JP4766545B2 - 微小金属物品に適した電着塗装方法 - Google Patents

微小金属物品に適した電着塗装方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気機器用の精密ネジを含む小ネジといった微小金属物品の電着塗装に適した電着塗装方法に関する。
小ネジのような微小金属物品を塗装すると、耐食性を付与することができる上、色による品番ごとの識別性も付与することができ、商品価値が高まる。その際、特にネジ部は精密な寸法制度が要求されるので、物品全体に薄く均一な塗膜が形成されるように塗装を行う必要がある。
従来の一般的な塗装方法である浸漬塗装やスプレー塗装は、鋼板のように平面形状の鋼材に対しては厚みの均一な塗膜を容易に形成できるが、小ネジのような微小物品には、厚みの均一な塗膜を形成することが困難で、特にネジ部の微小な凹部の内部まで均一に塗膜を形成することは極めて困難である。また、塗膜が厚くなりがちで、例えば、厚みが10μm以下というような薄い塗膜を形成しようとすると、非常に希釈した塗料を使用することになり、溶媒の蒸発量が多くなって環境に悪影響を生じ、塗料の無駄も多かった。
微小凹部の内部まで均一に塗膜を形成できる塗装方法として、導電性基材に適用できる電着塗装法がある。電着塗装では、電気めっきと同様に、被塗物に通電することにより皮膜が形成される。しかし、形成された皮膜が、電気めっきでは導電性の金属皮膜であるのに対し、電着塗装では絶縁性の樹脂質の塗膜である。従って、被塗物の表面に付着した塗膜の厚みがある程度以上になると、その部分の導電性が失われ、まだ電着塗膜が付着していない部分、例えば、電流が到達にくい凹部や狭い隙間、に電流が回り込む。そのため、電着塗装は付き回り性に優れ、被塗物に電流が回り込みにくい微小な凹部や狭い隙間が多くあっても、そのような部分まで均一な厚みで塗膜が形成される。
電着塗装法は、例えば、自動車車体などの大型物品の塗装には盛んに利用されているが、微小金属物品の塗装にはほとんど利用されていない。電着塗装を行うには被塗物に通電する必要があるからである。
引っかけが可能な小物物品の電着塗装は、電極として機能する引っかけ治具に塗装すべき小物物品を一つずつ引っかけていくラック掛けと呼ばれる作業を行った後、治具ごと電着塗料液に浸漬し、治具を通して通電することにより電着塗装が行われている。しかし、ラック掛けに人件費がかかり、生産性も大幅に低下する。また、ラック掛けが不可能な、より微小な物品には、この方法は適用できない。
特開2002−30485号公報には、希土類磁石に関して、回転する有孔バレル内に収容した磁石素材を電着溶液に浸漬し、バレルとアノードの間に電圧を印加して、磁石素材をカチオン電着塗装することが開示されている。バレルは導電性材料(例、ステンレス鋼)から形成され、カソードとして機能する。また、通電は、所定電圧に達した後は定電圧に管理し、通電中はバレルを常時回転させている。
特開2002−30485号公報(特許請求の範囲、段落0010、0013、0014)
本発明者らは、上述した有孔バレルを用いたバレル方式の電着塗装法を、例えば、軸径が2mm以下の小ネジといった微小な金属物品に適用してみた。しかし、処理中に物品がバレル内面に付着して、バレル内面から取れなくなる(図1を参照)、あるいは物品同士が接合しあう接合不良(図2を参照)といった現象により、不良品が大量に発生することが判明した。
本発明は、このような不良品の発生を防止しながら微小金属物品を電着塗装することができる、電着塗装金属物品の製造方法を提供することを課題とする。
上述した不良品発生の原因について検討し結果、下記を究明した。
A)ステンレス鋼などの導電性バレルを使用して金属物品の電着塗装を行うと、金属物品の表面だけでなく、バレル内面にも電着塗膜の析出が起こる。そのため、バレル内面に析出した樹脂に、やはり表面に樹脂が析出している金属物品が、樹脂の粘性により付着しやすくなる。物品が微小で軽量であると、バレルを回転した時に物品が自重で剥がれ落ちにくいため、特にこの付着が起こりやすい。バレルの材質を導電性材質にするのは、給電が目的である。
B)バレル電着塗装では物品同士が接触しあった状態で電着塗膜の析出が起こる。そのため、接触しあった物品は、析出した塗膜でつながりあう。物品が微小で軽量であると、バレルが回転しても、塗膜でつながったままになり、不良品となる。
本発明によれば、バレル方式の電着塗装に用いる有孔バレルを樹脂などの絶縁性材料製に変更し、被塗被物(ネジ等の物品)への給電にはバレルの内部または壁面に配置したリード線により行うことにより、バレル内面への物品の付着を防止することができる。さらに、バレルの回転を間欠回転にすることにより、上述した接合不良を防止することができ、給電を電圧制御方式から電流制御方式に変更することにより、微小物品に対しても均一で薄い塗膜を確実に形成できる。
ここに、本発明は、多数の金属物品を絶縁性の有孔回転バレルに入れ、該バレルを電着塗料に浸漬し、該バレルの内部または壁面に配置したリード線を介して給電するとともに、バレルを間欠的に回転させながら電着塗装を行う方法であって、前記バレルの間欠的な回転は回転停止と回転との繰り返しからなり、前記回転停止中は前記金属物品に電着塗膜を析出させ、前記回転中は、前記回転停止中に析出した電着塗膜を介して接合した金属物品を回転に基づく落下衝撃により分離させることを特徴とする、電着塗装された金属物品の製造方法である。
なお、多数とは2以上を意味するが、通常はもちろんずっと多い数である。
好適態様において、本発明は下記の1または2以上を満たす:
前記絶縁性の有孔回転バレルが樹脂製である;
・給電を一定電流で行う;
・電着塗装がカチオン電着塗装である;
・電着塗装により形成された塗膜の厚みが10μm以下である。
図3は、特許文献1に開示されている従来のバレル方式の電着塗装により、小ビスを電着塗装した場合の状況を示す模式図である。
上述したように、バレル内面にも電着塗膜の析出が起こるため、バレル内面への小ネジの付着が起こり、バレルを回転させても、自重で落下せずに、バレル内面に付着したままとなる。このバレル内面付着の状況は、図1の写真からも明らかである。バレル内面付着による不良品に加えて、2個の小ネジが互いに塗膜によりつながってしまう、図2に示すような接合不良品も大量に発生する。これも、やはり自重が軽いため、バレルを回転させた時の落下による衝撃ぐらいでは、つながった小ネジの分離が起こらないためである。
本発明によれば、有孔バレルを樹脂などの絶縁性材料から構成することによって、バレル内面への電着塗膜の析出が起こらなくなり、バレル内面付着による不良品の発生を防止することができる。さらに、好適態様においては、バレルを間欠的に回転させると、後述するように、塗料の析出は、バレルの回転中はほとんど起こらず、バレルの回転停止中に主に起こるため、その際に隣接する小ネジが接合しても、次のバレルの回転中の落下により分離する。そのため、図2に示すような接合不良も効果的に防止することができる。この状況を図4に示す。
従って、本発明によれば、金属物品が小ネジのような微小な物品であっても、バレル電着塗装した場合に、バレル内面への物品の付着や、物品どうしの接合による不良品の発生を防止できる。これにより、微小な電着塗装金属物品をバレル方式の電着塗装により効率よく量産できるようになる。
さらに、一定の電流で給電を行う電流制御方式により電着塗装を行うことにより、電流値と給電時間(これは、バレル回転停止時間の合計時間になる)により電着塗膜の膜厚を容易に制御することができ、ネジ部のような凹部があっても、薄く均一な塗膜を微小物品の表面全体に形成することができ、電着塗装によるネジ部などの寸法精度の実質的な低下が避けられる。
本発明の方法により電着塗装する金属物品は、多数の物品がバレル内に収容可能である限り、特に大きさが限定されるものではない。例えば、最大長さが10cm程度までの小物物品にも本発明の方法を適用することができる。
しかし、本発明の方法が特に有利であるのは、バレル方式による電着塗装ではバレル内面付着や物品同士の接合による不良品が大量に発生し易い、1個当たりの質量が10グラム以下、特に2グラム以下、さらには1グラム以下といった微小な金属物品である。そのような微小金属物品の例は、例えば、軸径が5mm以下、さらには3mm以下程度の小ネジ、ナット、プレス部品、ワッシャーなどである。実施例に示すように、1本当たりの重量が0.06グラムといった極微小のネジにも、本発明の方法により、不良品を発生させずに電着塗装を施すことができる。
金属物品の材質は特に制限されない。鉄鋼が代表的であるが、ステンレス鋼などの合金鋼、さらには真鍮、アルミニウムなどの非鉄金属材料であってもよい。
金属物品が鉄鋼のように耐食性に乏しい材料製のものである場合には、金属物品に塗装前に、適当な防食処理、例えば、めっき、特に亜鉛もしくは亜鉛合金めっき(例、Zn−Ni合金めっき)、を施してもよい。このめっきは、例えば、バレル方式の電気めっきにより行うことができる。めっきの厚みは、特に精度を要求される微小金属物品の場合には、10μm以下とすることが好ましい。
また、必須ではないが、金属物品に塗装前の下地処理を行ってもよい。そのような下地処理として、従来は主にクロメート処理が利用されており、本発明でも利用は可能である。しかし、6価クロムが人体に有害であることから、クロメート処理の規制が進んでいるので、好ましくは、6価クロムを含有しない下地処理を行う。例えば、3価クロムを含有する酸性処理液、シリカ質皮膜または他の金属酸化物系皮膜を形成する各種のノンクロム化成処理などを利用することができる。下地処理はこれに限られるものではない。
電着塗装に用いる有孔バレルは、本発明では、絶縁性材料から構成したものを用いる。それにより、バレルへの電着(塗膜の析出)を防止することができる。バレルは、電着塗装中に腐食することのない任意の絶縁性材料から作製できるが、好ましいのは樹脂である。有孔バレルの素材として好ましい樹脂を例示すると、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂などである。
バレルの回転軸に垂直方向における断面形状は、円形や楕円形でもよく、あるいは図4に示すように多角形(図示例では六角形)でもよい。バレルの壁面に設けた孔は、電着塗料が容易に通過し、かつ塗装される金属部品が抜け出ることのない大きさにする。孔は、樹脂板にパンチングにより形成したものでも、あるいは射出成形などの成形により形成したものでもよい。あるいは、適切な強度が確保されれば、メッシュ(網)などでもよい。バレルの壁面の厚みは、内部に金属部品を入れて塗料中で回転させるのに十分な強度が確保されるように選択する。
バレルが絶縁性であるので、バレル内の金属部品への給電は、バレルに挿入したリード線を介して行う。このリード線は、図7に示すように、被覆ケーブルの先端に露出した金属棒状の接点部を設けたものとすることができる。接点部の材質は鉄合金、銅合金などとすることができる。リード線をバレルの内部に挿入する代わりに、またはそれに加えて、リード線をバレルの壁面に配置することも可能である。例えば、リード線をバレルの孔に通すか、バレル内面に固定することにより、バレル内面に取り付けることができる。ただし、バレルが回転するので、リード線は回転自在にバレル内面に取り付ける必要がある。例えば、リード線に回転自在の接続手段を介在させればよい。
電着塗装に使用する塗料は、樹脂がイオン化しているため、一般に水系塗料である。典型的な電着塗料は、質量%で、水80〜85%、樹脂10〜15%、顔料1〜2%、その他の添加剤1〜5%を含有する。従って、電着塗装には、揮発性有機物をほとんど使用せず、排液処理が簡単である上、スプレー塗装のように塗料スラッジが発生せず、ほぼ完全に塗料を無駄なく使用できるという、さらなる利点がある。スプレー塗装では塗料の半分以上がスラッジになり、その回収と処理のコストがかかる上、塗料の無駄も多い。
電着塗装には、負電荷の樹脂を使用するアニオン型と、正電荷の樹脂を使用するカチオン型があるが、被塗物が陰極になるカチオン型の方が、被塗物の素地への悪影響が避けられるので好ましい。しかし、アニオン型電着塗装も可能である。
使用する塗料の種類は特に制限されないが、外観と耐候性に優れるアクリル樹脂系、または耐食性に優れるエポキシ樹脂系などの塗料を使用することが好ましい。使用する塗料は顔料を配合して任意の色に着色することができる。顔料は、用途に応じて、低トルク用顔料と高トルク用顔料とを使いわけることが好ましい。例えば、塗装される金属物品がネジのように締めつけが必要な物品である場合に、低トルク用顔料を使用することにより、締付け時のトルクを低減させることができる。
電着塗装は、塗装すべき多数の金属物品を入れた有孔バレルを電着塗料に浸漬し、バレル底面に挿入したリード線を介して金属物品に給電することにより行われる。バレルの塗料への浸漬深さは、塗料中に金属物品の全部が浸漬するような量であればよい。
給電中(即ち、電着塗装中)はバレルを間欠的に回転させることが好ましい。それにより、電着塗装中の金属物品どうしの塗膜付着による接合を防止し、金属物品をバラバラな状態に保つことができる。その理由は次のように考えられる。
バレル回転中は、金属物品同士の接触が少ないため、リード線から金属物品への通電は非常に限られ、物品上への塗料の電着が非常に少なくなる。一方、回転を止めると、図4に示した状態となり、金属物品どうしが接触するため、リード線から全ての金属物品に通電され、電着(塗膜の析出)が起こり易くなる。この特性を利用して、給電を続けながらバレルを間欠的に回転させると、回転停止中に塗膜が析出して金属物品どうしが接合しても、その電着量が少量であれば、次のバレル回転時の落下の衝撃により、接合した金属物品は容易に分離する。
つまり、短い回転停止と回転を繰り返すことにより、少量の塗膜の析出(回転停止中)と接合物品の分離(回転中)が交互に繰り返され、金属物品どうしの接合(くっつき)を防止しながら電着塗装を行うことができる。回転停止時間(1回の電着時間)は、薄い塗膜しか析出せず、次の回転時に接合した金属物品がばらけるように設定する。また、回転停止時に接合していた金属物品の接合面には、その時の通電時には塗膜が析出しないが、その後の回転時に分離することで、次回の回転停止時の電着時にはその接合面にも電着塗膜が析出するので、回転と停止を繰り返すことにより、金属物品の全面にまんべんなく電着塗膜を形成することができる。このような状況を図5に示す。
バレルの回転停止時間が長すぎると、図6に示すように、その間に析出した厚い塗膜により物品どうしが接合し、その後の回転中に接合した物品を分離することができず、接合不良が発生する確率が高くなる。逆に、回転時間が長すぎると、物品への給電量が不足し、十分な膜厚が得られないか、電着に非常な長時間を要するようになる。従って、接合不良の発生が防止でき、かつ電着塗装速度もさほど小さくならないように、回転停止時間と回転時間を設定することが好ましい。
バレル回転時の金属物品の落下による衝撃は、金属物品の重さが小さくなるほど小さくなる。従って、他の条件が同じであれば、金属物品が微小になるほど、回転停止時間を短く設定することが好ましい。例えば、バレルの回転停止時間は5〜30秒、回転時間は1〜20秒の範囲で選択することができるが、これは単に例示にすぎない。金属物品の重量、電流値、電着塗料の組成などの条件を考慮して、当業者であれば、適正な回転停止時間と回転時間を実験により決定することができる。
なお、バレル回転中は金属物品への通電がほとんど起こらないので、その間はリード線への給電を停止しても構わない。
バレル内の金属物品への給電効率を高めるには、給電部材であるリード線の接点部の表面積を大きくすることが効果的である。それにより、給電不足がなくなり、物品間の膜厚のばらつきを抑制できる。そのために、リード線接点部の直径および/または長さを大きくすることと、リード線の本数を多くすることができる。例えば、図7(A)〜(C)には2本のリード線を示しているが、リード線を3本以上にしてもよい。また、リード線の接点部の寸法を、例えば、図7(A)の直径10mm、長さ35mmから、図7(B)の直径10mm、長さ70mmに、あるいは図7(C)の直径20mm、長さ70mmに、といったように増大させてもよい。
バレルの回転停止中は、通電による電着のために、リード線の接点部がバレル底面に積み重なっている金属物品に接触している必要がある。リード線をバレル内部に挿入した場合でも、この状況は、リード線の接点部が重くて容易に沈降可能であれば、自然に達成される。その意味でも、接点部の大きさを大きくすることが好ましい。バレル内のリード線の位置は、バレル底面上、積み重なった金属物品の上もしくはその内部、のいずれでもよい。いずれの場合も、リード線から、それに接触している金属物品を経て、互いに接触する金属物品の全体に通電される。
このようにバレルを間欠的に回転させながら電着塗装を行う場合、電着塗装を、従来の一般的な方法である電圧を一定に管理する電圧制御方式ではなく、電流を一定に管理する電流制御方式により行うことが好ましい。
電圧を一定に管理する電圧制御型の電着塗装では、図8(A)に示すように、析出した塗膜の膜厚は、給電開始時の初期に急激に増加し、その後の増加率は緩やかになる。金属物品に常に給電して、その表面に塗膜を連続して析出させる場合には、このような給電方式は、所定の電着塗膜をすばやく析出させることができ、有利である。しかし、本発明のように、塗膜の析出を間欠的に行う場合には、短時間のバレル回転停止中の塗膜の膜厚の制御が困難になり、その間に厚い塗膜が析出して、次のバレル回転中に接合した金属物品が分離しない可能性がある。
一方、電流を一定に管理する電流制御型の電着塗装では、図8(B)に示すように、膜厚は一定割合で増大する。従って、短時間のバレル回転停止時の給電により析出した塗膜の厚みを、その回転停止時間の長さにより容易に制御することができる。それにより、バレル回転停止時の析出厚みを、次のバレル回転により接合した金属物品の分離が可能となる範囲内に確実に制御することが可能となる。
電着塗装の厚みは特に制限されないが、特に小ネジのように微小物品の場合、寸法精度を確保するために、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下であり、例えば、約5μm前後とすることができる。
上述したように、電着塗装では、析出した塗膜が絶縁性であるため、塗膜の厚みがある程度以上になると導電性が失われ、まだ電着塗膜が付着していない凹部や狭い隙間に電流が回り込むので、電着塗装は付き回り性に優れている。特に、本発明の好適態様では、電着塗装が間欠的に行われ、しかも電流制御方式とすることにより、時間で塗膜の膜厚を厳密に制御することができるので、非常に薄い塗膜をネジ部のような凹部の内部まで均一に形成することができる。
(実施例1)
軸径1.7mm、長さ4mmの微小ネジ(重さ:0.06グラム/本)2kgを、ポリ塩化ビニル樹脂製の六角形の有孔バレルに入れ、図7(C)に示すような、直径20mm、長さ70mmの真鍮製リード線2本をバレル内部に挿入し、市販のエポキシ樹脂系カチオン型電着塗料を用いて電着塗装を行った。
通電は、電流を1Aの定電流に管理する電流制御型として、15分間通電した。その間のバレルの回転は、5秒回転、10秒停止の間欠回転とした。前述したように、主に回転停止中に電着塗装が行われるので、実質的な塗装時間は10分間となる。その結果、各微小ネジに膜厚約5μmの均一な電着塗膜が形成された。バレル内面への接合やネジ同士の接合が起こった不良品の発生率は実質的に0%であった。
(実施例2)
バレル回転条件を、10秒回転、50秒停止に変更し、通電時間を12分間に変更した他は、実施例1と同様にして、微小ネジの電着塗装を行った。実質的な塗装時間は、実施例1と同様に10分間となる。このバレル回転条件の場合には、ネジ同士が接合した不良品が約20%発生した。
(比較例1)
バレルを、ほぼ同形状のステンレス鋼メッシュ製の有孔バレルに変更し、バレルの回転条件を変化させて、実施例1と同様に、微小ネジの電着塗装を実施した。但し、バレル自体が導電性であるため、リード線のバレル内部への挿入は行わず、バレルに給電することによって通電を行った。
バレルの回転条件は、(1)実施例1と同じ5秒回転、10秒停止の条件1と、(2)実施例2と同じ10秒回転、50秒停止の条件2の2種類で実験した。
その結果、バレル内面への接合やネジ同士の接合が起こった不良品の発生率は、実施例1と同じ条件1では約40%となり、実施例2と同じ条件2では80%を超えた。条件2の場合、バレル内面に接合した不良品の割合は約30%であった。
比較例1と実施例1、2を比較すると、本発明に従って絶縁性である樹脂製の回転バレルを使用することにより、微小金属物品の電着塗装における不良品の発生を大幅に低減させ、特に間欠回転の停止時間を制御することにより、実施例1に示すように不良品発生を実質的にゼロにできることがわかる。
従来法により小ネジをステンレス網製バレルにより電着塗装した場合の、バレルに付着して不良品となったネジを示す写真。 上記従来法による電着塗装において、ネジ同士の接合により不良品となったネジを示す写真。 上記従来法による電着塗装と不良品発生の状況を示す説明図。 本発明の方法による電着塗装の状況を示す説明図。 バレル回転停止時間が短い場合の電着塗膜の析出、次の回転時の分離、およびその後の回転停止時の電着塗膜の析出の状況を示す説明図。 バレル回転停止時間が長すぎる場合の電着塗膜の析出の状況を示す説明図。 図7(A)〜(C)は、バレルに挿入れた給電に利用される異なる接点部寸法を有するリード線を示す図。 図8(A)および(B)は、それぞれ電圧制御方式および電流制御方式における、時間と電圧、電流、膜厚との関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 多数の金属物品を絶縁性の有孔回転バレルに入れ、該バレルを電着塗料に浸漬し、該バレルの内部または壁面に配置したリード線を介して給電するとともに、バレルを間欠的に回転させながら電着塗装を行う方法であって、
    前記バレルの間欠的な回転は回転停止と回転との繰り返しからなり、
    前記回転停止中は前記金属物品に電着塗膜を析出させ、
    前記回転中は、前記回転停止中に析出した電着塗膜を介して接合した金属物品を回転に基づく落下衝撃により分離させる
    ことを特徴とする、電着塗装された金属物品の製造方法。
  2. 前記絶縁性の有孔回転バレルが樹脂製である、請求項1記載の方法。
  3. 給電を一定電流で行う、請求項1または2記載の方法。
  4. 電着塗装がカチオン電着塗装である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 電着塗装により形成された塗膜の厚みが10μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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