高炉ガス、ミックスガス、コークス炉ガスなど製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の定期点検工事では、工事に先立ち、燃料ガス圧縮機、ガス冷却器などの機器及びこれに連結する燃料ガス管内の副生ガス(燃料ガス)を不燃性ガスに置換した後、さらにこの不燃性ガスを空気に置換する操作を行っている。副生ガスは、一酸化炭素の濃度が約8〜36容量%と高く、ガス中毒、火災、ガス爆発防止のためには、副生ガスを不燃性ガスに置換する操作は必須である。なお、本明細書では、副生ガス(燃料ガス)を不燃性ガスに置換することをガスパージと言い、不燃性ガスを空気に置換することを空気パージと言う。また、本明細書において、低圧燃料ガス系統とは、低圧の燃料ガスが流通する配管及び機器を言い、高圧燃料ガス系統とは、燃料ガス圧縮機を含み、燃料ガス圧縮機で昇圧された高圧の燃料ガスが流通する配管及び機器を言う。
図7は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備及び燃料ガス管の系統の概略を示す図である。ガスタービン発電設備1は、燃料ガス圧縮機2、燃焼器3、空気圧縮機4、ガスタービン5、発電機6を主要機器とし構成される。高炉ガスなどの低圧・低発熱量燃料を使用するガスタービン発電設備1では、燃料ガスは、圧力が低いため軸流式の燃料ガス圧縮機2で所定の圧力まで昇圧して、燃焼器3で燃焼させる。燃料ガス圧縮機2は、低圧の燃料ガス管11を通じて製鉄所から供給される高炉ガス、ミックスガス、及びコークス炉ガスを混合した燃料ガスを所定の圧力まで昇圧する。圧縮された燃料ガスは、燃料遮断弁12、13が配設された高圧の燃料ガス管14を経由して燃焼器3に送られ、空気圧縮機4で圧縮された空気と混合して燃焼する。この燃焼ガスは、ガスタービン5の駆動源となり、ガスタービン5は、空気圧縮機4、燃料ガス圧縮機2を駆動するとともに、発電機6を駆動し、これにより発電を行う。
燃料ガス圧縮機2に使用する軸流式圧縮機は、サージングの範囲が広く、燃料ガスの流量が所定量以下になるとサージングが発生するため、これを回避すべくガス戻り管20が設けられている。ガス戻り管20の途中には、戻りガス(循環ガス)量を調整するための流量調節弁21、ガス冷却器22が配設されている。さらに流量調節弁21をバイパスする圧力制御弁23、逃し弁24が配設されている。
低圧の燃料ガス管11は、管路途中にガスを混合するためのミックスガス混合器25、コークス炉ガス混合器26、電気集じん装置27を備え、高炉ガス、ミックスガス、及びコークス炉ガスに含まれるばいじんは、ここで除じんされた後、燃料ガス圧縮機2に送られる。高炉ガスを供給する高炉ガス管28は、一端に入口弁29を備え、入口弁29を介して低圧の燃料ガス管11と連結する。ミックスガスを供給するミックスガス管30及びコークス炉ガスを供給するコークス炉ガス管31も、共に入口弁32、33を備え、管路途中に流量調節弁34、35、遮断弁36、37を備え、一端をミックスガス混合器25、及びコークス炉ガス混合器26と連結する。
低圧の燃料ガス管11、高圧の燃料ガス管14、ミックスガス管30、コークス炉ガス管31及び電気集じん装置27等には、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給弁42(42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、42i、42j)を備える窒素ガス供給管41(41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41i、41j)が設けられており、これを通じて各配管及び各機器などに窒素ガスを供給することができる。さらに配管及び機器には配管内又は機器内のガスを排出するためのブリーダ弁52(52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52h、52i、52j、52k、52l、52m、52n、52o、52p)を備えるガス排出管51(51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h、51i、51j、51k、51l、51m、51n、51o、51p)が設けられている。
各配管及び各機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、空気置換する要領を、低圧の燃料ガス管11を例として示せば、低圧の燃料ガス管11に配設されたブリーダ弁52aを開放した後に、窒素ガスを窒素ガス供給弁42hより注入し、ガスを大気放出し、ブリーダ弁52aに近接して配設された試料採取弁53aに図示を省略したガス濃度計を接続して、ガス濃度計でガスの濃度を検出してガスパージ完了を確認する。この後、窒素ガスの供給を停止し、空気ブロワ90を介して低圧の燃料ガス管11に空気を送込み、ガスパージと同様、ブリーダ弁52aを介して燃料ガス管内のガスを大気放出し、ブリーダ弁52aに近接する試料採取弁53aに図示を省略したガス濃度計を接続して、ガス濃度計で酸素濃度を検出して空気パージ完了を確認する。他の配管、機器にあっても同様の操作を行い、対象とする機器、配管全体を空気で置換する。
上記の方法は、従来から一般的によく用いられている燃料ガスを空気に置換する方法であるが、ガス置換の効率が必ずしも高いとは言えず、ガス置換に必要な窒素ガス量が多いことや、ガスの置換に時間を要するなどの課題がある。容器内のガスを効率的に又は安全に置換する方法の一つとして、地下式貯槽内の空気を窒素ガスに一度置換した後、この窒素ガスをメタンガスに置換する場合に、少ない窒素ガス量で効率的に置換する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開平11−301786号公報
製鉄所などで使用される燃料ガス管は、配管の内径が大きいところでは2〜3mにも及び、長さも300mを超えるなど容量が大きい。また燃料ガス管は、曲り部、分岐部を有するなど複雑な形状、経路を有する。ガスタービン発電設備を含めこれら配管、機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、空気に置換することは容易ではない。特許文献1に記載の技術は、地下式貯槽内の空気を窒素ガスに一度置換した後、この窒素ガスをメタンガスに置換する場合に、少ない量で効率的に置換する方法に関するものであるが、この方法は、置換すべき対象物の形状が単純であり、かつ空気、窒素ガス、メタンガスの比重量の違いを利用しガスの置換を行うものであり、この方法を燃料ガス管及びガスタービン発電設備のガスの置換方法として利用することはできない。
本発明者らは、大容量でかつ、配管の長さが長く、曲り部、分岐部を有するなど複雑な形状を有する配管内の可燃性ガスを、短時間にかつ少ない不燃性ガス量で効率的に置換する技術を開発し既に特許出願を行っている(特願2005−210392)。本発明者らが先に出願した発明は、窒素ガスの消費量を抑制することが可能な有用な方法であるが、さらに窒素ガスの消費量を抑制することができればコスト削減につながり望ましいことは言うに及ばない。さらにガスパージ、空気パージ時間は、発電設備の稼働率にも影響するため、ガスパージ、空気パージを短時間で行うことができればより好ましい。
本発明の目的は、窒素ガスの消費量を抑制し、また短時間で可燃性ガスを空気に置換可能なガス置換方法、ガス置換装置及び燃料ガス置換用ガスを提供することである。
請求項1記載のガス置換方法は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、さらに該配管及び該機器内のガスを空気に置換するガス置換方法において、
燃料ガスが流通する配管及び機器を、低圧の燃料ガスが流通する低圧燃料ガス系統と、燃料ガス圧縮機により圧縮された高圧の燃料ガスが流通する高圧燃料ガス系統とに分け、
該低圧燃料ガス系統の配管及び機器については、該不燃性ガスに燃焼排ガスを使用し、
該高圧燃料ガス系統の配管及び機器については、該不燃性ガスに窒素ガスを使用することを特徴とする。
請求項2記載のガス置換方法は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、さらに該配管及び該機器内のガスを空気に置換するガス置換方法において、
燃料ガスが流通する配管及び機器を、低圧の燃料ガスが流通する低圧燃料ガス系統と、燃料ガス圧縮機により圧縮された高圧の燃料ガスが流通する高圧燃料ガス系統とに分け、
該低圧燃料ガス系統の配管及び機器については、該不燃性ガスに燃焼排ガスと窒素ガスとを混合した混合ガスを使用し、
該高圧燃料ガス系統の配管及び機器については、該不燃性ガスに窒素ガスを使用することを特徴とする。
請求項3記載のガス置換方法は、前記配管及び機器内のガスを空気に置換する操作は、前記低圧燃料ガス系統及び前記高圧燃料ガス系統両系統の燃料ガスを不燃性ガスに置換する操作が終了した後、前記低圧燃料ガス系統の配管及び機器と前記高圧燃料ガス系統の配管及び機器とを連通させ、一体的に配管及び機器内のガスを空気に置換することを特徴とする。
請求項4記載のガス置換方法は、前記燃焼排ガスは、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却したガスであることを特徴とする。
請求項5記載のガス置換装置は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、さらに空気に置換するガス置換装置であって、
少なくとも燃料ガスが流通する配管に窒素ガスを供給可能な窒素ガス供給手段と、
少なくとも燃料ガスが流通する配管に、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、冷却した後の該燃焼排ガスを供給可能な燃焼排ガス供給手段と、
少なくとも燃料ガスが流通する配管内のガスを排出可能なガス排出手段と、
少なくとも燃料ガスが流通する配管に空気を供給可能な空気供給手段と、
少なくとも燃料ガスが流通する配管内のガス濃度を検出可能なガス濃度検出手段と、
予め定める手順に基づき該窒素ガス供給手段、該燃焼排ガス供給手段、該ガス排出手段、及び該空気供給手段の動作を制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする。
請求項6記載のガス置換装置は、前記燃焼排ガス供給手段に代え、少なくとも燃料ガスが流通する配管に、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、冷却した後の該燃焼排ガスと窒素ガスとを混合した混合ガスを供給可能な混合ガス供給手段を含むことを特徴とする。
請求項7記載の燃料ガス置換用ガスは、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、かつ燃焼排ガスに含まれるばいじんを除去したことを特徴とする。
請求項1記載の本発明によれば、ガス置換方法は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、さらに該配管及び該機器内のガスを空気に置換するガス置換方法において、燃料ガスが流通する配管及び機器を、低圧の燃料ガスが流通する低圧燃料ガス系統と、燃料ガス圧縮機により圧縮された高圧の燃料ガスが流通する高圧燃料ガス系統とに分け、低圧燃料ガス系統の配管及び機器については、不燃性ガスに燃焼排ガスを使用し、高圧燃料ガス系統の配管及び機器については、不燃性ガスに窒素ガスを使用する。低圧燃料ガス系統と高圧燃料ガス系統の容量は、前者が圧倒的に大きいことから、従来のガス置換方法に比較し本発明のガス置換方法は、窒素ガスの消費量を大幅に削減することができる。なお、ガスタービン発電設備の副生ガスには、少量のばいじんを含まれることが予定されており、ほぼ同量のばいじんを含む燃焼排ガスを一時的にガスパージの置換用ガスに使用しても支障はない。
請求項2記載の本発明によれば、ガス置換方法は、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、さらに該配管及び該機器内のガスを空気に置換するガス置換方法において、燃料ガスが流通する配管及び機器を、低圧の燃料ガスが流通する低圧燃料ガス系統と、燃料ガス圧縮機により圧縮された高圧の燃料ガスが流通する高圧燃料ガス系統とに分け、低圧燃料ガス系統の配管及び機器については、不燃性ガスに燃焼排ガスと窒素ガスとを混合した混合ガスを使用し、高圧燃料ガス系統の配管及び機器については、不燃性ガスに窒素ガスを使用する。低圧燃料ガス系統と高圧燃料ガス系統の容量は、前者が圧倒的に大きいことから、従来のガス置換方法に比較し本発明のガス置換方法は、窒素ガスの消費量を大幅に削減することができる。さらに、低圧燃料ガス系統のガスパージに使用するガスは、燃焼排ガスと窒素ガスとの混合ガスであるので、より安全にガスパージを行うことができる。なお、ガスタービン発電設備の副生ガスには、少量のばいじんを含まれることが予定されており、ほぼ同量のばいじんを含む燃焼排ガスを一時的にガスパージの置換用ガスに使用しても支障はない。
請求項3記載の本発明によれば、配管及び機器内のガスを空気に置換する操作は、低圧燃料ガス系統及び高圧燃料ガス系統両系統の燃料ガスを不燃性ガスに置換する操作が終了した後、低圧燃料ガス系統の配管及び機器と高圧燃料ガス系統の配管及び機器とを連通させ、一体的に配管及び機器内のガスを空気に置換するので、効率的にかつ短時間で空気パージを行うことができる。
請求項4記載の本発明によれば、燃焼排ガスは、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却したガスであるので、比較的簡単に入手することができる。また副生ガスは、窒素濃度が高いため燃焼排ガス中の窒素濃度も高く、さらに燃焼排ガス中の酸素濃度も約2容量%と低いのでガスパージの置換用ガスとして適している。さらに燃焼排ガスがボイラの燃焼排ガスであるので、多量に使用することが可能であり、短時間でガスパージを完了させることができる。
請求項5記載の本発明によれば、ガス置換装置は、少なくとも燃料ガスが流通する配管に窒素ガスを供給可能な窒素ガス供給手段と、少なくとも燃料ガスが流通する配管に、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、冷却した後の燃焼排ガスを供給可能な燃焼排ガス供給手段と、少なくとも燃料ガスが流通する配管内のガスを排出可能なガス排出手段と、少なくとも燃料ガスが流通する配管に空気を供給可能な空気供給手段と、少なくとも燃料ガスが流通する配管内のガス濃度を検出可能なガス濃度検出手段と、予め定める手順に基づき窒素ガス供給手段、燃焼排ガス供給手段、ガス排出手段、及び空気供給手段の動作を制御する制御手段と、を含むので、本ガス置換装置を使用することでガス置換操作を自動化することができる。また、安全にガス置換操作を行うことができる。
請求項6記載の本発明によれば、ガス置換装置は、燃焼排ガス供給手段に代え、少なくとも燃料ガスが流通する配管に、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、冷却した後の燃焼排ガスと窒素ガスとを混合した不燃性ガスを供給可能な混合ガス供給手段を含むので、本ガス置換装置を使用することでより安全にガス置換操作を行うことができる。
請求項7記載の本発明によれば、燃料ガス置換用ガスは、製鉄所で発生する副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスを冷却し、かつ燃焼排ガスに含まれるばいじんを除去したガスであるので、酸素濃度が低く、また比較的クリーンである。よってこのガスをガスパージの置換用ガスとして他の設備に供給することができる。
図1は本発明の実施の一形態としての副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する機器及び配管内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、空気に置換するガス置換装置100の概略的構成を示す図である。図7と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態に示すガス置換装置100は、副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備1及びその燃料配管系統の燃料ガスを空気に置換するための装置であり、ガスパージの置換用ガスである燃焼排ガスを供給する燃焼排ガス供給装置110及び窒素ガス供給手段、空気パージに使用する空気を供給する空気供給装置130、配管内のガスを排出するガス排出手段、配管から排出されるガスの濃度を検出するガス濃度計160、弁の開閉、ブロワの起動停止などを制御する制御装置170を主に構成される。なお、ガスタービン発電設備1及び燃料ガスの配管系統は、図7に示した従来のガスタービン発電設備1及び燃料ガスの配管系統と基本的に同一である。
燃焼排ガス供給装置110は、低圧の燃料ガス管11及び電気集じん装置27など低圧の燃料ガスが流通する配管及び機器に、燃料ガスを置換するための不燃性ガスを供給する装置であり、燃焼排ガス供給ブロワ111、燃焼排ガス冷却器112、パージ用ガス供給ブロワ113、流量調整ダンパ114、115、遮断弁116、117、管路118、119、120、123(123a、123b、123c、123d、123e)などを含み構成される。製鉄所から供給される副生ガスを燃料とするボイラ200から排出される燃焼排ガスを遮断弁116、流量調整ダンパ114が配設された管路118を介して燃焼排ガス供給ブロワ111で吸引し、燃焼排ガス供給ブロワ111の吐出側に配設された燃焼排ガス冷却器112で、燃焼排ガスを冷却する。
ボイラ200から排出される燃焼排ガスの温度は、節炭器(図示を省略)出口で350℃程度であり、ガスパージの置換用ガスとして使用するためには少なくとも45℃程度まで冷却する必要がある。このため燃焼排ガス冷却器112で、燃焼排ガスを冷却する。燃焼排ガス冷却器112の型式は特に限定されないけれども、燃焼排ガスに含まれるばいじんを除去することが可能なこと及び機器の大きさの点から、燃焼排ガスと水とを直接接触させ冷却する直接冷却式の冷却器が好ましい。なお、直接冷却式の冷却器を使用する場合は、出口部に水分除去装置であるデミスタを設置することが好ましい。冷却後の燃焼排ガス中に水溶性のナトリウムなどが含まれていると燃焼器3などに悪影響を与えるため、水分は少ない方がよい。
燃焼排ガス冷却器112で冷却した燃焼排ガスは、遮断弁117、流量計126、流量調整ダンパ115が配設された管路119を通じて、パージ用ガス供給ブロワ113に導かれ、パージ用ガス供給ブロワ113の吐出部に連結された管路120を介して、低圧の燃料ガスが流通する低圧の燃料ガス管11などへ供給される。パージ用ガス供給ブロワ113の吐出部に連結する管路120には、酸素濃度計121及び放出弁122が設けられ、管路120はその後流側で5本の管路123(123a、123b、123c、123d、123e)に分岐し、分岐した管路各々が低圧の燃料ガスが流通する低圧の燃料ガス管11、ミックスガス管30、コークス炉ガス管31と連結する。なお分岐した管路123は、各々流量調整用ダンパ124(124a、124b、124c、124d、124e)、遮断弁125(125a、125b、125c、125d、125e)を有する。
燃焼排ガス供給ブロワ111、パージ用ガス供給ブロワ113は、図示を省略した信号線で制御装置170と接続し、制御装置170からの指令に基づき起動停止する。同様に、遮断弁116、117、125、流量調整ダンパ114、115、124も図示を省略した信号線で制御装置170と接続し、制御装置170からの指令に基づき開閉又は所定の開度となる。なお、低圧の燃料ガスが流通する低圧の燃料ガス管11、ミックスガス管30、コークス炉ガス管31には、水取管(図示を省略)が取付けられているので、ガス管内の圧力が通常の圧力を超えると、水取管などのブリーダ弁以外の箇所から一酸化炭素を含むガスなどが噴出し、人的被害が発生する恐れがある。このため、既設のガス管圧力信号により、流量調整用ダンパ124(124a、124b、124c、124d)を介して燃焼排ガス圧力を制御している。
窒素ガス供給手段は、基本的には高圧の燃料ガスが流通する配管及び機器に窒素ガスを供給する装置であり、窒素ガス供給管141(141a、141b、141c)及び窒素ガス供給管141に配設された窒素ガス供給弁142(142a、142b、142c)を備え、図示を省略した窒素ガス供給設備と連結し窒素ガスを供給する。窒素ガスは、基本的に高圧の燃料ガスが流通する配管及び機器内の燃料ガスをパージするために使用されるので、高圧の燃料ガスが流通する配管及び機器と連結するが、このほかに燃焼排ガス中の酸素濃度が所定の濃度よりも高い場合に、酸素濃度を低下させるために使用される。このため管路119に、窒素ガス供給弁144を備える窒素ガス供給管143が連結している。さらにコークス炉ガス清浄器80には脱硫材が充填されているので、窒素ガスでガスパージを行う必要があることから、清浄器80近傍に、窒素ガス供給弁142iを備える窒素ガス供給管141iが設けられている。窒素ガス供給弁142a、142b、142c、142i、144は、図示を省略した信号線で制御装置170と接続し、制御装置170からの指令に基づき開閉する。
空気供給装置130は、燃料ガス管又は機器内の燃料ガスを、燃焼排ガス又は窒素ガスに置換した後、これらのガスを空気に置換するための空気を配管及び機器に供給する装置である。空気供給装置130は、空気取入口を一端に有し、管路途中に遮断弁131を有する管路132を含み、この管路132の他端を管路119と連結する。これによりパージ用ガス供給ブロワ113を稼動させることで空気取入口より取入れた空気を、管路132、119、120、123を通じて、低圧の燃料ガスが流通する低圧の燃料ガス管11、ミックスガス管30、コークス炉ガス管31に供給することができる。遮断弁131は、図示を省略した信号線で制御装置170と接続し、制御装置170からの指令に基づき開閉する。
配管及び機器内のガスを排出するガス排出手段は、ガスパージ及び空気パージ時に配管及び機器内に滞留するガスを排出する装置であり、ガス排出管151(151a、151b、151c、151d、151e、151f、151g、151h、151i、151j、151k、151l、151m、151n、151o、151p)、ガス排出管151に配設されたブリーダ弁152(152a、152b、152c、152d、152e、152f、152g、152h、152i、152j、152k、152l、152m、152n、152o、152p)、ブリーダ弁152に近接して設けられガス排出管151から分岐した試料採取管を含み構成される。試料採取管は、配管途中に試料採取弁153(153a、153b、153c、153d、153e、153f、153g、153h、153i、153j、153k、153l、153m、153n、153o、153p)を有する。
ブリーダ弁152は、配管又は機器内に滞留するガスを排出するための弁であり、試料採取弁153は、ガス排出管151から排出されるガスの濃度を検出するために試料採取管に連結するガス濃度計160にガスを送る。ブリーダ弁152、試料採取弁153は、図示を省略した信号線で制御装置170と接続し、制御装置170からの指令に基づき開閉する。さらにガス濃度検出弁155(155a、155b、155c)も試料採取弁153と同様にしてガス濃度計160にガスを送る。
ガス濃度計160は、試料採取管、ガス濃度検出管を介してガスを採取して、燃料ガスの濃度、窒素の濃度、酸素の濃度を測定する。このため、ガス濃度計160は、燃料ガス、窒素、酸素の各濃度を測定可能な複数の濃度計からなる。本実施形態に示す副生ガスは、多種のガスの混合物である。このような混合されたガスからなる燃料ガスの濃度の検出には、燃料ガスに含まれる特定のガスを代表ガスとし、このガスの濃度を検出する方法であってもよい。ガス濃度計160の濃度検出範囲及び精度は、燃料ガスを燃焼排ガス又は窒素ガスで置換するときの管理値、燃焼排ガス又は窒素ガスを空気で置換するときの管理値から決定すればよい。ガス濃度計160の検出原理等は特に限定されないけれども、オンラインで検出可能なガス濃度計であることが望ましい。
制御装置170は、遮断弁、流量調整弁・ダンパ、窒素ガス供給弁、ブリーダ弁、試料採取弁、ガス濃度検出弁、放出弁を開閉するための信号を出力する。さらに燃焼排ガス供給ブロワ111、パージ用ガス供給ブロワ113を起動停止させるための信号を出力する。制御装置170は、ガス濃度計160からの信号を入力する入力部、入力部を介して入力されるデータを記憶する記憶部、データを予め定める手順で演算する演算部、演算部が算出するデータを出力する出力部を備える。制御装置170は、コンピュータを用いて実現することが可能であり、データ処理手順は、プログラムとしてコンピュータに入力することができる。さらに制御装置170は、ガスタービン制御装置(図示を省略)からの許可がないと動作しないように、ガスタービン制御装置と連係させることが望ましい。
次ぎに、ガス置換装置100を用いて配管及び機器内のガスを置換する方法について説明する。図2から図6は、本発明のガス置換の置換要領を説明するための図であり、図中の太線はガスの流れを示すための線である。まずミックスガス管30及びコークス炉ガス管31、燃料ガス圧縮機2及びガス戻り管20、燃焼器3及び燃焼器周りの高圧の燃料ガス管14のガスパージを行う(図2参照)。
制御装置170からの指令に基づき、ミックスガス管30に連結するブリーダ弁152k、コークス炉ガス管31に連結するブリーダ弁152lを開放し、燃焼排ガス供給ブロワ111及びパージ用ガス供給ブロワ113を起動する。遮断弁116、117、125b、125c及び流量調整ダンパ114、115、124b、124cを開け、ミッスクガス管30及びコークス炉ガス管31へ燃焼排ガスを供給する。このときミッスクガス管30及びコークス炉ガス管31に配設された流量調整弁34、35、コ−クス炉ガスブロワ出口ダンパ39は、開とし、遮断弁36、37は閉とする。これにより、ミックスガス管30内に滞留するミックスガスはブリーダ弁152kから大気に放出される。同様にコークス炉ガス管31内に滞留するコークス炉ガスは、ブリーダ弁152lから大気に放出される。
製鉄所から供給される副生ガスを燃料とするボイラ200から排出され、冷却された後の燃焼排ガス(乾き状態)は、酸素濃度が約2容量%、窒素濃度が約66容量%、二酸化炭素が約32容量%と酸素濃度が低いので、このガスをガスパージの置換用ガスとして使用しても安全である。また、ミックスガス管30、コークス炉ガス管31は、長く、口径が0.6〜0.9mと大きく、容量が大きいけれども、燃焼排ガス供給ブロワ111及びパージ用ガス供給ブロワ113により多量の燃焼排ガスを送込むことで短時間のうちにガスパージを終了させることができる。燃焼排ガスは、直接冷却式の燃焼排ガス冷却器112で冷却した場合であっても、ばいじんが含まれることがあり、窒素ガスと比較するとダーティなガスと言えるが、ミックスガス管30及びコークス炉ガス管31は、電気集じん装置27より上流なので、ばいじんを含む燃料ガスが流通することも予定されており、ガスパージの置換用ガスに燃焼排ガスを使用しても問題はない。なお、ボイラ200から排出される燃焼排ガス量は、ガスパージに使用する燃焼排ガス量に比較して圧倒的に多いことは言うまでもない。
上記のように製鉄所から供給される副生ガスを燃料とするボイラ200から排出される燃焼排ガスは、酸素濃度が約2容量%と低いけれども、管路120に配設された酸素濃度計121が燃焼排ガス中の酸素濃度の上昇を検出した場合は、窒素ガス供給管143から窒素ガスを供給する。燃焼排ガス中に窒素ガスを注入しても酸素濃度が上昇する場合は、燃焼排ガスの供給を停止し、放出弁122を開放して酸素濃度が低下するまで燃焼排ガスによるガスパージを中断する。なお、放出弁は、低圧燃料ガス系統のガス管内の圧力が通常の圧力を超えると、水取管などのブリーダ弁以外の箇所からガスが噴出するので、これを防止すべく燃焼排ガス圧力上昇の安全弁として機能させる場合もある。
ミックスガス管30及びコークス炉ガス管31のガスパージと同時に燃料ガス圧縮機2及びガス戻り管20周りのガスパージを行う。制御装置170からの指令に基づき、ブリーダ弁152c、152dを開放し、窒素ガス供給管141a、141cから燃焼圧縮機2及び燃料ガス圧縮機周りの配管に窒素ガスを供給する。このとき遮断弁12、抽気弁61、ガス濃度検出弁155b、155cを開とし、高炉ガス管28に配設される入口弁29、ミッスクガス管30に配設される遮断弁37及びコークス炉ガス管31に配設される遮断弁36、燃焼排ガスを供給する管路123dに配設される遮断弁125d、ブリーダ弁152a、152e、152f、152g、152h、152oは閉とする。これにより、燃料ガス圧縮機2及び燃料ガス圧縮機周りの配管内に滞留する燃料ガスはブリーダ弁152c及びブリーダ弁152dから大気に放出される(図2参照)。
さらに燃焼器3及び燃焼器3周りの配管も同様に窒素ガスでガスパージする。制御装置170からの指令に基づき、ブリーダ弁152bを開放し、窒素ガス供給管141bから燃焼器周りの配管に窒素ガスを供給する。このとき遮断弁13を開とすることで、窒素ガス供給管141bから供給される窒素ガスは、ブリーダ弁152b及びガスタービン5に向かって流れ、配管内の燃料ガスはブリーダ弁152b及びガスタービン5から排出される。これにより燃焼器3及び燃焼器周りのガスパージを行うことができる(図2参照)。
ガスパージを継続しながら、燃焼器3及びその周りの配管のガスパージが終了したか否かを判定するためにガス濃度の検出を行う。ガス濃度の検出は、試料採取弁153bを用いて行う。試料採取弁153bから採取したガスを、ガス濃度計160で一酸化炭素の濃度を検出する。一酸化炭素濃度が管理値以下になった時点で、この部分のガスパージを終了する。ガスパージ終了の管理濃度は、特定のガス濃度に限定されないけれども、安全性、置換効率の点から一酸化炭素濃度を1容量%とすることができる。表1に副生ガスのガス組成を示す。表1に示すように製鉄所から供給される副生ガスは、一酸化炭素濃度が高いこと、毒性があることから一酸化炭素を代表ガスとしてガスパージのモニタリングに用いることができる。
燃焼器3及びその周りの配管のガスパージが終了したと判断すると、ブリーダ弁152b、窒素ガス供給弁142b及び遮断弁13を閉じる。同様に、ミックスガス管30及びコークス炉ガス管31のガスパージが終了したか否かを判定するためにガス濃度の検出を行う。ガス濃度の検出は、試料採取弁153k、153lで行う。試料採取弁153k、153lから採取したガスを所定の間隔でガス濃度計160により一酸化炭素の濃度を検出する。一酸化炭素濃度が管理値以下になった時点でガスパージを終了する。なお、コークス炉ガス管31のコークス炉ガス清浄器80を含めガス排出管151lと入口弁33と間の管路は、別途窒素ガスを用いてガスパージする。
ミックスガス管30、コークス炉ガス管31のガスパージが終了したと判断すると、電気集じん装置27に配設されたブリーダ弁152e、152f、ガス戻り管20に連結するブリーダ弁152n、152o、ガス戻り弁65を開ける。同時に遮断弁36、37を開け、ブリーダ弁152k、152lを閉じる。さらに燃焼排ガスを供給する管路123a、123dに配設される遮断弁125a、125d及び流量調整ダンパ124a、124dを開け、低圧の燃料ガス管11にも燃焼排ガスを供給し、電気集じん装置27及びその周りの低圧の燃料ガス管11のガスパージを行う(図3参照)。
試料採取弁153nでガスパージが終了したと判断すると、ブリーダ弁152n、152oを閉じ、燃焼排ガスを、ガス戻り管20をガス冷却器22方向に向かって流す。ガス戻り管20内のガスは、ブリーダ弁152dから排出される。一方、高圧燃料ガス系統のガスパージについては、試料採取弁153cでガスパージが終了したと判断すると、ブリーダ弁152cを閉じる。これにより、窒素ガス供給管141a、141cから供給される窒素ガスは、ガス戻り管20をガス冷却器22に向かって流れると共に、抽気弁61を備える抽気管62を経由してガス冷却器22に流れるので、ガス戻り管20、抽気管62を確実にガスパージすることができる(図4参照)。
電気集じん装置27に配設される試料採取弁153e、153fでガス濃度を検出し、電気集じん装置27のガスパージが終了したと判断すると、ブリーダ弁152e、152fを閉じ、燃料ガス圧縮機2のガス入口側の低圧の燃料ガス管11をガスパージするため、ブリーダ弁152aを開放する。これにより、燃焼排ガスは、電気集じん装置27から燃料ガス圧縮機2に向かって流れ、この部分の燃料ガス管をガスパージすることができる。
燃料ガス圧縮機2のガス入口近傍の試料採取弁153aでガス濃度を検出し、ガスパージが終了したと判断すると、燃焼排ガスを供給する管路123c、123dの流量調整ダンパ124c、124dの開度を絞って、燃焼排ガスの供給を継続する。燃料ガス圧縮機2の吐出側には、依然として窒素ガスが供給されているため、燃焼排ガスを供給する管路123c、123dの流量調整ダンパ124c、124dの開度を絞ると、圧力のバランスから窒素ガス供給弁142cから供給される窒素ガスが燃料ガス圧縮機2を経由してブリーダ弁152aから排出される。ガス濃度検出弁155aで窒素濃度が70容量%以上であることを検出すると、燃焼排ガスを供給する管路123c、123dの遮断弁125c、125dを閉じ、電気集じん装置27及び電気集じん装置27と燃料ガス圧縮機2とを連結する低圧の燃料ガス管11への燃焼排ガスの供給を停止する(図5参照)。
同様に、ガス戻り管20のガス冷却器22に連結する試料採取弁153dでガス濃度を検出し、ガスパージが終了したと判断すると、燃焼排ガスを供給する管路123a、123bの流量調整ダンパ124a、124bの開度を絞って、燃焼排ガスの供給を継続する。燃料ガス圧縮機2の吐出側には、依然として窒素ガスが供給されているため、燃焼排ガスを供給する管路123a、123bの流量調整ダンパ124a、124bの開度を絞ると、圧力のバランスから窒素ガス供給弁142a、142cから供給される窒素ガスがガス戻り管20及び抽気管62を経由してブリーダ弁152dから排出される。ガス濃度検出弁155b、155cで窒素濃度が70容量%以上であることを検出すると、燃焼排ガスを供給する管路123a、123bの遮断弁125a、125bを閉じ、ガス戻り管20への燃焼排ガスの供給を停止する(図6参照)。
ガスパージの完了は、試料採取弁153a、153dでの一酸化炭素濃度が1容量%以下でかつ、ガス濃度検出弁155a、155b、155cでの窒素濃度が75容量%以上となった時点とする。本実施形態に示す燃焼排ガスは副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスであるので、窒素濃度が約66容量%と高い。このため燃焼排ガスに含まれる窒素濃度が低い燃焼排ガスに比べ、短時間で窒素濃度75容量%を達成することができる。
ガスパージが完了した後は全てのブリーダ弁152を開放し、燃焼排ガスを空気に切替え、空気を供給する。燃焼排ガスから空気への切替えは、遮断弁117、131の開閉の切替えで行うことができる。空気パージの完了は、全ての試料採取弁153、ガス濃度検出弁155で酸素濃度が21容量%となった時点とする。
上記の手順をプログラミングすることで、本実施形態に示すガス置換装置100を用いて、副生ガスを燃料とするガスタービン発電設備の燃料ガスが流通する機器及び配管内の燃料ガスを不燃性ガスに置換した後、空気に置換する操作を自動化することができる。なお、各系統へ供給する燃焼排ガス、窒素ガスの流量、これを供給する順番、タイミング、供給する時間などとガス濃度との関係を事前に検討しておくこと、実績から把握しておくことで、ガス濃度の検出を省略することもできる。
本実施形態に示すように本発明のガス置換方法は、ガスパージの対象となる配管及び機器を、低圧の燃料ガスが流通する配管及び機器と燃料ガス圧縮機2が圧縮した高圧の燃料ガスが流通する配管及び機器とに分け、低圧の燃料ガスが流通する低圧燃料ガス系統の配管及び機器のガスパージには、ボイラの燃焼排ガスを使用し、燃料ガス圧縮機2も含め高圧の燃料ガスが流通する高圧燃料ガス系統の配管及び機器のガスパージには、窒素ガスを使用する点に特徴がある。低圧燃料ガス系統と高圧燃料ガス系統の容量は、前者が圧倒的に大きいことから、従来のガス置換方法に比較し本発明のガス置換方法は、窒素ガスの消費量を大幅に削減することができる。さらに燃料ガス圧縮機2、燃焼器3などは窒素ガスを用いてガスパージを行うので、ばいじん等によるトラブルの心配がない。
低圧燃料系統、特に高炉ガス管28、低圧の燃料ガス管11は、口径が2.7mと容量が大きいけれども、ボイラの燃焼排ガスは多量であることから、この燃焼排ガスをブロワを用いて、大流量で送り込むことで短時間のうちに低圧燃料系統のガスパージを終了させることができる。副生ガスを燃料とするボイラの燃焼排ガスは、酸素濃度が約2容量%と低く、副生ガス自身も窒素濃度が高いことからボイラの燃焼排ガスをガスパージの置換用ガスとして使用しても危険はない。さらに燃焼排ガスの酸素濃度が高いときは、窒素ガスを混合して供給することが可能なので、安全にガスパージを行うことができる。
またガスパージ完了後は、低圧燃料系統と高圧燃料系統との配管及び機器を連通させ、これらを一体として空気パージを行うので効率的である。またパージ用ガス供給ブロワを空気供給用のブロワとしても利用することで、大流量の空気を送り込むことが可能となり、短時間に空気パージを行うことができる。さらに、ボイラの燃焼排ガスを、燃焼排ガスと水とを直接接触させ燃焼排ガスを冷却すれば、燃焼排ガス中に含まれるばいじんも除去され、ガスパージの置換用ガスとして有用である。なお、本発明の実施形態では、燃焼排ガスの供給源として、製鉄所から供給される副生ガスを燃料とするボイラ200から排出される燃焼排ガスを利用する例を示したけれども、燃焼排ガスの供給源はこれに限定されるものではなく、製鉄所から供給される副生ガスを専用の燃焼炉で燃焼させ製造したものであってもよい。また、定期点検工事完了後の機器及び配管に燃料を供給するときも、火災、ガス爆発防止のため機器及び配管内を一旦不燃性ガスに置換するが、この場合においても本発明を使用することができることは言うまでもない。