JP4761346B2 - 2層カーボンナノチューブ含有組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、2層カーボンナノチューブ含有組成物に関し、さらに詳しくは、特性および耐久性に優れた2層カーボンナノチューブ含有組成物に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。
カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性等の優れた特性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材として、また、樹脂、金属、セラミックスや有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、透明導電フィルム、金属電解粉、熱伝導性セラミックス、電磁波シールド材の材料として期待されている。さらに、長さLと直径Dとの比L/Dが大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、太陽電池素子、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、水素などの吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。
このように期待が大きいカーボンナノチューブは、いずれの用途に使用される場合であっても、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、また直径の細い単層から5層程度のカーボンナノチューブが有用であり、特に耐久性の点から、2層カーボンナノチューブが有利である。また、グラファイト層の欠陥が少ないものが特性的に優れている。特に、2層カーボンナノチューブは、金属やセラミックスとCNTの複合体を燃料電池やリチウム2次電池用負極材、放熱材料、および電子放出材料として用いることを期待されている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており(非特許文献1参照)、なかでも、触媒化学気相成長法は、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として知られている(非特許文献2参照)。特に、触媒化学気相成長法において、原料にアルコールを用いることにより、直線性の高い単層カーボンナノチューブを高純度で合成できることが知られている(非特許文献3参照)。
しかし、高い特性と高い耐久性を併せ持つ直線性の高い2層カーボンナノチューブは合成できなかった。
斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002), 229-234
本発明の目的は、特性および耐久性にすぐれ、高純度で直線性が高い2層カーボンナノチューブ含有組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、下記(1)(2)を満たすことを特徴とする。
(1)カーボンナノチューブの純度が90%以上であり、かつ透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であり、任意の2層カーボンナノチューブの片端から他端までにおける屈曲部間距離の平均が、50nm以上であること
(2)レーザー波数630〜650cm −1 の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトル350cm −1 以下の領域において、195〜200cm −1 内の最大ピーク強度をA、217〜222cm −1 内の最大ピーク強度をB、195cm −1 未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立すること。
A/B>2.0
A/C>4.0
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、カーボンナノチューブの純度が高いこと、直径が細く、屈曲構造が少なく、直線性に優れた2層カーボンナノチューブの比率が高いため、優れた特性および耐久性を発現することができる。
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、カーボンナノチューブの純度が90%以上であり、かつ透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であり、任意の2層カーボンナノチューブの片端から他端までにおける屈曲部間距離の平均が、50nm以上であることを特徴とする。
カーボン組成物中のカーボンナノチューブの純度が高いほど、導電性や熱伝導性を発現させる用途において、カーボンナノチューブに起因する機能を発現しやすく好ましい。カーボンナノチューブの純度とは、カーボンナノチューブの精製工程で得られた触媒やその担体等の不純物を含むカーボン組成物を、透過型電子顕微鏡で任意に観察した画面上において、カーボン組成物全体の占有面積と、カーボンナノチューブの占有面積の比率で定義するものである。本発明の組成物において、カーボンナノチューブの純度は90%以上であり、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
また、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、透過型電子顕微鏡で任意に観察した画面上において、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上である。これにより2層カーボンナノチューブに起因する高い導電性、熱伝導性および耐久性が発現することができる。本発明において2層カーボンナノチューブの本数は100本中50本以上であり、より好ましくは70本以上、さらに好ましくは90本以上である。
2層カーボンナノチューブの本数は、透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、かつ複数の視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブにおいて、2層カーボンナノチューブの本数を計測するものとし、上記測定を10箇所について行った平均値である。
また、本発明の組成物は、任意に選択した2層カーボンナノチューブの片端から他端までを透過型電子顕微鏡で観察したときに、2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が50nm以上である。ここで、2層カーボンナノチューブ中の屈曲部とは、カーボンナノチューブのグラファイト構造中に炭素5員環と7員環が存在することによる屈曲を言い、透過型電子顕微鏡写真でカーボンナノチューブが折れ曲がって観察される部分のことを言う。屈曲部から屈曲部までの距離が長ければ長いほど、2層カーボンナノチューブの直線性は向上し、導電性、熱伝導性が高い2層カーボンナノチューブとなる。屈曲部間距離は長いほど好ましいため、100nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましく、2層カーボンナノチューブ中に全く屈曲部分がない構造が最も好ましい。
2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離は、透過型電子顕微鏡で選んだ任意の2層カーボンナノチューブについて片端から他端までを顕微鏡内で観察し、1本のチューブ中の屈曲部から屈曲部までの距離の平均を求め、それを10本以上の2層カーボンナノチューブについて平均した値である。
さらに、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、屈曲部間距離の平均が、好ましくは500nm以上、より好ましくは1μm以上であるときに、高い電気、熱伝導性に加えて、カーボンナノチューブの強度が向上する傾向にあり、とりわけ好ましい。
また、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、透過型電子顕微鏡で任意に選択した2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、その外径が1.0から3.0nmの範囲内であることが好ましい。一方、その内径は、任意の2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、0.4から2.2nmの範囲内にあることが好ましい。このように外径および内径が細い2層カーボンナノナノチューブの本数が多いことにより、単位重量あたりのカーボンナノチューブの本数が多くなり、添加剤としてより高い効果が期待される。また、これらは、2層カーボンナノナノチューブの直径の均一性が高いことを示すものであるから、カーボンナノナノチューブの特性を制御しやすい利点がある。
本発明において、2層カーボンナノチューブの外径および内径は、透過型電子顕微鏡において100万倍で観察し、150nm四方の複数の視野中から任意に抽出した100本の2層カーボンナノチューブの外径および内径を計測するものとし、外径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数、および内径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数を求めるものとする。上記測定を10箇所について行い、その平均値を、外径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数、および内径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数とする。
上記の2層カーボンナノチューブの製造法は、特に限定されないが、ゼオライトなどの担体上に金属触媒を担持した化学気相成長法(CVD法)が好んで用いられる。その理由は、量産化が容易であること、カーボンナノチューブと触媒の切り離しが容易であること、および生成するカーボンナノチューブの直径や層数の制御が可能であるためである。
本発明において、カーボンナノチューブの直径は、レーザー波数630〜650cm−1の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルにおいて、スペクトル350cm−1以下の領域により測定することができる。特に2層カーボンナノチューブの場合、外側のチューブと内側のチューブがそれぞれ観察され、特に本観察領域では内側に起因するピークが観察されやすい。
本発明の組成物において、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmに由来するスペクトル195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、直径約1.13nmに由来するスペクトル217〜222cm−1内の最大ピーク強度をB、直径約1.25nm以上に由来するスペクトル195cm−1未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立する。
A/B>2.0
A/C>4.0
これらの関係は、本発明の組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
また、本発明の組成物において、レーザー波数630〜650cm−1の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmに由来するスペクトル195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、直径約0.71〜1.13nmに由来するスペクトル220〜350cm−1内の最大ピーク強度をDとしたときに、以下の関係が成立することが好ましい。
A/D>1.5
この関係は、本発明の組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
また、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、チューブの両端が全て解放端になっている2層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。チューブの両端が解放端になっていることで、端部に官能基が存在し、樹脂や溶媒との親和性が向上するメリットがある。また、チューブ内にガスを吸着させる用途においても、末端が解放端になっていることが好ましい。2層カーボンナノチューブの末端が解放端になっていることは、透過型電子顕微鏡で観察することができる。本発明において、両末端が解放端になっている2層カーボンナノチューブは、透過型電子顕微鏡で観察される任意の2層カーボンナノチューブ中、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、元素分析による金属含有率が1重量%以下であることが好ましい。金属含有率が高いと、ポリマーへ添加する用途、および医療医薬用途において異物となり、人体へ悪影響を及ぼすことが懸念される。金属含有率は低いほど好ましく、より好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、共鳴ラマン散乱測定により、1500〜1650cm−1の範囲内のピークが分裂して観測されることが、好ましい。カーボンナノチューブ組成物中に不純物や構造欠陥が多い場合、ピークがブロードとなり、上記測定範囲でピークが1本のみ観察されるが、カーボンナノチューブの純度が高く、かつ構造欠陥が少ない場合には、1500〜1650cm−1の範囲内のピークに分裂が見られる。
また、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、ラマン分光法によりその品質の評価が可能である。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。本発明にある2層カーボンナノチューブ含有組成物は、そのG/D比が10以上であることが好ましい。本発明の組成物において、G/D比は、より好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。
また、本発明にある2層カーボンナノチューブ含有組成物は、X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比が20以上であることが好ましい。2層カーボンナノチューブ含有組成物をX線光電子分析することにより、カーボンナノチューブを構成している各元素の比率、および、各元素の化学状態を分析することができ、それぞれの化学状態による結合エネルギーの差により単体、酸化物、塩化物などの化学状態を特定することができる。X線光電子分析の測定結果は、通常、炭素(C1s)のメインピークを基準にしてピークシフトを求め、補正した値を用いる。また、それぞれの化学状態由来のピークにピーク分割し、その面積比から、化学状態の組成比が分かる。ピーク分割は、最小二乗法を用いて合成波形のマッチングを行い、最適化するものとし、炭素に起因するピークと、酸素に起因するピークから、それぞれの元素比を求めることができる。本発明において、X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比が、好ましくは20以上であるとは、カーボンナノチューブ中の官能基数が少ない、つまり、構造欠陥が少ないことを意味するものである。カーボンナノチューブ中の構造欠陥が少ないことから、導電性や電気伝導性が高いカーボンナノチューブとなる。
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、電子放出材料として高い特性を示すものである。電子放出材料として求められる特性は、電界集中が起こりやすい構造をとることにあり、直径が細い方が好ましい。一方、単層カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの中で最も細い直径を取りやすいものであるが、電圧を印加することで構造破壊を起こしやすく、耐久性の点から2層以上の層数を持つカーボンナノチューブが好んで用いられる。以上の理由から、直径が細い2層カーボンナノチューブが、最も好ましい電子放出材料となる。また、カーボンナノチューブに屈曲部分が多いと、電気伝導性が低く、電子放出特性は低下する。そのため、本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、屈曲間距離が長いことから、電子伝導性の点からも好ましい電子放出材料である。
本発明の2層カーボンナノチューブ含有組成物は、フィルム上にコーティングすることにより、光透過率が85%以上、かつ表面抵抗が1000Ω/□以下である透明導電フィルムを作製することができる。光透過率を85%以上とするためには、少ないカーボンナノチューブ塗布量で高い導電性を発現する必要がある。そのためには、個々のカーボンナノチューブが高い導電性を有する必要があり、屈曲構造が少ない方が好ましい。また、直径が細いカーボンナノチューブを用いることで、少ない重量添加量でより多くの本数のカーボンナノチューブを添加することができ好ましい。ただし、単層カーボンナノチューブでは、バンドル構造を取りやすく、かつ、そのバンドルをほぐすことが困難である。2層カーボンナノチューブは、直径が細いとバンドル構造を取るものの、自重が単層カーボンナノチューブに比べて重く、バンドル構造をほぐすことが容易である。
本発明において、フィルムの光透過率は、JIS−R3106に準拠して測定された値であり、フィルムの表面抵抗値は、JIS−K6911に準拠して測定された値である。
本発明の透明導電フィルムにおいて、フィルム基材には高分子フィルムの樹脂材料を用いることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、トリアセテート、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が好ましく挙げられ、特に強度面でポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセテートが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、トリアセテートがとりわけ好ましい。
<実施例1:2層カーボンナノチューブの合成>
(MCM−41の合成)
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:アルドリッチ製)3.64gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH:アルドリッチ製)1.45gを35℃のイオン交換水28.8mlに加えた後に、ヒュームドシリカ(アルドリッチ製)2.4gを加え1時間撹拌した。20時間エージング後に、オートクレーブに移し、150℃で96時間、水熱合成した。水熱合成後に生成物をろ取、洗浄後に550℃で8時間焼成後に、800℃で1時間焼成した
(MCM−41への金属塩の担持)
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、MCM−41を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、MCM−41粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径32mmの石英管の中央部に配置された石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を925℃に加熱した(昇温時間60分)。925℃に到達した後、反応管内を真空引きし、10Pa以下になったことを確認後に、エタノール蒸気を100Paの圧力になるように20分間導入した。エタノール蒸気の導入を止めた後に、高純度アルゴンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給し、温度を室温まで冷却し、2層カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の高分解能透過型電子顕微鏡分析)
図1は、得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察した写真図である。図1から明らかなように得られたカーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が2層のカーボンナノチューブがカーボンナノチューブに占める割合は80%以上であった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、そのチューブ外径が1.0〜3.0nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの外径は1.2から2.5nmを示すものが多く、外径の平均は2.2nmであった。一方、2層カーボンナノチューブの100本中、80本以上が、そのチューブ内径が0.4〜2.2nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの内径は0.5〜1.8nmを示すものが多く、内径の平均は1.5nmであった。また、屈曲間距離の平均は、約800nmであった。ナノチューブの末端部分の構造は、観察された2層カーボンナノチューブの90%以上が開放端であった。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の共鳴ラマン分光分析)
上記により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)を用いて、レーザー波数630〜650cm−1で測定してG/D比を求めた結果、G/D比は、約12であり、Gバンドは分裂して観測された。また、350cm−1以下の領域において、195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、217〜222cm−1内の最大ピーク強度をB、195cm−1未満の最大ピーク強度をC、220〜350cm−1内の最大ピーク強度をDとしたときに、ピーク強度比は、A/B>3.5、A/C>6.0、A/D>2.5であった。
(精製・元素分析)
上記のようにして得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を、空気中400℃で30分間焼成した後に、トルエン50cc(和光純薬製)に加え、40分間超音波振動を加えた。次に、イオン交換水50ccを加え、10分間、激しく攪拌した。黒色のトルエン相と灰色の水相を分液漏斗で分け、トルエン相をろ過した。トルエン相はカーボンナノチューブを主成分とし、水相はMCM−41、触媒金属を主成分とすることを、SEMおよびX線分析装置(EDX;オックスフォード社製ISIS)で確認した。トルエン相から回収されたカーボンナノチューブ組成物のEDX元素分析の結果、鉄の含有量は0.03重量%、コバルトの含有量は0.2重量%であった。
(X線光電子分析)
上記のようにして精製したカーボンナノチューブを含有する組成物を、X線光電子分析(島津製作所社製ESCA−1000)により元素の組成比を測定し、前述の方法により分析した結果、炭素原子/酸素原子比が30であった。
<実施例2>
(2層カーボンナノチューブを含む組成物の電子放出特性)
実施例1で得られた2層カーボンナノチューブ含有組成物を1−プロパノールに分散し、直径10mmφのステンレス基板上にスプレー塗布した。該基板を、エミッションプロファイラ(東京カソード製)のチャンバー内に設置し、チャンバー内を10−7Paまで真空引きした。カーボンナノチューブを塗布した基板をカソードとし、アノードを対向して設置し、カソード/アノード間距離を100μmに設定した。両電極間に電圧を印加した結果、130V印加時にエミッションに起因する電流値が観察されはじめ、270V印加時に電流値が1000μA/cmに達した。
<実施例3>
(2層カーボンナノチューブを含む透明導電フィルム)
実施例1で得られた2層カーボンナノチューブ含有組成物10mgをイオン交換水に加え、次いでドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30mgを添加し、超音波振動を30分間加えたところ、黒色の懸濁液が得られた。これをPETフィルム(10cm、厚み175μm)に数滴滴下し、バーコーター(No.8)で塗布した。水を乾燥させた後、光透過率(JIS−R3106準拠)と表面抵抗(JIS−K6911準拠)を測定した。上記塗布操作および物性測定を数回繰り返し、光透過率が85%以上を維持したときの表面抵抗を測定した結果、650Ω/□であった。
本発明によれば、直線性の高い2層カーボンナノチューブを高収率で合成することができる。
実施例1で得られた2層カーボンナノチューブ含有組成物の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。

Claims (12)

  1. 下記(1)(2)を満たす2層カーボンナノチューブ含有組成物。
    (1)カーボンナノチューブの純度が90%以上であり、かつ透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であり、任意の2層カーボンナノチューブの片端から他端までにおける屈曲部間距離の平均が、50nm以上であること
    (2)レーザー波数630〜650cm −1 の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトル350cm −1 以下の領域において、195〜200cm −1 内の最大ピーク強度をA、217〜222cm −1 内の最大ピーク強度をB、195cm −1 未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立すること。
    A/B>2.0
    A/C>4.0
  2. さらに下記(3)を満たす請求項1に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
    (3)前記共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルにおいて、220〜350cm −1 内の最大ピーク強度をD としたときに、以下の関係が成立すること。
    A/D >1.5
  3. 任意の2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、そのチューブ外径が1.0〜3.0nmである請求項1または2に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  4. 任意の2層カーボンナノチューブの100本中、80本以上が、そのチューブ内径が0.4〜2.2nmである請求項1,2または3に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  5. 前記2層カーボンナノチューブの両端が、開放端となっている2層カーボンナノチューブを含む請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  6. 元素分析による金属含有率が1重量%以下である請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  7. 前記共鳴ラマン散乱測定により、1500〜1650cm−1の範囲内のピークが分裂して観測される請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  8. 前記共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内の最大ピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内の最大ピーク強度をDとしたとき、G/D比が10以上である請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  9. X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比が20以上である請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  10. 前記屈曲部間距離の平均が、500nm以上である請求項1からのいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物を含む電子放出材料。
  12. 請求項1から10のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物を含み、光透過率が85%以上、かつ表面抵抗が1000Ω/□以下である透明導電フィルム。
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