JP4745518B2 - タガ締め式高強度ファン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジン等に用いられる強制空冷用ファンの構造に関し、特にファンの外周を円周方向に接続する部材を有するいわゆるリングファンを改造した構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、排ガス、燃費などの要求が厳しくなると共にエンジンの制御が高度化し、排出される熱量は増加してきている。一方、車の外観や空気抵抗値の低下要求などの点からエンジンルーム内の冷却ファン設置容積は狭くなってきている。このためファンには高い風量が要求されている。ファンが高速回転、特に高温での高速回転時には、熱膨張による応力の発生、樹脂材の強度低下、回転による遠心力、風圧による力などが複合的に作用し、大きな力となる。この力はファンブレードを破損させる力となる。
【0003】
ファンブレードの破損防止策として、
1)強度の高い樹脂を用いる。例えば、従来のPP(ポリプロピレン)をナイロンにするとか、グラスファイバーを入れる等の方法がある。欠点として、材料費を含めてコスト高になり、また強度向上に限界がある。
2)ブレードの厚さを増加させるなど形状・構造の最適化設計をする。欠点として、重量が増大するため遠心力が増大してマイナス要因になることや、ファン軸への強度向上が必要になる。
【0004】
従来技術として「軸流リングファン」と呼ばれる構造があり、一般にファンブレードと同じ材質の環状リングがファンブレードの外周全体を包囲するように一体成形されている。リングの目的は、ブレード先端の翼端渦を減少させ風の流れを層流にすることにより、風量をアップし騒音を低減させることにある。ただし、外周部のリングの重量が高速回転時には遠心力となって働き、強度を低下させ、高速回転ファンや大型ファンに不向きであるという欠点があった。
【0005】
特開2000−120590号「ファン組立体」には、ファンブレードを二重に配列して、ファンブレードの剛率、エア流量能力及びファン効率を増加させたリングファンが記載されている。
実開昭52−106610号「内燃機関等の冷却ファン」には、リング状部材に各ファンブレードの頂部が内接固定された冷却ファンが記載されている。
しかしながら、従来のリングファンの構造では、高速回転時にブレード及びリングに作用する遠心力をファンブレードの根元がそのまますべて負担しているため、ファンブレードが根元から破損する可能性があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、遠心力に基づく荷重のすべてがそのままファンブレードの根元に集中するのを回避して、ファンブレードの信頼性を高めた軸流リングファンの構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明により、前述した課題は、複数のファンブレードの各外周又はその近傍を全周にわたってタガ締め状に接続する帯板又は線材を有し、各帯板又は線材はファンブレード材よりも、引張強度を比重で割った比強度の値が高い材質で作られており、タガ締めにより、高速回転時の遠心力に基づく荷重をファンブレードだけでなく前記帯板又は前記線材の引張り荷重として負担させることにより、ファンブレードの付け根にかかる引張り荷重を軽減させたことを特徴とする自動車用エンジン等のタガ締め式高強度ファンによって達成される。
【0008】
帯板はナイロン6を炭素繊維・アラミド繊維・ガラス繊維等で強化した樹脂や、鋼・ばね鋼等の薄板鋼板、ステンレス鋼板、ジュラルミン板等の金属材料で作ることができる。線材は棒鋼、ばね鋼等の金属材料で作ることができる。
【0009】
【作用】
かかる構造を採用することにより、高速回転時の遠心力に基づく荷重はファンブレードだけでなくタガ締め式の帯板や線材も引張り荷重として負担することになるから、従来と比べてファンブレードの付け根に作用する引張り荷重が軽減されてブレードの付け根が破損する可能性が激減する。
ファンブレードの外周あるいは近傍のタガにより、ファンブレードの根元にかかる力を低減させたので、ファンブレードは強度の低い樹脂を使用することも可能になる。逆に強度の高い材料で薄肉に形成して重量を軽減すると共に反りを大きくして風量の増加を図ることができる。
タガの材質は前述の比強度と共に樹脂よりも熱膨張が小さい物を使用すれば、高温時にはさらにファンブレードに圧縮力が作用し、より強度が高められる結果となる。
【0010】
タガ締め式の帯板や線材としては、以下のようなものが好適である。
帯板の材料はファンブレードの素材である樹脂よりも重量あたりの強度(比強度)が高いものとする。ファンブレード材は通常PP(ポリプロピレン)であるが、比強度は356kgf/cm2 程度になる。各種の材質について実験した結果の比強度を比較したものを表1に示す。なお、PP(ポリプロピレン)、PPG(ポリプロピレンにグラスファイバー混入)、N(ナイロン)、N6G(ナイロン6にグラスファイバー混入)と略す。SPCCは薄板鋼板、SUS304はステンレス鋼板、A2017はジュラルミン板である。
また、各材質についての、比重、引張強度、比強度を比較したデータを表2に示す。表2では、特殊ポリアミド(製品名:MXD6)にカーボンファイバーを30%含有させて補強した材質(三菱ガス化学社製、商品名:レニー)についてのデータを追加した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
上の表に示すように、PPの比強度が356なので、PPG(グラスファイバー10〜30%含有)、N6G(グラスファイバー10〜30%含有)、SPCC、SUS304、A2017、MXD6など、炭素繊維・アラミド繊維・ガラス繊維等で強化した樹脂や金属などを用いることができる。
【0014】
帯板の幅はファンブレードの高さよりも小さくても良い。風の流れを制御するために大きくすることもできる。帯板とファンブレードとはカシメなどにより固定することができる。このとき、ファンブレード側にはめ込み用の凹所を設けてブレードの表面を平坦に保つこともできる。
帯板は円筒にしてからはめ込んでもよいし、ファンブレードに巻いてから溶接、接着などにより固定しても良い。
タガは帯板状のものだけでなく、ワイヤー状(線材)のものであっても良い。このとき、ファンブレードの先端に窪みを付けてこの窪みに沿わせたり、ファンブレードの先端近傍に設けた孔を通過させても良い。
タガを設ける際、タガに引張力を与え、ブレードに求心方向の圧縮力を残留させるとさらに良い。
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面の実施例を参照した以下の記載により明らかとなろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施例によるタガ締め式高強度ファン10の全体を表しており、8枚のファンブレード12の各外周を全周にわたってタガ締め状に包囲して接続する帯板14が設けられている。帯板14はファンブレード12の材質よりも引張強度を比重で割った比強度の値が高い材質で作られている。ファンブレード12と帯板14の接続方法は、金具を用いてカシメる方法や、帯板14の側に凹所を形成してその凹所内にファンブレード12の先端を嵌入させる方法などを用いることができる。
前述したように、帯板14の比強度はファンブレード12の比強度よりも大きいので、高速回転時のブレードに加わる遠心力を帯板14が引張応力として負担することになり、帯板14のタガ締め作用によりファンブレード12の強度が補強されることになる。
【0016】
図2A〜Dは、本発明の第2の実施例によるタガ締め式高強度ファン20の一部を表しており、複数のファンブレード22の各外周を全周にわたってタガ締め状に包囲して接続する帯板24が設けられている。この帯板24はファンブレード22の材質よりも、引張強度を比重で割った比強度の値が高い金属材料で作られており、図2Bに示すようにカシメ用のタブ(舌部)24a,24bが外周から突出するように付設され、これに対応して内側にもカシメ用のタブ24c,24dが刻設されている。これらのタブを折り曲げることにより、ファンブレード22と帯板24をカシメにより固定することができる。
【0017】
図2Cは、カシメ後にタブ24a〜24dがファンブレード22の表面から突出している状態を表している。この突出部分が空気抵抗になり、局部的な乱流を引き起こすおそれがある場合は、図2Dに示すように、ファンブレード22の表面に凹所を形成してその凹所内にタブを収容するようにすると良い。
前述したように、帯板24の比強度はファンブレード22の比強度よりも大きいので、高速回転時の遠心力を帯板24が負担することになり、帯板24のタガ締め作用によりファンブレード22の強度が補強されることになる。
【0018】
図3は、本発明の第3の実施例によるタガ締め式高強度ファン30の全体を表しており、複数のファンブレード32の各外周の近傍を全周にわたってタガ締め状に接続するワイヤ状の線材34が設けられている。この線材34はファンブレード32の材質よりも、引張強度を比重で割った比強度の値が高い金属材料で作られており、ファンブレード32の先端付近に設けられた孔32aを線材34が通過して終端部が溶接などにより固着されている。
前述したように、線材34の比強度はファンブレード32の比強度よりも大きいので、高速回転時のブレードに加わる遠心力を線材34が引張応力として負担することになり、線材34のタガ締め作用によりファンブレード32の強度が補強されることになる。なお線材34は複数本設けても良い。
【0019】
【発明の効果】
以上詳細に説明した如く、本発明によれば、高速回転時の遠心力に基づく荷重はファンブレードだけでなくタガ締め式の帯板や線材も負担することになるから、従来と比べてファンブレードが破損する可能性が激減する。ファンブレードの根元にかかる力を低減させたので、強度の低い樹脂をブレード材として使用することも可能になるなど、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による高強度ファンの全体を表す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例による高強度ファンの一部を表す斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例による高強度ファンの全体を表す斜視図である。
【符号の説明】
10,20,30 高強度ファン
12,22,32 ファンブレード
14,24 帯板
34 線材
Claims (4)
- 複数のファンブレードの各外周又はその近傍を全周にわたってタガ締め状に接続する帯板又は線材を有し、
各帯板又は線材はファンブレード材よりも、引張強度を比重で割った比強度の値が高い材質で作られており、
タガ締めにより、高速回転時の遠心力に基づく荷重をファンブレードだけでなく前記帯板又は前記線材の引張り荷重として負担させることにより、ファンブレードの付け根にかかる引張り荷重を軽減させたことを特徴とする自動車用エンジン等のタガ締め式高強度ファン。 - 前記帯板はナイロン6を炭素繊維・アラミド繊維・ガラス繊維等で強化した樹脂で作られている請求項1記載の高強度ファン。
- 前記帯板は鋼・ばね鋼などの薄板鋼板、ステンレス鋼板、ジュラルミン板等の金属材料で作られている請求項1記載の高強度ファン。
- 前記線材は棒鋼、ばね鋼等の金属材料で作られている請求項1記載の高強度ファン。
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