JP4751058B2 - 海島型繊維、海島型繊維の製造方法、エチレン−ビニルアルコール系共重合体成分繊維の製造方法、及び繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は海島型繊維及びその製造方法、この海島型繊維を用いるエチレン−ビニルアルコール系共重合体成分繊維の製造方法、並びにこのエチレン−ビニルアルコール系共重合体成分繊維を含む繊維シートに関する。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維は親水性が高く、ある程度の耐薬品性を有しているため、例えば、アルカリ一次電池又はアルカリ二次電池のセパレータ構成繊維として好適に使用されている。このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維としては、従来、繊度が0.55dtexを超えるような比較的太いものが使用されてきたが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維の繊度が小さく、細ければ、セパレータの電気絶縁性能を向上させることができるばかりでなく、電解液の保持性に優れ、セパレータの厚さを薄くすることができるため、繊度の小さいエチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維が待望されていた。
このような要求に応えたものとして、「単繊維繊度0.0001〜0.5dのエチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維を2〜45重量%配合してなる電池用セパレータ用紙。」が提案されている(特許文献1)。このエチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維を得るため、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を島成分とする海島繊維を紡糸し、次いで海島繊維の海成分を除去するのが好ましいことを開示し、この海成分として易アルカリ減量性ポリエステル系ポリマーが好ましいことを開示し、より具体的には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(I)が共重合ポリエステルを構成する全酸成分の2.5モル%、分子量2000のポリエチレングリコール(II)及びポリオキシエチレングリシジルエーテル(III)から得られる構成単位が全共重合ポリエステルのそれぞれ10重量%を占め、残部がテレフタル酸及びエチレングリコールから得られる構成単位により構成された共重合ポリエステル(固有粘度0.58dl/g)を用いたことを開示している。更には、6%NaOH水溶液(80℃)に30分間浸漬し、海成分を除去してエチレン−ビニルアルコール共重合体繊維を得たことを開示している。
しかしながら、このような共重合ポリエステルを海成分とし、エチレン−ビニルアルコール共重合体を島成分とする海島繊維を紡糸するためには、紡糸ノズル温度を300℃程度に設定する必要があるが、このような温度で海島繊維を紡糸すると、紡糸ノズル内でエチレン−ビニルアルコール共重合体が熱分解してゲル化し、紡糸不良を引き起こすという問題があった。仮に海島繊維を紡糸できても、従来の条件で共重合ポリエステルを除去すると、エチレン−ビニルアルコール共重合体が融着したり固化が発生するなど、細いエチレン−ビニルアルコール共重合体繊維を得るために海島繊維を紡糸しているにもかかわらず、太いエチレン−ビニルアルコール共重合体繊維しか得ることができず、また、湿式法により不織布を製造する場合には、分散不良を生じやすいものであった。
他方、本願出願人は「生分解性の重合体成分と、該生分解性の重合体成分の除去剤に難除去性の重合体成分とからなることを特徴とする複合繊維」を提案し、生分解性の重合体成分として、デンプン系、キトサン系、天然高分子系の重合体成分、脂肪族ポリエステル系、発酵生産系の重合体成分、ε−カプロラクトン、乳酸系、グリコール系、変性ポリビニルアルコール系などの化学合成系のものを開示し、アルカリ溶液に対する難除去性の重合体成分として、ポリオレフィン系、ナイロン系、ポリエステル系、エステルエラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどを開示している(特許文献2)。
特開2001−76702号公報(請求項1、段落番号0011〜0013、段落番号0034〜0038など) 特開平8−188922号公報(請求項1、段落番号0012〜0014など)
しかしながら、難除去性の重合体成分としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を開示しておらず、島成分としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いた海島型繊維の問題点に関して何ら認識するものではなかった。
本発明は、上述のように、エチレン−ビニルアルコール共重合体を島成分とする海島型繊維とした場合に生じる問題点、つまり、紡糸不良を生じることなく紡糸できる、しかも融着や固化を生じることなくエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を形成できる海島型繊維、その製造方法、並びにその海島型繊維を用いたエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維の製造方法、及びそのエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を含む繊維シートを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「エチレン含有量が30〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を島成分とし、融点が200℃以下かつ温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中で60分以内に抽出可能な、脂肪族ポリエステルからなる易抽出樹脂を海成分とすることを特徴とする海島型繊維。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「請求項1に記載の海島型繊維を溶融紡糸法により製造する方法であり、紡糸ノズル温度を250℃以下とすることを特徴とする、海島型繊維の製造方法。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「請求項1に記載の海島型繊維を温度60〜70℃の3重量%以下の苛性ソーダ水溶液中に60分間以内浸漬して、海成分である易抽出樹脂を抽出し、除去することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の製造方法。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「請求項1に記載の海島型繊維から形成したエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を含んでいることを特徴とする繊維シート。」である。
本発明の請求項1にかかる発明によれば、融点が200℃以下の脂肪族ポリエステルからなる易抽出樹脂を海成分としているため、紡糸ノズル温度250℃以下で紡糸でき、紡糸ノズル内でエチレン−ビニルアルコール共重合体が熱分解してゲル化することがないため、良好に紡糸できるものである。また、海成分は低温かつ濃度の低いアルカリ溶液により短時間で除去できるため、エチレン−ビニルアルコール共重合体を融着させたり、固化させたりすることなく、細いエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を得ることができ、また、湿式法により均一に分散した地合いの優れる不織布を製造できる。
更に、本発明の海島型繊維は、エチレン含有量が30〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を島成分としているため、親水性及び耐薬品性に優れる。
そして、脂肪族ポリエステルは生分解性であるため、除去し、酸により中和した後に、放置又は廃棄しても環境を破壊することがないため、処理しやすい。
本発明の請求項2にかかる発明によれば、紡糸ノズル温度が250℃以下であるため、紡糸ノズル内でエチレン−ビニルアルコール共重合体を熱分解させてゲル化させることなく、安定して海島型繊維を紡糸できる。
本発明の請求項3にかかる発明によれば、従来よりも温和な条件で海成分を除去しているため、エチレン−ビニルアルコール共重合体を融着させたり、固化させたりすることなく、細いエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を得ることができる。また、このエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を使用し、湿式法により不織布を製造すると、均一に分散した地合いの優れる不織布を製造できる。
本発明の請求項4にかかる発明によれば、細いエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を含んでいるため、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性、親水性などの各種性能に優れ、厚さの薄い繊維シートであることができる。そのため、アルカリ二次電池用セパレータ用途、電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途、気体又は液体濾過材用途、積層板用基材用途、電極支持材用途、ワイピング材用途、医療用基材用途、電子写真装置における定着ロールのクリーニングシート用途、などに好適に使用することができる。




本発明の海島型繊維は親水性及び耐薬品性に優れるように、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を島成分とするものである。本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は特に限定されるものではないが、親水性や耐薬品性等の点からエチレン含有量が30〜70モル%(好ましくは40〜60モル%)であるのが好ましい。なお、ランダム、ブロック、グラフトのいずれの共重合体でも良い。このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得ることができる。なお、親水性に優れるように、ビニルアルコールユニットのケン化度は95モル%以上であるのが好ましい。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の平均分子量は、紡糸性等の点から500〜5000であるのが好ましい。
本発明の海島型繊維の海成分は紡糸する際にエチレン−ビニルアルコール系共重合体をゲル化させないように、融点が200℃以下(好ましくは185℃以下)であり、海島型繊維の海成分を低温かつ濃度の低いアルカリ溶液で短時間で除去でき、エチレン−ビニルアルコール共重合体を融着させたり、固化させることなく、細いエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を得ることができるように、温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中で60分以内に抽出可能な易抽出樹脂からなる。好ましくは、温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中で30分以内に抽出可能な易抽出樹脂からなる。
この易抽出樹脂は前記条件を満たすものであれば良く、特に限定するものではないが、脂肪族ポリエステルからなるのが好ましい。脂肪族ポリエステルは生分解性で、除去し、酸により中和した後に、放置又は廃棄しても環境を破壊せず、処理しやすいためである。より具体的には、脂肪族ポリエステルとして、例えば、グリコール酸や乳酸などのα−ヒドロキシ酸の重合体又は共重合体、ε−カプロラクトンやβ−プロピオラクトンなどのω−ヒドロキシアルカノエート重合体又は共重合体、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシヘプタノエート、3−ヒドロキシオクタノエート、3−ヒドロキシバリレート、4−ヒドロキシブチレートなどのβ−ヒドロキシアルカノエートの重合体又は共重合体、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートなどのジオールとジカルボン酸の縮重合体又は共重合体などを挙げることができる。これらの中でも乳酸は紡糸性が良く、苛性ソーダ水溶液中での加水分解性も良好であるため好適である。
本発明における「融点」は示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。また、「抽出可能」とは、紡糸した繊維を束ねて110dtexとしたトウを、温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中に60分間浸漬し、このトウの質量が元のトウの質量の5%以下となることをいう。
本発明の海島型繊維の繊度は特に限定するものではなく、重要なのは海成分を除去して発生するエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の繊度であるため、横断面における島成分の直径(円形断面換算値)が5μm以下(好ましくは2μm以下)であるのが好ましい。また、繊維長も特に限定するものではなく、連続した長繊維であっても、切断された短繊維であっても良いが、細いエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を均一に分散させることのできる湿式法により不織布を形成するのが好ましいため、繊維長は20mm以下であるのが好ましく、0.1〜15mmであるのがより好ましい。なお、海島型繊維の海成分を除去して形成したエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を切断するのであれば、海島型繊維は長繊維であっても、エチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維が均一に分散した不織布を製造できる。また、島成分の数、海島型繊維の横断面形状、島成分の横断面形状、島成分の直径が1種類であるかどうか、或いは島成分が海島型繊維の長さ方向に連続しているかどうか等は、特に限定するものではない。更に、海成分と島成分との体積比率は特に限定するものではないが、海成分は除去されることから、少なければ少ない程好ましい一方で、少なすぎると島成分同士が融着又は固化して、細いエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を得ることが困難になるため、海成分対島成分の体積比率が60〜10:40〜90であるのが好ましく、50〜20:50〜80であるのがより好ましい。
このような本発明の海島型繊維は、通常の複合溶融紡糸法、混合溶融紡糸法、或いは、複合溶融紡糸する際の島成分及び/又は海成分を複合溶融紡糸又は混合溶融紡糸して製造する際に、紡糸ノズル温度を250℃以下にして製造することができる。紡糸ノズル温度が250℃を超えるような温度にすると、島成分であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体がゲル化してしまい、安定して紡糸することが困難になるためである。より好ましくは紡糸ノズル温度を240℃以下とする。
本発明の海島型繊維は上述のような構成からなるが、本発明の海島型繊維を使用すれば、従来よりも温和な条件で海成分を除去できるため、融着したり固化することなく、エチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を製造することができる。より具体的には、温度60〜70℃の3重量%以下の苛性ソーダ水溶液中に60分間以内浸漬して、海成分である易抽出樹脂を抽出し、除去することによりエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を製造することができる。好ましくは、温度60〜70℃の2〜3重量%の苛性ソーダ水溶液中に30〜45分間浸漬し、海成分である易抽出樹脂を抽出し、除去する。なお、必要に応じて加水分解促進剤を苛性ソーダ水溶液中に添加しても良い。この加水分解促進剤としては、例えば、ネオレートNCB(登録商標、日華化学(株)製、特殊第四級アンモニウム塩)を挙げることができる。
なお、海島型繊維からの海成分の除去は、海島型繊維をボビン等に巻き付けた状態や苛性ソーダ水溶液中に分散させた状態などの繊維状態で行なうことができるし、海島型繊維を用いて繊維シートを形成した後に行うこともできる。しかしながら、繊維シートを形成した後に海成分を除去すると、細いエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を含んでいるにもかかわらず、海成分が除去されることによって粗い構造の繊維シートとなるため、繊維の状態で海成分を除去して、細いエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を製造し、この島成分繊維を用いて繊維シートを形成するのが好ましい。
本発明の繊維シートは上述のような海島型繊維から形成したエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を含んでいるため、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性、親水性などの各種性能に優れ、繊維シートの厚さの薄いものであることができる。そのため、アルカリ二次電池用セパレータ用途、電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途、気体又は液体濾過材用途、積層板用基材用途、電極支持材用途、ワイピング材用途、医療用基材用途、電子写真装置における定着ロールのクリーニングシート用途、などに好適に使用できるものである。
本発明の繊維シートは、例えば、織物、編物、不織布などの形態を挙げることができ、これらの中でも、不織布は製造方法によって、各種性能を付与できるため好適である。特に、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の細さを活かすことができる、厚さが薄く、緻密な構造の湿式不織布であるのが好ましい。なお、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の含有量は繊維シートの使用用途、使用目的等によって異なるため、特に限定するものではないが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の親水性や耐薬品性を利用するために、繊維シートの2mass%以上を占めるように含まれているのが好ましい。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維以外の繊維は繊維シートの使用用途、使用目的等によって異なるため、特に限定するものではない。
なお、本発明の繊維シートは常法により製造することができ、好適である湿式不織布は、常法により本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を含む繊維ウエブを形成した後に、エマルジョンや粉末などのバインダーで接着したり、繊維ウエブ中に含まれる接着繊維(エチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維である場合もある)によって接着したり、水流によって絡合したり、或いはこれらを併用して製造できる。一般的に、海島型繊維を使用して繊維シートを形成した後に海成分を除去すると、組織が粗くなるが、そのような組織を許容又は好ましい場合には、海島型繊維を使用して繊維シートを形成した後に海成分を除去することもできる。なお、海島型繊維を使用して繊維シートを形成した後に海成分を除去し、更に水流を作用させて組織を緻密化することもできる。更には、本発明の繊維シートは各種用途に適合するように、親水化処理(例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理、界面活性剤付与処理など)などの後処理を実施することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
海成分として、190℃でのメルトインデックス(MI)が10〜15(12.5±2.5)の乳酸ポリマー(融点:177℃、温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中で45分で抽出可能、トヨタ自動車(株)製、U’Z−4)を用意し、島成分として、190℃でのMIが14のエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量:47mol%、(株)クラレ製、登録商標:エバールEP−G 110)を用意した。
次いで、通常の海島型複合溶融紡糸装置の温度を240℃に設定した海島紡糸ノズル(ノズル径:0.3mm)に、前記海成分と島成分とを体積比率50:50で供給し、0.5g/分の速度で吐出した後に、800m/分で巻き取り、未延伸糸(島数:25、横断面形状:円形)を得た。この未延伸糸はエチレン−ビニルアルコール共重合体が熱分解してゲル化しないため、安定して紡糸することができた。
その後、未延伸糸を繊度約600dtexに収束したトウを温度90℃の温浴中を通過させながら3.5倍延伸して、延伸糸を得た。
次いで、この延伸糸を繊度約20万dtexに収束したトウをギロチンカッターにより3mm長に切断し、延伸短繊維を得た。
そして、この延伸短繊維を温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液(ネオレートNCB(登録商標、日華化学(株)、加水分解促進剤)3g/L添加)中に30分間浸漬して、海成分を除去し、繊維径が3μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維(繊維長:3mm、横断面形状:円形)を得た。このエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維は融着したり、固化しておらず、個々の繊維に完全に分離したものであった。
このエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維20mass%と、ポリプロピレンを芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型繊維(繊度:1.5dtex、繊維長:5mm、チッソ(株)製、ES繊維)80mass%とを用い、常法の湿式法により湿式繊維ウエブを形成した後、温度140℃に設定したドライヤーへ供給して前記芯鞘型繊維の鞘成分のみを融着させて、融着不織布を製造したところ、地合いの優れる緻密な融着不織布を製造することができた。
(比較例1)
海成分として、極限粘度(η)が0.65のポリエチレンテレフタレート(融点:245℃、温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液で抽出不可能、東レ(株)T−900E)を用意し、島成分として、実施例1と同じエチレン−ビニルアルコール共重合体を用意した。
次いで、通常の海島型複合溶融紡糸装置の温度を300℃に設定した海島紡糸ノズル(ノズル径:0.3mm)に、前記海成分と島成分とを体積比率50:50で供給し、0.5g/分の速度で吐出した後に、800m/分で巻き取り、未延伸糸(島数:25、横断面形状:円形)を得た。この未延伸糸はしばらくするとエチレン−ビニルアルコール共重合体が熱分解してゲル化したため、安定して紡糸することができないものであった。
そのため、エチレン−ビニルアルコール共重合体がゲル化する前に紡糸した未延伸糸を繊度約600dtexに収束したトウを実施例1と同様に延伸し、切断して延伸短繊維を得た後、温度80℃の6重量%苛性ソーダ水溶液中に30分間浸漬したが、海成分を除去することができなかった。そこで、更に時間を延長し、90分間かけて海成分を除去したところ、エチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維同士が融着してしまい、個々の繊維に完全に分離したエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を得ることができなかった。また、延伸短繊維を温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中に浸漬して、海成分を除去しようとしたが、いくら浸漬しても海成分を完全に除去することができず、海成分を介してエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維同士が接着した状態のものしか得ることができず、個々の繊維に完全に分離したエチレン−ビニルアルコール共重合体島成分繊維を得ることができなかった。

Claims (4)

  1. エチレン含有量が30〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を島成分とし、融点が200℃以下かつ温度70℃の3重量%苛性ソーダ水溶液中で60分以内に抽出可能な、脂肪族ポリエステルからなる易抽出樹脂を海成分とすることを特徴とする海島型繊維。
  2. 請求項1に記載の海島型繊維を溶融紡糸法により製造する方法であり、紡糸ノズル温度を250℃以下とすることを特徴とする、海島型繊維の製造方法。
  3. 請求項1に記載の海島型繊維を温度60〜70℃の3重量%以下の苛性ソーダ水溶液中に60分間以内浸漬して、海成分である易抽出樹脂を抽出し、除去することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維の製造方法。
  4. 請求項1に記載の海島型繊維から形成したエチレン−ビニルアルコール系共重合体島成分繊維を含んでいることを特徴とする繊維シート。
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