JP4772393B2 - 船舶用内部仕切り - Google Patents

Description

本発明は、船舶の居住区域および業務区域のための構造重量非支持の内部仕切りに関し、特に、１９７４年に採択された海上人命安全国際条約、いわゆるＳＯＬＡＳ条約の第ＩＩ−２章およびその後の改正の定義による、いわゆる型式「Ａ」の船舶用内部仕切りに関する。このような内部仕切りは、剛性、防火性、および火炎と煙の遮断性条件を遵守しなければならない。

火災に対する分離手段の保全性は、火災の最中に分離機能を果たすことにより、隣接エリアで生じた火災の影響から一定のエリアを隔離および保護すべき構造体の性能である。ＳＯＬＡＳ条約の第ＩＩ−２章は、こうした規定を取り入れて、型式Ａの内部仕切りを定義している。

国際海事機関（ＩＭＯ）により１９９３年１１月４日に採択された決議Ａ．７５４（１８）は、型式「Ａ」、「Ｂ」、「Ｆ」内部仕切りに対する耐火試験についての勧告を表明している。この勧告によれば、鋼板から製造された型式Ａ内部仕切りは、厚さ４．５±０．５ｍｍである。

２００１年６月８日付のＩＭＯの通達１００５は、特に規則３．３．１（鋼または同等物）と規則３．３．２（剛性）とに関して、鋼または同等物からなるいわゆる軽量内部仕切り（ハニカムタイプなど）の使用を許可し、ＳＯＬＡＳ条約の第ＩＩ−２章の一律な解釈をもたらしている。

しかしながら、今日、このタイプの内部仕切りは、依然として厚さ４ｍｍの大型鋼板から製造されており、補剛材を一定の間隔で配置することにより、規則３．３．１と規則３．３．２とに対応し、内部仕切りの厚さと均質一様性とによって、該規則が課す条件での耐火性能（炎および煙の遮断）を可能にしている。だが、このように構成された内部仕切りは、金属構造体の重量を重くし、その寸法と重量とのために船舶に様々な組立条件を課す。実際、これらの内部仕切りは、事前組立段階から配置され、すなわち、船舶の構造体を構成して構造荷重を支持する内部仕切りと同時に組み立てられる。他方で、それらの使用により発生するコストは、使用材料の量を考慮すると高価である。

プレハブ船室の建築用に使用されるとともに、一面をわずかに引っ込めて、そこにガラスウールまたはロックウールタイプのミネラルウールを詰める薄型金属板の嵌め込みパネルから構成される軽量内部仕切りが存在する。このミネラルウールは、壁を断熱し、防音する役割を果たす。しかし、これらの内部仕切りは、ＳＯＬＡＳ防火規則の規格によれば型式Ｂである。型式Ａ内部仕切りは火炎と煙とに６０分間耐えなければならないが、型式Ｂ内部仕切りは３０分間しか火炎に耐えず、型式Ａ内部仕切りのように必ず煙を遮断するとは限らない。
この分野における先行技術文献には、例えば以下のものがある。
特開平０７−２３８６００号公報には、耐火用板状材が開示されている。この発明は、相対向して配置された不燃性又は難燃性の２枚の板状材の間にハニカム構造の芯材を挟持した構成である。
特開平１０−２３１５６７号公報には、船舶の防火パネル及びこの防火パネルを用いた防火構造が開示されている。この発明は、断熱材の表面側を平板状の薄板鋼板で覆った船舶の防火パネルであり、隣り合う防火パネル同士は、それぞれ段差状又は鉤状の部分により互いに係合する。
特開平１１−０２２０５８号公報には、外壁パネルの繋ぎ合わせ構造が開示されている。この発明は、二つの外壁パネルの側方間に難燃性目地材を介在させ、また、二つの外壁パネルの裏面方向に発泡難燃材シートを介在させて繋ぎ合わせる。
特開平０７−２３８６００号公報 特開平１０−２３１５６７号公報 特開平１１−０２２０５８号公報

本発明の目的は、ＳＯＬＡＳ防火条約に対応する軽量で組み立てやすい低コストの内部仕切りの解決方法を提案することにある。

本発明による内部仕切りは、耐火性のための国際規制の条項を満たす船舶用の構造重量非支持の型式「Ａ」内部仕切りであり、この内部仕切り（１）は、互いに嵌め込み可能な厚さ１５／１０ｍｍ以下の複数の金属板パネル（２）からなることを特徴とする（第１の手段）。金属板パネルの構造が嵌め込み可能であることにより、嵌め込み線が補剛材の役割を果たすので、全体の剛性を確保できる。厚さ１５／１０ｍｍ以下の金属板と嵌め込み線とを組み合わせると、当業者の予想に反して、耐火性が十分に長く発揮され、上記規格に対応する。実際、金属板パネルが火のために変形し、その厚さが、通常使用されているものよりも薄くなると、嵌め込み部が、達した温度に必要な剛性を確保し、それによって、火炎および煙を遮断し続けることができる。さらに、各種の金属板パネルを基にした構成により、事前組立段階ではなく直接船舶に搭載可能になる。また、組立の制約が低減されることから、船舶の組立と儀装とをいっそう連携させることができる。

本発明の特定の構成によれば、金属板パネル（２）が、側方折曲の雄型部（２０）と雌型部（２１）との組み合わせにより互いに嵌め込まれる（第２の手段）。金属板パネルは、リベット締め、溶接、へき開、かしめ、ねじ止め、または他の公知の手段により互いに機械的に結合される。雄型部・雌型部の嵌め込みにより剛性を最大化することができる。一方、雄型部・雌型部の形状は、パッキンを必要とせずに金属板パネル間に煙が通らないようにするのに特に良好に適合している。

本発明のある特徴によれば、金属板パネル（２）の金属板は、厚さ約７／１０ｍｍの鋼板である（第３の手段）。この厚さは、船舶で通常使用される、ＳＯＬＡＳ規制の型式Ａの分類ではなく型式Ｂの分類に入る金属板パネルの標準的な厚さ（ミネラルウールを備えない）に相当する。

本発明のある構成によれば、金属板パネル（２）と船舶の構造壁（３、５ａ、５ｂ）とが、該構造壁（３、５ａ、５ｂ）に固定されるＬ字の形材（４）によって接合がなされる（第４の手段）。内部仕切りは、公知の一定の方法で機械的に形材に固定される。当該構造壁は、構造荷重を支持する仕切りであってもよく、あるいは上甲板または下甲板の金属板であってもよい。

本発明のある構成によれば、金属板パネル（２）と船舶の構造壁（３、５ａ、５ｂ）とが、該構造壁（３、５ａ、５ｂ）に固定されるＵ字の形材（６）によって接合がなされる（第５の手段）。Ｕ字の形材は、内部仕切りの縁をＵ字の形材に差し込むことで構造壁に内部仕切りを固定するのに用いられ、内部仕切りの縁は、公知の仕方で機械的に一様にＵ字の形材に固定される。

本発明の特定の特徴によれば、形材（４、６）は、不燃性のジョイント（４１）により構造壁（３、５ａ、５ｂ）に結合される（第７の手段）。不燃性のジョイントにより結合が実施されるのは、耐火性にするとともに煙を遮断するためである。

本発明のある特定の特徴によれば、形材（４、６）は、膨張性のジョイント（４１）により構造壁（３、５ａ、５ｂ）に結合される（第６の手段）。熱によりジョイントが膨張することで、火炎と煙とを遮断するようになっている。

本発明の特定の特徴によれば、形材（４、６）は、船舶の構造壁（３、５ａ、５ｂ）に溶接される（第８の手段）。形材は、構造壁、すなわち構造荷重を支持する仕切りもしくは上甲板または下甲板の金属板に、複数の箇所で一様に溶接される。

本発明の有利な構成によれば、内部仕切り（１）は、金属板パネル（２）から製造される区域の天井を形成する（第９の手段）。実際、嵌め込みによって天井が自己支持形となり、側方の非支持の内部仕切りと、天井をなす内部仕切りとの接合が、Ｕ字の形材の外側の翼片を介して行われる。すなわち、内部仕切りの上縁がＵ字形に差し込まれ、Ｕ字形の外側翼片が、天井をなす内部仕切りの縁に公知の方法で機械的に固定されて全体の剛性を補強する。非支持の内部仕切りと天井をなす内部仕切りとの接合も、Ｌ字の形材を介して同様に実行できるものである。

金属板パネル（２）の構造が嵌め込み可能であることにより、嵌め込み線が補剛材の役割を果たすので、全体の剛性を確保できる。厚さ１５／１０ｍｍ以下の金属板と嵌め込み線とを組み合わせると、当業者の予想に反して、耐火性が十分に長く発揮され、安全規格に対応する。金属板パネル（２）は、側方折曲の雄型部（２０）と雌型部（２１）との組み合わせにより互いに嵌め込まれ、この嵌め込みにより剛性をより大きくすることができるともに、雄型部と雌型部の形状は、パッキンを必要とせずに金属板パネル間に煙が通らないように作用する。
したがって、ＳＯＬＡＳ防火条約に対応する軽量で組み立てやすい低コストの内部仕切りの解決方法を得ることができる。

本発明は、添付図面に関して例としてのみ挙げられた以下の説明を読めば、いっそう理解されるものである。
図１は、本発明に係る隔壁の上方からの断面を示し、図２は、図１のII−IIで切断した側方からの下甲板に接した断面を示し、図３は、図１のIII−IIIで切断した側方からの上下両甲板に接した断面を示し、図４は、本発明に係る金属板パネルの様々なタイプを示し、図５は、使用する様々なタイプの形材を示す。

図１に示した本発明による内部仕切り１は、結合用の雄型部２０・雌型部型２１により互いに嵌め込まれる複数の金属板製の（または金属板そのもの）金属板パネル２から構成される。各金属板パネル２は、側縁の雄型部２０と雌型部型２１とを有する。雄型部２０の側縁は、金属板パネル２の第一の直角の引っ込み部２００と、第一の引っ込み部２００に対して直角な第二の引っ込み部２０１とからなる。雌型部２１は、金属板パネル２の表面の第一の直角の引っ込み部２１０と、次いで、雄型部２０の第二の引っ込み部２０１と協働する札入れ形の折曲部２１１とからなる。

図１から分かるように、金属板パネル２は、Ｌ字の形材４により船舶の壁体３に固定され、Ｌ字の形材４は、リベット、溶接点、ねじ等の公知の機械的な固定手段４０により金属板パネル２に固定される。ジョイント４１は、Ｌ字の形材４と壁体３との間に配置される。図１から分かるように、壁体３に固定された金属板パネル２は特定の形状をしており、実際には、雄型部２０または雌型部２１が金属板パネル２からはみ出す部材をもたないように、形状をわずかに適合させて、壁体３と引っ込み部２００または２１０とを接触させ、それによって全体がいっそう良好に固定されるようにしている。

内部仕切り１は、偏平な金属板パネル２と同じ構造で、所望の角度に折り曲げられたエルボパネル２２と様々な角度をなす。図示されていない変形実施形態によれば、Ｌ字の形材４等によっても同様に様々な角度をなすことができる。

図２は、船舶の下甲板５ａの金属板の上に配置された内部仕切り１のＩＩ−ＩＩ線に沿った垂直断面図であり、この内部仕切りは、下甲板５ａと上甲板５ｂとの間の高さよりも低い高さの箱形の区域を形成している。金属板パネル２は、図１について説明したのと同じ仕方で嵌め込まれる。天井は、Ｕ字の形材７により、外側に向かうＵ字の翼片７０を折り曲げることにより固定される。形材７は、次のように配置される。すなわち、壁をなす金属板パネル２にＵ字の形材７を差し込み、固定手段７１により公知の方法で機械的に固定してから、雄型部２０１をＵ字の翼片７０に固定するか、あるいは翼片７０を雌型部２１１でスライドさせて、公知の方法で全体を固定する。

図３では、内部仕切り１が、下甲板５ａと上甲板５ｂとの間に配置され、内部仕切り１の下部が、Ｕ字の形材６により下甲板５ａをなす金属板に固定される。形材６は、点溶接、貼り合わせ、または他の公知の手段により下甲板５ａをなす金属板に機械的に固定される。その後、たとえばねじ止めにより形材６に金属板パネル２を固定する。内部仕切り１の金属板パネル２の上部は、図１に対して先に説明したように、上甲板５ｂの金属板に固定される。

図４は、各種の金属板パネル２を示している。

図４ａは、外側に向いた雄型部２０と、同様の雌型部２１とを有する標準の金属板パネル２である。

図４ｂは、図４ａの標準の金属板パネル２から派生した標準外の金属板パネル２であり、金属板パネル２に平行な雄側部２０１は変更されておらず、雌側部２１１が、金属板パネル２の縁からはみ出さないようにカットされている。

図４ｃは、図４ａの標準の金属板パネル２から派生した標準外の金属板パネル２であり、雄型部２０が内側に向いている。

図４ｄは、図４ａの標準の金属板パネル２から派生した標準外の金属板パネル２であり、金属板パネルが所望の角度に折り曲げられたものである。

図５は、使用可能な各種形材、すなわちＬ字の形材（図５ａ）またはＵ字の形材（図５ｃ）、あるいは、天井の金属板パネル２に固定するための側方の翼片を備えたＵ字の形材（図５ｂ）を示している。

本発明に係る船舶用内部仕切りの上方からの断面図 図１のII−IIで切断した側方からの断面図 図１のIII−IIIで切断した側方からの断面図 本発明に係る金属板パネルの様々なタイプの図 使用する様々なタイプの形材の図

符号の説明

１ 船舶用内部仕切り
２ 金属板パネル
３ 壁体
４ Ｌ字の形材
５ａ 下甲板
５ｂ 上甲板
６ Ｕ字の形材
７ Ｕ字の形材
２０ 雄型部
２１ 雌型部
２２ エルボパネル
４０ 固定手段
４１ ジョイント
７０ Ｕ字の翼片
７１ 固定手段

Claims (9)

1. 構造壁を少なくとも一枚有するとともに、火炎と煙とに６０分間耐え、煙の遮断性のある構造重量非支持の内部仕切りを少なくとも一枚備える船舶であって、
   該内部仕切りが、厚さ１５／１０ｍｍ以下の複数の金属板パネルからなり、
   該金属板パネルが、該金属板パネルの一方の側縁に対して直角な第一の引っ込み部と該第一の引っ込み部の側縁に対して直角な第二の引っ込み部の側縁片とからなる雄型部と、該金属板パネルの他方の側縁に対して直角な第一の引っ込み部と該第一の引っ込み部の側縁に対して直角な折り返し部を有する折曲部とからなる雌型部とを有し、該雄型部と隣接の金属板パネルの雌型部とが互いに嵌め込まれるように形成されており、
   前記複数の金属板パネルが、機械的に互いに結合され、
   該結合された複数の金属板パネルが、前記構造壁に固定されるＬ字又はＵ字の形材およびジョイントによって前記構造壁に接合されてなる
   ことを特徴とする、船舶。
   
   
2. 前記金属板パネルが、厚さ７／１０ｍｍの鋼板であることを特徴とする、請求項１に記載の船舶。
3. 前記ジョイントが、膨張性又は不燃性であることを特徴とする、請求項１又は請求項２に記載の船舶。
4. 前記構造壁が、構造荷重を有する仕切りであるか、上甲板または下甲板の金属板であることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の船舶。
5. 前記構造重量非支持の内部仕切りが、金属板パネルから製造される区域の天井を形成することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載の船舶。
6. 前記構造重量非支持の内部仕切りが、金属板パネルから製造される区域の垂直壁を形成することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載の船舶。
   
   
7. 構造壁を少なくとも一枚有するとともに、火炎と煙とに６０分間耐え、煙の遮断性のある構造重量非支持の船舶用内部仕切りの組立方法であって、
   ａ）厚さ１５／１０ｍｍ以下の複数の金属板パネルを組立てることであって、
   該複数の金属板パネルが、該金属板パネルの一方の側縁に対して直角な第一の引っ込み部と該第一の引っ込み部の側縁に対して直角な第二の引っ込み部の側縁片とからなる雄型部と、該金属板パネルの他方の側縁に形成された直角な第一の引っ込み部と該第一の引っ込み部の側縁に対して直角な折り返し部を有する折曲部とからなる雌型部とを有し、該雌型部が隣接の金属板パネルの該雄型部と協働して、該雄型部と雌型部とが互いに嵌め込まれるように組立てること、
   ｂ）前記複数の金属板パネルを、リベット締め、溶接、又は、へき開により機械的に互いに結合すること、
   ｃ）前記複数の金属板パネルを、Ｌ字又はＵ字の形材によって前記構造壁に固定すること、
   ｄ）該形材と前記構造壁との間にジョイントを設置すること
   からなることを特徴とする、船舶用内部仕切りの組立方法。
   
   
8. 前記金属板パネルが、厚さ７／１０ｍｍの鋼板であることを特徴とする、請求項７に記載の船舶用内部仕切りの組立方法。
9. 前記ジョイントが、膨張性又は不燃性であることを特徴とする、請求項７又は請求項８に記載の船舶用内部仕切りの組立方法。
   

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