JP4770575B2 - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子及びその製造方法に関する。
有機EL素子は、陽極及び陰極と、これらの間に配置された有機層とを備え、陽極からホール(正孔)、陰極から電子をそれぞれ注入し、これらホール及び電子の電荷が有機層で結合すると、有機層の有機分子が励起されて高エネルギー状態となり、有機分子が基底順位に戻るときに放出されるエネルギーを光として取出すという原理に基いて動作がなされている。この際の陽極及び陰極からの電荷の注入効率は、有機EL素子の素子電圧を決める重要な要素であり、電荷の注入効率が低いと印加電圧を高くしなければならないが、電荷の注入効率が高ければ印加電圧を低くすることが可能となる。このような有機EL素子の構造としては、陽極から光を取出すボトムエミッション構造、陰極から光を取出すトップエミッション構造に大別されている。
上記のボトムエミッションの従来構造としては、例えば、透明基板上に透明な陽極を配置し、この陽極上に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなる3層の有機層を配置し、更に、この有機層上に陰極を積層した構造が知られている。上記構造の内、陰極と電子輸送層との界面に要求される性能としては、良好な電子注入性と、発光した光の内、陰極側へ放射される光を効率良く基板側へ反射させる性能を有することが望ましい。
このような性能を満足させるため、例えば、Agを20%含むMg電極を用いる構造や、陰極及び電子輸送層の間に電子注入層として、1nm程度のLiFを推積した後Alを推積した構造(下記特許文献1参照)や、同じく電子注入層としてAlq3を代表とするキレート材料を用いる構造が知られている。
また、下記特許文献2には、陰極と有機層との界面が、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物に部分的に覆われた構造が開示され、有機層上に金属陰極材料とアルカリ金属等の化合物とを同時に蒸着すると、有機層上に島状にアルカリ金属化合物等が形成されることが記載されている。
一方、陰極から光を取出すトップエミッションの従来構造としては、基板上に陽極を配置し、この陽極上に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなる有機層を配置し、更に、有機層上に透明な陰極を積層した構造が知られている。また、上記ボトムエミッション構造と同様に、陰極及び電子輸送層の間に電子注入層が配置された構造が多く採用されている。
上記の透明な陰極としては、In酸化物にSn若しくはZnをドープした酸化物(ITO)が一般的であるが、このような酸化物を有機層上に堆積させた場合、高活性酸素による電子注入層の汚染が避けられず、電子注入性に致命的なダメージを与えてしまうことがあった。また、透明な陰極は、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等により形成されているが、成膜時に発生する高エネルギー粒子による有機層へのダメージが問題となる。
そのため、陰極及び電子注入層の間に、ダメージ緩和のためのバッファ層を介装させる構造が用いられている(下記特許文献3、4参照)。バッファ層としては、不透明な陰極を10nm以下程度にできる限り薄くして光透過性を持たせたものが、一般的に採用されている。
特開2001―85165号公報 特開2000−243567号公報 特開2000−58265号公報 特開2000−68063号公報
上記ボトムエミッション構造のAgを20%含むMg電極や、1nm程度のLiFを推積した後Alを推積した構造、Alq3等のキレート材料を用いる構造は、初期特性としては良好な電子注入性が得られるが、熱放置すると電子注入性が低下することがあった。これは、陰極金属(AlやMg)がキレート材料に吸着し、結果として、キレート材料を分解してしまうためと考えられている。
また、上記特許文献1のAl/LiF構造では、見かけ上、電子輸送層とAl電極との間に、極薄のLiFが存在しているが、実際は、上記特許文献2に開示されたように、有機層にLiFを堆積した時点でLiFが島状に成長し、電子輸送層の表面が露出してしまって、電子輸送層のキレート材料が陰極金属によって汚染される虞れがあった。
更に、Alのキレート材料のπ電子系への吸着ポテンシャルは1.8eV程度と比較的高いので、一旦キレート材料に陰極金属のAlが吸着してしまうと、Alが脱離しにくくなり、上述したものと同様に、その後の熱放置によって、キレート材料の分解が促進されて、電子注入性が低下する。
一方、トップエミッション構造であって、バッファ層を透明電極及び電子注入層の間に介装させた場合には、ダメージ緩和性能を向上させるべくバッファ層の厚みを増すと、光透過性が失われることがあった。すなわち、Al(5nm)/LiF(1nm)の光透過率は40%程度であるが、それ以上厚くしてもダメージ緩和性能を十分に高めることができないにも関わらず、ほとんど陰極から光が出なくなり、電流効率が半分程度に減少してしまっていた。
以上まとめると、ボトムエミッション及びトップエミッションの各構造の問題点としては、いずれも電子注入性が十分でないことであり、更に、トップエミッション構造の場合は、光透過率が不十分となることである。
したがって、本発明の目的は、電子注入性を十分に確保すると共に、光透過率も維持可能な有機EL素子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の有機EL素子は、基板上に配置された陽極と、該陽極上に配置された有機層と、該有機層上に配置された陰極とからなる有機EL素子において、前記有機層と前記陰極との間には、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを含む厚さ5〜50nmの介在層が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、有機層及び陰極の間に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを含む厚さ5〜50nmの介在層が形成されているので、電子注入性を十分に確保することができる。
また、介在層を構成する金属ハロゲン化物は、構成元素である金属とハロゲン元素との間に強いイオン結合性があるので、有機層に影響を及ぼすことがなく、有機分子やキレート材料の分解を抑制することができる。
また、介在層を構成するアルカリ土類金属は、キレート材料のπ電子系に対する吸着ポテンシャルよりも、金属ハロゲン化物に対する吸着ポテンシャルの方が高いので、仮に介在層の成膜初期に有機層中のキレート材料が表面に露出していても、選択的に金属ハロゲン化物へ取り込まれ、キレート材料が汚染される可能性を少なくすることができる。
また、アルカリ土類金属は、金属ハロゲン化物と混合することで、半導体的な特性が出現するようになっているので、電子注入性を向上させることができる。
更に、アルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とを混合させることによって、光透過性にも優れた材料とすることができるので、トップエミッション構造のように陰極から光を取り出す場合にも有効である。更に、介在層を10nm以上に比較的厚く成膜しても低抵抗であるので、有機層上にスパッタ法等により陰極を成膜する際に、緩衝層として有効に作用し、有機層へのダメージを軽減することができる。
更にまた、介在層に複数の金属ハロゲン化物が含有されているので、介在層を構成する他の成分であるアルカリ土類金属との反応性が向上して、より安定した介在層を形成することができる。そのため、電子注入性をより十分に確保することができ、有機層中のキレート材料の分解や汚染を効果的に防止可能となる。
本発明の有機EL素子においては、前記陰極は、酸化物からなる透明電極であってもよい。これによれば、陰極から光を取出す、いわゆるトップエミッション構造に好適に適用することができる。
本発明の有機EL素子の製造方法の第1は、基板上に陽極を形成し、該陽極上に有機層を形成し、該有機層上に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを交互に成膜して、厚さ5〜50nmの介在層を形成し、該介在層上に陰極を形成することを特徴とする。
本発明の有機EL素子の製造方法の第1によれば、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを交互に成膜して介在層を形成するようにしたので、介在層の膜厚を調整しやすく、5〜50nmの範囲で所望厚さの介在層を容易に形成することができる。
本発明の有機EL素子の製造方法の第2は、基板上に陽極を形成し、該陽極上に有機層を形成し、該有機層上に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを同時に蒸着して、厚さ5〜50nmの介在層を形成し、該介在層上に陰極を形成することを特徴とする。
本発明の有機EL素子の製造方法の第2によれば、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを、有機層上に同時に蒸着するようにしたので、介在層を迅速に形成することができ、製造性を向上させることが可能となる。
本発明の有機EL素子によれば、有機層及び陰極の間に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを含む厚さ5〜50nmの介在層が形成されているので、キレート材料の劣化を防止すると共に、電子注入性を十分に確保でき、光透過性も維持することができる。
すなわち、金属ハロゲン化物の金属及びハロゲン元素間には強いイオン結合性があるので、有機分子やキレート材料の分解を促進することがなく、アルカリ土類金属は、キレート材料のπ電子系に対する吸着ポテンシャルよりも、金属ハロゲン化物に対する吸着ポテンシャルの方が高いので、有機層中のキレート材料が露出しても、選択的に金属ハロゲン化物へ取り込まれキレート材料が汚染される可能性が少ない。
更に、アルカリ土類金属は、金属ハロゲン化物と混合することで、半導体的な特性が出現するので電子注入性を向上でき、また、光透過性にも優れた材料となるので、トップエミッション構造にも、効果的に適用できる。
以下、図1を参照して、本発明の有機EL素子の一実施形態を説明する。
図1に示すように、この有機EL素子は、透明な基板1と、この透明な基板1上に配置された陽極2と、この基板1上に配置された有機層10と、この有機層10上に配置された陰極3とを有しており、更に、有機層10と陰極3との間に介在層20が配置された構造をなしている。
基板1は、有機層10で発光した光を透過させるために透光性を有しており、その材料として例えば、ガラスや、透明な合成樹脂が好適に用いられる。
基板1上には、透明な陽極2が配置されている。この陽極2は、後述する有機層10の発光層13から発光した光を透過させるため、透明性の高い材料が用いられ、例えば、正孔の注入効率がよく表面抵抗も低い、InとSnの酸化物であるITO等が好適に用いられる。陽極2は、例えば、基板1上にスパッタ法、蒸着等により成膜した後、フォトリソグラフ法等によってパターン化することにより形成できる。なお、この実施形態の場合、陽極2が透明で陰極3を不透明として陽極2側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション構造をなしているが、陽極2が不透明で陰極3を透明として陰極3側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造とすることも可能である。
陽極2上には、有機層10が配置されている。この実施形態の場合、有機層10は、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14が、順次積層された構造をなしている。
正孔注入層11は、陽極2からの正孔注入効率を維持するためのもので、この正孔注入層11上に、正孔を発光層13に円滑に移動させるための正孔輸送層12が形成されている。正孔輸送層12は、特に限定されないが、例えば、テトラアリールベンジシン化合物(テトラアリールジアミンないしテトラフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等の化合物から好ましい組合せを適宜選択して用いることができる。
正孔輸送層12上には、発光層13が形成される。発光層13としては、特に限定されないが、例えば青色ないし緑色の発光を得る場合には、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
発光層13上には、陰極3から発光層13に電子を円滑に移動させるための電子輸送層14が形成されている。この電子輸送層14としては、特に限定されないが、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の有機金属錯体からなるキレート材料を用いることができる。
上記正孔注入層11、正孔輸送層12、有機発光層13、電子輸送層13は、蒸着等の公知の手段で形成することができる。
有機層10上には介在層20が配置され、この介在層20を介して陰極3が配置されている。陰極3は、陽極2と同様に、スパッタ、蒸着等により成膜され、必要に応じてフォトリソグラフパターン法等によってパターン形成される。陰極3としては、電子注入効率がよく、発光層13で発光した光を基板1方向へ反射させることができる金属膜等が用いられ、例えば、Al、Mg―Ag合金、Al−Li合金等が好ましく用いられる。また、前述したように、陽極2を不透明とし陰極3を透明として、陰極3から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造の場合は、InとSnの酸化物であるITO等が好適に用いられる。
そして、有機層10の電子輸送層14と陰極3との間に配置された介在層20は、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを含有して構成されている。また、介在層20は、有機層10の電子輸送層14上に、5〜50nmの厚さ、好ましくは10〜40nmの厚さで配置されている。
このように、電子輸送層14と陰極3との間に、アルカリ金属等と、金属ハロゲン化物とを含有した介在層を、5〜50nmの厚さで配置したので、電子注入性を十分に確保することができる。
すなわち、介在層20を構成する金属ハロゲン化物は、構成元素である金属及びハロゲン元素間に強いイオン結合性があるので、有機分子やキレート材料の分解を促進することがない。
またアルカリ土類金属は、キレート材料のπ電子系に対する吸着ポテンシャルが0.5eV、金属ハロゲン化物に対する吸着ポテンシャルが1.5eVであり、金属ハロゲン化物に対する吸着ポテンシャルの方が高くなっている。そのため、仮に介在層20の成膜初期に電子輸送層14のキレート材料が表面に露出していても、アルカリ金属等は、選択的に金属ハロゲン化物へ取り込まれるので、キレート材料が汚染される可能性を少なくすることができる。
このように、介在層20を構成するアルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とは、互いの結合力が強いので、キレート材料に影響を及ぼしたりすることがなく、有機層10と陰極3とを十分に分離して、陰極金属であるAl等のキレート材料に及ぼす影響を少なくすることができる。そのため、有機層10の発光効率や耐久性等を長期間に亘って維持することができる。
また、アルカリ土類金属は、金属ハロゲン化物と混合することで、半導体的な特性が出現するようになっているので、電子注入性を向上させることができる。すなわち、金属ハロゲン化物は絶縁物に近いため、アルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とを混合して混合層とすると、仕事関数をアルカリ土類金属と金属ハロゲン化物との間の値に制御して、アルカリ土類金属の仕事関数を低下させることができ、それによって電子輸送層14への電子注入性を向上させることが可能となる。
更に、金属ハロゲン化物は透明であるから、アルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とを混合させると、光透過性にも優れた材料とすることができるので、トップエミッション構造のように陰極から光を取り出す場合にも有効となる。更に、介在層20を10nm以上に比較的厚く成膜しても、低抵抗であるので、有機層上にスパッタ法等により陰極を成膜する際に、緩衝層として有効に作用し、有機層へのダメージを軽減することができる。
なお、介在層20が5nmよりも薄いと、有機層10と陰極3との分離性能を十分に発揮することができなくなり、50nmよりも厚いと、トップエミッション構造に適用する場合に、光透過性が低下するので好ましくない。
また、介在層20には複数の金属ハロゲン化物が含有しているので、介在層20を構成する他の成分であるアルカリ土類金属との反応性が向上して、より安定した介在層20を形成することができる。そのため、電子注入性をより十分に確保することができ、有機層10の分解や汚染を効果的に防止できる。
なお、上記有機EL素子は、有機層10が4層構造をなしているが、各種の層構造が採用可能であり、例えば以下のような層構造でもあってもよい。
(1)陽極2―有機層10(発光層13のみ)―陰極3
(2)陽極2―有機層10(正孔輸送層12―発光層13)―陰極3
(3)陽極2―有機層10(正孔注入層11−正孔輸送層12―発光層13)―陰極3
(4)陽極2―有機層10(発光層13−電子輸送層14)−陰極3
(5)陽極2―有機層10(正孔輸送層12−発光層13−電子輸送層14)−陰極3
以上説明した有機EL素子は、例えば、次のようにして製造される。
すなわち、まず、基板1上にスパッタ法等により陽極2を形成し、該陽極2上に、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14を、蒸着等により順次形成して有機層10を形成する。そして、有機層10上に、アルカリ土類金属と、金属ハロゲン化物とからなる介在層20を形成する。
この際の介在層20の形成方法としては、(a)アルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とを、有機層10上に交互に成膜して、5〜50nmの厚さの介在層20を形成する方法、(b)アルカリ土類金属と金属ハロゲン化物とを、有機層10上に同時に蒸着して、5〜50nmの厚さの介在層20を形成する方法等が好ましく採用される。
上記(a)の形成方法の場合は、介在層20の膜厚を調整しやすく、5〜50nmの範囲で所望厚さの介在層20を容易に形成することができ、上記(b)の形成方法の場合は、介在層20を迅速に形成することができ、製造性を向上させることが可能となる。
こうして形成された介在層20上に、陰極3をスパッタ法等により形成して、有機EL素子が製造される。
(1)実施例及び比較例の有機EL素子の作製
参考例1
図1に示す有機EL素子であって、陽極2から光を取り出すボトムエミッション構造の有機EL素子を作製した。
ガラス製の基板1上に、無定形のIn2O3:ZnO(ZnOモル比で5%)からなるITOを、スパッタ法によって200nmの厚さで成膜した。このITO上に、2mmライン、0.5mmピッチのストライプパターンが得られるマスクを用いて、通常のフォトプロセスにて、陽極2を形成するためのパターンニングを行い、陽極2を形成した。そして、陽極2の表面を酸素プラズマにて、室温でクリーニングした。
次いで、透明な陽極2を形成した基板1を、抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層11、正孔輸送層12、発光層13、電子輸送層14を、真空を破らずに順次成膜して有機層10を形成した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層11としては、銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層12としては、4,4’―ビス[N―(1−ナフチル)―N―フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層13としては、4,4’―ビス(2,2’―ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子輸送層14としては、アルミキレート(Alq)を20nm積層した。
上記有機層10を成膜後、有機層10上に介在層20を形成した。すなわち、金属としてアルカリ土類金属であるCaを選択し、金属ハロゲン化物としてMgFを選択した介在層20を、上記抵抗加熱蒸着装置にて蒸着により成膜した。より詳しくは、電子輸送層14上に、MgFを1nm蒸着して成膜し、その上にCaを1nm蒸着して成膜するというサイクルを20回繰り返して、40nmの厚さの介在層20を形成した。
そして、介在層20上にAlを200nm積層して陰極3を形成した。
実施例
介在層20の構成以外は、参考例1と同様のボトムエミッション構造の有機EL素子を作製した。
すなわち、介在層20を構成する金属ハロゲン化物として、MgFに加えて、更に、CaFを加えたものを用いた。具体的には電子輸送層14上に、MgFとCaFが分子比で1:1となるフッ化物膜を、共蒸着法にて1nmで成膜し、更にその上にCaを1nm蒸着して成膜するというサイクルを20回繰り返して、40nmの厚さの介在層20を形成した。
参考
陰極3から光を取り出すトップエミッション構造の有機EL素子を作製した。この場合、陽極2及び陰極3の構成が異なる以外は、参考例1と同様の構成となっている。
すなわち、陽極2として、CrBをスパッタ法によって200nmの厚さで成膜してパターンニングを施して不透明な陽極2を形成した。一方、陰極3としては、無定形のIn:ZnO(ZnOモル比で5%)からなるITOを、スパッタ法によって100nmの厚さで成膜して透明な陰極3を形成した。
比較例1
介在層20が形成されていない代わりに、LiFからなる層を形成した以外は、上記参考例1と同様のボトムエミッション構造の有機EL素子を作製した。
すなわち、電子輸送層14上に、透明な陽極2のラインと垂直に、2mmライン、0.5mmピッチのストライプパターンが得られるマスクを用いて、0.5nmの厚さのLiF層を、上記抵抗加熱蒸着装置にて蒸着により成膜した。
比較例2
介在層20が形成されていない代わりに、Mgからなる層を形成した以外は、上記実施例と同様のトップエミッション構造の有機EL素子を作製した。
すなわち、電子輸送層14上に、陽極2のラインと垂直に、2mmライン、0.5mmピッチのストライプパターンが得られるマスクを用いて、10nmの厚さで、20質量%のAgを含むMg層を、上記抵抗加熱蒸着装置にて蒸着により成膜した。
(2)実施例及び比較例の有機EL素子の性能評価
次に、上記参考例1〜2、実施例1比較例1、2について、所定電圧を印加したときの電流密度の変動、及び、発光時の電流効率を評価した。
試験例1
上記参考例1及び比較例1の各有機EL素子の、電流密度(A/cm)―駆動電圧(V)の関係を測定して、その結果を図2に示した。また、エレクトロルミネッセンス(EL)光出力と駆動電流を測定し、発光時の電流効率(cd/A)を求めた。
図2を参照すると、参考例1(図中、A1で示す)、及び、比較例1(図中、B1で示す)ともに、ほぼ同じ電流密度であることが分かる。また、電流効率は、参考例1及び比較例1ともに、4.5cd/Aであり、優劣は認められなかった。
試験例2
上記参考例1及び比較例1の各有機EL素子を、85℃の温度で200時間放置した後の、電流密度(A/cm)−駆動電圧(V)の関係を測定して、その結果を図3に示した。また、エレクトロルミネッセンス(EL)光出力と駆動電流を測定し、発光時の電流効率(cd/A)を求めた。
図3を参照すると、比較例1(B1)は、試験例1と比べて電流密度が約1/8に減少してしまうのに対し、参考例1(A1)では、試験例1と比べて電流密度の低下は10%以下に留まっていることが分かる。したがって、介在層20による、キレート材料の分解や汚染の防止効果がはっきりと確認できた。
また、比較例1の電流効率は、0.5cd/Aまで低下してしまうのに対して、参考例1の電流効率は、3.5cd/Aと比較的低い低下に留まっていることが明らかとなった。そのため、介在層20により有機EL素子の発光効率を維持できることが分かった。
試験例3
金属ハロゲン化物としてMgFとCaFの2種類を含んだ介在層20を有する実施例について、上記試験例2と同様に、85℃の温度で200時間放置した後の、電流密度(A/cm)−駆動電圧(V)の関係を測定た。また、エレクトロルミネッセンス(EL)光出力と駆動電流を測定し、発光時の電流効率(cd/A)を求めた。
図示は省略するが、その電流密度は、試験例2における参考例1とほぼ同様な水準を維持することができた。また、金属ハロゲン化物が一種の参考例1の場合、85℃で200時間放置後の電流効率がやや低下したのに対し(試験例2参照)、実施例の電流効率は、4.2cd/Aと、試験例1と比べて、ほとんど低下していないことが分かった。このように、金属ハロゲン化物を2種以上含有すれば、キレート材料の分解や汚染をより効果的に防止して、長期に亘って有効に作用することが理解できる。
なお、試験例2において、参考例1の電流効率が3.5cd/Aと低下した理由については、次のように考えられる。すなわち、金属ハロゲン化物であるMgFを、有機層10の電子輸送層14上に蒸着したときに、上記特許文献2に示されたように、MgFが島状に成長して、電子輸送層14全体が被覆されずに部分的に露出してしまうので、その後成膜するCaによる電子輸送層14への汚染がある程度避けられないためである。なお、MgFが島状に成長する理由としては、分散状態と凝集状態のエネルギーを比較したときに、凝集状態でのエネルギーが非常に小さいため、MgFが自然と凝集して、図4(a)に示すように島状となるものと推察される。
これに対して、実施例の金属ハロゲン化物を複数用いた場合における、電流効率の低下抑制のメカニズムは、次のように推察される。
すなわち、上述したようにMgF単体の場合は、図4(a)に示すように、島状に成長するが(図4(a)中、符号S参照)、MgFとCaFの混合物の場合においては、単体の場合に比べてエネルギー差が小さいので、図4(b)に示すように、単体よりも小さな島Wとなって成長が進むものと考えられる。
そして、金属ハロゲン化物上にCa等の金属を成膜した際には、MgF単体の場合においては大きな島Sへの成膜なので、Caとの接触面積が少なく、分子レベルでの混合があまり進まない。これに対して、MgFとCaFの混合物の場合、複数の小さな島WへCaを成膜するので、Caとの接触面積が多くなり、金属と金属ハロゲン化物との混合がスムーズになされるようになる。したがって、有機層10の電子輸送層14への汚染をより確実に防止されるので、電流効率の低下を抑制できたものと推察される。
試験例4
上記参考及び比較例2のトップエミッション構造の各有機EL素子の、電流密度(A/cm)−駆動電圧(V)の関係を測定して、その結果を図5に示した。また、比較のため、ボトムエミッション構造の比較例1の測定結果も図5に併せて示した。また、エレクトロルミネッセンス(EL)光出力と駆動電流を測定し、発光時の電流効率(cd/A)を求めた。
図5を参照すると、トップエミッション構造の比較例2(図中、B2で示す)は、ボトムエミッション構造の比較例1(B1)に比べて素子抵抗が高く、電流が1桁以上流れにくくなっているのが分かる。これに対して、トップエミッション構造の参考(図中、A3で示す)の場合、比較例1(B1)に比べて、電流密度は40%の低下に留まっていることが理解できる。また、電流効率は、比較例2の場合、1.5cd/Aであるのに対し、実施例の場合は、3.5cd/Aと優れていることが分かった。このように本発明の有機EL素子によれば、ボトムエミッション構造のみならず、トップエミッション構造にも適用することができ、キレート材料の分解や汚染を効果的に防止することができる。
本発明は、電子注入性を十分に確保すると共に、光透過率も維持可能な有機EL素子として利用することができる。
本発明の有機EL素子の一実施形態を示す断面図である。 有機EL素子のボトムエミッション構造における電圧と電流密度との関係を示す図表である。 有機EL素子のボトムエミッション構造において、所定温度で所定時間保持した後の電圧と電流密度との関係を示す図表である。 本発明の有機EL素子の金属ハロゲン化物の成長過程を示しており、(a)は金属ハロゲン化物が単体の場合の説明図、(b)は金属ハロゲン化物が複数の場合の説明図である。 有機EL素子のトップエミッション構造における電圧と電流密度との関係を示す図表である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 陰極
10 有機層
11 正孔注入層
12 正孔輸送層
13 発光層
14 電子輸送層
20 介在層

Claims (4)

  1. 基板上に配置された陽極と、該陽極上に配置された有機層と、該有機層上に配置された陰極とからなる有機EL素子において、
    前記有機層と前記陰極との間には、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを含む厚さ5〜50nmの介在層が形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記陰極は、酸化物からなる透明電極である請求項1記載の有機EL素子。
  3. 基板上に陽極を形成し、該陽極上に有機層を形成し、該有機層上に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを交互に成膜して、厚さ5〜50nmの介在層を形成し、該介在層上に陰極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 基板上に陽極を形成し、該陽極上に有機層を形成し、該有機層上に、Caからなるアルカリ土類金属と、MgF 及びCaF からなる金属ハロゲン化物とを同時に蒸着して、厚さ5〜50nmの介在層を形成し、該介在層上に陰極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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