JP4749010B2 - アクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置および駆動方法 - Google Patents

アクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置および駆動方法 Download PDF

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Description

この発明は、多数の発光素子を例えばTFT(Thin Film Transistor)により選択的に発光駆動させて画像表示するアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置および駆動方法に関する。
携帯電話機や携帯型情報端末機(PDA)などの普及によって、高精細な画像表示機能を有し、薄型かつ低消費電力を実現することができる表示パネルの需要が増大しており、従来より液晶表示パネルがその要求を満たす表示パネルとして多くの製品に採用されてきた。一方、昨今においては自発光型表示素子であるという特質を生かした有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を用いた表示パネルが実用化され、これが従来の液晶表示パネルに代わる次世代の表示パネルとして注目されている。これは素子の発光機能層に、良好な発光特性を期待することができる有機化合物を使用することによって、実用に耐え得る高効率化および長寿命化が進んだことも背景にある。
前記した有機EL素子は、基本的にはガラス等の透明基板上に、例えばITOによる透明電極と有機物質からなる発光機能層と金属電極とが順次積層されることで構成されている。そして、前記発光機能層は、有機発光層の単一層、あるいは有機正孔輸送層と有機発光層からなる二層構造、または有機正孔輸送層と有機発光層および有機電子輸送層からなる三層構造、さらにこれらの適切な層間に電子もしくは正孔の注入層を挿入した多層構造になされる場合もある。
前記した有機EL素子は、電気的には図1のような等価回路で表すことができる。すなわち、有機EL素子は、発光エレメントとしてのダイオード成分Eと、このダイオード成分Eに並列に結合する寄生容量成分Cpとによる構成に置き換えることができ、有機EL素子は容量性の発光素子であると考えられている。
この有機EL素子は、発光駆動電圧が印加されると、先ず当該素子の電気容量に相当する電荷が電極に変位電流として流れ込み蓄積される。続いて当該素子固有の一定の電圧(発光閾値電圧=Vth)を越えると、一方の電極(ダイオード成分Eのアノード側)から発光層を構成する有機層に電流が流れ初め、この電流に比例した強度で発光すると考えることができる。
図2は、このような有機EL素子の発光静特性を示したものである。これによれば、有機EL素子は図2(a)に示すように、駆動電流Iにほぼ比例した輝度Lで発光し、図2(b)に実線で示すように駆動電圧Vが発光閾値電圧Vth以上の場合において急激に電流Iが流れて発光する。
換言すれば、駆動電圧が発光閾値電圧Vth以下の場合には、EL素子には電流は殆ど流れず発光しない。したがって、EL素子の輝度特性は図2(c)に実線で示すように前記閾値電圧Vthより大なる発光可能領域においては、それに印加される電圧Vの値が大きくなるほど、その発光輝度Lが大きくなる特性を有している。
一方、前記した有機EL素子は、長期の使用によって素子の物性が変化し、順方向電圧Vfが大きくなることが知られている。このために、有機EL素子は図2(b)に示したように実使用時間によって、V−I(L)特性が矢印に示した方向(破線で示した特性)に変化し、したがって輝度特性も低下することになる。
さらに、有機EL素子の輝度特性は、温度によって概ね図2(c)に破線で示すように変化することも知られている。すなわちEL素子は、前記した発光閾値電圧より大なる発光可能領域においては、それに印加される電圧Vの値が大きくなるほど、その発光輝度Lが大きくなる特性を有するが、高温になるほど発光閾値電圧が小さくなる。したがってEL素子は、高温になるほど小さい印加電圧で発光可能な状態となり、同じ発光可能な印加電圧を与えても、高温時は明るく低温時は暗いといった輝度の温度依存性を有している。
さらにまた、前記したEL素子はその発光色に応じて駆動電圧に対する発光効率が異なるという問題を有しており、現状において実用化し得るR(赤色)、G(緑色)、B(青色)をそれぞれ発光するEL素子の発光効率は、初期の段階においては概ね図2(d)に示したようにGの発光効率が高く、Bの発光効率が最も低いという状況にある。そして、これらR,G,Bを発光する各EL素子の個々においても、図2(b)および(c)で示したような経時変化および温度依存性をそれぞれ有している。
したがって、R,G,Bの各色を発光するEL素子を配列してフルカラー表示を行おうとした場合には、環境温度により、また経時変化によりカラーバランス(ホワイトバランス)が崩れ、表示品質を一定に保持させることが困難になるという問題が発生する。特に各EL素子をTFTのスイッチング動作により、定電圧駆動する構成のアクティブマトリクス型表示パネルの駆動装置においては、図2に示したV−I(L)特性で示されるように各素子の順方向電圧Vfの変動に伴い発光輝度が大きく変動し、表示品質を著しく悪化させるという問題を招来させる。
そこで、前記したような問題を解消するために、R,G,Bの各色を発光するEL素子の順方向電圧Vfをそれぞれモニタするモニタ用素子を用意し、前記各モニタ用素子より得られる順方向電圧Vfに基づいて、前記各色を発光するEL素子に与える駆動電圧を個別に制御するようにした発光表示パネルの駆動装置が特許文献1に開示されている。
特開2003−162255号公報
前記したようにR,G,Bの各色を発光するEL素子の順方向電圧Vfをそれぞれ得ようとする場合においては、表示パネル上に配列される表示用の各EL素子と共に、モニタ用の各EL素子も同一の成膜工程により形成させることが望ましい。これにより表示用の各EL素子、およびモニタ用の各EL素子は、各色毎にそれぞれ同一仕様に形成させることができる。
この場合、例えばQVGAフォーマットの表示パネルにおける画素構成においては、画面の縦方向に320個の画素が配列されることになる。したがって、前記モニタ用素子も同一の成膜工程により形成させることにすると、各R,G,Bのモニタ用素子としてそれぞれ320個のEL素子が並列接続された状態で利用されることになる。
図3はその状況を説明するものであり、符号1はアクティブ駆動型発光表示パネルを示しており、この表示パネルにおける表示領域aには各R,G,Bで示したサブピクセルを組とした鎖線で囲まれたカラー表示画素がマトリクス状に配列されている。この表示パネル1が前記したとおりQVGAフォーマットであるとすれば、横方向に240画素、縦方向に320画素のカラー表示画素が表示領域aに配列されることになるが、図においては紙面の都合でその一部の配列構成のみを示している。
一方、前記表示パネル1の一部にはモニタ用素子の配列領域bが形成されており、このモニタ用素子の配列領域bには、前記表示領域aの成膜工程と同時に形成されたモニタ用素子としてのEL素子が配列されている。この場合、図中左から順子にR,G,Bの各色を発光する各320個のEL素子(ダイオードのシンボルマークで示す)がそれぞれライン毎に並列に接続された構成にされる。なお、前記モニタ用素子も紙面の都合でその一部の配列構成のみを示している。
そして、領域bにおける各R,G,Bのモニタ用素子の配列ラインには、Rに対応するモニタ用素子としての各EL素子に定電流を供給する定電流源IR、またGに対応するモニタ用素子としての各EL素子に定電流を供給する定電流源IG、さらにBに対応するモニタ用素子としての各EL素子に定電流を供給する定電流源IBが備えられている。これに加えて、前記定電流源IRからモニタ用素子に定電流を供給した場合に発生する順方向電圧VfRが、Rを発光するサブピクセルに駆動電圧VHRを供給するDC−DCコンバータ2Rに対して制御電圧として供給されるように構成されている。
また同様に、定電流源IGからモニタ用素子に定電流を供給した場合に発生する順方向電圧VfGが、Gを発光するサブピクセルに駆動電圧VHGを供給するDC−DCコンバータ2Gに対して制御電圧として供給されるように構成され、さらに同様に、定電流源IBからモニタ用素子に定電流を供給した場合に発生する順方向電圧VfBが、Bを発光するサブピクセルに駆動電圧VHBを供給するDC−DCコンバータ2Bに対して制御電圧として供給されるように構成されている。
前記した駆動電圧制御手段として機能する各DC−DCコンバータ2R,2G,2Bは、例えばバッテリーを一次側電源とする昇圧型のコンバータを構成しており、前記したR,G,Bに対応するモニタ用素子の各順方向電圧VfR,VfG,VfBに応じて、各サブピクセルに供給する駆動電圧値VHR,VHG,VHBを制御するように動作する。これにより、各R,G,Bのそれぞれについて、動作温度および経時変化に対応した最適な駆動電圧を各サブピクセルに供給することが可能となる。
ところで図3に示した構成のように、各R,G,Bの表示用画素に供給する駆動電圧を、モニタ用素子の各順方向電圧VfR,VfG,VfBに基づいて制御する場合、R,G,Bによるホワイトバランスが最も良好に保たれる各色毎の輝度を実現させるに必要な順方向電圧値とすることが望まれる。前記のようにホワイトバランスが最も良く保たれる各色毎の輝度を実現させるに必要な順方向電圧値は、予め試作実験等により求めることができる。
そこで、図3に示す構成においては、前記各R,G,Bに対応するモニタ用素子に加える定電流源からの電流値をそれぞれ調整することで、前記したような試作実験等により求められたそれぞれの順方向電圧値となるように設定する手法が採用し得る。これには各定電流源の回路構成をそれぞれ異なる仕様にするか、または前記各定電流源による電流量を個々に調整することができるような回路構成にすると共に、各電流量を個々に調整する調整作業等が必要になるなどの問題が発生する。
この発明は、前記した技術的な問題点に着目してなされたものであり、前記したような各定電流源毎の回路仕様の設定、もしくは各定電流源からの電流量の調整作業を伴う問題点を解消し、ホワイトバランスが良好に保たれる駆動電圧を表示パネル側に供給することにより、一定の表示品質を確保することができるアクティブ駆動型発光表示パネルの駆動装置および駆動方法を提供することを課題とするものである。
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかる発光表示パネルの駆動装置における好ましい第1の形態は、請求項1に記載のとおり、異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置であって、前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧をそれぞれ測定するための前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子と、前記各モニタ用素子により得られるそれぞれの順方向電圧に基づいて、前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御手段とがさらに備えられ、前記各モニタ用素子は、それぞれに異なった素子数の並列接続体により構成されるとともに、前記各モニタ用素子に対して、それぞれ定電流を供給する定電流源が備えられ、前記定電流源から各モニタ用素子に対して供給される定電流値がそれぞれ同一の値に設定されている点に特徴を有する。
また、この発明にかかる発光表示パネルの駆動装置における好ましい第2の形態は、請求項3に記載のとおり、異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置であって、前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧をそれぞれ測定するための前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子と、前記各モニタ用素子により得られるそれぞれの順方向電圧に基づいて、前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御手段とがさらに備えられ、前記各モニタ用素子は、それぞれ異なった成膜面積により構成されるとともに、前記各モニタ用素子に対して、それぞれ定電流を供給する定電流源が備えられ、前記定電流源から各モニタ用素子に対して供給される定電流値がそれぞれ同一の値に設定されている点に特徴を有する。
一方、前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかる発光表示パネルの駆動方法における好ましい第1の態様は、請求項10に記載のとおり、異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法であって、前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧に対応する電圧値を、前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子により得る順方向電圧取得工程と、前記工程により得られた前記電圧値に基づいて前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御工程とが実行され、前記順方向電圧取得工程において取得する順方向電圧は、それぞれ異なった数を有するモニタ用素子の並列接続体より得るとともに、前記各モニタ用素子に対して、各定電流源よりそれぞれ同一の値の定電流を供給し、この時に前記各モニタ用素子にそれぞれ生ずる順方向電圧を取得する点に特徴を有する。
また、この発明にかかる発光表示パネルの駆動方法における好ましい第2の態様は、請求項11に記載のとおり、異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法であって、前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧に対応する電圧値を、前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子により得る順方向電圧取得工程と、前記工程により得られた前記電圧値に基づいて前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御工程とが実行され、前記順方向電圧取得工程において取得する順方向電圧は、それぞれ異なった成膜面積を有するモニタ用素子より得るとともに、前記各モニタ用素子に対して、各定電流源よりそれぞれ同一の値の定電流を供給し、この時に前記各モニタ用素子にそれぞれ生ずる順方向電圧を取得する点に特徴を有する。
以下、この発明にかかる発光表示パネルの駆動装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図4はその第1の実施の形態を示した回路構成図であり、この図4においては、すでに説明した図3に示す例に比較して、カラー表示画素が配列された表示領域a、およびモニタ用素子の配列領域bにおける縦方向の縮尺表示を若干詰めた形で表現している。なお、図4においては、すでに説明した図3に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一の符号で示している。したがって、その説明は適宜省略する。
図4に示す実施の形態においても、すでに説明した図3に示す例と同様に表示領域aに配列される表示用画素を構成するEL素子、および領域bに配列されるモニタ用素子は、各発光色毎にそれぞれ同一仕様のEL素子により構成されている。すなわち、表示パネル1上に配列される表示用の各EL素子の成膜工程時に、モニタ用の各EL素子も同一のマスクを用いて成膜することで、ほぼ同一寸法(同一面積)の画素をそれぞれ形成させることが可能である。これにより、各発光色毎における表示用の各EL素子とモニタ用の各EL素子の温度依存性および経時変化に対応した電気的な特性をほぼ一致させることができる。
図5は、図4における表示領域aに配列された各カラー表示画素の構成を示したものである。なお、図5においては紙面の都合でR,G,Bの各サブピクセルからなる2組のカラー画素の回路構成のみを示している。図5に示すように表示パネルの表示領域には、データドライバからのデータ信号が供給されるデータ線mR1,mG1,mB1,……が縦方向に配列され、また、走査ドライバからの走査選択信号が供給される走査選択線n1,n2,……が横方向に配列されている。
さらに、表示パネルには、前記各データ線に対応して縦方向に電源供給線pR1,pG1,pB1,……が配列されており、これら電源供給線には、後述する駆動電圧制御手段としてのDC−DCコンバータ等よりもたらされる駆動電圧VHR,VHG,VHBがそれぞれ供給されるように構成されている。
R,G,Bで示す各サブピクセルは、その一例としてコンダクタンスコントロール方式による画素構成が示されている。すなわち、図5に示す左上のサブピクセルを構成する各素子に符号を付けて示したとおり、nチャンネル型TFTで構成された制御用トランジスタQ1のゲートは、走査選択線n1に接続され、そのソースはデータ線mR1に接続されている。また、制御用トランジスタQ1のドレインは、pチャンネル型TFTで構成された発光駆動トランジスタQ2のゲートに接続されると共に、電荷保持用コンデンサC1の一方の端子に接続されている。
そして、発光駆動トランジスタQ2のソースは前記コンデンサC1の他方の端子に接続されると共に、電源供給線pR1に接続されている。また、発光駆動トランジスタのドレインには、発光素子としてのEL素子E1のアノードが接続されると共に、当該EL素子E1のカソードはカソード側電源ラインVgに接続されている。斯くして前記した構成のサブピクセルは、R,G,Bを組としてカラー画素を構成し、このカラー画素は表示パネルにおいて、縦横方向にマトリクス状に多数配列されている。
前記した画素構成において、制御用トランジスタQ1のゲートに、走査選択線n1を介して走査ドライバよりオン電圧が供給されると、制御用トランジスタQ1はソースに供給されるデータ線mR1からのデータ電圧に対応した電流を、ソースからドレインに流す。したがって、制御用トランジスタQ1のゲートがオン電圧の期間に、前記コンデンサC1が充電され、その電圧が発光駆動トランジスタQ2のゲートに供給される。
それ故、発光駆動トランジスタQ2は、そのゲートとソース間電圧に基づいてオン動作され、駆動電圧制御手段としてのDC−DCコンバータよりもたらされる駆動電圧VHRをEL素子E1に印加し、EL素子を発光駆動させる。すなわち、この実施の形態においてはTFTで構成された発光駆動トランジスタQ2は、データドライバから供給されるデータ電圧によってオンまたはオフの二態様のスイッチング動作(線形領域で動作)するように構成されている。
一方、制御用トランジスタQ1のゲートがオフ電圧になると、当該トランジスタはいわゆるカットオフとなり、制御用トランジスタQ1のドレインは開放状態となるものの、発光駆動トランジスタQ2はコンデンサC1に蓄積された電荷によりゲート電圧が保持され、次の走査まで前記した駆動電圧VHRをEL素子E1に印加する状態を継続し、これによりEL素子E1の発光も維持される。
ここで、図4に示す実施の形態においては、各色毎のモニタ用素子に対してそれぞれ定電流を供給する定電流源IR,IG,IBは、ほぼ同一の値の電流を供給するように構成されている。これにより、図3に基づいて説明したように定電流源の回路構成をそれぞれ異なる仕様にする問題、また各定電流源による定電流量を個々に調整する調整作業を余儀なくされる問題を解消することができる。なお、前記した同一の値の電流とは、設計上において同一の値の電流となるように設定するという意味であり、回路のばらつきの範囲まで含めて同一という意味ではない。
ところで、前記した構成においては、各表示用画素R,G,Bにそれぞれ供給する駆動電圧VHR,VHG,VHBは、各表示用画素によるカラーバランス(ホワイトバランス)が最も良好に保たれる各色毎の輝度を実現させるに必要な駆動電圧値になされることが望まれる。
このために、図4に示す実施の形態においては、前記各モニタ用素子を構成する並列接続体の素子数は、前記R,G,Bの表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な前記駆動電圧を得る素子数にそれぞれ設定されている。なお、前記のようにホワイトバランスが最も良く保たれる各色毎の輝度を実現させるに必要な各順方向電圧値VfR,VfG,VfBは、先に説明したとおり予め試作実験等により求めることができる。
図4に示す実施の形態においては、B(青)の発光色のモニタ用素子は、一例として8個の並列接続体を構成し、R(赤)の発光色のモニタ用素子は、一例として6個の並列接続体を構成している。またG(緑)の発光色のモニタ用素子は、一例として4個の並列接続体を構成している。斯くして、前記した構成により、各色毎に同一仕様の定電流源IR,IG,IBを使用することが可能となり、回路の簡素化および無調整化を図ることができる。
また、図4に示す構成によると、各発光色のモニタ用素子としてそれぞれ比較的少数のEL素子による並列接続体で構成させることができるので、図3に示した構成に比較して、各定電流源からの電流量を低減させることができ、省電力化を図ることもできる。
前記した図4に示す構成は、特に図5に基づいて説明した画素構成のように、発光駆動トランジスタがオン・オフ制御(スイッチング制御)されることで、表示用EL素子に直接的に駆動電圧制御手段からの駆動電圧が印加される定電圧駆動の画素構成に採用することで、より好ましい温度補償および経時変化に対応した補償動作を実現させることができる。
次に図6は、この発明にかかる駆動装置の第2の実施の形態を示した回路構成図であり、この図6においては、すでに説明した図4に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一の符号で示している。したがって、その説明は省略する。この図6に示す実施の形態においては必要に応じて駆動電圧制御手段として電圧レギュレータを用いてサブピクセルに供給する駆動電圧を生成する例を示している。
すなわち、比較的高い電圧を必要とするB(青)の発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧VHBは、図4に示した構成と同様にDC−DCコンバータ2Bを利用して得るように構成されている。一方、前記Bの発光色のサブピクセルの次に高い電圧を必要とするR(赤)の発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧VHRは、前記DC−DCコンバータ2Bからの駆動電圧VHBを利用して、電圧レギュレータ3Rを用いて生成するように構成している。なお、この電圧レギュレータ3Rにおいては、前記モニタ用素子より得られるVfRを利用して駆動電圧VHRを生成する駆動電圧制御手段として機能する。
そして、最も低い駆動電圧で足りるG(緑)の発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧VHGは、前記電圧レギュレータ3Rにより得られる駆動電圧VHRを利用して、電圧レギュレータ3Gを用いて生成するように構成している。なお、この電圧レギュレータ3Gにおいても、前記モニタ用素子より得られるVfGを利用して駆動電圧VHGを生成する駆動電圧制御手段として機能する。
前記した図6に示すシリーズレギュレータ構成によると、それぞれの発光色に対応したDC−DCコンバータをそれぞれ備える必要がなく、図4で示した構成に比較して回路の簡素化を図れると共に、図4に示した構成と同様の作用効果を得ることができる。
図7は、この発明にかかる駆動装置の第3の実施の形態を示した回路構成図であり、この図7においても、すでに説明した図6に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一の符号で示している。したがって、その説明は省略する。この図7に示す実施の形態においてはR,G,Bの各発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧をそれぞれ電圧レギュレータを用いて段階的に生成するように構成されている。
すなわち、図7に示す実施の形態においては、一つの昇圧型DC−DCコンバータ2Cが用意され、このコンバータ2Cの出力を利用して、Bの発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧VHBを得るようにしている。そして、RおよびGの発光色のサブピクセルに供給する駆動電圧VHR,VHGは、図6に示した例と同様に電圧レギュレータ3R,3Gを利用して段階的に得るように構成されている。
前記した図7に示すシリーズレギュレータ構成においても、それぞれの発光色に対応したDC−DCコンバータをそれぞれ備える必要なく、図4で示した構成に比較して回路の簡素化を図れると共に、図4に示した構成と同様の作用効果を得ることができる。
図8は、この発明にかかる駆動装置の第4の実施の形態を示した回路構成図であり、この図8においても、すでに説明した図4に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一の符号で示している。したがって、その説明は省略する。
この図8に示す実施の形態においては、図4、図6、図7に示したモニタ用素子の形態に代えて、R,G,Bの各発光色に対応するモニタ用素子は、それぞれ異なった成膜面積により構成されている。これは、図4、図6、図7に示したモニタ用素子が予め定められた面積を有する異なった素子数の並列接続体であるのに対して、これをそれぞれの並列接続体の合計として異なった面積でそれぞれ成膜したものに他ならない。
したがって、この図8に示した構成におけるR,G,Bの各モニタ用素子を構成する各成膜面積も、各色毎の表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な駆動電圧VHR,VHG,VHBを得るに必要な順方向電圧VfR,VfG,VfBが生成できる成膜面積に設定されている。
それ故、図8に示した構成においても、図4に示した構成と同様の作用効果を得ることができる。また、図8に示したようにそれぞれ異なった成膜面積により各発光色に対応するモニタ用素子を形成した構成であっても、図6および図7に示したシリーズレギュレート方式の実施の形態に好適に採用することができる。
なお、以上説明した実施の形態においては、R,G,Bの各発光色に対応したモニタ用素子をそれぞれ備えた例を示しているが、例えばR,G,Bの発光用素子の特性によっては、1つのモニタ用素子による順方向電圧を利用して2色分の表示用画素のカラーバランスを補償させることも可能である。したがって、前記したような場合においては、少なくとも2種類のモニタ用素子を利用することで、カラーバランス(ホワイトバランス)を補償することができる発光表示パネルの駆動装置を実現させることが可能である。
また、以上説明した実施の形態によると、各モニタ用素子に対して定電流源よりそれぞれ所定の電流が供給されるので、各モニタ用素子は発光動作を伴うことになる。したがって、表示パネル1におけるモニタ用素子の配置領域bは、各モニタ用素子より発する光を遮断する図示せぬ遮光マスク等で覆った構成とすることが望ましい。
さらにまた、前記した実施の形態においては、表示パネルに配列される表示用およびモニタ用の各素子として有機EL素子を用いた例を示しているが、図2に示したような経時変化および温度依存性を有する他の発光素子を用いた場合においても、同様の作用効果を享受することができる。
有機EL素子の等価回路図である。 有機EL素子の諸特性を示した静特性図である。 この発明の解決課題を伴う駆動装置の一例を示した回路構成図である。 この発明にかかる駆動装置の第1の実施の形態を示した回路構成図である。 図4に示す表示領域に配列された各カラー表示画素の一例を示す回路構成図である。 この発明にかかる駆動装置の第2の実施の形態を示した回路構成図である。 同じく第3の実施の形態を示した回路構成図である。 同じく第4の実施の形態を示した回路構成図である。
符号の説明
1 発光表示パネル
2C〜2R DC−DCコンバータ(駆動電圧制御手段)
3B〜3R 電圧レギュレータ(駆動電圧制御手段)
C1 電荷保持用コンデンサ
E1 発光素子(有機EL素子)
IB〜IR 定電流源
Q1 制御用トランジスタ
Q2 発光駆動トランジスタ
mB1〜mR1 データ線
n1,n2 走査選択線
pB1〜pR1 電源供給線

Claims (13)

  1. 異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置であって、
    前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧をそれぞれ測定するための前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子と、前記各モニタ用素子により得られるそれぞれの順方向電圧に基づいて、前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御手段とがさらに備えられ、
    前記各モニタ用素子は、それぞれに異なった素子数の並列接続体により構成されるとともに、前記各モニタ用素子に対して、それぞれ定電流を供給する定電流源が備えられ、前記定電流源から各モニタ用素子に対して供給される定電流値がそれぞれ同一の値に設定されていることを特徴とするアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  2. 前記表示用画素を構成する発光素子、および前記モニタ用素子は、それぞれ同一仕様の素子により構成されていることを特徴とする請求項1に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  3. 異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置であって、
    前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧をそれぞれ測定するための前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子と、前記各モニタ用素子により得られるそれぞれの順方向電圧に基づいて、前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御手段とがさらに備えられ、
    前記各モニタ用素子は、それぞれ異なった成膜面積により構成されるとともに、前記各モニタ用素子に対して、それぞれ定電流を供給する定電流源が備えられ、前記定電流源から各モニタ用素子に対して供給される定電流値がそれぞれ同一の値に設定されていることを特徴とするアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  4. 前記各モニタ用素子を構成する並列接続体の前記素子数は、前記各色毎の表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な前記駆動電圧を得る素子数にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項1に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  5. 前記各モニタ用素子を構成する成膜面積は、前記各色毎の表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な前記駆動電圧を得る成膜面積にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項3に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  6. 前記表示用画素を構成する発光素子、および前記モニタ用素子は、同一の発光表示パネル上にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  7. 前記表示用画素には、R(赤)、G(緑)、B(青)をそれぞれ発光する発光素子が含まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  8. 前記表示用画素を構成する発光駆動トランジスタは、映像信号に基づいてオンまたはオフの二態様のスイッチング動作を実行し、前記駆動電圧制御手段からの駆動電圧を、前記発光駆動トランジスタを介して表示用画素を構成する前記発光素子に対して選択的に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  9. 前記表示用画素における発光素子、およびモニタ用素子は、有機物質からなる発光機能層を少なくとも一層含む有機EL素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動装置。
  10. 異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法であって、
    前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧に対応する電圧値を、前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子により得る順方向電圧取得工程と、前記工程により得られた前記電圧値に基づいて前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御工程とが実行され、
    前記順方向電圧取得工程において取得する順方向電圧は、それぞれ異なった数を有するモニタ用素子の並列接続体より得るとともに、前記各モニタ用素子に対して、各定電流源よりそれぞれ同一の値の定電流を供給し、この時に前記各モニタ用素子にそれぞれ生ずる順方向電圧を取得することを特徴とするアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法。
  11. 異なる発光色を呈する発光素子を表示用画素としてそれぞれマトリクス状に配列し、前記各発光素子を選択的に発光駆動させる発光駆動トランジスタを前記表示用画素毎に備えたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法であって、
    前記各色毎の表示用画素における発光素子の順方向電圧に対応する電圧値を、前記各色に対応した少なくとも2種のモニタ用素子により得る順方向電圧取得工程と、前記工程により得られた前記電圧値に基づいて前記各色毎の表示用画素に供給する駆動電圧値を制御する駆動電圧制御工程とが実行され、
    前記順方向電圧取得工程において取得する順方向電圧は、それぞれ異なった成膜面積を有するモニタ用素子より得るとともに、前記各モニタ用素子に対して、各定電流源よりそれぞれ同一の値の定電流を供給し、この時に前記各モニタ用素子にそれぞれ生ずる順方向電圧を取得することを特徴とするアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法。
  12. 前記各モニタ用素子を構成する並列接続体の前記素子数は、前記各色毎の表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な前記駆動電圧を得る素子数にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項10に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法。
  13. 前記各モニタ用素子を構成する成膜面積は、前記各色毎の表示用画素によるカラーバランスが最も良好に整えられるに最適な前記駆動電圧を得る成膜面積にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項11に記載されたアクティブマトリクス型発光表示パネルの駆動方法。
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