JP4753528B2 - Psd制限下における移動衛星通信システム用リターンリンク設計 - Google Patents

Psd制限下における移動衛星通信システム用リターンリンク設計 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
この発明は、航空機などの移動プラットホームにテレビ番組およびデータサービスを提供するためのシステムに関し、より特定的には、衛星にある無線周波数中継器を共用する複数の航空機などの移動プラットホームの無線周波数伝送を管理することにより、無線周波数伝送の電力スペクトル密度の総計が、周波数帯域を共有する静止軌道衛星および非静止軌道衛星との干渉について予め定められた規制上の電力スペクトル密度制限を超過しないことを確実にするための、システムおよび方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
我々の社会および経済が依存度を増している広帯域のデータサービスおよび映像サービスは、今までのところ一般に、航空機、船舶、鉄道、自動車などの移動プラットホームに乗っているユーザに対しては容易に利用可能なものではなかった。このようなサービスをあらゆる形態の移動プラットホームに配信するための技術は存在するが、これまでの解決策は一般に極めて高価であり、データレートが低く、かつ/または政府/軍事関係のユーザのごく限られた市場や、或る高級顧客向けの海運市場(すなわち遊覧大型客船)に対してのみ開かれたものであった。
【0003】
現在のところ、人工衛星のリンクを介して地上のユーザに多種多様なテレビ(TV)放送サービスが利用可能である。このようなサービスには、民間の固定衛星サービス(FSS)または放送衛星サービス(BSS)の衛星を介した商用の直接放送衛星(DBS)サービス(たとえばDirecTVおよびEchoStar)、および再放送映像など特別仕様の映像が含まれる。衛星リンク経由で提供され得るデータサービスには、あらゆる従来のインターネットサービス(eメール、ウェブ閲覧、ネット会議等)ならびに企業関係および政府関係の顧客に対する仮想私設網(VPN)が含まれる。
【0004】
これまで、移動プラットホームに生放送TVおよびデータサービスを提供しようとして開発されたシステムでは、限られた成功しか達成されてこなかった。1つの大きな障害は、このような広帯域のデータサービスおよび映像サービスへのアクセスの価格が高いことであった。もう1つの問題はこれまでに開発されたシステムの容量が限られていることであり、異なった番組チャネルまたは異なったデータサービスを各々が同時に要求し得る何十人、あるいは何百人もの人を運ぶ移動プラットホームに対し、この容量では不十分であった。さらに既存のシステムは一般に、旅行中の人々の需要に応じるために拡張することが容易ではない。
【0005】
現在利用可能ないくつかのサービスは、上述のサービスのうち限られたごく一部を提供するにすぎない。このようなサービスの1つは、移動プラットホーム上のユーザに狭帯域幅のインターネット接続を提供している。他のサービスは、利用可能な直接放送信号からのTV放送サービス(すなわちEchoStarおよびDirecTV)を提供、または専用衛星リンク経由の特別仕様のTV放送信号(すなわちAirshow)を提供している。しかし現在のところ、移動プラットホームまたは遠隔プラットホーム上のユーザ群に対し高速(すなわち64Kbpsを上回る速度)のデータネットワークサービスを提供するためのシステムも方法も存在せず、まして、このような高速ネットワークサービスを映像サービスとともに提供するためのシステムも方法も存在していない。
【0006】
商用の航空路線および遊覧大型客船上で、限られたインターネットデータサービスを提供する事業システムがいくつかある。これらシステムはそのリンク能力において極めて限られたものであり(主に電話通信のために開発された通信リンクを使用)、またサービスは極めて高価(音声接続のためには1分当り約1.00ドルを上回る)である。これらの理由のため、またこのようなシステムに関係する容量上の制限から、このようなシステムの商業上の成功および人気は限定的なものにとどまっていた。
【0007】
一般に現在の事業システムは、移動プラットホームへの双方向接続を達成するためにインマルサット衛星通信リンクまたは地上無線通信リンク(すなわち米国航空機電話システム(National Air Telephone System:NATS))を用いている。これらの接続形態にはいくつかの不都合がある。
【0008】
1) 接続帯域幅が限られている(一般的に64Kbps未満)
2) 全体的なシステム容量が限られている(周波数スペクトルが限られているため)
3) 高価格
【0009】
インマルサットはL帯の周波数スペクトルで動作するが、ここでは旅行中の人々に広帯域サービスを提供するのに利用可能な帯域幅および容量が極めて少ない。NATSベースの解決策(すなわちGTE Airfone7、AT&T Claircom)は、座席背面に取付けられた電話を使用する国内航空路線利用客にはなじみのものであるが、これが提供する容量もやはり、L帯での動作のため極めて限られたものにすぎない。これらのシステムにはさらに、陸の上方でしか接続が可能ではないという問題もある。
【0010】
現在の移動プラットホームの接続方法は本来的に狭帯域であるため、通常のネットワークの業務が不可能となる程度までデータの流れが制限されてしまう。一般的にこの接続は、ユーザのコンピュータと、空対地または船舶対沿岸の電話システムとの間で、標準的なコンピュータ電話モデムを使用することで達成される。このやり方では、各ユーザは自分のネットワークセッションの期間中、通信チャネル一杯を排外的に使用し、電話システムの中のこの部分を他の人々が用いることを事実上妨げる。
【0011】
複数の移動プラットホームが共用の衛星中継器にデータを送信するための手段の提供を試みる現在のシステムで特に重大な問題は、広い地理的範囲にわたって分散した複数の小開口移動送信端末をどのように効率的に作動させ管理するかであった。各移動端末は、その特定の開口サイズ、移動プラットホームの場所、およびデータを伝送するデータレートに従って、電力スペクトル密度(PSD)の異なったレベルで伝送を行なう。電子的に走査されるフェーズドアレイアンテナ(PAA)などの機上アンテナでは、傾向として従来の地上アンテナよりも開口サイズが小さいことが理解されるであろう。これはアンテナの低い空力抵抗のための重要な要件によるものである。したがって、移動プラットホームにある送信アンテナは、その傾向として従来型の超小型地上局(VSAT)アンテナ(典型的に約1メートル直径開口)よりも広いアンテナビームを有する。その結果、静止軌道(GSO)面において隣接する衛星に対して、より多くの電力を照射する。さらに移動送信アンテナは、非静止軌道(NGSO)にある衛星での通信に干渉することがある。換言すれば、このような移動送信アンテナは、目標衛星と隣接するGSO衛星およびNGSO衛星の作動に干渉する信号を生成することが往々にしてある。
【0012】
隣接するGSO衛星およびNGSO衛星に対して照射され得る最大の電力スペクトル密度(PSD)には、連邦通信委員会(FCC)および国際電気通信連合(ITU)などの規制機関によって厳しい規制上の要件が課されている。所与の受信可能領域内にある共通の中継器に対して複数の移動プラットホームがRF信号を伝送すると、中継器にアクセスする移動プラットホームの総数を最大限にしようと試みながら、同時に個々の移動プラットホームのPSDを管理して「総計(aggregate)」のPSDが規制上の制限を決して超過しないようにすることは、極めて困難なこととなる。
【0013】
単一の中継器にアクセスする複数の送信機の伝送を管理する上述の問題に対処する、以前から開発されていた一手法は、単キャリア波多重チャネル(MCPC)操作を採用することであった。インテルサットによって開発されたこの方法では、各々のVSATアンテナに対して衛星中継器帯域幅の一部が割振られる。換言するとこの方法では、周波数分割多重接続(FDMA)を用いて、多数の端末が同時に中継器にアクセスできるようにする。この技術を用いると、各チャネル内で、規制上の制限を下回るPSDで伝送を行なうのはただ1つの端末(キャリア)だけである。この動作方法では各チャネル内の使用されないPSDは使用不可能であり、PSDが無駄になっている。さらに、効率的なPSD動作にMCPCを適応させることは不可能であるが、それは特に移動端末を用いた応用ではチャネル管理が法外に複雑になるからである。この発明は、PSDが経時変化する移動プラットホームの単純なリンク管理解決策を提供する。時分割多重接続(TDMA)法でも同様に、任意の時にチャネルまたはタイムスロットにアクセスする端末は1つしかなく、このため利用可能なチャネルPSDは固定され、通常はチャネルユーザの要件を超過してしまう。したがってPSDは無駄になり、再利用できない。以前に開発されたこれらの方法では通常、個々のアクセスは許容可能な最大PSDで行なわれないため、あらゆるチャネル内に使用されないまたは無駄にされるPSDの量が通常いくらかあることになる。これは以前に開発された方法すべてにある大きな欠点である。
【0014】
上述のように、任意の時点においてチャネルまたはタイムスロット内で1個の端末のみが伝送を行なうやり方では、可変サイズのユーザに対して固定サイズのリソース(すなわちPSD)を割振る古典的な問題が生じる。この後、固定サイズのリソースのサイズは最悪の場合(すなわちPSDが最大)のユーザに合わせられなければならず、このためこれらの手法には常に非効率性が伴うことになる。ユーザ間のばらつきが小さければこの非効率性は適度に低いこともあるだろうが、ユーザPSD要件に大きな相違がある、あらゆるその他の応用では、非効率性がかなりのものになってしまう。
【0015】
単一の中継器にアクセスする多数の端末に対処する、以前に開発されたもう1つの方法が符号分割多重接続(CDMA)であり、ここでは単一のチャネルが多数のユーザによって共有される。CDMAではより効率的な動作が達成され得るが、それは大きな集団のユーザが共通のリソース(すなわち中継器)を共用するからである。ほとんどのCDMAシステムは総PSDへの制約なしに作動する(たとえば携帯電話システムなど)。典型的にユーザ端末またはハンドセットは、総PSDに対するいかなる規制上の制約もなく、干渉を克服するのに必要な電力レベルで伝送を行なう。この動作方法ではPSDレベルに統計的なばらつきがあり、さらにユーザ間には、高品質衛星データ通信システムにとって許容できないような干渉がある。対照的に衛星にある通信システムはしばしば、総PSDに対する厳しい規制上の制限内で作動しなければならない。これは特にKu帯の固定衛星サービス(FSS)部分で極めて重要であり、ここでは移動衛星サービス(MSS)はITUによる副次的な周波数の割振りを与えられ、主たるFSSシステムとの干渉がないことを保証しなければならない。したがってPSD制限の環境でCDMA衛星システムを管理するためには、特に端末が航空機などの移動プラットホームに配置される場合、ユーザ端末のすべてによって生成される総PSDを管理するための新たな方法が必要となる。
【0016】
したがってこの発明の主な目的は、所与の受信可能領域内で作動し共用の衛星中継器にアクセスする複数の移動端末により生成された総PSDを管理することにより、GSO衛星およびNGSO衛星との干渉についての規制上のPSD制限を総PSDが超過しないようにするための、システムおよび方法を提供することである。
【0017】
さらにこの発明の別の目的は、所与の受信可能領域内で作動し共用の衛星中継器にアクセスする複数の移動端末のうちの各移動端末のPSDを監視し、移動端末が伝送することになるRF信号の総PSDが、予め定められた規制上のPSD制限を超過しないことを確実にするための中央制御システムであって、移動端末の各々によるRF伝送を認可するのに用いられるものを使用するための、システムおよび方法を提供することである。
【0018】
さらにこの発明の目的は、PSDが異なるRF信号を各々が生成する複数の移動端末からの伝送を監視および認可するための装置および方法であって、移動端末による衛星中継器へのアクセスを管理するように作動し、移動端末すべてからの伝送の総PSDが、予め定められた規制上のPSD制限を超過しないようにするための、装置および方法を提供することである。この方法の目的は、衛星にある中継器へのアクセスの引き起こす総PSDが、予め定められた規制上のPSD制限を超過する場合には、このようなアクセスを拒絶し、総PSDが規制上の制限を下回れば中継器へのアクセスを許可する、制御システムを提供することである。
【0019】
【発明の概要】
上記およびその他の目的は、テレビおよびデータサービスを移動プラットホームに提供するための或る方法および装置によって達成される。より特定的にこの発明は、所与の受信可能領域内で作動し共用の宇宙にある中継器にアクセスする複数の移動端末の総PSDを管理することにより、GSO干渉およびNGSO干渉について予め定められた規制上のPSD制限を総PSDが超過しないようにするための、方法および装置に関する。好ましい一実施例で、この発明のシステムは中央コントローラを有する地上部を利用する。
【0020】
各々の移動端末は、宇宙にある中継器に対して「伝送認可要求」信号を送り、次にこの信号は中継器によって地上局に中継され、地上局は要求を受信して中央コントローラに送る。この信号は、伝送認可が与えられれば特定の移動端末により伝送されることになるRF信号のPSDを中央コントローラが求めることができるようにするさまざまな情報を含む。この情報は典型的に、移動端末の場所(すなわち移動端末と関連付けられた移動プラットホームの緯度および経度における場所)、この移動端末の伝送の対象である宇宙にある中継器の場所、移動端末上で用いられている送信アンテナの種類および設計、移動端末の伝送電力(Pi)、および移動送信アンテナの方向指示座標(すなわち方位角および仰角)を含む。任意には、アンテナ座標の代わりに移動プラットホームの向首角、ピッチ角および横転角を送ることもできる。中央コントローラは上述の情報を用い、移動端末が送信すべきRF信号のPSDを求めて、中継器チャネルを共用する他の移動プラットホームの総PSDに加える。次に中央コントローラは新たな総PSDを予め定められた規制上のPSD制限と比較し、移動端末が伝送を許されてもPSD制限を超過しないことを確実にする。PSD制限を超過しなければ、中央コントローラは宇宙にある中継器を介して「伝送認可」信号を移動端末に送り、移動端末によるRF伝送を認可する。
【0021】
受信可能領域内で作動するあらゆる移動端末は、宇宙にある中継器を介して伝送要求信号を中央コントローラに送る。中央コントローラは各移動端末のPSDを求め、PSDを合計して総PSDをもたらす。総PSDが規制上のPSD制限を下回る場合にのみ、次に中央コントローラは特定の移動端末の伝送を認可する。この後の、伝送の認可を要求する移動端末のいずれかについてのPSDが、予め定められた規制上のPSD制限を超過するであろう総PSDをもたらすと中央コントローラにより判断されれば、中央コントローラは、要求を行なっている移動端末に伝送の認可を拒絶する。この態様で、各移動プラットホームからのRF伝送の総PSDが予め定められた規制上のPSD制限を超過しなければ、複数の移動端末は宇宙にある中継器へのアクセスを許される。この態様で、規制上のPSD制限の近くで作動することにより、このシステムの効率もまた最大限にされる(ここで、PSDの推定には適当な誤差が見込まれる)。高価な衛星中継器の容量を最大限に利用することは、システム稼動コストを減少させ収益性を最大化するためには必須である。
【0022】
上述の動作を達成するために、各移動端末からのRF伝送信号は周波数について拡散され、任意の所与周波数でのPSDを減少させる。好ましい実施例では、各移動端末のPSDは衛星中継器の全帯域幅Bにわたって拡散される。この方法を用いて、多数の移動端末がリターンリンク中継器へのアクセスを同時に共用する。典型的には、数十あるいは数百の移動端末が中継器を共用でき、中央コントローラが総PSDを規制上の制限未満に維持する。
【0023】
これに代わる実現例では、各移動端末のPSDは中継器帯域幅内の予め定められた周波数チャネルにわたって拡散され、こうして中継器帯域幅は複数のN個の周波数チャネルへ分割され、チャネル帯域幅はB/Nである(ここで“B”は中継器帯域幅一杯を表わす)。各移動端末は特定のチャネルに割当てられ、その信号をチャネル帯域幅一杯にわたって拡散する。多数の移動端末が各チャネルで作動するように割当てられ、一方で中央制御システムは各チャネルでの総PSDを規制上の制限未満に維持する。
【0024】
この発明の上記の実施例の両方で、周波数について伝送信号を拡散する方法が必要となる。一般的に用いられるいくつかの異なった拡散方法をこの発明に対して用いることができるが、好ましい拡散方法は直接拡散スペクトルであり、これは擬似雑音(PN)符号を用いて信号エネルギを予め定められた周波数帯域にわたって分散させる。多数の移動端末は、異なったPN拡散符号を用いることにより、単一の中継器または中継器チャネルに同時にアクセスできる。移動端末からの信号が衛星中継器により受信され、地上へ転送された後、地上局にある受信機は、各移動端末に割当てられた特定のPN符号に対応するフィルタを用いて、各移動端末からの信号を分離する。多数の移動端末間の干渉は、多数の移動端末からのPN符号伝送を同期することによって最小限にされ得るが、実際にはこれは移動端末では達成困難であるため、好ましい実施例では非同期符号伝送が用いられる。
【0025】
この発明の鍵となる特徴は、移動端末に対する需要割当多重接続を提供することである。移動端末は、移動端末にいるユーザによるデータレートへの瞬間的な需要に従ってデータレートを要求および放出する。衛星へ、そして地上局へ伝送を行なうために移動端末が要求する伝送電力は、データレートに比例する。したがって中央コントローラは、伝送電力、したがってPSDにおける変化に従って、移動端末からの異なったデータレートに対する要求を処理する。したがって、増加したデータレートに対する要求は実質的にはより大きなPSDに対する要求であり、中央コントローラは、先に記載の態様で、要求が認められる前に総PSDがPSDの規制上の制限よりも小さいかどうかを評価することになる。一方で、使用されていないデータレートを移動端末が放出する場合、PSD寄与は総計から減じられ、こうしてこのPSDを、中継器またはチャネルを共用する他の移動端末にとって利用可能にできる。
【0026】
NOCは、フォワードリンクを用いて非活動の機上端末すべてを定期的にポーリングする。ポーリングメッセージは、機上端末の伝送を可能にするためにGSO円弧のEIRPスペクトル密度について十分な容量をNOCが確保したリターンリンク中継器を特定する。機上端末はそのポーリングメッセージを受信すると、割当てられたリターンリンク中継器を介してNOCへ応答を送信し、NOCは機上端末に「活動」の状態を割当てる。
【0027】
この発明の好ましい実現例はさらに、二重の閉ループ電力制御方法を利用し、これによって中央コントローラは、第1の制御閉ループに従って受信可能領域内の移動端末の各々と通信し、移動端末の各々に指令を送信することによって、監視される信号の受信信号対雑音比(“Eb/No”)に基づき、必要に応じ伝送EIRPを増加または減少させて通信リンクを閉じたまま維持するように、移動端末に指示する。この方法によって、地上局は受信したRF信号のEb/Noを測定し、移動端末に定期的に指令を送り返すことによって、所望の制御範囲内にEb/Noを維持するようにこのような移動端末の各々についての伝送電力を増加または減少させる。
【0028】
電力制御指令間の合間で、伝送EIRPを指令されたレベルに維持するために第2の制御ループが移動端末によって用いられる。第2の制御閉ループは、移動プラットホームの急激な移動および/または姿勢の変化の際に伝送EIRPを安定させるのに必要である。このように第2の制御閉ループは、地上の中央コントローラと移動端末との間における、往復でおよそ0.5秒の往復遅延によって引起こされる電力制御エラーを減少させる。
【0029】
これに代わる開ループ電力制御実現例では、各移動端末は地球上での自分の位置および姿勢を判断する。移動端末にはさらに、自分が通信することになる宇宙にある中継器の場所に関する記憶された情報が与えられる。この情報から移動端末は、衛星に対するRF信号の伝送中に生じるリターンリンク損失を推定し、これに従ってその伝送電力を調整する。この方法で、移動端末は自分の伝送電力、位置および姿勢を中央コントローラに定期的に報告することになり、こうしてそのPSD寄与が監視され得るようにする。
【0030】
好ましい実施例でこの発明はさらに、各移動端末のPSD寄与をより正確に求めるための「逆方向算出」方法を利用する。「逆方向算出」方法は、移動端末が行なう伝送EIRPの推定を用いることによる移動端末PSDの「順方向算出」よりも、航空機PSDを求めるはるかに正確な方法である。移動端末が伝送EIRPを正確に推定することは、実際には困難で費用もかかる。このためこの発明は、地上局での受信Eb/Noを知り、リンクを通じて逆方向に進んで、移動端末の対応する伝送EIRPを求めることによって移動端末EIRPを「逆方向算出」する、新規の方法を用いる。一旦伝送EIRPが求められると、GEO面に沿ったPSD、およびGEO軌道面から離れたPSDが、以下に記載の態様で求められ得る。
【0031】
この発明の好ましい実施例では、移動端末と地上局との間のリターンリンクの性能は、航空機と衛星との間のリンク部分によって制限される。衛星と地上との間のリターンリンクの部分は、好ましい実施例でリターンリンクの性能を低下させない。これは、十分に高い利得対雑音温度(G/T)を有する地上局アンテナの選択によって実際に達成される。この条件下で、地上局での受信Eb/Noは衛星での受信Eb/Noと等しく、移動端末のEIRPを逆方向算出するための方程式は著しく単純化されるため、実際のシステムでこの方法の使用が可能となる。
【0032】
逆方向算出方法を用いてNOCが移動端末のEIRPを一旦求めると、次のステップで移動端末のPSD寄与を算出する。これを達成するためには、NOCは移動端末の場所および姿勢を知ることが必要となる。したがって移動端末は、フォワードリンク上でNOCにこれらパラメータを定期的に報告することが必要である。位置/姿勢報告がNOCで受信されるたびに、この移動端末からのPSD寄与が再算出され、そのPSD寄与が総計に加えられる。移動端末のPSDを算出する方法は、正確なアンテナ利得モデルを用いて、移動端末について報告された場所および姿勢、ならびに衛星についての既知の場所によって規定される幾何学的関係を知ることで、GEO面上にEIRPを投影することに関する。
【0033】
移動端末からのリターンリンク信号に対する電力制御を実現するための好ましいシステムもまた開示される。このシステムでは、移動端末がある移動プラットホームの姿勢が変化するにつれて移動端末の伝送する信号に生じる電力のばらつきを勘案するために、走査角補償器を利用して、移動端末の送信アンテナに対して適用すべき補償信号を決定する。報告アルゴリズムおよび地上コントローラを組込んだ別個の制御ループを用いて、宇宙にある中継器から地上局で受信された電力のばらつきを調べ、移動プラットホームに電力修正指令を返し、これら電力修正指令によって、移動端末の送信する信号の電力レベルがより厳密に制御される。走査角補償器は本質的に開ループ制御回路を形成し、この制御回路は、移動プラットホームの移動端末から伝送される信号の電力レベルに対して移動プラットホームの姿勢の変化が与える影響に関する、予め記憶された情報との関連で機能する。走査角補償器は、走査角測定を分析、またはたとえば移動プラットホームの慣性座標単位(IRU)によって与えられる姿勢情報から必要な走査角測定情報を推測することができ、走査角補償器はさらに、移動端末から伝送されている信号の電力レベルで必要な変化を素早く求めることによって、目標衛星以外の衛星との干渉を防止することができる。
【0034】
このシステムの地上ループコントローラ部は、衛星にある中継器が受信した信号のEb/Noを調べて、目標衛星の近傍にある衛星との干渉を防止するために移動端末が信号に適用する必要がある適当な電力レベル修正指令を決定するように作動する。地上ループコントローラは、宇宙にある中継器を介して移動端末に電力レベル修正指令を送信し、宇宙にある中継器は、電力レベル修正の必要な程度を移動端末に知らせる役割を担う。有利なことに、電力レベル修正指令は単に伝送される信号の電力レベルで必要な増分変化を示す値を表わすにすぎず、かつ意味のある修正が適用され得ると地上ループコントローラが判断したときにのみ伝送されるため、これら指令の伝送に必要な帯域幅は、特定の電力レベルに関する信号を、これが影響を与えるであろう電力レベル修正を問わず規則的な間隔で伝送する場合よりも小さくなる。このように走査角補償器および地上ループコントローラは、移動端末から伝送される信号の電力レベルをより正確に制御するための2つの独立の制御ループを提供する。
【0035】
【好ましい実施例の詳細な説明】
この発明のさまざまな利点は、以下の明細書および前掲の特許請求の範囲を熟読し、添付の図面を参照することによって当業者に明らかとなるであろう。
【0036】
図1を参照すると、この発明の好ましい実施例に従うシステム10が示され、これは、1つ以上の別個の受信可能領域14aおよび14bにある複数の移動プラットホーム12a〜12fとデータコンテンツをやり取りするためのものである。システム10は一般に、地上部16と、宇宙部17を形成する複数の衛星18a〜18fと、各移動プラットホーム12上に配置された移動システム20とを含む。移動プラットホームは航空機、遊覧大型客船、またはその他移動するどのような乗物も含むことができる。したがって、ここに移動プラットホーム12を図面で航空機として例示し、以下の説明全体にわたり移動プラットホームを航空機として参照していることは、例示的なものと理解されるべきであり、システム10の適用可能性を航空機のみに限定するものと解釈されるべきではない。
【0037】
宇宙局17は、各受信可能領域14aおよび14bの各々において、各領域に受信可能性を提供するのに必要な任意の数の衛星18を含み得る。衛星18a,18b,18d,18eはKu帯またはKa帯の衛星であることが好ましい。衛星18cおよび18fは放送衛星サービス(BSS)衛星である。さらに、衛星18の各々は静止軌道(GSO)または非静止軌道(NGSO)に位置付けられる。この発明で用いられ得る可能なNGSO軌道の例には、周回低軌道(LEO)、周回中軌道(MEO)および楕円軌道(HEO)が含まれる。衛星18の各々は少なくとも1つの無線周波数(RF)中継器、より好ましくは複数のRF中継器を含む。たとえば衛星18aは、4つの中継器18a1〜18a4を有するものとして例示されている。ここに例示する他の衛星18の各々は、受信可能領域で作動すると予想される数の航空機12に対処するのに必要なだけ、より多数または少数のRF中継器を含み得ることが理解されるであろう。中継器は、航空機12と地上部16との間の「ベントパイプ」通信を提供する。これら通信リンクに用いられる周波数帯域は、およそ10MHzから100GHzまでのあらゆる無線周波数帯域を含み得る。中継器は好ましくは、固定衛星サービスFSSまたはBSS衛星について連邦通信委員会(FCC)および国際電気通信連合(ITU)により指定された周波数帯域による、Ku帯の中継器を含む。さらに、異なった種類の中継器を採用することもでき(すなわち各衛星18は、同一種の複数の中継器を含む必要はなく)、各中継器は異なった周波数で作動することができる。中継器18a1〜18a4の各々はさらに、受信可能である広い地理的な領域、高い実効等方向放射電力(EIRP)、および高い利得/雑音温度(G/T)を含む。
【0038】
図1をさらに参照すると、地上部16は地上局22を含み、この地上局22はコンテンツセンター24およびネットワークオペレーションセンター(NOC)26と双方向で通信する。2つ以上の別個の受信可能領域がサービスのために必要である場合には、第2の受信可能領域14bに配置される第2の地上局22aを用いることもできる。この場合には、地上局22aもまた、NOC26との通信リンクを確立するための地上リンクまたはその他の任意の好適な手段によって、NOC26と双方向で通信することになる。地上局22aはコンテンツセンター24aとも双方向で通信する。ここでの議論のために、受信可能領域14aで行なわれる作動との関連でシステム10を説明する。しかしながら、衛星18d〜18fについて同一の作動が受信可能領域14bで行なわれることが理解されるであろう。さらにこの発明は、上述の態様で任意の数の受信可能領域14へ拡張可能であることが理解されるであろう。
【0039】
地上局22は、衛星18aおよび18bにデータコンテンツを送信するのに必要なアンテナおよび関連のアンテナ制御電子機器を含む。地上局22のアンテナはさらに、受信可能領域14a内の各航空機12の移動システム20から発して中継器18a1〜18a4により中継されたデータコンテンツを受信するのにも用いられ得る。地上局22は受信可能領域14a内であればどこに配置されてもよい。同様に、地上局22aが組込まれていれば、これも第2の受信可能領域14b内のどこに配置されてもよい。
【0040】
コンテンツセンター24は、さまざまな外部のデータコンテンツプロバイダと通信し、これが受信した映像およびデータ情報の地上局22への伝送を制御する。好ましくはコンテンツセンター24は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)30、映像コンテンツ源32および公衆交換電話網(PSTN)34と交信する。任意には、コンテンツセンター24はさらに1つ以上の仮想施設網(VPN)36と通信する。ISP30は、インターネットへのアクセスを各航空機の各搭乗者に提供する。映像コンテンツ源32は、たとえばケーブルニュースネットワーク(CNN)およびESPNなどの生放送テレビ番組を提供する。NOC24は、伝統的なネットワーク管理、ユーザ認証、課金、顧客サービス、および請求書作成発送を行なう。第2の受信可能領域14bにある地上局22aに関連のコンテンツセンター24aもまた、ISP38、映像コンテンツプロバイダ40、PSTN42、および任意にはVPN44と通信することが好ましい。衛星リターンリンクについての代替案として、航空機電話システム28を任意に含めることもできる。
【0041】
次に図2を参照して、各航空機12に配置された移動システム20を以下に詳細に説明する。便宜上、システム10の構成要素および/または動作の説明を支援するために、航空機12aへの特定的な参照を適宜行なう。各移動システム20は、ルータ/サーバ50(以下「サーバ」)の形のデータコンテンツ管理システムを含み、これは通信サブシステム52、制御ユニットおよび表示システム54、ならびにローカルエリアネットワーク(LAN)56の形の配信システムと通信する。任意には、サーバ50はさらに、米国航空機電話システム(NATS)58、乗務員情報サービスシステム60、および/または機内娯楽システム(IFE)62と接続して作動するように構成され得る。
【0042】
通信サブシステム52は、送信機サブシステム64および受信機サブシステム66を含む。送信機サブシステム64は、サーバ50から送信アンテナ74へ、データコンテンツ信号を符号化、変調、および周波数を高くして変換するための、符号器68、変調器70およびアップコンバータ72を含む。受信機サブシステム66は、受信アンテナ82で受信された信号を、ベースバンド映像信号および音声信号、ならびにデータ信号となるように復号、復調、および周波数を低くして変換するための、復号器76、復調器78、およびダウンコンバータ80を含む。ここではただ1つの受信機サブシステム66を示すが、一般的には、複数のRF中継器からのRF信号の同時受信を可能にするために、複数の受信機サブシステム66を含めることが好ましいと理解されるであろう。複数の受信機サブシステム66を示すとすれば、これに対応する複数の構成要素76〜80もまた必要となるだろう。
【0043】
受信機サブシステム66が受信した信号は次にサーバ50に入力される。移動システム20のサブシステムすべてを制御するために、システムコントローラ84が用いられる。具体的に、システムコントローラ84は信号をアンテナコントローラ86に供給し、これは受信アンテナ82を電子的に操縦するために用いられ、これにより受信アンテナを特定の一衛星18(以下「目標」衛星と呼ぶ)に向けて維持する。送信アンテナ74は受信アンテナ82のスレーブとなり、こうしてこれもまた目標衛星18を追跡する。移動アンテナの種類によっては、同じ開口から送信と受信とが可能であることが理解されるであろう。この場合には、送信アンテナ74および受信アンテナ82は組み合わされて単一のアンテナとなる。
【0044】
さらに図2を参照すると、ローカルエリアネットワーク(LAN)56は、サーバ50と、航空機12a上の各々の座席の場所と関連付けられた複数のアクセス局88とのインターフェイスを取るために用いられる。各アクセス局88は、サーバ50と、ユーザのラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)またはユーザのその他のパーソナルコンピュータ装置とを直接インターフェイスするのに用いられ得る。アクセス局88の各々はさらに、座席背面に取付けられたコンピュータ/ディスプレイも含むことができる。LAN56は、ユーザのコンピュータ装置とサーバ50との間の双方向データ通信を可能にし、こうして各ユーザは、航空機12にいる他のユーザとは独立に、所望のテレビ番組チャネルを要求、所望のウェブサイトにアクセス、自分のeメールにアクセス、またはその他の多種多様な作業を行なうことができる。
【0045】
受信アンテナ82および送信アンテナ74は、どのような形態の操縦アンテナをも含み得る。好ましい一形態でこれらアンテナは、電子的に走査されるフェーズドアレイアンテナを含む。フェーズドアレイアンテナは、空力抵抗が重要な問題である航空用途に対して特に適切である。この発明で用いるのに適切な電子走査フェーズドアレイアンテナの特定の一形態は、ザ・ボーイング・カンパニーに譲渡された米国特許第5,886,671号に開示されている。
【0046】
再び図1を参照し、システム10の作動について、データコンテンツは好ましくは、インターネットプロトコル(IP)パケットへフォーマットされてから、地上局22により、または各移動システム20の送信アンテナ74から送信される。ここでの議論のため、IPパケットの形のデータコンテンツを地上局22から送信することを「フォワードリンク」送信と呼ぶ。さらに、ユニキャスト、マルチキャストおよびブロードキャスト伝送を用いて、受信可能領域14a内で作動する航空機12の各々へデータコンテンツを同時に与えることができるように、IPパケットの多重化を採用することが好ましい。
【0047】
中継器18a1〜18a4の各々が受信したIPデータコンテンツパケットは次に、中継器によって、受信可能領域14a内で作動する各航空機12へ中継される。受信可能領域14aにわたって多数の衛星18を例示するが、米国の大陸部全体を覆う区域に対して、現在は単一の衛星で受信可能性を提供できることが理解されるであろう。したがって、受信可能領域の地理的な大きさと、領域内で予想される移動プラットホームの交通量とに依存して、全領域に受信可能性を提供するには単一の中継器を組込む単一の衛星だけでよいこともあり得る。米国の大陸部以外の別個の受信可能領域には、ヨーロッパ、南/中央アメリカ、東アジア、中東、北大西洋などが含まれる。米国大陸部よりも大きなサービス領域では、領域内の完全な受信可能性を提供するために、1つ以上の中継器を各々が組込む複数の衛星18が必要となることもあると予想される。
【0048】
受信アンテナ82および送信アンテナ74の各々は、その関連付けられた航空機12の胴体の上部に配置されることが好ましい。各航空機12の受信アンテナ74は、符号化されたRF信号のRF伝送全体を受信し、これは中継器18a1〜18a4の中の少なくとも1つからのIPデータコンテンツパケットを表わす。受信アンテナ82は水平偏波(HP)信号および垂直偏波(VP)信号を受信し、これらは受信機66の中の少なくとも1つに入力される。2つ以上の受信機66が組込まれていれば、一受信機は、これが向けられている目標衛星18で運ばれる特定の中継器18a1〜18a4と共に用いられるように指定される。受信機66は符号化されたRF信号を復号し、復調し、周波数を低くして変換することにより、映像信号および音声信号、ならびにデータ信号を生成し、これらはサーバ50に入力される。サーバは、航空機12a上のユーザに対して意図されていないあらゆるデータコンテンツをフィルタ処理して破棄し、残ったデータコンテンツをLAN56経由で適当なアクセス局88に送る。この態様で各ユーザは、番組またはその他の情報のうち、自分が要求していた部分のみを受信する。こうして各ユーザは、航空機12a上にいる他のユーザすべてから独立して、所望の番組チャネルを要求して受信、eメールにアクセス、インターネットにアクセス、およびその他のデータ転送作業を実行することが自由にできる。
【0049】
この発明の利点は、システム10が生放送テレビ番組(たとえばニュース、スポーツ、天気、娯楽など)のDBS伝送も受信できることである。DBSサービスプロバイダの例にはDirecTVおよびEchostarが含まれる。DBS伝送は放送衛星サービス(BSS)に指定された周波数帯域で行なわれ、北アメリカでは一般に円偏波である。したがって、北アメリカで放送衛星サービスを受信するために、受信アンテナ82に対して線形偏波変換器が任意に追加され得る。データサービスを搬送するFSS周波数帯域と、DBS伝送を搬送するBSS周波数帯域とは、Ku帯の中で互いに隣接する。システム10の任意の一実施例では、単一のKu帯の受信アンテナを用いて、DBS衛星18cおよび18fからBSS帯域でDBS伝送を受信、またはFSS衛星18aまたは18bのうち1つからFSS帯域でデータサービスを受信することができ、または同じ受信アンテナ82を用いて両方を同時に行なうこともある。多数の衛星18からの同時受信は、マルチビーム受信アンテナ82を用いるか、または同じ静止軌道スロットに位置付けられた衛星とともに単一のビーム受信アンテナ82を用いることによって達成される。
【0050】
再放送テレビまたはカスタマイズされた映像サービスもまた、移動システム20により同じ態様で受信および処理される。再放送またはカスタマイズされた映像コンテンツは、映像コンテンツ源32から入手されて地上局22経由でFSS衛星18aおよび18bに送信される。映像コンテンツは、コンテンツセンター24によって伝送のために適当に符号化されてから、地上局22により放送される。移動システム20のサーバ50(図2)で再放送コンテンツに対しいくらかのカスタマイズを行なうことで、特定の市場または航空機12a上のユーザの関心に合わせて広告およびその他の情報コンテンツを調整することもある。
【0051】
各航空機12上のユーザに提供される大量のデータコンテンツは、民間のポータルデータコンテンツを用いて提供される。これは各移動システム20のサーバ50に保存された1組のHTMLページとして実現される。コンテンツは、更新された部分を、コンテンツセンター24に配置される地上サーバから定期的に伝送することで新しく保たれ、これは地上部16のNOC26で制御されるスケジューリング機能に従って行なわれる。サーバ50は、ユーザログオン情報を受付けてユーザの認証および許可をサポートするように、およびユーザおよびネットワーク課金情報を追跡して請求書作成発送システムをサポートするように容易に構成可能である。認証および課金システムは、地上部16と通信して、蓄積されたデータを都合のよい間隔でNOC26へ転送するように構成され得る。
【0052】
この発明のシステム10はさらに、たとえば航空機12にいるユーザが、サーバ50でキャッシュに保存されていないデータコンテンツを入手したいと望む場合、またはコンテンツ源が民間ポータルに新しいコンテンツを提供するための通路としてなど、さまざまな目的のために、衛星リンク経由の直接のインターネット接続を提供する。サーバは、最も頻繁に要求されるウェブページをキャッシュで保存するために用いられ、さらに最も頻繁にアクセスされるドメインのドメインネームシステム(DMS)ルックアップ表を受け入れるために用いられ得る。DMSルックアップ表は、コンテンツセンター24により維持され、移動システム20上で定期的に更新されることが好ましい。ポータルのキャッシュに保存されたコンテンツのリフレッシュは、飛行中定期的に「押される(pushed)」キャッシュリフレッシュによって、または空港ターミナルのゲートで、航空機12aへの任意の形態の有線接続または無線接続を用いて達成することができ、または、航空機12の乗務員がCDROMを機内に持込んでこれをキャッシュサーバに入れる、手動キャッシュリフレッシュによって達成されることもある。発明10は、衛星リンクによる、飛行中の定期的に押されるキャッシュリフレッシュ更新を実現している。好ましくは、キャッシュコンテンツのリフレッシュは衛星リンクへの需要が少ない期間に行なわれる。
【0053】
地上部16への見通し線のリンクが確立されて物理的なインフラストラクチャが与えられる場合には、システム10で航空機電話システム28を任意に採用することもできる。たとえば航空機電話システムを組込む任意の実現例を、低データレートのリターンリンク(2.4kbpsから9.6kbps)のために用いることができる。ヨーロッパおよびアジアなど他の地域には、地上のセルラー式通信リンクを用いて航空機と通信する類似の航空機電話システムがあることが理解されるであろう。航空機電話システム(たとえば北アメリカのNATS)は、電話トラフィックを搬送するように設計されたものであるが、単一のユーザのコールごとのポイント・ツー・ポイントアナログモデムデータを伝えるように適合されている。この発明では、移動システム20からのリターンリンクトラフィック全体は、サーバ/ルータ50、スイッチまたはPBX(図示せず)で組み合わされてから、アナログモデム経由で、または直接デジタルインターフェイス(たとえばCEPT−E1)経由で航空機電話リターンリンクと結合される。ルータ/スイッチから航空機電話システムへの多重同時接続を確立することで、拡張された容量を提供することができる。機上およびNOCルータ間でデータストリームの分割/合流を達成するために、マルチリンクのポイント・ツー・ポイント(PTP)データカプセル封じを用いることもある。航空機電話システム経由の多数接続によって、容量が拡張されるのに加え、単一の接続障害に対する許容度が増大する。移動プラットホームが多数の受信可能領域を通過する際、別個の航空機電話システムアンテナ塔間の引渡しは航空機電話システムによって管理され、それぞれの航空および地上ルータ間の接続は自動的に管理される。
【0054】
この発明で想定される重要な応用例は、地球上で衛星中継器による受信可能性が現在ほとんどない、または全くない海上または遠隔の地域(極地域を含む)の上を長時間飛行する航空機に関するものである。この発明は、全地球規模の受信可能性(極地域を含む)を提供するために、将来海上軌道に打ち上げられる予定のGSO衛星または新たな配列のNGSO衛星とともに作動することができる。
【0055】
さらに図1を参照して、航空機12aから地上局22へのデータコンテンツの送信を説明する。この送信を「リターンリンク」送信という用語で呼ぶ。アンテナコントローラ86は、送信アンテナ74がそのアンテナビームを目標衛星18aに向くように維持する。各移動システム20から地上局22へと戻る通信に用いられるチャネルは、地上部16のNOC26によって個々に割当てられ動的に管理されるポイント・ツー・ポイントリンクを表わす。システム10が数百またはそれ以上の航空機12に対処できるように、所与の衛星18によって運ばれる各中継器に対して多数の航空機を割当てる必要がある。リターンリンクで好ましい多重アクセス方法は、符号分割多重接続(CDMA)、周波数分割多重接続(FDMA)、時分割多重接続(TDMA)、またはこれらを組合せたものである。これにより、多数の移動システム20を単一の中継器18a1〜18a4に割当てることができる。移動システム20を組込む多数の航空機12が受信可能領域14a内で作動する場合には、必要な中継器の数もこれに従って増加する。
【0056】
受信アンテナ82は、アンテナビームを方向付け、かつ受信信号振幅に基づきアンテナの偏波を調節するための、閉ループ追跡システムを実現し得る。送信アンテナ74は、受信アンテナ82の方向付けおよび偏波に従属する。これに代わる実現例では開ループの追跡方法を用いることができ、方向付けおよび偏波は、機上の慣性座標単位(IRU)を用いた移動プラットホームの位置および姿勢についての知識と、衛星18の場所についての知識とによって決定される。
【0057】
符号化されたRF信号は、所与の航空機12の移動システム20の送信アンテナ74から、中継器18a1〜18a4のうち割当てられた一中継器に送信され、指定の中継器によって地上局22へ中継される。地上局22はコンテンツセンター24と通信し、ユーザが要求した適当なデータ(たとえばワールドワイドウェブからのコンテンツ、eメール、またはユーザのVPNからの情報)を決定および提供する。
【0058】
さらにシステム10について考慮すべき問題は、受信アンテナ82の開口サイズが小さいため、その結果として生じ得る干渉の可能性である。受信アンテナ82の開口サイズは一般的に、従来の「超小型地上局(VSAT)」アンテナよりも小さい。したがって受信アンテナ82からのビームは、静止軌道の円弧に沿って隣接する衛星を含めてしまうことがある。この結果、特定の移動システム20が受信している目標衛星以外の衛星からの干渉が生じるおそれがある。この潜在的な問題を克服するために、システム10は、隣接する衛星からの干渉を克服する通常未満のフォワードリンクデータレートを用いることが好ましい。たとえばシステム10は、典型的なFSSのKu帯中継器(たとえばTelstar−6)と、有効な開口が約17×24インチ(43.18×60.96cm)であるアンテナとを用い、中継器当り少なくとも約5Mbpsの好ましいフォワードリンクデータレートで作動する。これと比較すると、典型的なKu帯中継器は通常、従来のVSATアンテナを用いておよそ30Mbpsのデータレートで作動する。
【0059】
標準的なDVB(Digital Video Broadcast)波形を用いると、フォワードリンク信号は一般に、合計27MHzの中継器帯域幅のうち8MHz未満を占める。しかし、最大限未満の中継器帯域幅に中継器の電力を集中させると、規制上の問題が生じ得る。FCC規制は現在、間隔の狭い衛星間での干渉を防ぐために、中継器からの最大実効等方向放射電力(EIRP)スペクトル密度を規制している。したがって、この発明の好ましい一実施例では、変調器70でスペクトル拡散変調技術を採用し、周知の信号拡散技術を用いて中継器帯域幅にわたるフォワードリンク信号を「拡散」させる。これにより、中継された信号のスペクトル密度が減少し、こうして2つ以上の移動システム20間の干渉の可能性がなくなる。
【0060】
さらに、目標衛星18に隣接する衛星への干渉を防ぐ規制上の要件を、送信アンテナ74もまた満たすことが等しく重要である。ほとんどの移動用途で用いられる送信アンテナもまた、従来のVSATアンテナ(一般的に直径1メートルの反射アンテナ)よりも小さくなる傾向にある。航空用途に用いられる移動送信アンテナは、空気抵抗が低く、軽量で電力消費が少なく、さらに比較的小さなサイズである必要がある。これらすべての理由から、送信アンテナ74のアンテナ開口は従来のVSATアンテナよりも小さいことが好ましい。VSATアンテナのサイズは、静止軌道の円弧上にある単一のFSS衛星を照らすのに十分狭いアンテナビームをもたらすようにされる。これは重要なことであるが、それは、FSS衛星が静止軌道の円弧に沿って2°の間隔で隔てられるからである。この発明で用いられる送信アンテナ74のアンテナ開口はこのように通常よりも小さいので、場合によっては静止軌道の円弧に沿って目標衛星に隣接する衛星を照射するのに十分広いアンテナビームがもたらされ、RFエネルギが、干渉の問題を生じさせ得る電力スペクトル密度を有することがある。
【0061】
上述の潜在的な問題は、この発明の好ましい一実現例で、共用される共通の中継器(たとえば衛星中継器18a1)経由の多数の衛星リターンリンクを作動させ管理するための方法、より特定的には、移動システム20の各々により送信されるRF信号の最大照射PSDを管理して、総PSDが規制上の最大PSD制限を超過しないようにするための方法によって除去される。したがってこの発明の実現によって、各々が移動システム20を有する大量(数百または数千)の航空機であって、多種多様にわたる異なったアンテナで作動する航空機12からなる通信システムにおいて、リターンリンクシステム容量の効率的な管理が可能となる。この発明ではさらに、移動システム20の各々が送信を行ない得る異なったデータレート、およびたとえば米国大陸部などの地理的に見て広範囲の受信可能領域にわたる各航空機12の場所の影響が考慮される。
【0062】
上述の干渉の問題は、図3に示される。移動システム20は、「目標」衛星に向かって電力を照射する。しかしながら、移動システム20で使用される小開口伝送アンテナ74のため、照射されたエネルギが目標の衛星18aだけでなく、静止軌道の円弧90に沿って目標の衛星18aの近隣に配置される衛星18gから18jに当たる。このことによって、衛星18gから18jの作動に干渉が生じ得るため、FCCおよびITUなどの規制当局はブロードキャストされるRF信号のPSDを厳しく規制している。Ku周波数帯での移動衛星システムの運用についての規制上の要件は、近隣の衛星の潜在的な干渉の総計が、−14dBW/4KHzの電力をそのアンテナに受け、静止衛星軌道の可視部に沿ったすべての角度についてFCC無線規制のセクション25.209(a)のサイドローブ要件を満たすアンテナを備えて作動する、単一の地球局によって引き起こされるであろう干渉を超えないことである。同様の規制上の制限がヨーロッパおよび世界の他の地域での運用に適用されている。FCCはさらに、いかなる数の移動端末からのRF伝送がもたらす近隣の衛星の干渉の確定的な総計が、いかなるときも単一のVSAT地球局によって引き起こされるであろう干渉を超過しないことを要求している。さらにFCCは、独立した移動ユニットはフォワードリンクを経由して中央ハブ端末からの指令を受けたときのみ伝送するように要求している。したがって、複数の独立した移動端末が作動する際、総PSDはいかなるときも予め定められたPSD制限を超過してはならず、さらに移動端末の各々は中央ハブ端末からの指令を受けたときのみ伝送可能である。
【0063】
この発明の一実現例が図4に示され、ここで受信可能領域は米国大陸部(「CONUS」)として示される。地上部16の基準地上局22はカンザス州ウィチタにある。衛星18′は静止衛星(この例では、西経93°にあるテレスター(Telestar)6)である。CONUS内で実施される際、この発明の目的は、たとえばテレスター6衛星の中継器を共有するすべての移動端末によって生成される総干渉が、図4に示されるようにCONUS受信可能領域の中央にある基準地上局22によって静止軌道90°の円弧に沿って照射される最大許容EIRPスペクトル密度を超過しないようにすることである。単一の移動システム20からのEIRPスペクトル密度のパターンは、その伝送電力、アンテナ利得パターンおよび占有する信号帯域幅によって決定される。(利得の固定された)ある特定のアンテナの場合、PSDを制御するために利用可能なパラメータは伝送電力(P)および信号帯域幅(B)のみである。移動アンテナは必然的に低利得アンテナであるため、衛星中継器18a1との通信リンクを閉じるのに必要なEIRPを達成するにはより大きい伝送電力が必要である。EIRPは、利得(G)と伝送電力(PI)との積としても表わすことができる。したがって、通信リンクを閉じるのに或る所望のEIRPが必要である場合、EIRP密度を制御するために利用可能な変数は信号帯域幅(B)のみである。よって、EIRPスペクトル密度は、EIRP/Bとして表わすことができる。
【0064】
実際には、中位から高いデータレート(16Kbpsより大きい)で作動し、典型的なFSS中継器を使用する低利得(小開口)アンテナでは、信号の帯域幅は、信号を周波数で「拡散」することなく規制上の要件を満たすのに不十分である。周波数拡散のための方法はこれまでに多く開発されているが、使用される特定の拡散技術はこの発明の実施にとって重要ではない。考慮すべきことは、何らかの拡散方法を用いて帯域幅(B)を制御し、伝送された信号のEIRPスペクトル密度を十分に減少させて規制要件を満足させ、さらに拡散方法によって、受容できない干渉を互いに対して引き起こすことなく複数の移動端末が共通の周波数チャネルにアクセスすることが可能となるいうことである。この発明で使用するのに好ましい、そのような拡散方法の既存の方法の1つが既に述べた直接スペクトル拡散である。移動システム20の各々は、この拡散を容易にするため、中央コントローラ26によって擬似雑音拡散コードを割当てられる。
【0065】
総EIRPスペクトル密度が既知の規制上の制限を下回るように維持するには、リターンリンク衛星中継器(たとえば中継器18a1)を共有する各移動システム20が厳しい送信電力制御の下に置かれることが必要となる。システム10は二重ループ制御システム方式を用い、これによって地上部16は、この方式を用いるシステムにアクセスしている、またはアクセスしようとしている各移動システムについての受信「Eb/No」を測定する。第1の閉制御ループは地上部16を経由して用いられ、各航空機12からの受信Eb/Noを測定し、EIRP制御指令を移動システム20に伝送することによって、移動システムからの受信信号のEb/Noを厳しく予め定められた範囲内に維持する。航空機12上の移動システム20で実現される第2の制御ループは、前記第1の制御ループを使用して、航空機が急速に移動している間、地上部16によって指令されたレベルに伝送EIRPを維持するために使用される。航空機上の第2の制御ループは、フェーズドアレイなど、走査角度とともに指向性が変化する(EIRPの変化を引き起こす)移動伝送アンテナに必要とされることが多い。この発明の好ましい実施例は前記第2の制御ループを含むが、この発明は、走査角度とともに指向性が変化する反射器およびレンズアンテナなどの「一定の開口」伝送アンテナを使用する場合、または姿勢が急速に変化しない移動プラットフォームの場合に前記第2の制御ループなしに実現することができる。航空機−地上制御ループ(すなわち第1の制御ループ)には0.5秒の往復GEO遅延があるため、航空機の移動にすばやく反応することができない。
【0066】
上述の二重制御ループ制御方式は、各航空機12からの受信信号Eb/Noを航空機の典型的な動きの全範囲について約99.7%の確率で約±0.5dBの厳しい制御範囲内に維持することができる。この電力制御システムによって2つの重要な目的が達成される。つまり、すべての航空機12について受信Eb/Noが所望のビットエラーレート(すなわち1E−9)に対応するしきい値Eb/Noレベルを上回るように維持すること、およびEb/Noの経時変化を厳しい制御範囲(すなわち±0.5dB)内に維持することが達成される。移動端末が最低限の伝送EIRP(および対応するPSD)を使用して所望のビットエラーレート(BER)で通信リンクを閉じることが目標である。1E−9 BERについてのしきい値Eb/Noレベルは、選択されたフォワードエラー修正(FEC)コード(すなわち、レート1/3、レート等)およびその他の波形パラメータに依存する。システム10によって使用される好ましいEb/No制御範囲の1つが図7に示される。制御ループの性能は多くの設計パラメータによって求められるが、その中で鍵となるのは地上での受信Eb/Noを測定する場合におけるエラーである。地上局22に関連づけられる地上受信機(図示せず)には、通常、測定値の雑音によって引き起こされるランダムな(急速に変化する)エラーに加え、固定された、またはゆっくりと変化するエラーがある。この例では、図7に示されるように、固定エラー項によって制御範囲が0.25dBずつずらされることが要求されるため、実際のEb/Noはしきい値レベルより上方にある。
【0067】
EIRP指令は、絶対レベルではなくデルタレベルを使用して、地上局22から航空機12に伝送される。これは絶対EIRPレベルは通常航空機12上では正確に設定することはできないが、1つのレベルから別のレベルへの変化は非常に正確であり得るためである。絶対EIRPは航空機12上で正確に設定することはできないため、リターンリンク電力制御下にない新たな移動システム20がシステム10にアクセスしようとする場合、通常、電力制御範囲より上方の或るEIRPレベルで最初の伝送を行なう。電力制御システムはそれらを数秒以内にすばやく制御範囲内に持ち込む。システム10はポーリング方式を使用し、さらにリターンリンクを獲得しているすべての航空機について最悪の場合のPSD寄与を記録することによって、いつ何台の航空機がリンクに入ることが許されるかを厳密に制御して、通信リンクに入ることを許された新たな航空機12によって寄与される付加的なPSDを勘案する。
【0068】
航空機12aの動きによって最大かつ最速の制御ループ妨害が引き起こされる。航空機12aの伝送アンテナ74は常にそのビームを目標衛星18aに向けているため、図8に示されるように、航空機のピッチと横転の変化によってその移動システム20のアンテナ74(またはアンテナ82)の仰角走査角度が変動することになる。伝送フェーズドアレイアンテナが移動システム20に用いられている場合、EIRPがcos1/2θに比例する特性があり、ここでθは衛星18aに対する仰角走査角度を示す。したがって、航空機のピッチ/横転妨害によってアンテナ仰角走査角度の変化が起こることがあり、このことによってアンテナの指向性が変化し、EIRPの変化につながることがある。EIRPが変化すると、地上局22の受信機によって測定される、地上での受信Eb/Noが比例して変化する。電力制御システムは、EIRPを上か下かに調整するための指令を航空機に送り返す。実際には、各航空機12上の移動システム20によって管理される制御ループが、アンテナ仰角走査角度の変化を測定し、アンテナへの駆動レベル(および伝送電力)を調整することによってアンテナの指向性の変化を補償し、EIRPを最後に指令されたレベルに維持することによって、航空機の妨害によって引き起こされるEIRPの変動を最低限に抑える。
【0069】
NOC26も、先に述べたように、システム10にアクセスしている(またはアクセスしようとしている)各移動システム20のPSD寄与を求めるために使用される。各移動システム20のPSDは、「逆方向算出」方式を使用することによって求められる。航空機PSDを求めるための第1のステップは、航空機12a上の伝送サブシステム64の信号のEIRPを求めることである。システム10は、各航空機12にそのEIRPを直接NOC26に報告させるのではなく、はるかに正確な方法を使用して、目標衛星18を通じて地上局22で既知の受信Eb/Noから逆方向に進んで移動システム20からの信号の伝送EIRPを求める。この発明の好ましい実施例では、リターンリンクの性能は航空機12aと目標衛星18aとの間のリンクによって完全に駆動される。この条件では、地上局22での受信Eb/Noは、衛星中継器の出力でのEb/Noと同一であることが知られている。第1原理を使用すると、地上局22での受信Eb/Noの関数として目標衛星18aに向けて投影される航空機のEIRPを求める以下の式は、次の式1を介して容易に導かれる。
【0070】
EIRPt=16π22R(Eb/No)(kT+Io)/(LGrλ2) (式1)
ここで、
d=航空機から衛星への距離
R=リターンリンクデータレート
Eb/No=地上局での受信Eb/No
K=ボルツマン定数
T=中継器の雑音温度
o=干渉雑音スペクトル密度
L=航空機から衛星へのアップリンクでの大気および雨による減衰
r=中継器受信アンテナ利得
λ=伝送の波長。
【0071】
一旦、式1を使用して目標衛星に向けられるEIRPが求められると、GEOの円弧に沿ったオフセット角度θの関数としてのGEO平面に到達するEIRPは、機上伝送アンテナ74についてアンテナ指向性パターンG(θ)を知ることで求められる。これは以下の式2で表わされる。
【0072】
EIRPi(θ)=LEIRPtG(θ)/Gt (式2)
ここで、EIRPtは式1によって求められ、目標衛星18aに対する伝送アンテナ利得Gtは、アンテナモデルから容易に計算される。式1を式2に代入すると、損失項Lが相殺され、GEOの円弧に到達する実際のEIRPが求められる。
【0073】
パラメータd、R、Gr、Eb/Noおよびλは、NOC26によって把握される。航空機12ごとの受信Eb/Noは、常に監視され制御される。(kT+Io)/Grの項は、各リターンリンク中継器について地上局22で独立して測定される。Ioの項は、他の衛星システム、および中継器を共有する他の移動端末20からの干渉雑音電力スペクトル密度に等しい。
【0074】
式(1)と(2)とを解くためには、移動端末20と目標衛星18との間の幾何学的関係を正確に知らなくてはならない。したがって、この発明は、すべての移動端末20がリターンリンクを使用して定期的にそれらの場所および姿勢をNOC26に報告する方法を含む。
【0075】
規制を守るため、総PSDは、すべてのθについて次の式で求められる。
【0076】
【数1】
Figure 0004753528
【0077】
ここで、
EIRPi(θ)=θ方向のi番目の移動システム20のEIRP
s=拡散帯域幅
N=システムに同時にアクセスしている移動システム20の数。
【0078】
例示的なPSDの規制上のマスクが表1に示され、図5にグラフで示される。この規制上のマスクは、PSDの制限を示し、この発明はこの制限を下回るように電力スペクトル密度を管理しなければならない。この例示的な規制上のマスクは、アンテナに−14dBW/4KHzの電力スペクトル密度を受ける超小型地上局(VSAT)についてのFCCの要件25.209に基づく。
【0079】
【表1】
Figure 0004753528
【0080】
この発明の方法は、すべての移動システム20が固定帯域幅(B)でそれらの伝送信号を拡散することを必要とし、この場合、Bは合計EIRPスペクトル密度についての規制上の制限を超過することなく複数のユーザ端末が同時にシステムにアクセスできるように十分な大きさになるように選ばれる。1つの好ましい実現例では、Bは中継器(たとえば衛星中継器18a1)の帯域幅に等しく設定される。典型的なKu帯中継器の帯域幅は、27MHz、36MHzまたは54MHzである。これらの帯域幅は、通常、規制上の制限を超えることなく複数の移動システム20が同時に単一のリターンリンク中継器にアクセスすることを可能にするのに十分な広さである。図6は、どのように複数の移動端末201〜20nからのEIRPを中継器の帯域幅全体にわたって拡散し、結果としての総PSDが規制上の制限を下回るように維持するかを示す。
【0081】
この発明の第2の重要な特徴は、単一の中央コントローラ26aを使用することであり、これは通信リソース(すなわち衛星に搭載された中継器18a1-4)の使用を管理し、受信可能領域内で作動する多数の移動システム20からのリターンリンクへのアクセスを調整するNOC26(図1)の一部であることが好ましい。この発明は、さらに「要求割当複数アクセス」(DAMA)のための制御スキームに関わり、これによって各移動システム20は中央コントローラ26aを通じて容量(データレート)を要求および放出する。中央コントローラ26aは、規制を守りつつ最大限の効率を達成するため、衛星に搭載された中継器の使用を調整するように動作する。
【0082】
各移動システム20からのPSD寄与は、その場所に(PAAアンテナの場合は走査角度にも)依存し、航空機12の場所は時とともに変化するため、各移動システム20からのPSD寄与も経時変化する。したがって、システム10は、各移動システム20がその場所およびそのアンテナの指す角度を定期的に中央コントローラ26aに報告して、総計に対する各移動システムのPSD寄与を更新できるようにすることを必要とする。しかしながら、いかなる所与の移動システム20からのRF信号のPSDは、商用ジェット機などの比較的高速で移動する移動プラットフォームの場合でも、時とともにゆっくりと変化すると考えられる。したがって、中央コントローラ26aは通常、数分ごとに1回よりも頻繁に移動システムPSDパターンを計算する必要はない。これについての例外は、利得パターンが走査角度に対して非常に敏感である移動アンテナ(たとえばフェーズドアレイアンテナなど)で起こる。これらのアンテナを有する移動システム20は、航空機または移動システム20が急速にその向首角または姿勢を変えている場合、より頻繁にそれらのパラメータ(位置およびアンテナ走査角度)を報告しなければならない。
【0083】
図9を参照すると、ステップ100において、まず移動システム20nからの容量の要求が中央コントローラ26aによって受取られたか、または移動システム20nが容量を放出しているかの判断が行なわれる。容量の放出が行なわれている場合、中央コントローラ26aは容量を放出している移動システム20nのPSDを総PSDから減ずる。これはステップ102に示される。
【0084】
移動システム20nは、以前に認可されたデータレートより高いデータレートで中継器18a1にアクセスしたい場合、またはある特定のデータレート(電力)で作動するために最初の認可を得たい場合、中央コントローラ26aにデータレート(電力)の要求を行なう必要がある。この要求によって、中央コントローラ26aには移動システム20nによって伝送されるべきRF信号のPSDを中央コントローラが求めるために必要な上述の情報が提供される。ステップ104において、中央コントローラ26aは、伝送信号の軸上(静止軌道の円弧に沿った)および軸外のPSDの両方についてPSDを求める。ステップ106で、中央コントローラ26aは、現在衛星18aにアクセスしている他のすべての移動システム20の総PSDにこのPSDを追加する。次に、中央コントローラ26aは、新たな総PSDを規制上のPSD制限と比較する。これはステップ108に示される。この比較によって、現在アクセスを要求している移動端末20nのPSDによって、新たな総PSDが軸上または軸外オフセット角度において予め定められた規制上のPSD制限を超過すると示された場合、ステップ110に示されるように、システム10へのアクセスは拒否される。ステップ112に示されるように、任意で、付加的な容量の要求は中央コントローラ26aが付加的な容量が利用可能だと判断するまで順番待ちすることができる。十分なPSD(すなわち容量)が(たとえば別の移動システム20によるデータレート電力の放出によって)利用可能になって初めて中央コントローラ26aは移動システム20nに信号伝送の認可を送る。これはステップ114に示される。
【0085】
同様に、移動システム20がもはやデータレート(すなわち電力)を必要としなくなった場合、これは中央コントローラ26aに放出されるため、中継器を共有する他の移動システム20によって使用することができる。移動システム20が容量を放出する前に中央コントローラ26aの認可は必要とされない。中央コントローラ26aが所与の移動システム20からデータレートメッセージの放出を受取ると、総PSDから放出されたデータレートのPSDを減じて新たな総PSDを形成する。
【0086】
実際には、中央コントローラ26aによって監視される総PSDは常に変化する。これは受信可能領域内で作動するさまざまな移動システム20がシステム10に対し容量(すなわちデータレート)を要求および放出し、システム10との通信セッションを開始および終了するためである。ある特定の移動システム20からの伝送認可要求が中央コントローラ26aによって拒否された場合、システム10は任意で、要求を行なっているその移動システムを利用可能なPSD容量を有する別の中継器に割当てることができる。中央コントローラ26aがシステム10にアクセスしようとしている移動システムのRF放射によってシステム10に現在アクセスしているすべての移動システム20の総PSDが規制上のPSD制限を超えないと判断しなければ、システム10にアクセスしようとしている移動システム20には伝送の認可は与えられない。
【0087】
受信可能領域内で作動するすべての移動システム20は、それらのデータレート、場所、配向などが通信セッション中に変化するのに伴い、定期的に電力を要求および放出するように作動する。各移動システム20は、衛星18aの中継器18a1との通信リンクを閉じるために必要な分だけの電力をもって信号を送る。この伝送電力はデータレートおよびその他の多くのパラメータ(すなわち距離、アンテナ走査角度等)の関数である。伝送電力を調整して通信リンクを閉じたままで維持する動作を「電力制御」と称してもよい。
【0088】
この発明のシステムおよび方法は、中央コントローラ26aが(たとえば定期的なメッセージングによって)電力の変化を知ることができる電力制御方法であれば、どのような電力制御方法にも使用することができる。電力制御の好ましい方法は、上述の二重ループ電力制御方法である。
【0089】
電力制御のもう1つの方法は、開ループのアプローチであり、この場合、各移動システムは、地球上で既知のその位置(通常GPSを介して提供される)およびその姿勢を通信したい衛星の場所に関する情報とともに使用して、適切な伝送電力を求める。繰返すが、選択される伝送EIRPは、衛星との通信リンクを閉じるのを可能にする量である。開ループアプローチでは、移動システム20は定期的にその伝送電力を中央コントローラ26aに報告しなければならない。どちらのアプローチでも、システム10にアクセスしている各移動システム20の伝送電力を中央コントローラ26aに知らせることが重要である。
【0090】
図10を参照すると、この発明のシステムおよび方法の運用の一例が記載される。この例では、3機の航空機12a、12bおよび12cが衛星中継器18a1と通信している。航空機12aはワシントン州シアトル上空、航空機12bはテキサス州ヒューストン上空、航空機12cはメイン州バンガー上空にある。この例のため、さらに各航空機12はサイズの異なるフェーズドアレイアンテナ(PAA)を有し、各々が異なるデータレートで衛星18a1の中継器にアクセスしていると仮定する。航空機12aは、256素子(16×16)アクティブフェーズドアレイアンテナを使用し、34dBWのEIRPを使用して64Kbpsで伝送している。航空機12bは、より大きな512素子PAAを使用し、39dBWのEIRPおよび256Kbpsのデータレート内で伝送する。最後に、航空機12cは、128Kbpsおよび37dBWで作動する、さらに大きな開口の1024素子PAAを有する。各航空機12a、12bおよび12cの移動システム20の各々は、東経93°にある衛星中継器18a1にそれらのアンテナを向けている。
【0091】
航空機12aからのRF信号のEIRPスペクトル密度が図11に示され、参照番号112で示される。航空機12bからのRF信号のEIRPスペクトル密度は図12に示され、参照番号114によって示される。航空機12cからのRF信号のEIRPスペクトル密度は図13に示され、参照番号116によって示される。図14は、中央コントローラ26aによって求められる総PSDを示す。3機すべての航空機からの総PSDが波形118によって示される。図14から、総PSD118は、静止軌道の円弧に沿ったすべての点において軸上の規制上のPSD制限(すなわち「マスク」)120を下回っていることがわかる。同様のチェックが軸外PSDについても行なうことができる。
【0092】
先に述べたように、システム10はモデルを使用するが、このモデルによって中央コントローラ26aは、航空機から衛星へのビーム発射の幾何学的関係に基づいて伝送アンテナの照射パターンを正確に計算することができる。実際には、このアンテナモデルは中央コントローラ26aによって使用されるため、システム10にアクセスするために使用されるであろうアンテナの各タイプについてアンテナ利得パターンを計算することができる。図11から13に示されるように、伝送電力、利得パターンおよび拡散帯域幅がわかれば、PSDパターンを各移動システムについて計算することができる。これは各移動システム20からのPSD寄与を合計して、図14に示される総PSDを計算する定型化した加算演算になる。この例では、総PSDは規制上のPSDの制限を下回るため、付加的な移動システム20によるシステム10へのアクセスを許可するか、または既存のユーザがそれらの伝送電力(すなわちデータレート)を増やすことが可能である。データレートは伝送電力に比例し、伝送電力はPSDに比例するため、この発明は、電力、PSD、データレートまたは容量を管理するといえる。
【0093】
図15〜18を参照すると、すべての航空機12の総PSDを監視および制御するためのシステム10がさらに詳しく説明される。この発明10は、リターンリンク電力コントローラ(RLPC)130を組込む。RLPC130は、走査角度補償器132および機上受送信サブシステム(ARTS)134を含む。走査角度補償器132はソフトウェアプログラムを含むが、これはRLPC130の重要な構成要素である。この構成要素については後続の図面でさらに詳しく述べるが、これは、航空機12上にあり航空機にある他のハードウェアとインターフェイスするソフトウェアで本質的に実現される。これは、航空機12の比較的高速な横転およびピッチの動きを補償する。さらに具体的には、これは航空機の動きの直接的な結果である伝送アンテナ74の走査角度の変化を補償する。これは「高速」走査角度補償器と称されるが、なぜなら秒当り約10の指令の割合で修正指令を生成するためで、これはRLPC130の他の部分と比較すると10倍の速さである。走査角度補償器132への入力は、実際の伝送アンテナ走査角度である。走査角度補償器132からの出力は、ARTS134アンテナ電力レベルの形での修正指令の時系列を表わす。
【0094】
ARTS134はハードウェア構成要素であり、通信サブシステム52(図2)と通信する。ARTS134は、地上局22または機上の走査角度補償器132から指令を受取ってアンテナ74電力レベルを設定し、指令された電力レベルにできるだけ近い出力電力レベルを生成する。ARTS134への入力は、実際のアンテナ走査角度、走査角度補償器132からの電力指令、および地上中央コントローラ26aからの電力指令である。ARTS134の出力は、Eb/Noの模擬的な値である。ARTS134は、Eb/Noの値だけでなく他のものも出力することができるが、ここでの説明では、Eb/Noがあれば十分である。
【0095】
ブロック136は、システム10が制御することを意図されるEb/Noの入力レベルを示す。RLPC130の実際の運用では、この値は通常、何らかの外部エンティティによって設定され、RLPC130の地上部によって受け入れられる。ブロック136の出力は、指令されたEb/Noの値の時系列を表わす。
【0096】
RLPC130はさらに、加算要素138と報告アルゴリズム140とを含む。加算要素138は、ブロック136によって示される指令された(所望の)Eb/Noと、測定され報告アルゴリズム140(これについては後に述べる)から報告された値との差をとり、これによってRLPCシステム130を駆動するために使用するエラーを生成する。加算要素138は、図1に示される地上局22の一部を形成するデータセンター155の1台以上のコンピュータで作動するソフトウェアにある。加算要素138の出力は、完全にソフトウェア内にあるエラーの値の時系列を表わす。
【0097】
報告アルゴリズム140は、RLPC130の主な部分を含む。これはデータセンター155に関連づけられるコンピュータ機器にあるソフトウェアプログラムである。これは、地上送受信システム(GRTS)143によって生成されるEb/No測定値をサンプリングするために使用する。GRTS143はRLPCシステム130の一部ではない。報告アルゴリズム140は、Eb/No測定値のサイズを制限して、不定期のスプリアスの測定値データがRLPCシステム130によって使用されるようにする。報告アルゴリズム140からの出力は、その出力が特定かつ定期的な時間間隔でのみとられたという点を除いて、入力Eb/No測定値の単なる繰返しである。
【0098】
加算要素138の出力は低速ループ地上コントローラ142へ入力されるが、低速ループ地上コントローラ142もRLPCシステム130の重要な構成要素を形成する。低速ループ地上コントローラ142は多くの下位構成要素を含むが、これらについては後に述べる。これはデータセンター155(図1)のコンピュータにあるソフトウェアで実現される。
【0099】
低速ループ地上コントローラ142は、データセンター155のコンピュータによって測定可能ないかなる形のEb/Noにおける妨害も補償する。これが「低速」と称されるのは、実質的に毎秒約1回だけ電力修正を生成し得るためである。低速ループ地上コントローラ142への入力はエラー信号であり、その出力は計算された電力レベル指令であり、これらは航空機12に伝送される。
【0100】
図16を参照すると、走査角度補償器132がさらに詳しく示される。走査角度補償器132は、ARTS134の機上のソフトウェアに含まれる「走査角度測定間隔」サブシステム144を含む。このサブシステムは、本質的に定期的な間隔で走査角度測定値をサンプリングする。ここで好ましいサンプリング間隔は100ミリ秒である。したがって、100ミリ秒ごとに走査角度の新たなサンプルが採られる。サンプルが採られない期間中は、次のサンプルが採られるまで、最後にサンプリングされた値がサブシステム144の出力上に保持される。
【0101】
ブロック146は「バックラッシュ」を表わす。このブロックは、航空機12の機上のARTS134に関連づけられるソフトウェアに含まれ、その入力にバックラッシュを与えるために使用される。つまり、ブロック146からの出力は、入力がある値を超えて変化しなければ変化しない。入力がある値を超えて変化した場合、出力は、入力が変化した分だけ変化する。入力の方向が変化した場合、入力が予め定められた程度だけ変化するまで出力は変化しない。この機能は、RLPCシステム130が非常に小さい雑音スパイクに反応しないようにするために役立つ。ここで好ましいバックラッシュ「デッドゾーン(deadzone)」はゼロであり、したがって、ブロック146はその入力に影響を与えない。しかしながら、これはシステムRLPC130の性能を細かくチューニングするために利用可能である任意の要素として示される。
【0102】
「コサイン」ブロック148も航空機12の機上のARTS134のソフトウェアに含まれ、その入力のコサインを出力するために使用される。「コサイン冪乗」ブロック150も航空機12の機上のソフトウェアに含まれる。ブロック150は、ブロック148の出力を或る特定の冪乗にするために使用される一定の値(好ましくは1.2の値)を出力する。ブロック150の機能は、伝送アンテナ74の実際の挙動に近似させようとすることである。なぜなら、それ自身の利得がcos(θ)1.2の形の走査角度に影響されるためである。この場合、「θ」は走査角度を示す。したがって、走査角度補償器132は、この挙動の影響に対抗してアンテナ74が何をするかを予測することができる。
【0103】
ブロック148と150との出力は「冪乗」ブロック152に入力されるが、これも走査角度補償器132の重要な部分である。ブロック152は航空機上のARTS134のソフトウェアに含まれ、コサインブロック148からの出力の値をコサイン電力ブロック150の出力の値で冪乗するために使用される。ブロック152も、走査角度補償器132がアンテナ74が何をしているかを予測し、この挙動の影響に対抗しようとするのを支援する。
【0104】
冪乗ブロック152からの出力は、この発明の重要な部分である「逆方向の」ブロック154に入力される。ブロック154は航空機12の機上のARTS134のソフトウェアに含まれ、その入力の逆数を出力する。これを行なうのは、高速の走査角度補償器132の出力が最終的にARTS134(図15)からの実際の所望の電力レベルを乗算するからである。したがって、この値(1/x)が実際の値(xに近くなるべきであり、ブロック148から152はこれを予測しようとする)によって乗算される場合、結果は1に近くなるべきである。これは走査角度がどのようであれ、最終的な出力は常に1に近くなるということを意味する。この値を使用してシステム130内の他の値を乗算するが、この値が1に近く保持されると、システム全体の最終的な値は大きくは変わらない。
【0105】
ブロック156はデシベル変換ブロックであり、航空機12の機上のARTS134のソフトウェアに含まれる。ブロック156はその入力上の信号をデシベル(dB)に変換する。デシベルは、大抵の通信システムにおける一般的な測定単位である。RLPC130の正確なアーキテクチャに依存して、ブロック156は必要でない場合もある。
【0106】
ブロック158は、ブロック156からの出力上で「総計する」働きをする。ブロック156は、実際には「量子化器」158aと「diff1」ブロック158bとの組合せである。サンプリング時間ごとに、diff1ブロック158bの出力は、以前のサンプルからの入力と現在のサンプルからの入力との差である。総計ブロック158は、各時間ステップごとにその入力の変化を出力する働きをする。この例では、ブロック144が100ミリ秒ごとにサンプリングするため、時間ステップは100ミリ秒ごとである。100ミリ秒ごとに、ブロック158aと158bとは前の100ミリ秒からの入力の変化を計算し、この変化を出力する。量子化器158aは、変化が報告される前に、変化が少なくともある特定のレベル(ここでは0.1dB)にあるようにする。総計ブロック158からの出力は入力され、ARTS134へ伝送される。
【0107】
図17を参照すると、図15の低速ループ地上コントローラ142がさらに詳しく示される。まず、ブロック160を参照すると、このブロックはデータセンター155のソフトウェアに含まれる。これは加算要素138(図15)から入力エラー信号を受取り、それに合わせて出力信号を生成する。
【0108】
ブロック160からの出力は、エラー雑音フィルタ162と制御フィルタシステム164とに入力される。ブロック162はデータセンター155のソフトウェアに含まれる。ブロック162はその入力をフィルタリングして、雑音の影響を減少させる。これは、好ましくは10Hzのサンプリングレートを備える離散1次低域フィルタを含む。ブロック162の出力は、その入力をフィルタリングしたものである。
【0109】
エラー雑音フィルタ162からの出力は、ヒステリシスを備える対称的リレーに入力される。ブロック166もデータセンター155で使用されるコンピュータに関連づけられるソフトウェアに含まれる。ブロック166は、入力の履歴に依存して、「1」、「0」、または「−1」を出力する。入力がある所与の値を上回る(またはこの値の負の数を下回る)場合、出力は1(または−1)である。入力が別の所与の値を下回る(またはこの値の負の数を上回る)場合、出力は0である。入力がこれら2つの値の間である場合、出力は前の出力が何であれ前の出力となる。ブロック162で使用される値は、RLPCシステム130の細かいチューニングを行なうのに必要であれば変更することが可能である。ブロック166は、ブロック162からのフィルタリングされたエラーの出力が(正または負の方向に)大き過ぎるかどうかをテストするために使用される。大き過ぎるならば、0でない値が出力され、このことによって電力修正が必要であることがRLPCシステム130の残りに示される。
【0110】
ブロック168は地上のソフトウェアに含まれる。ブロック168の出力は、「1」、「0」または「−1」であるその入力の絶対値である。このため、3つのブロック162、166および168の最終的な出力は、「1」または「0」のどちらかである。「1」はエラーが大き過ぎることを示し、「0」はエラーが現在のところ受容可能であることを示す。
【0111】
制御フィルタブロック164も地上のソフトウェアに含まれ、この発明の重要なサブシステムである。制御フィルタブロック164は図18に詳しく示され、後に説明される。しかしながら、このブロック164の機能は本質的に、一旦エラーが大き過ぎると判断された場合に必要な電力修正を計算することである。出力は電力修正指令であり、航空機12に送られる。
【0112】
ブロック170は任意であるが、これは絶対指令から指令の増分を作成する働きをし、データセンター155のコンピュータのソフトウェアに含まれる。ブロック172は、図16のブロック158と同じ働きをする。このブロック172も低速ループ地上コントローラ142にとって任意である。
【0113】
ブロック172は、ブロック172から(またはブロック170が省略される場合ブロック164から)出力を受取る。ブロック172もデータセンター155のコンピュータに関連づけられるソフトウェアに含まれる。これは図15のARTS134へその入力を出力する。実際の実現例では、修正指令の伝送は、衛星中継器に送り出されて航空機12に戻る前に、いくつかの介在素子を通じて進められることが多いが、このことが修正指令の伝送で起こる時間遅延の主な原因である。これら介在素子はこの発明の一部ではない。それらは典型的には、コンピュータ相互ネットワークに関連づけられる素子(たとえば、イーサネット(R)カード、ルータ、スイッチ、ファイアウォール等)、および通信システム52に関連づけられる素子(たとえば、変調器、アップコンバータ、符号器、アンテナ等)である。それらはすべて協働して機能し、電力指令の経路を定め、電力指令をブロック172からARTS134へ伝送する。したがって、ブロック172はこれら残りすべての介在素子に対するインターフェイスにすぎず、その詳細はシステム10の最終的な実行ステップに隠されている。
【0114】
図18を参照すると、制御フィルタブロック164が詳しく示される。このブロックは本質的に、1秒に等しいサンプル間隔(T)とアンチワインドアップとを備えた典型的な離散2次フィルタである。可能化スイッチ174は、データセンター155のコンピュータのソフトウェアに含まれ、ABSブロック168(図17)からの出力が1を上回るか、または1に等しい場合のみ、制御フィルタブロック164が実行されるのを可能にする。このチャート上で信号のフローを追跡することにより、フィルタリングされた入力エラーが大き過ぎる場合のみ、可能化スイッチ174によって、制御フィルタブロック164の実行が可能となることがわかるであろう。これは中央コントローラ26aから指令が送られる回数を減らす役目をするRLPC130の重要な部分であり、中央コントローラ26aから指令が送られる回数を減らすことによって、さもなくば販売可能な帯域幅の使用を減少させることができる。
【0115】
ブロック176は任意であるが、これも中央コントローラ26aのソフトウェアに含まれる。ブロック176は測定値エラー信号を制御フィルタブロック164(図17)に伝送する役目をする。これは包含ブロック(ブロック142)のどこから信号がこのブロックに入るのかを示す基準点を表す。
【0116】
ブロック176の出力は、比例利得増幅器178に入力される。増幅器178は中央コントローラ26のソフトウェアに含まれる。比例利得増幅器178は受取った入力を或る所与の値で乗算した状態で出力する。この値はRLPCシステム130の設計にとって重要であるが、チューニングの必要性に応答して変更することが可能である。
【0117】
第2の比例利得増幅器180は増幅器178から出力を受取る。比例利得増幅器180も中央コントローラ26aのソフトウェアに含まれる。この増幅器180は増幅器178と同じ機能を果たすが、その入力を異なる値で乗算する。
【0118】
ブロック182は地上のソフトウェアに含まれる「制限された離散時間積分器」である。ブロック182は、その出力上でその入力の時間積分を生成する。積分は、いわゆる「前進オイラー」法を使用して離散時間の態様で行なわれる。この積分器のサンプル間隔は1秒である。この積分器は、出力がある所与の値を上回った場合(またはその値の負の数を下回った場合)に積分を停止するという点で制限されている(いわゆる「アンチワインドアップ」)。入力の符号が逆になって出力をその制限された値より減少させるとき、積分を再開する。
【0119】
ブロック184は乗算器でありGRTS134のソフトウェアに含まれる。このブロックはブロック178と同じ機能を果たすが、異なる値によってその入力を乗算する。
【0120】
乗算器180および182からの出力は加算接合部186に与えられ、これはこれらの値を加算し、加算された値を比例利得増幅器188に出力する。比例利得増幅器188はデータセンター155のソフトウェアに含まれ、増幅器178と同じ役割を果たすが、異なる値によってその入力を乗算する。
【0121】
さらに図18を参照すると、離散時間積分器190は比例利得増幅器180から出力を受取る。離散時間積分器190はデータセンター155のコンピュータのソフトウェアに含まれる。この積分器190は、積分器182(同じサンプル時間および積分方法を備える)と同じ役割を果たすが、ブロック182のように制限されていない。インターフェイスブロック192は、離散時間積分器190から出力を受取る。ブロック192からの出力は、図17のブロック170に入力される。
【0122】
低速ループ地上コントローラ142は、非常に低い雑音および/またはさまざまなシステムパラメータに関する広範な知識を必要とするであろう公知の「絶対的な(dead-bang)」制御方法の代わりにフィルタを実現する。全ループ地上コントローラ142は強固な安定性および分析的な扱いやすさも提供する。さらに、これはモデルの不確実性およびばらつきに対する反応性もよく、不確実性およびばらつきはオンラインで容易にチューニングされ、最適の性能が得られる。低速地上ループコントローラ142は、指令「増分」を作成するため、これらの増分を航空機12に伝送する際に必要となる帯域幅が少なくて済み、有利である。可能化スイッチ174は、エラーが設定可能な制限を上回る場合にのみ、フィルタを実行することによって指令の生成を制限する。可能化スイッチ174はさらに、ブロック164内で各ブロックを可能化または不能化する働きをする。低速ループ地上コントローラ142はさらに、ブロック166内に含まれるヒステリシスを使用して、ジッターおよび「ハンチング」を防止する。
【0123】
この発明の方法および装置は、さまざまな移動RF伝送プラットフォームからの通信を管理および監視して、その移動プラットフォームのすべての総PSDが予め定められた規制上の制限を超過しないようにするための手段を提供する。中央コントローラを使用して、移動システム20の各々からのシステム10へのアクセス要求を受取り監視し、軸上および軸外の総PSDに密な制御を行なうことができる点がこの発明の重要な利点である。通信リンクを閉じたまま維持するのに必要な電力量のみをもって各移動システム20に伝送させることによって、システム10の効率は最大化され、総PSDが規制上の制限を超過することなく多数の移動システムがシステム10にアクセスすることが可能となる。
【0124】
上述の説明から、当業者にはこの発明の広範な教示がさまざまな形で実現され得ることが理解されるであろう。したがって、この発明はその具体的な例に関連して記載されているが、この発明の真の範囲はそのように限定されるべきではない。これは、図面、明細書および前掲の特許請求の範囲を検討することにより、その他の変形が当業者には明らかになるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のシステムにおける3つの主要構成要素を例示する簡略化したブロック図である。
【図2】 各移動プラットホームに搭載される移動システムのブロック図である。
【図3】 静止軌道上で目標衛星に隣接して位置する複数の衛星と、目標衛星を意図したRF伝送により引起こされ得る潜在的な干渉とを例示する図である。
【図4】 米国大陸部で表わす受信可能領域と、地理的に見て受信可能領域のほぼ中心に位置付けられた基準VSATアンテナとを例示する図である。
【図5】 図4に示す、カンザス州ウィチタ(Kansas, Wichita)に位置付けられた基準VSATアンテナと、西経93°にある目標衛星とについての現在のFCC規制下で許容される静止軌道の円弧に沿った最大EIRPスペクトル密度のグラフである。
【図6】 中継器帯域幅全体にわたって信号が拡散された複数の移動端末からのPSDの総計を例示し、かつ超過してはならない規制上のPSD制限を示す簡略化したグラフである。
【図7】 この発明の電力制御方法により用いられる、好ましい信号対雑音(Eb/No)制御範囲を例示するグラフである。
【図8】 目標衛星に対する移動システムのアンテナの高度走査角を簡単に例示する図である。
【図9】 この発明に従うシステムによって、共用の衛星中継器に対するアクセスおよびデータレート要求の管理において実行される動作の基本的なステップを示すフローチャートである。
【図10】 共通の受信可能領域内で異なった場所に位置する3機の航空機であって、すべて衛星上の単一の中継器にアクセスを行なっているものを示す図である。
【図11】 図10に示す3機の航空機の各々により伝送されるRF信号のGEO円弧に沿ったPSDを示すグラフである。
【図12】 図10に示す3機の航空機の各々により伝送されるRF信号のGEO円弧に沿ったPSDを示すグラフである。
【図13】 図10に示す3機の航空機の各々により伝送されるRF信号のGEO円弧に沿ったPSDを示すグラフである。
【図14】 図10に示す3機の航空機からの信号の総PSDが、GEO円弧に沿ったすべての地点でどのように規制上のPSD制限未満に留まるかを例示するグラフである。
【図15】 この発明の好ましい実施例に従うリターンリンク電力コントローラを示すブロック図である。
【図16】 この発明の走査角補償器をより詳細に示すブロック図である。
【図17】 図15のリターンリンク電力コントローラの地上ループコントローラ部を示すブロック図である。
【図18】 図17の制御フィルタブロックの構成要素をより詳細に示すブロック図である。

Claims (8)

  1. 宇宙にある中継器に対してRF送受信機が方向付けられた移動プラットホーム(12)からのRF信号の電力スペクトル密度(PSD)を監視および制御するための方法であって、
    前記方法は、
    前記宇宙にある中継器からの前記信号が地上局で受信される際に、前記信号の信号品質を測定するステップと、
    前記移動プラットホームの軸上及び軸外のPSDを求めるステップと、
    前記求められた軸上及び軸外のPSDに基づいて電力修正指令信号を生成し、該電力修正指令信号は前記信号の前記電力スペクトル密度を制御し、前記移動プラットホームの軸上および軸外の総PSDを予め定められた制限内に維持するために、前記宇宙にある中継器を介して移動プラットホームに送信されるステップとを有する方法。
  2. 請求項1の方法であって、さらに、
    受信を行ない、前記宇宙にある中継器から中継された前記RF信号の信号対雑音比を求めるために、中央コントローラを使用するステップと、
    前記中央コントローラにより受信された前記RF信号の前記信号対雑音比が、前記宇宙にある中継器の出力でのRF信号の信号対雑音比とほぼ同一であると想定するステップと、
    前記移動プラットホームにより前記宇宙にある中継器に対して方向付けられたRF信号の実効等方向放射電力(EIRP)値を、前記中央コントローラが受信した前記RF信号の前記信号対雑音比の関数として決定し、前記EIRP値を目標EIRPとするステップと、
    前記宇宙にある中継器が存在するGEO円弧に到達する実際のEIRPを決定するために、前記目標EIRPと前記移動プラットホームのアンテナのパターンとを使用するステップと、
    前記移動プラットホームが送信している前記RF信号の前記軸上および軸外のPSDを決定するために、前記GEO円弧に到達する前記実際のEIRPを使用するステップとを含む、方法。
  3. 宇宙にある中継器に対してRF送受信機が方向付けられた移動プラットホーム(12)からのRF信号の軸上および軸外の電力スペクトル密度(PSD)を監視および制御するためのシステムであって、前記システムは、
    地上ループコントローラを含み、前記地上ループコントローラは、前記宇宙にある中継器からの前記信号が地上局で受信される際に、前記信号の信号品質を測定し、かつ、前記信号の前記軸上および軸外の電力スペクトル密度を制御し、前記移動プラットホームの軸上および軸外の総PSDを予め定められた制限内に維持するために、前記宇宙にある中継器を介して移動プラットホームに送信される電力修正指令信号を生成し、さらに、前記移動プラットホーム(12)の軸上および軸外のPSDを決定するために中央コントローラ(26a)が備えられる、システム。
  4. 前記地上ループコントローラは閉ループシステムを含み、前記閉ループシステムは、前記地上局で受信された前記信号の信号品質を予め定められた値と比較し、前記受信した信号と前記予め定められた値との間の信号品質についての差に基づいて前記電力修正指令信号を生成する、請求項に記載のシステム。
  5. 前記地上ループコントローラは、前記信号の信号品質値が、所望の予め定められた値から予め定められた量だけ異なるときにのみ、前記電力修正指令信号を送信する、請求項に記載のシステム。
  6. 前記電力修正指令信号は、前記信号の前記電力レベルを変更すべき増分値を表わす、請求項に記載のシステム。
  7. 走査角補償システムをさらに含み、前記走査角補償システムは、前記移動プラットホームの前記RF送受信機から伝送される信号の、前記移動プラットホームの位置の変化によって変わる、電力レベルを監視し、かつ、前記宇宙にある中継器が前記信号を受信する際に、前記電力レベルの変動を最小限にするために、前記RF送信機から伝送される前記信号の前記電力レベルを調整する、請求項に記載のシステム。
  8. 前記走査角補償システムは開ループシステムを含み、前記開ループシステムは、
    機上の基準システムにより生成されたアンテナ方向指示情報または機上慣性基準システムにより生成された姿勢情報を、予め記憶された表に含まれる情報と比較し、前記予め記憶された表に含まれる前記情報に従って、前記信号の前記電力レベルを変更する、請求項に記載のシステム。
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