JP4754802B2 - 逆方向のc軸圧電材料を備えた音響結合変成器 - Google Patents

逆方向のc軸圧電材料を備えた音響結合変成器 Download PDF

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Description

本発明は、c軸圧電材料を備えた音響結合変成器に関する。
変成器は、インピーダンスの変換、平衡回路要素に対するシングル・エンド回路要素の連結またはその逆、電気的遮蔽といった機能を実施するため、多様なタイプの電子装置において利用されている。しかし、全ての変成器が、これらの特性の全てを備えているわけではない。例えば、自動変成器では、電気的遮蔽は行えない。
VHF周波数までの可聴周波数およびRF周波数で動作する変成器は、一般に、透磁率の高い鉄心に一次巻線および二次巻線が結合されたものとして造られている。巻線の電流は、磁束を発生する。鉄心は磁束を封じ込め、巻線間の結合を強める。この周波数範囲で動作可能な変成器は、オプティカル・カプラを用いて実現することも可能である。この態様で用いられるオプト・カプラは、当該技術においてオプト・アイソレータと呼ばれる。
結合巻線またはオプト・カプラをベースにした変成器の場合、入力電気信号は、適合する変成構造(すなわち、別の巻線または光検出器)と相互作用する異なる形態(すなわち、磁束または光子)に変換され、出力において電気信号として復元される。例えば、オプト・カプラは、発光ダイオードを用いて入力電気信号を光子に変換する。光子は、光ファイバまたはアイソレーションをもたらす自由空間を通過する。光子によって照射されるフォトダイオードは、光子流から出力電気信号を発生する。出力電気信号は、入力電気信号の複製である。
UHFおよびマイクロ波周波数において、鉄心ベースの変成器は、鉄心における損失、巻線における損失、巻線間のキャパシタンス、および、波長に関連した問題を防止するのに十分な小型化が困難であるといった要因のために非実用的になる。こうした周波数のための変成器は、例えば、マルシャン・タイプ、直列入力/並列出力接続線路等のような4分の1波長伝送線路をベースにしている。微細機械加工されて結合されたコイル・セットをベースにし、波長効果が重要ではないほど十分に小さい、変成器も存在する。しかし、こうした変成器にも、やはり、高挿入損失に関する問題がある。
UHFおよびマイクロ波周波数での利用に関して解説したばかりの変成器は、全て、その寸法のために、携帯電話のような最新の小型高密度用途に利用するにはあまり望ましくないということになる。こうした変成器は、バッチ・プロセス方式で製造することができないので、また、基本的にオフ・チップ解決法であるため、やはりコストが高くつく傾向がある。さらに、こうした変成器の帯域幅は、一般に、携帯電話にとって許容できるが、その挿入損失は、一般に、1dBを超え、あまりに高すぎる。
オプト・カプラは、入力LEDの接合キャパシタンス、光検出器に固有の非線形性、制限のあるパワー処理能力、および、優れた同相分除去(common mode rejection)を施すには不十分な遮蔽のため、UHFおよびマイクロ波周波数では用いられない。
米国特許出願第10/699,481号明細書には、膜状音響結合変成器の開示がある。図1Aには、こうした音響結合変成器の実施態様100の概略が例示されている。音響結合変成器100は、基板102のキャビティ104上に配置された第1のスタック型バルク音響共鳴器(SBAR)106と第2のSBAR108を備えている。各SBARは、スタック対をなす膜状バルク音響共鳴器(FBAR)と、FBAR間にある音響デカプラを備えている。すなわち、SBAR106は、スタック対をなすFBAR110および120と、それらの間にある音響デカプラ130を備えており、SBAR108は、スタック対をなすFBAR150および160と、それらの間にある音響デカプラ170を備えている。FBARは、それぞれ、向かい合った平面電極と、電極間の圧電材料層を備えている。例えば、FBAR110は、向かい合った平面電極112および114と、電極間の圧電材料層116を備えている。
音響結合変成器100は、さらに、SBAR106のFBARの一方をSBAR108のFBARの一方に接続する第1の電気回路141と、SBAR106のFBARの他方をSBAR108のFBARの他方に接続する第2の電気回路142を備えている。
図1Aに示す上述の音響結合変成器の実施態様では、電気回路141は、それぞれのFBARを非並列に接続し、電気回路142は、それぞれのFBARを直列に接続する。この実施態様は、電気回路141と電気回路142との間のインピーダンス変換比が1:4、または、電気回路142と電気回路141との間のインピーダンス変換比が4:1である。
他の実施態様では、電気回路141は、SBAR106のFBARの一方をSBAR108のFBARの一方に対して非並列または直列をなすように電気的に接続するか、電気回路142は、SBAR106のFBARの他方をSBAR108のFBARの他方に対して非並列または直列をなすように電気的に接続する。
上述の音響結合変成器の実施態様は、全て、サイズが小さく、平衡回路要素に対するシングル・エンド回路要素の連結またはその逆を実施することが可能であり、一次側と二次側の間に電気的遮蔽を施す。詳細に上述の実施態様は、やはり、公称では電気的に平衡である。
図1Aに示す実施態様は、いくつかの用途にとって特に重要である。しかし、この実施態様は公称では電気的に平衡であるが、その同相分除去は、多くの潜在的用途における要求を下回る。さらに、非並列に接続されたFBARに異なるレベルの電極を接続する必要があるので、この実施態様の変成器を製作する複雑性が増すことになる。
米国特許第6,262,637号明細書 米国特許第6,215,375号明細書 米国特許第5,587,620号明細書 米国特許第6,107,721号明細書
従って、本発明の目的は、上述の音響結合変成器の利点を備えるが、より同相分除去に優れ、より製作が容易な音響結合変成器を提供することにある。
第1の態様において、本発明によれば、それぞれ、スタック対をなす膜状バルク音響共鳴器(FBAR)を備え、FBAR間に音響デカプラが設けられた、第1と第2のスタック型バルク音響共鳴器(SBAR)を備える、膜状音響結合変成器が得られる。各FBARは、向かい合った平面電極を備えており、その電極間に圧電材料の層が設けられている。圧電材料はc軸を備えている。第1の電気回路は、第1のSBARのFBARの一方を第2のSBARのFBARの一方に接続し、第2の電気回路は、第1のSBARのFBARの他方を第2のSBARのFBARの他方に接続する。FBARの1つの圧電材料のc軸は、他の3つのFBARの圧電材料のc軸と逆方向である。この構成によって、音響デカプラ両端間の信号周波数電圧の振幅が大幅に小さくなり、変成器の同相分除去比が大幅に増すことになる。この構成によれば、導電性音響デカプラの利用も可能になり、音響デカプラ材料の利用可能な選択の範囲が広がることになる。
第2の態様において、本発明によれば、第1のスタック型バルク音響共鳴器および第2のスタック型バルク音響共鳴器(SBAR)が製作される膜状音響結合変成器の製造方法が得られる。SBARの製作において、下方の対をなす膜状バルク音響共鳴器(FBAR)、上方の対をなすFBAR、および、FBAR間の音響デカプラが形成される。FBARには、それぞれ、向かい合った平面電極と、電極間の圧電材料の層が含まれている。圧電材料はc軸を備えている。FBAR対の形成には、FBARの1つの圧電材料のc軸が他の3つのFBARの圧電材料のc軸と逆方向になるように設定するステップが含まれる。さらに、この方法には、第1のSBARのFBARの一方を第2のSBARのFBARの一方に電気的に接続し、第1のSBARのFBARの他方を第2のSBARのFBARの他方に電気的に接続するステップが含まれている。
実施態様の1つでは、FBAR対の形成時に、金属層を堆積させて、パターン形成を施すことによって、1対の電極が形成され、電極の上に、圧電材料の層が堆積させられる。圧電材料層の堆積に先立って、電極の1つの上に逆方向のc軸の圧電材料によるシード層を堆積させることによって、FBARの1つの圧電材料のc軸が、他の3つのFBARの圧電材料のc軸と逆方向に設定される。
もう1つの実施態様では、FBAR対の形成時に、金属層を堆積させて、パターン形成を施すことによって、1対の電極が形成され、電極の上に、圧電材料の層が堆積させられる。この堆積層には、電極の一方における逆方向のc軸の材料による領域と、電極のもう一方における通常のc軸材料による領域が含まれている。異なる堆積条件を利用してこれらの領域を堆積させることによって、FBARの1つの圧電材料のc軸は、他の3つのFBARの圧電材料のc軸と逆方向に設定される。
もう1つの実施態様では、FBAR対の形成時に、金属層を堆積させて、パターン形成を施すことによって、1対の第1の電極が形成され、第1の電極の上に強誘電性圧電材料の層が堆積させられ、追加金属層を堆積させて、パターン形成を施すことによって、第1の電極と向かい合った1対の第2の電極が形成される。第1の電極の一方と第2の電極の向かい合った一方の間に公称極性の分極処理電圧を印加し、前記第1の電極のもう一方と前記第2の電極の向かい合ったもう一方の間に逆極性の分極処理電圧を印加することによって、FBARの1つの圧電材料のc軸が、他の3つのFBARの圧電材料のc軸と逆方向に設定される。
膜状バルク音響共鳴器(FBAR)は、FBARの一部を構成する圧電材料が極性依存性である結果として、極性依存素子である。FBARの電極間にある特定の極性の電圧が印加されると、FBARの厚さが第1の方向において変化し、一方、逆極性の同じ電圧によって、FBARの厚さが第1の方向とは逆の第2の方向において変化する。例えば、ある特定の極性の電圧によって、FBARの厚さが増し、一方、逆極性の電圧によって、FBARの厚さが減ることになる。FBARの厚さは、電極間におけるFBARの寸法である。同様に、FBARの厚さを第1の方向において変化させる機械的応力がFBARに加えられると、FBARの電極間にある特定の極性の電圧が発生し、一方、FBARの厚さを第1の方向とは逆の第2の方向において変化させる機械的応力によって、FBARの電極間に逆極性の電圧が発生することになる。例えば、FBARの厚さを増す機械的応力がFBARに加えられると、ある特定の極性の電圧が発生し、一方、FBARの厚さを減らす機械的応力によって、逆極性の電圧が発生することになる。
結晶族における6mmの窒化アルミニウム(AlN)のような圧電材料は、a軸およびb軸が六角形の平面内にあり、c軸が六角形の平面に対して直交する、六方晶系の単位胞を備えている。FBARの圧電材料のc軸方向によって、電圧の極性とFBARの厚さの変化方向の関係が決まる。上記例は、圧電材料のc軸がある特定の方向に向けられたFBARを用いることによって得られる。圧電材料のc軸が第1の方向とは逆の第2の方向に向けられたFBARの場合、FBARの電極間にある特定の極性の電圧を印加すると、FBARの厚さが第2の方向に変化し、一方、逆極性の電圧によって、FBARの厚さが第1の方向に変化する。同様に、FBARの厚さを第1の方向に変化させる機械的応力がFBARに加えられると、FBARの電極間に逆極性の電圧が発生し、一方、FBARの厚さを第1の方向とは逆の第2の方向に変化させる機械的応力がFBARに加えられると、FBARの電極間にある特定の極性の電圧が発生することになる。その上にFBARが浮かされた基板に向かってc軸が延びている圧電材料は、本明細書において、逆方向のc軸材料と呼ぶことにする。その上にFBARが浮かされた基板から遠ざかる方向にc軸が延びている圧電材料は、通常のc軸材料と呼ぶことにする。
図1Aに示す実施態様100のような上述の米国特許出願第10/699,481号明細書に記載の膜状音響結合変成器の実施態様において、変成器100を構成するFBAR110、120、150、および、160のそれぞれの圧電層116、126、156、および、166は、通常のc軸材料の層である。通常のc軸材料のc軸方向は、矢印144によって表示されている。あるいはまた、下方のFBAR110および150のそれぞれの圧電層116および156は、通常のc軸材料による層であり、上方のFBAR120および160のそれぞれの圧電層126および166は、逆方向のc軸材料による層である。逆方向のc軸材料のc軸方向は、矢印145によって表示されている。さらなる代替例では、下方のFBAR110および150のそれぞれの圧電層116および156は、逆方向のc軸材料による層であり、上方のFBAR120および160のそれぞれの圧電層126および166は、通常のc軸材料による層である。
発明者の発見によれば、上述のc軸配向をなす音響結合変成器の場合、変成器の通常動作中に、音響デカプラ130および170の両側の電極間に、信号周波数電圧差が生じる。例えば、図1Aに示す実施態様が、電極112および154が接地され、電極122および162がセンタ・タップ端子143に接続される、典型的な応用例において用いられる場合、図1Bに示すように、音響デカプラ130の両側の電極114と122との間に、信号周波数電圧差が生じる。電極114および122と音響デカプラ130から構成されるコンデンサに印加されると、この電圧差は、変成器100の同相分除去を損なうことになる。このコンデンサのキャパシタンスは、175で略示されている。実施態様によっては、さらに、音響デカプラ170の両側の電極154と162との間に信号周波数電圧差が生じるものもある。電極154および162と音響デカプラ170から構成されるコンデンサに印加されると、この電圧差は、さらに、変成器100の同相分除去を損なうことになる。このコンデンサのキャパシタンスは、176で略示されている。
本発明による音響結合変成器のFBARの1つの圧電層は、残りの3つのFBARの圧電層のc軸と逆方向のc軸を備えている。これによって、両方のSBARの音響デカプラの両側における電極を同じ電位に保持することが可能になる。音響デカプラおよび隣接する電極によって形成されるコンデンサの両端に信号周波数電圧差が生じないので、コンデンサのキャパシタンスが無関係になり、それに付随して変成器の電気的特性が向上する。さらに、FBARの1つが、c軸が残りの3つのFBARの圧電層とは逆方向の圧電層を備えていることによって、FBARにおけるレベルの異なる電極間の電気的接続が不要になり、このため、本発明による変成器の製作が簡単になる。
図2A〜2Cには、それぞれ、本発明による膜状音響結合変成器の典型的な実施態様200に関する平面図と2つの断面図が示されている。音響結合変成器200は、平衡回路要素に対するシングル・エンド回路要素の連結またはその逆を実施することが可能であり、図1Aに示す変成器100よりも同相分除去に優れている。図示の例によって、さらに、一次側と二次側との間の電気的遮蔽も施される。音響結合変成器200は、変成器の一次端子に電気回路のどちらが接続されるかに応じて、インピーダンス変換比が1:4または4:1になる。音響結合変成器200は、1:4変成器として接続される場合には、二次側が平衡になり、そうではなく、4:1変成器として接続される場合には、一次側が平衡になる。
音響結合変成器200は、2つのスタック型バルク音響共鳴器(SBAR)206および208から構成されている。各SBARは、スタック対をなす膜状バルク音響共鳴器(FBAR)と、それらの間にある音響デカプラから構成されている。変成器200は、さらに、SBAR206のFBARの一方をSBAR208のFBARの一方に接続する電気回路と、SBAR206のFBARのもう一方をSBAR208のFBARのもう一方に接続する電気回路から構成されている。音響デカプラを組み込んだSBARについては、本開示の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第10/699,289号明細書にさらに詳細な記述がある。
SBAR206は、スタック対をなすFBAR210および220と、それらの間の音響デカプラ230から構成されている。音響デカプラ230は、FBAR210と220との間における音響エネルギの結合を制御する。SBAR208は、スタック対をなすFBAR250および260と、それらの間の音響デカプラ270から構成されている。音響デカプラ270は、FBAR250と260との間における音響エネルギの結合を制御する。
FBAR220は、FBAR210の上にスタックされ、FBAR260は、FBAR250の上にスタックされている。FBAR210は、向かい合った平面電極212および214と、電極間にある圧電材料の層216から構成されている。FBAR220は、向かい合った平面電極222および224と、電極間にある圧電材料の層226から構成されている。FBAR250は、向かい合った平面電極252および254と、電極間にある圧電材料の層256から構成されている。FBAR260は、向かい合った平面電極262および264と、電極間にある圧電材料の層266から構成されている。
SBAR206およびSBAR208は、基板202に形成されたキャビティ204の上に浮かされている。キャビティの上にSBARを浮かすことによって、SBARのFBARを機械的に共振させることが可能になる。FBARの機械的共振を可能にする他の浮かせる方式も可能である。例えば、SBARは、その開示が参考までに本明細書において援用されている、Lakinによる米国特許第6,107,721号明細書に開示のように、基板202内または上に形成された不整合の音響ブラッグ・リフレクタ(不図示)の上に配置することが可能である。
FBARの1つの圧電層は、そのc軸が残りの3つのFBARの圧電層とは逆方向の圧電材料から構成されている。図示の例の場合、FBAR250の圧電層256の圧電材料は、逆方向のc軸材料である。圧電層256の逆方向のc軸材料のc軸方向は、矢印248によって表示されている。残りの3つのFBAR210、220、および、260の圧電層216、226、および、266の圧電材料は、通常のc軸材料である。圧電層216、226、および、266の通常のc軸材料のc軸方向は、それぞれ、矢印246、247、および、249によって表示されている。他の実施態様では、FBARの任意の1つの圧電層の圧電材料は、逆方向のc軸材料であり、残りのFBARの圧電層の圧電材料は、通常のc軸材料である。あるいはまた、FBARの任意の1つの圧電層の圧電材料が、通常のc軸材料であり、残りの3つのFBARの圧電層の圧電材料は、逆方向のc軸材料である。
図3は、音響結合変成器200の電気回路の概略図である。第1の電気回路241は、SBAR208のFBAR250の電極252をSBAR206のFBAR210の電極212に接続する電気トレース236と、FBAR250の電極254をFBAR210の電極214に接続する電気トレース237から構成されている。従って、電気回路241は、FBAR210と250を並列に接続する。しかし、FBAR250の圧電層256のc軸方向は逆のため、並列に接続されたFBAR210と250は、非並列に接続された従来のFBARと電気機械的特性が同じである。第1の電気回路241は、さらに、電極212および252を端子232に電気的に接続する電気トレース233と、電極214および254を端子272に電気的に接続する電気トレース273から構成されている。端子232および272は、ボンディング・パッドとしての構造をなしている。並列および非並列という用語については、さらに後述する。
第2の電気回路242は、SBAR206のFBAR220の電極222をSBAR208のFBAR260の電極262に電気的に接続する電気トレース238から構成されている。第2の電気回路242は、さらに、FBAR220の電極224を端子234に電気的に接続する電気トレース235と、FBAR260の電極264を端子274に電気的に接続する電気トレース275から構成されている。FBAR220および260の圧電層226および266のc軸方向が、それぞれ、同じであるため、電気回路242は、FBAR220および260を直列に接続する。端子234および274は、ボンディング・パッドとしての構造をなしている。
ある実施態様の場合、端子232および272は、膜状音響結合変成器200の一次端子を構成し、端子234および274は、二次端子を構成している。このように接続されると、音響結合変成器200は、昇圧変成器の働きをする。一次端子232および272に加えられた信号は、二次端子234および274から2倍のレベルで出力される。また、FBAR210、220、250、および、260の全ての特性インピーダンスが同様である典型的な実施態様の場合、一次端子232および272で観測されるインピーダンスは、並列をなす2つのFBARのインピーダンス、すなわち、単一FBARの典型的な特性インピーダンスの2分の1であり、一方、二次端子234および274で観測されるインピーダンスは、直列をなす2つのFBARのインピーダンス、すなわち、単一FBARの典型的な特性インピーダンスの2倍である。従って、音響結合変成器200の一次側と二次側のインピーダンス比は、1:4になる。
代替実施態様の場合、端子232および272は、膜状音響結合変成器200の二次端子を構成し、端子234および274は、一次端子を構成している。このように接続されると、音響結合変成器200は、降圧変成器の働きをする。この場合、二次端子234および274から出力される信号は、一次端子232および272に加えられた信号レベルの2分の1になり、一次側と二次側のインピーダンス比は4:1になる。
電気回路241は、FBAR210および250を電気的に並列に接続するので、端子232および272に加えられる入力電気信号は、FBAR210および250に対して等しく同相で加えられる。FBAR210を機械的に収縮させる電気信号が端子232および272に加えられると、FBAR210および250の圧電層216および256のc軸方向が、それぞれ、逆のため、FBAR250が同じ量だけ機械的に伸張することになるが、逆もまた同様である。FBAR250によって発生する音響エネルギは、従って、FBAR210によって発生する音響エネルギと逆相をなす。このため、FBAR260がFBAR250から受ける音響エネルギは、FBAR220がFBAR210から受ける音響エネルギと逆相になり、電極264の信号は、電極224の信号と逆相になる。電気回路242は、FBAR220および260を直列に接続するので、端子234と274との電圧差は、FBAR220および260のいずれかの両端における電圧の2倍になる。
端子234および274のそれぞれと基板202との間には、ほぼ同じキャパシタンスが存在する。従って、膜状音響結合変成器200の回路242は、電気的に平衡である。さらに、典型的な用途の場合、端子272が、接地され、端子234および274は、大地電位付近で対称的な揺れを生じるので、音響デカプラ230および270両端間の交流信号の振幅は小さい。音響デカプラの両側にある電極間のキャパシタンス(図1Bに示すキャパシタンス175および176と同様の)は、従って、回路242の電気的平衡にほとんど影響しない。従って、変成器200は、図1Aに示す変成器100よりも同相分除去に優れている。さらに、音響デカプラの両端間における交流信号が欠乏するので、音響デカプラに導電性材料を利用することが可能になる。
現在では、本開示の譲受人に譲渡され、参考までに、本開示において援用されている、Ruby他による「Tunable Thin Film Acoustic Resonators and Method of Making Same」と題する米国特許第5,587,620号明細書には、FBARの開示がある。この特許における開示には、3つの平面電極と交互配置された、2つの圧電材料の層から構成されるスタック型バルク音響共鳴器(SBAR)も開示されている。この特許のSBARは、圧電層間の電極が両方のFBARに対して共通である、スタック対をなすFBARから構成されているものとみなすことが可能であり、共通電極SBARと呼ぶことにする。共通電極によって、共通電極SBARは、一部の用途では望ましい、一次側と二次側の間に電気的遮蔽を施すことが不可能になる。さらに、共通電極SBARは、大部分の用途において利用に適さないことになる、極度に狭い通過帯域幅を示す。狭い通過帯域幅は、共通電極がFBAR間の音響エネルギを過剰結合する結果である。
上述のように、本発明による変成器200の場合、音響デカプラ230が、スタック型FBAR210と220の間における音響エネルギの結合を制御し、音響デカプラ270が、スタック型FBAR250と260の間における音響エネルギの結合を制御する。さらに、音響デカプラ230および270が電気的に絶縁性である実施態様の場合、音響デカプラ230によって、FBAR210がFBAR220から分離され、音響デカプラ270によって、FBAR250がFBAR260から電気的に分離される。こうした実施態様の場合、音響デカプラ230および270によって得られる電気的遮蔽によって、変成器200の一次側と二次側との電気的遮蔽が施される。
音響デカプラ230および270によって得られる音響結合は、上述の共通電極SBARのFBAR間における音響結合に比べて大幅に少ない。結果として、FBAR210および220とFBAR250および260は、過剰結合しなくなり、変成器200は、図5に関連して後述するように、通過帯域における応答が比較的フラットになる。
図2A〜図2Cに示す音響デカプラ230および270の実施態様は、音響デカプラ230がFBAR210の電極214とFBAR220の電極222の間に配置された音響デカプリング材料の層から構成され、音響デカプラ270が、FBAR250の電極254とFBAR260の電極262の間に配置された音響デカプリング材料の層から構成されている、第1の実施態様である。
図4Aは、音響デカプラ230の上述の第1の実施態様を組み込んだSBAR206の一部をさらに詳細に示した拡大図である。さらに、図2Aおよび2Bを参照すると、SBAR208および音響デカプラ270の対応する部分は、構造が同様であり、別個の解説は控えることにする。図示の例の場合、音響デカプラ230は、FBAR210の電極214とFBAR220の電極222の間に配置された音響デカプリング材料の層231から構成されている。音響デカプリング材料の層231は、さらに、FBAR250の電極244とFBAR260の電極262の間に延びて、SBAR208の音響デカプリング層270を形成している。他の実施態様には、別個ではあるが、同様の音響デカプリング材料の層によって、それぞれ、音響デカプラ230および270が形成されるものもある。
層231の音響デカプリング材料の重要な特性は、音響インピーダンスが、FBAR210、220、250、および、260の材料と大幅に異なり、一般に、それらよりかなり低く、公称厚さが、その周波数が音響結合変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、音響デカプリング材料内における波長の4分の1の奇数の整数倍という点である。用途によっては、高電気抵抗率が望ましい場合もある。層231の材料が電気的に絶縁性の実施態様では、低誘電率が望ましい場合もある。
音響デカプリング材料は、音響インピーダンスが、FBAR210、220、250、および、260の材料より低く、空気より大幅に高い。ある材料の音響インピーダンスは、その材料における応力と粒子速度の比であり、raylと略記されるレイリー単位で測定される。FBARの材料は、一般に、圧電層216、226、256、および、266の材料としての窒化アルミニウム(AlN)と、電極212、214、222、224、252、254、262、および、264の材料としてのモリブデン(Mo)である。FBARの材料の音響インピーダンスは、一般に、30Mraylを超え(AlNの場合は35Mraylで、Moの場合は63Mrayl)、空気の音響インピーダンスは、約1kraylである。FBARの材料が上述のとおりである変成器200の実施態様の場合、音響インピーダンスが約2Mrayl〜約16Mraylの範囲の材料が、層231の音響結合材料としてうまく機能する。
図5は、膜状音響結合変成器200について計算された周波数応答が、音響デカプラ230および270の第1の実施態様を構成する層231の音響デカプリング材料の音響インピーダンスにどれほど左右されるかを示すグラフである。例示の実施態様は、中心周波数が約1.9GHzである。音響デカプラの音響デカプリング材料の音響インピーダンスが約4Mrayl(ポリイミド − 曲線240)、8Mrayl(曲線242)、および、16Mrayl(曲線244)である実施態様について計算された周波数応答が示されている。明らかに、変成器200の帯域幅は、音響デカプリング材料の音響インピーダンスが増すにつれて広くなる。音響インピーダンスが16Mraylである実施態様の場合、FBARの共振は、過剰に結合され、通過帯域応答に固有の二重ピークを生じることになる。
図2A〜2Cに示す膜状音響結合変成器200の実施態様において、音響デカプラ230および270を構成する音響デカプリング材料の層231(図4A)の厚さは、周波数が変成器の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、音響デカプリング材料内における波長の4分の1に等しい公称厚さ、すなわち、t≒λ/4であり、ここで、tは層231の厚さであり、λは、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、音響デカプリング材料内における波長である。代わりに、公称厚さの約±10%の範囲内の層231の厚さを利用することも可能である。代わりに、多少性能が劣化するが、この範囲外の厚さを利用することも可能である。しかし、層231の厚さは、一方の極値の0λから、もう一方の極値のλ/2から大幅に異なることが望ましい。
より一般的には、音響デカプリング材料の層231は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、音響デカプリング材料内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい、すなわち、t≒(2m+1)λ/4の公称厚さを備えているが、ここで、tおよびλは、上記定義の通りであり、mは、0以上の整数である。この場合、代わりに、公称厚さからλ/4の約±10%だけ異なる厚さの層231を利用することも可能である。性能が多少劣化するものの、この範囲外の厚さ許容差を利用することも可能であるが、層231の厚さは、λ/2の整数倍から大幅に異なるのが望ましい。
多くのプラスチック材料は、上述の範囲内の音響インピーダンスを有しており、上述の厚さ範囲内で均一な厚さの層に適用可能である。従って、こうしたプラスチック材料は、潜在的に、音響デカプラ230および270を構成する層231の音響デカプリング材料として用いるのに適している。しかし、音響デカプリング材料は、電極214および254に層231を堆積させて、音響デカプラ230および270を形成した後で実施される製作工程の温度に耐えることも可能でなければならない。さらに詳細に後述するように、膜状音響結合変成器200の実際の実施態様では、電極222、224、262、および、264と、圧電層226および266は、層231の堆積後、スパッタリングによって堆積させられる。これらの堆積プロセス中に、300℃もの高温に達することになる。従って、こうした温度で安定状態を保つプラスチックが、層231の音響デカプリング材料として望ましい。
プラスチック材料は、一般に、SBAR206およびSBAR208の他の材料に比べると、単位長あたりの音響減衰量が極めて大きい。しかし、プラスチック音響デカプリング材料による層231は、一般に、厚さが1μm未満のため、音響デカプラ230および270によって導入される音響減衰は、一般に、ごくわずかである。
実施態様の1つでは、ポリイミドが層231の音響デカプリング材料として利用される。ポリイミドは、E.I.du Pont de Nemours and CompanyによってKapton(商標)の商標で販売されている。こうした実施態様の場合、音響デカプラ230および270は、スピン・コーティング、噴霧、浸漬または他の適切な方法で電極214および254に塗布されたポリイミドの層231から構成される。ポリイミドの音響インピーダンスは約4Mraylである。もう1つの実施態様では、ポリ(パラキシレン)が、層231の音響デカプリング材料として用いられる。こうした実施態様の場合、音響デカプラ230および270は、真空蒸着によって電極214および254に被着させられたポリ(パラキシレン)の層231から構成される。ポリ(パラキシレン)は、当該技術においてパリレンとしても知られている。パリレンが製造される二量体前駆物質であるジパラキシリレン、および、パリレンの層の真空蒸着を実施するための装置は、多くの供給業者から入手可能である。パリレンの音響インピーダンスは、約2.8Mraylである。
代替実施態様の場合、層231の音響デカプリング材料は、音響インピーダンスがFBAR210、220,250、および、260の材料よりかなり高い。この時点において、この特性を備えた材料は知られていないが、今後こうした材料の入手が可能になる可能性があるか、あるいは、より音響インピーダンスの低いFBAR材料が、今後入手可能になる可能性がある。こうした高音響インピーダンスの音響デカプリング材料の層231の厚さは、上述の通りである。
一次側と二次側とのDCアイソレーションが重要ではないか、一次側の一方の側と二次側のセンタ・タップとの間の電気的接続、または、一次側のセンタ・タップと二次側の一方の側との間の電気的接続が望ましい用途に用いられるもう1つの代替実施態様の場合、音響デカプラ230および270を構成する層231の音響デカプリング材料は、導電性である。実施態様の1つでは、音響デカプリング材料はアルミニウムのような金属である。もう1つの実施態様では、音響デカプリング材料は、層231の両側間に導電経路を形成するのに十分な密度を備える、金属粉末が混入されたプラスチック材料である。例えば、スピン・コーティングまたは別の適合する堆積プロセスによって、約1nm〜10nmの範囲の炭素粒子を混入したポリイミドを塗布して、層231が形成される。
図4Bは、ブラッグ構造261を組み込んだ音響デカプラ230の第2の実施態様を取り入れた、SBAR206の一部をさらに詳細に示す拡大図である。音響デカプラ270のこうした第2の実施態様を取り入れたSBAR208の対応する部分は、同様の構造であり、別個の解説は控えることにする。ブラッグ構造261は、高音響インピーダンスのブラッグ素子265と267の間に挟まれた低音響インピーダンスのブラッグ素子263から構成されている。低音響インピーダンスのブラッグ素子263は、低音響インピーダンス材料の層であり、一方、高音響インピーダンスのブラッグ素子265および267は、それぞれ、高音響インピーダンス材料の層である。ブラッグ素子の音響インピーダンス特性は、互いに対して、さらに、層216および226の圧電材料の音響インピーダンスに対して、「低」および「高」として示される。実施態様の一部には、さらに、ブラッグ素子の少なくとも1つに誘電率が低いものがある。用途によっては、さらに、一次側と二次側の間に電気的遮蔽を施すため、ブラッグ素子の少なくとも1つに電気抵抗率が高いものがある。
ブラッグ素子261、263、および、265を構成する層は、それぞれ、周波数が変成器200の中心周波数に等しい音波の、層材料内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい公称厚さを備えている。代わりに、波長の4分の1の約±10%だけ公称厚さとは異なる層を利用することも可能である。性能が多少劣化するものの、この範囲外の厚さ許容差を利用することも可能であるが、層の厚さは、波長の2分の1の整数倍から大幅に異なるのが望ましい。
実施態様の1つでは、低音響インピーダンスのブラッグ素子263は、音響インピーダンスが約13Mraylの二酸化珪素(SiO)の層であり、高音響インピーダンスのブラッグ素子265および267のそれぞれは、それぞれ、電極214および222と同じ材料、すなわち、音響インピーダンスが約63Mraylのモリブデンの層である。FBAR210および220の、それぞれ、高音響インピーダンスのブラッグ素子265および267と電極214および222に、それぞれ、同じ材料を用いることによって、高音響インピーダンのブラッグ素子265および267は、さらに、それぞれ、電極214および222の働きをすることが可能になる。
ある例では、高音響インピーダンスのブラッグ素子265および267は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、モリブデン内における波長の4分の1に等しい公称厚さを備え、低音響インピーダンスのブラッグ素子263は、周波数が変成器の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、SiO内における波長の4分の3に等しい公称厚さを備えていた。低音響インピーダンスのブラッグ素子263として、4分の1波長の厚さのSiO層の代わりに、4分の3波長の厚さのSiO層を利用することによって、FBAR210と220の間のキャパシタンスが減少するが、変成器200の帯域幅が狭くなる。
高音響インピーダンスのブラッグ素子265および267と低音響インピーダンスのブラッグ素子263との音響インピーダンス差が比較的少ない実施態様の場合、ブラッグ構造261は、2つ以上の(例えば、nの)低音響インピーダンスのブラッグ素子が、対応する数の(すなわち、n+1の)高音響インピーダンスのブラッグ素子と交互配置された構成とすることが可能である。例えば、ブラッグ構造は、3つの高音響インピーダンスのブラッグ素子と交互配置された2つの低音響インピーダンスのブラッグ素子から構成することが可能である。ブラッグ素子の1つだけしか絶縁する必要がない。
実施態様の1つでは、低音響インピーダンス・ブラッグ素子263は、さらに、SBAR208の電極254と262の間に延びて、音響デカプラ230および270の一部を形成する。さらに、電極254および262は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、電極材料内における波長の4分の1の公称厚さを備えている。あるいはまた、音響デカプラ230および270は、それぞれ別個であるが、同様の低音響インピーダンスのブラッグ素子を組み込むことが可能である。
ウェーハ・スケール製作によって、膜状音響結合変成器200と同様の数千の膜状音響結合変成器が一度に製作される。こうしたウェーハ・スケール製作によって、膜状音響結合変成器200の製作が低コストになる。典型的な製作方法については、次に、図6A〜6Kの平面図および図6L〜6Vの断面図に関連して述べることにする。後述する量的な例は、約1.9GHzの周波数における動作に適した膜状音響結合変成器200の例に関するものである。他の周波数における動作に適した例は、電極領域および薄膜厚といった細部が異なることになる。
単結晶シリコンのウェーハ(不図示)が用意される。ウェーハの一部は、製作される各変成器毎に、変成器200の基板202に対応する基板を構成する。図6A〜図6Kおよび図6L〜図6Vには、ウェーハの一部内およびウェーハの一部上における変成器200の製作が例示されており、以下の説明では、それについて解説される。変成器200が製作されると、ウェーハ上の残りの変成器が、同様に製作される。
変成器200の基板202を構成するウェーハの一部に、選択的にウェット・エッチングが施されて、図6Aおよび6Lに示すようなキャビティ204が形成される。代わりに、ドライ・エッチングによって、キャビティ204を形成することも可能である。
ウェーハ表面に、キャビティを充填するのに十分な厚さの充填材料の層(不図示)が堆積させられる。次に、ウェーハ表面を平坦化して、充填材料で充填されたキャビティが残される。図6Bおよび図6Mには、充填材料205を充填した、基板202のキャビティ204が示されている。
実施態様の1つでは、充填材料は、りん酸シリケート・ガラス(PSG)であり、従来の低圧化学蒸着(LPCVD)を用いて堆積させられた。充填材料は、代わりに、スパッタリングまたはスピン・コーティングによって堆積させることも可能である。
金属層が、ウェーハ表面および充填材料上に堆積させられる。金属にパターン形成を施して、図6Cおよび6Nに示すような、電極212、電極252、電極212と252の間に延びる電気トレース236、ボンディング・パッド272、および、電極252とボンディング・パッド272の間に延びる電気トレース273が形成される。電極212および電極252は、一般に、ウェーハの主表面に対して平行な平面に不規則な形状を備えている。不規則な形状は、LarsonIII他の米国特許第6,215、375号明細書に開示されているように、電極がその一部を形成するFBARにおける横モードを最小限に抑える。電極212および電極252は、充填材料205の表面の一部が露出したままになるように配置されているので、後述するように、エッチングによって、後で、充填材料を除去することが可能である。
電極212、214、222、224、252、254、262、および、264は、ウェーハの主表面に対して平行なそれぞれの平面において、FBAR210の電極212および214の形状、サイズ、配向、および、位置が同じになり、FBAR220の電極222および224の形状、サイズ、配向、および、位置が同じになり、FBAR250の電極252および254の形状、サイズ、配向、および、位置が同じになり、FBAR260の電極262および264の形状、サイズ、配向、および、位置が同じになるように金属層にパターン形成を施すことによって形成される。一般に、電極214および222の形状、サイズ、配向、および、位置が、さらに、同じになり、電極254および262の形状、サイズ、配向、および、位置が、さらに、同じになる。
実施態様の1つでは、電極212、電極252、トレース236、ボンディング・パッド272、および、トレース273を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって、約440nmの厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングでパターン形成を施されて、それぞれ、約7,000平方μmの面積の五角形電極が形成された。電極の面積は、ある特定の電気インピーダンスが得られるように選択される。インピーダンスは、SBAR206および208の高さ、および、動作周波数によっても決まる。代わりに、電極212および252、ボンディング・パッド272、および、トレース236および273の材料として、タングステン、ニオブ、および、チタンのような他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極、ボンディング・パッド、および、トレースに、2つ以上の材料による層を含むことも可能である。
圧電材料の層を堆積させて、パターン形成を施し、FBAR210の圧電層216およびFBAR250の圧電層256をなす圧電層217が形成される。まず、逆方向のc軸圧電材料の薄層を堆積させることによって、圧電材料の堆積が実施され、この薄層にパターン形成を施して、図6Dおよび図6Oに示すように、電極252の上にシード層255が形成される。次に、圧電層216および256の設計厚さに等しい公称厚さを備える圧電材料の薄層を堆積させ、これにパターン形成を施して、図6Eおよび図6Pに示すように、圧電層217が形成される。シード層255は、層217の一部の下方において所定位置にとどまるが、層217と比べるとその厚さはごくわずかであるため、図6Pには示されていない。圧電層217にパターン形成を施して、充填材料205の表面の一部、および、ボンディング・パッド232および272が露出させられる。さらに、圧電層217にパターン形成を施して、充填材料の表面の別の部分への接近を可能にするウィンドウ219が形成される。
再び図6Dおよび図6Nを参照すると、パターン形成を施して、シード層255が形成される圧電材料の薄層が、逆方向のc軸圧電材料の形成を促進する堆積条件下において堆積させられる。薄層にパターン形成を施して、シード層255を形成すると、電極212、電気トレース236の一部、充填材料205の表面の一部、ボンディング・パッド272、および、電気トレース273の一部が露出する。再び図6Eおよび図6Oを参照すると、圧電材料の厚層が通常の堆積条件下において堆積させられる。厚層の圧電材料は、シード層255上に堆積した部分については、そのc軸方向が逆になるが、他の部分ではc軸が通常方向になるように成長する。圧電材料の厚層にパターン形成を施して、圧電層216および圧電層256をなす、圧電層217が形成される。このパターン形成によって、充填材料205の表面の一部、ボンディング・パッド272、および、電気トレース273の一部が露出し、さらに、充填材料の表面の別の部分に対する接近を可能にするウィンドウ219が形成される。
実施態様の1つでは、圧電材料の薄層は、窒化アルミニウムであり、酸素を豊富に含むスパッタリング環境におけるスパッタリングによって、約40nmの厚さまで堆積させられた。この堆積プロセスを利用して、全厚の圧電層217を堆積させることが可能であるが、結果得られる圧電材料は、一般に、圧電特性が通常の成長条件下で成長させた圧電材料に比べて劣ることになる。シード層として酸素の豊富な成長条件下で逆方向のc軸圧電材料の薄層を堆積させることによって、シード層上に堆積した逆方向のc軸圧電材料は、圧電特性が通常のc軸圧電材料と同等になる。従って、圧電材料の層217を堆積させると、そのc軸(矢印246で表示)が通常方向の圧電層216と、そのc軸(矢印248で表示)が逆方向の圧電層256が形成される。
水酸化カリウムによるウェット・エッチングを施すか、または、塩素ベースのドライ・エッチングによって、圧電材料の薄層にパターン形成を施し、シード層255が形成された。
実施態様の1つでは、堆積させられて、圧電層217を形成する材料は、窒化アルミニウムであり、スパッタリングによって約760nmの厚さに堆積させられた。圧電材料は、水酸化カリウムによるウェット・エッチングを施すか、または、塩素ベースのドライ・エッチングによってパターン形成が施された。圧電層217の代替材料には、酸化亜鉛、硫化カドミウム、および、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、および、チタン酸バリウムを含む、ペロブスカイト強誘電性材料のような、分極処理強誘電性材料が含まれている。強誘電性材料の分極処理については、図8A〜図8Fに関連して後述する。
金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Fおよび図6Qに示すように、電極214、電極254、電極214と電極254の間に延びる電気トレース237、ボンディング・パッド232、および、ボンディング・パッド232と電極214の間に延びる電気トレース233が形成される。
実施態様の1つでは、電極214、電極254、トレース237、ボンディング・パッド232、および、トレース233を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって約440nmの厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成が施された。代わりに、電極214および254、トレース233および237、および、ボンディング・パッド232の材料として、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極、トレース、および、ボンディング・パッドに、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
次に、音響デカプリング材料の層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Gおよび図6Rに示すように、音響デカプラ230および音響デカプラ270をなす音響デカプリング層231が形成される。音響デカプリング層231は、少なくとも電極214および電極254を覆い(図6F)、さらに、充填材料205の表面の一部、および、ボンディング・パッド232および272を露出するようにパターン形成される。音響デカプリング層231は、さらに、パターン形成を施されて、充填材料の表面の別の部分に対する接近を可能にするウィンドウ219が形成される。
実施態様の1つでは、音響デカプリング材料は、ポリイミドであり、厚さが約750nm、すなわち、ポリイミドにおける1.9GHzの中心周波数波長の4分の3であった。ポリイミドが堆積させられ、スピン・コーティングによって音響デカプリング層231が形成され、フォトリソグラフィによってパターン形成を施された。ポリイミドは感光性であり、従って、フォトレジストが不要になる。上述のように、音響デカプリング材料として、他のプラスチック材料を利用することが可能である。音響デカプリング材料は、スピン・コーティング以外の方法によって堆積させることが可能である。
音響デカプリング層231の材料が、ポリイミドである実施態様の1つにおいて、ポリイミドの堆積およびパターン形成後、後続の処理を実施する前に、約300℃でウェーハのベーキングが行われた。ベーキングによって、ポリイミドの揮発性成分が蒸発するので、後続処理中に、こうした揮発性成分が蒸発することによって生じる、引き続き堆積させられる層の剥離が阻止される。
金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Hおよび図6Sに示すように、電極222、電極262、および、電極222から電極262まで延びる電気トレース238が形成される。
実施態様の1つでは、電極222および262、および、電気トレース238を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって、約440nmの厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成を施された。代わりに、電極222および262、および、電気トレース238の材料として、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極およびトレースには、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
圧電材料の層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Iおよび図6Tに示すように、圧電層227が形成される。圧電層227を堆積させることによって、そのc軸(矢印247で表示)が通常方向の、FBAR220の圧電層226と、そのc軸(矢印249で表示)がやはり通常方向の、FBAR260の圧電層266が形成される。圧電層227は、ボンディング・パッド232および272を露出し、充填材料の205の表面の一部を露出するようにパターン形成が施される。圧電層227は、さらに、パターン形成を施されて、充填材料の表面の別の部分に対する接近を可能にするウィンドウ219が形成される。
実施態様の1つでは、圧電層227を形成するために堆積させられた圧電材料は、窒化アルミニウムであり、窒素の豊富な環境におけるスパッタリングによって約760nmの厚さに堆積させられた。圧電層の材料は、従って、そのc軸が通常方向になるように成長する。圧電材料は、水酸化カリウムによるウェット・エッチングを施すか、または、塩素ベースのドライ・エッチングによってパターン形成された。圧電層227の代替材料には、酸化亜鉛およびジルコン酸チタン酸鉛が含まれている。
金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Jび図6Uに示すように、電極224、電極264、ボンディング・パッド234、電極224からボンディング・パッド234まで延びる電気トレース235、ボンディング・パッド274、および、電極264からボンディング・パッド274まで延びる電気トレース275が形成される。
実施態様の1つでは、電極224および264、ボンディング・パッド234および274、および、電気トレース235および275を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって、約440nmの厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成を施された。代わりに、電極224および264、ボンディング・パッド234および274、および、電気トレース235および275の材料として、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極、ボンディング・パッドおよびトレースには、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
露出したボンディング・パッド232、234、272、および、274の表面には、金の保護層(不図示)が堆積させられる。
次に、ウェーハに等方性ウェット・エッチングを施して、キャビティ204から充填剤量205が除去される。上述のように、充填材料205の表面の一部は、例えば、ウィンドウ219によって露出したままである。図6Kおよび図6Vに示すように、エッチング・プロセスによって、キャビティ204の上に浮かされた膜状音響結合変成器200は残される。
実施態様の1つでは、充填材料205の除去に用いられたエッチング液は希フッ化水素酸であった。
次に、ウェーハが、変成器200を含む個別変成器に分割される。各変成器は、パッケージ内に実装され、次に、変成器のボンディング・パッド232、272、234、および、274と、パッケージの一部をなすパッドとの間で、電気的接続が施される。
使用時、電極212および252に電気的に接続されたボンディング・パッド272、および、電極214および254に電気的に接続されたボンディング・パッド232によって、変成器200の第1の端子が得られ、電極224に電気的に接続されたボンディング・パッド272、および、電極254に電気的に接続されたボンディング・パッド274によって、変成器200の第2の端子が得られる。実施態様の1つでは、第1の端子は、膜状音響結合変成器200の一次端子をなし、第2の端子は、二次端子をなす。もう1つの実施態様では、第1の端子は、膜状音響結合変成器200の二次端子をなし、第2の端子は、一次端子をなす。
本発明は、FBAR250の圧電層256が逆方向のc軸材料である実施態様に関連して解説された。しかし、これは、本発明にとってクリティカルではなく、代わりに、FBAR210、220、250、および、260の任意の1つの圧電層を逆方向のc軸材料とすることが可能である。あるいはまた、FBAR210、220、250、および、260の任意の3つの圧電層を逆方向のc軸材料とし、FBARの残りの1つの圧電層を通常のc軸材料とすることも可能である。さらに、電気回路241は、ボンディング・パッド272と272の間のFBAR250に対して直列にFBAR210を接続するように構成することが可能であり、電気回路242は、FBAR260とボンディング・パッド234および274に対して並列にFBAR220を接続するように構成することが可能である。
音響デカプラ230および270に、図4Bに関連して上述のものと同様のブラッグ構造が組み込まれた、膜状音響結合変成器200の実施態様の1つが、上述のものと同様のプロセスによって製作される。このプロセスには、下記のように相違がある。
圧電材料の層217を堆積させ、パターン形成を施した後(図6D、図6E、図6O、および、図6P)、図6Fおよび図6Qに示すのと同様のやり方で、金属層を堆積させて、パターン形成を施し、それぞれ、電極214および254を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子が形成され、さらに、電極間に延びる電気トレース237、ボンディング・パッド232、および、電極214とボンディング・パッド232の間に延びる電気トレース233が形成される。高音響インピーダンス・ブラッグ素子は、それぞれ、図4Bに示す高音響インピーダンス・ブラッグ素子165と同様である。金属層は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、金属内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい公称厚さになるように堆積させられる。
実施態様の1つでは、それぞれ、電極214および254を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって約820nm(約1.9GHzのMo内における波長の4分の1)の厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成が施された。代わりに、それぞれ、電極214および254を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子の材料として、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、高音響インピーダンス・ブラッグ素子に、2つ以上の金属からなる層を含むことも可能である。
次に、低音響インピーダンス材料の層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Gおよび図6Rに示すのと同様のやり方で、低音響インピーダンス・ブラッグ素子が形成される。低音響インピーダンス材料の層は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、低音響インピーダンス材料内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい公称厚さに堆積させられる。低音響インピーダンス・ブラッグ素子は、少なくとも高音響インピーダンス・ブラッグ素子を覆い、さらに、充填材料205の表面の一部、および、ボンディング・パッド232および272を露出するようにパターン形成される。低音響インピーダンス材料の層は、さらに、パターン形成を施されて、充填材料の表面の別の部分に対する接近を可能にするウィンドウ219が形成される。
実施態様の1つでは、低音響インピーダンス材料は、厚さが約790nmのSiOであった。SiOは、スパッタリングによって堆積させられ、エッチングによってパターン形成が施された。低音響インピーダンス・ブラッグ素子の材料として利用可能な他の低音響インピーダンス材料には、りん酸シリケート・ガラス(PSG)、二酸化チタン、および、フッ化マグネシウムが含まれる。あるいはまた、スパッタリング以外の方法によって、低音響インピーダンス材料を堆積させることも可能である。
金属層が堆積させられ、図6Hおよび図6Sに示すのと同様のやり方でパターン形成を施されて、それぞれ、電極222および262を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子が形成される。金属層は、さらに、パターン形成を施されて、電極222から電極262まで延びる電気トレース238が形成される。金属層は、周波数が変成器200の通過帯域の中心周波数に等しい音波の、金属内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい公称厚さになるように堆積させられる。
実施態様の1つでは、それぞれ、電極222および262を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子を形成するために堆積させられた金属は、モリブデンであった。モリブデンは、スパッタリングによって約820nm(Mo内における波長の4分の1)の厚さに堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成が施された。代わりに、それぞれ、電極222および262を組み込んだ高音響インピーダンス・ブラッグ素子の材料として、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、高音響インピーダンス・ブラッグ素子、パッド、および、電気トレースに、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
次に、図6I〜図6Kおよび図6T〜図6Vに関連して上述のプロセスを利用して、変成器200の製作が完了する。
本発明による膜状音響結合変成器の実施態様の中には、電極214と222の間、および、電極254と262の間に電気的接続を組み込んで、これらの向かい合った電極対を同じ電位に保持するものもある。これによって、向かい合った電極対が、音響デカプラ230と電極214および222によって形成される寄生コンデンサ、および、音響デカプラ270と電極254および262によって形成される寄生コンデンサの両端に電圧を印加するのが阻止される。上述のように、導電性音響デカプラによって、こうした電気的接続が施される。図7Aおよび図7Bには、その2つの異なる製作時点における、本発明による膜状音響結合変成器の代替実施態様300が示されている。この実施態様の場合、音響デカプラは電気的に絶縁性である。図2A〜図2Cおよび図3に関連して上述の膜状音響結合変成器200の構成要素に対応する、膜状音響結合変成器300の構成要素は、同じ参照番号によって表示されており、再度の詳述は控えることにする。
図7Aには、図6Fおよび図6Qに関連して上述のものに対応するその製作段階における膜状音響結合変成器300が示されている。図6Eおよび図6Pに関連して上述のように、圧電材料の層217の堆積およびパターン形成が済むと、金属層を堆積させて、パターン形成を施し、電極214、電極254、電気トレース237、ボンディング・パッド232、電気トレース233、接続パッド282、および、接続パッド282とボンディング・パッド232の間に延びる電気トレース283が形成される。
実施態様の1つでは、堆積させられた金属は、厚さが約440nmのモリブデンであった。金属は、スパッタリングによって堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成が施された。代わりに、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極、トレース、および、パッドには、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
図7Bには、図6Hおよび図6Sに関連して上述のものに対応する、その製作段階における膜状音響結合変成器300が示されている。音響デカプリング材料の層231が、図6Gおよび図6Rに関連して上述のものと同様のやり方で堆積させられて、パターン形成を施された後、金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、電極222、電極262、電気トレース238、接続パッド284、および、接続パッド284と電気トレース238の間に延びる電気トレース285が形成される。接続パッド284は、図7Cの断面図に示されるように、接続パッド282の一部を覆い、電気的に接続されて、電極214および254を電極222および262に接続する。
実施態様の1つでは、堆積させられた金属は、厚さが約440nmのモリブデンであった。金属は、スパッタリングによって堆積させられ、ドライ・エッチングによってパターン形成が施された。代わりに、他の耐熱金属を利用することも可能である。あるいはまた、電極、接続パッド、および、トレースには、2つ以上の材料からなる層を含むことも可能である。
他の実施態様には、電極214と電極222の間、および、電極254と電極262の間に電気的接続を施して、これらの電極がその一部をなす寄生コンデンサに印加される信号周波数電圧を最小限に抑えるものもある。
本発明による膜状音響結合変成器の製作については、圧電特性に優れた逆方向のc軸圧電材料の層が、逆方向のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において堆積させられた逆方向のc軸圧電材料の薄いシード層上に、通常堆積条件下で堆積させられる例に関連して上述のところである。あるいはまた、上述のように、逆方向のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において、逆方向のc軸圧電材料の層全体を堆積させることも可能である。
こうした方法の場合、図6A、図6B、図6L、および、図6Mに関連して上述のプロセスが実施される。次に、金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Cおよび図6Nに関連して上述のように、電極212および252等が形成された後、通常のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において、圧電材料の層が堆積させられる。通常のc軸材料にパターン形成を施して、電極252、電極252に隣接する電気トレース236の一部、ボンディング・パッド272、および、電気トレース273が露出させられる。パターン形成後も残存する通常のc軸材料の層の一部が、モリブデンの層のような、適合するエッチング停止層で覆われる。次に、逆方向のc軸圧電材料層が、逆方向のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において堆積させられる。フォトリソグラフィで規定されるエッチングによって、逆方向のc軸圧電材料にパターン形成が施されて、電極212を覆う通常のc軸材料が露出させられ、さらに、充填材料205の表面の一部、および、ボンディング・パッド232および272が露出させられる。このパターン形成によって、さらに、充填材料の別の部分に対する接近を可能にするウィンドウ219も形成される。逆方向のc軸材料層のパターン形成中、エッチング停止層によって、通常のc軸材料の層が保護される。次に、エッチング停止層が除去される。変成器の製作は、図6F〜図6Kおよび図6Q〜図6Vに関連して上述のプロセスを実施することによって完了する。
もう1つの代替実施態様では、図6A、図6B、図6L、および、図6Mに関連して上述のプロセスが実施される。次に、金属層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Cおよび図6Nに関連して上述のように、電極212および252等が形成された後、通常のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において、圧電材料の層が堆積させられる。通常のc軸材料にパターン形成を施して、電極252、電極252に隣接する電気トレース236の一部、ボンディング・パッド272、および、電気トレース273が露出させられる。フォトレジストまたは他の保護材料の層が堆積させられ、パターン形成を施されて、図6Dに示すシード層255と形状および大きさが同様のウィンドウが形成される。電極252、および、電極252に隣接した電気トレース236の一部が、ウィンドウによって露出する。次に、逆方向のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において、逆方向のc軸圧電材料の層が堆積させられる。次に、リフト・オフ・プロセスを利用して、逆方向のc軸圧電材料の層にパターン形成が施される。リフト・オフ・プロセスによって、フォトレジスト層に堆積した逆方向のc軸材料は全て除去されるが、フォトレジストに形成されたウィンドウ内に堆積した逆方向のc軸材料は残される。次に、フォトレジストが除去される。変成器の製作は、図6F〜図6Kおよび図6Q〜6Vに関連して上述のプロセスを実施することによって完了する。
通常のc軸圧電材料と逆方向のc軸圧電材料は、解説したばかりのものとは逆の順序に堆積させることが可能である。
図8A〜図8Fには、本発明による膜状音響結合変成器の実施態様400を製作するためのもう1つの方法が例示されている。図2A〜図2Cおよび図3に関連して上述の膜状音響結合変成器200の構成要素に対応する膜状音響結合変成器400の構成要素は、同じ参照番号によって表示されており、再度の詳述は控えることにする。膜状音響結合変成器400の場合、強誘電性圧電材料は、圧電層217および227の圧電材料として利用され、圧電層266の材料は、逆方向のc軸材料であり、残りの圧電層216、226、および、256の材料は、通常のc軸材料である。あるいはまた、圧電層256の材料を逆方向のc軸材料とすることが可能である。これらの層を構成する強誘電性材料のc軸方向が、圧電層256および266と逆方向に電界を印加することによって設定されており、それぞれ、圧電層256および266上に配置された電極254および264は、電気トレース236、237、および、238の1つによって相互接続されないただ2つきりの電極であるため、圧電層256または266は、逆方向のc軸材料から形成されている。
図8A〜図8Fには、図2A〜図2Cに関連して上述の膜状音響結合変成器200と同様の膜状音響結合変成器400の典型的な実施態様を製作する、ウェーハ402の処理を例示した平面図である。上述のように、単一ウェーハ上において、一般に、数千の膜状音響結合変成器が製作される。しかし、図8A〜図8Fに示す膜状音響結合変成器の数は、図面の簡略化のため、4つにまで減らされている。後述の量的例は、約1.9GHzの周波数における動作に適した膜状音響結合変成器400の実施態様に関するものである。他の周波数における動作に適した実施態様は、こうした細部において異なることになる。
まず、図6A、図6B、図6L、および、図6Mに関連して上述のプロセスが実施される。次に、ウェーハ上に、第1の金属層が堆積させられる。圧電層417(図8B)の材料が、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のようなペロブスカイト強誘電性材料である実施態様の場合、第1の金属層の材料は、プラチナまたはイリジウムである。これらの材料は、後で、圧電層417の堆積に用いられる堆積プロセスに適合する。あるいはまた、第1の金属層は、プラチナまたはイリジウムの薄い保護層でコーティングされた、モリブデンのような耐熱金属の層から構成される。耐熱金属の層の厚さは、第1の金属層の設計厚さとは保護層の厚さだけ異なっている。この保護層によって、上述の堆積プロセス適合性が得られる。第1の金属層にパターン形成を施して、図8Aに示され、図6Cおよび図6Nに関連して上述のように、電極212および252、電気トレース236、ボンディング・パッド272、および、充填材料205上に配置された電気トレース273が形成される。さらに、第1の金属層にパターン形成を施して、レベル1バス286、レベル1バス286の一方の端部のレベル1接触パッド287、および、それぞれ、変成器400のボンディング・パッド272からバス286まで延びる電気トレース288が形成される。
次に、第1の圧電材料層を堆積させて、パターン形成を施し、図8Bに示す圧電層417が形成される。圧電層417は、圧電層216および256(図3)をなし、充填材料205の表面の一部およびボンディング・パッド232および272が露出するように、パターン形成を施される。さらに、圧電層417にパターン形成を施して、図8Bに示すように、レベル1バス286を覆うが、レベル1接触パッド287は露出したままにしておくウィンドウ219が形成される。圧電層417の圧電材料は、強誘電性材料である。
実施態様の1つでは、圧電層417を形成するために堆積させられた強誘電性材料は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)であり、RFスパッタリング、ゾル・ゲルまたは有機金属気相成長法(MOCVD)といったプロセスによって、約500nmの厚さに堆積させられた。強誘電性材料は、ウェット・エッチングまたは塩素ベースのドライ・エッチングによってパターン形成を施された。圧電層317のための代替強誘電性材料には、メタニオブ酸鉛およびチタン酸バリウムのようなペロブスカイト強誘電性材料が含まれる。
第2の金属層が堆積させられる。圧電層427(図8D)の材料が、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のようなペロブスカイト強誘電性材料である実施態様の場合、第2の金属層の材料は、プラチナまたはイリジウムである。これらの材料は、後で、圧電層427の堆積に用いられる堆積プロセスに適合する。あるいはまた、第2の金属層は、圧電層417に隣接したプラチナまたはイリジウムの薄い保護層と、モリブデンのような耐熱金属の層から構成される。耐熱金属の層の厚さは、第2の金属層の設計厚さとは保護層の厚さだけ異なっている。この保護層によって、上述の堆積プロセス適合性が得られる。第2の金属層にパターン形成を施して、図6Fおよび図6Qに関連して上述のように、また、図8Bに示されるように、電極214、電極254、電気トレース237、ボンディング・パッド232、および、電気トレース233が形成される。さらに、第2の金属層にパターン形成を施して、レベル2バス289、レベル2バス289の一方の端部のレベル2接触パッド290、および、それぞれ、変成器400のボンディング・パッド232からバス289まで延びる電気トレース291が形成される。
次に、音響デカプリング材料の層を堆積させて、パターン形成を施し、図6Gおよび図6Rに関連して上述のように、また、図8Cに示されるように、音響デカプラ230および音響デカプラ270(図3)をなす音響デカプリング層431が形成される。音響デカプリング層431は、少なくとも、電極214および電極254を覆うが(図8B)、充填材料205の表面の一部およびボンディング・パッド232および272が露出するように、パターン形成を施される。さらに、音響デカプリング層431にパターン形成を施して、レベル2バス289を覆うが、接触パッド287および290は露出したままにしておくウィンドウ219が形成される。
ウェーハ上に、第3の金属層が堆積させられる。圧電層427(図8D)の材料が、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のようなペロブスカイト強誘電性材料である実施態様の場合、第3の金属層の材料は、プラチナまたはイリジウムである。これらの材料は、後で、圧電層427の堆積に用いられる堆積プロセスに適合する。あるいはまた、第3の金属層は、プラチナまたはイリジウムの薄い保護層でコーティングされた、モリブデンのような耐熱金属の層から構成される。耐熱金属の層の厚さは、第3の金属層の設計厚さとは保護層の厚さだけ異なっている。この保護層によって、上述の堆積プロセス適合性が得られる。第3の金属層にパターン形成を施して、図6Hおよび図6Sに関連して上述のように、また、図8Cに示されるように、電極222、電極262、電気トレース238が形成される。さらに、第3の金属層にパターン形成を施して、レベル3バス292、レベル3バス292の一方の端部のレベル3接触パッド293、および、それぞれ、変成器400の電極222からバス292まで延びる電気トレース294が形成される。
次に、ウェーハ上に、第2の圧電材料層を堆積させて、パターン形成を施し、図8Dに示す圧電層427が形成される。圧電層427は、圧電層226および266(図3)をなし、充填材料205の表面の一部およびボンディング・パッド232および272が露出するように、パターン形成を施される。さらに、圧電層427にパターン形成を施して、図8Dに示すように、レベル3バス292を覆うが、接触パッド287、290、および、293は露出したままにしておくウィンドウ219が形成される。圧電層427の圧電材料は、強誘電性材料である。
実施態様の1つでは、圧電層427を形成するために堆積させられた強誘電性材料は、PZTであり、RFスパッタリング、ゾル・ゲルまたは有機金属気相成長法(MOCVD)といったプロセスによって、約500nmの厚さに堆積させられた。強誘電性材料は、ウェット・エッチングまたは塩素ベースのドライ・エッチングによってパターン形成を施された。圧電層427のための代替強誘電性材料には、メタニオブ酸鉛およびチタン酸バリウムのようなペロブスカイト強誘電性材料が含まれる。
第4の金属層が堆積させられる。第4の金属層の材料は、モリブデンのような耐熱金属である。第4の金属層の堆積後は、ペロブスカイト強誘電性材料の堆積プロセスは実施されないので、耐熱金属を第4の金属層の材料として用いることが可能になる。第4に金属にパターン形成を施して、図6Hおよび図6Sに関連して上述のように、また、図8Dに示されるように、電極224、電極264、ボンディング・パッド234、電気トレース235、ボンディング・パッド274、および、電気トレース275が形成される。さらに、第4の金属層にパターン形成を施して、第1のレベル4バス295、バス295の一方の端部の第1のレベル4接触パッド296、および、それぞれ、変成器400の電極224からバス295まで延びる電気トレース297が形成される。さらに、第4の金属層にパターン形成を施して、第2のレベル4バス298、バス298の一方の端部の第2のレベル4接触パッド299、および、それぞれ、変成器400のうち2つの変成器のボンディング・パッド274からバス298まで延びる電気トレース300が形成される。さらに、第4の金属層にパターン形成を施して、図8Dに示すように、第3のレベル4バス301、バス301の一方の端部の第3のレベル4接触パッド302、および、それぞれ、変成器400のうち残り2つの変成器のボンディング・パッド274からバス301まで延びる電気トレース303が形成される。
実施態様の1つでは、上述の金属層は、スパッタリングによって約440nmの厚さにモリブデンを堆積させることによって形成され、ドライ・エッチングによってパターン形成を施された。上述のものと同様の代替実施態様も可能である。
次に、図8E、さらに、図8A〜図8Cを参照すると、ウェーハが約125℃まで過熱され、下記のように、分極処理電圧が接触パッドに印加されて、接触パッド290および293が接地される。接触パッド287、299、および、302が負の分極処理電圧に接続され、接触パッド296が正の分極処理電圧に接続される。この構成の分極処理電圧が、バス286、289、292、295、298、および、301、および、トレース236、288、237、291、238、294、297、300、および、303を介して、電極212、214、222、224、252、254、262、および、264に印加される。電極は、FBAR210、220、および、250(図3)の圧電層を横切って、ウェーハ402から離れる方向付けが施された分極処理電界を印加し、また、FBAR260(図3)の圧電層を横切って、ウェーハ402に向かう方向づけが施された電界を印加する。分極処理電界によって、FBAR260の圧電層266のc軸が、それぞれ、FBAR210、220、および、250の圧電層216、226、および、256のc軸と逆方向になるように設定される。
もう1つの実施態様では、表示とは逆の極性の分極処理電圧を接触パッドに印加して、圧電層266のc軸が圧電層216、226、および、256のc軸と逆方向になるように設定される。もう1つの実施態様では、図8Eにおける表示とは逆極性の分極処理電圧を接触パッド296、299、および、302に印加して、圧電層256のc軸が圧電層216、226、および、266のc軸と逆方向になるように設定される。分極処理電圧の他の組合せを利用して、圧電層の1つのc軸が他の3つの圧電層のc軸と逆方向になるように設定することも可能である。
実施態様の1つでは、分極処理電圧は、約250mV〜約1Vの範囲である。圧電層216、226、256、および、266の厚さが上述のように約500nmの場合、この範囲の分極処理電圧によって、約500kV/m〜約2MV/mの範囲の分極処理電界が圧電層に印加されることになる。
次に、ウェーハ402は、図8Fに示す破線305および306によって表示されたウェーハ402の領域を除去する既知のシンギュレーション・プロセスによって、個別膜状音響結合変成器に分割される。シンギュレーション・プロセスによって、さらに、バス286、289、292、295、298、および、301からトレース288、291、294、297、300、および、303(図8A〜図8D)が分離される。この結果、前にトレースとバスによって相互接続された電極間の電気的接続が切断される。
再び図3を参照すると、解説したばかりのプロセスによって製作された膜状音響結合変成器400は、FBAR210および250を並列に接続する回路241と同様の回路、および、FBAR250および260を直列に接続する回路242と同様の回路を備えている。しかし、図3に示す例とは異なり、圧電層216および256のc軸が同じ方向であり、圧電層226および266のc軸が逆方向である。従って、FBAR210は、FBAR250によって生じる音響エネルギと同相の音響エネルギを発生する。FBAR260の圧電層266は、c軸がFBAR250の圧電層256と逆方向であるため、FBAR260によって生じる電気信号は、FBAR220によって生じる電気信号と逆相になる。膜状音響結合変成器400の電極254および264における信号は、図3に示す膜状音響結合変成器200における対応する信号と同様、逆相である。
FBAR1つにおける圧電層のc軸が、他のFBARの圧電層のc軸と逆方向である膜状音響結合変成器の実施態様の1つでは、電気回路241および242は、上述の例とは別様にFBARを相互接続するように構成することが可能である。
こうした他の実施態様の場合、電気回路241および242は、それぞれ、並列、直列、非並列、および、非直列構成の任意の1つをなすように、それぞれのFBARを電気的に接続する。並列、直列、非並列、および、非直列電気回路構成の可能性のある16の組み合わせのうち、実用的な変成器が得られるのは8つだけである。FBARを接続する電気回路構成の組み合わせによって、変成器のインピーダンスおよびインピーダンス変換比、すなわち、1:1低インピーダンス、1:1高インピーダンス、1:4、または、4:1が決まる。逆方向のc軸材料の単一圧電層によって、電気回路241および242が、両方とも、電気的に平衡な、実用的な実施態様を妨げる非対称性が生じる。各実施態様において、電気回路の一方だけが電気的に平衡になる。この欠点は、不平衡外部回路要素に対する不平衡電気回路の接続、および、その逆を実施することによって克服可能である。詳細に上述の並列/直列実施態様は、さらに、同相分除去に優れている。表1には、電気回路構成の可能性のある組み合わせが要約されている。
Figure 0004754802
表1において、行見出しには、例えば、電気回路241といった、電気回路の1つに関する構成が表示され、列見出しには、例えば、電気回路242といった、電気回路のもう1つに関する構成が表示され、B1は、行見出しによって表示された電気回路が電気的に平衡であることを表わしており、B2は、列見出しによって表示された電気回路が電気的に平衡であることを表わしており、Xは、機能しない変成器を表わしている。示されたインピーダンス変換比は、行見出しによって表示された電気回路に接続された電気端子から列見出しによって表示された電気回路に接続された電気端子へのインピーダンス変換である。LOWは、変成器が、並列をなす2つのFBARのインピーダンスに相当する低インピーダンスを示すことを表わしており、HIは、変成器が、直列をなす2つのFBARのインピーダンスに相当する高インピーダンスを示すことを表わしている。並列または非直列に接続された電極には、同相の電圧が印加され、一方、直列または非並列に接続された電極には、逆相の電圧が印加される。
表1に示す電気回路は、電気回路が、SBAR206および208において互いに同じレベルのFBARの電極だけしか接続できない、すなわち、電気回路の一方は、FBAR210および250の電極だけしか接続できず、電気回路のもう一方は、FBAR220および260の電極だけしか接続できないという制約を受ける。
本開示では、例証となる実施態様を用いて、本発明について詳述されている。しかし、付属の請求項によって定義される本発明は、解説の実施態様にそっくりそのまま制限されるものではない。
先行技術による1:4または4:1の膜状音響結合変成器の実施態様の電気回路に関する概略図。 図1Aに示す膜状音響結合変成器における寄生キャパシタンスを示す概略図。 本発明による1:4または4:1の膜状音響結合変成器の第1の実施態様例に関する平面図。 図2Aにおける断面線2B−2Bに沿った膜状音響結合変成器の断面図。 図2Aにおける断面線2C−2Cに沿った膜状音響結合変成器の断面図。 図2Aから図2Cに示す膜状音響結合変成器の電気回路に関する概略図。 音響デカプラの第1の実施態様を示す、断面線2B−2Bに沿った図2Aに示す音響結合変成器の一部に関する拡大断面図。 音響デカプラの第2の実施態様を示す、断面線2B−2Bに沿った図2Aに示す音響結合変成器の一部に関する拡大断面図。 図2Aから図2Cに示す膜状音響結合変成器の実施態様に関して計算された周波数応答が、音響デカプラの音響インピーダンスによってどれほど左右されるかを示すグラフ。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的な製作プロセスを例示した平面図。 図6Aの断面線6L−6Lに沿った断面図。 図6Bの断面線6M−6Mに沿った断面図。 図6Cの断面線6N−6Nに沿った断面図。 図6Dの断面線6O−6Oに沿った断面図。 図6Eの断面線6P−6Pに沿った断面図。 図6Fの断面線6Q−6Qに沿った断面図。 図6Gの断面線6R−6Rに沿った断面図。 図6Hの断面線6S−6Sに沿った断面図。 図6Iの断面線6T−6Tに沿った断面図。 図6Jの断面線6U−6Uに沿った断面図。 図6Kの断面線6V−6Vに沿った断面図。 そのそれぞれの製作段階における本発明による1:4または4:1膜状音響結合変成器の第2の実施態様の平面図。 そのそれぞれの製作段階における本発明による1:4または4:1膜状音響結合変成器の第2の実施態様の平面図。 図7Bにおける断面線7C−7Cに沿った第2の実施態様の断面図である。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。 本発明による膜状音響結合変成器の典型的なもう1つの製作プロセスを例示した平面図。

Claims (14)

  1. 音響結合変成器であって、
    第1のスタック型バルク音響共鳴器と、第2のスタック型バルク音響共鳴器と、を備え、前記第1および第2のスタック型バルク音響共鳴器のそれぞれは、積み重ねられた1対の膜状バルク音響共鳴器と、該膜状バルク音響共鳴器間の音響デカプラと、を備え、前記膜状バルク音響共鳴器のそれぞれは、向かい合った平面電極と、該平面電極間の圧電材料の層と、を備え、該圧電材料はc軸を有し、
    前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の一方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の一方に接続する第1の電気回路と、
    前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の他方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の他方に接続する第2の電気回路と、
    を備え、
    前記膜状バルク音響共鳴器のうちの1つの圧電材料のc軸が、他の3つの膜状バルク音響共鳴器の圧電材料のc軸と逆方向である、音響結合変成器。
  2. 前記第1の電気回路が、前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の一方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の一方に並列に接続し、
    前記第2の電気回路が、前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の他方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の膜状バルク音響共鳴器の他方に直列に接続する、請求項1に記載の音響結合変成器。
  3. 前記音響デカプラがそれぞれ音響デカプリング材料の層を備える、請求項1または2のいずれかに記載の音響結合変成器。
  4. 前記音響デカプリング材料はプラスチックを含む、請求項3に記載の音響結合変成器。
  5. 前記音響デカプリング材料が導電性である、請求項3に記載の音響結合変成器。
  6. 前記音響結合変成器が、中心周波数によって特性が決められる通過帯域を有し、
    前記音響デカプリング材料の層の公称厚さが、前記中心周波数に等しい周波数を有する音波の、前記音響デカプリング材料内における波長の4分の1の奇数の整数倍に等しい、請求項3から5のいずれかに記載の音響結合変成器。
  7. 前記音響デカプラのそれぞれがブラッグ構造を有する、請求項1または2のいずれかに記載の音響結合変成器。
  8. 前記音響デカプラの両側に配置された平面電極間における電気的接続をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の音響結合変成器。
  9. 音響結合変成器を作る方法であって、
    第1のスタック型バルク音響共鳴器と、第2のスタック型バルク音響共鳴器と、を作成するステップを含み、該作成するステップは、下方の膜状バルク音響共鳴器、上方の膜状バルク音響共鳴器、および両者間に音響デカプラを形成するステップを含み、膜状バルク音響共鳴器のそれぞれは、向かい合った平面電極と、該平面電極間の圧電材料の層と、を含み、前記圧電材料はc軸を有し、前記形成するステップは、膜状バルク音響共鳴器の1つの前記圧電材料のc軸を他の3つの膜状バルク音響共鳴器の前記圧電材料のc軸と逆方向に設定するステップを含み、
    前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の前記膜状バルク音響共鳴器の一方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の前記膜状バルク音響共鳴器の一方に電気的に接続するステップと、
    前記第1のスタック型バルク音響共鳴器の前記膜状バルク音響共鳴器の他方を前記第2のスタック型バルク音響共鳴器の前記膜状バルク音響共鳴器の他方に電気的に接続するステップと、
    を含む方法。
  10. 前記形成するステップは、
    金属層を堆積させてパターン形成し、1対の平面電極を規定するステップと、
    前記平面電極の上に圧電材料層を堆積させるステップと、を含み、
    前記設定するステップは、前記圧電材料層を堆積させる前に、前記平面電極の一方に、前記他の3つの膜状バルク音響共鳴器の前記圧電材料のc軸と逆方向のc軸を有する圧電材料のシード層を堆積させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記シード層を堆積させるステップが、酸素を豊富に含むスパッタリング環境におけるスパッタリングによって実行され、
    前記圧電材料層を堆積させるステップが、通常のc軸材料の形成を促進する堆積条件下において行われ、前記シード層に堆積する層の領域が、前記堆積条件下において堆積するにもかかわらず逆方向のc軸材料である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記形成するステップは、
    金属層を堆積させてパターン形成し、1対の平面電極を規定するステップと、
    前記平面電極の上に圧電材料層を堆積させ、前記圧電材料層が、前記平面電極の一方における逆方向のc軸材料の領域と、前記平面電極のもう一方における通常のc軸材料の領域を有するステップ
    含む、請求項9に記載の方法。
  13. 前記形成するステップは、
    金属層を堆積させてパターン形成し、1対の第1の平面電極を形成するステップと、
    前記第1の平面電極の上に強誘電性材料の層を堆積させるステップと、
    さらなる金属層を堆積させてパターン形成し、前記第1の平面電極に向かい合った1対の第2の平面電極を形成するステップと、を有し、
    前記設定ステップは、前記第1の平面電極の一方と前記第2の平面電極の向かい合った一方との間に公称極性の分極処理電圧を印加し、前記第1の平面電極の他方と前記第2の平面電極の他方との間に逆極性の分極処理電圧を印加するステップを含む、請求項9に記載の方法。
  14. 前記音響デカプラの両側に配置された平面電極を電気的に接続するステップをさらに含む、請求項9から13のいずれかに記載の方法。
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