させる事ができる。この結果、良好な表層部3を実現し易くできる。
更に、上記予備成形体7を、上記鋳型8内でブレーキディスク1の内周縁のうちの最も外径側となる位置である、各切り欠き5の奥端となるべき位置(図5の点D)よりも3〜10mm(より好ましくは3〜5mm)外径側に外れた位置に上記予備成形体7の内周縁が位置する様に配置している。この為、制動時に熱応力が過大となり易い部分に靱性が低いアルミニウム合金基複合材料製の表層部3が存在する事を防止できると共に、この表層部3の摩擦面4となる部分の面積を十分に確保できる。これに対して、上記予備成形体7を、上記鋳型8内でブレーキディスク1の内周縁のうちの最も外径側となる位置である、各切り欠き5、5の奥端となるべき位置から外径側に3mm未満の範囲に、上記予備成形体7の内周縁が位置する様に配置した場合には、制動時に上記ブレーキディスク1の内径側端部に加わる熱応力が過大となり、ブレーキディスク1の強度確保上好ましくない。又、上記予備成形体7を、上記鋳型8内でブレーキディスク1の各切り欠き5、5の奥端となるべき位置よりも10mmを越えた所定長さ分外径側に外れた位置に上記予備成形体7の内周縁12が位置する様に配置した場合には、上記表層部3の摩擦面4となる部分の径方向長さが小さくなり、この部分の面積、つまり摺動摩擦部となる部分の面積を十分に確保する事が著しく困難になる。
更に、本実施例の場合には、上記予備成形体7の厚さt7 (図5(イ))を、この予備成形体7の製造品質上の限界、ブレーキディスク1に発生する応力、制動に伴う摩耗等を考慮して適切に規制している。具体的には、上記予備成形体7の厚さt7 を、上記ブレーキディスク1の完成品の最大厚さT1 (図4)の6〜20%としている(0.06T1 ≦t7 ≦0.20T1 )。この為、製造時での上記予備成形体7の取り扱い(ハンドリング)を容易に行なえると共に、ブレーキディスク1の耐摩耗性をより有効に確保できる。又、上記予備成形体7中にアルミニウム合金の溶湯13を全体に行き渡らせる事を、より有効に行なえると共に、この予備成形体7にアルミニウム合金の溶湯13を加圧含浸する際のこの予備成形体7の潰れを有効に防止でき、しかも、制動時にブレーキディスク1が強度低下する事をより有効に防止できる。これに対して、上記予備成形体7の厚さt7 を、ブレーキディスク1の完成品の最大厚さT1 の6%未満とした(t7 <0.06T1 )場合には、上記予備成形体7の使い勝手、鋳型への配置(セッティング)し易さ等、取り扱い性が著しく低下する。又、この場合には、高負荷の制動が繰り返される厳しい条件で使用された場合に、予備成形体7が全摩耗して、耐摩耗性を確保する事が著しく困難になる。又、上記予備成形体7の厚さt7 を、ブレーキディスク1の完成品の最大厚さT1 の20%を越える大きさとした(t7 >0.20T1 )場合には、上記予備成形体7の全体にアルミニウム合金の溶湯13を行き渡らせる事が、著しく困難になる。この為、この予備成形体7にアルミニウム合金の溶湯13を加圧含浸する際のこの予備成形体7の潰れを生じる可能性が著しく高くなり、歩留りが悪化する原因となる。又、この場合には、制動時にブレーキディスク1の強度上好ましくない事態が生じる原因となる。
次の表1は、本発明の発明者が、本実施例でのブレーキディスク1の最大厚さT1 に対する予備成形体7の好ましい厚さt7 の割合を求める為に行なった検討結果を整理したものを示している。この表1に示した検討結果からも、上記割合を適切な範囲に規制した(0.06T1 ≦t7 ≦0.20T1 )場合には、製造時の予備成形体7の取り扱いを容易に行なえると共に、ブレーキディスク1の耐摩耗性を有効に確保でき、予備成形体7にアルミニウム合金の溶湯13を加圧含浸する際のこの予備成形体7の潰れを有効に防止できる。又、この様な検討結果から、ブレーキディスク1の最大厚さT1 を49mmとした場合には、上記予備成形体7の厚さt7 を、2.9〜9.8mmの範囲に規制する事が好ましい事が分かる。
Figure 0004781717
次に、本発明者が本実施例の効果を確認すべく行なったブレーキディスク1の強度試験の結果に就いて説明する。強度試験は、前述の図1〜5に示した実施例と同様の構造を有するブレーキディスク1で、図4に一点鎖線イ−ロ−ハ−ニで示す矩形をその断面とする円弧状の試験片14(図6)を切り出したものを使用する。又、試験片14は、片面(図6の右側面)の軸方向(図6の上下方向)に関して1mmずつずれた4個所位置の何れかに切り欠き(ノッチ)17を形成した4種類を使用する。そして、図6に示す様に、アルミニウム合金製の本体部2の一部である第一部分15と、アルミニウム合金基複合材料製の表層部3の一部である第二部分16との界面位置を基準(0mm)とし、−(マイナス)側を上記第一部分15とし、+(プラス)側を上記第二部分16とした場合に、上記各試験片14の片面の両端部を固定の部分に突き当てると共に、同じく他面で上記界面位置に荷重Fを加える。そして、上記切り欠き17の形成位置を異ならせた4種類の試験片14で、切り欠き17の周辺部に亀裂が発生する(又は破損する)までの強度を確認した。
この様にして行なった強度試験の結果を、図7に示している。この図7に示した試験結果から明らかな様に、本実施例の場合には、ブレーキディスク1の強度が、アルミニウム合金製の本体部2で高くなり、アルミニウム合金基複合材料製の表層部3で低い。しかも、本実施例によれば、上記本体部2と表層部3との界面位置と、表層部3とで強度にほとんど差がない様にでき、言い換えれば、この表層部3が本体部2に対し剥離しづらい事も分かった。即ち、アルミニウム又はアルミニウム合金製の部分と、アルミニウム合金基複合材料製の部分とを一体に結合して成るブレーキディスクの製造方法としては、本発明の製造方法以外に、前述の特許文献2、3に記載された製造方法が知られている。このうちの特許文献2に記載された製造方法は、鋳造工程を二段階に分けて行なうもので、特許文献3に記載された製造方法は、鍛造又は鋳造により造ったアルミニウム合金製の基部と成るべき部材を鋳型内に設置し、摩擦面部となるべき部分に、アルミニウム又はアルミニウム合金にセラミックスの粒子又は繊維を分散させた複合材料の溶湯を注ぐ事によりブレーキディスクを製造するものである。この様な特許文献2、3に記載された何れの製造方法によりブレーキディスクを製造する場合も、本体部(基部)と表層部(摩擦面部)との界面で本実施例の場合よりも剥離が生じ易い。例えば、図7に一点鎖線aで示す様に、この界面に切り欠きを形成した場合の強度が、他の位置に切り欠きを形成した場合に対して著しく低下する。これに対して本実施例の場合には、本体部2と表層部3との結合を強固にできる為、界面位置に切り欠き17を形成した場合でも、他の位置に切り欠き17を形成した場合(特にアルミニウム合金基複合材料製の部分の中間部に切り欠き17を形成した場合)に対して著しく強度が低下する事がない。これにより本実施例の効果を確認できた。
本発明の実施例により製造するブレーキディスクの片半部を示す図。 図1の裏側から見た片半部を示す図。 図1のA−O−B断面図。 図3のC部拡大断面図。 実施例の製造方法での鋳造工程を模式的に示す断面図。 実施例の効果を確認すべく行なった強度試験に用いる試験片の断面図。 同じく強度試験の結果を、試験片に形成する切り欠きの位置と強度との関係で示す線図。
符号の説明
1 ブレーキディスク
2 本体部
3 表層部
4 摩擦面
5 切り欠き
6 取付孔
7 予備成形体
8 鋳型
9 上型
10 下型
11 キャビティ
12 内周縁
13 溶湯
14 試験片
15 第一部分
16 第二部分
17 切り欠き

Claims (4)

  1. 側面に摩擦材を押し付ける為の摩擦面を有する表層部が、セラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方を含むアルミニウム合金基複合材料製であり、上記表層部以外の部分がアルミニウム合金製であり、内径側半部に、それぞれが内周縁に開口する複数の切り欠きを、円周方向に亙って等間隔に形成している、鉄道車両用車輪の側面に固定される鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法であって、
    上記粒子又は繊維若しくはその両方を固めて焼成する事により予備成形体を造り、その後、この予備成形体を350〜600℃に予熱した状態でこの予備成形体を、鋳型の内側で上記表層部となるべき部分である、この鋳型内で鉄道車両用ブレーキディスクの内周縁のうちの最も外径側となる位置よりも3〜10mm外径側に外れた位置に上記予備成形体の内周縁が位置する様に配置し、この鋳型内にアルミニウム合金の溶湯を加圧した状態で送り込み、上記予備成形体にこの溶湯を加圧含浸する事と、上記表層部以外の部分を成形する事とを、上記金型内で連続して行なう鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法。
  2. 上記セラミックスを炭化珪素又はアルミナとする、請求項1に記載した鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法。
  3. 表層部中での、上記セラミックスの粒子又は繊維、若しくはその両方の含有率を、体積換算で25〜40%とする、請求項1又は請求項2に記載した鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法。
  4. 上記予備成形体の厚さを、鉄道車両用ブレーキディスクの完成品の最大厚さの6〜20%とする、請求項1〜3の何れか1項に記載した鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法。
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