JP4749991B2 - ワイヤハーネス用コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に配索されるワイヤハーネスに巻き付け状態で固定されるワイヤハーネス用コネクタに関するものである。
従来、ワイヤハーネスに含まれる電線の端末に設けられたコネクタや、そのワイヤハーネス側コネクタに結合されるコネクタ(例えば複数のワイヤハーネス側コネクタに含まれるコネクタ端子同士を接続するジョイントコネクタ)は、その多くが、当該コネクタと前記ワイヤハーネスの本体部分とに粘着テープを巻き付ける方法によって当該ワイヤハーネス本体部分に固定されている。
例えば、下記特許文献1の図5及び図6は、ワイヤハーネスに含まれる複数の電線同士を電気的に接続するために当該電線の端末に設けられたジョイントコネクタがテープ巻によって前記ワイヤハーネスの本体部分に固定されるものを開示している。
特開平8−79948号公報
前記特許文献1に記載されるジョイントコネクタにおいて、その端子の数が多くなると、これらの端子を保持する絶縁ハウジングが大きくなり、この絶縁ハウジングをワイヤハーネスの本体の周囲にテープ巻きで固定する作業が難しくなる。また、固定できたとしても、前記ワイヤハーネス本体の外周面から前記絶縁ハウジングが突出する寸法が大きくなり、この絶縁ハウジングが配線作業等の邪魔になるおそれがある。
このような絶縁ハウジングの大型化を回避する手段として、前記ジョイントコネクタを複数個の単位コネクタに分割することが考えられるが、その場合、これらの単位コネクタに含まれる端子同士を別の配線材で接続する必要があり、構造の複雑化は必至である。従って、当該配線材自体の構造及び当該配線材と各コネクタ端子との接続構造をいかに簡略化するかが大きな課題となる。
その一方、前記配線材を用いる場合に当該配線材と各端子との接続部位の保護や防水も求められる。
本発明は、このような事情に鑑み、コンパクトな構造で取扱いが容易であり、かつ、各端子と配線材との接続部位を有効に保護することが可能なワイヤハーネス用コネクタの提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ワイヤハーネスの周囲に巻付け可能なワイヤハーネス用コネクタであって、互いに平行に配される複数本のコネクタ端子及びこれらのコネクタ端子を保持する絶縁ハウジングを有する複数個の単位コネクタと、これらの単位コネクタが前記各コネクタ端子の配列方向と平行な方向に配列された状態で当該各単位コネクタに含まれるコネクタ端子同士を電気的に接続するように当該単位コネクタの配列方向に延び、かつ、その長手方向と直交する方向でかつ前記コネクタ端子の軸方向と直交する厚み方向に曲げ変形可能なフレキシブル配線材と、前記各単位コネクタのコネクタ端子と前記フレキシブル配線材との接続部位を覆うように前記各絶縁ハウジングに装着されるカバーとを備え、前記各単位コネクタの絶縁ハウジングは、前記各コネクタ端子
の特定部位を保持する端子保持部と、前記各コネクタ端子の前記特定部位以外の部位であって前記フレキシブル配線材に接続される部位を囲む形状を有し、前記カバーが被着される枠部と、前記カバーを係止する係止部と、前記枠部の特定部位から前記フレキシブル配線材の厚み方向と平行な方向に突出し、前記カバーが前記係止部から離脱する向きに当該カバーを変位させるように前記枠部が前記コネクタ端子の軸方向及び配列方向の双方と直交する方向に曲げ変形するのを抑制する形状をもつ補強用リブと、前記枠部の内周縁から前記補強用リブの突出の向きと同じ向きに突出する防水用リブとを有し、この防水用リブと前記補強用リブとの間に溝が形成されるとともに、この溝内の水を単位コネクタの外部に排出するための排水口が前記絶縁ハウジングの側部に確保されており、前記補強用リブは、前記端子保持部からこの端子保持部と反対側の絶縁ハウジングの端部である後端の側に向かってその途中位置まで延び、前記防水用リブは、前記補強用リブの端部から前記コネクタ端子の軸方向と平行な方向に沿って前記絶縁ハウジングの後端の側に離れた位置で前記コネクタ端子の配列方向と平行なコネクタ幅方向に膨出してこの膨出部分の外側面が前記補強用リブの外側面と略同一平面上に並んでおり、この防水用リブの膨出部分と前記補強用リブの端部との間に前記排水口が確保され、前記フレキシブル配線材の曲げ変形を伴って、前記各絶縁ハウジングが前記ワイヤハーネスの本体の周方向に並ぶ姿勢で当該ワイヤハーネスの周囲に巻付けられるものである。
このワイヤハーネス用コネクタは、それぞれが絶縁ハウジングを有する複数個の単位コネクタに分割されているので、単一の絶縁ハウジングのみを具備するコネクタに比べ、各単位コネクタの絶縁ハウジングの小型化が可能である。しかも、各単位コネクタのコネクタ端子は、前記絶縁ハウジングの枠部の内側の領域で前記フレキシブル配線材の導体と交差する位置で接続され、かつ、このフレキシブル配線材の曲げ変形がワイヤハーネス本体の周囲へのコネクタの巻付けを可能にする。
さらに、前記コネクタ端子と前記フレキシブル配線材の導体との接続箇所は、前記枠部に被着されるカバーにより覆われ、外部から保護される。このカバーは、前記枠部の曲げ変形に伴って変位しやすく、その変位が大きいと当該カバーが絶縁ハウジング側の係止部から外れるおそれがあるが、この枠部には前記端子保持部からこの端子保持部と反対側の絶縁ハウジングの端部である後端の側に向かってその途中位置まで延びる補強用リブが突設され、この補強用リブが、前記カバーが前記係止部から離脱する向きに当該カバーを変位させるように前記枠部が前記コネクタ端子の軸方向及び配列方向の双方と直交する方向に曲げ変形するのを抑制するので、当該枠部の曲げ変形に起因する前記係止部からの前記カバーの離脱が有効に防がれる。
さらに、前記枠部は、前記補強用リブに加え、この枠部の内周縁から前記補強用リブの突出の向きと同じ向きに突出する防水用リブを有しており、この防水用リブは、前記枠部内のコネクタ端子とフレキシブル配線材の導体との接続部分に水分が入り込むことを防ぐ。しかも、この防水用リブと前記補強用リブとの間に溝が形成されるとともに、この溝内の水を単位コネクタの外部に排出するための排水口が前記絶縁ハウジングの側部に確保されているので、前記防水用リブと前記補強用リブとの間の溝に水が溜まることが有効に抑止される。
具体的に、前記防水用リブは、例えば、前記補強用リブの端部から前記コネクタ端子の軸方向と平行な方向に離れた位置で前記コネクタ端子の配列方向と平行なコネクタ幅方向に膨出してこの膨出部分の外側面が前記補強用リブの外側面と略同一平面上に並んでおり、この防水用リブの膨出部分と前記補強用リブの端部との間に前記排水口が確保されている
また、前記絶縁ハウジングが、前記端子保持部を挟んで前記枠部との反対の側に前記コネクタ端子の端部を覆うフードを有するとともに、このフード内の水分を前記枠部側に導出させるための水抜き孔を有し、この水抜き孔から出る水分が前記溝内に流下する位置に当該水抜き孔が位置するものであれば、フードの奥に入り込んだ水分も前記溝及び排水口を通じてコネクタ外部に排出されることが可能である。
また、前記カバーが前記水抜き孔内に嵌入される被係止部を有し、この嵌入により当該カバーが前記絶縁ハウジングに係止されるものでは、前記水抜き孔が前記カバーを係止するための孔として兼用されることで、絶縁ハウジングの構造がより簡素化される。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図10に示すワイヤハーネス用コネクタは、図11に示されるワイヤハーネス50に含まれる電線同士を電気的に接続するためのジョイントコネクタとして用いられるものである。
このコネクタは、4つの単位コネクタC1,C2,C3,C4を含み、これらの単位コネクタC1〜C4が一体に連結され、かつ相互に電気的に接続されている。
前記各単位コネクタC1〜C4は、図4及び図5に示すような複数本(図例では5本)のピン状のコネクタ端子10と、これらのコネクタ端子10を保持する絶縁ハウジング20と、フレキシブル配線材30と、カバー40とを備えている。
前記各コネクタ端子10は、その軸方向と略直交する方向(コネクタ幅方向)に互いに平行な姿勢で配列されている。各絶縁ハウジング20も、その軸方向(すなわち前記コネクタ端子10の軸方向と平行な方向)と直交する方向に配列されている。そして、各単位コネクタに含まれるコネクタ端子10が当該単位コネクタ同士の間でフレキシブル配線材30を介して電気的に相互接続され、かつ、隣接する単位コネクタの絶縁ハウジング20同士がハウジング連結部26A,26Bにより一体に連結されている。これらのハウジング連結部26A,26Bは、間隙28をおいて前記絶縁ハウジング20の軸方向に並ぶ前後位置に形成されている。これらのハウジング連結部26A,26Bについては後に詳述する。
図5(a)〜(c)に示されるように、前記各単位コネクタに含まれるコネクタ端子10の軸方向前側部分(同図(a)(b)では左側部分、同図(c)では下側部分)は、相手方雌端子の電気接続部に嵌入可能な電気接続タブ12であり、軸方向後側部分(同図(a)(b)では右側部分、同図(c)では上側部分)は、前記フレキシブル配線材30に接続される配線材接続部14であり、これら電気接続タブ12と配線材接続部14との間には幅広の鍔部16が介在している。これらコネクタ端子10は、その軸方向と直交するコネクタ幅方向に並ぶ配列で前記絶縁ハウジング20に保持されている。
なお、本発明では各コネクタ端子の具体的形状や雄雌の別を問わない。これらの要素はコネクタの使用箇所に応じて任意に設定される。
各絶縁ハウジング20の軸方向前側部分は、相手方コネクタのコネクタハウジングが進入可能な形状をもつフード22であり、軸方向後側部分は前記フード22の奥壁から後方に延びる中空の枠部である配線材保持部24である。そして、これらフード22と配線材保持部24との間に図4(a)に示すような端子保持部25が位置している。
この端子保持部25は、この端子保持部25に前記各コネクタ端子10の軸方向中間部位が圧入された状態で当該中間部位を保持するものである。この端子保持部25により保持された各コネクタ端子10のうち、前記電気接続タブ12は前記フード22内に突出してこのフード22により外側から囲まれる。一方、前記配線材接続部14は前記配線材保持部24のすぐ下方の位置でこの枠部である配線材保持部24の内側の領域内で整列している。
前記配線材保持部24の前側部分(端子保持部25側の根元部分)及び後側部分の下面には、それぞれ、図6に示すようにコネクタ幅方向に並ぶ複数の端子保持溝24d,24eが形成され、これらの端子保持溝24d,24eにそれぞれ前記各コネクタ端子10の配線材接続部14が嵌まり込む。
前記フレキシブル配線材30は、図5(c)に示すような薄肉のフラット配線材で構成され、このフラット配線材は、2本の第1の導体31及び3本の第2の導体32と、これらの導体31,32を覆う絶縁層34とを備える。
前記各導体31,32は、偏平で薄肉の形状(例えば平型形状)をなし、これらの導体31,32が互いに平行な姿勢でその肉厚方向と直交する幅方向に配列されている。そして、これらの導体31,32を表裏両側から覆うように前記絶縁層34が成形されることにより、全体が一体化され、かつ、その肉厚方向に曲げ変形することが可能なフレキシブル配線材30が形成されている。
前記導体31,32のうち、両第1の導体31はフレキシブル配線材30の幅方向両外側の位置に配線され、前記第2の導体32は両第1の導体31の内側に配線されている。
表裏両側の前記絶縁層34の適所には、この絶縁層34を貫通する窓34aが形成されている。これらの窓34aは、前記各導体31,32とこれらの導体31,32に接続されるべき前記コネクタ端子10の配線材接続部14とが交差する位置に形成され、その位置で前記各導体31,32を部分的に絶縁層34の外側に露出させる。
なお、本発明では前記フレキシブル配線材30の具体的な構造は問わない。例えば、前記フレキシブル配線材がフレキシブルプリント回路(FPC)やリボン電線、あるいは複数本の絶縁電線を単に配列しただけのものであってもよい。ただし、図示のようなフラット配線材は、その構造が簡単で取扱いが容易であるという利点をもつ。
図示のフレキシブル配線材30は、前記窓34aが形成された位置で前記各導体31,32とこれらの導体31,32にそれぞれ対応する配線材接続部14とが前記配線材保持部24の内側の領域で交差するように配線され、その交差位置で導体31,32と配線材接続部14とが相互に溶接されて電気的に接続される。この溶接及び電気的接続は、例えば、一対の溶接用電極のうちの一方の電極を前記交差位置で前記フレキシブル配線材30の下側の窓34aを通じて前記導体31,32にあてがい、他方の電極を前記配線材保持部24の内側空間を通じて前記交差部分における配線材接続部14にあてがって、両電極間に必要な電圧を印加する、という方法により実現することが可能である。
さらに、前記配線材保持部24のコネクタ幅方向両側部分(すなわちコネクタ端子10よりも幅方向両外側に位置する部分)の下面からは、それぞれ、前後一対(配線材幅方向に並ぶ一対)の係止軸27が下向きに突出する一方、前記フレキシブル配線材30の第1の導体31及びこれを覆う絶縁層34にはこれらを厚み方向に貫通する貫通孔37が設けられ、これらの貫通孔37にそれぞれ前記係止軸27が上から挿通可能となるように当該貫通孔37及び係止軸27の位置及び断面形状が設定されている。
具体的に、前記係止軸27及び貫通孔37の位置は、前記両第1の導体31に対応する位置であって、当該係止軸27が貫通孔37に挿通されることにより、前記コネクタ端子10を保持する位置よりも隣接する単位コネクタに近い位置で絶縁ハウジング20側に前記フレキシブル配線材30が係止される位置となっている。また、前記貫通孔37及びこれに挿通される係止軸27の断面形状は、第1の導体31の長手方向と平行な方向の寸法(コネクタ幅方向の寸法)が当該導体の幅方向と平行な方向の寸法(コネクタ軸方向の寸法)よりも大きい形状(図例では略小判形状)とされている。また、前記第1の導体31は、前記貫通孔37の形成による断面積の減少を補うべく前記第2の導体32よりも幅広とされている。
前記カバー40は、前記各コネクタ端子10の配線材接続部14と前記フレキシブル配線材30の導体31,32との接続部分を当該コネクタ端子10側とフレキシブル配線材30側の双方から覆うように配線材保持部24に被着される形状を有している。具体的には、前記接続部分をフレキシブル配線材30側から覆う配線材側被覆部42と、前記接続部分をコネクタ端子10側から覆う端子側被覆部44と、両被覆部42,44をつなぐ薄肉のヒンジ部46とを一体に有し、このヒンジ部46の撓み変形を伴って両被覆部42,44が開閉可能となっている。
図4(a)及び図9,図10に示すように、前記配線材側被覆部42のヒンジ部46寄りの端壁には内向きの突起42aが形成され、これに対応して配線材保持部24の後端部(同図右端部)には前記突起42aが嵌まり込む係止凹部24aが形成されている。同様に、前記配線材側被覆部42及び端子側被覆部44の外側端部(ヒンジ部46と反対側の端部)にはそれぞれ被係止部として外向きの突起42b,44aが形成される一方、絶縁ハウジング20の端子保持部25には、前記突起42b,44aがそれぞれ嵌まり込む係止孔25b,25aが形成されている。そして、前記各突起42a,42b,44aと係止凹部24a及び係止孔25b,25aとの係合によってカバー40が絶縁ハウジング20に着脱可能に係止されるようになっている。
ここで、前記係止孔25a,25bは、前記コネクタ端子10の軸方向に直交する方向でかつ単位コネクタC1〜C4の配列方向と直交する方向から見て、前記枠部である前記配線材保持部24の領域内にあり、詳しくは当該配線材保持部24の根元部分(端子保持部25寄りの部分)に位置している。そして、これらの係止孔25a,25bが形成された部分の左右両外側の位置で、前記配線材保持部24の根元部分の外縁部から上方に補強用リブ21が突出している。これらの補強用リブ21は、前記端子保持部25から絶縁ハウジング20の後端側に向かってその途中位置まで延び、前記配線材保持部24の根元部分の曲げ変形、特に、絶縁ハウジングの幅方向と直交する方向でかつ前記コネクタ端子の軸方向と直交する方向の曲げ変形を抑制する形状を有している。
さらに、枠状の前記配線材保持部24の内周縁には、その全周にわたって、上方に突出する防水用リブ24fが形成されている。この防水用リブ24fのうち、配線材保持部24の根元側部分(端子保持部25寄りの部分)は、前記端子保持部25の背面(配線材保持部24側の面)25d及び左右の補強用リブ21の内側面から一定幅だけ内側に入り込んだ位置にあり、この防水用リブ24fと前記端子保持部25の背面25d及び前記両補強用リブ21の内側面との間にそれぞれ、前記一定幅に相当する幅を持つ溝23A,23Bが形成されている。
一方、前記配線材保持部24の後端側部分は前記の根元側部分よりもコネクタ幅方向に膨出しており、この膨出部分と前記補強用リブ21の後端との間に前記溝23Bに通ずる排水口23Cが確保されている。そして、前記溝23A,23Bに入り込んだ水分または結露した水分が前記排水口23Cを通じてコネクタ外へ排出されるようになっている。
また、前記係止孔25aは、前記フード22の奥壁を兼ねる前記端子保持部25をコネクタ端子10の軸方向に貫通していて、前記フード22内の水分を前記配線材保持部24側に導出させるための水抜き孔を兼ねており、この係止孔25aから前記配線材保持部24側に出る水分が前記溝23A内に流下するように当該係止孔25aの位置が設定されている。
なお、前記カバー40の端子側被覆部44の左右両縁部には、前記補強用リブ21を回避する形状の凹み部44fが形成されている。
また、前記配線材側被覆部42及び前記端子側被覆部44における前記突起42b,44aの近傍部位には、それぞれ、幅方向に延びる貫通長孔42d,44dが形成されている。これらの貫通長孔42d,44dは、前記突起42b,44aが形成されているカバー40の端部に薄肉部分42e,44eを形成するためのもので、これら薄肉部分42e,44eの撓み変形により、前記係止孔25b,25aと係合する際の当該突起42b,44aの変位が促進される。
また、端子側被覆部44の裏面からは被係止片44bが突出し、この被係止片44bの先端部分が前記配線材保持部24の枠内側に形成された係止穴24b(図6)の周縁に係合することによっても、カバー40の係止が行われるようになっている。
前記端子側被覆部44の裏面(図4(a)(b)に示す装着状態では下面)からは下方に複数本の突条45が突出している。これらの突条45は、前記コネクタ端子10の軸方向と平行な方向に延び、かつ、これらコネクタ端子10の配線材接続部14同士の間に介在して当該配線材接続部14同士を隔離する位置に形成されるとともに、この先端がフレキシブル配線材30を配線材側被覆部42の裏面に押え込むように各突条45の突出量が設定されている。
前記ハウジング連結部26A,26Bは、前記単位コネクタC1〜C4のうち、互いに隣接する単位コネクタ(例えば単位コネクタC1と単位コネクタC2)の絶縁ハウジング20同士の間に存在している。これらのハウジング連結部26A,26Bは、前記フレキシブル配線材30よりも上側(後述の巻き付け状態ではフレキシブル配線材30よりも外側となる位置)にあって、前記絶縁ハウジング20同士を連結するようにこれらの絶縁ハウジング20と一体に成形されている。
これらのハウジング連結部26A,26Bは、薄板状に形成されている。その肉厚は、当該肉厚方向、すなわち、前記絶縁ハウジング20の配列方向と直交しかつ前記コネクタ端子10の軸方向と直交する方向(図1(b)の上下方向)に曲げ変形可能となる程度まで小さく設定されている。また、これらハウジング連結部26A,26B同士の間には、排水用の間隙28が確保されている。
なお、本発明は前記ハウジング連結部26A,26Bが省略されたものも包含する。
次に、このワイヤハーネス用ジョイントコネクタの組立手順及び使用要領の一例を説明する。
1)前記ハウジング連結部26により相互連結された各絶縁ハウジング20の端子保持部25に前記コネクタ端子10が圧入されることにより、当該端子保持部25が当該コネクタ端子10を保持する状態が形成される。これにより単位コネクタC1,C2,C3,C4が完成する。
2)フレキシブル配線材30の第1の導体31およびこれを覆う絶縁層34の適所に貫通孔37が設けられる。また、絶縁層34の局所的な除去によって、導体31,32の適当な部分を露出させる窓34aが形成される。
3)前記貫通孔37への前記各絶縁ハウジング20の係止軸27の挿通により、絶縁ハウジング20に対するフレキシブル配線材30の相対位置が固定される。この位置で、前記導体31,32は前記窓34aの存在箇所で前記コネクタ端子10の配線材接続部14と交差する。
4)前記交差位置で各導体31,32と配線材接続部14とが接続される。具体的には、前記配線材保持部24の枠内側空間を通じて前記交差部分の配線材接続部14に上側から電極があてがわれ、下側の窓34aを通じて前記交差部分の導体31,32に前記電極と対をなす電極が下側からあてがわれた状態で、両電極間に電圧が印加されることにより、当該交差部分で前記導体31,32と配線材接続部14とが溶接され、互いに電気的に接続される。
なお、本発明ではワイヤハーネス用ジョイントコネクタの組立手順について限定されない。例えば、予めコネクタ端子とフレキシブル配線材とを接続しておいてから当該コネクタ端子を前記コネクタハウジングにセットすることにより組立てられたものも、本発明の範囲に含まれる。
5)カバー40がそのヒンジ部46で折り曲げられることにより、当該カバー40の配線材側被覆部42及び端子側被覆部44が前記絶縁ハウジング20の配線材保持部24を挟みこむ状態が形成され、この状態でカバー40が前記絶縁ハウジング20に被着される。すなわち、カバー40側の突起44a,42bが係止孔25a,25bに嵌入され、被係止片44bが係止穴24bの周縁に係合される。このとき、カバー40の各係止軸挿入孔47への各係止軸27の端部の挿入が当該係止軸27からのフレキシブル配線材30の逸脱の防止を確実にする。この工程により、ワイヤハーネス用コネクタが完成する。
6)前記ワイヤハーネス用コネクタが図11に示すようなワイヤハーネス50の本体外周面に巻き付けられる。具体的には、前記フレキシブル配線材30よりも前記ハウジング連結部26が外側となる向きでこれらフレキシブル配線材30及びハウジング連結部26が曲げ変形することにより、前記単位コネクタC1,C2,C3,C4がワイヤハーネス50の本体周方向に並ぶ姿勢で当該ワイヤハーネス本体の周囲に前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタを巻き付けることが可能になる。このワイヤハーネス用ジョイントコネクタの巻付け状態は、例えば、当該ジョイントコネクタの周囲への図11に示すような粘着テープ60の巻付けによって固定される。
7)図4や図11に示すように、各単位コネクタC1,C2,C3,C4に対し、前記ワイヤハーネス50に含まれる電線52の端末に設けられたコネクタ54のうちの対応するコネクタ54が結合される。このようなコネクタ結合操作によって、前記電線52のうちの適当な電線同士が、前記コネクタ端子10とフレキシブル配線材30の導体31,32とによって構成されるジョイント回路を介して相互に電気的に接続される。
以上示したワイヤハーネス用ジョイントコネクタは、それぞれが絶縁ハウジング20を有する複数個の単位コネクタC1〜C4に分割されているので、単一の絶縁ハウジング20のみを具備するコネクタに比べ、各単位コネクタC1〜C4の絶縁ハウジング20の小型化が可能である。しかも、各単位コネクタC1〜C4のコネクタ端子10は、前記絶縁ハウジング20の枠部である配線材保持部24の内側の領域で前記フレキシブル配線材30の導体31,32と交差する位置で接続され、かつ、このフレキシブル配線材30の曲げ変形がワイヤハーネス本体の周囲へのコネクタの巻付けを可能にする。
さらに、絶縁ハウジング20に装着されるカバー40が前記コネクタ端子10と前記フレキシブル配線材30の導体との接続箇所を覆うことにより当該接続箇所を外部から保護される。このカバー40は、配線材保持部24の曲げ変形に伴って変位しやすいが、この配線材保持部24の曲げ変形、特にコネクタ幅方向と直交する方向でかつ前記コネクタ端子の軸方向と直交する方向の曲げ変形が当該配線材保持部24の根元部分に突設された補強用リブ21によって抑制されるので、この曲げ変形に起因して前記カバー40が変位してその前記カバー40の被係止部である突起44a,42aが前記係止部25a,25bから誤って抜け出てしまうことが防がれる。
さらに、この実施の形態に係るコネクタは、前記補強用リブ21に加え、前記配線材保持部24の内周縁から前記補強用リブ21の突出の向きと同じ向き(コネクタをワイヤハーネス本体の周囲に巻き付けたときにその巻付け径方向の外向きとなる向き)に突出する防水用リブ24fを有し、この防水用リブ24fが、前記配線材保持部24の内側領域での前記コネクタ端子21とフレキシブル配線材30の導体31,32との接続部分に水分が入り込むのを阻止する。しかも、この防水用リブ24fと前記補強用リブ21との間に形成された溝23B内の水を単位コネクタC1〜C4の外部に排出するための排水口23Cが前記絶縁ハウジング20の側部に確保されているため、前記溝23Bや溝23A内に水が溜まるのを有効に抑止することができる。
特に、図示の防水用リブ24fは、前記補強用リブ21の端部から前記コネクタ端子10の軸方向と平行な方向に離れた位置でコネクタ幅方向に膨出してこの膨出部分の外側面が前記補強用リブの外側面と略同一平面上に並んでおり、この防水用リブの膨出部分と前記補強用リブの端部との間に排水口23Cが確保されているため、排水がきわめて効果的に行われる。
なお、前記コネクタでは、カバー40を係止するための係止孔25aが前記端子保持部25を貫通していてフード22の水抜き孔を兼ねているが、本発明に係る絶縁ハウジングの係止部はこれに限られず、例えばカバー40側に形成された凹部に嵌まり込む係止突起であってもよい。
その他、本発明は例えば次のような実施の形態も含むものである。
・本発明に係る単位コネクタの結合相手は特に問わない。例えば、本発明に係るコネクタは、前記ワイヤハーネス50以外のワイヤハーネスから導かれるコネクタに結合される単位コネクタを含むものでもよい。
・本願請求項1の「ワイヤハーネスの本体の周方向に並ぶ姿勢」とは、各コネクタハウジングが互いに当該周方向に位置をずらして並ぶ姿勢を広く意味するものであり、当該周方向だけでなく軸方向にもコネクタハウジング同士の位置がずれているものも含む趣旨である。例えば、本発明は、複数の単位コネクタが螺旋状に配列された状態でワイヤハーネス50の本体の周囲に巻かれるワイヤハーネス用コネクタも含む。また、各単位コネクタの具体的な個数も仕様に応じて適宜選定が可能な要素である。
本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス用ジョイントコネクタの平面図である。 前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタの正面図である。 前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタの底面図である。 (a)は図2のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 (a)は前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタに含まれるコネクタ端子の平面図、(b)はその側面図、(c)は前記コネクタ端子とフレキシブル配線材との位置関係を示す平面図である。 前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタに含まれる絶縁ハウジングの底面図である。 前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタの絶縁ハウジング及びハウジング連結部を示す斜視図である。 前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタの絶縁ハウジング及びハウジング連結部を示す平面図である。 (a)は前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタに含まれるカバーの側面図、(b)は同カバーを表面側から見た図である。 (a)は前記カバーの平面図、(b)は前記カバーを裏面側から見た図、(c)は前記カバーの底面図である。 (a)は前記ワイヤハーネス用ジョイントコネクタをワイヤハーネス本体周囲に巻き付けた状態を示す断面正面図、(b)はその側面図である。
符号の説明
C1,C2,C3,C4 単位コネクタ
10 コネクタ端子
12 電気接続タブ
14 配線材接続部
20 絶縁ハウジング
21 補強用リブ
22 フード
23A 溝
23B 溝
23C 排水口
24 配線材保持部(枠部)
24a 係止凹部
24b 係止穴
24d 端子保持溝
24f 防水用リブ
25 端子保持部
25a 係止孔
25b 係止孔
25d 背面
26 ハウジング連結部
26A ハウジング連結部
27 係止軸
28 間隙
30 フレキシブル配線材
31 導体
32 導体
34 絶縁層
34a 窓
37 貫通孔
40 カバー
42 配線材側被覆部
42b 突起(被係止部)
44 端子側被覆部
44a 突起(被係止部)
46 ヒンジ部
50 ワイヤハーネス
52 電線
54 コネクタ

Claims (3)

  1. ワイヤハーネスの周囲に巻付け可能なワイヤハーネス用コネクタであって、
    互いに平行に配される複数本のコネクタ端子及びこれらのコネクタ端子を保持する絶縁ハウジングを有する複数個の単位コネクタと、
    これらの単位コネクタが前記各コネクタ端子の配列方向と平行な方向に配列された状態で当該各単位コネクタに含まれるコネクタ端子同士を電気的に接続するように当該単位コネクタの配列方向に延び、かつ、その長手方向と直交する方向でかつ前記コネクタ端子の軸方向と直交する厚み方向に曲げ変形可能なフレキシブル配線材と、
    前記各単位コネクタのコネクタ端子と前記フレキシブル配線材との接続部位を覆うように前記各絶縁ハウジングに装着されるカバーとを備え、
    前記各単位コネクタの絶縁ハウジングは、前記各コネクタ端子の特定部位を保持する端子保持部と、前記各コネクタ端子の前記特定部位以外の部位であって前記フレキシブル配線材に接続される部位を囲む形状を有し、前記カバーが被着される枠部と、前記カバーを係止する係止部と、前記枠部の特定部位から前記フレキシブル配線材の厚み方向と平行な方向に突出し、前記カバーが前記係止部から離脱する向きに当該カバーを変位させるように前記枠部が前記コネクタ端子の軸方向及び配列方向の双方と直交する方向に曲げ変形するのを抑制する形状をもつ補強用リブと、前記枠部の内周縁から前記補強用リブの突出の向きと同じ向きに突出する防水用リブとを有し、この防水用リブと前記補強用リブとの間に溝が形成されるとともに、この溝内の水を単位コネクタの外部に排出するための排水口が前記絶縁ハウジングの側部に確保されており、
    前記補強用リブは、前記端子保持部からこの端子保持部と反対側の絶縁ハウジングの端部である後端の側に向かってその途中位置まで延び、
    前記防水用リブは、前記補強用リブの端部から前記コネクタ端子の軸方向と平行な方向に沿って前記絶縁ハウジングの後端の側に離れた位置で前記コネクタ端子の配列方向と平行なコネクタ幅方向に膨出してこの膨出部分の外側面が前記補強用リブの外側面と略同一平面上に並んでおり、この防水用リブの膨出部分と前記補強用リブの端部との間に前記排水口が確保され、
    前記フレキシブル配線材の曲げ変形を伴って、前記各絶縁ハウジングが前記ワイヤハーネスの本体の周方向に並ぶ姿勢で当該ワイヤハーネスの周囲に巻付けられることを特徴とするワイヤハーネス用コネクタ。
  2. 請求項記載のワイヤハーネス用コネクタにおいて、
    前記絶縁ハウジングは、前記端子保持部を挟んで前記枠部との反対の側に前記コネクタ端子の端部を覆うフードを有するとともに、このフード内の水分を前記枠部側に導出させるための水抜き孔を有しており、この水抜き孔は当該水抜き孔から出る水分が前記溝内に流下する位置にあることを特徴とするワイヤハーネス用コネクタ。
  3. 請求項記載のワイヤハーネス用コネクタにおいて、
    前記カバーは前記水抜き孔内に嵌入される被係止部を有し、この嵌入により当該カバーが前記絶縁ハウジングに係止されることを特徴とするワイヤハーネス用コネクタ。
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