JP4767941B6 - 血管内フィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、血管内装置に関し、より詳細には取り付け可能であり、その後に選択的に除去可能な血管内装置に関する。
ある種の血管内装置は、一定期間の間、血管のような体腔内に留置され得る。例えば、大静脈フィルタは、血塊及びその他の塞栓性の残骸を捕捉し、かつ該血塊及びその他の塞栓性の残骸が溶解又は除去されるまでの間それらを保持するために大静脈に移植される。インターベンション処置の後、例えば2週間以上のような所定期間の間、このフィルタを所定の位置に留置し、その後除去されることが望ましい。これらのフィルタは多くの場合、管壁と接触する長尺状部材により所定の位置に保持される。管壁はしばしば、該管壁と接触する長尺状部材の一部を、内皮細胞が成長することにより被覆する。従って、除去することが望ましい場合、該長尺状部材をこの内皮細胞の成長部から解放することが必要となる。
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
一実施形態は、フィルタであって、該フィルタを部分的に被覆する管から、該管に対する損傷を最小限に留めて除去することが可能なフィルタに関する。本実施形態のフィルタはグリーンフィールド型のフィルタであるが、その他のフィルタ形状及びその他の医療用装置も意図されている。フィルタは管壁に取り付けるべく構成された一つ以上の長尺状部材を有する。各長尺状部材は第一の端部と第二の端部とを有する。フィルタを管壁に固定するために、固定部材が第二の端部に取り付けられる。第二の端部から長尺状部材に沿って切削刃が延びている。切削刃はフィルタの中心の長手軸に向かって指向しており、結果として最も近い管壁から離間している。
第二の実施形態は、第一の実施形態に類似の、内に向いた切削刃を備えた一つ以上の長尺状部材を有するフィルタに関する。該フィルタは、低減したプロファイルを有する長尺状部材の一部に内に向いた切削刃を含み、それにより、切削刃を含む該長尺状部材のその部分の全体のプロファイルは該長尺状部材の別の部分のプロファイル以下となる。
別の実施形態は、第一の実施形態に類似の長尺状部材を一つ以上有するフィルタに関する。ほぼ整列されるとともに内に向いた二つ以上の切削刃がこれらの長尺状部材上に設けられている。これら二つ以上の切削刃は互いに離間されており、該刃の間には間隙が設けられている。
更に別の実施形態は、第一の実施形態に類似の一つ以上の長尺状部材を有するフィルタに関する。該長尺状部材の各々の端部には、以下に詳細に記載されているようにフックからなる固定部材が備えられている。長尺状部材とほぼ平行であるフックの部分に、ほぼ内に向いた別の切削刃が設けられている。
更に別の実施形態は、製造方法に関する。長尺状部材を有するフィルタが提供される。該長尺状部材の一部は、内に向いた切削刃を形成するために加工されている。これは、例えば、放電加工(EDM)、研削又はその他の適切な方法により実施される。
更に別の実施形態は、第二の製造方法に関する。長尺状部材を有するフィルタが提供される。切削刃を有するブレードが長尺状部材に取り付けられる。これは、例えばレーザ溶接により実施される。付随的に、又は代替的に、該長尺状部材にスロットが形成され、内に向いた切削刃を露出した状態にて、切削ブレードが該スロットに部分的に挿入される。
更に別の実施形態は使用方法に関する。大静脈フィルタのような長尺状部材を有する医療用装置は、例えば大静脈に移植される。長尺状部材は医療用装置を所定の位置に保持し、内に向いた切削刃をその上に配置させる。一定の期間の後、内皮細胞の成長が、新生内膜過形成と称される過程により、長尺状部材を部分的に被覆する。仮に除去が望ましい場合、長尺状部材は径方向内向きに付勢され、該切削刃が内皮の被覆を切り開く。このように定義された切削は、切削刃を備えておらずよっていかなる内皮の被覆をも引き裂く必要のある実施形態のものの除去と比較して、損傷が少ないであろう。回収に要する応力もより少なくなるであろう。次に、医療用装置が圧縮され、大静脈から除去される。
幾らかの実施形態の上記要約は、本発明の開示された各実施形態又は全ての実施を記載することを意図していない。図面及び以下に記載される詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示するものである。
本発明は、添付した図面と関連した本発明の種々の実施形態の以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解されるであろう。
以下の詳細な説明は図面を参照して読み取られるべきであり、異なる図面における同様の部材には同一の符号が付与されている。縮尺化が必ずしも必要ではない図面は選択された実施形態を記載するものであり、本発明の範囲を制限することは意図してはいない。
図1は、長尺状部材102を有する大静脈フィルタ100の斜視図である。長尺状部材102は、端部に固定部材104が配置されている。詳細な説明は長尺状部材102についてなされているが、該フィルタ100は更なる長尺状部材106をも含んでおり、該長尺状部材106は長尺状部材102とほぼ同じように構成されている。フィルタ100は本実施形態を例示するために選択されているが、本実施形態又は任意の実施形態は該フィルタ100に制限されるものではない。他の用途も考慮されている。例えば、該実施形態はその他の大静脈フィルタに容易に適合され得る。実際に、該実施形態は、長尺状部材によってその位置に保持される任意の移植可能な医療用装置に容易に適合され得る。同様に、本実施形態もいかなる実施形態も、ほぼ直線状の長尺状部材であって、その端部が管壁に接触した長尺状部材により保持される医療用装置に制限されるものではない。その端部というよりはむしろ中間部が管壁と接触した長尺状部材の実施形態も考慮される。そのような長尺状部材は例えば湾曲されている。従って、種々の形態である多岐にわたる医療用装置を備えた実施形態も考慮される。
本実施形態において、長尺状部材102は、ステンレス鋼、又はニッケル−チタン合金のようなその他の適切な生体適合性材料から形成され得る。長尺状部材102はほぼ円形の断面を有する。その他適切な断面形状が考慮される。例えば、楕円形又は長方形が同等であるか、又はある種の用途ではより適切である。長尺状部材102は、所望である場合には、治療剤でコーティングされている。例えば、長尺状部材102は新生内皮過形成に抵抗性を有する薬剤でコーティングされている。
次に、長尺状部材102の端部の拡大側面図である図2を参照する。固定部材104がより詳細に示されている。固定部材104はその端部にバーブ108を備えたフック形状を有する。フック形状及びバーブ108はフィルタ100を所望の位置に保持するために使用され得る。長尺状部材102には刃110が配置されている。刃110はフィルタ100の中心に対面しており、かつ管壁から離間している。刃110はブレード112上に配置されているか、又は長尺状部材102から成形された部分であり得る。例えば、刃110は長尺状部材102を放電加工することにより形成され得る。刃110は長尺状部材102のフックの端部付近から始まり、該長尺状部材102の一部を上向きに延びている。一実施形態において、刃110は、該刃110の一部が、新生内皮過形成過程によって殆ど被覆されないように、該長尺状部材102を十分に上向きに延びている。言い換えれば、刃110は管壁から十分に離間して延びており、かつ露出された状態が維持されるように長尺状部材102を上向きに延びている。刃110は、管の成長部を切り開くのに十分に鋭利にされるべきである
図3は、別の実施形態の血管内装置の長尺状部材202の側面図である。長尺状部材202は大静脈フィルタの一部であるか、又は別の血管内装置の一部であり得る。長尺状部材は、固定部材204と刃210とを含む。刃210は長尺状部材202の切り欠き部214に配置され、かつブレード212上に存在する。切り欠き部はブレードを備えた長尺状部材の全断面積を低減するために設けられている。一実施形態において、切り欠き部214は刃210を備えた長尺状部材202の部分の断面積が切り欠き部を備えていない長尺状部材202の部分を超えて延びないような十分な深さである。従って、血管内装置は、挿入又は退出のために圧縮された場合低減されたプロファイルを有する。
図3は、別の実施形態の血管内装置の長尺状部材202の側面図である。長尺状部材202は大静脈フィルタの一部であるか、又は別の血管内装置の一部であり得る。長尺状部材は、固定部材204と刃210とを含む。刃210は長尺状部材202の切り欠き部214に配置され、かつブレード212上に存在する。切り欠き部はブレードを備えた長尺状部材の全断面積を低減するために設けられている。一実施形態において、切り欠き部214は刃210を備えた長尺状部材202の部分の断面積が切り欠き部を備えていない長尺状部材202の部分を超えて延びないような十分な深さである。従って、血管内装置は、挿入又は退出のために圧縮された場合低減されたプロファイルを有する。
図4は、本発明に従う血管内装置の長尺状部材302の上面図である。長尺状部材302は固定部材304を含み、該固定部材304は既に述べた固定部材と類似しているか、又は別の適切な固定部材であり得る。長尺状部材は、内に向いた刃310を含み、かつ固定部材304は内に向いた刃316を含む。従って、両方の刃は、長尺状部材302の部分及び固定部材304から離間する方向に向いており、管壁と接触するように構成されている。刃310及び316は複数の意図された変形例であってもよい。例えば、図示された実施形態において、刃はほぼ直線状であり、かつ長尺状部材302及び固定部材304のほぼ直線状の部分に配置されている。別の実施形態において、刃310及び316は、長尺状部材と固定部材との間を湾曲して、接合して一つの連続的な刃を形成すべく伸張することもできる。別の実施形態において、刃310及び316の間に第三の刃を設けることもでき、該第三の刃は異なる角度にて配置され、かつ管壁から離間されている。例えば、この第三の刃は血管内装置が後退される方向に更に向かって配置され得る。別の実施形態において、この第三の刃は、刃310及び316と滑らかに接合している。
図5は固定部材404を有する複数の長尺状部材402を含む血栓フィルタ400の斜視図である。図6は長尺状部材402の斜視図である。長尺状部材402は、二つ以上の離間した、内に向いた刃410を有するブレード412を含む。刃410はブレード内の切断部418により分離されている。切断部418は、ブレード412の二つの領域の間の完全な間隙であり得るか、又は材料の部分的な除去であり得る。例えば、切断部418はブレードの二つの部分の間のV字型又はU字型のスロットであり得る。別の実施形態において、切断部418は、ブレード412の二つの領域の間の僅かな径方向へのオフセットであり、長手方向の間隙を含み得ない。切断部418はブレードの成形時に材料を除去することによって、或いはブレードを組み立てて接合した後に材料を除去することによって作製され得る。切断部418はまた、複数のピースからなるブレードを長尺状部材に組み立てることにより作製され得る。
その他の実施形態も考慮され得る。血管内装置の例示的な一実施形態は長尺状部材を含み、該部材において、ほぼ内に向いた刃が該長尺状部材の切り欠き部内に固定されることにより全体のプロファイルが低減され、かつ刃が一つ以上の間隙を含む。別の実施形態において、一つ以上の長尺状部材が、抗血管新生薬又はその他所望の薬剤のような治療剤でコーティングされている。別の実施形態において、血管内装置は、内に向いた刃を備えた長尺状部材と、該装置から容易に切り離されるように構成された固定部材と、を有する。本明細書に記載された実施形態は、考慮される実施形態のほんの制限されたものであり、本発明を例示するためのものであり、本発明の種々の実施形態への広い適用を示すものである。
図7は、新生内膜過形成が起こるのに十分な期間、大静脈フィルタ100が大静脈内に留置された後の長尺状部材102の一部概略図である。長尺状部材102は固定部材104と刃110とを含み、該刃はブレード112に配置されている。大静脈壁は、外膜120、中膜122及び脈管内膜124を含む。固定部材と長尺状部材の一部を被覆するのはこの最後の層である脈管内膜124である。図示されるように、刃110は体腔の壁から離間する向きであって、管の中心に向かう向きに対面している。刃110は脈管内膜124及び予測される新生内膜過形成部にて被覆される可能性のある長尺状部材102の部分を越えて延びるように構成される。
大静脈フィルタ100の除去が望ましい場合、以下の方法、又はその他適切な方法にて達成され得る。大静脈フィルタ100は、たぶん該フィルタをガイドワイヤの端部にある保持装置で把持することにより、或いは別の適切な方法により不必要な長手方向の移動を回避するために保持され得る。長手部材は内向きに付勢される。この付勢は例えば、長手部材上のカテーテルの動作によって達成され得る。カテーテルが大静脈フィルタ上を摺動される場合、カテーテル端部の内側リップは、該長尺状部材が内向きに移動しようとする力を該長尺状部材に与える。長尺状部材が内向きに付勢されると、刃110が脈管内膜124を切開し、長尺状部材の端部及び固定部材が脈管内膜を貫通するための経路を提供する。脈管内膜の貫通する経路を引き裂くよりはむしろ切開することにより、管壁に対する損傷が低減される。切開は引き裂きより組織に対する損傷がより少ないために、この損傷が低減される。切開は引き裂きより小さな応力を用いて形成され、従って周囲の組織がより小さな応力を受けることになるために、損傷が低減される。また、カテーテルを介する送達はより小さな応力を必要とするのみである。従って、より多くの状況において除去が可能となる。長尺状部材の付勢は一つの完全な動作によって行われるか、又は所望であればより小さな繰り返しの動作によって行われ得る。刃が脈管内膜から管腔内へ延びるような構成とすることによって、管壁上において切開が容易に開始され得る地点が提供される。脈管内膜が切開される場合、長尺状部材102の端部及び固定部材104は管壁から容易に除去され、そして大静脈フィルタが圧縮除去される。
本明細書によって網羅される本発明の種々の利点を上記記載にて述べてきた。しかしながら、この開示は多くの点において例示のみのものであることが理解されるべきである。詳細において変更がなされ、特に、形状、大きさ、部品の配置、工程の順序に関しては、本発明の範囲を逸脱することなく変更が可能である。無論、本発明の請求の範囲は、添付されたクレームが表現される文言により定義される。
Claims (25)
- 中心軸を有する血管内フィルタであって、
長尺状部材と、
前記長尺状部材に取り付けられるとともに管壁に前記血管内フィルタを固定するための固定部材と、
前記長尺状部材に配置されるとともに前記中心軸に向かって対面する切削部材と、
を備える血管内フィルタ。 - 前記長尺状部材は第一の端部と第二の端部とを有し、
前記第二の端部は前記固定部材に近接しており、かつ
前記切削部材は前記第二の端部から前記長尺状部材の長手方向に沿って延びる、請求項1に記載のフィルタ。 - 前記フィルタが管壁を有する体腔内に配置された場合、前記固定部材が前記管壁と接触し、かつ前記切削部材が前記管壁から離間されるように該フィルタが配置される、請求項2に記載のフィルタ。
- 前記切削部材は、前記第二の端部から延びる一つの刃を含む、請求項2に記載のフィルタ。
- 前記切削部材は二つ以上の、離間した、内向きに対面する刃を含む、請求項2に記載のフィルタ。
- 前記二つ以上の刃は整列している、請求項5に記載のフィルタ。
- 前記二つ以上の刃は、前記切削部材の切断部により離間されている、請求項6に記載のフィルタ。
- 前記切断部は、V字型に形成されている、請求項7に記載のフィルタ。
- 前記切断部は、完全な間隙である、請求項7に記載のフィルタ。
- 前記切断部は、U字型である、請求項7に記載のフィルタ。
- 前記固定部材は、内に向いた切削部材を含む、請求項1に記載のフィルタ。
- 前記フィルタは大静脈フィルタである、請求項1に記載のフィルタ。
- 前記長尺状部材は金属からなる、請求項1に記載のフィルタ。
- 前記長尺状部材はステンレス鋼からなる、請求項13に記載のフィルタ。
- 前記長尺状部材はニッケル−チタン合金からなる、請求項13に記載のフィルタ。
- 前記合金はニチノールである、請求項15に記載のフィルタ。
- 請求項1に記載のフィルタは複数の長尺状部材を備え、前記複数の長尺状部材の各々が前記中心軸に対面する切削部材を有する、フィルタ。
- 前記切削部材は、前記長尺状部材に、低減されたプロファイルを有する部分を含む、請求項2に記載のフィルタ。
- 前記長尺状部材の前記低減されたプロファイルを有する部分の全体のプロファイルは、同長尺状部材のその他の部分のプロファイル以下である、請求項18に記載のフィルタ。
- 前記長尺状部材は、前記切削部材を備えた同長尺状部材の全断面積を低減するために設けられた切り欠き部を含み、前記切削部材は前記長尺状部材の前記切り欠き部に配置されており、
前記切り欠き部は、前記長尺状部材の前記切削部材を備えた部分の断面積が同長尺状部材の前記切り欠き部を備えていない部分の断面積を超えて延びないような深さに切り欠かれている、請求項2に記載のフィルタ。 - 請求項1乃至20のいずれか一項に記載の血管内フィルタを形成する方法であって、前記方法は、
中心長手軸と、前記中心長手軸から少なくとも部分的に離間して配置された長尺状部材と、を有するフィルタを提供する工程と、
前記長尺状部材上に、前記中心長手軸に対面して切削部材を配置する工程と、
からなる方法。 - 前記長尺状部材は第一の端部と第二の端部とを有し、かつ前記第二の端部に取り付けられる固定部材を提供する工程を更に含む、請求項21に記載の方法。
- 前記切削部材を配置する工程は、前記長尺状部材を放電加工(EDM)する工程を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記切削部材を配置する工程は、前記長尺状部材を研削して切削部材を形成する工程を含む、請求項21に記載の方法。
- 前記切削部材を配置する工程は、
前記長尺状部材にスロットを形成する工程と、
前記長尺状部材の前記スロットにブレードを挿入する工程と、
を含む、請求項21に記載の方法。
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