JP4769014B2 - 同軸磁化プラズマ生成装置と同軸磁化プラズマ生成装置を用いた膜形成装置 - Google Patents
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Description
図5(a)は、同軸磁化プラズマ生成装置の軸方向の断面図を示し、図5(b)は、図5(a)のX1部分の矢印方向の断面図を示す。
外部導体23と内部導体24を同軸状に配置し、内部導体24は、ガス供給管22と一体的に形成或いはガス供給管22に固着してある。ガス供給管22は、絶縁部材26によって外部導体23内に固定されている。ガス供給管22は、中空部221、ガス噴出孔222を介してプラズマ生成ガスG(例えばヘリュウムガス、アルゴンガス等)を、外部導体23と内部導体24の間の空間に供給する。外部導体23と内部導体24(ガス供給管22)には、充電したコンデンサCとスイッチSを接続してある。
図5の場合、コンデンサCが放電するとき負荷(外部導体23と内部導体24)にインダクタンスがあると、負荷を流れる電流は、減衰振動となり、所定の周期で極性が反転する。そこで極性を反転させずに非振動の単極電流を発生して放電を継続するクローバ回路が提案されている。
図6(a)は、回路構成を示し、図6(b)は、負荷電流の時間的変化を示す。
コンデンサ41の充電電圧Vcを半導体スイッチ42を介して負荷43(インダクタンス431、抵抗432)に印加する例で、負荷43と並列にクローバ回路44を接続してある。クローバ回路44は、逆流防止用ダイオード441、クローバスイッチ442、抵抗433からなる。
制御部46の制御によって半導体スイッチ42が導通すると、コンデンサ41は放電し、負荷電流ILが流れる。制御部46は、検流検出部16の検出する負荷電流ILが所定値(例えば図6(b)の時間t1の最大値)になると、半導体スイッチ42を非導通にし、クローバスイッチ442を導通する。その結果負荷電流ILはクローバ回路44を介して流れ、図6(b)の時間t1以降のように減衰する。
次に図7により従来の膜形成装置の一つであるイオンプレーティング装置について説明する(例えば特許文献2参照)。
プラズマ生成部61に発生したプラズマ63は、対向電極62へ引き寄せられる。一方ルツボ52の膜形成材料531は、電子銃561の放出する電子562により加熱されて蒸発し、蒸発した粒子(蒸気)532は、加速されて基板551に付着し堆積して膜552を形成する。その際蒸発した粒子532は、プラズマ63によりイオン化或いは活性化されて基板551を照射する。
従来のイオンプレーティング装置は、プラズマ生成手段に加えて膜形成材料の加熱手段や蒸発した粒子の加速手段が必要になる。そのため、従来のイオンプレーティング装置は、装置が複雑になり、操作も複雑になる。また従来のイオンプレーティング装置は、生成するプラズマの電離度が低いため、膜形成材料の蒸発粒子のイオン化率が低く、膜形成能率も低い。
請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記外部導体の外周に前記リング状凸部を囲むようにバイアス磁界を発生する電磁コイルを配置してあることを特徴とする。
請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1又は請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記パワークローバ回路は、充電用の容量の小さいコンデンサと充電用の容量の大きいコンデンサを備え、放電の開始時は容量の小さいコンデンサが放電し、容量の小さいコンデンサの電圧が所定値よりも低くなると容量の大きいコンデンサが放電を開始するように構成してあることを特徴とする。
請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記容量の大きいコンデンサにクローバスイッチ用のダイオードを直列に接続してあることを特徴とする。
請求項5に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置の放出するプラズマ塊を膜形成材料を塗布した基板に照射することを特徴とする。
本願発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、高電離度、高密度のプラズマ塊を連続的に安定して生成でき、高速で放出できるから、膜形成材料を塗布した基板にプラズマ塊を照射することにより、基板に強力な膜を簡単に形成することができる。
図1(a)は、同軸磁化プラズマ生成装置の軸方向の断面図を示し、図1(b)は、図1(a)のX1部分の矢印方向の断面図を示し、図1(c)は、図1(a)の同軸磁化プラズマ生成装置のプラズマの発生を説明する図である。
図1において、21は同軸磁化プラズマ生成装置、22はプラズマ生成ガスの供給管(供給部)、221は中空部、222はガス噴出孔、23は外部導体、231はリング状凸部、24は内部導体、25はパワークローバ回路、26は絶縁部材、27はバイアス磁界を発生する円筒状の電磁コイル、Pはプラズマ、PMはプラズマ塊である。
プラズマPは、外部導体23のリング状凸部231の位置に生成するから、プラズマPの生成位置は、リング状凸部231の位置によって決まる。したがってリング状凸部231の位置を変えることにより、プラズマPを所望の位置に生成することができる。図1の場合、電磁コイル27のバイアス磁界をプラズマPに適切に作用させるためには、プラズマPと電磁コイル27の位置の調整が必要になるが、プラズマPは、リング状凸部231の位置に生成するから、その調整を容易に行うことができる。
図1の同軸磁化プラズマ生成装置21は、リング状凸部231を外部導体23に形成する例について説明したが、リング状凸部231は、内部導体24に形成してもよいし、或いは外部導体23及び内部導体24の双方に形成してもよい。
図2(a)は、パワークローバ回路25の構成を示し、図2(b)は、負荷電流の時間的変化を示す。
コンデンサC1、インダクタンスL1、抵抗R1の回路と、バイパス用ダイオードD2を並列に接続したコンデンサC2、インダクタンスL2、抵抗R2、ダイオードD1の回路とを並列に接続し、それらの回路は、イグナイトロンIT(スイッチ素子)を介して負荷Fに接続してある。前記ダイオードD1、コンデンサC2等の回路は、パワークローバ回路であり、ダイオードD1は、クローバスイッチ、コンデンサC2は、パワークローバ用コンデンサである。コンデンサC1,C2は、充電用コンデンサである。
この状態で制御部(図示せず)の制御によりイグナイトロンITを導通すると、コンデンサC1は、放電を開始して放電電流Ic1が流れ、負荷Fに負荷電流IL(=Ic1)が流れる。この際ダイオードD1は、コンデンサC1の電圧Vc1に対して非道通になるから、コンデンサC2は放電しない。コンデンサC1の放電が進み、コンデンサC1の電圧Vc1がコンデンサC2の電圧Vc2よりも低くなると、ダイオードD1が導通してコンデンサC2が放電を開始し、コンデンサC2の放電電流Ic2が負荷Fに流れる。以後負荷Fには、放電電流Ic1,Ic2(IL=Ic1+Ic2)が流れる。負荷電流ILは、ダイオードD2を流れて還流する。したがって負荷電流ILは、非振動の単極減衰電流となる。
シミュレーションは、R1=11×10-3(Ω)、R2=1×10-3(Ω)、R3=10×10-3(Ω)、L1=5×10-9(H)、L2=5×10-9(H)、L3=200×10-9(H)、C1=90×10-6(F)、C2=367×10-3(F)、に設定して行った。
図3から、図2のパワークローバ回路の負荷電流ILは、立ち上りが急峻で、長時間略一定値を保持していることが分かる。
図4において、31は真空室、32は基板支持部、33は基板、34は塗布膜、21は同軸磁化プラズマ生成装置、22はガス供給管、PMはプラズマ塊である。基板33には、膜形成材料の粉末を分散させた溶媒を塗布し、乾燥して塗布膜34を形成する。膜形成材料は、アルミニウム、チタン等の金属、ITO(Indium Tin Oxide)、シリコン等を用い、基板33は、金属、セラミックス、プラスチック等からなるものを用いる。
膜の形成には、まず塗布膜34を形成した基板33を基板支持部32に装着する。その状態でプラズマ生成用のガス、例えばアルゴンガス、へリュームガス等の不活性ガスを、ガス供給管22から同軸磁化プラズマ生成装置21内へ供給し、プラズマ塊PMを生成して真空室31内へ放出する。放出されたプラズマ塊PMは、基板33の塗布膜34を照射して塗布膜34の膜形成材料をイオン化或いは活性化し、膜形成材料を基板33に密着させて強固な膜を形成する。
ここで基板とは、フィルムを含めて膜を形成する対象部材(被膜形成部材)をいう。
また図4の膜形成装置は、予め基板33に膜材料を塗布したものを用いるから、膜材料を蒸発させたり、その蒸発した粒子を加速させたりする手段を設ける必要がない。したがって膜形成装置は、構成や操作が簡単になり、かつ膜の形成時間が短くなる。
22 ガス供給管
221 中空部
222 ガス噴出孔
23 外部導体
231 リング状凸部
24 内部導体
25 パワークローバ回路
26 絶縁部材
27 バイアス磁界発生用の電磁コイル
31 真空室
32 基板支持部
33 基板
34 塗布膜
F 負荷
IT イグナイトロン
P プラズマ
PM プラズマ塊
Claims (5)
- 同軸状に配置した外部導体と内部導体、外部導体と内部導体の間の空間にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部を備え、外部導体と内部導体のいずれか一方の対向面、又は双方の対向面にリング状凸部を形成してあり、外部導体と内部導体の間にパワークローバ回路を接続してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
- 請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記外部導体の外周に前記リング状凸部を囲むようにバイアス磁界を発生する電磁コイルを配置してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記パワークローバ回路は、充電用の容量の小さいコンデンサと充電用の容量の大きいコンデンサを備え、放電の開始時は容量の小さいコンデンサが放電し、容量の小さいコンデンサの電圧が所定値よりも低くなると容量の大きいコンデンサが放電を開始するように構成してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
- 請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記容量の大きいコンデンサにクローバスイッチ用のダイオードを直列に接続してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
- 請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置の放出するプラズマ塊を膜形成材料を塗布した基板に照射することを特徴とする膜形成装置。
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