JP4748404B2 - 電流検出装置および地絡故障表示装置 - Google Patents

電流検出装置および地絡故障表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電流検出装置および当該電流検出装置を用いた地絡故障表示装置に関し、例えば架空配電線の地絡故障電流の検出および地絡故障の表示に有効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
落雷,樹木の接触あるいは鳥獣害などによって架空配電線に地絡故障が発生した場合、従来においては、配電線系統に設けられている区分開閉器を配電所側で開閉制御することができる配電自動化線路であると否とに拘らず、その地絡故障箇所の発見は作業員による目視等の経験による方法で行われている。すなわち、配電自動化線路では、配電所側からの区分開閉器の開閉制御によって地絡故障区間については特定することができるが、その区間の地絡故障箇所までは特定することができないので、作業員がその区間を調査し、目視等の経験によって地絡故障箇所を発見している。一方、配電自動化になっていない線路では、配電所側で区分開閉器の開閉制御を行なうことができないので、作業員が全線路を調査し、目視等の経験によって地絡故障箇所を発見している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の方法では、作業員の目視等の経験によって地絡故障箇所を発見するので、特に、例えば配電線路の変圧器あるいは区分開閉器の地絡故障などのように地絡故障箇所が外観からでは発見しにくいような場合に、その発見に困難性を伴い、多大な時間および労力を費やさなければならないなどの問題点があった。
【0004】
このような観点から、本発明者は、本出願において、電線および変圧器等の機器を支持する架空電線路の支持物に保安接地の観点から設けられている接地線に着目し、地絡故障時に線路あるいは機器からこの接地線に流れ込む故障電流に基づいて、架空電線路の支持物単位で地絡故障箇所を特定できるようにすることを提案するものである。ところで、特に配電系統では配電所側の電源の中性点が非接地である非接地系統のものが殆どであり、このような非接地系統では、地絡故障時に接地線に流れる故障電流が、電線と大地との間の容量分で決まるので小さくなる。そのため、接地線に流れる故障電流を単に検出するだけでなく動作電源として利用し無電源構成とする場合に、動作に必要な検出出力が得られなくなるおそれがあるので、接地線に流れる故障電流が小さい場合でも大きな検出出力を与えることのできることが望まれる。
【0005】
本発明は上記観点に基づいてなされたもので、その目的は、電池などの動作電源が必要な増幅器などを用いることなく、検出出力を増大して出力することのできる電流検出装置を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、架空電線路系統の支持物単位で地絡故障箇所を表示することができ、しかも、接地線に流れる故障電流が小さい場合でも確実に地絡故障表示を与えることができると共に、動作電源が不要で保守が極めて容易な地絡故障表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、交流電流を検出するカレントトランスと、前記カレントトランスのコイルとによって前記交流電流の周波数を共振周波数とする共振回路を構成する共振用コンデンサと、前記カレントトランスのコイルと前記共振用コンデンサとによる直列共振によって増大させた前記カレントトランスの検出出力に基づいて動作する表示手段とを有し、前記表示手段が、表示体であって、前記表示手段の表示部ケースに設けられたケース用永久磁石と前記表示体に設けられた表示体用永久磁石との間の磁気吸着力によって前記表示部ケースに非表示状態に保持され、前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石が分離されることにより前記磁気吸着力が解除された場合に、前記表示体の自重によって非表示状態から表示状態に移行する前記表示体と、増大させた前記カレントトランスの検出出力に基づいて励磁されるソレノイドと、前記ソレノイドに移動自在に保持されたプランジャであって、その移動で前記プランジャと直列に係合するピストンを介して前記表示体を押圧することにより、前記ケース用永久磁石と前記表示体用永久磁石との間の前記磁気吸着力を解除して前記表示体を表示状態に移行させる前記プランジャと、前記表示体が表示状態となる方向に前記プランジャを付勢するプランジャスプリングと、前記表示体が非表示状態を保持するように、前記プランジャスプリングの付勢力に抗して前記プランジャを吸着するプランジャマグネットとを含み、前記ソレノイドが前記表示部ケースの上端面上に前記表示部ケースと直列に配設され、前記プランジャが、前記表示部ケースの前記上端面に形成された開口を通して、前記表示部ケース内に形成されたシリンダ部に摺動自在に設けられた前記ピストンに直列に係合し、前記表示部ケースの前記ケース用永久磁石が環形状を有し、この環状のケース用永久磁石が前記シリンダ部の自由端部の内周面に固定され、前記ピストンが前記環状のケース用永久磁石の内周面および前記シリンダ部の内周面を摺動面として摺動して前記表示体を押圧するように構成され、前記ソレノイドが励磁された場合に、前記プランジャマグネットの磁力を打消し、前記プランジャスプリングの付勢力と相俟って前記プランジャを移動させて前記ピストンを介して前記表示体を押圧し、前記磁気吸着力によって非表示状態に保持されている前記表示体を、前記磁気吸着力に抗して前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石を分離して前記磁気吸着力を解除し、前記表示体の自重によって表示状態に移行させるようにした電流検出装置によって、上記目的を達成する。
【0008】
このような構成によれば、カレントトランスで交流電流が検出されると、カレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によって大きな共振電流が流れると共にカレントトランスのコイル電圧が大となり、検出出力が増大される。
【0009】
また、本発明においては、架空電線系統の支持物に設けられている接地線に着脱自在に装着される地絡故障表示装置であって、前記架空電線系統の地絡故障時に当該系統から前記接地線に流れ込む交流電流を検出するカレントトランスを有する電流検出手段と、前記カレントトランスのコイルとによって前記交流電流の周波数を共振周波数とする共振回路を構成する共振用コンデンサを有し、前記カレントトランスのコイルと前記共振用コンデンサとによる直列共振によって増大された前記カレントトランスの検出出力で充電回路を充電し、前記充電回路の充電電圧が所定値に達した場合に、その充電電圧で動作して、前記充電回路の充電電圧を出力する制御手段と、前記制御手段の出力で動作して地絡故障を表示する表示手段とを有し、前記表示手段が、表示体であって、前記表示手段の表示部ケースに設けられたケース用永久磁石と前記表示体に設けられた表示体用永久磁石との間の磁気吸着力によって前記表示部ケースに非表示状態に保持され、前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石が分離されることにより前記磁気吸着力が解除された場合に、前記表示体の自重によって非表示状態から表示状態に移行する前記表示体と、前記制御手段の出力で励磁されるソレノイドと、前記ソレノイドに移動自在に保持されたプランジャであって、その移動で前記プランジャと直列に係合するピストンを介して前記表示体を押圧することにより、前記ケース用永久磁石と前記表示体用永久磁石との間の前記磁気吸着力を解除して前記表示体を表示状態に移行させる前記プランジャと、前記表示体が表示状態となる方向に前記プランジャを付勢するプランジャスプリングと、前記表示体が非表示状態を保持するように、前記プランジャスプリングの付勢力に抗して前記プランジャを吸着するプランジャマグネットとを含み、前記ソレノイドが前記表示部ケースの上端面上に前記表示部ケースと直列に配設され、前記プランジャが、前記表示部ケースの前記上端面に形成された開口を通して、前記表示部ケース内に形成されたシリンダ部に摺動自在に設けられた前記ピストンに直列に係合し、前記表示部ケースの前記ケース用永久磁石が環形状を有し、この環状のケース用永久磁石が前記シリンダ部の自由端部の内周面に固定され、前記ピストンが前記環状のケース用永久磁石の内周面および前記シリンダ部の内周面を摺動面として摺動して前記表示体を押圧するように構成され、前記ソレノイドが励磁された場合に、前記プランジャマグネットの磁力を打消し、前記プランジャスプリングの付勢力と相俟って前記プランジャを移動させて前記ピストンを介して前記表示体を押圧し、前記磁気吸着力によって非表示状態に保持されている前記表示体を、前記磁気吸着力に抗して前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石を分離して前記磁気吸着力を解除し、前記表示体の自重によって表示状態に移行させるようにした地絡故障表示装置によって、上記目的を達成する。
【0010】
このような構成によれば、架空電線系統の地絡故障で接地線に交流電流が流れると、カレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によってカレントトランスの検出出力が増大され、この増大された検出出力で充電回路が充電される。そして、充電回路の充電電圧が所定値に達すると、制御手段が充電回路の充電電圧で動作してその充電電圧を表示手段に与え、これにより地絡故障が表示される。これにより、架空電線路の支持物単位で地絡故障箇所を表示することができるので、例えば変圧器等の機器の地絡故障などのように地絡故障箇所が外観からでは発見しにくいような場合でも、地絡故障箇所の発見が極めて容易になる。また、カレントトランスの検出出力がカレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によって増大されるので、接地線に流れる交流電流すなわち故障電流が小さい場合でも動作に必要な検出出力が与えられ、確実に地絡故障を表示することができると共に、無電源で構成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による電流検出装置の実施の形態の一例を示す回路図で、1は接地線、2はカレントトランス、3は共振用コンデンサ、4は整流回路である。
【0012】
接地線1は、電線および変圧器等の機器を支持する架空配電線路の支持物に保安接地の観点から設けられているものであり、碍子を介して電線を保持する腕金および変圧器等の機器を保持する腕金を大地にアースしている。このような接地線1には、落雷などによる電線と腕金との間の絶縁破壊あるいは変圧器等の機器の故障などで地絡故障が発生した場合に、地絡故障箇所から腕金を通して架空配電線路に流れている商用周波数の交流電流が故障電流として流れる。
【0013】
カレントトランス2は、一方の部分5aと他方の部分5bとに二分割されたコア5と、コア5の他方の部分5bに巻回されたコイル6とを有している。コア5の一方の部分5aおよび他方の部分5bは本例では夫々半リング形状で、一方の部分5aと他方の部分5bとによって接地線1の外周囲を囲むようにカレントトランス2が設けられている。コア5は、本例では、フェライトコアのような錆による特性劣化のない磁性材料で構成されている。フェライトコアは、ケイ素鋼板によるコアと比較して、商用周波数のような低周波では検出出力が小さくなるが、屋外で長期間使用しても錆による特性劣化がないので、保守の容易性を図ることができる。フェライトコアに起因する検出出力の低下は、後述するように、カレントトランス2のコイル6と共振用コンデンサ3との共振作用による検出出力の増大によって補われる。保守の容易性を考慮しなければ、コア5をケイ素鋼板で構成してもよいことは勿論である。
【0014】
共振用コンデンサ3は、カレントトランス2のコイル6に並列に挿入されている。共振用コンデンサ3およびカレントトランス2のコイル6は、接地線1に流れる故障電流の商用周波数を共振周波数とする共振回路を構成するように、それらのキャパシタンスおよびインダクタンスが設定されている。カレントトランス2のコイル6と共振用コンデンサ3との並列接続は、整流回路4の入力側に接続されている。整流回路4は4つのダイオード4a,4b,4c,4dからなるブリッジ整流回路で、その出力側が出力端子7a,7bに接続されている。
【0015】
このような構成で、架空配電線路の地絡故障により当該線路を流れる商用周波数の交流電流が故障電流として接地線1に流れ込むと、カレントトランス2で故障電流が検出され、共振用コンデンサ3とカレントトランス2のコイル6とによる直列共振によって大きな共振電流が流れると共にカレントトランス2のコイル6の電圧が大となり、カレントトランス2の検出出力が増大される。増大された検出出力は、整流回路4で全波整流された後、出力端子7a,7bに与えられる。従って、配電所側の電源の中性点が非接地であるために接地線1を流れる故障電流が小さくなるような場合でも、パワー源として十分な検出出力を与えることができ、また、フェライトコアの使用に起因する検出出力の低下を補うことができる。
【0016】
本例では、架空配電線路の支持物に設けられている接地線および商用周波数を例に説明したが、これらに限定するものではない。任意の周波数の交流電流が流れる電線の電流検出に適用することができることは勿論である。
【0017】
図2は本発明による地絡故障表示装置の実施の形態の一例を示す構成図、図3は図2の構成を矢印A方向からみた平面図で、図2の構成図は図3のB−B断面を表わしている。図4は、図2のC−C断面図で、図2における電流検出手段の部分を表わしている。なお、図2〜図4において、図1と同符号のものは同一物を表わしている。
【0018】
これらの図において、10は電流検出手段、11は制御手段、12は表示手段である。
【0019】
電流検出手段10は、カレントトランス2,第1ケース部材13および第2ケース部材14を有し、第1ケース部材13と第2ケース部材14とによって接地線1に着脱自在に装着され、架空配電線路の地絡故障時に当該線路から接地線1に流れ込む商用周波数の故障電流を検出するようになっている。なお、接地線1については図1で述べた通りである。
【0020】
カレントトランス2は、コア5の一方の部分5aが第1ケース部材13に保持され、コイル6が巻回されたコア5の他方の部分5bが第2ケース部材14に保持されるようになっている。第1ケース部材13および第2ケース部材14は、一端面開放の容器状で、図3および図4に示すごとく、互いの開放端面が向き合うように一側部が蝶番15で結合され、蝶番15を支点として開閉自在になるように構成されている。コア5の一方および他方の部分5a,5bは、第1ケース部材13と第2ケース部材14とが閉成された場合にリング状になるように、第1保持部材16と第1押え部材17とによって第1ケース部材13に、第2保持部材18と第2押え部材19とによって第2ケース部材14に、夫々保持されるようになっている。コア5は、図1で述べたように、フェライトコアのような錆による特性劣化のない磁性材料で構成されている。
【0021】
第1保持部材16は、図2の左右方向に摺動自在になるように第1ケース部材13に収納されており、図4に示すように第1ケース部材13の開放端面に設けられた第1ストッパ部材20によって第1ケース部材13から抜けないようになっていると共に、第1ケース部材13と第1保持部材16との間に介装されたスプリング21a,21bによって、第1ストッパ部材20に向う方向すなわち接地線1に向う方向に付勢されるようになっている。コア5の一方の部分5aは、このような第1保持部材16内に収納され、部分5aの内周側に設けられた第1押え部材17によって第1保持部材16に固定されており、第1保持部材16と共に動くようになっている。第1押え部材17はその両端部分が第1保持部材16に固定されている。
【0022】
第2保持部材18は、図2の左右方向に摺動自在になるように第2ケース部材14に収納されており、図4に示すように第2ケース部材14の開放端面に設けられた第2ストッパ部材22によって第2ケース部材14から抜けないようになっていると共に、第2ケース部材14と第2保持部材18との間に介装されたスプリング23a,23bによって、第2ストッパ部材22に向う方向すなわち接地線1に向う方向に付勢されるようになっている。コア5の他方の部分5bは、このような第2保持部材18内に収納され、部分5bの内周側に設けられた第2押え部材19によって第2保持部材18に固定されており、第2保持部材18と共に動くようになっている。第2押え部材19はその両端部分が第2保持部材18に固定されている。
【0023】
更に、第1ケース部材13と第2ケース部材14との夫々の対抗面に接地線1を受容するための半円状の受容溝13a,14aが形成されていると共に、第1保持部材16および第1押え部材17と第2保持部材18および第2押え部材19との夫々の対向面に接地線1を保持するために半円状の保持溝16a,17a,18a,19aが形成されており、第1ケース部材13と第2ケース部材14とが保持溝16a,17a,18a,19aで接地線1を挟持するように閉成された場合に、カレントトランス2のコア5の一方および他方の部分5a,5bが接地線1を囲むと共に、スプリング21a,21b,23a,23bの付勢力によって一方の部分5aの端面と他方の部分5bの端面とが密着するようになっている。また、第1ケース部材13および第2ケース部材14には、図3および図4に示すように、蝶番15と反対側の側部に止め金具24が設けられており、止め金具24で第1ケース部材13と第2ケース部材14とを止めることによって接地線1に着脱自在に装着されるようになっている。
【0024】
制御手段11は、電流検出手段10の第2ケース部材14に結合された円筒状の制御部ケース25内に収納されており、電流検出手段10のカレントトランス2のコイル6に接続されている。制御手段11は、カレントトランス2のコイル6と共振用コンデンサ3とによる共振作用によってカレントトランス2の出力を増大し、この増大した出力で後述する充電回路30を充電し、その充電電圧が所定値に達した場合に充電電圧を表示手段12に出力する。このような制御手段11は図5に示すような回路構成を有している。
【0025】
図5は図2の制御手段11の一例を示す回路図で、図1と同符号のものは同一物を示している。
【0026】
制御手段11はカレントトランス2のコイル6に並列挿入された共振用コンデンサ3を有している。図1で述べたように、カレントトランス2のコイル6および共振用コンデンサ3は、接地線1に流れる故障電流の商用周波数を共振周波数とする共振回路を構成するように、そのインダクタンスおよびキャパシタンスが設定されている。カレントトランス2のコイル6と共振用コンデンサ3との並列接続は整流回路4の入力側に接続され、整流回路4の全波整流出力が充電回路30に与えられるようになっている。31は検出駆動回路である。カレントトランス2のコイル6には更にバリスタなどのサージ吸収素子32が並列挿入されており、落雷などによる後段回路へのサージの流入が防止されるようになっている。
【0027】
充電回路30は、充電用コンデンサ30aと、この充電用コンデンサ30aに並列挿入された抵抗30bと可変抵抗30cとの直列接続とを有している。可変抵抗30cは、充電回路30の時定数を任意に設定できるようにするためのものである。これにより、地絡故障時に配電所の電源の遮断器を開放させるための条件のひとつである地絡故障継続時間が異なる場合でも、容易に変更設定することができる。このような充電回路30は、充電用コンデンサ30aが整流回路4の全波整流出力で抵抗30bおよび可変抵抗30cとの時定数に従って充電される。
【0028】
検出駆動回路31は、充電回路30に並列挿入された抵抗31aとツェナーダイオード31bとノイズ防止用コンデンサ31cとの直列接続と、ノイズ防止用コンデンサ31cに並列挿入されたトリガ抵抗31dと、抵抗31aとツェナーダイオード31bとノイズ防止用コンデンサ31cとの直列接続に並列に挿入された逆起電力防止用ダイオード31eとサイリスタ31fとの直列接続とを有している。逆起電力防止用ダイオード31eの両端は、表示手段12の後述するソレノイド47に接続されている。サイリスタ31fのゲートは、ツェナーダイオード31bとトリガ抵抗31dとの間に接続されている。このような検出駆動回路31は、充電回路30の充電用コンデンサ30aの両端電圧が所定値に達するとツェナーダイオード31bがオンし、トリガ抵抗31dの両端に発生する電位差でサイリスタ31fのゲートにトリガが与えられてサイリスタ31fがオンする。これにより、表示手段12のソレノイド47に充電回路30の充電電圧が印加される。
【0029】
このような制御手段11は充電回路30の充電電圧すなわち接地線1に流れる故障電流で動作するので、動作電源を用意する必要がなく無電源構成とすることができる。
【0030】
図2に戻り、表示手段12は、下端面が開放の円筒状の表示部ケース40と、表示部ケース40に収納されることで非表示状態になり表示部ケース40の下方に突出することで表示状態になる円筒状の表示体41と、表示体41を表示状態に移行させる駆動手段42とを有している。
【0031】
表示部ケース40は閉成された上端面40aを有し、電流検出手段10が接地線1に装着された場合に表示部ケース40の開放された下端面が下方に向くように、上端面40a側が制御部ケース25に結合されている。表示部ケース40の内部中央部分にはシリンダ部43が上端面40aから下方に向って突設されており、このシリンダ部43の自由端部の内周に環状のケース用永久磁石44が固設されていると共に、シリンダ部43の内部に駆動手段42の後述するピストン51が摺動自在に収納されている。
【0032】
表示体41は、閉成された下端面41aを有し、その上端面は開放されており、上下方向に摺動自在となるように表示部ケース40に収納されている。これにより、表示体41は、後述するように、ケース用永久磁石44と後述する表示体用永久磁石46との磁気吸着が解除された場合に表示体41の自重で落下し、表示部ケース40から下方に突出するようになっている。表示体41の上端外周には係合フランジ41bが形成されており、表示体41が表示部ケース40から突出した場合に、表示部ケース40の下端内周に形成された環状ストッパ40bとの係合により、表示体41が表示部ケース40から抜け落ちないようになっている。表示体41の内部中央部分には、表示部ケース40のシリンダ部43の自由端面と係合する係合部45が下端面41aから上方に向って突設されており、この係合部45に、シリンダ部43のケース用永久磁石44と位置対応するように環状の表示体用永久磁石46が設けられている。ケース用永久磁石44および表示体用永久磁石46は互いに吸着するように設けられており、両者の磁気吸着力によって、表示体41が表示部ケース40に収納された状態すなわち非表示状態に保持されるようになっている。表示体41が表示状態になった場合に目立つように、表示体41は例えば赤色で構成される。
【0033】
駆動手段42は、制御手段11の出力によって励磁されるソレノイド47と、ソレノイド47に移動自在に保持されたプランジャ48と、プランジャ48をソレノイド47から突出させる方向に付勢するプランジャスプリング49と、プランジャスプリング49の付勢力に抗してプランジャ48を最引込み状態に吸着するプランジャマグネット50と、プランジャ48に係合しプランジャ48の突出で表示体41を下方に押出すピストン51とを有している。ソレノイド47は、制御部ケース25内に収納されるように、表示部ケース40の上端面40aの外面側に保持されている。プランジャ48は、表示部ケース40の上端面40aに形成された開口52を通してシリンダ部43内のピストン51に係合している。ピストン51は、ケース用永久磁石44の内周面およびシリンダ部43の内周面を摺動面とし、プランジャ48がソレノイド47から突出することで表示体41を下方に押出すようになっている。このような駆動手段42は、制御手段11の出力によってソレノイド47が励磁されることで、プランジャマグネット50の磁力を打消し、プランジャスプリング49の付勢力と相俟ってプランジャ48を突出させ、これによりピストン51を下方に移動させる。
【0034】
このような構成の地絡故障表示装置は、架空配電線路の支持物に設けられている接地線1に、表示部ケース40の下端面が下方に向くように装着される。架空配電線路に地絡故障が生じると、その地絡故障箇所から当該線路を流れる商用周波数の交流電流が接地線1に故障電流として流れ込み、カレントトランス2で故障電流が検出され、カレントトランス2のコイル6と共振用コンデンサ3とによる直列共振によって大きな共振電流が流れると共にコイル6の電圧が大となり、増大された検出出力が整流回路4に与えられる。そのため、配電線所側の電源の中性点が非接地であるために接地線1に流れる故障電流が小さくなるような場合でも、パワー源として十分な検出出力を与えることができる。また、カレントトランス2のコア5としてフェライトコアを用いることに起因する検出出力の低下も補うことができ、屋外で長期間使用しても錆による特性劣化の問題を生じるおそれがないので、保守が極めて容易になる。
【0035】
増大された検出出力は整流回路4による全波整流を介して充電回路30に与えられ、充電回路30の充電用コンデンサ30aが抵抗30bおよび可変抵抗30cとによる時定数に従って充電される。充電用コンデンサ30aの充電電圧が所定値に達すると、検出駆動回路31のツェナーダイオード31bのオンに基づいてサイリスタ31fがオン状態になる。サイリスタ31fのオンによって充電用コンデンサ30aの充電電圧が表示手段12のソレノイド47に与えられ、ピストン51がケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との磁気吸着力に抗して下方に動かされる。これにより、ケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との磁気吸着が解除され、表示手段12の表示状態を表わす図6に示すように、表示体41が自重によって落下し、地絡故障が表示される。このような地絡故障表示装置によれば、架空配電線路の支持物単位で地絡故障箇所を表示することができるので、例えば配電線路の変圧器等の機器の地絡故障などのように地絡故障箇所が外観からでは発見しにくいような場合でも、地絡故障箇所の発見が極めて容易になる。
【0036】
表示作動した表示手段12のリセットは表示体41を表示部ケース40に押込むことによって行なわれ、これによって、プランジャ48がプランジャマグネット50に吸着されると共に、ケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46とが吸着状態になり、表示体41が図2に示される非表示状態にリセットされる。
【0037】
本例では、カレントトランス2のコア5の一方の部分5aおよび他方の部分5bが共に動くようにして、接地線1に装着された場合に一方の部分5aの端面と他方の部分5bの端面とが密着するように構成したが、これに限定するものではない。例えば、コア5の他方の部分5bを第2ケース部材14に固定して収納し、一方の部分5aだけを動くようにして一方および他方の部分5a,5bの端面が密着するように構成することもできる。また、本例ではコア5をフェライトコアで構成することとしたが、保守の容易性等を考慮する必要がなければケイ素鋼板のコアを用いることのできることは勿論である。また、本例ではコア5の部分5a,5bを半リング形状としたが、これに限定するものではない。コア5の部分5a,5bは、接地線1の外周囲を囲むことのできる形状であればよく、例えばU字状あるいはコ字状などにしてもよい。更に、本例では架空配電線路を例に述べたが、架空送電線等で同様の接地線が設けられていれば適用できることは勿論である。
【0038】
図7は図2の表示手段12の別の例を示す構成図で、図2と同符号のものは同一物を示している。本例では、表示手段12が表示体60を備えている。表示体60はスプリング61,表示布62および蓋体63を有している。スプリング61は、その上端が表示部ケース40の上端面40aに固定され、下端が蓋体63に固定されている。表示布62は、目立つように例えば赤色で、スプリング61を骨組みとして提灯を構成するようにスプリング61に設けられている。蓋体63はその内面中央部分に表示部ケース40のシリンダ部43と係合する突設の係合部64を有し、この係合部64に表示体用永久磁石46を備えている。表示体60のスプリング61の付勢力はケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との間の磁気吸着力よりも遥かに弱く、従ってスプリング61の付勢力によってケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との磁気吸着が解除されるようなことはない。このような構成で、ソレノイド47が励磁されると、ピストン51によってケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との磁気吸着が解除され、表示体60の自重にスプリング61の付勢力も相俟って二点鎖線で示すように表示体60が表示状態になる。
【0039】
図8は図2の表示手段12の更に別の例を示す構成図で、図2と同符号のものは同一物を示している。本例では、表示手段12が表示体70を備えている。表示体70は、表示部ケース40の開放された下端面に蝶番71を介して設けられた蓋体で構成され、目立つように例えば赤色になっている。表示体70の内面中央部分には表示部ケース40のシリンダ部43に係合する係合部72が突設されており、この係合部72に表示体用永久磁石46を備えている。このような構成で、ソレノイド47が励磁されると、ピストン51によってケース用永久磁石44と表示体用永久磁石46との磁気吸着が解除され、表示体70の自重によって二点鎖線で示すように表示体70が表示状態になる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、カレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によって検出出力を増大するように電流検出装置を構成したので、電池などの動作電源が必要な増幅器などを用いることなく検出出力を増大して出力することができる。
【0041】
また、本発明によれば、架空電線系統の地絡故障時にこの系統から接地線に流れ込む交流電流をカレントトランスで検出し、カレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によって増大された検出出力に基づいて、地絡故障を検出すると共に、検出出力を動作電源として利用することにより地絡故障を表示するように地絡故障表示装置を構成したので、架空電線系統の支持物単位で地絡故障箇所を表示することができ、例えば変圧器等の機器の地絡故障などのように地絡故障箇所が外観からでは発見しにくいような場合でも、地絡故障箇所の発見が極めて容易になる。また、カレントトランスの検出出力がカレントトランスのコイルと共振用コンデンサとによる直列共振によって増大されるので、接地線に流れる交流電流すなわち故障電流が小さい場合でも動作に必要な検出出力が与えられ、確実に地絡故障を表示することができると共に、無電源で構成することができる。
【0042】
また、接地線に装着された場合に、カレントトランスのコアの一方の部分の端面と他方の部分の端面とが密着するように、少なくともコアの一方が他方に向って押圧されるように構成したので、磁気抵抗を小さくすることができ、検出能力の向上を図ることができる。
【0043】
更に、制御手段の充電回路の時定数を任意の値に設定できるようにしたので、地絡故障継続時間の異なる架空電線系統への適用が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による電流検出装置の実施の形態の一例を示す回路図である。
【図2】図2は本発明による地絡故障表示装置の実施の形態の一例を示す構成図である。
【図3】図3は図2の構成を矢印A方向からみた平面図である。
【図4】図4は、図2のC−C断面図で、図2における電流検出手段の部分を表わしている。
【図5】図5は図2の制御手段の一例を示す回路図である。
【図6】図6は図2の表示手段が作動した状態を示す図である。
【図7】図7は図2の表示手段の別の例を示す構成図である。
【図8】図8は図2の表示手段の更に別の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 接地線
2 カレントトランス
3 共振用コンデンサ
4 整流回路
5 コア
5a コアの一方の部分
5b コアの他方の部分
6 コイル
10 電流検出手段
11 制御手段
12 表示手段
13 第1ケース部材
14 第2ケース部材
30 充電回路
30c 可変抵抗
31 検出駆動回路
31b ツェナーダイオード
41,60,70 表示体
42 駆動手段
47 ソレノイド

Claims (5)

  1. 交流電流を検出するカレントトランスと、
    前記カレントトランスのコイルとによって前記交流電流の周波数を共振周波数とする共振回路を構成する共振用コンデンサと、
    前記カレントトランスのコイルと前記共振用コンデンサとによる直列共振によって増大させた前記カレントトランスの検出出力に基づいて動作する表示手段とを有し、
    前記表示手段が、
    表示体であって、前記表示手段の表示部ケースに設けられたケース用永久磁石と前記表示体に設けられた表示体用永久磁石との間の磁気吸着力によって前記表示部ケースに非表示状態に保持され、前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石が分離されることにより前記磁気吸着力が解除された場合に、前記表示体の自重によって非表示状態から表示状態に移行する前記表示体と、
    増大させた前記カレントトランスの検出出力に基づいて励磁されるソレノイドと、
    前記ソレノイドに移動自在に保持されたプランジャであって、その移動で前記プランジャと直列に係合するピストンを介して前記表示体を押圧することにより、前記ケース用永久磁石と前記表示体用永久磁石との間の前記磁気吸着力を解除して前記表示体を表示状態に移行させる前記プランジャと、
    前記表示体が表示状態となる方向に前記プランジャを付勢するプランジャスプリングと、
    前記表示体が非表示状態を保持するように、前記プランジャスプリングの付勢力に抗して前記プランジャを吸着するプランジャマグネットとを含み、
    前記ソレノイドが前記表示部ケースの上端面上に前記表示部ケースと直列に配設され、前記プランジャが、前記表示部ケースの前記上端面に形成された開口を通して、前記表示部ケース内に形成されたシリンダ部に摺動自在に設けられた前記ピストンに直列に係合し、
    前記表示部ケースの前記ケース用永久磁石が環形状を有し、この環状のケース用永久磁石が前記シリンダ部の自由端部の内周面に固定され、前記ピストンが前記環状のケース用永久磁石の内周面および前記シリンダ部の内周面を摺動面として摺動して前記表示体を押圧するように構成され、
    前記ソレノイドが励磁された場合に、前記プランジャマグネットの磁力を打消し、前記プランジャスプリングの付勢力と相俟って前記プランジャを移動させて前記ピストンを介して前記表示体を押圧し、前記磁気吸着力によって非表示状態に保持されている前記表示体を、前記磁気吸着力に抗して前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石を分離して前記磁気吸着力を解除し、前記表示体の自重によって表示状態に移行させるようにした電流検出装置。
  2. 架空電線系統の支持物に設けられている接地線に着脱自在に装着される地絡故障表示装置であって、
    前記架空電線系統の地絡故障時に当該系統から前記接地線に流れ込む交流電流を検出するカレントトランスを有する電流検出手段と、
    前記カレントトランスのコイルとによって前記交流電流の周波数を共振周波数とする共振回路を構成する共振用コンデンサを有し、前記カレントトランスのコイルと前記共振用コンデンサとによる直列共振によって増大された前記カレントトランスの検出出力で充電回路を充電し、前記充電回路の充電電圧が所定値に達した場合に、その充電電圧で動作して、前記充電回路の充電電圧を出力する制御手段と、
    前記制御手段の出力で動作して地絡故障を表示する表示手段とを有し、
    前記表示手段が、
    表示体であって、前記表示手段の表示部ケースに設けられたケース用永久磁石と前記表示体に設けられた表示体用永久磁石との間の磁気吸着力によって前記表示部ケースに非表示状態に保持され、前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石が分離されることにより前記磁気吸着力が解除された場合に、前記表示体の自重によって非表示状態から表示状態に移行する前記表示体と、
    前記制御手段の出力で励磁されるソレノイドと、
    前記ソレノイドに移動自在に保持されたプランジャであって、その移動で前記プランジャと直列に係合するピストンを介して前記表示体を押圧することにより、前記ケース用永久磁石と前記表示体用永久磁石との間の前記磁気吸着力を解除して前記表示体を表示状態に移行させる前記プランジャと、
    前記表示体が表示状態となる方向に前記プランジャを付勢するプランジャスプリングと、
    前記表示体が非表示状態を保持するように、前記プランジャスプリングの付勢力に抗して前記プランジャを吸着するプランジャマグネットとを含み、
    前記ソレノイドが前記表示部ケースの上端面上に前記表示部ケースと直列に配設され、前記プランジャが、前記表示部ケースの前記上端面に形成された開口を通して、前記表示部ケース内に形成されたシリンダ部に摺動自在に設けられた前記ピストンに直列に係合し、
    前記表示部ケースの前記ケース用永久磁石が環形状を有し、この環状のケース用永久磁石が前記シリンダ部の自由端部の内周面に固定され、前記ピストンが前記環状のケース用永久磁石の内周面および前記シリンダ部の内周面を摺動面として摺動して前記表示体を押圧するように構成され、
    前記ソレノイドが励磁された場合に、前記プランジャマグネットの磁力を打消し、前記プランジャスプリングの付勢力と相俟って前記プランジャを移動させて前記ピストンを介して前記表示体を押圧し、前記磁気吸着力によって非表示状態に保持されている前記表示体を、前記磁気吸着力に抗して前記ケース用永久磁石から前記表示体用永久磁石を分離して前記磁気吸着力を解除し、前記表示体の自重によって表示状態に移行させるようにした地絡故障表示装置。
  3. 前記電流検出手段の前記カレントトランスが2分割されたコアを有し、
    前記電流検出手段が、更に、前記コアの一方の部分を保持する第1ケース部材と、前記コアの他方の部分を保持する第2ケース部材とを有し、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とによって前記接地線に着脱自在に装着できるように構成されると共に、前記接地線に装着された場合に、前記コアが、前記接地線の外周を囲み、前記コアの一方の部分の端面と他方の部分の端面とが密着するように少なくとも一方が前記コアの他方に向って押圧されるように構成された請求項2に記載の地絡故障表示装置。
  4. 前記制御手段が、
    前記カレントトランスのコイルと前記共振用コンデンサとによる直列共振によって増大された前記カレントトランスの検出出力を全波整流して前記充電回路に与える整流回路と、
    前記充電回路の充電電圧が前記所定値に達することでオンするツェナーダイオードを含み、前記ツェナーダイオードのオンに基づいて前記充電回路の充電電圧を出力する検出駆動回路とを有する請求項2に記載の地絡故障表示装置。
  5. 前記充電回路が可変抵抗を含み、前記充電回路の時定数を任意の値に設定できるようにした請求項2又は4に記載の地絡故障表示装置。
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