JP4752118B2 - Process for producing fatty acid ester and fuel containing fatty acid ester - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油脂と1価アルコールとを反応させる脂肪酸エステルの製造方法および該製造方法により得られる脂肪酸エステルを含む燃料に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪酸トリグリセリドと呼ばれる脂肪酸とグリセリンのエステルが主成分である油脂と1価アルコールのエステル交換反応により得られる脂肪酸と1価アルコールの脂肪酸エステル(以下単に「脂肪酸エステル」ということがある。)は、工業原料、医薬品の原料や燃料として用いられている。
【0003】
特開昭61−254255号公報には、固体触媒として炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムを使用し、常圧下で油脂とメタノールをメタノールの沸点に加熱して反応させ、脂肪酸エステルを製造する方法が提案されている。しかし2時間の反応後の脂肪酸エステルの収率が約75%であり、収率が不十分であった。
【0004】
油脂を1価アルコールと反応させてエステル交換することにより、従来の鉱物油にかわる、脂肪酸エステルを含むディーゼル燃料や潤滑油基油を製造する方法が報告されている。例えば、特開平7−197047号公報には、苛性ソーダの存在下で廃食用油とメタノールを反応させてディーゼル燃料を製造する技術が開示されている。同公報には、エステル交換反応は、苛性ソーダを用いて大気圧下、50℃から70℃の温度で行うことが記載されている。苛性ソーダと反応して少量の石鹸が生成するため、後処理で分離する必要があり、他の触媒が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、油脂と1価アルコールから、苛性ソーダを触媒として用いることなく、高収率で脂肪酸エステルを製造する方法および該脂肪酸エステルを含む燃料等を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、油脂と1価アルコールとを反応させて脂肪酸エステルを製造する方法および脂肪酸エステルを含む燃料について鋭意研究を続け、固体塩基触媒を触媒として用い、油脂および/またはアルコールが超臨界状態になる条件で反応を行えば、苛性ソーダを触媒として使わなくとも高収率で脂肪酸エステルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記[1]〜[4]の発明を提供する。
[1]油脂と1価アルコールとを固体塩基触媒の存在下で、油脂および/または1価アルコールが超臨界状態となる条件で反応させる脂肪酸エステルの製造方法。
[2]上記[1]に記載の製造方法により製造された脂肪酸エステルを含む燃料。
[3]上記[1]に記載の製造方法により製造された脂肪酸エステルを含む潤滑油。
[4]上記[1]に記載の製造方法により製造された脂肪酸エステルを含む燃料油添加剤。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において油脂とは、脂肪酸とグリセリンのエステルである脂肪酸トリグリセリドを主体とするものである。ここに「脂肪酸トリグリセリドを主体とする」とは、脂肪酸トリグリセリドが油脂の50重量%以上含有されていることを意味する。
【0008】
本発明の製造方法の主反応は、次の反応式(2)で示される。
(式中、R1、R2、R3は互いに独立に、脂肪酸の炭素鎖を示す。R1〜R3の炭素数は油脂の種類によって異なる。R4はヒドロカルビロキシル基で置換されていてもよいヒドロカルビル基を示す)
【0009】
本発明の製造方法で使用する油脂は、反応式(2)に示される脂肪酸のトリグリセリド 1 を主として含む物質であり、天然油脂でも合成油脂でも良い。
油脂には、代表的なものとして、ラード脂、ニワトリ脂、バター脂、牛脂、ココアバター脂、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、アマニ油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、アンズの仁油、牛骨脂、クログルミ油、ヒマシ油、大風子油、シナ脂、タラ肝油、綿実ステアリン、ゴマ油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、パーム油、パーム核油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、桐油、鯨油などがあげられるが、これらには限定されない。また、これらの油脂が複数混合したもの、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、一部、酸化、還元等の変性を起こした油脂でも用いることができる。また、未精製の油脂で、遊離脂肪酸や水分などを含有するものでもよいし、レストラン、食品工場、一般家庭などから廃棄される廃食油でもよいが、必要に応じて適切な前処理を行うことが好ましい。例えば、本発明を廃食油などの廃油に適用する際に、不溶解性の固体が油脂に混入すると昇圧ポンプや圧力調節弁の閉塞をおこし、安定運転の妨げになる場合があるので予熱器に供給する前に金網、フィルター等で油脂から不溶解性の固体を取り除くことが好ましい。
【0010】
油脂中には油脂(脂肪酸トリグリセリド)以外の成分が混入していてもよい。具体的には、原油、重油、軽油、鉱物油、精油、石炭、脂肪酸、糖類、金属粉、金属塩、蛋白質、アミノ酸、炭化水素、フレーバー、色素化合物、酵素、香料、アルコール、繊維、樹脂、ゴム、塗料、セメント、洗剤、芳香族化合物、脂肪族化合物、スス、ガラス、土砂、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物、含ハロゲン化合物などがあげられるが、これには限定されない。
【0011】
油脂中に含まれる上述の物質は、反応に関与する可能性がある場合、例えば、反応を阻害する可能性がある場合、製造プロセスにおいて閉塞を生じさせる可能性がある固体である場合等には、反応前にろ過、蒸留等の手法を用いて取り除いておくのが好ましい。蒸留の方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留、分子蒸留、抽出蒸留などがあげられるが、これには限定されない。本発明において、油脂としては、廃油脂、あるいは廃食用油等も使用可能である。
【0012】
本発明で使用する1価アルコール(反応式(2)の 2 )は特に限定されないが、一般式
R−OH (1)
(Rは炭素数1から10のヒドロカルビル基、または炭素数2から10の、ヒドロカルビロキシル基で置換されたヒドロカルビル基を示す。)
で示される1価アルコールが好ましい。
【0013】
Rのうち炭素数1から10のヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。
【0014】
Rがアルキル基である1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノールなどが挙げられる。
【0015】
Rがアラルキル基である1価アルコールとしてはベンジルアルコール、α−フェネチルアルコール、β−フェネチルアルコールが挙げられ、ベンジルアルコールが好ましい。
【0016】
Rがアルケニル基である1価アルコールとしては、アリルアルコール、1−メチルアリルアルコール、2−メチルアリルアルコール、3−ブテン−1−オ−ル、3−ブテン−2−オ−ルなどが挙げられ、アリルアルコールが好ましい。
【0017】
Rがアルキニル基である1価アルコールとしては、2−プロピン−1−オール、2−ブチン−1−オ−ル、3−ブチン−1−オ−ル、3−ブチン−2−オ−ルなどが挙げられる。なお、以下1価アルコールを単に「アルコール」と呼ぶことがある。
【0018】
Rが炭素数2から10の、ヒドロカルビロキシル基で置換されたヒドロカルビル基であるアルコールとしては、2−メトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノールなどが例示される。
【0019】
この中で、アルコールとしては、Rが炭素数1から4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、Rがメチル基であるメタノール、Rがエチル基であるエタノール、Rがプロピル基であるプロパノール、Rがイソプロピル基であるイソプロパノール、Rがn−ブチル基であるn−ブタノール、Rがイソブチル基であるイソブタノール、Rがt−ブチル基であるt−ブタノールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノールであり、さらに好ましくはメタノールである。アルコールの純度としては特に限定されないが、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。アルコールは1種類を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、アルコールは、光学異性体が存在する場合には、光学異性体も含む。
【0020】
アルコールの供給重量は、下式に従って算出したアルコールの理論供給重量の1〜100倍であることが好ましい。
1価アルコールの理論供給重量=
(油脂の供給重量×油脂のケン化価×1価アルコールの分子量)÷56100
(ここで、油脂のケン化価とは、油脂1gを完全にケン化するために必要な水酸化カリウムの量をmg数で表した値である。)
アルコールの供給量が理論供給重量の1倍よりも小さい場合には、反応収率が低下するため好ましくなく、また100倍よりも大きい場合には、装置が大型化し過ぎる場合があり好ましくない。
【0021】
式(2)の反応で製造される脂肪酸エステル 3 には、代表的なものとして、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプテデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ぺペン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、ネルボン酸、リシノール酸、(+)−ヒドノカルビン酸、(+)−チャウルム−グリン酸などのエステルがあげられるが、これには限定されない。エステルのアルコール残基は、使用したアルコールにより決まる。例えば、アルコールとしてメチルアルコールを使用した場合にはメチルエステル、エチルアルコールを使用した場合には、エチルエステルが得られる。脂肪酸残基に光学異性体が存在する場合には、光学異性体も含む。
また、本発明の製造方法においては、脂肪酸エステルの他にグリセリン 4 が生成する。
【0022】
次に、本発明で用いる触媒について説明する。
本発明に用いる固体塩基触媒とは、触媒講座第10巻触媒各論、触媒学会編、講談社、1986年、第51頁に記載されている、金属酸化物、金属塩、担持塩基、複合酸化物、ゼオライトなどのうちで表面塩基性を示す固体である。例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ランタン、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素カリウム、酸化ケイ素−酸化マグネシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化カルシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化ストロンチウム複合酸化物、Naイオン交換X型ゼオライト、Kイオン交換Y型ゼオライトが挙げられる。この中でも、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上を含む触媒が好ましい。固体塩基触媒の使用量は、油脂100重量部に対して0.001重量部から6重量部が好ましく、さらに0.005重量部から3重量部がより好ましい。
【0023】
本発明の製造方法においては、油脂および/または1価アルコールが超臨界状態となる条件で油脂と1価アルコールを反応させる。本発明でいう超臨界状態とは次の状態をいう。
物質には、固有の気体、液体、固体の三態があり、さらに、臨界温度以上になると、圧力をかけても凝縮しない流体相がある。この状態を超臨界状態という。超臨界状態にある流体は液体や気体の通常の性質と異なる性質を示す。超臨界状態の流体の密度は液体に近く、粘度は気体に近く、熱伝導率と拡散係数は気体と液体の中間的性質を示す、“液体ではない溶媒”であり理由は明らかではないが、エステル交換反応が促進される。
【0024】
本発明の製造方法において、超臨界条件は以下に示す(a)−(c)の条件を含む。
(a)油脂とアルコールの混合物が超臨界状態になる温度条件。
(b)アルコールが超臨界状態になる温度条件。
(c)油脂が超臨界状態になる温度条件。
上記のうち(a)または(b)の条件で反応を行うことが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法において、油脂と1価アルコールのいずれも超臨界状態とはならない温度条件では収率が低くなる。420℃を超えると分解反応などが起こるおそれがあり好ましくない。より好ましい反応温度範囲は、260℃を超え400℃以下の温度範囲、さらに好ましくは270℃以上400℃以下の温度範囲、最も好ましくは280℃以上400℃以下の温度範囲である。
【0026】
(b)の条件としては具体的には、1価アルコールとしてメタノールを使用する場合には、メタノールの臨界温度は240℃なので温度240℃以上で反応を行う。エタノールを使用する場合はには、エタノールの臨界温度は243℃なので温度243℃以上で反応を行う。n−プロパノールを使用する場合には、n−プロパノールの臨界温度は264℃なので温度264℃以上で反応を行う。n−ブタノールを使用する場合には、n−ブタノールの臨界温度は287℃なので温度287℃以上で反応を行う。イソプロパノールを使用する場合には、イソプロパノールの臨界温度は236℃なので温度236℃以上で反応を行う。t−ブタノールを使用する場合には、t−ブタノールの臨界温度は233℃なので温度233℃以上で反応を行う。イソブタノールを使用する場合には、イソブタノールの臨界温度は275℃なので温度275℃以上で反応を行う。
【0027】
本発明の油脂とアルコールを反応させる反応容器内のアルコール密度は、0.01g/cm3から0.4g/cm3の範囲が好ましく、圧力条件としては、0.5MPaから25MPaの範囲であることが好ましい。
また本発明の油脂とアルコールを反応させる時間は、0.1分から180分の範囲であることが好ましく、0.5分から120分の範囲がより好ましい。さらに好ましくは、1分から60分の範囲である。
【0028】
本反応は種々の反応態様で実施できる。たとえば、バッチ方式で行っても良いし、流通方式で行っても良い。
また、本発明において、油脂とアルコールは、反応中、均一に混合していても良いし、反応できる状態にある限り、二層に分離していてもよい。二層に分離している場合には、例えば、攪拌下反応を行うことにより二層の接触面積を大きくすることにより、反応をさらに効率よく進めることができる。
【0029】
反応終了後の反応混合物は、脂肪酸エステル、グリセリン、過剰の未反応アルコールを含み、さらに未反応の原料、その他の不純物を含むこともある。この反応混合物から、それぞれの用途に必要な純度まで、脂肪酸エステルを精製する。精製の方法は、特に限定されず、製造される脂肪酸エステルの性質に応じて、蒸留、抽出等一般的な方法が適用できる。
例えばアルコールとしてメタノールを用いた場合で説明すると、過剰(または未反応)メタノール成分を気化させて分離回収した後、静置して軽液と重液に分離することができる。本発明に使用する固体塩基触媒は、苛性ソーダ触媒と比較して反応液との分離が比較的容易であり、反応液の後処理が簡便である。軽液は脂肪酸のメチルエステルが主成分であり、ディーゼル燃料の原料や界面活性剤用高級アルコールの原料として利用することができる。また、グリセリン主成分の重液は、工業用グリセリンの原料として利用することができる。
【0030】
未反応のアルコールの分離には工業的に通常行われている方法を用いることができ、減圧蒸留等の蒸留の他にも代表的なものとしてミキサーセトラー式抽出、液液抽出、パルスコラムを用いた抽出、ジェット式抽出、ボドビエルニアク回転抽出などがあげられるが、これには限定されない。また、アルコールを完全に分離して、脂肪酸エステルのみを取り出してもよいし、アルコールが残留している状態で回収してもよい。
【0031】
本発明の製造方法で製造される脂肪酸エステルは、原料の油脂の構造によるが、天然油脂を使用する場合は、一般に数種の脂肪酸エステルの混合物になる。この場合には、用途に応じて混合物のままで使用することもできるし、必要に応じて特定の脂肪酸エステルのみを蒸留、抽出等の一般的な方法で分離して使用することができる。
【0032】
上記のようにして製造した脂肪酸エステルは、ディーゼル燃料などの燃料、潤滑油基油、燃料油添加剤等にその用途の要求に応じて、単独で、あるいは、他の成分と混合して使用することができる。
【0033】
新編自動車工学ハンドブック(社団法人 自動車技術会編)によると、ディーゼル燃料として用いる場合には、着火性、粘度が重要になる。比較的低粘度の脂肪酸エステルを用いると摩耗や焼き付けの原因となるため、ディーゼル機関に適合した粘度の脂肪酸エステルを用いる必要がある。また、分子量が高すぎると臭気や排煙の原因となるので、そのような脂肪酸エステルは好ましくない。例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸イソブチルエステル等がディーゼル燃料として好ましく用いられる。
【0034】
潤滑油として用いる場合にも、粘度が重要になる。夏季用としては高い潤滑性を出すために比較的高粘度であることが望まれるが、冬期や低温の場所で使用する場合には比較的低粘度、高流動性の脂肪酸エステルが望まれる。そのため、幅広い範囲の脂肪酸エステルが潤滑油として使用できる。
燃料油添加剤としては、主として摩擦を少なくする目的で脂肪酸エステルを燃料に添加する。潤滑油とほぼ同じ役割をしており、潤滑油と同様の性質が望まれる。
【0035】
製造した脂肪酸エステルは、用途により、反応終了後の反応混合物に含まれるグリセリン、過剰の未反応アルコール、さらに未反応の油脂、その他の不純物を含んでいても良いが、本発明の各条件下において、反応を繰り返す等により、さらに収率を向上させることも出来る。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実施例1
脂肪酸トリグリセリドを主体とする油脂として大豆油0.860g、アルコールとしてメタノール1.240g、固体塩基触媒として無水炭酸ナトリウム粉末5.8mgを秤量して、ステンレス製反応管(約4.5cm3)に充填し密閉した。この反応管を、300℃に温度制御した流動層サンドバス中に投入して昇温・反応させた後、10分後に取り出し(サンドバス投入時間10分)直ちに水中投入して冷却した。この反応に使用したメタノール量は、大豆油を完全にメチルエステル化するのに必要な理論量の約13倍であった。また反応管壁に熱電対を設置して温度測定したところ、2分後で約260℃を超え、10分後は約300℃であった。また、反応容積から計算した反応初期のメタノール密度は0.28g/cm3であった。
次に、反応管中の反応液を一次回収後、メタノール洗浄を3回繰り返して回収したところ、使用した触媒は回収液中で沈降分離していた。この回収液中のメチルエステル成分とグリセリン成分をガスクロマトグラフィー(GC法)により定量分析し反応性を評価したところ、脂肪酸メチルエステル収率は約99%、グリセリン収率は約99%であった(表1に示す)。ここで収率とは、大豆油1モルに対して脂肪酸メチルエステル3モル、グリセリン1モルが生成する反応を基準として計算した値である。また、反応液中の成分を分子量の違いで分離分析するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC法)で分析した結果も表1に示した。
【0038】
実施例2、3、4
固体塩基触媒として、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムを用い、その他は実施例1と同様にして試験した。これらの反応回収液をGC法及びSEC法で分析した結果は表1の通りであった。
【0039】
実施例5
流動層サンドバスの制御温度を350℃とし、反応管のサンドバス投入時間を4分とした以外は、実施例1と同様にして試験した。反応管壁の温度は、反応管投入後約1.3分後に260℃を超え、4分後は約340℃であった。この反応回収液をGC法及びSEC法で分析した結果は表1の通りであった。
【0040】
実施例6、7、8
固体塩基触媒として水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウムを用い、これらの粉末を予め0.01%添加分散した大豆油を使用した以外は実施例1と同様にして試験した。これらの反応回収液をGC法及びSEC法で分析した結果は表1の通りであった。
【0041】
実施例9
油脂として、水酸化カルシウム粉末の固体塩基触媒を予め0.01%添加分散した大豆油0.744g、アルコールとしてメタノール1.084を用い、サンドバスの制御温度を400℃、流動層サンドバス投入時間を2分とした以外は実施例1と同様にして試験した。この試験での反応管壁の温度は、0.6分後で約260℃を超え、2分後は約360℃であった。
また、この反応回収液をSEC法で分析した結果を表1に示す。
【0042】
実施例10
流動層サンドバスの制御温度を250℃とし、反応管のサンドバス投入時間を10分とした以外は実施例1と同様にして試験した。反応管壁の温度は、反応管投入2分後で約230℃となり、10分後には約250℃となった。この反応後の回収液をGC法及びSEC法で分析した結果は表1の通りであった。
【0043】
比較例1
大豆油0.860g、アルコールとしてメタノール1.240g、固体塩基触媒として無水炭酸ナトリウム粉末5.8mgを秤量して、流動層サンドバスの制御温度をメタノールの臨界温度以下の200℃とし、反応管のサンドバス投入時間を60分とした以外は実施例1と同様にして試験した。この反応回収液をGC法及びSEC法で分析した結果は表1の通りであった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、油脂とアルコールから、苛性ソーダを触媒として用いることなく、短時間の反応で、高収率で脂肪酸エステルを製造することができ、さらに該脂肪酸エステルは燃料等として好適に用いることができるので、本発明の工業的価値は大きい。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a fatty acid ester by reacting fats and oils with a monohydric alcohol and a fuel containing the fatty acid ester obtained by the production method.
[0002]
[Prior art]
Fatty acid and fatty acid ester of monohydric alcohol (hereinafter sometimes simply referred to as “fatty acid ester”) obtained by transesterification of fatty acid and monohydric alcohol, which are mainly composed of fatty acid and glycerin ester, called fatty acid triglyceride, are industrial. Used as raw material, raw material for pharmaceuticals and fuel.
[0003]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 61-254255 proposes a method for producing a fatty acid ester by using sodium carbonate or sodium hydrogen carbonate as a solid catalyst, and heating and reacting oil and methanol to the boiling point of methanol under normal pressure. ing. However, the yield of the fatty acid ester after the reaction for 2 hours was about 75%, and the yield was insufficient.
[0004]
A method for producing a diesel fuel or a lubricating base oil containing a fatty acid ester, which replaces a conventional mineral oil, has been reported by reacting fats and oils with a monohydric alcohol for transesterification. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 7-197047 discloses a technique for producing diesel fuel by reacting waste cooking oil and methanol in the presence of caustic soda. The publication describes that the transesterification reaction is carried out at 50 ° C. to 70 ° C. under atmospheric pressure using caustic soda. Since a small amount of soap is produced by reacting with caustic soda, it has to be separated by post-treatment, and other catalysts have been demanded.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a method for producing a fatty acid ester in high yield from fats and oils and a monohydric alcohol without using caustic soda as a catalyst, a fuel containing the fatty acid ester, and the like.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present invention have continued intensive research on a method for producing fatty acid esters by reacting fats and oils with monohydric alcohols and fuels containing fatty acid esters, and using fats and / or alcohols as supercriticals, using solid base catalysts as catalysts. It was found that the fatty acid ester can be obtained in a high yield without using caustic soda as a catalyst if the reaction is carried out under conditions to achieve the state, and the present invention has been completed.
That is, the present invention provides the following [1] to [4].
[1] A method for producing a fatty acid ester, in which an oil and fat and a monohydric alcohol are reacted in the presence of a solid base catalyst under conditions where the oil and fat and / or the monohydric alcohol are in a supercritical state.
[2] A fuel containing a fatty acid ester produced by the production method according to [1].
[3] A lubricating oil containing a fatty acid ester produced by the production method described in [1] above.
[4] A fuel oil additive containing a fatty acid ester produced by the production method according to [1] above.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
In the present invention, fats and oils are mainly composed of fatty acid triglycerides, which are esters of fatty acids and glycerin. Here, “consisting mainly of fatty acid triglycerides” means that the fatty acid triglycerides are contained in an amount of 50% by weight or more of the fats and oils.
[0008]
The main reaction of the production method of the present invention is represented by the following reaction formula (2).
(In the formula, R 1 , R 2 and R 3 each independently represent a carbon chain of a fatty acid. The number of carbon atoms of R 1 to R 3 varies depending on the type of oil and fat. R 4 is substituted with a hydrocarbyloxyl group. The hydrocarbyl group that may be present)
[0009]
The fat used in the production method of the present invention is a substance mainly containing triglyceride 1 of fatty acid represented by the reaction formula (2), and may be natural fat or synthetic fat.
Representative fats include lard fat, chicken fat, butter fat, beef fat, cocoa butter fat, corn oil, peanut oil, cottonseed oil, soybean oil, rapeseed oil, coconut oil, olive oil, safflower oil and linseed oil , Coconut oil, oak oil, almond oil, apricot seed oil, beef bone oil, black walnut oil, castor oil, garlic oil, cinnamon oil, cod liver oil, cottonseed stearin, sesame oil, deer oil, dolphin oil, sardine oil, Examples include but are not limited to mackerel oil, horse fat, pork fat, bone oil, sheep fat, cow leg oil, palm oil, palm kernel oil, murine dolphin oil, shark oil, sperm whale oil, tung oil, whale oil, etc. Not. Moreover, what mixed these oils and fats, the fats and oils containing a diglyceride and a monoglyceride, and the fats and oils which carried out modification | denaturation, such as oxidation and a reduction | restoration, can also be used. In addition, unrefined fats and oils that contain free fatty acids or moisture may be used, and waste cooking oils discarded from restaurants, food factories, general households, etc. may be used, but appropriate pretreatment should be performed as necessary. Is preferred. For example, when applying the present invention to waste oil such as waste cooking oil, if an insoluble solid is mixed in the oil and fat, the booster pump and pressure control valve may be blocked, which may hinder stable operation. Before supplying, it is preferable to remove insoluble solids from fats and oils with a wire mesh, a filter or the like.
[0010]
In fats and oils, components other than fats and oils (fatty acid triglyceride) may be mixed. Specifically, crude oil, heavy oil, light oil, mineral oil, essential oil, coal, fatty acid, sugar, metal powder, metal salt, protein, amino acid, hydrocarbon, flavor, pigment compound, enzyme, perfume, alcohol, fiber, resin, Examples include, but are not limited to, rubber, paints, cement, detergents, aromatic compounds, aliphatic compounds, soot, glass, earth and sand, nitrogen-containing compounds, sulfur-containing compounds, phosphorus-containing compounds, and halogen-containing compounds.
[0011]
When the above-mentioned substances contained in fats and oils may be involved in the reaction, for example, when the reaction may be inhibited, or when the solid is a solid that may cause clogging in the manufacturing process, etc. Before the reaction, it is preferably removed using a technique such as filtration or distillation. Examples of the distillation method include, but are not limited to, vacuum distillation, steam distillation, molecular distillation, and extractive distillation. In the present invention, as fats and oils, waste fats and oils, waste cooking oils and the like can be used.
[0012]
Although monohydric alcohol (2 of Reaction formula (2)) used by this invention is not specifically limited, General formula R-OH (1)
(R represents a hydrocarbyl group having 1 to 10 carbon atoms or a hydrocarbyl group substituted with a hydrocarbyl group having 2 to 10 carbon atoms.)
The monohydric alcohol shown by these is preferable.
[0013]
Examples of the hydrocarbyl group having 1 to 10 carbon atoms in R include an alkyl group, an aralkyl group, an alkenyl group, and an alkynyl group.
[0014]
Examples of the monohydric alcohol in which R is an alkyl group include methanol, ethanol, n-propanol, isopropanol, n-butanol, isobutanol, t-butanol, pentanol, hexanol, cyclohexanol, heptanol and the like.
[0015]
Examples of the monohydric alcohol in which R is an aralkyl group include benzyl alcohol, α-phenethyl alcohol, and β-phenethyl alcohol, and benzyl alcohol is preferred.
[0016]
Examples of the monohydric alcohol in which R is an alkenyl group include allyl alcohol, 1-methylallyl alcohol, 2-methylallyl alcohol, 3-buten-1-ol, 3-buten-2-ol and the like. Allyl alcohol is preferred.
[0017]
Examples of monohydric alcohols in which R is an alkynyl group include 2-propyn-1-ol, 2-butyn-1-ol, 3-butyn-1-ol, 3-butyn-2-ol, and the like Is mentioned. Hereinafter, the monohydric alcohol may be simply referred to as “alcohol”.
[0018]
Examples of the alcohol in which R is a hydrocarbyl group substituted with a hydrocarbyloxy group having 2 to 10 carbon atoms include 2-methoxyethanol, 2-methoxypropanol, and 3-methoxybutanol.
[0019]
Among these, as the alcohol, R is preferably an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms. Specifically, methanol in which R is a methyl group, ethanol in which R is an ethyl group, propanol in which R is a propyl group, isopropanol in which R is an isopropyl group, n-butanol in which R is an n-butyl group, R Is preferably isobutanol having an isobutyl group, t-butanol having R being a t-butyl group, more preferably methanol or ethanol, and even more preferably methanol. Although it does not specifically limit as purity of alcohol, Preferably it is 95% or more, More preferably, it is 98% or more. One type of alcohol may be used, or two or more types may be mixed and used. Moreover, alcohol includes an optical isomer when an optical isomer exists.
[0020]
The supply weight of alcohol is preferably 1 to 100 times the theoretical supply weight of alcohol calculated according to the following formula.
Theoretical supply weight of monohydric alcohol =
(Supply weight of fat and oil x saponification value of fat and oil x molecular weight of monohydric alcohol) / 56100
(Here, the saponification value of fats and oils is a value expressed in mg of the amount of potassium hydroxide required to completely saponify 1 g of fats and oils.)
When the supply amount of alcohol is less than 1 times the theoretical supply weight, the reaction yield decreases, which is not preferable, and when the supply amount is more than 100 times, the apparatus may be excessively large.
[0021]
Representative examples of the fatty acid ester 3 produced by the reaction of the formula (2) include valeric acid, caproic acid, enanthic acid, caprylic acid, pelargonic acid, capric acid, undecylic acid, lauric acid, tridecylic acid, and myristic acid. Acid, pentadecylic acid, palmitic acid, heptedecylic acid, stearic acid, nonadecanoic acid, arachidic acid, pepenic acid, lignoceric acid, serotic acid, heptacosanoic acid, montanic acid, melicic acid, laccelic acid, crotonic acid, isocrotonic acid, undecylenic acid , Oleic acid, elaidic acid, celetic acid, erucic acid, brassic acid, sorbic acid, linoleic acid, linolenic acid, arachidonic acid, propiolic acid, stearolic acid, nervonic acid, ricinoleic acid, (+)-hydronocarbic acid, (+ ) -Ester such as Chaulum-Glynic acid , The present invention is not limited to this. The alcohol residue of the ester depends on the alcohol used. For example, when methyl alcohol is used as alcohol, methyl ester is obtained, and when ethyl alcohol is used, ethyl ester is obtained. When an optical isomer exists in the fatty acid residue, the optical isomer is also included.
Moreover, in the manufacturing method of this invention, glycerol 4 produces | generates besides fatty acid ester.
[0022]
Next, the catalyst used in the present invention will be described.
The solid base catalyst used in the present invention is a metal oxide, a metal salt, a supported base, a composite oxide, described in Catalyst Course, Vol. 10 Catalysts, Catalysis Society, Kodansha, 1986, p. 51, It is a solid that exhibits surface basicity among zeolites and the like. For example, calcium oxide, magnesium oxide, strontium oxide, barium oxide, lanthanum oxide, calcium hydroxide, strontium hydroxide, sodium carbonate, potassium carbonate, calcium carbonate, magnesium carbonate, barium carbonate, ammonium carbonate, calcium hydrogen carbonate, potassium hydrogen carbonate , Silicon oxide-magnesium oxide composite oxide, silicon oxide-calcium oxide composite oxide, silicon oxide-strontium oxide composite oxide, Na ion exchange X-type zeolite, K ion exchange Y-type zeolite. Among these, a catalyst containing one or more selected from the group consisting of sodium carbonate, calcium oxide, calcium hydroxide, calcium carbonate, and magnesium oxide is preferable. The amount of the solid base catalyst used is preferably 0.001 to 6 parts by weight, more preferably 0.005 to 3 parts by weight, based on 100 parts by weight of the fat.
[0023]
In the production method of the present invention, fats and oils and / or monohydric alcohols are reacted under the conditions that make the fats and / or monohydric alcohols become supercritical. The supercritical state in the present invention refers to the following state.
There are three types of substances: gas, liquid, and solid, and there is a fluid phase that does not condense even when pressure is applied above the critical temperature. This state is called a supercritical state. A fluid in a supercritical state exhibits different properties from the normal properties of liquids and gases. The density of supercritical fluid is close to that of liquid, viscosity is close to that of gas, and thermal conductivity and diffusion coefficient are “non-liquid solvents” that show intermediate properties between gas and liquid. The transesterification reaction is promoted.
[0024]
In the production method of the present invention, the supercritical conditions include the following conditions (a) to (c).
(A) A temperature condition in which a mixture of fat and alcohol becomes a supercritical state.
(B) Temperature conditions at which the alcohol becomes supercritical.
(C) Temperature conditions for oils and fats to be in a supercritical state.
Of these, the reaction is preferably carried out under the conditions (a) or (b).
[0025]
In the production method of the present invention, the yield is low under temperature conditions in which neither fat nor monohydric alcohol is in a supercritical state. If it exceeds 420 ° C., a decomposition reaction may occur, which is not preferable. A more preferable reaction temperature range is a temperature range exceeding 260 ° C and 400 ° C or less, more preferably a temperature range of 270 ° C to 400 ° C, and most preferably a temperature range of 280 ° C to 400 ° C.
[0026]
Specifically, as the condition of (b), when methanol is used as the monohydric alcohol, the reaction is performed at a temperature of 240 ° C. or higher because the critical temperature of methanol is 240 ° C. When ethanol is used, since the critical temperature of ethanol is 243 ° C., the reaction is performed at a temperature of 243 ° C. or higher. When n-propanol is used, since the critical temperature of n-propanol is 264 ° C., the reaction is performed at a temperature of 264 ° C. or higher. When n-butanol is used, since the critical temperature of n-butanol is 287 ° C., the reaction is performed at a temperature of 287 ° C. or higher. When isopropanol is used, since the critical temperature of isopropanol is 236 ° C, the reaction is performed at a temperature of 236 ° C or higher. When t-butanol is used, since the critical temperature of t-butanol is 233 ° C, the reaction is performed at a temperature of 233 ° C or higher. When isobutanol is used, since the critical temperature of isobutanol is 275 ° C., the reaction is performed at a temperature of 275 ° C. or higher.
[0027]
The alcohol density in the reaction vessel for reacting the oil and fat of the present invention with alcohol is preferably in the range of 0.01 g / cm 3 to 0.4 g / cm 3 , and the pressure condition is in the range of 0.5 MPa to 25 MPa. Is preferred.
The time for reacting the oil and fat of the present invention with alcohol is preferably in the range of 0.1 to 180 minutes, more preferably in the range of 0.5 to 120 minutes. More preferably, it is in the range of 1 minute to 60 minutes.
[0028]
This reaction can be carried out in various reaction modes. For example, it may be performed by a batch method or a distribution method.
Moreover, in this invention, fats and oils and alcohol may be mixed uniformly during reaction, and as long as it exists in the state which can react, you may isolate | separate into two layers. In the case of separation into two layers, for example, the reaction can be promoted more efficiently by increasing the contact area of the two layers by carrying out the reaction with stirring.
[0029]
The reaction mixture after completion of the reaction contains fatty acid ester, glycerin and excess unreacted alcohol, and may further contain unreacted raw materials and other impurities. From this reaction mixture, the fatty acid ester is purified to the purity required for each application. The purification method is not particularly limited, and general methods such as distillation and extraction can be applied depending on the properties of the fatty acid ester to be produced.
For example, when methanol is used as the alcohol, excess (or unreacted) methanol components are vaporized, separated and recovered, and then allowed to stand to separate into light and heavy liquids. The solid base catalyst used in the present invention is relatively easy to separate from the reaction solution as compared with the caustic soda catalyst, and the post-treatment of the reaction solution is simple. The light liquid contains fatty acid methyl ester as a main component, and can be used as a raw material for diesel fuel or a higher alcohol for a surfactant. Moreover, the heavy liquid of a glycerol main component can be utilized as a raw material of industrial glycerol.
[0030]
For the separation of unreacted alcohol, a method commonly used in industry can be used. In addition to distillation such as vacuum distillation, typical examples include mixer-settler type extraction, liquid-liquid extraction, and pulse column. Extraction, jet extraction, Bodbierniak rotation extraction, and the like, but are not limited thereto. Further, the alcohol may be completely separated and only the fatty acid ester may be taken out, or may be recovered in a state where the alcohol remains.
[0031]
The fatty acid ester produced by the production method of the present invention depends on the structure of the starting fat and oil, but when natural fats and oils are used, it is generally a mixture of several fatty acid esters. In this case, the mixture can be used as it is depending on the application, or only a specific fatty acid ester can be separated and used by a general method such as distillation or extraction as necessary.
[0032]
The fatty acid ester produced as described above is used alone or mixed with other components in fuels such as diesel fuel, lubricating base oils, fuel oil additives, etc., depending on the application requirements. be able to.
[0033]
According to the new edition of Automotive Engineering Handbook (edited by the Automotive Engineers Association), ignitability and viscosity are important when used as diesel fuel. If a fatty acid ester having a relatively low viscosity is used, it causes wear and seizure. Therefore, it is necessary to use a fatty acid ester having a viscosity suitable for a diesel engine. Further, if the molecular weight is too high, it causes odor and smoke emission, and such a fatty acid ester is not preferable. For example, fatty acid methyl ester, fatty acid ethyl ester, fatty acid isopropyl ester, fatty acid isobutyl ester and the like are preferably used as diesel fuel.
[0034]
Viscosity is also important when used as a lubricating oil. For summer use, it is desired to have a relatively high viscosity in order to achieve high lubricity, but a fatty acid ester having a relatively low viscosity and high fluidity is desired for use in winter and at low temperatures. Therefore, a wide range of fatty acid esters can be used as the lubricating oil.
As the fuel oil additive, a fatty acid ester is added to the fuel mainly for the purpose of reducing friction. It plays almost the same role as the lubricating oil, and the same properties as the lubricating oil are desired.
[0035]
The produced fatty acid ester may contain glycerin contained in the reaction mixture after completion of the reaction, excess unreacted alcohol, unreacted oil and fat, and other impurities depending on the use, but under each condition of the present invention. The yield can be further improved by repeating the reaction.
[0036]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention further in detail, this invention is not limited to these.
[0037]
Example 1
Weighing 0.860 g of soybean oil as fat and oil mainly composed of fatty acid triglyceride, 1.240 g of methanol as alcohol, and 5.8 mg of anhydrous sodium carbonate powder as solid base catalyst, and filling into a stainless steel reaction tube (about 4.5 cm 3 ) And sealed. The reaction tube was put into a fluidized bed sand bath whose temperature was controlled at 300 ° C., and the temperature was raised and reacted. Then, the reaction tube was taken out after 10 minutes (sand bath putting time 10 minutes) and immediately put into water and cooled. The amount of methanol used in this reaction was about 13 times the theoretical amount required to fully methyl esterify soybean oil. Further, when a thermocouple was installed on the reaction tube wall and the temperature was measured, it exceeded about 260 ° C. after 2 minutes and was about 300 ° C. after 10 minutes. Further, the methanol density at the initial stage of the reaction calculated from the reaction volume was 0.28 g / cm 3 .
Next, after the primary recovery of the reaction solution in the reaction tube and methanol recovery was repeated three times, the catalyst used was settled and separated in the recovery solution. When the methyl ester component and the glycerin component in the recovered liquid were quantitatively analyzed by gas chromatography (GC method) and the reactivity was evaluated, the fatty acid methyl ester yield was about 99% and the glycerin yield was about 99%. (Shown in Table 1). Here, the yield is a value calculated on the basis of a reaction in which 3 mol of fatty acid methyl ester and 1 mol of glycerin are generated per 1 mol of soybean oil. Table 1 also shows the results of analysis by size exclusion chromatography (SEC method) in which components in the reaction solution are separated and analyzed based on differences in molecular weight.
[0038]
Examples 2, 3, 4
As solid base catalysts, calcium oxide, calcium hydroxide, and magnesium oxide were used, and the others were tested in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results of analyzing these reaction collection liquids by the GC method and the SEC method.
[0039]
Example 5
The test was conducted in the same manner as in Example 1 except that the control temperature of the fluidized bed sand bath was 350 ° C. and the sand bath charging time of the reaction tube was 4 minutes. The temperature of the reaction tube wall exceeded 260 ° C. about 1.3 minutes after charging the reaction tube, and was about 340 ° C. after 4 minutes. Table 1 shows the results of analyzing the reaction recovery liquid by the GC method and the SEC method.
[0040]
Examples 6, 7, and 8
The test was conducted in the same manner as in Example 1 except that calcium hydroxide, calcium oxide and calcium carbonate were used as the solid base catalyst, and soybean oil in which 0.01% of these powders were added and dispersed in advance was used. Table 1 shows the results of analyzing these reaction collection liquids by the GC method and the SEC method.
[0041]
Example 9
As fats and oils, 0.744 g of soybean oil in which 0.01% of a solid base catalyst of calcium hydroxide powder was added and dispersed in advance, 1.084 of methanol as alcohol, a sand bath control temperature of 400 ° C., and fluidized bed sand bath charging time The test was conducted in the same manner as in Example 1 except that was changed to 2 minutes. The temperature of the reaction tube wall in this test exceeded about 260 ° C. after 0.6 minutes and was about 360 ° C. after 2 minutes.
In addition, Table 1 shows the results of analyzing this reaction recovery solution by the SEC method.
[0042]
Example 10
The test was conducted in the same manner as in Example 1 except that the control temperature of the fluidized bed sand bath was 250 ° C. and the sand bath charging time of the reaction tube was 10 minutes. The temperature of the reaction tube wall was about 230 ° C. 2 minutes after the introduction of the reaction tube, and about 250 ° C. after 10 minutes. Table 1 shows the results of analyzing the recovered liquid after this reaction by the GC method and the SEC method.
[0043]
Comparative Example 1
0.860 g of soybean oil, 1.240 g of methanol as alcohol, and 5.8 mg of anhydrous sodium carbonate powder as a solid base catalyst were weighed, and the control temperature of the fluidized bed sand bath was set to 200 ° C. below the critical temperature of methanol. The test was conducted in the same manner as in Example 1 except that the sand bath charging time was 60 minutes. Table 1 shows the results of analyzing the reaction recovery liquid by the GC method and the SEC method.
[0044]
[Table 1]
[0045]
【The invention's effect】
According to the production method of the present invention, a fatty acid ester can be produced in high yield from a fat and alcohol without using caustic soda as a catalyst in a short time, and the fatty acid ester is suitable as a fuel or the like. Therefore, the industrial value of the present invention is great.
Claims (8)
P群:ラード脂、ニワトリ脂、バター脂、牛脂、ココアバター脂、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、アマニ油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、アンズの仁油、牛骨脂、クログルミ油、ヒマシ油、大風子油、シナ脂、タラ肝油、綿実ステアリン、ゴマ油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、パーム油、パーム核油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、桐油、鯨油
R−OH (1)(Rは、炭素数1〜4のアルキル基) A method for producing a fatty acid ester comprising reacting an oil and fat with a monohydric alcohol in the presence of a solid base catalyst under the condition that the monohydric alcohol is in a supercritical state, wherein the oil or fat is selected from the following group P And the monovalent alcohol is an alcohol represented by the following general formula (1), and the solid base catalyst is selected from the group consisting of sodium carbonate, calcium oxide, calcium hydroxide, calcium carbonate and magnesium oxide. A production method characterized in that one or more kinds selected and the condition under which the monohydric alcohol is in a supercritical state is a reaction temperature of 240 ° C. or higher and 400 ° C. or lower.
Group P: lard fat, chicken fat, butter fat, beef fat, cocoa butter fat, corn oil, peanut oil, cottonseed oil, soybean oil, rapeseed oil, coconut oil, olive oil, safflower oil, linseed oil, coconut oil, oak oil, Almond oil, apricot seed oil, beef bone oil, black walnut oil, castor oil, garlic oil, cinnamon oil, cod liver oil, cottonseed stearin, sesame oil, deer oil, dolphin oil, sardine oil, mackerel oil, horse fat, pork Fat, bone oil, sheep fat, cow leg oil, palm oil, palm kernel oil, murine dolphin oil, shark oil, sperm whale oil, tung oil, whale oil
R—OH (1) (R is an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms)
R−OH (1)(Rは、炭素数1〜4のアルキル基)R—OH (1) (R is an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms)
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