JP4747391B2 - 円筒形二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は円筒形二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、実用に供されている主な二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素電池、酸化銀亜鉛電池、リチウムイオン電池等がある。鉛蓄電池は、正極活物質に二酸化鉛、負極活物質に鉛、電解液に希硫酸を用いるもので、約2Vの作動電圧を有している。この電池は、品質、信頼性、価格の点でバランスを有し、自動車用、電気車用、無停電電源装置用等として広く普及している。また、近年になって小型密閉化の技術が進歩し、各種コードレス機器用としても有用性が増している。ニッケルカドミウム蓄電池は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケル、負極活物質にカドミウム、電解液に水酸化カリウム水溶液を用いるもので、約1.2Vの作動電圧を有する。この電池は、内部抵抗が小さく大電流放電が可能、長サイクル寿命、過充電・過放電に強い、使用温度範囲が広い等の特徴を持つことから、コンシューマ機器用途を中心として広く用いられている。ニッケル水素電池は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケル、負極活物質に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液を用いるもので、作動電圧は約1.2Vである。高エネルギー密度であり、各種コンシューマ機器を中心に実用化されている。酸化銀亜鉛電池は、正極活物質に酸化銀、負極活物質に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを用いるものである。高出力、高エネルギー密度を有する反面、高価ということから大型のものは宇宙用や深海用としての用途が主であるが、小型のものは時計用や電卓用として広く普及している。リチウムイオン電池は、正極活物質にLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等のLi金属複合酸化物、負極に炭素質材料、電解液に有機溶液を使用したもので、3V台の作動電圧を有している。高作動電圧、高エネルギー密度、メモリー効果がない等の利点から、コンシューマ用として急速に用途が拡大している。上述のような実用二次電池は、用途に応じて角形、円筒形、ボタン形、シート形等の形で提供される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
円筒形二次電池は、周知の通り、正極と負極とをセパレータを介して渦巻状に巻いた極板群を備えており、急速放電性がよい等の理由から各種用途の需要が増大している。
【0004】
渦巻状極板群を有する電池の集電方法は種々あるが、その一つにいわゆる集電耳を設ける方式がある。この場合、巻回方向に長いにもかかわらず1ヶ所に極板耳を設けただけでは内部抵抗が高くなり、耳部から離れた部分の活物質が十分に利用できないので、例えば特開昭60−175379号や特開平10−134794号に開示されているように、集電体に複数の集電耳を形成し内部抵抗の増大を防止して、活物質の有効利用を図っている。さらに、複数の集電耳が図1のごとく不規則に配置されていたのでは、外部端子への接続が困難になるので、図2のように規則的に配置する構成が採用されている。
【0005】
図2のように集電耳2を規則的に配置するには、当然ながら、図3のように、渦巻中心側に位置する集電耳間の距離に比べ、外側に位置する集電耳間の距離を広げる必要があり、渦巻中心側の集電耳2aに比べ外側の集電耳2bほど集電すべき電極面積は広くならざるを得ない。このため依然として活物質の利用度のアンバランスが生じ、容量や急速放電性能の低下という課題がある。
【0006】
集電性能を改善するため、図13の如く、集電体溶接部方向に向って空隙部面積を減少させることは特開昭62−47962、47963号で公知であるが、集電体の巻き終り側の抵抗をいかに改善するかという課題に着目した例はない。この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、活物質の利用均一化を図り、もって容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、課題を解決する手段を、図を参照しながら説明する。請求項1の発明は、正極活物質と正極集電体とを備えた正極と、負極活物質と負極集電体とを備えた負極とを、セパレータ30を介して巻回した渦巻状極板群を備えた円筒形二次電池において、前記集電体の少なくとも片方は、集電体本体1と集電体本体に形成された複数の集電耳2と集電体本体に形成された空隙部3とを有し、前記空隙部3を、外枠桟と縦桟と横桟とから構成された集電体本体1のマス目によって形成、または箔体からなる集電体本体1の円状孔によって形成するとともに、前記集電体本体1に占める空隙部の割合である空隙率を、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終わり側Yのそれを巻き始め側Xのそれより小としたことを特徴とする。
【0008】
かかる構成により、集電体本体の巻き終り側の電気抵抗をより減少させ、もって活物質の利用均一化を図り、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0009】
尚、空隙率とは集電体本体1に占める空隙部3の割合を意味する。また、集電体本体1の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とするとは、少なくとも、図4のように、幅寸法W、長さLの集電体本体を長さ方向に2分し、集電体本体の巻き始め側の約2分の1の面積をA1、巻き終り側の約2分の1の面積をA2とし、A1部分の空隙部面積をB1、A2部分の空隙部面積をB2としたとき、(B1/A1)>(B2/A2)とすることである。以下、必要に応じて、3分し、集電体本体の巻き始め側の約3分の1の面積をAA1、中間部分の約3分の1の面積をAA2、巻き終り側の約3分の1の面積をAA3とし、AA1部分の空隙部面積をBB1、AA2部分の空隙部面積をBB2、AA3部分の空隙部面積をBB3としたとき、(BB1/AA1)>(BB2/AA2)>(BB3/AA3)とし、以下、4分、5分等々マクロ的に比較して巻き終り側ほど小とすればよく、100分割、1000分割といったようなミクロ的比較を意味したり、個々の空隙の大小を意味したりするのではない。
【0010】
本発明においては、図6、7の如く、集電体本体1が外枠桟4と縦桟5と横桟6とから構成され、空隙部3が外枠桟4と縦桟5と横桟6とでマス目状に形成することができる。かかる構成とすることにより、打ち抜き等により容易に形成した集電体を有する前記円筒形二次電池を提供することができる。
【0011】
また、図6の如く、集電体本体1が外枠桟4と縦桟5と横桟6とから構成され、空隙部3が外枠桟4と縦桟5と横桟6とでマス目状に形成された円筒型二次電池において、集電体本体の縦桟間隔が渦巻状極板群の巻き終り側Yが巻き始め側Xよりも小さくすることができる。
【0012】
これにより、縦桟5の幅(集電体長さ方向の縦桟寸法)が同一であっても、巻き始め側Xよりも巻き終わり側Yの縦桟5の数が多くなり、単位面積に占める空隙部3の面積が減少し、巻き終り側の電気抵抗がより低下し、活物質の利用均一化が図れ、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0013】
尚、集電体本体の縦桟間隔が渦巻状極板群の巻き終り側Yが巻き始め側Xよりも小さいとは、少なくとも、前述の如く、集電体本体1を長さ方向に2分し、集電体本体の巻き始め側の約半分の面積をA1、巻き終わり側の約半分の面積をA2としたとき、(A1部分に含まれる縦桟数)<(A2部分に含まれる縦桟数)であることを意味する。以下、必要に応じて、3分し、集電体本体の巻き始め側の約3分の1の面積をAA1、中間部分の約3分の1の面積をAA2、巻き終わり側の約3分の1の面積をAA3としたとき、(AA1部分の縦桟数)<(AA2部分の縦桟数)<(AA3部分の縦桟数)とし、以下、4分割、5分割等々マクロ的に比較して巻き終わり部分ほど大とすればよいが、100分、1000分といったようなミクロ的比較を意味したり、個々の縦桟間隔の大小を意味したりするのではない。
【0014】
さらに、図7の如く、集電体本体1が外枠桟4と縦桟5と横桟6とから構成され、空隙部3が外枠桟4と縦桟5と横桟6とでマス目状に形成された円筒形二次電池において、集電体本体の巻き終わり側Yの縦桟E2幅が巻き始め側Xの縦桟幅E1よりも大きくすることができる。これにより、単位面積当りの縦桟数が同じであっても、巻き始め側よりも巻き終わり側の縦桟の占める面積が多くなり、単位面積に占める空隙部3の面積が減少する。もって活物質の利用均一化が図れ、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0015】
尚、集電体本体の巻き終り側Yの縦桟幅が巻き始め側Xの縦桟幅がよりも大きいとは、少なくとも、集電体本体を長さ方向に2分し、前述の如く集電体本体の巻き始め側の約2分の1面積をA1、巻き終わり側の約2分の1の面積をA2としたとき、(A1部分に含まれる総縦桟幅寸法)<(A2部分に含まれる総縦桟幅寸法)であることを意味する。以下、必要に応じて、3分し、集電体本体の巻き始め側の約3分の1の面積をAA1、中間部分の約3分の1の面積をAA2、巻き終わり側の約3分の1の面積をAA3としたとき、(AA1部分の総縦桟幅寸法)<(AA2部分の総縦桟幅寸法)<(AA3部分の総縦桟幅寸法)とし、以下、4分、5分等々マクロ的に比較して巻き終り側ほど大とすればよいが、100分割、1000分割といったようなミクロ的比較を意味したり、個々の縦桟幅の大小を意味したりするのではない。
【0016】
また、図8、図10の如く、集電体本体1が箔体であり、空隙部が箔体に形成された円状孔3k〜3pであることを特徴とする。これにより、容易かつ安価な集電体を有する前記円筒形二次電池を提供することができる。尚、円状孔とは、真円孔のみではなく、楕円孔であってもよい。
【0017】
また、集電体本体1が箔体であり空隙部3が箔体に形成された円状孔である前記円筒形二次電池において、円状孔径が渦巻状極板群の巻き終り側Yが巻き始め側Xよりも小さくすることができる。
【0018】
これにより、集電体本体単位面積当りの円状孔数が同じであっても、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側Yの空隙面積が巻き始め側Xの空隙面積より小となり、活物質の利用均一化が図れ、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0019】
尚、円状孔径が渦巻状極板群の巻き終り側が巻き始め側よりも小さいとは、少なくとも、集電体本体を長さ方向に2分し、前述の如く集電体本体の巻き始め側の約2分の1の面積をA1、巻き終り側の約2分の1の面積をA2としたとき、(A1部分の円状孔の平均口径)>(A2部分の円状孔の平均口径)であることを意味する。以下、必要に応じて、3分し、集電体本体の巻き始め側の約3分の1の面積をAA1、中間部分の約3分の1の面積をAA2、巻き終り側の約3分の1の面積をAA3としたとき、(AA1部分の円状孔の平均口径)>(AA2部分の円状孔の平均口径)>(AA3部分の円状孔の平均口径)とし、以下、4分、5分等々マクロ的に比較して巻き終わり部分ほど小とすればよいが、100分割、1000分割といったようなミクロ的比較を意味したり、個々の円状孔径の大小を意味したりするのではない。
【0020】
さらに、図10に示す如く、集電体本体が箔体であり空隙部が箔体に形成された円状孔である前記円筒形二次電池において、円状孔数密度が渦巻状極板群の巻き終り側Yが巻き始め側Xよりも小さくすることができる。これにより、円状孔径が同じであっても、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙面積を巻き初め側の空隙面積より小とし、活物質の利用均一化が図れ、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0021】
尚、円状孔密度とは、単位面積に含まれる円状孔の数を意味し、巻き終り側が巻き始め側よりも小さいとは、少なくとも、長さLの集電体本体を長さ方向に2分割し、前述の如く集電体本体の巻き始め側の約半分の面積をA1、巻き終り側の約半分の面積をA2としたとき、(A1部分の円状孔数)>(A2部分の円状孔数)であることを意味する。以下、必要に応じて、3分し、集電体本体の巻き始め側の約1/3の面積をAA1、中間部分の約1/3の面積をAA2、巻き終り側の約1/3の面積をAA3としたとき、(AA1部分の円状孔数)>(AA2部分の円状孔数)>(AA3部分の円状孔数)とし、以下、4分、5分等々マクロ的に比較して巻き終り部分ほど小とすればよいが、100分割、1000分割といったようなミクロ的比較を意味するのではない。
【0022】
また、前記円筒形二次電池において、集電体本体の単位面積当たりの活物質量をPとし、同単位面積当たりの集電体本体重量をGとしたとき、G/Pの値が渦巻状極板群の巻き終わり側の方が巻き始め側よりも大きいことを特徴とする。
【0023】
これによれば、巻き始め側と巻き終り側の部分の活物質質量が同じならば巻き終わり部分の集電体本体質量が大ということであり、巻き終り側ほど単位活物質質量に対する集電体質量が多く電気抵抗も小さいので、活物質の利用均一化が図れ、もって容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供することができる。
【0024】
尚、集電体単位面積当りの活物質質量をPとし、単位面積当りの集電体本体質量をGとしたとき、G/Pの値が渦巻状極板群の巻き終り側を巻き始め側よりも大とするとは、少なくとも、幅寸法W、長さLの集電体本体を長さ方向に2分し、集電体本体の巻き始め側の約半分の面積をA1、巻き終り側の半分の面積をA2とし、A1部分の集電体本体の質量をC1、A2部分の集電体本体の質量をC2、A1部分の活物質質量をD1、A2部分の活物質質量をD2としたとき、(C1/D1)<(C2/D2)とすることである。以下、必要に応じて、同様に3分し、集電体本体の巻き始め側の約1/3の面積をAA1、中間部分の約1/3の面積をAA2、巻き終り側の約1/3の面積をAA3とし、AA1部分の集電体本体の質量をCC1、AA2部分の集電体本体の質量をCC2、AA3部分の集電体本体の質量をCC3とし、A1部分の活物質質量をDD1、A2部分の活物質質量をDD2、AA3の部分の活物質質量をDD3としたとき、(CC1/DD1)<(CC2/DD2)<(CC3/DD3)、以下、4分、5分割等々マクロ的に比較して大とすることが出来るが、100分、1000分といったようなミクロ的比較を意味するのではない。
【0025】
本発明の一態様として、正極活物質が二酸化鉛、負極活物質が鉛、集電体が鉛もしくは鉛合金とすることができる。これにより、好適な円筒形鉛蓄電池を提供することができる。尚、円筒形鉛蓄電池を構成する電解液、セパレータ、電槽等の他のものについては周知の構成を採用すればよい。
【0026】
また、別の態様として、正極活物質がリチウムと他金属との複合酸化物、正極集電体がアルミニウムもしくはアルミニウム合金、負極活物質が炭素質材料、負極集電体が銅もしくは銅合金とすることができる。これにより、好適な円筒形リチウムイオン二次電池を提供することができる。尚、円筒形リチウムイオン二次電池を構成する電解液、セパレータ、電槽等の他のものについては公知の構成を採用すればよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
図9は渦巻状極板群の概観を示す図であり、12は正極集電体の集電耳、17は正極集電体に塗布された充放電可能な正極活物質、22は負極集電体の集電耳、27は負極集電体に塗布された充放電可能な負極活物質、30はセパレータであり、これら正極と負極とをセパレータを介して巻回することにより渦巻状極板群40が得られる。この渦巻状極板群40を円筒形電池容器に収納し、公知の手段で出力端子との接続、封口、注液等を行なうことにより円筒形二次電池が得られる。
【0028】
渦巻状極板群40において、正極集電体の集電耳12と負極集電体の集電耳22とはそれぞれ規則的に配列されることにより、出力端子(図示せず)との接続が容易になされる。
【0029】
本発明は、渦巻状極板群を備えた円筒形二次電池における好適な集電体構造並びに単位面積当たりの活物質質量と集電体本体質量との好適な関係の新たな知見に基づくものであり、もって活物質の利用均一化を図り、容量低下や急速放電性能低下を改善した円筒形二次電池を提供するものである。
【0030】
【実施例】
下記に示す各種の集電体を、比重11.3g/ccの非アンチモン鉛合金箔を用いて打ち抜き方式により作成した。集電体の寸法は厚さ0.6mm×幅80mm×長さ500mmである。尚、集電体は、非アンチモン鉛合金にかえて、純鉛で形成することもできる。
【0031】
図3は従来例を示す模式図であり、幅1.5mmの縦桟5と幅1.5mmの横桟6と(縦)5mm×(横)7mmの桝目3が均等に配置されている。尚、集電体本体に占める空隙率は61%であった。また、集電体本体質量は106gであった。
【0032】
図5は実施例1を示す模式図であり、巻き初め側から中間部までは幅1.5mmの縦桟6と幅1.5mmの横桟5と(縦)5mm×(横)7mmの桝目3aが均等に配置され、中間部から巻き終わりまでは幅1.5mmの縦桟6と幅1.5mm横桟5と(縦)5mm×(横)5mmの桝目3bが均等に配された集電体であり、縦桟間隔は巻き終り側の半分の部分の方が巻き始め側の半分の部分のものよりも小さい。これによれば、中間部から巻き終りまでの方が縦桟数が多くなる分、空隙面積が減小するので、集電体本体の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とすることができる。
【0033】
尚、空隙率は、巻き始め側から順に、61%、57%であった。また、それぞれの区分の質量は巻き始め側から順に53g、58gであった。
【0034】
図6は実施例2を示す模式図であり、幅1.5mmの縦桟5と幅1.5mm横桟6は同じながら、巻き初め側から集電体長さ方向に最初の約5分の1部分(長さ約94mm)は(縦)5mm×(横)7mmの桝目3cが均等に配置され、次の約5分の1部分(長さ約105mm)は(縦)5mm×(横)6mmの桝目3dが均等に配置され、以下順次、(縦)5mm×(横)5mmの桝目3e(区分の長さ約98mm)、(縦)5mm×(横)4mmの桝目3f(区分の長さ約99mm)、巻き終わり側の約分の1部分(長さ約104mm)は(縦)5mm×(横)3mmの桝目3gがそれぞれ均一に配されている。
【0035】
これによれば、長さ方向にほぼ5当分した単位区分において、マス目が狭くなる分、縦桟の数が増えて空隙面積が減小するので、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とすることができる。
【0036】
尚、空隙率は、巻き始め側から順に61%、60%、58%、55%、50%であった。また、それぞれの区分の質量は巻き始め側から順に20g、23g、22g、24g、28gであった。
【0037】
図7は実施例3を示す模式図であり、巻き初め側から集電体長さ方向の約3分の1部分(長さ約163mm)は幅1.5mmの縦桟5aと幅1.5mmの横桟6と(縦)5mm×(横)7mmの桝目3hが均等に配置され、中間部の約3分の1部分(長さ約161mm)は幅2.0mmの縦桟5bと幅1.5mmの横桟6と(縦)5mm×(横)6.5mmの桝目3iが均等に配され、巻き終り側の約3分の1部分(長さ約176mm)は幅2.5mmの縦桟5cと幅1.5mm横桟と6と(縦)5mm×(横)6mmの桝目3jが均等に配されている。これによれば、長さ方向に3分した単位区分において、縦桟の幅が増えた区分はマス目が小さくなり空隙面積が減小するので、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とすることができる。
【0038】
尚、空隙率は、巻き始め側から順に61%、57%、51%であり、それぞれの区分の質量は巻き始め側から順に34、38g、47gであった。
【0039】
図8は実施例4を示す模式図であり、巻き初め側から集電体長さ方向の約4分の1(長さ約128mm)までは直径5.5mmの穿孔3kが11行18列に均等配設置され、次の約4分の1の部分(長さ約122mm)には、直径5.0mmの穿孔3lが11行18列に均等配設置され、さらに次の約4分の1の部分(長さ約122mm)には、直径4.5mmの穿孔3mが11行18列に均等配設置され、巻き終り側の約4分の1の部分(長さ約128mm)には、直径4.0mmの穿孔3nが11行18列に均等配設置されている。これによれば、長さ方向に4分した単位区分において、孔径が小さくなった分、空隙面積が減小するので、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とすることができる。
【0040】
尚、空隙率は巻き始め側から順に46%、39%、32%、24%であり、それぞれの区分の質量は巻き始め側から順に37g、40g、45g、gであった。
【0041】
図10は実施例5を示す模式図であり、巻き初め側から集電体長さ方向の約4分の1(長さ約128mm)までは直径5.5mmの穿孔3pが11行18列に均等配設置(図には穿孔の一部のみが表示されている。以下同様。)、次の約4分の1の部分(長さ約122mm)には、前記直径の穿孔3pが9行18列に均等配設置され、さらに次の約4分の1の部分(長さ約122mm)には、前記直径の穿孔3pが7行18列に均等配設置され、巻き終り側の約4分の1の部分(長さ約128mm)には、前記直径の穿孔3pが5行18列直径に均等配設置されている。これによれば、長さ方向に4分した単位区分において、穿孔数が少なくなった分、空隙面積が減小するので、集電体本体の渦巻状極板群の巻き始め側の空隙率を巻き終わり側の空隙率より大とすることができる。
【0042】
尚、空隙率は、巻き始め側から順に46%、39%、31%、21%であり、それぞれの区分の質量は巻き始め側から順に37g、40g、46g、55gであった。
【0043】
上記の各種集電体を用い、円筒形シール鉛蓄電池を製作した。正極は、酸化度70%(金属鉛30%、一酸化鉛70%)の鉛粉と希硫酸とを混練し活物質ペーストを得た後、これらを前記集電体の両面に塗布した。このときの塗布量は、正極集電体本体見掛表面積1cm2当りの理論容量を30mAhとした。
【0044】
負極は、酸化度70%(金属鉛30%、一酸化鉛70%)の鉛粉に若干の炭素粉末とリグニンとを添加し希硫酸とを混練し活物質ペーストを得た後、これらを集電体の両面に塗布した。このときの塗布量は、負極集電体本体見掛表面積1cm2当りの理論容量を40mAhとした。
【0045】
尚、上記実施例においては、集電体本体に活物質が均質に塗布してあり、単位面積当りの活物質質量をPとし、単位面積当りの集電体本体質量をGとしたとき、G/Pの値が渦巻状極板群の巻き終わり側が巻き始め側がよりも大となっている。
【0046】
これら正負電極を、ガラスマットセパレータ30を介して図9の如く渦巻状極板群40を得た。
【0047】
次に、この渦巻状極板群を樹脂性の円筒形容器に挿入し封口した後、注液口から所定比重の希硫酸水溶液を減圧注液し、0.25Cの定電流で40時間電槽化成を行ない、円筒形シール鉛蓄電池を得た。
【0048】
これらの円筒形シール鉛蓄電池を、0.2Cの放電率で放電した。さらにサイクル寿命を評価するため、1C放電(1.7V終止電圧)、1C定電流×2.45V定電圧充電(1.5時間)の充放電サイクル試験を行なった。0.2Cの放電率での放電試験結果を図11に、またサイクル寿命試験結果を図12に示す。尚、これらの図において、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘは、それぞれ従来例、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の結果である。
【0049】
これらの結果より、正極活物質と正極集電体とを備えた正極と、負極活物質と負極終電体とを備えた負極とを、セパレータを介して巻回した渦巻状極板群を備えた円筒形シール鉛蓄電池において、前記集電体は、集電体本体と集電体本体に形成された複数の極板耳と集電体巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より小とすることにより、集電体抵抗が改善され容量低下や急速放電性能低下が向上した円筒形シール鉛蓄電池が提供されることが分かる。
【0050】
さらに、集電体本体の渦巻状極板群の巻き終り側の空隙率を巻き始め側の空隙率より大とするとともに、集電体本体に活物質を均質に塗布した場合、単位面積当りの活物質質量をPとし、単位面積当りの集電体本体質量をGとしたとき、G/Pの値が渦巻状極板群の巻き終わり側が巻き始め側がよりも大となり、巻き終わり側においても活物質の利用率を高めることができる。
【0051】
尚、上記、実施例では正負集電体とも集電体本体の渦巻状極板群の巻き始め側の空隙率を巻き終わり側の空隙率より大としたものを用いたが、何れか片方の集電体のみを上記のようにしても従来の円筒形二次電池より性能が改善される。
【0052】
上記実施例は円筒形鉛蓄電池に関するものであるが、同様の効果は、正極活物質がリチウムと他金属との複合酸化物、正極集電体がアルミニウムもしくはアルミニウム合金、負極活物質が炭素質材料、負極集電体が銅もしくは銅合金である円筒形リチウムイオン二次電池においても確認された。又、円筒形アルカリ二次電池等においても同様の効果があった。
【0053】
【発明の効果】
以上の如く、正極活物質と正極集電体とを備えた正極と、負極活物質と負極終電体とを備えた負極とを、セパレータを介して巻回した渦巻状極板群を備えた円筒型二次電池において、前記集電体の少なくとも片方は、集電体本体と集電体本体に形成された複数の極板耳と集電体本体に形成された空隙部とを有するとともに、集電体本体の渦巻状極板群の巻き始め側の空隙率を巻き終わり側の空隙率より大としたことを特徴とする円筒形二次電池の本発明、並びに集電体本体単位面積当りの活物質質量をPとし、前記単位面積当りの集電体本体質量をGとしたとき、G/Pの値が渦巻状極板群の巻き終り側が巻き始め側がよりも大きいことを特徴とする本発明によれば、急速放電性能やサイクル寿命性能の優れた円筒形ニ次電池を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】渦巻状極板群の模式図である。
【図2】渦巻状極板群の模式図である。
【図3】従来の円筒形二次電池の、集電体本体と集電体本体に形成された複数の極板耳と集電体本体に形成された空隙部とを有する集電体を示す模式図である。
【図4】集電体本体と集電体本体に形成された複数の極板耳とを有す渦巻状極板群用集電体を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例1にかかる集電体を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる集電体を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例3にかかる集電体を示す模式図である。
【図8】本発明の実施例4にかかる集電体を示す模式図である。
【図9】渦巻状極板群を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例5にかかる集電体を示す模式図である。
【図11】試験結果を示す図である。
【図12】試験結果を示す図である。
【図13】従来の集電体例を示す図である。
【符号の説明】
1 集電体本体
2 集電耳
3 空隙部
4 外枠桟
5 縦桟
6 横桟
Claims (1)
- 正極活物質と正極集電体とを備えた正極と、負極活物質と負極集電体とを備えた負極とを、セパレータを介して巻回した渦巻状極板群を備えた円筒形二次電池において、前記集電体の少なくとも片方は、集電体本体と集電体本体に形成された複数の集電耳と集電体本体に形成された空隙部とを有し、前記空隙部を、外枠桟と縦桟と横桟とから構成された集電体本体のマス目によって形成、または箔体からなる集電体本体の円状孔によって形成するとともに、前記集電体本体に占める空隙部の割合である空隙率を、集電体本体の巻き終わり側のそれを巻き始め側のそれより小としたことを特徴とする円筒形二次電池。
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