JP4773904B2 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents
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Description
このようなガスタービンプラントにおいては、燃料が燃焼される際、燃焼器内に燃焼振動を発生することがある。ガスタービンプラントが安定して運転されるためには、燃焼器の燃焼振動を効果的に抑制することが望まれる。
このような音響ライナ(ハウジング)の損傷は、燃焼振動の低減機能を損なうだけでなく、燃焼筒内に供給される燃焼空気量にも影響を及ぼすことになるため、ガスタービン燃焼器にとって好ましいことではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、音響ライナ内に大きな圧力変動が発生しても損傷することのないガスタービン燃焼器を提供することにある。
本発明に係るガスタービン燃焼器は、内部に燃焼領域を形成する燃焼筒が、外周面に取り付けたハウジングにより形成された周方向の燃焼振動抑制用の共鳴空間を備えているガスタービン燃焼器において、前記共鳴空間の内部に、内壁面との摩擦により減衰を付与する摩擦接触部を備えた減衰手段を配設したことを特徴とするものである。
なお、この場合の板ばねは、共鳴空間を形成する内壁面に溶接等で固定してもよいし、あるいは、固定しないで弾性等により保持されるようにしてもよい。
この場合の板ばねは、周方向を複数に分割する位置をずらして重ねてもよい。
なお、この場合のベースは、共鳴空間を形成する内壁面に溶接等で固定してもよいし、あるいは、固定しないで弾性等により保持されるようにしてもよい。
図2を参照すると、ガスタービン燃焼器(以下、「燃焼器」と呼ぶ)1の構成が示されている。燃焼器1は、燃焼筒2を備えている。燃焼筒2は、内部に燃焼領域9を形成し、外部に冷却空気領域7と接する筒状をなしている。燃焼筒2の上流側には、予混合ノズル4と、パイロットノズル6とが設けられている。燃焼筒2には、空気を導入するためのバイパス流路8が設けられている。燃焼筒2には、図示しない圧縮機から吐出される圧縮空気の一部を導入するための空気取入れ口13が設けられている。
以下、多数の孔14とハウジング10a,10bで構成される燃焼振動抑制用の共鳴空間を音響ライナ30と称する。
燃焼領域9には、他よりも高温となる高温領域17がある。高温領域17は、概ね予混合ノズル4の下流に位置している。高温領域17に近い場所における燃焼筒2の壁面には、孔14が多く設けられている。高温領域17からより遠い場所における燃焼筒2の壁面には、孔14がより少なく設けられているか、または孔14が設けられていない。
このように、内部に燃焼領域9を形成する燃焼筒2が、外周面に取り付けたハウジング10a,10bにより形成された周方向の燃焼振動抑制用の共鳴空間となる音響ライナ30を備えている燃焼器1に対し、たとえば図1に示す実施形態のように、音響ライナ30の共鳴空間内部に、内壁面との摩擦により減衰を付与する減衰手段として、板ばね40を配設している。この板ばね40は、後述する音響特性維持処理を施すとともに、波形に成形されている。
また、減衰手段については、板ばね40に限定されることはなく、たとえば端部にあて板を設けたコイルバネのように、音響特性維持処理を施した波形の板ばね40と同様に、内壁面との間に生じる摩擦により減衰を付与できるものであればよい。
また、板ばね40の素材には、音響ライナ30の共鳴空間を形成する素材、すなわち、燃焼筒2及びハウジング10aより耐摩耗性の低いものを採用することが好ましい。
また、上述した音響特性維持処理としては、たとえば図10に示すような変形例も可能である。この変形例では、多数の孔42に代えて、摩擦接触部である頂部41を除いた位置に略矩形形状とした矩形孔43を設けた板ばね40′が示されている。なお、図示の例では、隣接する波形の頂部41間に1つの矩形孔43を穿設してあるが、開口率が概ね20%以上確保されていれば、複数に分割した矩形孔や他形状の孔としてもよい。
また、板ばね40の耐摩耗性が音響ライナ30の共鳴空間を形成する素材より低く設定されているので、燃焼器1の運転により生じる摩減は板ばね40側に生じることとなる。このため、運転による消耗・交換部品は、燃焼器本体側の部材をそのままにして板ばね40を交換すればよく、従って、メンテナンス等による部品交換が容易になる。
また、たとえば図5に示すように、周方向が複数に分割された音響ライナ30Bについても、減衰手段として同様の板ばね40を採用することができる。なお、この場合、各音響ライナ30Bの共鳴空間内には、連続する1本の板ばね40が各々配設されている。
次に、本発明の第2の実施形態を図6に示して説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、音響ライナ30の共鳴空間内に配設される板ばね40Aが、周方向へ複数に分割されている。図示の例では、周方向を90度ピッチに4分割した板ばね40Aを組み合わせることにより、音響ライナ30内の全周にわたって配設された板ばねが形成されている。この場合の板ばね40Aは、上述した板ばね40と同様に、音響ライナ30の内壁面に対し溶接等で要所を適宜固定してもよいし、あるいは、固定しないで弾性等により摩擦接触した状態に保持されるようにしてもよい。
なお、板ばね40Aの音響特性維持処理については、孔41や矩形孔43等から適宜選択すればよい。
なお、このような分割構造の板ばね40Aは、その分割数を適宜変更可能であり、さらに、図4及び図5に示した音響ライナ30A,30Bへの適用も可能である。
次に、本発明の第3の実施形態を図7に示して説明する。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、音響ライナ30の共鳴空間内に配設される板ばね40Bが、板厚方向に複数枚の板ばねを重ねた構成とされる。この場合の板ばね40Bは、素材やばね定数等が同様のものを複数枚重ねてもよいし、あるいは、素材やばね定数等が異なるものを複数枚重ねてもよい。図示の例では、全周にわたって連続する外周板ばね40aと内周板ばね40bとを、互いの相対移動を可能に重ね合わせた板ばね40Bが採用されている。また、板ばね40Bは、上述した板ばね40と同様に、音響ライナ30の内壁面に対し溶接等で要所を適宜固定してもよいし、あるいは、固定しないで弾性等により摩擦接触した状態に保持されるようにしてもよい。
なお、板ばね40Bの音響特性維持処理については、孔41や矩形孔43等から適宜選択すればよい。
なお、このような重ね合わせた構造の板ばね40Bは、図4及び図5に示した音響ライナ30A,30Bへの適用も可能である。
このように、周方向の分割と板厚方向の重ね合わせとを組み合わせた板ばねは、組立性や保守性の向上に加えて、内外の板ばね間に発生する摺動の摩擦力により、減衰付与を増すことができる。また、周方向の分割間の隙間に対するばねのずれを低減することができ、板ばね40が孔14を塞ぐ可能性を低減できる。
なお、このような分割構造においても、その分割数は適宜変更可能であり、さらに、図4及び図5に示した音響ライナ30A,30Bへの適用も可能である。
最後に、本発明の第4の実施形態を図9に示して説明する。なお、上述した各実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、音響ライナ30の共鳴空間内に配設する板ばね40が、ベース部材50を介して設置されている。このベース部材50は、板ばね40の少なくとも一面と接するように、すなわち、板ばね40と燃焼筒2の外周面との間、板ばね40とハウジング10aの内周面との間、あるいは、板ばね40と燃焼筒2の外周面との間及び板ばね40とハウジング10aの内周面との間の両方に設置されるものである。
減衰付与部52は、板ばね40の頂部41が摺動する平板状の部分であり、多数の孔51が穿設されたことにより、大きな開口率(概ね20%以上)が確保されている。孔51は、燃焼筒2の内部と音響ライナ30の共鳴空間との間を連通状態とする孔14がベース部材により塞がれて音響ライナ30の機能が損なわれないようにしたものである。
このように構成されたベース部材50の素材は、板ばね40と同様に、共鳴空間を形成する部材より耐摩耗性の低いものが好ましい。ベース部材50は、内壁面に対して要所を溶接等により固定されてもよいし、あるいは、単に接触するだけで固定しなくてもよい。また、ベース部材50と板ばね40との間も、固定または非固定のいずれでもよい。
また、燃焼筒2とベース部材50との接触面積が両端の細い接触面部53のみと小さくなるので、燃焼筒2に多数穿設された孔14が塞がれる可能性を低減できる。すなわち、板ばね40の頂部41が燃焼筒2の外周面を摺動して孔14を塞ぐ面積と比較して、接触面部53が孔14を塞ぐ面積を小さくできる可能性が増大する。
また、ベース部材50は、燃焼筒2及びハウジング10aより耐摩耗性の低い素材を使用することにより、燃焼器1の運転により生じる摩減はベース部材50側となるので、運転による消耗・交換部品は、板ばね40及びベース部材50となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 燃焼筒
10a ハウジング
14 孔
30,30A,30B 音響ライナ(燃焼振動抑制用の共鳴空間)
40,40′,40A,40B,40C 板ばね(減衰手段)
41 頂部
42,51 孔(音響特性維持処理)
43 矩形孔
50 ベース部材
52 減衰付与部
53 接触面部
54 脚部
55 スリット
Claims (9)
- 内部に燃焼領域を形成する燃焼筒が、外周面に取り付けたハウジングにより形成された周方向の燃焼振動抑制用の共鳴空間を備えているガスタービン燃焼器において、
前記共鳴空間の内部に、内壁面との摩擦により減衰を付与する摩擦接触部を備えた減衰手段を配設したことを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 前記減衰手段が、音響特性維持処理を施すとともに波形に成形された板ばねであることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
- 前記板ばねが複数に分割されていることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン燃焼器。
- 前記板ばねが板厚方向に複数枚重ねられていることを特徴とする請求項2または3に記載のガスタービン燃焼器。
- 前記板ばねが周方向を複数に分割する位置をずらして重ねられていることを特徴とする請求項4に記載のガスタービン燃焼器。
- 前記板ばねの少なくとも一面と接するように設置したベース部材を備え、該ベース部材が、音響特性維持処理を施すとともに前記内壁面から離間した位置で前記板ばねと接する幅方向中央の減衰付与部と、幅方向両端に設けられて前記内壁面に接する接触面部と、前記減衰付与部と前記接触面部との間を連結する脚部とを備えていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のガスタービン燃焼器。
- 前記接触面部及び前記脚部に周方向へ所定のピッチで設けられたスリットを備えていることを特徴とする請求項6に記載のガスタービン燃焼器。
- 前記板ばね及び前記ベース部材は、前記共鳴空間を形成する素材より耐摩耗性が低く設定されていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載のガスタービン燃焼器。
- 前記音響特性維持処理が摩擦接触部を除いた位置に穿設された孔であることを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載のガスタービン燃焼器。
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