JP4746797B2 - Method for producing polyolefin microporous membrane - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関し、特に成膜加工の際に添加した溶剤及び/又は可塑剤の除去に用いた洗浄溶媒を除去する際、その拡散及び微多孔膜の収縮を抑制しながら高速に除去することが可能なポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
熱可塑性樹脂成形体は自動車の内装及び外装材料、電池用構成部材等に使用されており、フィルムやシートを始めとする様々な形態がある。中でも熱可塑性樹脂微多孔膜(微多孔膜)は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜及び精密濾過膜等の各種用途に幅広く用いられている。
【0003】
このような熱可塑性樹脂成形体を製造する際、特にフィルム製造時の成膜加工の際に溶剤や可塑剤を添加することが多い。しかしながら微多孔膜のように最終製品に溶剤や可塑剤が残留してはならない製品の場合は、添加した溶剤や可塑剤を除去する必要がある。溶剤や可塑剤の除去の際、通常は揮発性の洗浄溶媒を用いて洗浄した後熱風乾燥をする。しかし熱風乾燥の際に熱可塑性樹脂が収縮してしまい、所望の物性が得られず、特に微多孔膜の場合は空孔が収縮してしまうために透過率が低下するという問題があった。
【0004】
このため従来は成膜加工後のゲル状の成形体をテンターに固定した上で熱風乾燥するか、又は小径多段加熱ロールに固定して乾燥する方法がとられてきた。しかしテンター方式では、特に揮発性の高い塩化メチレンのような洗浄溶媒を乾燥する場合に膜の収縮力に抗うことができるほどのグリップ力がなく、膜を十分に保持できないという問題があった。また多段加熱ロールを用いた場合には、膜のグリップ力を確保するためにロールを小径にする必要があり、このためロール上における有効乾燥面積が小さい、ロール剛性低下によるベンディングが起る、ロールギャップにおいて膜が幅方向に収縮する等の問題があった。よってこれらの方法は熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつつ高速に乾燥するには、必ずしも適した方法ではなかった。また小径多段加熱ロールと熱風乾燥を組み合せる方法もあるが、特に熱風乾燥を高速で行った場合には揮発した洗浄溶媒の拡散が激しくなるため、その回収が困難になるという問題があり、特に塩化メチレンのような環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた場合に問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、成膜加工の際に添加した溶剤及び/又は可塑剤の除去に用いた洗浄溶媒を除去する際、その拡散及び微多孔膜の収縮を抑制しながら高速に除去することが可能なポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ポリオレフィンと溶剤とを溶融混練して得られた溶液をダイより押し出し、冷却して得られたゲル状成形物から残存する前記溶剤を洗浄溶媒により除去して洗浄ポリオレフィン微多孔膜とした後(以下洗浄溶媒による溶剤の除去を「洗浄」という)、前記洗浄溶媒を除去する工程を含むポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、吸引力を作用させ、前記洗浄ポリオレフィン微多孔膜から前記洗浄溶媒を吸引除去することにより上記問題を解決できることを見出し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、ポリオレフィンと溶剤とを溶融混練して得られた溶液をダイより押し出し、冷却して得られたゲル状成形物から残存する前記溶剤を洗浄溶媒により除去し、得られた洗浄ポリオレフィン微多孔膜から前記洗浄溶媒を除去する工程を含むものであって、前記洗浄溶媒に対する貧溶媒中で、ロール外周面に不織布を有する吸引ロールを用いて、前記洗浄ポリオレフィン微多孔膜から前記洗浄溶媒を吸引除去することを特徴とする。
【0008】
吸引除去することにより、除去中の洗浄溶媒の拡散を防止できるので、塩化メチレンのように環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた場合には環境汚染防止効果がある。吸引手段としてロール外周面に不織布を有する吸引ロールを用いることにより、洗浄ポリオレフィン微多孔膜の収縮を抑制しつつ、かつ高速に洗浄溶媒を吸引除去することが可能になる。不織布ロールはロール本体外周面全域に渡り均一かつ有効な吸引機能を発揮する上、吸引抵抗が大きいため、洗浄溶媒の吸引除去に好適に使用することができる。不織布の空隙率は5〜50%が好ましい。吸引除去は洗浄溶媒に対する貧溶媒中で行うことにより洗浄溶媒が貧溶媒とともに吸引され、除去が効果的に行われる。貧溶媒として水を用いるのが好ましい。この時、洗浄溶媒の沸点以上の温度で行うことにより、洗浄溶媒が気化する作用によって効果的に除去される。貧溶媒の温度の上限はポリオレフィンの結晶分散温度以下が好ましい。
【0009】
熱可塑性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を得るために、熱可塑性樹脂は下記条件(1)〜(12)を満たすのが好ましい。
(1) ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレンエーテル及びポリアリレンスルフィドからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(2) 上記(1)に記載のポリオレフィンがポリエチレン又はポリエチレン組成物である。
(3) 上記(2)に記載のポリエチレンの重量平均分子量が1×104〜5×106である。
(4) 上記(2)に記載のポリエチレンの重量平均分子量が1×105〜4×106である。
(5) 上記(2)〜(4)のいずれかに記載のポリエチレンが超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(6) 上記(2)〜(5)のいずれかに記載のポリエチレンが重量平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンである。
(7) 上記(2)〜(6)のいずれかに記載のポリエチレンの重量平均分子量/数平均分子量(以下、「Mw/Mn」と記載する)が5〜300である。
(8) 上記(2)に記載のポリエチレン組成物が超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも二種からなる。
(9) 上記(2)又は(8)に記載のポリエチレン組成物が重量平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104以上5×105未満の高密度ポリエチレンを含む。
(10) 上記(2)、(8)、(9)に記載のポリエチレン組成物のMw/Mnが5〜300である。
(11) 上記(1)に記載のポリオレフィンが、上記(3)〜(7)に記載のポリエチレン又は上記(8)〜(10)のいずれかに記載のポリエチレン組成物に、シャットダウン機能(電池内部の温度上昇時に、発火等の事故を防止するため、微多孔膜が溶融して微多孔を目詰りさせて電流を遮断する機能)を付与するポリオレフィンとして分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン-α-オレフィン共重合体、及び分子量1×103〜4×103の低分子量ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加したポリオレフィン組成物である。
(12) 上記ポリオレフィンが、上記(3)〜(7)に記載のポリエチレン又は上記(8)〜(11)のいずれかに記載のポリエチレン組成物に、メルトダウン温度(熱可塑性微多孔膜の破膜温度)を向上させるためのポリプロピレンを添加したポリオレフィン組成物である。
【0010】
溶融混練物調製時に用いた溶剤の除去には洗浄溶媒を用いる。この時、25℃における表面張力が24mN/m以下、好ましくは20mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。これにより特に熱可塑性樹脂微多孔膜を製造する場合に、その空孔率、透過性及び寸法安定性が向上する。これは洗浄溶媒(A)を用いることにより、洗浄工程及び/又は洗浄溶媒除去工程において、洗浄溶媒の表面張力によって網状組織が収縮緻密化するのを抑制することができるためと推定している。
洗浄は二段階以上の工程により行うのが好ましく、この時少なくとも最終段階の工程で洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。これにより洗浄効果が向上する。なお洗浄溶媒(A)はその表面張力が24mN/m以下になる温度範囲内で用いるのが好ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を得るために、洗浄溶媒(A)は下記条件(13)〜(19)を満たすのが好ましい。
(13) 表面張力が25℃において20mN/m以下になる。
(14) ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、炭素数5〜10のノルマルパラフィン、炭素数6〜10のイソパラフィン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフィン、2-ペンタノン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ターシャリーブタノール、イソブタノール、2-ペンタノール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル及びプロピオン酸エチルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(15) C5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種のフッ素系化合物である。
(16) ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンからなる群から選ばれた少なくとも一種のノルマルパラフィンである。
(17) 2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブチルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルオクタン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2-メチルノナン及び2,3,5-トリメチルヘプタンからなる群から選ばれた少なくとも一種のイソパラフィンである。
(18) ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル及びジイソプロピルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種のエーテルである。
(19) 25℃において表面張力が24mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の脂肪族アルコールと水との混合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0012】
洗浄は二段階以上の工程により行うのが好ましく、その場合は洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を用いる段階が入ってもよい。この時最終段階の工程において洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。洗浄溶媒(B)としては、易揮発性溶媒及び沸点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いるのが好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を得るために、洗浄溶媒(B)は、下記条件(20)〜(32)を満たすのが好ましい。
(20) 塩化メチレン、四塩化炭素、三フッ化エタン、メチルエチルケトン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル及びジオキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(21) 炭素数8以上のノルマルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5〜10のアルコール、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステル及びエーテル、並びに炭素数5〜10のケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(22) 上記炭素数8以上のノルマルパラフィンは、その炭素数が8〜12であり、より好ましくはノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(23) 上記水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンは、1-クロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1,5-ジクロロペンタン、1,6-ジクロロヘキサン及び1,7-ジクロロヘプタンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(24) 上記炭素数8以上のイソパラフィンは、2,3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘプタン及び2,5,6-トリメチルオクタンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(25) 上記炭素数7以上のシクロパラフィンは、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、シス-及びトランス-1,2-ジメチルシクロヘキサン、シス-及びトランス-1,3-ジメチルシクロヘキサン、並びにシス-及びトランス-1,4-ジメチルシクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(26) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンは、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(27) 上記炭素数7以上の芳香族炭化水素は、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(28) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素は、クロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン、4-クロロトルエン、3-クロロオルトキシレン、4-クロロオルトキシレン、2-クロロメタキシレン、4-クロロメタキシレン、5-クロロメタキシレン及び2-クロロパラキシレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(29) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5〜10のアルコールは、イソペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1-ペンタノールからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(30) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステルは、炭酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エチル、ノルマル吉草酸エチル及び酢酸2-クロロエチルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(31) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエーテルは、ノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル及びビスクロロエチルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(32) 上記炭素数5〜10のケトンは、2-ぺンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0014】
洗浄において洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて三段階以上の多段階処理を行ってもよく、この場合三段〜五段階の工程で行うのが好ましい。
【0015】
洗浄溶媒(B)に任意成分(C)として、例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒を混合したものを使用してもよい。
【0016】
本発明の製造方法により得られるポリオレフィン微多孔膜の物性は、空孔率が25〜80%、透気度が10〜2000秒/100cc(膜厚30μm換算)である。
【0017】
【発明の実施の形態】
[1] 熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレンエーテル及びポリアリレンスルフィドが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては単独のポリオレフィン(混合物でないもの)でも、二種以上のポリオレフィンからなるポリオレフィン組成物のどちらでもよい。
【0018】
単独のポリオレフィンの場合はポリエチレンが好ましい。ポリエチレンの重量平均分子量に特に制限はないが、通常は1×104〜1×107であり、好ましくは1×104〜5×106であり、より好ましくは1×105〜4×106である。
【0019】
ポリエチレンの種類としては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンが挙げられる。中でも超高分子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は5×105以上が好ましく、1×106〜15×106がより好ましく、1×106〜5×106が特に好ましい。重量平均分子量を15×106以下にすることにより、溶融押出を容易にすることができる。ポリエチレンはエチレンの単独重合体のみならず、他のα-オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外の他のα-オレフィンとしてはプロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が好適である。
【0020】
ポリエチレンの分子量分布Mw/Mnは限定的でないが、5〜300が好ましく、10〜100がより好ましい。Mw/Mnが5未満では高分子量成分が多くなり過ぎて溶融押出が困難になり、Mw/Mnが300を超えると低分子量成分が多くなり過ぎるために強度の低下を招く。Mw/Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、この値が大きいほど分子量分布の幅は拡大する。すなわち単独のポリオレフィンの場合、Mw/Mnはその分子量分布の広がりを示し、その値が大きいほど分子量分布は広がっている。Mw/Mnはポリエチレンを多段重合により調製することにより適宜調整することができる。多段重合法としては、一段目で高分子量成分を重合し、次いで二段目で低分子量成分を重合する二段重合が好ましい。
【0021】
ポリオレフィンとしては二種以上のポリエチレンを混合したポリエチレン組成物を用いてもよい。すなわち二種以上の重量平均分子量の異なる超高分子量ポリエチレン同士、二種以上の重量平均分子量の異なる高密度ポリエチレン同士、二種以上の重量平均分子量の異なる中密度ポリエチレン同士、及び二種以上の重量平均分子量の異なる低密度ポリエチレン同士を用いてもよいし、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から二種以上選ばれたポリエチレンを混合しても何ら差し支えない。中でも重量平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチレンとからなるポリエチレン組成物が好ましい。重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれも用いることができるが、特に高密度ポリエチレンを用いるのが好ましい。なお重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチレンは分子量の異なるものを二種以上用いてもよいし、種類(密度)の異なるものを二種以上用いてもよい。またポリオレフィン組成物の重量平均分子量の上限は、15×106以下にすることにより溶融押出を容易にすることができる。ポリオレフィン組成物中における重量平均分子量5×105以上のポリエチレンの含有量は、ポリオレフィン組成物全体を100重量%として21重量%以上であるのが好ましく、21〜50重量%であるのがより好ましい。
【0022】
ポリオレフィン組成物のMw/Mnは、5〜300が好ましく、10〜100がより好ましい。Mw/Mnが5未満では高分子量成分が多くなり過ぎて溶融押出が困難になり、Mw/Mnが300を超えると低分子量成分が多くなり過ぎるために強度の低下を招く。ポリオレフィン組成物の場合、Mw/Mnが大きいほど、配合する各ポリオレフィンの重量平均分子量の差が大きく、また小さいほど重量平均分子量の差が小さい。Mw/Mnはポリオレフィン組成物中の各成分の分子量や混合割合を調整することにより適宜調整することができる。
【0023】
電池用セパレーターに用いる場合、メルトダウン温度(熱可塑性微多孔膜の破膜温度)を向上させるため、ポリオレフィン組成物はポリプロピレンを含むのが好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量は1×104〜4×106が好ましい。ポリプロピレンとしては、単独重合体の他にブロック共重合体及び/又はランダム共重合体も使用することができる。ブロック共重合体及びランダム共重合体は、プロピレン以外の他のα-オレフィンとの共重合成分を含有することができ、他のα-オレフィンとしてはエチレンが好ましい。ポリプロピレンの添加量はポリオレフィン組成物全体を100重量部として80重量部以下とするのが好ましい。
【0024】
電池用セパレーター用途としての特性を向上させるため、ポリオレフィン組成物はシャットダウン機能を付与するポリオレフィンを含むのが好ましい。シャットダウン機能を付与するポリオレフィンとして前述の低密度ポリエチレンを用いることができる。低密度ポリエチレンは、分岐状の低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト触媒により製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。またシャットダウン機能を付与するポリオレフィンとして、重量平均分子量1×103〜4×103の低分子量ポリエチレンを添加してもよい。但しその添加量が多いと延伸する場合に破断が起こり易くなるので、その添加量は熱可塑性樹脂全体を100重量部としてその20重量部以下にするのが好ましい。
【0025】
なお超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン組成物としては、上記重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチレン、上記メルトダウン温度向上用ポリプロピレン、及び上記シャットダウン機能を付与するポリオレフィンの他に、重量平均分子量1×104〜4×106のポリブテン-1、重量平均分子量1×103〜1×104のポリエチレンワックス、及び重量平均分子量1×104〜4×106のエチレン・α-オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種のポリオレフィンを添加したポリオレフィン組成物も用いることができる。このように超高分子量ポリエチレンに他のポリオレフィンを添加したポリオレフィン組成物とする場合、他のポリオレフィンの添加量はポリオレフィン組成物全体を100重量部として80重量部以下とするのが好ましい。
【0026】
[2] 熱可塑性樹脂微多孔膜の製造方法
熱可塑性樹脂微多孔膜の製造方法は、(a) 上記熱可塑性樹脂に溶剤を添加して溶融混練し、熱可塑性樹脂溶液を調製する工程、(b) 熱可塑性樹脂溶液をダイリップより押し出し、冷却してゲル状成形物を形成する工程、(c) ゲル状成形物から溶剤除去する工程、及び(d) 得られた膜から洗浄溶媒を除去する工程を含む。更に、(a)〜(d)の工程の後、必要に応じて、(e) 電離放射による架橋処理、(f) 熱処理、及び(g) 親水化処理等を行ってもよい。また(d)工程の前後に、必要に応じて延伸する工程を入れてもよい。
【0027】
(a) 熱可塑性樹脂溶液の調製工程
まず熱可塑性樹脂に適当な溶剤を添加して溶融混練し、熱可塑性樹脂溶液を調製する。該熱可塑性樹脂溶液には必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。例えば、孔形成剤として微粉珪酸を添加することができる。
【0028】
溶剤としては液体溶剤及び固体溶剤のいずれも使用できる。液体溶剤としてはノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこれらに対応する鉱油留分が挙げられる。溶剤含有量が安定なゲル状成形物を得るためには、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いるのが好ましい。固体溶剤は融点が80 ℃以下のものが好ましく、このような固体溶剤としてパラフィンワックス、セリルアルコール、ステアリルアルコール、ジシクロヘキシルフタレート等が挙げられる。液体溶剤と固体溶剤を適宜混合して使用してもよい。
【0029】
液体溶剤の粘度は25℃において30〜500cStであるのが好ましく、50〜200cStであるのがより好ましい。25℃における粘度が30cSt未満では不均一なダイリップからの吐出を生じ、混練が困難であり、また500cStを超えると溶剤除去が困難になる。
【0030】
溶融混練の方法は特に限定されないが、通常は押出機中で均一に混練することにより行う。この方法は熱可塑性樹脂の高濃度溶液を調製するのに適する。溶融温度は熱可塑性樹脂の融点+10℃〜+100℃が好ましいため、140〜230℃であるのが好ましく、170〜200℃であるのがより好ましい。ここで融点とはJIS K7121に基づいて示差走査熱量測定(DSC)により求められる値を言う。溶剤は混練開始前に添加しても、混練中に押出機の途中から添加してもよいが、混練開始前に添加して予め溶液化するのが好ましい。溶融混練にあたっては熱可塑性樹脂の酸化を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0031】
熱可塑性樹脂溶液中、熱可塑性樹脂と溶剤との配合割合は、両者の合計を100重量%として、熱可塑性樹脂が1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。熱可塑性樹脂が1重量%未満ではゲル状成形物を形成する際にダイス出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状成形物の成形性及び自己支持性が低下する。一方50重量%を超えるとゲル状成形物の成形性が低下する。
【0032】
(b) ゲル状成形物の形成工程
溶融混練した熱可塑性樹脂溶液を直接に又は別の押出機を介して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介してダイリップから押し出す。ダイリップとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイリップを用いるが、二重円筒状の中空状ダイリップ、インフレーションダイリップ等も用いることができる。シート用ダイリップの場合、ダイリップのギャップは通常0.1〜5mmであり、押し出し時には140〜250℃に加熱する。加熱溶液の押し出し速度は0.2〜15m/分であるのが好ましい。
【0033】
このようにしてダイリップから押し出した溶液を冷却することによりゲル状成形物を形成する。冷却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましく、25℃以下まで冷却するのが好ましい。このようにして相分離構造を固定化することができる。一般に冷却速度が遅いと得られるゲル状成形物の高次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が速いと密な細胞単位となる。冷却速度が50℃/分未満では結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状成形物となりにくい。冷却方法としては冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いることができる。
【0034】
(c) ゲル状成形物の延伸・溶剤除去工程
熱可塑性樹脂微多孔膜が使用される目的によっては、必要に応じてゲル状成形物を延伸する。延伸を行う場合は、ゲル状成形物を加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。また二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでもよいが、特に同時二軸延伸が好ましい。延伸により機械的強度が向上する。
【0035】
延伸倍率はゲル状成形物の厚みによって異なるが、一軸延伸では2倍以上が好ましく、3〜30倍がより好ましい。二軸延伸ではいずれの方向でも少なくとも3倍以上とし、面倍率で9倍以上とすることにより、突刺強度を向上させることができるため好ましい。面倍率が9倍未満では延伸が不十分で高弾性及び高強度の熱可塑性樹脂微多孔膜が得られない。一方面倍率が400倍を超えると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じる。
【0036】
延伸温度は熱可塑性樹脂の融点+10℃以下にするのが好ましく、結晶分散温度から結晶融点未満の範囲にするのがより好ましい。延伸温度が融点+10℃を超えると樹脂が溶融し、延伸による分子鎖の配向ができない。また延伸温度が結晶分散温度未満では樹脂の軟化が不十分で、延伸において破膜しやすく、高倍率の延伸ができない。本発明では延伸温度を通常100〜140℃、好ましくは110〜120℃にする。ここで結晶分散温度とは、ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求められる値を言う。延伸を行う場合、溶剤の除去は延伸前及び/又は延伸後に行うことができるが、延伸後に行うのが好ましい。
【0037】
溶剤の除去(洗浄)には洗浄溶媒を用いる。この時、25℃における表面張力が24mN/m以下、好ましくは20mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。洗浄溶媒(A)は熱可塑性樹脂とは相溶しないものが好ましい。このような洗浄溶媒(A)を用いることにより、洗浄後の乾燥時に微多孔内部で生じる気―液界面の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制することができる。その結果、微多孔膜の空孔率/透過性を向上させることができる。なお洗浄溶媒の表面張力は、その使用温度を上げるに従い低くすることができるが、使用できる温度範囲は沸点以下に限られる。また本願明細書において、「表面張力」とは気体と液体との界面に生じる張力を言い、JIS K 3362に基づいて測定したものである。
【0038】
洗浄溶媒(A)としてはハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル等のフッ素系化合物、炭素数5〜10のノルマルパラフィン、炭素数6〜10のイソパラフィン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフィン、2-ペンタノン等の脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ターシャリーブタノール、イソブタノール、2-ペンタノール等の脂肪族アルコール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチルの脂肪族エステル等を挙げることができる。
【0039】
フッ素系化合物としては、例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。これらフッ素系化合物は20℃において表面張力が24mN/m以下であるため、表面張力による網状組織の収縮緻密化を抑制する効果が高い。また沸点が100℃以下であるため洗浄溶媒を除去する際に容易である。更にオゾン破壊性が無いため環境への負荷が低減でき、且つ引火点が40℃以上である(一部の化合物は引火点が無い)ため乾燥工程中の引火爆発の危険性が低い。
【0040】
炭素数5〜10のノルマルパラフィンとしてはノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンが好ましい。これらは表面張力が20℃において24mN/m以下である。この中では、沸点が100℃以下であり、乾燥が容易であるノルマルペンタン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタンがより好ましい。
【0041】
炭素数6〜10のイソパラフィンとしては2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブチルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルオクタン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2-メチルノナン及び2,3,5-トリメチルヘプタンが好ましい。この中では表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が100℃以下である2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブチルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン及び3,3-ジメチルペンタンがより好ましい。
【0042】
炭素数6以下のエーテルとしてはジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル及びジイソプロピルエーテルが好ましい。これらはその表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が100℃以下である。
【0043】
シクロペンタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールは、その表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が100℃以下であるため好ましい。
【0044】
上記脂肪族エステルの中では、表面張力が20℃において24mN/m以下である酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチルが好ましい。更に沸点が100℃以下であるが酢酸ターシャリーブチル、ギ酸エチル及びギ酸イソプロピルがより好ましい。
【0045】
洗浄溶媒(A)としては、25℃において表面張力が24mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の脂肪族アルコールと水との混合物を用いることもできる。
【0046】
上述の洗浄溶媒(A)は、他の溶媒との混合物として使用することができる。この場合、その混合比率は25℃において表面張力が24mN/m以下になるようにする。例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒とパラフィン等の炭化水素系溶媒との混合物を使用することができる。
【0047】
洗浄は二段階以上の工程で行うのが好ましく、洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を用いる段階が入ってもよい。この場合は少なくとも一つの段階において洗浄溶媒(A)を用いればよい。洗浄溶媒(B)としては、熱可塑性樹脂とは相溶性を有しないものが好ましく、例えば洗浄溶媒として公知のペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチルケトン等の易揮発性溶媒が使用できる。また沸点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒を用いることもできる。上述のような洗浄溶媒(B)は、ポリオレフィン組成物の溶解に用いた溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。
【0048】
このような二段階以上の洗浄工程により、洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。好ましくは、少なくとも最終段階の工程において洗浄溶媒(A)で処理する。これにより洗浄溶媒(B)を用いた場合に該洗浄溶媒(B)を除去でき(以下「リンス処理」という)、洗浄後の洗浄溶媒除去時に起る網状組織の収縮緻密化を防ぐことができる。その結果、熱可塑性樹脂微多孔膜の空孔率/透過性の向上に効果がある。
【0049】
最終段階の工程において洗浄溶媒(A)で処理する際、特に沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)で処理すれば洗浄溶媒除去工程の効率が向上する。更に上述の例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテル等のフッ素系化合物を用いると、前述のように製造工程における環境への負荷をより低くできる効果もある。特に洗浄溶媒(B)として沸点150℃以上の溶媒を用いる場合はその除去に時間がかかり、その影響で空孔率/透気性が低下する恐れがあるが、沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)を用いることによりその問題を解消することができる。
【0050】
洗浄溶媒(B)として用いることができる沸点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒は難揮発性であり、環境への負荷が低く、洗浄溶媒除去工程において引火爆発する危険性が低いため使用上安全である。また高沸点であるため凝縮しやすく、回収が容易となり、リサイクル利用し易い。なお本願明細書において「沸点」とは、1.01×105Paにおける沸点を言い、「引火点」とは、JIS K 2265に基づいて測定したものを言う。
【0051】
上記非水系溶媒として、例えば沸点100℃以上かつ引火点0℃以上のパラフィン系化合物、芳香族、アルコール、エステル、エーテル、ケトン等が挙げられる。またその引火点について、好ましくは5℃以上であり、より好ましくは40℃以上である。しかし非水系溶媒を水溶液化するのは、溶剤の除去を十分に行うことができないため好ましくない。
【0052】
非水系溶媒としては、炭素数8以上のノルマルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5〜1Oのアルコール、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステル及びエーテル、並びに炭素数5〜10のケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
【0053】
炭素数8以上のノルマルパラフィンとしては、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンが好ましく、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデカンがより好ましい。
【0054】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンとしては、1-クロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1,5-ジクロロペンタン、1,6-ジクロロヘキサン、1,7-ジクロロヘプタンが好ましく、1-クロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-ブロモペンタン及び1-ブロモヘキサンがより好ましい。
【0055】
炭素数8以上のイソパラフィンとしては2,3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘプタン、2,5,6-トリメチルオクタンが好ましく、2,3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン及び2,3,5-トリメチルヘキサンがより好ましい。
【0056】
炭素数7以上のシクロパラフィンとしては、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、シス-及びトランス-1,2-ジメチルシクロヘキサン、シス-及びトランス-1,3-ジメチルシクロヘキサン、並びにシス-及びトランス-1,4-ジメチルシクロヘキサンが好ましく、シクロヘキサンがより好ましい。
【0057】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンとしては、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンが好ましく、クロロシクロペンタンがより好ましい。
【0058】
炭素数7以上の芳香族炭化水素としては、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。
【0059】
水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素としてはクロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン、4-クロロトルエン、3-クロロオルトキシレン、4-クロロオルトキシレン、2-クロロメタキシレン、4-クロロメタキシレン、5-クロロメタキシレン及び2-クロロパラキシレンが好ましく、クロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン及び4-クロロトルエンがより好ましい。
【0060】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数5〜10のアルコールとしては、イソペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1-ペンタノールが好ましく、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1-ペンタノールがより好ましい。
【0061】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステルとしては炭酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エチル、ノルマル吉草酸エチル、酢酸2-クロロエチルが好ましく、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エチル及び酢酸2-クロロエチルがより好ましい。
【0062】
水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエーテルとしてはジプロピレングリコールジメチルエーテル、ノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ビスクロロエチルエーテルが好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びビスクロロエチルエーテルがより好ましい。
【0063】
炭素数5〜10のケトンとしては2-ぺンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましく、2-ペンタノン及び3-ペンタノンがより好ましい。
【0064】
上述のような洗浄溶媒(B)は混合物として用いてもよいが、洗浄溶媒(B)に、任意成分(C)として、洗浄溶媒(A)として挙げた例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14又は C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から少なくとも一種選ばれた溶媒を混合したものを使用してもよい。この場合、洗浄溶媒(B)と任意成分(C)は、表面張力が20〜80℃のいずれかの温度において24mN/m以下になる割合で混合するのが好ましく、具体的には、混合溶媒100重量部中において任意成分(C)を2〜98重量部、好ましくは5〜50重量部にする。任意成分(C)を2〜98重量部含むことにより、洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。
【0065】
洗浄溶媒(B)は、その表面張力が20〜80℃のいずれかの温度において24mN/m以下になるものを用いるのが好ましい。例えば、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、三フッ化エタン、ジエチルエーテル、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン等である。
【0066】
ここで洗浄の第一段階で使用する洗浄溶媒(B)と第二段階で使用する洗浄溶媒(A)との組合せとして好ましいものを示す。但し後述するように洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いる洗浄は三段階以上で行うことも可能であるため、これらは二段階で行うことに限定する趣旨ではない。例えば、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、エーテル/ハイドロフルオロエーテル、エーテル/環状ハイドロフルオロカーボン、エーテル/アルコール、エーテル/アルコールと水との混合物、ノルマルパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、ノルマルパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、ノルマルパラフィン/アルコール、ノルマルパラフィン/アルコールと水との混合物、イソパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、イソパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、イソパラフィン/アルコール、イソパラフィン/アルコールと水との混合物、シクロパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、シクロパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、シクロパラフィン/アルコール、シクロパラフィン/アルコールと水との混合物、ケトン/ハイドロフルオロエーテル、ケトン/環状ハイドロフルオロカーボン、ケトン/アルコール、及びケトン/アルコールと水との混合物が挙げられる。より好ましくは、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、ノルマルヘプタン/C4F9OCF3、及びノルマルヘプタン/C6F14である。このような組合せのものを用いることにより、溶剤の除去を効果的に行いつつ、微多孔膜の空孔率/透過率の向上させることができる。
【0067】
洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は三段階以上の工程で行ってもよい。一段階又は二段階の処理では溶剤を十分除去することができずに、得られる熱可塑性樹脂微多孔膜の物性が低下する場合等に有効である。この場合少なくとも最終工程において洗浄溶媒(A)を用いて処理すればよく、特に洗浄回数は制限されないが、通常三段〜五段階であり、好ましくは三〜四段階である。また各々の段階において同じ洗浄溶媒で処理しても単に製造工程が長くなるため、熱可塑性樹脂微多孔膜製造設備のスペースが拡大し、また溶剤除去の効率性が低下するため、各段階では互いに異なる洗浄溶媒を用いるのが好ましい。但し、互いに異なる洗浄溶媒を用いることには限定されるものではない。従って、例えば三段階の処理の場合、第一段階及び第二段階において同一の洗浄溶媒を用い、第三段階で第一及び第二段階とは異なる洗浄溶媒を用いることもできる。
【0068】
洗浄方法は、洗浄溶媒(A)及び/又は洗浄溶媒(B)に浸漬し抽出する方法、洗浄溶媒(A) 及び/又は洗浄溶媒(B)をシャワーする方法、又はこれらの組合せによる方法等により行うことができる。また洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)は、ゲル状成形物100重量部に対しそれぞれ300〜30000重量部使用するのが好ましい。また洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて二段階以上の工程により洗浄を行う場合は、洗浄溶媒(A)の使用量は、洗浄溶媒(B)の使用量を100重量部として50〜200重量部になるようにするのが好ましい。洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は、残留した溶剤がその添加量に対して1重量%未満になるまで行うのが好ましい。
【0069】
洗浄溶媒(B)による洗浄温度は洗浄溶媒(B)の沸点に依存する。洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以下の場合は室温での洗浄が可能であり、必要に応じて加熱洗浄すればよく、一般に20〜80℃で洗浄するのが好ましい。また洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以上の場合、室温では膜内部への浸透性が悪いので、加熱洗浄するのが好ましい。
【0070】
洗浄溶媒(A)による洗浄温度及び/又はリンス温度は、洗浄溶媒(A)の表面張力に依存する。具体的には、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m 以下になる温度以上で洗浄及び/又はリンス処理を行うのが好ましい。周囲の気温が、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m以下になる温度に満たない場合は、必要に応じてその表面張力が24mN/m以下になる温度まで加熱する。洗浄溶媒(A)は、高くとも25℃においてその表面張力が24mN/m 以下になるので、殆どの場合は加熱を必要とせず、通常の室温において洗浄及び/又はリンス処理を行うことができる。
【0071】
(d) 洗浄溶媒の除去工程
延伸及び溶剤除去により得られた膜に対して吸引力を作用させることにより、洗浄溶媒を吸引除去する。吸引除去することにより、除去中の洗浄溶媒の拡散を防止できるので、塩化メチレンのように環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた場合には環境汚染防止効果がある。吸引力を作用させる手段としては吸引ロール、吸引ベルト等が挙げられる。中でも吸引ロールを使用するのが好ましい。吸引ロールの使用により、熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつつ洗浄溶媒を除去することが可能になる上、後述する貧溶媒中での吸引除去が可能となる。吸引ロールは、ロール状(円筒状)の外形を有し、その軸部内部の長手方向に真空負荷可能な空洞部を有し、この軸部周面に空洞部と連通する多数の透孔を有する筒状の軸本体と、軸部本体の両端に設けられ且つ空洞部に連通する貫通孔を少なくともその一方に開設した一対の側板と、側板の貫通孔に連通する貫通孔を開設した一対の軸受け部を備える。空洞部は軸受け部の貫通孔から配管を介して連通する真空ポンプで吸引されることにより減圧になり、吸引ロールはモーターにより駆動回転しながらロールの外周面で液体及び気体を吸引することができる。
【0072】
吸引ロールとしては、パンチングロール、スリットロール、ワイヤーロール等が挙げられるが、特にこれらのロール外周面に不織布を多数枚重畳してなる不織布ロールが好ましい。上述のような吸引機構を備えた不織布ロール(以下単に「不織布ロール」と呼ぶ)は、洗浄溶媒を吸引すると、吸液状態にある不織布部内部に於いて放射方向に毛細管効果を励起し、ロール外周面方向に吸液毛細管効果を作用させ、ロール本体外周面全域に渡り均一且つ有効な吸収機能を発揮する上、吸引抵抗が大きいため、洗浄溶媒の吸引除去に好適に使用することができる。ロール外周面に不織布を有しない場合は吸引抵抗が小さく、特に微多孔膜で覆われない透孔(パンチング状の穴、スリット、ワイヤー同士の隙間等)からエアー又は後述する貧溶媒を吸引する割合が高くなり、かえって洗浄溶媒の吸引効率が低下するため好ましくない。なお透孔は、吸引力が不織布ロール外周面で均一に作用するように、形状、大きさ及びその配置が設定されているのが好ましい。
【0073】
不織布ロールに用いる不織布としては、一般的に用いられるポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリルあるいはそれらの共重合体はもちろん、さらにフッ素系樹脂やポリフェニルスルフィド系樹脂などの不織布を使用することができる。微多孔膜を吸引する場合、不織布の空隙率は5 〜50 %であるのが好ましい。不織布ロールの空隙率が5 %未満になると液の絞り取り性が悪くなり、50 %を超えると不織布がスポンジ状になり、強度的に弱くなるため好ましくない。
【0074】
微多孔膜を吸引する場合、不織布ロールの径は50 〜500 cmであるのが好ましい。吸引用の真空ポンプは、上述のような不織布層を備えたロール内部の空洞部の圧力が−5 kPaG以下になるような能力を有するものが好ましい。
【0075】
延伸及び溶剤除去により得られた膜は、吸引ロールの外周面で洗浄溶媒が吸引除去されながら移送される。この時、膜は吸引によりロールに張り付き、固定された状態で洗浄溶媒が吸引除去されるため、膜の収縮を抑制しつつ、かつ高速に洗浄溶媒を除去することが可能になる。特に微多孔膜の場合は、吸引により空孔にエアーを通過させながら除去乾燥できるため、空孔の収縮が抑制される効果がある。吸引ロールによる移送速度は1 〜50 m/minであるのが好ましい。またこの時、吸引ロールを加熱しながら行ってもよく、これにより乾燥効果が向上する。但し加熱温度は熱可塑性樹脂の結晶分散温度以下、好ましくは結晶分散温度より5℃以上低い温度である。また加熱により洗浄溶媒の拡散が激しくなるため、塩化メチレンのように環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた場合には、室温で吸引するのが好ましい。
【0076】
微多孔膜が有する空孔の収縮抑制を一層図りたい場合には、吸引を洗浄溶媒に対する貧溶媒中で行うのが好ましい。この場合、吸引ロールが貧溶媒に浸漬するように貧溶媒の槽を設置する。膜は貧溶媒槽中を吸引ロールに吸引されながら移送され、洗浄溶媒が貧溶媒とともに吸引される効果により除去が効果的に行われる上、空孔を貧溶媒が通過するため、空孔の収縮を一層抑制しつつ洗浄することが可能となる。この時貧溶媒槽は少なくとも洗浄溶媒の沸点−20℃以上、好ましくは洗浄溶媒の沸点以上の温度に加熱するのが好ましい。但し熱可塑性樹脂の結晶分散温度以下、好ましくは結晶分散温度より5℃以上低い温度で行う。これにより洗浄溶媒が気化する作用が促進され、効果的に除去される。この場合は貧溶媒中で吸引されるので、加熱に伴って起る洗浄溶媒の気化拡散を抑制することができる。加熱する場合、貧溶媒としてはその沸点が洗浄溶媒の沸点よりも高いものを用いる。貧溶媒は洗浄溶媒に対して相溶性の乏しいものであれば特に制限はなく、例えば洗浄溶媒として塩化メチレン又はハイドロフルオロエーテルを用いた場合、相当する貧溶媒としては水、エチレングリコール等が好適である。
【0077】
吸引ロールによる吸引除去は、通常は一つの吸引ロールを用いれば、洗浄溶媒を十分除去することができるが、二つの吸引ロールを連続させて膜の両面が吸引ロールと接触するようにしてもよい。これにより吸引を一層効果的に行うことができる。この時少なくとも一方の吸引ロールを貧溶媒に浸漬するのが好ましい。また二つの吸引ロールで膜を挟むようにし、その間を膜が通るようにし、両方の吸引ロールで同時に膜の両面を吸引してもよい。
【0078】
吸引により洗浄溶媒を除去した膜は、加熱乾燥法又は風乾法によりさらに乾燥することができる。膜を加熱乾燥する際は、テンター等に固定した上で熱風乾燥すると、収縮を抑制しつつ乾燥できるので好ましい。吸引時に貧溶媒を用いない場合、洗浄溶媒は吸引除去されているので、加熱乾燥又は風乾に要する時間は従来よりも短時間で済む。一方貧溶媒を用いて吸引除去した場合、続けて加熱乾燥又は風乾を行ってもよいが、貧溶媒を別の吸引ロールを用いて除去した後、加熱乾燥又は風乾により乾燥してもよい。加熱乾燥又は風乾の前に貧溶媒除去用の吸引ロールで乾燥することにより、貧溶媒の除去に要する時間が短くなる上、貧溶媒による空孔の収縮を効果的に抑制できる。この時、貧溶媒除去用吸引ロールを加熱してもよい。膜を熱風乾燥する際の温度および貧溶媒除去用吸引ロールを加熱する際の温度は、熱可塑性樹脂の結晶分散温度以下の温度で行うのが好ましく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度が好ましい。通常は70℃程度である。
【0079】
吸引除去により、熱可塑性樹脂微多孔膜中に残存する洗浄溶媒の含有量を、5重量%以下にするのが好ましく(乾燥後の膜重量を100重量%とする)、3重量%以下にするのがより好ましい。吸引除去が不十分で膜中に洗浄溶媒が多量に残存する場合、後の熱処理で空孔率が低下し、透気性が悪化するので好ましくない。
【0080】
(e) 膜の架橋処理工程
延伸・溶剤除去により得られた膜から吸引により洗浄溶媒を除去した後、電離放射により架橋処理を施すのが好ましい。電離放射線としてはα線、β線、γ線、電子線等が用いられ、電子線量0.1〜100Mrad、加速電圧100〜300kVにて行うことができる。これによりメルトダウン温度を向上させることができる。
【0081】
(f) 熱処理工程
洗浄溶媒除去後に熱処理を行ってもよい。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。熱処理としては、熱延伸処理、熱固定処理、及び熱収縮処理のいずれも用いることができる。これらの処理は、熱可塑性樹脂微多孔膜の融点以下、好ましくは60℃以上融点−10℃以下で行う。
【0082】
熱延伸処理は、通常用いられるテンター方式、ロール方式、又は圧延方式により行い、少なくとも一方向に延伸倍率1.01〜2.0倍で行うのが好ましく、1.01〜1.5倍で行うのがより好ましい。
【0083】
熱固定処理は、テンター方式、ロール方式、圧延方式により行う。また熱収縮処理は、テンター方式、ロール方式、若しくは圧延方式により行うか、又はベルトコンベア若しくはフローティング等を用いて行ってもよい。なお、熱収縮処理は、少なくとも一方向に50%以下の範囲が好ましく、より好ましくは30%以下の範囲にする。
【0084】
なお上述の熱延伸処理、熱固定処理及び熱収縮処理を多数組み合せて行ってもよい。特に、熱延伸処理後に熱収縮処理を行うと、低収縮率で高強度の微多孔膜が得られるため好ましい。
【0085】
(g) 親水化処理工程
洗浄溶媒除去により得られた微多孔膜は親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電処理等を用いる。なお親水化処理は電離放射後に行うのが好ましい。
【0086】
界面活性剤を使用する場合、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。この場合、界面活性剤を水溶液又はメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液にして、ディッピング及びドクターブレード等の方法により親水化する。
【0087】
得られた親水化微多孔膜を乾燥する。この時、透過性を向上させるため、熱可塑性樹脂微多孔膜の融点以下の温度で収縮を防止又は延伸しながら熱処理するのが好ましい。
【0088】
(h) その他の処理工程
洗浄溶媒除去により得られた微多孔膜は、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂多孔質体、又はポリイミド、ポリフェニレンスルフィド等の多孔質体を表面に被覆することによりメルトダウン特性を改良することもできる。
【0089】
[3] 熱可塑性樹脂微多孔膜
以上のように製造した微多孔膜の物性は、通常の場合、空孔率が25 〜80 %、透気度が10 〜2000 秒/100cc(膜厚30μm換算)である。高空孔率の膜が得られるので、その後の熱処理を従来よりも高い温度で行っても、従来と同等以上の空孔率/透気度を有し、かつ寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂微多孔膜が得られる。熱可塑性樹脂微多孔膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択しうるが、例えば電池用セパレーターとして使用する場合は5〜200μmにするのが好ましい。このように、本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂微多孔膜は優れた透過性を示すので、電池用セパレーター、フィルター等として好適に使用できる。
【0090】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0091】
実施例1
重量平均分子量が2.0×106の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)20重量%と重量平均分子量が3.5×105の高密度ポリエチレン(HDPE)80重量%とからなり、Mw/Mn=16.8であるポリエチレン組成物(融点135℃、結晶分散温度90℃)に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタンをポリエチレン組成物100重量部当たり0.375重量部加えたポリエチレン組成物を得た。得られたポリエチレン組成物30重量部を二軸押出機(内径58 mm、L/D=42、強混練タイプ)に投入し、この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70重量部を供給し、200℃及び200 rpmの条件で溶融混練して、押出機中にてポリエチレン溶液を調製した。続いて、このポリエチレン溶液を押出機の先端に設置されたTダイから二軸延伸膜が50μm程度になるように押し出し、50℃に温調された冷却ロールで引き取りながら、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートについて、バッチ延伸機を用いて114℃で5×5倍になるように二軸延伸を行い、延伸膜を得た。得られた膜を20 cm×20 cmのアルミニウム製の枠に固定し、25℃に温調された塩化メチレン(表面張力27.3mN/m(25℃)、沸点40.0℃)を含有する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで3分間揺動させながら洗浄した。洗浄後の膜について、不織布ロール(φ500mm、不織布の空隙率35 %、ロール内部の空洞部圧力:−10kPaG)を用いて60℃の温水中で塩化メチレンを吸引除去した(移送速度:20m/min)。次いで膜を70℃で熱風乾燥し、更に124℃で10分間熱固定してポリエチレンの微多孔膜を作製した。
【0092】
実施例2
25℃に温調された塩化メチレンを含有する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで3分間揺動させながら洗浄した後、25℃に温調されたメチルパーフルオロブチルエーテル((C4F9OCH3)、住友スリーエム(株)製HFE-7100、表面張力13.6mN/m(25℃)、沸点61℃、引火点なし(以下同様))を含有する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで1分間揺動させながらリンス処理し、リンス処理後の膜について、不織布ロール(φ500mm、不織布の空隙率35 %、ロール内部の空洞部圧力:−10kPaG)を用いて85℃の温水中でHFE-7100を吸引除去した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0093】
比較例1
塩化メチレンの除去を、60℃に温調された加熱ロール(φ100mm、3段)を用いて行った以外は実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0094】
比較例2
HFE-7100の除去を、80℃に温調された加熱ロール(φ100mm、3段)を用いて行った以外は実施例2と同様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0095】
比較例3
塩化メチレンの除去を、60℃に温調された加熱ロール(φ100mm、3段)上で60℃の乾燥エアーを6m3/minの風量で吹きつけることにより行った以外は実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0096】
比較例4
HFE-7100の除去を、80℃に温調された加熱ロール(φ100mm、3段)上で80℃の乾燥エアーを6m3/minの風量で吹きつけることにより行った以外は実施例2と同様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0097】
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた熱可塑性樹脂微多孔膜の物性を以下の方法で測定した。
・膜厚:接触厚み計により測定した。
・透気度:JIS P8117に準拠して測定した(膜厚30μm換算)。
・空孔率:重量法により測定した。
・膜幅変化率:洗浄溶媒除去前後の膜幅を測定し、その変化率を調べた。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示すように、本発明の方法により製造した実施例1及び2の熱可塑性樹脂微多孔膜はその空孔率及び透気度において優れ、かつ乾燥後の膜幅変化が小さい。一方、比較例1〜4の微多孔膜は、吸引ロールを用いずに乾燥しているために、実施例1及び2と比較して物性が劣っている。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の溶剤法による熱可塑性樹脂微多孔膜の製造において、溶剤を除去するために用いた洗浄溶媒を除去する工程で、吸引ロールを用いて吸引除去することにより、洗浄溶媒の拡散を抑制しながら高速に、かつ熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつつ除去することができる。本発明の製造方法により、空孔率、透過性及び寸法安定性に優れた微多孔膜を製造することができる。得られた微多孔膜は電池用セパレーター、フィルター等に有用である。 [0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present inventionPolyolefinRegarding the microporous membrane manufacturing method, in particular, the diffusion of the solvent and / or the washing solvent used to remove the plasticizer added during the film formation process.And shrinkage of microporous membraneHigh speed while suppressingRemovedPossible to leavePolyolefinManufacturing method of microporous membraneTo the lawRelated.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
Thermoplastic resin moldings are used in automobile interior and exterior materials, battery components, and the like, and have various forms including films and sheets. Among them, thermoplastic resin microporous membranes (microporous membranes) are widely used in various applications such as battery separators, diaphragms for electrolytic capacitors, various filters, moisture permeable and waterproof clothing, reverse osmosis filtration membranes, ultrafiltration membranes, and microfiltration membranes. It is used.
[0003]
When manufacturing such a thermoplastic resin molded body, a solvent and a plasticizer are often added particularly during film formation during film production. However, in the case of a product such as a microporous film in which the solvent and plasticizer should not remain in the final product, it is necessary to remove the added solvent and plasticizer. When removing the solvent or plasticizer, it is usually washed with a volatile washing solvent and then dried with hot air. However, the thermoplastic resin contracts during hot air drying, and the desired physical properties cannot be obtained. In particular, in the case of a microporous film, there is a problem that the transmittance is lowered because the pores contract.
[0004]
For this reason, conventionally, a method has been employed in which a gel-like molded body after film formation is fixed to a tenter and then dried with hot air, or fixed to a small-diameter multistage heating roll and dried. However, the tenter method has a problem that the membrane cannot be sufficiently retained because it does not have a gripping force that can resist the shrinkage force of the membrane, particularly when a cleaning solvent such as methylene chloride having high volatility is dried. When a multi-stage heating roll is used, it is necessary to make the roll small in diameter in order to secure the gripping force of the film. For this reason, the effective dry area on the roll is small, and bending due to roll rigidity reduction occurs. There was a problem that the film contracted in the width direction in the gap. Therefore, these methods are not necessarily suitable methods for drying at high speed while suppressing shrinkage of the thermoplastic resin. There is also a method of combining small-diameter multi-stage heating rolls with hot air drying, but especially when hot air drying is performed at high speed, there is a problem that the recovery of the volatilized cleaning solvent becomes severe, making recovery difficult. There was a problem when using a cleaning solvent such as methylene chloride, which could cause environmental pollution.
[0005]
Accordingly, the object of the present invention is to eliminate the above-mentioned drawbacks of the prior art and to diffuse the solvent and / or the washing solvent used for removing the plasticizer during the film forming process.And shrinkage of microporous membraneHigh speed while suppressingRemovedPossible to leavePolyolefinIt is to provide a method for producing a microporous membrane.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies in view of the above problems, the present inventors havePolyolefinThe solution obtained by melt-kneading the solvent and the solvent is extruded from a die and the remaining solvent is removed from the gel-like product obtained by cooling with a washing solvent.Washed polyolefin microporous membrane(Hereinafter, the removal of the solvent with the washing solvent is referred to as “washing”), and then the step of removing the washing solvent is included.PolyolefinIn the method for producing a microporous membrane, a suction force is applied,Washed polyolefin microporous membraneFrom the above, it was found that the above problem can be solved by removing the washing solvent by suction, and the present invention was conceived.
[0007]
That is, the present inventionPolyolefinThe manufacturing method of the microporous membrane is:The solution obtained by melt-kneading the polyolefin and the solvent is extruded from a die, and the remaining solvent is removed from the gel-like molded product obtained by cooling with a washing solvent. A step of removing the cleaning solvent, wherein the cleaning solvent is suctioned and removed from the cleaning polyolefin microporous film using a suction roll having a nonwoven fabric on the outer peripheral surface of the roll in a poor solvent for the cleaning solvent.It is characterized by that.
[0008]
By removing by suction, diffusion of the cleaning solvent during removal can be prevented, and therefore, when a cleaning solvent that may cause environmental pollution such as methylene chloride is used, there is an effect of preventing environmental pollution. As a suction meansHas non-woven fabric on the roll outer surfaceBy using a suction roll,Washed polyolefin microporous membraneIt is possible to suck and remove the washing solvent at high speed while suppressing the shrinkage of. BadThe woven fabric roll exhibits a uniform and effective suction function over the entire outer peripheral surface of the roll body, and has a high suction resistance, and therefore can be suitably used for suction removal of the cleaning solvent.The porosity of the nonwoven fabric is preferably 5 to 50%.By performing suction removal in a poor solvent for the cleaning solvent, the cleaning solvent is sucked together with the poor solvent, and the removal is effectively performed.It is preferable to use water as the poor solvent.At this time, by performing at a temperature equal to or higher than the boiling point of the cleaning solvent, the cleaning solvent is effectively removed by the action of vaporization.The upper limit of the temperature of the poor solvent is preferably not more than the crystal dispersion temperature of the polyolefin.
[0009]
Thermoplastic resin microporous membraneHowever, it is preferable that the thermoplastic resin satisfies the following conditions (1) to (12).
(1) At least one selected from the group consisting of polyolefin, polyester, polyamide, polyarylene ether, and polyarylene sulfide.
(2) The polyolefin described in (1) above is polyethylene or a polyethylene composition.
(3) The polyethylene according to (2) above has a weight average molecular weight of 1 × 10Four~ 5 × 106It is.
(4) The polyethylene according to (2) above has a weight average molecular weight of 1 × 10Five~ 4 × 106It is.
(5) The polyethylene according to any one of the above (2) to (4) is at least one selected from the group consisting of ultrahigh molecular weight polyethylene, high density polyethylene, medium density polyethylene and low density polyethylene.
(6) The polyethylene according to any one of (2) to (5) above has a weight average molecular weight of 5 × 10.FiveThe above ultra high molecular weight polyethylene.
(7) The weight average molecular weight / number average molecular weight (hereinafter referred to as “Mw / Mn”) of the polyethylene according to any one of (2) to (6) is 5 to 300.
(8) The polyethylene composition as described in (2) above comprises at least two selected from the group consisting of ultrahigh molecular weight polyethylene, high density polyethylene, medium density polyethylene and low density polyethylene.
(9) The polyethylene composition according to (2) or (8) above has a weight average molecular weight of 5 × 10FiveUltra high molecular weight polyethylene and weight average molecular weight 1 × 10Four5 × 10 or moreFiveLess than high density polyethylene.
(10) Mw / Mn of the polyethylene composition according to the above (2), (8), (9) is 5 to 300.
(11) The polyolefin described in (1) above has a shutdown function (inside of the battery) in the polyethylene described in (3) to (7) or the polyethylene composition described in any of (8) to (10). In order to prevent accidents such as ignition when the temperature rises, branched low-density polyethylene and linear low-density polyethylene as polyolefins that give the function of blocking the current by melting the microporous membrane and clogging the microporous Polyethylene, ethylene-α-olefin copolymer produced using a single site catalyst, and molecular weight 1 × 10Three~ 4 × 10ThreeA polyolefin composition to which at least one selected from the group consisting of low molecular weight polyethylenes is added.
(12) The polyolefin is added to the polyethylene described in (3) to (7) above or the polyethylene composition described in any of (8) to (11) above with a meltdown temperature (breakdown of a thermoplastic microporous membrane). It is a polyolefin composition to which polypropylene for improving the film temperature is added.
[0010]
A cleaning solvent is used to remove the solvent used in preparing the melt-kneaded product. At this time, it is preferable to use a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, preferably 20 mN / m or less. This improves the porosity, permeability and dimensional stability, particularly when producing a thermoplastic microporous membrane. This is presumed to be because the use of the cleaning solvent (A) can suppress the shrinkage and densification of the network structure due to the surface tension of the cleaning solvent in the cleaning step and / or the cleaning solvent removal step.
Washing is preferably performed by two or more steps, and at this time, it is preferable to use the washing solvent (A) in at least the final step. This improves the cleaning effect. The washing solvent (A) is preferably used within a temperature range in which the surface tension is 24 mN / m or less.
[0011]
In order for the thermoplastic resin microporous membrane to obtain more excellent characteristics, the cleaning solvent (A) preferably satisfies the following conditions (13) to (19).
(13) The surface tension becomes 20 mN / m or less at 25 ° C.
(14) Hydrofluorocarbon, hydrofluoroether, cyclic hydrofluorocarbon, perfluorocarbon, perfluoroether, normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms, aliphatic ether having 6 or less carbon atoms, cyclopentane, etc. Cycloparaffin, 2-pentanone, methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, tertiary butanol, isobutanol, 2-pentanol, propyl acetate, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, ethyl acetate, isopropyl acetate, It is at least one selected from the group consisting of isobutyl acetate, methyl formate, ethyl formate, isopropyl formate, isobutyl formate and ethyl propionate.
(15) CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula: CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula: CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by the composition formula: C6F14And C7F16Perfluorocarbon represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveAt least one fluorine-based compound selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula:
(16) At least one normal paraffin selected from the group consisting of normal pentane, normal hexane, normal heptane, normal octane, normal nonane and normal decane.
(17) 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2-methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2,2-dimethylpentane, 2 , 3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane, 3,3-dimethylpentane, 2,2,3-trimethylbutane, 2-methylheptane, 3-methylheptane, 2,2-dimethylhexane, 2,3- Dimethylhexane, 2,5-dimethylhexane, 3,4-dimethylhexane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,4-trimethylpentane, 2,3,3-trimethylpentane, 2,3,4- At least one isoparaffin selected from the group consisting of trimethylpentane, 2-methyloctane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2-methylnonane and 2,3,5-trimethylheptane is there.
(18) At least one ether selected from the group consisting of diethyl ether, butyl ethyl ether, dipropyl ether and diisopropyl ether.
(19) At least one selected from the group consisting of a mixture of an aliphatic alcohol having 3 or less carbon atoms and water mixed at 25 ° C. so that the surface tension is 24 mN / m or less.
[0012]
Washing is preferably performed by two or more steps. In that case, a step of using a washing solvent (washing solvent (B)) other than the washing solvent (A) may be included. At this time, it is preferable to use the washing solvent (A) in the final step. As the cleaning solvent (B), it is preferable to use at least one selected from the group consisting of a readily volatile solvent and a non-aqueous solvent having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher.
[0013]
In order for the thermoplastic resin microporous membrane to obtain more excellent characteristics, it is preferable that the cleaning solvent (B) satisfies the following conditions (20) to (32).
(20) At least one selected from the group consisting of methylene chloride, carbon tetrachloride, ethane trifluoride, methyl ethyl ketone, pentane, hexane, heptane, diethyl ether and dioxane.
(21) Normal paraffins having 8 or more carbon atoms, normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, isoparaffins having 8 or more carbon atoms, cycloparaffins having 7 or more carbon atoms, hydrogen atoms A cycloparaffin having 5 or more carbon atoms, at least a part of which is substituted with a halogen atom, an aromatic hydrocarbon having a carbon number of 7 or more, an aromatic hydrocarbon having 6 or more carbon atoms in which at least a part of the hydrogen atoms are substituted with a halogen atom An alcohol having 5 to 10 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, an ester and an ether having 7 to 14 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, and It is at least one selected from the group consisting of ketones having 5 to 10 carbon atoms.
(22) The normal paraffin having 8 or more carbon atoms has 8 to 12 carbon atoms, more preferably at least one selected from the group consisting of normal octane, normal nonane, normal decane, normal undecane and normal dodecane. is there.
(23) Normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms are 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-chloroheptane, 1-chlorooctane, 1-bromopentane. 1-bromohexane, 1-bromoheptane, 1-bromooctane, 1,5-dichloropentane, 1,6-dichlorohexane and 1,7-dichloroheptane.
(24) The above-mentioned isoparaffin having 8 or more carbon atoms includes 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2, It is at least one selected from the group consisting of 3,5-trimethylheptane and 2,5,6-trimethyloctane.
(25) The cycloparaffin having 7 or more carbon atoms includes cycloheptane, cyclooctane, methylcyclohexane, cis- and trans-1,2-dimethylcyclohexane, cis- and trans-1,3-dimethylcyclohexane, and cis-and At least one selected from the group consisting of trans-1,4-dimethylcyclohexane.
(26) The cycloparaffin having 5 or more carbon atoms in which part of the hydrogen atoms is substituted with a halogen atom is at least one selected from the group consisting of chlorocyclopentane and chlorocyclohexane.
(27) The aromatic hydrocarbon having 7 or more carbon atoms is at least one selected from the group consisting of toluene, orthoxylene, metaxylene and paraxylene.
(28) The aromatic hydrocarbon having 6 or more carbon atoms in which a part of the hydrogen atoms is substituted with a halogen atom is chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene, 4-chlorotoluene, 3-chloroorthoxylene, It is at least one selected from the group consisting of 4-chloroorthoxylene, 2-chlorometaxylene, 4-chlorometaxylene, 5-chlorometaxylene and 2-chloroparaxylene.
(29) Alcohols having 5 to 10 carbon atoms in which part of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms are isopentyl alcohol, tertiary pentyl alcohol, cyclopentanol, cyclohexanol, 3-methoxy-1- It is at least one selected from the group consisting of butanol, 3-methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal butyl ether and 5-chloro-1-pentanol.
(30) Esters having 7 to 14 carbon atoms in which part of the hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms are diethyl carbonate, diethyl maleate, normal propyl acetate, normal butyl acetate, isopentyl acetate, 3-methoxy acetate It is at least one selected from the group consisting of butyl, 3-methoxy-3-methylbutyl acetate, ethyl normal butyrate, ethyl normal valerate, and 2-chloroethyl acetate.
(31) The ether having 7 to 14 carbon atoms in which a part of the hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom is at least one selected from the group consisting of normal butyl ether, diisobutyl ether and bischloroethyl ether.
(32) The ketone having 5 to 10 carbon atoms is at least one selected from the group consisting of 2-pentanone, 3-pentanone, 2-hexanone, 3-hexanone, cyclopentanone and cyclohexanone.
[0014]
In washing, the washing solvent (A) alone or the washing solvent (A) and the washing solvent (B) may be used to carry out a multistage treatment of three or more stages, and in this case, it is preferably carried out in a three-stage to five-stage process. .
[0015]
As an optional component (C) in the washing solvent (B), for example, CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveA mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula:
[0016]
Obtained by the production method of the present inventionPolyolefinThe physical properties of the microporous membrane are a porosity of 25 to 80% and an air permeability of 10 to 2000 seconds / 100 cc (converted to a film thickness of 30 μm).
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[1] thermoplastic resin
Thermoplastic resinExamples thereof include polyolefins, polyesters, polyamides, polyarylene ethers and polyarylene sulfides. Of these, polyolefins are preferred. The polyolefin may be either a single polyolefin (not a mixture) or a polyolefin composition comprising two or more polyolefins.
[0018]
In the case of a single polyolefin, polyethylene is preferred. The weight average molecular weight of polyethylene is not particularly limited, but is usually 1 × 10Four~ 1 × 107Preferably 1 × 10Four~ 5 × 106And more preferably 1 × 10Five~ 4 × 106It is.
[0019]
Examples of polyethylene include ultra high molecular weight polyethylene, high density polyethylene, medium density polyethylene, and low density polyethylene. Of these, ultra high molecular weight polyethylene is preferred. Ultra high molecular weight polyethylene has a weight average molecular weight of 5 x 10FiveOr more, preferably 1 × 106~ 15 × 106Is more preferable, 1 × 106~ 5 × 106Is particularly preferred. Weight average molecular weight 15 × 106By making it below, melt extrusion can be facilitated. The polyethylene may be not only a homopolymer of ethylene but also a copolymer containing a small amount of other α-olefin. Suitable α-olefins other than ethylene include propylene, butene-1, hexene-1, pentene-1, 4-methylpentene-1, octene, vinyl acetate, methyl methacrylate, styrene, and the like.
[0020]
The molecular weight distribution Mw / Mn of polyethylene is not limited, but is preferably 5 to 300, more preferably 10 to 100. When Mw / Mn is less than 5, the high molecular weight component is excessively increased, making melt extrusion difficult, and when Mw / Mn exceeds 300, the low molecular weight component is excessively increased, leading to a decrease in strength. Mw / Mn is used as a measure of molecular weight distribution, and the larger the value, the wider the molecular weight distribution. That is, in the case of a single polyolefin, Mw / Mn shows the spread of its molecular weight distribution, and the larger the value, the wider the molecular weight distribution. Mw / Mn can be appropriately adjusted by preparing polyethylene by multistage polymerization. The multistage polymerization method is preferably a two-stage polymerization in which a high molecular weight component is polymerized in the first stage and then a low molecular weight component is polymerized in the second stage.
[0021]
As the polyolefin, a polyethylene composition in which two or more kinds of polyethylene are mixed may be used. That is, two or more kinds of ultrahigh molecular weight polyethylenes having different weight average molecular weights, two or more kinds of high density polyethylenes having different weight average molecular weights, two or more kinds of medium density polyethylenes having different weight average molecular weights, and two or more kinds of weights Low density polyethylenes with different average molecular weights may be used, or two or more types of polyethylene selected from the group consisting of ultrahigh molecular weight polyethylene, high density polyethylene, medium density polyethylene and low density polyethylene may be mixed. . Above all, weight average molecular weight 5 × 10FiveUltra high molecular weight polyethylene above and weight average molecular weight 1 × 10Four5 × 10 or moreFiveA polyethylene composition comprising less than polyethylene is preferred. Weight average molecular weight 1 × 10Four5 × 10 or moreFiveAs the lower polyethylene, any of high-density polyethylene, medium-density polyethylene and low-density polyethylene can be used, but it is particularly preferable to use high-density polyethylene. Weight average molecular weight 1 × 10Four5 × 10 or moreFiveTwo or more types of polyethylenes having different molecular weights may be used, or two or more types having different types (density) may be used. The upper limit of the weight average molecular weight of the polyolefin composition is 15 × 106The melt extrusion can be facilitated by the following. Weight average molecular weight in polyolefin composition 5 × 10FiveThe polyethylene content is preferably 21% by weight or more, more preferably 21 to 50% by weight, based on 100% by weight of the entire polyolefin composition.
[0022]
The Mw / Mn of the polyolefin composition is preferably 5 to 300, more preferably 10 to 100. When Mw / Mn is less than 5, the high molecular weight component is excessively increased and melt extrusion becomes difficult, and when Mw / Mn exceeds 300, the low molecular weight component is excessively increased and the strength is lowered. In the case of a polyolefin composition, the larger the Mw / Mn, the larger the difference in the weight average molecular weight of each polyolefin to be blended, and the smaller the Mw / Mn, the smaller the difference in the weight average molecular weight. Mw / Mn can be appropriately adjusted by adjusting the molecular weight and mixing ratio of each component in the polyolefin composition.
[0023]
When used for a battery separator, the polyolefin composition preferably contains polypropylene in order to improve the meltdown temperature (the membrane breaking temperature of the thermoplastic microporous membrane). The weight average molecular weight of polypropylene is 1 × 10Four~ 4 × 106Is preferred. As the polypropylene, a block copolymer and / or a random copolymer can be used in addition to the homopolymer. The block copolymer and the random copolymer can contain a copolymer component with other α-olefin other than propylene, and ethylene is preferable as the other α-olefin. The amount of polypropylene added is preferably 80 parts by weight or less based on 100 parts by weight of the entire polyolefin composition.
[0024]
In order to improve the properties as a battery separator, the polyolefin composition preferably contains a polyolefin imparting a shutdown function. The aforementioned low-density polyethylene can be used as the polyolefin imparting the shutdown function. The low density polyethylene is preferably at least one selected from the group consisting of branched low density polyethylene (LDPE), linear low density polyethylene (LLDPE), and an ethylene / α-olefin copolymer produced by a single site catalyst. . As a polyolefin that provides a shutdown function, the weight average molecular weight is 1 × 10Three~ 4 × 10ThreeThe low molecular weight polyethylene may be added. However, if the amount added is large, breakage is likely to occur when stretching, and therefore the amount added is preferably 20 parts by weight or less based on 100 parts by weight of the entire thermoplastic resin.
[0025]
As the polyolefin composition containing ultra high molecular weight polyethylene, the above weight average molecular weight 1 × 10Four5 × 10 or moreFiveIn addition to less than polyethylene, the above-mentioned polypropylene for improving the meltdown temperature, and the above-mentioned polyolefin imparting a shutdown function, a weight average molecular weight of 1 × 10Four~ 4 × 106Polybutene-1, weight average molecular weight 1 × 10Three~ 1 × 10FourPolyethylene wax and weight average molecular weight 1 × 10Four~ 4 × 106A polyolefin composition to which at least one polyolefin selected from the group consisting of ethylene / α-olefin copolymers is added can also be used. Thus, when it is set as the polyolefin composition which added other polyolefin to ultra high molecular weight polyethylene, it is preferable that the addition amount of other polyolefin shall be 80 weight part or less by making the whole polyolefin composition into 100 weight part.
[0026]
[2] Process for producing thermoplastic resin microporous membrane
The method for producing a thermoplastic resin microporous membrane includes the steps of: (a) adding a solvent to the thermoplastic resin and melt-kneading to prepare a thermoplastic resin solution; (b) extruding the thermoplastic resin solution from a die lip and cooling. Forming a gel-like molded product, (c) removing the solvent from the gel-like molded product, and (d) removing the washing solvent from the obtained film. Furthermore, after the steps (a) to (d), (e) a crosslinking treatment by ionizing radiation, (f) a heat treatment, and (g) a hydrophilization treatment may be performed as necessary. Moreover, you may put the process extended | stretched before and after the (d) process as needed.
[0027]
(a) Preparation process of thermoplastic resin solution
First, an appropriate solvent is added to the thermoplastic resin and melt-kneaded to prepare a thermoplastic resin solution. Various additives such as an antioxidant, an ultraviolet absorber, an anti-blocking agent, a pigment, a dye, and an inorganic filler can be added to the thermoplastic resin solution as necessary within a range that does not impair the object of the present invention. . For example, finely divided silicic acid can be added as a pore forming agent.
[0028]
Either a liquid solvent or a solid solvent can be used as the solvent. Examples of the liquid solvent include nonane, decane, decalin, paraxylene, undecane, dodecane, aliphatic hydrocarbons such as liquid paraffin, and mineral oil fractions having boiling points corresponding to these. In order to obtain a gel-like molded product having a stable solvent content, it is preferable to use a non-volatile liquid solvent such as liquid paraffin. The solid solvent preferably has a melting point of 80 ° C. or lower. Examples of such a solid solvent include paraffin wax, ceryl alcohol, stearyl alcohol, dicyclohexyl phthalate, and the like. You may mix and use a liquid solvent and a solid solvent suitably.
[0029]
The viscosity of the liquid solvent is preferably 30 to 500 cSt at 25 ° C., and more preferably 50 to 200 cSt. If the viscosity at 25 ° C. is less than 30 cSt, non-uniform discharge from the die lip occurs, and kneading is difficult, and if it exceeds 500 cSt, solvent removal becomes difficult.
[0030]
The method of melt kneading is not particularly limited, but it is usually carried out by uniformly kneading in an extruder. This method is suitable for preparing a high concentration solution of a thermoplastic resin. Since the melting temperature is preferably the melting point of the thermoplastic resin + 10 ° C. to + 100 ° C., it is preferably 140 to 230 ° C., more preferably 170 to 200 ° C. Here, the melting point refers to a value obtained by differential scanning calorimetry (DSC) based on JIS K7121. The solvent may be added before the start of kneading, or may be added from the middle of the extruder during the kneading, but it is preferable to add the solvent before starting the kneading to make a solution in advance. In melt kneading, it is preferable to add an antioxidant in order to prevent oxidation of the thermoplastic resin.
[0031]
In the thermoplastic resin solution, the blending ratio of the thermoplastic resin and the solvent is 1 to 50% by weight, preferably 20 to 40% by weight with respect to 100% by weight of the total of both. When the thermoplastic resin is less than 1% by weight, swell and neck-in increase at the die outlet when forming a gel-like molded product, and the moldability and self-supporting property of the gel-like molded product are lowered. On the other hand, if it exceeds 50% by weight, the moldability of the gel-like molded product is lowered.
[0032]
(b) Formation process of gel-like molding
The melt-kneaded thermoplastic resin solution is directly or through another extruder, or once cooled and pelletized, and then extruded from the die lip through the extruder again. As the die lip, a sheet die lip having a rectangular base shape is usually used, but a double cylindrical hollow die lip, an inflation die lip, or the like can also be used. In the case of a sheet die lip, the gap of the die lip is usually 0.1 to 5 mm, and it is heated to 140 to 250 ° C. during extrusion. The extrusion rate of the heated solution is preferably 0.2 to 15 m / min.
[0033]
A gel-like molded product is formed by cooling the solution extruded from the die lip in this manner. Cooling is preferably performed at a rate of 50 ° C./min or more at least up to the gelation temperature or less, and is preferably cooled to 25 ° C. or less. In this way, the phase separation structure can be fixed. In general, when the cooling rate is low, the higher order structure of the gel-like molded product becomes coarse, and the pseudo cell unit forming it becomes large, but when the cooling rate is high, it becomes a dense cell unit. When the cooling rate is less than 50 ° C./min, the degree of crystallinity increases and it is difficult to obtain a gel-like product suitable for stretching. As a cooling method, a method of directly contacting cold air, cooling water, or other cooling medium, a method of contacting a roll cooled by a refrigerant, or the like can be used.
[0034]
(c) Gel-formed product stretching and solvent removal process
Depending on the purpose for which the thermoplastic resin microporous membrane is used, the gel-like molded product is stretched as necessary. In the case of stretching, after heating the gel-like molded product, it is performed at a predetermined magnification by a normal tenter method, roll method, inflation method, rolling method, or a combination of these methods. The stretching may be uniaxial stretching or biaxial stretching, but biaxial stretching is preferred. In the case of biaxial stretching, either longitudinal or lateral simultaneous stretching or sequential stretching may be used, but simultaneous biaxial stretching is particularly preferable. The mechanical strength is improved by stretching.
[0035]
Although the draw ratio varies depending on the thickness of the gel-like molded product, it is preferably 2 times or more and more preferably 3 to 30 times in uniaxial stretching. In biaxial stretching, it is preferable to set at least 3 times or more in any direction and 9 times or more in terms of surface magnification because the puncture strength can be improved. If the surface magnification is less than 9, the stretching is insufficient and a highly elastic and high strength thermoplastic resin microporous film cannot be obtained. On the other hand, when the surface magnification exceeds 400 times, there are restrictions in terms of stretching apparatus, stretching operation, and the like.
[0036]
The stretching temperature is preferably the melting point of the thermoplastic resin + 10 ° C. or less, and more preferably in the range from the crystal dispersion temperature to less than the crystal melting point. When the stretching temperature exceeds the melting point + 10 ° C., the resin melts and the molecular chain cannot be oriented by stretching. Further, if the stretching temperature is lower than the crystal dispersion temperature, the resin is not sufficiently softened, the film is easily broken during stretching, and high-stretching cannot be performed. In the present invention, the stretching temperature is usually 100 to 140 ° C, preferably 110 to 120 ° C. Here, the crystal dispersion temperature refers to a value obtained by measuring temperature characteristics of dynamic viscoelasticity based on ASTM D 4065. When stretching is performed, the solvent can be removed before stretching and / or after stretching, but is preferably performed after stretching.
[0037]
A cleaning solvent is used to remove (wash) the solvent. At this time, it is preferable to use a cleaning solvent (A) having a surface tension at 25 ° C. of 24 mN / m or less, preferably 20 mN / m or less. The washing solvent (A) is preferably one that is not compatible with the thermoplastic resin. By using such a washing solvent (A), it is possible to suppress the densification and densification of the network structure caused by the surface tension of the gas-liquid interface that occurs inside the micropores during drying after washing. As a result, the porosity / permeability of the microporous membrane can be improved. The surface tension of the cleaning solvent can be lowered as the use temperature is raised, but the usable temperature range is limited to the boiling point or less. In the present specification, “surface tension” means the tension generated at the interface between gas and liquid, and is measured based on JIS K 3362.
[0038]
As the cleaning solvent (A), fluorine compounds such as hydrofluorocarbon, hydrofluoroether, cyclic hydrofluorocarbon, perfluorocarbon, perfluoroether, normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms, carbon number 6 The following aliphatic ethers, cycloparaffins such as cyclopentane, aliphatic ketones such as 2-pentanone, aliphatic alcohols such as methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, tertiary butanol, isobutanol and 2-pentanol Propyl acetate, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, ethyl acetate, isopropyl acetate, isobutyl acetate, methyl formate, ethyl formate, isopropyl formate, isobutyl formate, aliphatic propionate, etc. Kill.
[0039]
Examples of fluorine compounds include CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveAt least one selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula: Since these fluorine compounds have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C., the effect of suppressing the shrinkage and densification of the network structure due to the surface tension is high. Further, since the boiling point is 100 ° C. or less, it is easy to remove the cleaning solvent. Furthermore, since there is no ozone destructive effect, the load on the environment can be reduced, and the flash point is 40 ° C. or higher (some compounds have no flash point), so the risk of flammable explosion during the drying process is low.
[0040]
As the normal paraffin having 5 to 10 carbon atoms, normal pentane, normal hexane, normal heptane, normal octane, normal nonane and normal decane are preferable. These have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. Of these, normal pentane, normal hexane and normal heptane, which have a boiling point of 100 ° C. or less and are easily dried, are more preferable.
[0041]
The isoparaffin having 6 to 10 carbon atoms is 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2-methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2, 2-dimethylpentane, 2,3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane, 3,3-dimethylpentane, 2,2,3-trimethylbutane, 2-methylheptane, 3-methylheptane, 2,2-dimethyl Hexane, 2,3-dimethylhexane, 2,5-dimethylhexane, 3,4-dimethylhexane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,4-trimethylpentane, 2,3,3-trimethylpentane, 2,3,4-trimethylpentane, 2-methyloctane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2-methylnonane and 2,3,5-trimethylheptane are preferred. Among these, 2-methylpentane, 3-methylpentane, 2,2-dibutylbutane, 2,3-dibutylbutane, 2-methylpentane, which has a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. and a boiling point of 100 ° C. or less, More preferred are methylhexane, 3-methylhexane, 3-ethylpentane, 2,2-dimethylpentane, 2,3-dimethylpentane, 2,4-dimethylpentane and 3,3-dimethylpentane.
[0042]
Preferred ethers having 6 or less carbon atoms are diethyl ether, butyl ethyl ether, dipropyl ether and diisopropyl ether. These have a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. and a boiling point of 100 ° C. or less.
[0043]
Cyclopentane, methanol, ethanol, 1-propanol and 2-propanol are preferred because their surface tension is 24 mN / m or less at 20 ° C. and boiling point is 100 ° C. or less.
[0044]
Among the aliphatic esters, tertiary butyl acetate, secondary butyl acetate, isopropyl acetate, isobutyl acetate, ethyl formate, isopropyl formate, and isobutyl formate having a surface tension of 24 mN / m or less at 20 ° C. are preferable. Furthermore, although boiling point is 100 degrees C or less, tertiary butyl acetate, ethyl formate, and isopropyl formate are more preferable.
[0045]
As the cleaning solvent (A), a mixture of an aliphatic alcohol having 3 or less carbon atoms and water blended so that the surface tension at 25 ° C. is 24 mN / m or less can also be used.
[0046]
The above-mentioned washing solvent (A) can be used as a mixture with other solvents. In this case, the mixing ratio is set so that the surface tension is 24 mN / m or less at 25 ° C. For example CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveIt is possible to use a mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula: and a hydrocarbon-based solvent such as paraffin.
[0047]
The washing is preferably performed in two or more steps, and a step of using a washing solvent (washing solvent (B)) other than the washing solvent (A) may be included. In this case, the washing solvent (A) may be used in at least one stage. The washing solvent (B) is preferably one that is not compatible with the thermoplastic resin, for example, known washing solvents such as pentane, hexane, heptane, etc., chlorinated hydrocarbons such as methylene chloride, carbon tetrachloride, etc. Fluorocarbons such as ethane trifluoride, ethers such as diethyl ether and dioxane, and easily volatile solvents such as methyl ethyl ketone can be used. A non-aqueous solvent having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher can also be used. The washing solvent (B) as described above is appropriately selected according to the solvent used for dissolving the polyolefin composition, and used alone or in combination.
[0048]
By such two or more cleaning steps, sufficient cleaning can be performed while suppressing the shrinkage and densification of the network caused by the surface tension of the cleaning solvent. Preferably, the washing solvent (A) is treated at least in the final stage. As a result, when the washing solvent (B) is used, the washing solvent (B) can be removed (hereinafter referred to as “rinsing treatment”), and the shrinkage and densification of the network that occurs when the washing solvent is removed after washing can be prevented. . As a result, it is effective in improving the porosity / permeability of the thermoplastic microporous membrane.
[0049]
When treating with the cleaning solvent (A) in the final step, the efficiency of the cleaning solvent removal step is improved by treating with the cleaning solvent (A) having a boiling point of 100 ° C. or lower. Furthermore, for example, CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14And C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveWhen a fluorine-based compound such as perfluoroether represented by the composition formula is used, there is also an effect that the environmental load in the production process can be further reduced as described above. In particular, when a solvent having a boiling point of 150 ° C. or higher is used as the cleaning solvent (B), the removal takes time, and the porosity / air permeability may be lowered due to the influence. However, a cleaning solvent having a boiling point of 100 ° C. or lower (A ) Can be used to solve the problem.
[0050]
Non-aqueous solvents that have a boiling point of 100 ° C or higher and a flash point of 0 ° C or higher that can be used as the cleaning solvent (B) are less volatile, have a low environmental impact, and have a low risk of flammable explosion in the cleaning solvent removal process. Therefore, it is safe to use. Moreover, since it has a high boiling point, it is easy to condense, recover easily, and is easy to recycle. In the present specification, “boiling point” means 1.01 × 10FiveIt refers to the boiling point at Pa, and “flash point” refers to the value measured based on JIS K 2265.
[0051]
Examples of the non-aqueous solvent include paraffinic compounds having a boiling point of 100 ° C. or higher and a flash point of 0 ° C. or higher, aromatics, alcohols, esters, ethers, ketones, and the like. The flash point is preferably 5 ° C. or higher, more preferably 40 ° C. or higher. However, making the non-aqueous solvent into an aqueous solution is not preferable because the solvent cannot be removed sufficiently.
[0052]
Examples of the non-aqueous solvent include normal paraffins having 8 or more carbon atoms, normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, isoparaffins having 8 or more carbon atoms, cycloparaffins having 7 or more carbon atoms, Cycloparaffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, aromatic hydrocarbons having 7 or more carbon atoms, and aromatics having 6 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms Group hydrocarbons, alcohols having 5 to 1 carbon atoms in which some hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms, esters having 7 to 14 carbon atoms in which some hydrogen atoms may be substituted with halogen atoms, and At least one selected from the group consisting of ethers and ketones having 5 to 10 carbon atoms is preferred.
[0053]
As the normal paraffin having 8 or more carbon atoms, normal octane, normal nonane, normal decane, normal undecane and normal dodecane are preferable, and normal octane, normal nonane and normal decane are more preferable.
[0054]
Examples of normal paraffins having 5 or more carbon atoms in which at least some of the hydrogen atoms are substituted with halogen atoms include 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-chloroheptane, 1-chlorooctane, 1-bromopentane, 1-bromopentane, Bromohexane, 1-bromoheptane, 1-bromooctane, 1,5-dichloropentane, 1,6-dichlorohexane, 1,7-dichloroheptane are preferred, 1-chloropentane, 1-chlorohexane, 1-bromopentane And 1-bromohexane is more preferred.
[0055]
Isoparaffins having 8 or more carbon atoms include 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane, 2,3,5-trimethylhexane, 2,3,5- Trimethylheptane and 2,5,6-trimethyloctane are preferred, and 2,3,4-trimethylpentane, 2,2,3-trimethylpentane, 2,2,5-trimethylhexane and 2,3,5-trimethylhexane are preferred. More preferred.
[0056]
Cycloparaffins having 7 or more carbon atoms include cycloheptane, cyclooctane, methylcyclohexane, cis- and trans-1,2-dimethylcyclohexane, cis- and trans-1,3-dimethylcyclohexane, and cis- and trans-1 1,4-dimethylcyclohexane is preferred, and cyclohexane is more preferred.
[0057]
As the cycloparaffin having 5 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms, chlorocyclopentane and chlorocyclohexane are preferable, and chlorocyclopentane is more preferable.
[0058]
As the aromatic hydrocarbon having 7 or more carbon atoms, toluene, orthoxylene, metaxylene and paraxylene are preferable, and toluene is more preferable.
[0059]
Aromatic hydrocarbons having 6 or more carbon atoms in which at least a part of hydrogen atoms are substituted with halogen atoms include chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene, 4-chlorotoluene, 3-chloroorthoxylene, 4-chloro Ortho-xylene, 2-chlorometaxylene, 4-chlorometaxylene, 5-chlorometaxylene and 2-chloroparaxylene are preferred, and chlorobenzene, 2-chlorotoluene, 3-chlorotoluene and 4-chlorotoluene are more preferred.
[0060]
Examples of the alcohol having 5 to 10 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom include isopentyl alcohol, tertiary pentyl alcohol, cyclopentanol, cyclohexanol, 3-methoxy-1-butanol, 3 -Methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal butyl ether and 5-chloro-1-pentanol are preferred, 3-methoxy-1-butanol, 3-methoxy-3-methyl-1-butanol, propylene glycol normal Butyl ether and 5-chloro-1-pentanol are more preferred.
[0061]
Examples of the ester having 7 to 14 carbon atoms in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom include diethyl carbonate, diethyl maleate, normal propyl acetate, normal butyl acetate, isopentyl acetate, 3-methoxybutyl acetate, acetic acid 3 -Methoxy-3-methylbutyl, ethyl normal butyrate, ethyl normal valerate, 2-chloroethyl acetate are preferred, and isopentyl acetate, 3-methoxybutyl acetate, 3-methoxy-3-methylbutyl acetate, ethyl normal butyrate and 2-chloroethyl acetate are preferred. More preferred.
[0062]
As the C7-14 ether in which a part of hydrogen atoms may be substituted with a halogen atom, dipropylene glycol dimethyl ether, normal butyl ether, diisobutyl ether, and bischloroethyl ether are preferable, and dipropylene glycol dimethyl ether and bischloroethyl are preferred. Ether is more preferred.
[0063]
As the ketone having 5 to 10 carbon atoms, 2-pentanone, 3-pentanone, 2-hexanone, 3-hexanone, cyclopentanone and cyclohexanone are preferable, and 2-pentanone and 3-pentanone are more preferable.
[0064]
The washing solvent (B) as described above may be used as a mixture, but as the washing solvent (B), the optional component (C), for example, the washing solvent (A) mentioned as CFiveH2FTenA chain hydrofluorocarbon represented by the composition formula of, for example, CFourF9OCHThreeAnd CFourF9OC2HFiveHydrofluoroether represented by the composition formula of, for example, CFiveHThreeF7A cyclic hydrofluorocarbon represented by a composition formula of, for example, C6F14Or C7F16Perfluorocarbons represented by the composition formula ofFourF9OCFThreeAnd CFourF9OC2FFiveA mixture of at least one solvent selected from the group consisting of perfluoroethers represented by the composition formula (1) may be used. In this case, the cleaning solvent (B) and the optional component (C) are preferably mixed at a ratio of the surface tension of 24 mN / m or less at any temperature of 20 to 80 ° C., specifically, the mixed solvent In 100 parts by weight, the optional component (C) is 2 to 98 parts by weight, preferably 5 to 50 parts by weight. By containing 2 to 98 parts by weight of the optional component (C), sufficient cleaning can be performed while suppressing shrinkage densification of the network caused by the surface tension of the cleaning solvent.
[0065]
As the cleaning solvent (B), a solvent having a surface tension of 24 mN / m or less at any temperature of 20 to 80 ° C. is preferably used. For example, normal pentane, hexane, heptane, trifluoroethane, diethyl ether, 2-methylpentane, 3-methylpentane, cyclohexane, cyclopentane, acetone, methyl ethyl ketone and the like.
[0066]
Here, preferred combinations of the washing solvent (B) used in the first stage of washing and the washing solvent (A) used in the second stage are shown. However, as will be described later, the cleaning using the cleaning solvent (A) and the cleaning solvent (B) can be performed in three or more stages. Therefore, these are not intended to be performed in two stages. For example, cleaning solvent (B) / cleaning solvent (A) = methylene chloride / CFourF9OCHThree, Methylene chloride / C6F14, Methylene chloride / C7F16, Methylene chloride / normal heptane, methylene chloride / normal hexane, methylene chloride / diethyl ether, ether / hydrofluoroether, ether / cyclic hydrofluorocarbon, ether / alcohol, mixture of ether / alcohol and water, normal paraffin / hydrofluoroether Normal paraffin / cyclic hydrofluorocarbon, normal paraffin / alcohol, normal paraffin / alcohol and water mixture, isoparaffin / hydrofluoroether, isoparaffin / cyclic hydrofluorocarbon, isoparaffin / alcohol, isoparaffin / alcohol and water mixture, cycloparaffin / Hydrofluoroether, cycloparaffin / cyclic hydrofluorocarbon, cyclopara Fin / alcohol, a mixture of cycloparaffins / alcohol and water, ketone / hydrofluoroethers, ketone / cyclic hydrofluorocarbon, a mixture of a ketone / alcohol, and ketones / alcohols and water. More preferably, washing solvent (B) / washing solvent (A) = methylene chloride / CFourF9OCHThree, Methylene chloride / C6F14, Methylene chloride / C7F16, Methylene chloride / normal heptane, methylene chloride / normal hexane, methylene chloride / diethyl ether, normal heptane / CFourF9OCFThree, And normal heptane / C6F14It is. By using such a combination, it is possible to improve the porosity / transmittance of the microporous membrane while effectively removing the solvent.
[0067]
Washing with the washing solvent (A) alone or with the washing solvent (A) and the washing solvent (B) may be performed in three or more steps. One-step or two-step treatment is effective when the solvent cannot be sufficiently removed and the physical properties of the resulting thermoplastic resin microporous film are lowered. In this case, the cleaning solvent (A) may be used at least in the final step, and the number of times of cleaning is not particularly limited, but is usually 3 to 5 steps, preferably 3 to 4 steps. Also, even if each stage is treated with the same washing solvent, the manufacturing process is simply lengthened, so the space for the thermoplastic resin microporous membrane manufacturing facility is expanded and the efficiency of solvent removal is reduced. It is preferred to use a different cleaning solvent. However, it is not limited to using different cleaning solvents. Thus, for example, in the case of a three-stage treatment, the same washing solvent can be used in the first stage and the second stage, and a different washing solvent from the first and second stages can be used in the third stage.
[0068]
The cleaning method includes a method of immersing and extracting in the cleaning solvent (A) and / or the cleaning solvent (B), a method of showering the cleaning solvent (A) and / or the cleaning solvent (B), or a method using a combination thereof. It can be carried out. The washing solvent (A) and the washing solvent (B) are preferably used in an amount of 300 to 30000 parts by weight per 100 parts by weight of the gel-like molded product. Further, when washing is performed by two or more steps using the washing solvent (A) and the washing solvent (B), the amount of the washing solvent (A) used is 100 parts by weight of the amount of the washing solvent (B) used. The amount is preferably 50 to 200 parts by weight. Washing with the washing solvent (A) alone or with the washing solvent (A) and the washing solvent (B) is preferably carried out until the remaining solvent is less than 1% by weight based on the amount added.
[0069]
The washing temperature with the washing solvent (B) depends on the boiling point of the washing solvent (B). When the boiling point of the cleaning solvent (B) is 150 ° C. or lower, it can be cleaned at room temperature, and may be heated and cleaned as necessary, and it is generally preferable to wash at 20 to 80 ° C. When the boiling point of the cleaning solvent (B) is 150 ° C. or higher, the penetration into the membrane is poor at room temperature.
[0070]
The cleaning temperature and / or rinsing temperature with the cleaning solvent (A) depends on the surface tension of the cleaning solvent (A). Specifically, it is preferable to perform the cleaning and / or rinsing treatment at a temperature at which the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m or less. If the ambient air temperature is less than the temperature at which the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m or less, heating is performed as necessary to a temperature at which the surface tension is 24 mN / m or less. Since the surface tension of the cleaning solvent (A) is 24 mN / m 2 or less at 25 ° C. at most, heating is not necessary in most cases, and cleaning and / or rinsing treatment can be performed at normal room temperature.
[0071]
(d) Cleaning solvent removal process
By applying a suction force to the film obtained by stretching and solvent removal, the cleaning solvent is removed by suction. By removing by suction, diffusion of the cleaning solvent during removal can be prevented, and therefore, when a cleaning solvent that may cause environmental pollution such as methylene chloride is used, there is an effect of preventing environmental pollution. Examples of means for applying a suction force include a suction roll and a suction belt. Among these, it is preferable to use a suction roll. By using the suction roll, it is possible to remove the cleaning solvent while suppressing the shrinkage of the thermoplastic resin, and it is possible to perform suction removal in a poor solvent described later. The suction roll has a roll-shaped (cylindrical) outer shape, and has a hollow portion that can be subjected to vacuum loading in the longitudinal direction inside the shaft portion. A cylindrical shaft main body, a pair of side plates provided at both ends of the shaft main body and communicating with the cavity, and a pair of through holes communicating with the through holes of the side plates. A bearing portion is provided. The hollow portion is decompressed by being sucked by a vacuum pump communicating through a pipe from the through hole of the bearing portion, and the suction roll can suck liquid and gas on the outer peripheral surface of the roll while being driven and rotated by a motor. .
[0072]
Examples of the suction roll include a punching roll, a slit roll, and a wire roll, and a nonwoven fabric roll formed by superimposing a large number of nonwoven fabrics on the outer peripheral surface of these rolls is particularly preferable. A nonwoven fabric roll having a suction mechanism as described above (hereinafter simply referred to as “nonwoven fabric roll”) excites the capillary effect in the radial direction inside the nonwoven fabric portion in a liquid absorption state when the cleaning solvent is sucked, and the roll In addition to exerting a liquid-absorbing capillary effect in the direction of the outer peripheral surface, exhibiting a uniform and effective absorption function over the entire outer peripheral surface of the roll body, and having a high suction resistance, it can be suitably used for suction removal of the cleaning solvent. When there is no non-woven fabric on the outer peripheral surface of the roll, the suction resistance is low, especially the ratio of sucking air or a poor solvent to be described later from through holes (punched holes, slits, gaps between wires, etc.) not covered with a microporous film On the contrary, the suction efficiency of the cleaning solvent is lowered, which is not preferable. In addition, it is preferable that the shape, size, and arrangement of the through holes are set so that the suction force acts uniformly on the outer peripheral surface of the nonwoven fabric roll.
[0073]
As the nonwoven fabric used for the nonwoven fabric roll, not only polyolefins, polyamides, polyesters, polyacrylonitriles or copolymers thereof which are generally used, but also nonwoven fabrics such as fluorine resins and polyphenyl sulfide resins can be used. When sucking the microporous membrane, the non-woven fabric preferably has a porosity of 5 to 50%. If the porosity of the nonwoven fabric roll is less than 5%, the squeezing property of the liquid is deteriorated, and if it exceeds 50%, the nonwoven fabric becomes sponge-like and weak in strength, which is not preferable.
[0074]
When sucking the microporous membrane, the diameter of the nonwoven fabric roll is preferably 50 to 500 cm. The vacuum pump for suction is preferably one having the ability to make the pressure of the cavity inside the roll provided with the non-woven fabric layer as described above become -5 kPaG or less.
[0075]
The film obtained by stretching and solvent removal is transferred while the cleaning solvent is removed by suction on the outer peripheral surface of the suction roll. At this time, the membrane sticks to the roll by suction, and the cleaning solvent is suctioned and removed in a fixed state. Therefore, the cleaning solvent can be removed at high speed while suppressing shrinkage of the membrane. In particular, in the case of a microporous film, since it can be removed and dried while allowing air to pass through the holes by suction, there is an effect of suppressing the shrinkage of the holes. The transfer speed by the suction roll is preferably 1 to 50 m / min. At this time, the suction roll may be heated while improving the drying effect. However, the heating temperature is not higher than the crystal dispersion temperature of the thermoplastic resin, preferably 5 ° C. or more lower than the crystal dispersion temperature. In addition, since the diffusion of the cleaning solvent becomes intense due to heating, it is preferable to suck at room temperature when using a cleaning solvent that may cause environmental contamination such as methylene chloride.
[0076]
In order to further suppress the shrinkage of the pores of the microporous membrane, it is preferable to perform suction in a poor solvent with respect to the cleaning solvent. In this case, a tank for the poor solvent is installed so that the suction roll is immersed in the poor solvent. The membrane is transferred through the poor solvent tank while being sucked by a suction roll, and the cleaning solvent is sucked together with the poor solvent, so that the removal is performed effectively and the poor solvent passes through the pores. It is possible to perform cleaning while further suppressing the above. At this time, the poor solvent tank is preferably heated to a temperature of at least the boiling point of the cleaning solvent of −20 ° C. or higher, preferably the boiling point of the cleaning solvent or higher. However, it is performed at a temperature not higher than the crystal dispersion temperature of the thermoplastic resin, preferably 5 ° C. or more lower than the crystal dispersion temperature. As a result, the action of vaporization of the cleaning solvent is promoted and effectively removed. In this case, since suction is performed in a poor solvent, vaporization and diffusion of the cleaning solvent caused by heating can be suppressed. When heating, a poor solvent having a boiling point higher than that of the washing solvent is used. The poor solvent is not particularly limited as long as it is poorly compatible with the washing solvent. For example, when methylene chloride or hydrofluoroether is used as the washing solvent, water, ethylene glycol, or the like is suitable as the corresponding poor solvent. is there.
[0077]
The suction removal by the suction roll can usually remove the washing solvent sufficiently if one suction roll is used, but the two suction rolls may be made continuous so that both surfaces of the film come into contact with the suction roll. . Thereby, suction can be performed more effectively. At this time, it is preferable to immerse at least one suction roll in a poor solvent. Alternatively, the film may be sandwiched between two suction rolls so that the film passes between the two, and both surfaces of the film may be sucked simultaneously by both suction rolls.
[0078]
The film from which the washing solvent has been removed by suction can be further dried by a heat drying method or an air drying method. When the film is heated and dried, it is preferable to dry the film with hot air after fixing it to a tenter or the like because the film can be dried while suppressing shrinkage. When the poor solvent is not used at the time of suction, the cleaning solvent is sucked and removed, so that the time required for heat drying or air drying is shorter than conventional. On the other hand, when suction removal is performed using a poor solvent, heat drying or air drying may be performed continuously, but after removing the poor solvent using another suction roll, drying may be performed by heat drying or air drying. By drying with a suction roll for removing the poor solvent before heat drying or air drying, the time required for removal of the poor solvent is shortened, and pore shrinkage due to the poor solvent can be effectively suppressed. At this time, the poor solvent removing suction roll may be heated. The temperature at which the film is dried with hot air and the temperature at which the suction roll for removing the poor solvent is heated are preferably not more than the crystal dispersion temperature of the thermoplastic resin, and particularly 5 ° C. or more lower than the crystal dispersion temperature. preferable. Usually around 70 ° C.
[0079]
The content of the washing solvent remaining in the thermoplastic resin microporous membrane by suction removal is preferably 5% by weight or less (the weight of the dried film is 100% by weight), and 3% by weight or less. Is more preferable. If the suction removal is insufficient and a large amount of the cleaning solvent remains in the film, it is not preferable because the porosity decreases and the air permeability deteriorates in the subsequent heat treatment.
[0080]
(e) Film cross-linking process
It is preferable to remove the washing solvent by suction from the film obtained by stretching and solvent removal, and then perform a crosslinking treatment by ionizing radiation. As the ionizing radiation, α rays, β rays, γ rays, electron beams and the like are used, and can be performed with an electron dose of 0.1 to 100 Mrad and an acceleration voltage of 100 to 300 kV. Thereby, meltdown temperature can be improved.
[0081]
(f) Heat treatment process
Heat treatment may be performed after the cleaning solvent is removed. The crystal is stabilized by the heat treatment, and the lamellar layer is made uniform. As the heat treatment, any of a heat stretching process, a heat setting process, and a heat shrinking process can be used. These treatments are performed at a melting point of the thermoplastic resin microporous film or lower, preferably 60 ° C. or higher and melting point −10 ° C. or lower.
[0082]
The heat stretching treatment is performed by a commonly used tenter method, roll method, or rolling method, and is preferably performed at a stretching ratio of 1.01 to 2.0 times, more preferably 1.01 to 1.5 times in at least one direction.
[0083]
The heat setting treatment is performed by a tenter method, a roll method, or a rolling method. Moreover, you may perform a heat contraction process by a tenter system, a roll system, or a rolling system, or using a belt conveyor or a floating. The heat shrinkage treatment is preferably in the range of 50% or less in at least one direction, more preferably in the range of 30% or less.
[0084]
In addition, you may perform combining many above-mentioned heat | fever extending processes, heat setting processes, and heat shrink processes. In particular, it is preferable to perform a heat shrinkage treatment after the heat stretching treatment because a microporous membrane having a low shrinkage rate and a high strength can be obtained.
[0085]
(g) Hydrophilization treatment process
The microporous membrane obtained by removing the washing solvent can be used after being hydrophilized. As the hydrophilic treatment, monomer grafting, surfactant treatment, corona discharge treatment, or the like is used. The hydrophilic treatment is preferably performed after ionizing radiation.
[0086]
When using a surfactant, any of nonionic surfactants, cationic surfactants, anionic surfactants and amphoteric surfactants can be used, but nonionic surfactants are preferred. In this case, the surfactant is made into an aqueous solution or a solution of a lower alcohol such as methanol, ethanol or isopropyl alcohol, and is hydrophilized by a method such as dipping or doctor blade.
[0087]
The obtained hydrophilic microporous membrane is dried. At this time, in order to improve permeability, it is preferable to perform heat treatment while preventing shrinkage or stretching at a temperature below the melting point of the thermoplastic resin microporous membrane.
[0088]
(h) Other processing steps
The microporous membrane obtained by washing solvent removal has a meltdown property by covering the surface with a porous resin porous material such as polyvinylidene fluoride and polytetrafluoroethylene, or a porous material such as polyimide and polyphenylene sulfide. Can also be improved.
[0089]
[3] Thermoplastic resin microporous membrane
The physical properties of the microporous membrane produced as described above usually have a porosity of 25 to 80% and an air permeability of 10 to 2000 seconds / 100 cc (converted to a film thickness of 30 μm). Since a film with a high porosity can be obtained, a thermoplastic resin having a porosity / air permeability equal to or higher than that of the prior art and excellent in dimensional stability even if the subsequent heat treatment is performed at a higher temperature than before. A microporous membrane is obtained. The film thickness of the thermoplastic resin microporous film can be appropriately selected depending on the application, but for example, when used as a battery separator, it is preferably 5 to 200 μm. Thus, since the thermoplastic resin microporous film obtained by the production method of the present invention exhibits excellent permeability, it can be suitably used as a battery separator, filter, or the like.
[0090]
【Example】
The present invention will be described in more detail with reference to the following examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0091]
Example 1
Weight average molecular weight is 2.0 × 106Ultra high molecular weight polyethylene (UHMWPE) 20% by weight and weight average molecular weight 3.5 × 10FiveA polyethylene composition (melting point: 135 ° C., crystal dispersion temperature: 90 ° C.) having an Mw / Mn of 16.8% and a tetrakis [methylene-3- (3, 5-Ditertiarybutyl-4-hydroxyphenyl) -propionate] methane was added to obtain a polyethylene composition with 0.375 parts by weight per 100 parts by weight of the polyethylene composition. 30 parts by weight of the obtained polyethylene composition was put into a twin screw extruder (inner diameter 58 mm, L / D = 42, strong kneading type), and 70 parts by weight of liquid paraffin was supplied from the side feeder of this twin screw extruder. The mixture was melt-kneaded at 200 ° C. and 200 rpm to prepare a polyethylene solution in an extruder. Subsequently, this polyethylene solution was extruded from a T-die installed at the tip of the extruder so that the biaxially stretched film was about 50 μm, and a gel-like sheet was formed while being drawn off with a cooling roll adjusted to 50 ° C. . The obtained gel-like sheet was biaxially stretched at 114 ° C. so as to be 5 × 5 times using a batch stretching machine to obtain a stretched film. The obtained film was fixed to a 20 cm x 20 cm aluminum frame and contained in a washing tank containing methylene chloride (surface tension 27.3 mN / m (25 ° C), boiling point 40.0 ° C) adjusted to 25 ° C. And washed with rocking at 100 rpm for 3 minutes. About the film after washing, methylene chloride was removed by suction in hot water at 60 ° C. using a nonwoven fabric roll (φ500 mm, porosity of nonwoven fabric 35%, cavity pressure inside the roll: −10 kPaG) (transfer speed: 20 m / min) ). Next, the membrane was dried with hot air at 70 ° C., and further heat-fixed at 124 ° C. for 10 minutes to produce a polyethylene microporous membrane.
[0092]
Example 2
After immersing in a washing tank containing methylene chloride temperature-controlled at 25 ° C. and shaking for 3 minutes at 100 rpm, methyl perfluorobutyl ether ((CFourF9OCHThree), Immersed in a washing tank containing HFE-7100 manufactured by Sumitomo 3M Co., Ltd., surface tension of 13.6mN / m (25 ° C), boiling point of 61 ° C, no flash point (the same applies hereinafter)) and 100 rpm for 1 minute Rinse while oscillating, and the membrane after rinsing is treated with HFE-7100 in warm water at 85 ° C using a nonwoven fabric roll (φ500mm, porosity of nonwoven fabric 35%, cavity pressure inside the roll: -10kPaG). A polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that it was removed by suction.
[0093]
Comparative Example 1
A polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that methylene chloride was removed using a heating roll (φ100 mm, 3 stages) adjusted to 60 ° C.
[0094]
Comparative Example 2
A polyethylene microporous membrane was produced in the same manner as in Example 2 except that the removal of HFE-7100 was performed using a heated roll (φ100 mm, 3 stages) adjusted to 80 ° C.
[0095]
Comparative Example 3
To remove methylene chloride, 6m of dry air at 60 ° C on a heated roll (φ100mm, 3 steps) adjusted to 60 ° CThreeA polyethylene microporous membrane was prepared in the same manner as in Example 1 except that the blowing was performed with an air volume of / min.
[0096]
Comparative Example 4
Removal of HFE-7100, 6m of dry air at 80 ° C on a heated roll (φ100mm, 3 steps) adjusted to 80 ° CThreeA polyethylene microporous membrane was produced in the same manner as in Example 2 except that the blowing was performed with an air volume of / min.
[0097]
The physical properties of the thermoplastic resin microporous membranes obtained in Examples 1-2 and Comparative Examples 1-4 were measured by the following methods.
-Film thickness: measured with a contact thickness meter.
Air permeability: Measured according to JIS P8117 (film thickness 30 μm conversion).
-Porosity: measured by gravimetric method.
-Film width change rate: The film width before and after cleaning solvent removal was measured, and the change rate was examined.
[0098]
[Table 1]
[0099]
As shown in Table 1, the thermoplastic resin microporous membranes of Examples 1 and 2 produced by the method of the present invention are excellent in porosity and air permeability, and have little change in membrane width after drying. On the other hand, the microporous membranes of Comparative Examples 1 to 4 are inferior in physical properties as compared with Examples 1 and 2 because they are dried without using a suction roll.
[0100]
【The invention's effect】
As detailed above, in the production of the thermoplastic resin microporous membrane by the solvent method of the present invention, in the step of removing the cleaning solvent used to remove the solvent, by suction removal using a suction roll, It can be removed at a high speed while suppressing the diffusion of the washing solvent and while suppressing the shrinkage of the thermoplastic resin. Of the present inventionDepending on the manufacturing methodA microporous membrane having excellent porosity, permeability and dimensional stability can be produced. The obtained microporous membrane is useful for battery separators, filters, etc.The
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