JP4778569B2 - ステレオ画像処理装置、ステレオ画像処理方法及びステレオ画像処理プログラム - Google Patents
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Description
しかしながら、撮影した撮影対象の三次元構造を復元するためには、二つのカメラのうち一方のカメラから得た画像上の点が、他方のカメラから得た画像上のどの点に対応するかを検出する必要がある。
図6は、一般的なステレオカメラの配置と、エピポーラ線及びエピ極との関係を示す図である。なお、エピ極に関する説明は、後述する。
以下の説明では、前提として、図6中に示すように、第一カメラ2と第二カメラ4が、同時に、撮影対象である対象P1(構造模型等)を撮影している状態を設定する。
このとき、第一カメラ2のカメラ中心Oと、第二カメラ4のカメラ中心O’と、対象P1の三点とを通る平面が、エピポーラ面を形成し、この形成したエピポーラ面と第一画像18及び第二画像20が交わる直線が、上記のエピポーラ線を形成する。
ここで、エピポーラ面は、対象P1が第一カメラ2で第一画像18上の点cp1に投影されている状態で決定される。このため、第二カメラ4では、対象P1がエピポーラ線上のどこかに投影されることになる。なお、図6中には、第二カメラ4により対象P1が第二画像20上に投影されている点を、点cp1’で示している。
なお、上述した全てのエピポーラ面は、対象の位置に因らず、直線OO’を含んでいる。このため、全てのエピポーラ線は、必ずエピ極点で交わることとなり、これを数式で表すと、以下の式(33)となる。なお、式(33)は、エピポーラ線の方程式である。
式(33)の(x y 1)の値は、例えば、第一画像18上のある点を指定した場合に確定する。このとき、式(33)は、x’とy’に関する一次方程式、すなわち、直線の方程式となる。これが、第一画像18上の点(x y 1)に対応する、第二画像20のエピポーラ線の方程式となる。
同様に、式(33)の(x’y’1)Tの値は、第二画像20上のある点を指定した場合に確定する。このとき、式(33)は、xとyに関する一次方程式、すなわち直線の方程式となる。これが、第二画像20の点(x’y’1)Tに対応する、第一画像18のエピポーラ線の方程式となる。
ところで、最も三次元構造を復元しやすいカメラ配置は、二つのカメラの光軸の向き(撮影方向)が全く同じであり、さらに、撮像面の水平軸方向に平行移動しているだけの関係を形成する配置である。以下、このようなカメラ配置を、平行等位と記載する。
平行等位のカメラ配置では、図7中に示すように、第一画像18と第二画像20のエピポーラ線が平行となり、且つ高さが揃うため、テンプレートマッチングの走査を、容易に行うことが可能となる。さらに、第一画像18と第二画像20との水平座標の違い、すなわち、視差の簡単な関数を用いて、対象の三次元座標を復元することが可能となる。
この問題に対し、例えば、二つの対処法が提案されている。
第一の対処法は、二つのカメラを、ほぼ平行等位に設置し、さらに、平行等位からの僅かなズレを、公知のアフィン変換を用いて補正する方法である。
一方、第二の対処法は、例えば、非特許文献1に記述されているような方法である。これは、二つのカメラがほぼ平行等位であるという仮定を用いずに、二つのカメラの向きが完全には同じではない二つの画像(第一画像及び第二画像)に対して、射影変換を行うことにより、仮想的に平行等位(仮想平行等位)を形成する方法である。
第二の対処法は、第一の対処法と異なり、カメラの配置に制約を受けない利点を有している。
しかしながら、対応が既知である特徴点は、その座標を、第一画像及び第二画像の画面上から検出しているため、誤差を含む可能性がある。このため、二つのカメラの向きが完全には同じではない画像に対して射影変換を行っても、厳密な仮想平行等位にはならないという問題が発生するおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、厳密な仮想平行等位を実現することが可能な、ステレオ画像処理装置、ステレオ画像処理方法及びステレオ画像処理プログラムを提供することを課題とする。
前記三次元画像生成手段は、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算手段と、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算手段と、
前記第一画像または前記第二画像に対して、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算手段と、を備え、
第二射影変換演算手段は、予め演算した基礎行列、前記回転演算手段が演算した回転及び前記第一射影変換演算手段が演算した第一の射影変換に基づいて、前記第二の射影変換を演算することを特徴とするものである。
このため、第二の射影変換を、対応が既知である特徴点と比較して誤差の少ない座標を用いて演算することが可能となり、この演算した第二の射影変換を、第一画像または第二画像に対して実施することにより、厳密な仮想平行等位を実現することが可能となる。
また、上記のような、第二射影変換演算手段による第二の射影変換の演算は、例えば、最初に第一カメラ及び第二カメラを配置した状態から、経時的な変化等により、撮影対象に対する第一カメラ及び第二カメラの位置が変化して、所望の第一画像及び第二画像が撮影不可能となった場合に行ってもよい。この場合、撮影対象に対する第一カメラ及び第二カメラの位置を、所望の第一画像及び第二画像を撮影可能な位置に修正した状態で、第二射影変換演算手段による第二の射影変換の演算を行う。
また、上記のような、第二射影変換演算手段による第二の射影変換の演算は、例えば、一週間毎等、所定の間隔毎に行ってもよい。
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算ステップと、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算ステップと、
前記第一画像または前記第二画像に対し、予め演算した基礎行列、前記回転演算ステップで演算した回転及び前記第一射影変換演算ステップで演算した第一の射影変換に基づいて、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算ステップと、を備えることを特徴とするものである。
このため、第二の射影変換を、対応が既知である特徴点と比較して誤差の少ない座標を用いて演算することが可能となり、この演算した第二の射影変換を、第一画像または第二画像に対して実施することにより、厳密な仮想平行等位を実現することが可能となる。
また、上記のような、第二射影変換演算ステップにおける第二の射影変換の演算は、例えば、最初に第一カメラ及び第二カメラを配置した状態から、経時的な変化等により、撮影対象に対する第一カメラ及び第二カメラの位置が変化して、所望の第一画像及び第二画像が撮影不可能となった場合に行ってもよい。この場合、撮影対象に対する第一カメラ及び第二カメラの位置を、所望の第一画像及び第二画像を撮影可能な位置に修正した状態で、第二射影変換演算ステップにおける第二の射影変換の演算を行う。
また、上記のような、第二射影変換演算ステップにおける第二の射影変換の演算は、例えば、一週間毎等、所定の間隔毎に行ってもよい。
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算ステップと、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算ステップと、
前記第一画像または前記第二画像に対し、予め演算した基礎行列、前記回転演算ステップで演算した回転及び前記第一射影変換演算ステップで演算した第一の射影変換に基づいて、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
なお、上記のような、コンピュータに実行させる第二射影変換演算ステップにおける、第二の射影変換の演算は、例えば、撮影対象に対して、所望の第一画像及び第二画像を撮影可能な位置に、最初に第一カメラ及び第二カメラを配置した状態で行う。
また、上記のような、コンピュータに実行させる第二射影変換演算ステップにおける、第二の射影変換の演算は、例えば、一週間毎等、所定の間隔毎に行ってもよい。
(第一実施形態)
まず、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図5を参照して、本実施形態の構成を説明する。なお、上述した図6及び図7中に記載したものと同様の構成については、同一の符号を付して説明する。
図1は、本実施形態のステレオ画像処理装置1の構成を示す図である。
図1中に示すように、このステレオ画像処理装置1は、第一カメラ2と、第二カメラ4と、三次元画像生成手段6と、三次元画像後処理手段8を備えている。
第二カメラ4は、第一カメラ2と同様、例えば、監視装置等が備えるカメラであり、第一画像と異なる方向から、撮影対象Pの第二画像を撮影し、この撮影した第二画像を含む情報信号を、三次元画像生成手段6へ出力する。なお、図1中では、第一カメラ2が撮影対象Pを撮影する第一撮影方向を、矢印A1で示し、第二カメラ4が撮影対象Pを撮影する第二撮影方向を、矢印A2で示している。
三次元画像後処理手段8は、例えば、三次元画像生成手段6が生成した撮影対象Pの三次元画像を空間に投影可能なプロジェクタで形成されている。なお、三次元画像後処理手段8の構成は、これに限定するものではなく、例えば、三次元画像生成手段6が生成した撮影対象Pの三次元画像をデータとして蓄積可能なデータベースであってもよい。
図2中に示すように、三次元画像生成手段6は、エピ極点演算手段10と、回転演算手段12と、第一射影変換演算手段14と、第二射影変換演算手段16を備えている。なお、これらの機能構成は、三次元画像生成手段6のCPU(コンピュータ)に、図示しないROM(Read Only Memory)やハードディスク等の記憶装置に記憶したステレオ画像処理プログラムを実行させることにより、三次元画像生成手段6で実現する。なお、上記の記憶装置は、例えば、三次元画像生成手段6が備える。
回転演算手段12は、第一画像及び第二画像に対して、エピ極点演算手段10が演算したそれぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともに、それぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する。回転演算手段12が行う演算についての詳細な説明は、後述する。
第一射影変換演算手段14は、回転演算手段12が演算した回転により移動したそれぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通り、且つそれぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する。第一射影変換演算手段14が行う演算についての詳細な説明は、後述する。
ここで、第二射影変換演算手段16は、予め演算した基礎行列と、回転演算手段12が演算した回転と、第一射影変換演算手段14が演算した第一の射影変換に基づいて、第二の射影変換を演算する。第二射影変換演算手段16が行う演算についての詳細な説明は、後述する。
具体的には、第一カメラ2及び第二カメラ4(ステレオカメラ)が撮影した画像から、撮影対象Pの三次元構造を生成する処理のうち、ステレオマッチング処理を単純化するために、第一カメラ2及び第二カメラ4から得たステレオ画像対の平行化処理(画像平行化)について説明する。
図3は、画像平行化の手順を表すフローチャートである。また、図4は、画像平行化の手順に伴って入力画像が変形する様子を示した図である。なお、図4中では、入力画像が変形する様子を、図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順番で示している。
すなわち、ステップS10では、三次元画像生成手段6に対し、ステレオ画像対となる第一画像及び第二画像と、第一画像と第二画像との関係を表す基礎行列Fを入力(ステップS10に示す「基礎行列Fとステレオ画像対を入力」)する。
ステップS12では、三次元画像生成手段6に入力した第一画像18と第二画像20に対し、それぞれ、座標の原点が画像の中心にないときは、座標の原点が画像の中心になるように、平行移動H0を実施する。
なお、ステップS10の処理とステップS12の処理は、順序を逆にして行ってもよい。
ステップS14では、エピ極点演算手段10が、既知の基礎行列Fに基づいて、第一画像18及び第二画像20のエピ極点を演算(ステップS14に示す「基礎行列Fから第一、第二画像のエピ極点e,e’を計算」)する。この演算により、図4(c)中に示すように、第一画像18のエピ極点eと、第二画像20のエピ極点e’を演算する。なお、図4(c)中では、エピ極点eを演算した状態の第一画像18を第一画像18cと示し、エピ極点e’を演算した状態の第二画像20を第二画像20cと示している。
ステップS14において、エピ極点演算手段10が、第一画像18のエピ極点eと、第二画像20のエピ極点e’を演算した後、画像平行化で行う処理は、ステップS16の処理へ移行する。
この演算した回転H1,H1’を実施することにより、図4(d)中に示すように、第一画像18に対する第一画像18のエピ極点eの位置、及び第二画像20に対する第二画像20のエピ極点e’の位置が変位する。なお、図4(d)中では、回転H1を実施した状態の第一画像18を第一画像18dと示し、回転H1’を実施した状態の第二画像20を第二画像20dと示している。
ステップS18では、第一画像18に対し、回転H1により移動した第一画像18のエピ極点eが、第一画像18の中心を通り、且つ第一画像18の水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換H2を実施する。これに加え、ステップS18では、第二画像20に対し、回転H1’により移動した第二画像20のエピ極点e’が、第二画像20の中心を通り、且つ第二画像20の水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換H2’を実施する。
ここで、第一の射影変換H2は、例えば、上述した非特許文献1の2.5節(P.147)に記載されている方法に従って演算する。これは、エピ極点(0,e)を、無限遠点(0,±∞)に写像する射影変換である。なお、第一の射影変換H2’に関しては、第一画像18を第二画像に置き換えれば同様の手順であるため、その説明は省略する。
ステップS20では、第一画像18または第二画像20に対し、エピポーラ線の高さを第一画像18と第二画像20で揃えるために、第二の射影変換H3を演算し、この演算した第二の射影変換H3を実施する。なお、本実施形態では、第二画像20に対して、第二の射影変換H3を実施する場合について説明する。
すなわち、ステップS20では、第二射影変換演算手段16が、第一画像18または第二画像20に対して、第二の射影変換H3(ステップS20に示す「ステップS18で写像した第二画像(または第一画像)のエピポーラ線の高さを第一(または第二)画像に揃える第二の射影変換H3を計算」)を演算する。
第二射影変換演算手段16が演算した第二の射影変換H3を実施することにより、図4(f)中に示すように、第一画像18のエピポーラ線の高さと、第二画像20のエピポーラ線の高さが揃う。なお、図4(f)中では、第一の射影変換H2を実施した状態を維持した第一画像18を第一画像18fと示し、第二の射影変換H3を実施した状態の第二画像20を第二画像20fと示している。
図5は、第二の射影変換H3を演算する処理、すなわち、画像の高さを揃える射影変換を決定するためのフローチャートである。
図5中に示すように、第二の射影変換H3を演算する処理を開始(START)すると、第二射影変換演算手段16は、まず、予め演算した基礎行列F、ステップS12で演算した平行移動H0、ステップS16で演算した回転H1,H1’、ステップS18で演算した第一の射影変換H2,H2’を取得する(ステップS30)。
ステップS30において、第二射影変換演算手段16に対し、基礎行列F、平行移動H0、回転H1,H1’、第一の射影変換H2,H2’を入力した後、第二射影変換演算手段16が行う処理は、ステップS32の処理へ移行する。
すなわち、ステップS32では、第二射影変換演算手段16に対し、射影変換行列H3を入力(ステップS32に示す「未確定のパラメータa,b,cを含む射影変換行列H3を入力 H3の形は、座標軸の取り方に依存」)する。
ステップS32において、第二射影変換演算手段16に対し、第二の射影変換行列H3を入力した後、第二射影変換演算手段16が行う処理は、ステップS34の処理へ移行する。
ステップS34では、F’=H2 -TH1 -TH0 -TFH0 -1H1 -1H2 -1で示す、第二次基礎行列F’を計算する。
すなわち、ステップS34では、第二次基礎行列F’を計算(ステップS34に示す「F’=H2 -TH1 -TH0 -TFH0 -1H1 -1H2 -1を計算 この時点でF’の9つの成分のうち、5つは0である」)する。
ステップS34において、第二次基礎行列F’を計算した後、第二射影変換演算手段16が行う処理は、ステップS36の処理へ移行する。
これにより、仮想平行等位が実現できているという条件から、エピポーラ線が水平軸に平行であるとともに、第一画像18のエピポーラ線に対応する第二画像20のエピポーラ線の高さが同一という関係が、成立しているという条件を課すことができる。
したがって、未確定のパラメータa,b,cの3元連立一次方程式が導かれ、これらが一意に決定されることにより、第二の射影変換H3が確定する。
ステップS36において、第二の射影変換H3を演算した後、第二画像20に対して、第二の射影変換H3を実施すると、第二射影変換演算手段16が行う処理は終了(「END」)する。
ステップS20において、第二画像20に対して第二の射影変換H3を実施した後、画像平行化で行う処理は、ステップS22の処理へ移行する。
ステップS22では、第一画像18及び第二画像20に対して、ステップS20で演算した合成射影変換を実施することにより、第一画像18及び第二画像20を射影変形して、平行化を完了する。
具体的には、第一画像18に対して、合成射影変換H0 -1H2H1H0を実施するとともに、第二画像20に対して、合成射影変換H0 -1H3H2’H1’H0を実施することにより、第一画像18及び第二画像20を射影変形する。
ステップS22において、第一画像18及び第二画像20に対して、合成射影変換を実施することにより、第一画像18及び第二画像20を射影変形すると、画像平行化で行う処理は終了(「END」)する。
なお、上記ステップS16は、上述した「回転演算ステップ」に対応する。
また、上記ステップS18は、上述した「第一射影変換演算ステップ」に対応する。
また、上記ステップS20及びS30〜S36は、上述した「第二射影変換演算ステップ」に対応する。
次に、図1から図5を参照して、上記の構成を備えたステレオ画像処理装置1の動作について説明する。
なお、上述した第三次基礎行列F”の、エピポーラ線が水平軸に平行であるとともに、第一画像18のエピポーラ線に対応する第二画像20のエピポーラ線の高さが同一であるという条件は、座標軸の取り方によって形が異なる。このため、以下の説明では、具体的な座標軸を指定した詳細な動作を記載する。
まず、上述した非特許文献1に従い、座標軸として、座標原点を画面の中心、垂直方向上向きにx軸の正方向、水平方向右向きにy軸の正方向をとった場合における、画像平行化の動作について説明する。
なお、本実施形態では、既に画面中心が原点である、すなわち、第一画像18及び第二画像20は、座標の原点が、それぞれの画像の中心へ位置しているため、平行移動H0を実施しない。したがって、平行移動H0は恒等変換となる。
ここで、基礎行列Fは、上記の座標軸で表現された基礎行列であるとする。また、第一画像18のエピ極点eは、FFTの最小固有値に対応する単位固有ベクトルである。また、第二画像20のエピ極点e’は、FTFの最小固有値に対応する単位固有ベクトルである。
第一画像18のエピ極点eと第二画像20のエピ極点e’を演算した後、第一画像18のエピ極点e=(e1,e2,e3)Tに対して、以下の式(1)で表される回転H1を実施する(ステップS16参照)。なお、式(1)は、第一画像18のエピ極点をy軸(水平軸)上に移すための射影変換である。
一方、第一画像18のエピ極点eと同様、第二画像20のエピ極点e’=(e1’,e2’,e3’)Tに対して、以下の式(2)で表される回転H1’を実施する(ステップS16参照)。なお、式(2)は、第二画像20のエピ極点をy軸(水平軸)上に移すための射影変換である。
一方、第一画像18と同様、第二画像20に対して、以下の式(4)で表される第一の射影変換H2’を実施する(ステップS18参照)。なお、式(4)は、第二画像20のエピ極点をy軸上の無限遠点に移すための射影変換である。
第一の射影変換H2,H2’を実施すると、以下の式(5)で表されるように、第一画像18のエピ極点e及び第二画像20のエピ極点e’の第3成分が0になり、第一画像18のエピ極点e及び第二画像20のエピ極点e’が無限遠点に写像される。なお、式(5)は、第一画像18及び第二画像20の無限遠点に移動した後のエピ極点の座標である。
まず、第二射影変換演算手段16に対し、基礎行列F、平行移動H0、回転H1,H1’、第一の射影変換H2,H2’を入力する(ステップS30参照)。
次に、第二射影変換演算手段16に対し、未確定のパラメータa,b,cを含む、第二の射影変換行列H3を入力する(ステップS32参照)。なお、第二の射影変換行列H3の形は、式(6)の通りである。
第二射影変換演算手段16に対し、第二の射影変換行列H3を入力した後、以下の式(7)で表される変換を施した第二次基礎行列F’を計算する(ステップS34参照)。なお、式(7)は、第一画像18及び第二画像20のエピ極点をy軸上に移動し、さらにy軸上の無限遠点に移動した後の画像に対応する基礎行列である。
第二の射影変換H3を決定した後、第一画像18に合成射影変換H2H1を実施するとともに、第二画像20に合成射影変換H3H2’H1’を実施することによって、平行化を完了する(ステップS22参照)。
なお、式(6)で表される第二の射影変換H3は、第一画像18に対して実施することも可能であり、この場合は、上記の式(12)が、以下の式(14)に変わる。なお、式(14)は、第一画像18にエピポーラ線の高さを揃えるための射影変換をさらに施したときの基礎行列とその成分表示である。
この場合、具体的には、ステップS22と異なり、第一画像18に合成射影変換H3H2H1を実施し、第二画像20に合成射影変換H2’H1’を実施することによって、平行化を完了する。
ところで、上述した、座標軸として、座標原点を画面の中心、垂直方向上向きにx軸の正方向、水平方向右向きにy軸の正方向をとった場合では、座標軸のとり方が、実際の二次元グラフィックス処理でよく用いられる座標軸の取り方とは異なっている。このため、実用上では使いづらい。
画像平行化の動作を開始すると、三次元画像生成手段6に対し、ステレオ画像対となる第一画像18及び第二画像20と、第一画像18と第二画像20との関係を表す基礎行列Fを入力する(ステップS10参照)。
ここで、基礎行列Fは、上記の座標軸で表現された基礎行列であるとする。また、第一画像18のエピ極点eは、FFTの最小固有値に対応する単位固有ベクトルである。また、第二画像20のエピ極点e’は、FTFの最小固有値に対応する単位固有ベクトルである。
まず、第一画像18及び第二画像20の幅をwとし、第一画像18及び第二画像20の高さをhとする。そして、第一画像18のエピ極点eに対して、第一画像18の原点を、それぞれの画像の中心(w/2,h/2)に移動するための平行移動H0を実施する。この変換は、以下の式(16)で表される。なお、式(16)は、第一画像18の原点を、第一画像18の中心に移動するための平行移動である。
同様に、第二画像20の原点を移動したエピ極点H0e’=(e1’,e2’,e3’)Tに対して、以下の式(19)で表される回転H1’を実施する(ステップS16参照)。なお、式(19)は、第二画像20の原点を移動したエピ極点H0e’をx軸(水平軸)上に移すための回転である。
一方、第一画像18と同様、第二画像20に対して、以下の式(21)で表される第一の射影変換H2’を実施する(ステップS18参照)。なお、式(21)は、第二画像20の原点を移動したエピ極点H0e’を、x軸上の無限遠点に移すための射影変換である。
第一の射影変換H2,H2’を実施すると、以下の式(22)で表されるように、第一画像18の原点を移動したエピ極点H0e及び第二画像20の原点を移動したエピ極点H0e’の第3成分が0になる。これにより、第一画像18の原点を移動したエピ極点H0e及び第二画像20の原点を移動したエピ極点H0e’が無限遠点に写像される。なお、式(22)は、第一画像18及び第二画像20の無限遠点に移動した後のエピ極点の座標である。
まず、第二射影変換演算手段16に対し、基礎行列F、平行移動H0、回転H1,H1’、第一の射影変換H2,H2’を入力する(ステップS30参照)。
次に、第二射影変換演算手段16に対し、未確定のパラメータa,b,cを含む、第二の射影変換行列H3を入力する(ステップS32参照)。なお、第二の射影変換行列H3の形は、式(23)の通りである。
第二射影変換演算手段16に対し、第二の射影変換行列H3を入力した後、以下の式(24)で表される変換を施した第二次基礎行列F’を計算する(ステップS34参照)。なお、式(24)は、第一画像18及び第二画像20のエピ極点をx軸上に移動し、さらにx軸上の無限遠点に移動した後の画像に対応する基礎行列である。
第二の射影変換H3を決定した後、第一画像18に合成射影変換H0 -1H2H1H0を実施するとともに、第二画像20に合成射影変換H0 -1H3H2’H1’H0を実施することによって、平行化を完了する(ステップS22参照)。
なお、式(28)で表される第二の射影変換H3は、第一画像18に対して実施することも可能であり、この場合は、上記の式(29)が、以下の式(31)に変わる。なお、式(31)は、第一画像18にエピポーラ線の高さを揃えるための射影変換をさらに施したときの基礎行列とその成分表示である。
この場合、具体的には、ステップS22と異なり、第一画像18に合成射影変換H0 -1H3H2H1H0を実施し、第二画像20に合成射影変換H0 -1H2’H1’H0を実施することによって、平行化を完了する。
なお、上述したように、本実施形態のステレオ画像処理装置1の動作で実施するステレオ画像処理方法は、第二射影変換演算ステップにおいて、第一画像または第二画像に対し、予め演算した基礎行列と、回転演算ステップで演算した回転と、第一射影変換演算ステップで演算した第一の射影変換に基づいて、エピポーラ線の高さが第一画像と第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する方法である。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態のステレオ画像処理装置1では、第二射影変換演算手段が、第一画像または第二画像に対し、エピポーラ線の高さが第一画像と第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する。この演算は、予め演算した基礎行列と、回転演算手段が演算した回転と、第一射影変換演算手段が演算した第一の射影変換に基づいて行う。
このため、第二の射影変換を、誤差を含まない座標を用いて演算することが可能となり、この演算した第二の射影変換を、第一画像または第二画像に対して行うことにより、厳密な仮想平行等位を実現することが可能となる。
その結果、最も三次元構造を復元しやすいカメラ配置である仮想的な平行等位を、厳密に実現することが可能となるため、二つのカメラで撮影したステレオ画像対から、撮影した撮影対象の三次元構造を、精度良く復元することが可能となる。
このため、第二の射影変換を、対応が既知である特徴点と比較して誤差の少ない座標を用いて演算することが可能となり、この演算した第二の射影変換を、第一画像または第二画像に対して行うことにより、厳密な仮想平行等位を実現することが可能となる。
その結果、最も三次元構造を復元しやすいカメラ配置である仮想的な平行等位を、厳密に実現することが可能となるため、二つのカメラで撮影したステレオ画像対から、撮影した撮影対象の三次元構造を、精度良く復元することが可能となる。
その結果、最も三次元構造を復元しやすいカメラ配置である仮想的な平行等位を、厳密に実現することが可能となるため、二つのカメラで撮影したステレオ画像対から、撮影した撮影対象の三次元構造を、精度良く復元することが可能となる。
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態のステレオ画像処理装置1では、第二射影変換演算手段16による第二の射影変換H3の演算を、撮影対象Pに対して、所望の第一画像18及び第二画像20を撮影可能な位置に、最初に第一カメラ2及び第二カメラ4を配置した状態で行ったが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、第二射影変換演算手段16による第二の射影変換H3の演算を、最初に第一カメラ2及び第二カメラ4を配置した状態から、経時的な変化等により、撮影対象Pに対する第一カメラ2及び第二カメラ4の位置が変化して、所望の第一画像18及び第二画像20が撮影不可能となった場合に行ってもよい。この場合、撮影対象Pに対する第一カメラ2及び第二カメラ4の位置を、所望の第一画像18及び第二画像20を撮影可能な位置に修正した状態で行う。これは、例えば、三次元画像生成手段6に対し、データの書き換えのみで行ってもよい。
また、第二射影変換演算手段16による第二の射影変換H3の演算は、例えば、一週間毎等、所定の間隔毎に行ってもよい。
この場合、従来では、野外の観測位置に移動した人間が肉眼で行っていた、距離の長短を確認する必要がある観測を、厳密な仮想平行等位を実現可能なステレオ画像処理装置1を用いて行うことが可能となる。
なお、これらの応用例(1)及び(2)は、ステレオ画像処理方法及びステレオ画像処理プログラムに関しても、同様である。
2 第一カメラ
4 第二カメラ
6 三次元画像生成手段
8 三次元画像後処理手段
10 エピ極点演算手段
12 回転演算手段
14 第一射影変換演算手段
16 第二射影変換演算手段
18 第一画像
20 第二画像
P 撮影対象
H0 平行移動
H1,H1’ 回転
H2,H2’ 第一の射影変換
H3 第二の射影変換
Claims (3)
- 撮影対象の第一画像を撮影する第一カメラと、前記第一画像と異なる方向から前記撮影対象の第二画像を撮影する第二カメラと、前記第一画像及び前記第二画像からなるステレオ画像対に基づいて前記撮影対象の三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、を備えるステレオ画像処理装置であって、
前記三次元画像生成手段は、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算手段と、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算手段と、
前記第一画像または前記第二画像に対して、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算手段と、を備え、
第二射影変換演算手段は、予め演算した基礎行列、前記回転演算手段が演算した回転及び前記第一射影変換演算手段が演算した第一の射影変換に基づいて、前記第二の射影変換を演算することを特徴とするステレオ画像処理装置。 - 撮影対象を撮影した第一画像と前記第一画像と異なる方向から前記撮影対象を撮影した第二画像からなるステレオ画像対に基づいて、前記撮影対象の三次元画像を生成するステレオ画像処理方法であって、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算ステップと、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算ステップと、
前記第一画像または前記第二画像に対し、予め演算した基礎行列、前記回転演算ステップで演算した回転及び前記第一射影変換演算ステップで演算した第一の射影変換に基づいて、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算ステップと、を備えることを特徴とするステレオ画像処理方法。 - 撮影対象を撮影した第一画像と前記第一画像と異なる方向から前記撮影対象を撮影した第二画像からなるステレオ画像対に基づいて、前記撮影対象の三次元画像を生成するステレオ画像処理プログラムであって、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、それぞれのエピ極点が、それぞれの画像の中心を通るとともにそれぞれの画像の横軸と平行なそれぞれの水平軸上に配置されるように、それぞれの画像の中心を軸とした回転を演算する回転演算ステップと、
前記第一画像及び前記第二画像に対して、前記回転により移動した前記それぞれのエピ極点が前記それぞれの画像の中心を通り、且つ前記それぞれの水平軸と平行な直線上の無限遠点に写像されるような第一の射影変換を演算する第一射影変換演算ステップと、
前記第一画像または前記第二画像に対し、予め演算した基礎行列、前記回転演算ステップで演算した回転及び前記第一射影変換演算ステップで演算した第一の射影変換に基づいて、エピポーラ線の高さが前記第一画像と前記第二画像で揃うような第二の射影変換を演算する第二射影変換演算ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするステレオ画像処理プログラム。
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