JP4767295B2 - シトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤 - Google Patents

シトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤 Download PDF

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Description

本発明は、新規なアポトーシス抑制剤およびアポトーシス抑制方法に関する。
一般に生体を形成する細胞は分裂を繰り返しながら増殖・分化していき、不要となった部分は遺伝的にプログラムされた能動的過程(プログラム細胞死)により速やかに除去される。このときに起こる細胞死がアポトーシスである。アポトーシスは多くの病理的要因によっても生じるが、自らアポトーシスを起こして自殺する機構は様々な刺激に対する生体防御機構の一つでもある。
アポトーシスは、外因性または内因性シグナルにより、細胞が自殺プログラムを活性化するときに起こる。アポトーシスの形態的特徴として、クロマチンの凝集や細胞質の縮小が挙げられる。更にアポトーシスが進行すると、細胞がアポトーシス小体と呼ばれる小さな粒子に断片化する。
アポトーシスのシグナル伝達機構は大きく2種類に分類される。一つはミトコンドリアを経由せず直接アポトーシス実行因子であるカスパーゼ-3を活性化する経路、もう一つはミトコンドリアを経由する経路である。後者のアポトーシスでは、アポトーシスシグナルがミトコンドリアに集積し、ミトコンドリア膜間腔に存在するシトクロムcが細胞質へ漏出する。漏出したシトクロムcはリンカータンパクであるApaf−1及びイニシエーターカスパーゼであるプロカスパーゼ−9と共にアポトゾームと呼ばれる集合体を形成し、カスパーゼ−9を活性化する。活性化したカスパーゼ−9が実行因子であるカスパーゼ−3を活性化し、アポトーシスが進行する。
アポトーシスは様々な疾患、特に癌治療において関連が深い。癌細胞の増殖阻害を目的とする従来の抗癌剤と積極的にアポトーシスを誘導する薬剤を併用することで治療効果を上げようとする試みが行われている。
逆にアルツハイマー病やパーキンソン病、脳虚血後の神経細胞死脳虚血や脳梗塞後の記憶障害・神経変性症、網膜変性症網膜変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、肝疾患、心疾患・心筋虚血、糖尿病など細胞死を伴う疾患においては過度のアポトーシスが重要視されている。
このように過剰な細胞死が多くの疾病と関連していることから、これらの疾患に対してアポトーシス抑制による治療への期待が高まっている。従って、アポトーシスを抑制する因子、即ち抗アポトーシス剤を開発することにより、過剰アポトーシスが原因の疾病の治療にも繋がると考えられる。
これまでに開発が進められてきた過剰アポトーシス抑制剤の主要なターゲットは抗アポトーシス因子として知られるBcl−2ファミリータンパクであるBcl−2やBcl−xLタンパクなどである。これらのタンパクはミトコンドリアからのシトクロムcの漏出を抑制する働きがあり、これらの機能向上や過剰発現を促すことでアポトーシスを抑制することが可能となる。
例えば、特許文献1にはBcl−2タンパクのBH−4領域内に存在する24番目のセリンをアラニンまたはアスパラギン酸で置換した変異体が野生型よりも高いアポトーシス抑制効果を示すことが開示されている。
特開2001−161372
一方、特許文献2にはBcl−xLタンパクの発現を誘導してアポトーシスを抑制する物質として、ローヤルゼリーに含まれる分子量57キロダルトンの糖タンパク質成分が開示されている。
特開2003−63983
その他にアポトーシスの抑制剤または抑制方法としてこれまでI.カスパーゼ阻害剤(非特許文献1)、II.エンドヌクレアーゼ阻害剤(非特許文献2)、III.プロテインキナーゼC阻害剤(非特許文献3)、IV.ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤(非特許文献4)などが利用されてきた。
T. Shimizu, Y. Pommier, Leukemia, 11, 1238(1997). I. Petak, R. Mihalik, P.I. Bauer, H.Suli-Vargha, A. Sebestyen,L. Kopper, Cancer Res., 58, 614(1998). G. Migliorati, I. Nicoletti, M.C. Pagliacci,L. D’Adamio, C. Riccardi,Cell Immunol., 146, 52(1993). D. Shinokawa, H. Maruta, S. Tanuma, FEBS Lett., 413, 99(1997).
アポトーシスが多くの疾病と関連していることを考慮すると、それらの疾病の治療や予防のためには、できるだけ多様な種類のアポトーシス抑制剤の開発が望まれる。
本発明は、これまでに知られていない作用機序に基づく新しいタイプのアポトーシス抑制剤を提供することを目的とするものである。
築部らはポルフィリン構造を含むデンドリマー化合物が試験管内でシトクロムcと結合することを見出している(非特許文献5)。しかし、例えば、非特許文献6や7に示されているように、デンドリマー化合物は一般に、I.水溶性が低い、II.膜透過性が低い、III.エンドソーム脱出能が低い、IV.細胞内安定性が低いなど種々の理由により、細胞内や個体内では生理活性を発揮しにくく、試験管中での結果からは細胞内に直結しないことが指摘されている。
D. Paul, H.Miyake, S. Shinoda, H. Tsukube,Chem. Eur. J., 12, 1328(2006). R.I. Pakunlu, Y. Wang, M. Saad, J.J. Khandare, V. Starovoytov, T. Minko, J. Control. Release, 114, 153(2006). H. Yang, W.J.Kao, J. Biomater,. Sci.Polymer Ed., 17, 3(2006).
本発明者らは、研究を重ねた結果、非特許文献5に記載されているようなシトクロムc結合性化合物の中には、実際の細胞系においてアポトーシスを抑制し得るものがあることを発見した。これはそれらの化合物が、アポトーシスに際してミトコンドリアから漏出するシトクロムcと結合し捕捉するためと理解される。
かくして、本発明は、基本発明として、アポトーシス時にミトコンドリアから漏出するシトクロムcを捕捉し、アポトーシスを抑制するという、これまでにない新しい概念に基づくアポトーシス抑制剤を提供するものである。
本発明に従いアポトーシス時にミトコンドリアから漏出するシトクロムcを捕捉してアポトーシスを抑制するアポトーシス抑制剤として特に好ましいのは下記の式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするものである。
式(1)中、Rは、下記の式(2)または(3)で表される官能基(Meはメチル基)を示し、また、式(1)中、Mは、2H、Z(II)、Cd(II)、Fe(III)−Cl、Pd(II)またはMn(II)を示し、好ましいのはZn(II)である。
さらに、本発明は、別の観点から、上記のアポトーシス抑制剤を投与することを特徴とするアポトーシスの抑制方法を提供するものである。
本発明は、シトクロムc結合性分子を用い、ミトコンドリアからの漏出シトクロムcを捕捉することでミトコンドリア経由アポトーシスを抑制する、という新しいアポトーシス抑制剤およびアポトーシス抑制方法に関する。
シトクロムc結合性分子としては、シトクロムcのカチオンドメイン部位とポリイオンコンプレックス形成可能なポリアニオンとして振る舞う化合物から選ばれ、例えば、カルボン酸を複数有する化合物が適用できる。特に好ましい化合物は、既述の式(1)で表されるアニオン性デンドリマー分子であり、この他に、フラーレンポリカルボン酸が適用可能である。
本発明のアポトーシス抑制剤を構成する式(1)で表されるアニオン性デンドリマー化合物の具体的な化学構造式を図1に2aおよび3aとして示している〔式(1)においてMがZn(II)の場合〕。デンドリマー化合物は、その枝状に延びる大きさに応じて世代数で表現されるが、本発明のアポトーシス抑制剤として好適な化合物は第2世代のデンドリマー化合物(2a)および第3世代のデンドリマー化合物(3a)であり、特に第2世代のデンドリマー化合物(2a)が好ましいことが見出されている。これは、化合物(2a)および(3a)が、シトクロムcに対する適度な親和性と細胞親和性および透過性、そして水溶性を有するからであり、これより大きいまたは小さい世代数のデンドリマー化合物は本発明のアポトーシス抑制剤として適してはいない。
上記の式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)に代表される本発明のシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、一般的な医薬製剤の形態でヒトまたは動物に投与することができ、例えば、静注、皮下注、または経口によりヒトまたは動物に投与することができる。本発明のアポトーシス抑制剤は、上記化合物(またはその塩)を有効成分として、その他の成分とともに製剤化することができる。その他の成分としては、医薬製造分野で通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤の希釈剤、賦形剤等を例示することができる。
以下に、本発明の特徴を更に具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
以下の実施例は、式(1)で表されるデンドリマー化合物を予め培養細胞培地に添加しておき、その後アポトーシスを誘導したところ、アポトーシス抑制現象が確認されたことを示すものである。実施例1は用いたデンドリマー化合物の合成例を示す。実施例2は、ケトセラミドが培養細胞(HeLa細胞)においてアポトーシスを誘導することを示す。実施例3は、ケトセラミドによりアポトーシスを誘導された培養細胞(HeLa細胞)からシトクロムcが漏出されていることを確認するものである。実施例4は、実施例2および3に示す系において、比較のために市販のカスパーゼ阻害剤によるアポトーシス阻害効果の有無を確認するものである。実施例5および6は、実施例2および3に示す系において、本発明に従うデンドリマー化合物がアポトーシス阻害効果を有することを示すためのものである。
シトクロムc結合性デンドリマーの合成 図2の合成スキームに従い合成した。
<デンドリマーヘキサキスエチルエステルの合成> ポルフィリンカルボン酸(0.028mmol)、HOBt(0.039mmol)、HBTU(0.039mmol)、ジイソプロピルアミン(0.078mmol)を脱水ジクロロメタン10mlに溶解し、0℃で20分間撹拌した。デンドリティックペンタキスグルタミン酸ペプチド(0.039mmol)を加え、さらに45分間撹拌し、その後ゆっくりと室温まで上昇させ、TLCで反応を追跡しながら撹拌を続けた。反応終了後、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタンに溶解し、2%クエン酸(10ml)、水(10ml x 2)、飽和NaHCO3溶液(10ml)、水(10ml)、飽和食塩水(10ml)の順に分液した。ジクロロメタン層をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残さをアルミナ充填材のカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、さらにゲルろ過クロマトグラフィー(日本分析工業、JAIGEL 1H-2Hカラム)により精製し、目的物を得た。反応が完結させるのに必要な時間および収率は世代により異なった。2b、24h、77%;3b、60h、80%;4b、85h、52%。
<デンドリマー2aの合成>
第2世代デンドリマーヘキサキスエチルエステル(0.0064mmol)をTHF(1ml)とMeOH(1ml)の混合溶媒に溶解した。水酸化リチウム(0.056mmol、8.8モル当量)を水(0.5ml)に溶かしたものを加え、室温で撹拌した。反応の進行はキャピラリー電気泳動を用いて追跡した。36h後に溶媒を減圧留去した後、水(1ml)に再溶解し、水酸化リチウム(1.6モル当量)を加えてさらに24h撹拌した。溶媒を減圧留去した後、真空乾燥し、目的物を吸湿性の固体として得た。
<デンドリマー3aの合成> 第3世代デンドリマーヘキサキスエチルエステルから9.6モル当量の水酸化リチウムを用いてTHF−MeOH中で48h、さらに3.2モル当量の水酸化リチウムを用いて水中で48h撹拌し、2aと同様に合成した。分子量3,000用の透析膜を用いて水に対して3回透析を行い、過剰の水酸化リチウムを除いた後、真空乾燥して目的物を得た。
ケトセラミドによるアポトーシス誘導 スフィンゴ脂質の一種であるセラミドは、脂質膜の構成要素であるのみならず、アポトーシス誘導機能を有することでも知られ、アポトーシスの研究によく用いられている。本発明者の一人である東らは、セラミド類縁体でありセラミドに比べて極めて高い活性をもつケトセラミドを開発し、このケトセラミド(以下、C2-ketoCerと略称する)が、ヒト白血病由来HL-60細胞に対し、高いミトコンドリア経由アポトーシス誘導効果を持つことを報告している(非特許文献8)。本実施例では、C2-ketoCerがヒト子宮頚癌由来HeLa細胞に対してもミトコンドリア経由アポトーシスを誘導できるかを以下の手法で確認した。
なお、C2-ketoCerは非特許文献8に記載された方法で、概略次のように合成した:
まず、L−セリンより3段階でアミノ基及び水酸基を保護したβ−ケトホスホン酸ジエステルを合成し、HWE反応にて長鎖を導入した。酸処理による脱保護の後、WSC試薬を用いてアミノ基を選択的にアセチル化し、C2-ketoCerを得た。
H. Azuma, S. Ijichi, M. Kataoka, A. Masuda, T.Izumi, T. Yoshimoto, T. Tachibana, Bioorg. Med.Chem., 15, 2860(2007).
本実施例及び以下の実施例において、C2-ketoCerは1、5、10、20mMエタノール溶液、化合物2aは10もしくは20mM DMSO溶液、カスパーゼ−3阻害剤(Sigma製)及びカスパーゼ−9阻害剤(Sigma製)は10mM DMSO溶液となるように調製し、ストック溶液とした。使用時は培養液に対して1,000倍希釈となるように加えた。
<ウェスタンブロット法による活性化カスパーゼ−3及びPARP分解の確認> HeLa細胞(0.5 x 106
cells/mL、10% FBS含有RPMI1640)を30mm dishに1mLずつ播種し、24時間培養した(1サンプルにつき2枚)。培養液を捨て、FBS不含RPMI1640 1mLで洗浄後、C2-ketoCer(1−20μmol)を含むFBS不含RPMI1640 1mLを加え、37℃で所定時間インキュベートした。細胞をセルスクレイパーで剥がし、1 x PBSを用いて1.5mLエッペンドルフチューブに集め、4℃、400gで5分間遠心した(2回)。上清を捨て、Sample buffer 100μL(2% SDS、6M urea、1.1M glycerol、62.5mM Tris-HCl(pH 6.8))を加えて懸濁し、4℃で超音波処理を行い、試料溶液とした。試料溶液20μLを用いてSDS-PAGE(8%:PARP、14%:カスパーゼ−3)を行い、PVDF膜に転写後、ウェスタンブロッティングを行った。
転写後、PVDF膜を5%スキムミルクを含む0.1% Tween 20 TBS溶液(pH 7.5)で0℃で一晩ブロッキングし、抗カスパーゼ−3抗体(Anti-caspase-3 antibody produced in rabbit,
Sigma製、1,000倍希釈)、もしくは抗PARP抗体(Anti-PARP antibody produced in mouse, Trevigen製、1,000倍希釈)を用いて一次抗体反応を60分間行った。0.1% Tween 20 TBS溶液(pH 7.5)で10分間、2回洗浄した後、カスパーゼ−3の場合はアルカリホスファターゼ標識抗ラビットIgG抗体(Anti-rabbit IgG antibody, alkaline phosphatase
conjugated, Sigma製、5,000倍希釈)、PARPの場合はアルカリホスファターゼ標識抗マウスIgG抗体(Anti-mouse IgG antibody, alkaline phosphatase conjugated, Sigma製、5,000倍希釈)を用いて二次抗体反応を60分間行った。0.1% Tween 20
TBS溶液(pH 7.5)溶液で10分間、2回洗浄した後、NBT-BCIP溶液(Sigma製)を加えて発色反応を行い、それぞれのタンパクを確認した。
得られたウェスタンブロッティングの解析結果を図3及び図4に示す。
その結果、C2-ketoCer処理により活性化カスパーゼ−3及びPARP分解が見られ、C2-ketoCerはHeLa細胞についてもアポトーシスを強く誘導することが示された。
ウェスタンブロット法によるミトコンドリアからの漏出シトクロムcの確認
HeLa細胞(0.5 x 106 cells/mL、10% FBS含有RPMI1640)を30mm dishに1mLずつ播種し、24時間培養した(1サンプルにつき2枚)。培養液を捨て、FBS不含RPMI1640 1mLで洗浄後、ketoCer(1-20μmol)を含むFBS不含RPMI1640 1mLを加え、37℃で所定時間インキュベートした。細胞をセルスクレイパーで剥がし、1 x PBSを用いて1.5mLエッペンドルフチューブに集め、4℃、400gで5分間遠心した(2回)。上清を捨て、Protein inhibitor cocktail(Sigma製)を1μL含むLysis buffer A 100μM(0.25M sucrose、0.5mM digitonin、80mM KCl、0.1mM PMSF、1mM DTT、1mM EDTA、1mM EGTA)を加えて懸濁し、氷冷下、5分間静置した。4℃、10,000gで5分間遠心し、上清(細胞質成分)とペレット(ミトコンドリア成分)に分画した。上清を更に4℃、100,000gで5分間遠心し、沈殿物を除去し、これを細胞質画分とした(−80℃で保存)。
ペレットにLysis buffer B 100μL(50mM Tris-HCl(pH 7.4)、150mM NaCl、1%NP-40、0.25% Sodium deoxycholate、1mM EGTA)を加えてピペッティングし、4℃で超音波処理を行った。4℃、10,000gで5分間遠心し、沈殿物を除去し、これをミトコンドリア画分とした(−80℃で保存)。細胞質画分、ミトコンドリア画分共にBCA Protein Assay Kitを用いてタンパク量が均一になるように調製し、SDS-PAGE(14%)の後、PVDF膜に転写し、ウェスタンブロッティングを行った。転写後、PVDF膜を5%スキムミルクを含む0.1% Tween
20 TBS溶液(pH 7.5)で0℃で一晩ブロッキングし、抗シトクロムc抗体(Anti-cytochrome c antibody produced in
mouse, Santa Cruz製、1,000倍希釈)、及び抗β−アクチン抗体(Anti−β−actin antibody produced in mouse、Trevigen製、1,000倍希釈)を用いて一次抗体反応を60分間行った。0.1% Tween 20
TBS溶液(pH 7.5)溶液で10分間、2回洗浄した後、アルカリホスファターゼ標識モノクローナル抗マウスIgG抗体(Monoclonal anti-mouse IgG antibody、alkaline phosphatase
conjugated、Sigma製、5,000倍希釈)を用いて二次抗体反応を60分間行った。Tween T溶液で10分間、2回洗浄した後、NBT-BCIP溶液(Sigma製)を加えて発色反応を行い、それぞれのタンパクを確認した。なお、アクチン染色は各Laneのタンパク量が均一かどうかを判断するために行った。
得られたウェスタンブロッティングの解析結果を図5に示す。その結果、C2-ketoCer処理によりミトコンドリアからシトクロムcの漏出が確認され、誘導されるHeLa細胞のアポトーシスはミトコンドリア経由アポトーシスであることが示された。
ケトセラミド誘導アポトーシスの抑制効果評価法−1:WST assay による市販カスパーゼ阻害剤による細胞死抑制効果の検討 HeLa細胞(0.5 x 105 cells/mL、10% FBS含有RPMI1640)を96穴プレートに100μLずつ播種し、24時間培養した後、培養液を捨て、FBS不含RPMI1640 100μLで洗浄後、カスパーゼ−3阻害剤10μMもしくはDMSOのみを含むFBS不含RPMI1640 100μLを加え、37℃で2時間インキュベートした。5mMケトセラミドストック溶液もしくはエタノールのみをそれぞれの培養液に0.1μLずつ添加し、37℃で30分間インキュベートした。なお、WST試薬(Cell Counting Kit-8、DOJINDO製)は測定を行う2時間前に10μLずつ添加して呈色させた。96穴マイクロプレートリーダーで620nm及び450nmの吸光度差を測定し、未処理の細胞を生存率100%として細胞生存率を評価した。
得られたWST assayの解析結果を図6に示す。その結果、カスパーゼ−3阻害剤(Lane 2,3)及びカスパーゼ−9阻害剤(Lane 4, 5)処理により4時間まで強いアポトーシス阻害が確認されたが、6時間後では細胞死が確認された。
ケトセラミド誘導アポトーシスの抑制効果評価法−2:WST assay によるシトクロムc結合性デンドリマーによる細胞死抑制効果の検討 カスパーゼ阻害剤の代わりに、実施例1に記載のように合成した化合物2aのストック溶液(10,
20mM)を用い、実施例4と同様の操作を行った。
得られたWST assayの解析結果を図7に示す。その結果、カスパーゼ阻害剤で処理した場合と同様、化合物2a処理によりアポトーシス阻害が確認された。
ウェスタンブロット法によるカスパーゼ−3活性化及びPARP切断抑制の確認 HeLa細胞(0.5 x 106
cells/mL、10% FBS含有RPMI1640)を30mm dishに1mLずつ播種し、24時間培養した(1サンプルにつき2枚)。培養液を捨て、FBS不含RPMI1640 1mLで洗浄後、化合物2a(10μM)もしくはDMSOのみを含むFBS不含RPMI1640 1mLを加え、37℃で2時間インキュベートした。5mMケトセラミドストック溶液もしくはエタノールのみをそれぞれの培養液に1μLずつ添加し、37℃で30分間インキュベートした。その後、実施例2と同様の操作を行った。
得られたウェスタンブロッティングの解析結果を図8及びに図9に示す。その結果、化合物2a処理により、カスパーゼ−3の活性化(図8)及びPARP切断(図9)の阻害が見られ、化合物2aのアポトーシス阻害効果が確認された。
本発明のアポトーシス抑制剤は、ミトコンドリア経由アポトーシス誘導時における漏出シトクロムcの捕捉による新たなアポトーシス抑制剤であり、以下に、アポトーシスによる細胞死(変性)を抑制することで治療効果が期待できる代表的な疾患を挙げる。
1.アルツハイマー病アルツハイマー病は進行性の記憶障害と知能低下を主症状とする脳変性疾患であり、ニューロンの変性死により発症することが知られている。この細胞死はアポトーシスにより誘導されることが知られており、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、アルツハイマー病の治療に効果が期待できる。
2.筋萎縮性側索硬化症(ALS)は四肢遠位部の筋力低下、筋萎縮、嚥下傷害を主症状とする脳変性疾患であり、主に下位運動ニューロンが進行性かつ選択的に傷害をうける。不明点は多いが、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、神経成長栄養因子(BDNF)などの遺伝子異常によりニューロンにアポトーシスが誘導されることが明らかになりつつあり、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、筋萎縮性側索硬化症の治療に効果が期待できる。
3.脳虚血後の神経細胞死脳虚血や脳梗塞後に海馬CA1領域に神経細胞死が起こり、記憶障害、神経変性症の原因となる。この細胞死はアポトーシスにより誘導されるので、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、脳虚血後の神経細胞死の治療に効果が期待できる。
4.網膜変性症網膜変性症は10代後半から20代後半にかけて夜盲を発症した後、求心性視野狭窄が進行し40−60代にかけて失明に至ることが多い。これらの症状はアポトーシスによる網膜視細胞の細胞変性に起因するため、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、網膜変性症の治療に効果が期待できる。
5.肝疾患肝炎、肝不全などの肝疾患は肝細胞の細胞死により発症するが、この細胞死がアポトーシスであるので、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、肝疾患の治療に効果が期待できる。
6.心疾患心筋虚血モデル実験としてラット心筋細胞を低酸素状態で培養すると、DNAladderingやFas抗原の増加などが観察されアポトーシスによる細胞死が起こる。心筋梗塞、心不全、肥大心などの心疾患ではこのような心筋細胞のアポトーシスが関与している可能性が示唆されおり、本発明に従うシトクロムc捕捉型アポトーシス抑制剤は、心疾患の治療に効果が期待できる。
本発明アポトーシス抑制剤を構成するデンドリマー化合物の構造式を示す。 本発明アポトーシス抑制剤を構成するデンドリマー化合物の合成スキームを示す。 アポトーシス誘導された培養細胞での活性化カスパーゼ−3について、ウェスタンブロット法による確認結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞でのPARP分解について、ウェスタンブロット法による確認結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞でのミトコンドリアからの漏出シトクロムcについて、ウェスタンブロット法による確認結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞に対する市販カスパーゼ阻害剤の細胞死抑制効果について、WST assay による検討結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞に対する本発明デンドリマー化合物の細胞死抑制効果について、WST assayによる検討結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞に対する本発明デンドリマー化合物のカスパーゼ−3活性化抑制について、ウェスタンブロット法による確認結果を示す。 アポトーシス誘導された培養細胞に対する本発明デンドリマー化合物のPARP切断抑制について、ウェスタンブロット法による確認結果を示す。

Claims (1)

  1. アポトーシス時にミトコンドリアから漏出するシトクロムcを捕捉し、アポトーシスを抑制するアポトーシス抑制剤であって、下記の式で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とするアポトーシス抑制剤。
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