JP4742406B2 - Thermoplastic resin composition - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性を維持しつつ、得られる成形品の引張強度、伸び、硬度等の機械的物性及び耐油性に優れ、バランスの良い物性を備えた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。この熱可塑性樹脂組成物は、自動車部品、電気及び電子機械部品並びに工業部品などの広い分野で有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、主にポリプロピレンとエチレン-プロピレン系ゴムとからなるものが広く知られている(特開昭48−26838号公報)。しかし、この組成物は耐油性と耐熱性に劣ることが欠点として挙げられていた。そこで、この欠点を改良するため、ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン系ゴム(以下、NBRと略称する)とをブレンドする技術等が知られているが、耐油性には優れるものの分子構造中にジエンを有しているため耐候性が低いことが欠点として挙げられていた。
【0003】
一方で自動車用途を中心に成形性、耐熱性、耐候性及び耐油性を兼ね備えた材料が近年望まれている。アクリルゴムはこれらの特性を全て備えているが、架橋ゴムであるがために、加硫工程が必要であること、及びリサイクル性が悪いことなどに大きな問題があった。
【0004】
これらの点から、近年オレフィン系樹脂とアクリルゴムとからなる熱可塑性エラストマーが検討され始めている。しかしながら、この両者は本質的に非相溶性であり、単純にブレンドしたのでは良好な材料は得られない。これまでこの両者の相溶性を高めるために相溶化剤の添加(特開昭60−156738号公報)、EPDM等に代表されるオレフィン系ゴムとのブレンド(特開昭62−280244号公報)等の技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記相溶化剤の添加によっても、相溶化剤自体に架橋点を有していないことから、得られる成形品には十分な架橋構造が形成されない。このため、成形品は引張破断強度、伸び、硬度等の機械的強度が低く、耐油性も不十分であり、加硫ゴムの代替品として使用するには未だ改良の余地があった。また、EPDM等をブレンドすると、アクリルゴムが有する良好な耐油性を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、成形性を維持しつつ、得られる成形品の引張強度、伸び、硬度等の機械的物性に優れるとともに、耐油性の良好な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の熱可塑性樹脂組成物は、α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体中で、ラジカル重合性有機過酸化物とエチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体とを共重合してなるグラフト化前駆体と、アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体より形成される重合体又は共重合体からなるアクリル系ゴムと、前記グラフト化前駆体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤とを含有するものである。
【0008】
第2の発明の熱可塑性樹脂組成物は、α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体セグメントと、エチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体から形成されるビニル系共重合体セグメントとからなり、前記二つのセグメントのうち一方が他方に0.01〜1μmの微細な粒子として分散相を形成しているグラフト共重合体と、アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体より形成される重合体又は共重合体からなるアクリル系ゴムと、前記グラフト共重合体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤とを含有するものである。
【0009】
第3の発明の熱可塑性樹脂組成物は、第1の発明において、前記ラジカル重合性有機過酸化物が、下記化学式(1)又は(2)で表される化合物であるものである。
【0010】
【化3】

Figure 0004742406
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜12のアルキル 基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。mは1又は2である。)
【0011】
【化4】
Figure 0004742406
(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。nは0、1又は2である。
【0012】
の発明の熱可塑性樹脂組成物は、第1又は第2の発明において、さらにα-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体を含有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物の実施形態について詳細に説明する。
まず、第1の発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定構造のグラフト化前駆体と、アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体より形成される重合体又は共重合体からなるアクリル系ゴムと、前記グラフト化前駆体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤とを含有している。上記のグラフト化前駆体は、α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体〔以下、重合体又は共重合体を(共)重合体とも称する〕中で、ラジカル重合性有機過酸化物とエチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体とを共重合して得られるものである。従って、グラフト化前駆体は、オレフィン系(共)重合体部分と、ラジカル重合性有機過酸化物とエチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体との共重合体部分(以下、ビニル系共重合体部分又はビニル系共重合体とも称する)とから構成される。
【0014】
α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体とは、高圧ラジカル重合法、中低圧イオン重合法等で得られるα−オレフィン単量体の単独重合体又は2種類以上のα−オレフィン単量体の共重合体である。ここで、α−オレフィン単量体は非極性のものを意味している。なお、オレフィン系(共)重合体は、α−オレフィン単量体以外の単量体が少量含まれた単量体混合物を重合して得られるものであってもよい。α−オレフィン単量体としては、エチレン及びプロピレンが好ましい。
【0015】
それらα−オレフィン単量体の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超超低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン等を挙げることができる。特に、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体が、熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品の耐油性及び機械的物性の点で好ましい。これらのオレフィン系(共)重合体は、混合して使用することもできる。
【0016】
次に、ラジカル重合性有機過酸化物は、例えば下記の化学式(1)及び(2)で表されるものである。
【0017】
【化5】
Figure 0004742406
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜12のアルキル 基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。mは1又は2である。)
【0018】
【化6】
Figure 0004742406
(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。nは0、1又は2である。)
上記の化学式(1)で表されるラジカル重合性有機過酸化物として具体的には、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネーボネート;t−アミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;1、1、3、3ーテトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。
【0019】
さらに、化学式(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物としては、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−アミルペルオキシアリルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシアリルカーボネート;p−メンタンペルオキシアリルカーボネート;クミルペルオキシアリルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリルカーボネート;t−アミルペルオキシメタリルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタリルカーボネート;1、1、3、3−テトラメチルブチルペルオキシメタリルカーボネート;p−メンタンペルオキシメタリルカーボネート;クミルペルオキシメタリルカーボネート;t−ブチルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカーボネート;t−アミルペルキシメタリロキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペルオキシアリロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。
【0020】
これらの中でも、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート及びt−ブチルペルオキシメタリルカーボネートが好ましい。その理由は、これらのラジカル重合性有機過酸化物は、重合反応中には不活性であり、溶融混練時にはラジカルが発生する分解温度を有しているからである。
【0021】
次いで、ラジカル重合性有機過酸化物と共重合するエチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分(通常は50重量%以上)として含む単量体としては、アクリル系ゴムとの相溶性が良好なものが好ましい。具体的には、エチルアクリレート又はブチルアクリレートであり、単独又は2種が用いられる
【0022】
また、必要に応じて、アクリロニトリル、スチレン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、炭素数1〜12のメタクリル酸アルキルエステル、二官能性(メタ)アクリレート類、三官能性(メタ)アクリレート類、ジビニルベンゼンなどを共重合しても良い。共重合割合は、単量体中に好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。これらの単量体の共重合割合が40重量%を越えると、各成分の相溶性や得られる成形品の機械的強度が低下し、硬度が上昇するため好ましくない。
【0023】
さらに、架橋反応のための官能基を含有する単量体を共重合する。例えば活性塩素含有単量体、エポキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、不飽和基含有単量体等である。それらの具体例として、活性塩素含有単量体としては、2-クロロエチルビニルエーテル、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロルアセテート、アリルクロルプロピオネート、アリルクロルアセテート、アリルクロルプロピオネート等が挙げられる。好ましくは、2-クロロエチルビニルエーテル、ビニルクロルアセテートである。
【0024】
エポキシ基含有単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシブテン、3,4-エポキシ-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチルペンテン、p-グリシジルスチレン等が挙げられる。好ましくは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルである。
【0025】
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及び桂皮酸が挙げられ、それらのうちアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0026】
不飽和基含有単量体としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、それらのうちアリルメタクリレートが好ましい。
【0027】
これら架橋反応のための官能基を含有する単量体を上記のビニル系共重合体中に20重量%以下共重合し、好ましくは10重量%以下共重合しても良い。この共重合量が20重量%を越えると、成形加工性と機械的物性が著しく低下する。なお、これらの単量体は、後述する架橋剤に対応させて適宜使用される。
【0028】
ビニル系共重合体の数平均重合度は好ましくは5〜10000、さらに好ましくは10〜5000、最も好ましくは100〜2000である。この数平均重合度が5未満であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性を向上させることは可能であるが、得られる成形品の耐熱性が低下し、また外観が悪化するため好ましくない。一方、数平均重合度が10000を越えると、溶融粘度が高く、成形性が低下したり、成形品の表面光沢が低下したりするために好ましくない。
【0029】
次いで、グラフト化前駆体中に含まれるオレフィン系(共)重合体部分の割合は、通常5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%である。従って、ビニル系共重合体部分の割合は95〜5重量%、好ましくは80〜10重量%、最も好ましくは60〜20重量%である。オレフィン系(共)重合体の割合が5重量%未満であると、成形性改良効果が不十分であり好ましくない。また、オレフィン系(共)重合体の割合が95重量%を越えると、成形性改良効果は得られるが、アクリル系ゴムとの相溶性が悪化し、機械的物性が低下するため好ましくない。
【0030】
次に、第2の発明のグラフト共重合体について説明する。このグラフト共重合体は、通常前述したグラフト化前駆体を溶融混練することにより得られる。溶融混練することにより、ビニル系共重合体中のラジカル重合性有機過酸化物からラジカルが発生し、このラジカルがオレフィン系(共)重合体への水素引き抜き反応を行うことでグラフト共重合体を調製することができる。溶融混練する方法として具体的には、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等によって通常100〜300℃、好ましくは120〜280℃の範囲で行う。上記温度が100℃未満の場合、溶融が不完全であったり、また溶融粘度が高く、混合が不十分となり、成形物に相分離や層状剥離が現れるため好ましくない。また、300℃を越えると、混合される樹脂の分解もしくはゲル化が起こり好ましくない。
【0031】
第2の発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定構造のグラフト共重合体と、前述したアクリル系ゴムと、前記グラフト共重合体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤とを含有するものである。上記のグラフト共重合体は、α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体セグメントと、エチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体から形成されるビニル系共重合体セグメントとからなり、前記二つのセグメントのうち一方が他方に0.01〜1μm、さらに好ましくは0.1〜1μmの微細な粒子として分散相を形成しているものである。
【0032】
分散粒子の粒子径が0.01μm未満の場合又は1μmを越える場合、グラフト共重合体をアクリル系ゴムに混合したときの相溶性が不十分となり、得られる成形品の外観の悪化又は機械的物性が低下するため好ましくない。
【0033】
ここで、第1の発明のグラフト化前駆体ないし第2の発明のグラフト共重合体の製造方法について具体的に説明する。
すなわち、オレフィン系重合体100重量部を水に懸濁させ、別に少なくとも1種のビニル単量体5〜1900重量部に、前記化学式(1)又は(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物の1種又は2種以上の混合物を該ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重量部と、10時間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃であるラジカル重合開始剤をビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化物との合計100重量部に対して0.01〜5重量部とを溶解せしめた溶液を加える。
【0034】
次に、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤をオレフィン系重合体に含浸せしめ、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化物とをオレフィン共重合体中で共重合させることにより、グラフト化前駆体を得ることができる。
【0035】
グラフト化前駆体は、その中に含有されているビニル系共重合体が活性酸素として0.003〜0.73重量%を含有していることが好ましい。この活性酸素量が0.003重量%未満であると、グラフト化前駆体のグラフト化能が極度に低下し好ましくない。また、0.73重量%を越えた場合、グラフト化の際ゲルの生成が多く、好ましくない。なお、この場合の活性酸素量は、グラフト化前駆体から溶剤抽出によりビニル系共重合体を抽出し、このビニル系重合体の活性酸素量をヨードメトリー法により求めることによって算出することができる。
【0036】
次いで、このグラフト化前駆体を100〜300℃の加熱溶融下、混練することにより、グラフト共重合体を得ることができる。溶融混練する方法としては、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロ-ル等の通常用いられる混練機により行うことができる。
【0037】
次に、第1又は第2の発明のアクリル系ゴムとは、アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体を共重合することにより得られるゴムである。具体的にはアクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート等が挙げられる。アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は1種又は2種以上が適宜使用される。これらの中で特に好ましいのは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメトキシエチルアクリレートである。
【0038】
また、耐油性、成形性(成形加工性)、ゴム弾性等の物性を向上させる目的で、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、炭素数1〜12のメタクリル酸アルキルエステル、二官能性アクリレート類、二官能メタクリレート類、三官能性アクリレート類、三官能メタクリレート類、エチレン、プロピレン又はイソブテン等のα-オレフィン類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類などを共重合しても良い。これらの共重合量としては、アクリル系ゴムを形成する単量体中に40重量%以下が好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。共重合量が40重量%を越えると、アクリル系ゴムの物性のバランスを損なう傾向にある。
【0039】
ここで、第1の発明のビニル系共重合体と同様に、架橋反応のための官能基を含有する単量体を共重合する。そのような単量体として具体的には、活性塩素含有単量体、エポキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体及び不飽和基含有単量体が使用される。
【0040】
これらの単量体は、ビニル系共重合体を形成する単量体中20重量%以下共重合しても良く、さらに好ましくは10重量部以下共重合しても良い。この共重合量が20重量%を越えると成形加工性が著しく低下するため好ましくない。なお、これらの単量体は後述する架橋剤に対応して使い分けられる。
【0041】
第1の発明において、グラフト化前駆体とアクリル系ゴム、又は第2の発明のグラフト共重合体とアクリル系ゴムとの混合比は、重量基準で好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90、特に好ましくは80/20〜20/80である。アクリル系ゴムが95/5を越えると成形加工性が低下したり、得られる成形品の機械的強度が低下し、また5/95未満では成形品のゴム弾性が低く、硬度が高くなる。
【0042】
次に、第1の発明ないし第2の発明の架橋剤は、主として第1の発明のグラフト化前駆体及びアクリル系ゴムに含有される架橋用官能基、又は第2の発明のグラフト共重合体及びアクリル系ゴムに含有される架橋用官能基と反応しうるものであり、導入されている官能基によって使い分けられる。
【0043】
従って、架橋部位が活性塩素、エポキシ基、カルボキシル基又は不飽和基である場合の架橋剤の具体例として、これらの官能基と反応しうる官能基、例えば硫黄、含硫黄有機化合物、アミノ基含有化合物、酸無水物基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これら架橋剤には公知の架橋促進剤を併用することが好ましい。
【0044】
上記の含硫黄有機化合物としては、テトラメチルチウラムジサルファイド、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラブチルチウラムジサルファイド、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等のチウラム類、Se-ジエチルジチオカーバメート、Te-ジエチルジチオカーバメート、Se-ジメチルジチオカーバメート等のジチオ酸塩類、モルホリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
【0045】
アミノ基を含有する化合物としては、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4-ジアミノブタン等の脂肪族ジアミン類、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ポリアミン類、フェニレンジアミン、4,4'-メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
【0046】
酸無水物基又はカルボキシル基含有化合物としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、シアヌル酸等が挙げられる。
【0047】
イソシアネート含有化合物としては、トルエンジイソシアネート、イソシアナート基を末端基とするプレポリマーのイソシアナート類等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン等のジグリシジルエーテルのようなエポキシド類が挙げられる。
【0048】
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネイト類、パーオキシエステル類が挙げられる。これらの中で、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類が好ましい。
【0049】
架橋部位が活性塩素であるときの好ましい架橋系の具体例は、架橋剤として硫黄、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド、促進剤として、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオ尿素等がある。特に、硫黄とステアリン酸ナトリウムとステアリン酸カリウム、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジンとジブチルジチオカルバミン酸亜鉛とジエチルチオ尿素、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイドとステアリン酸カリウムの組み合わせが好ましい。
【0050】
架橋部位がエポキシ基であるときの好ましい架橋系の具体例は、架橋剤として安息香酸アンモニウム、イソシアヌル酸、4,4'-メチレンジアニリン、4,4'-(α,α'-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、カルバミン酸類、ジアミンカルバメート系化合物、促進剤として、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド等がある。特に安息香酸アンモニウム単体、安息香酸アンモニウムとジメチルジチオカルバミン酸亜鉛とジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、イソシアヌル酸とステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、4,4'-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンとジメチル-ジチオカルバミン酸第二鉄の組み合わせが好ましい。
【0051】
架橋部位がカルボキシル基であるときの好ましい架橋系の具体例は、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4'-メチレンジアニリン、促進剤として1,3-ジフェニルグアニジンである。特に、4,4'-メチレンジアニリンと1,3-ジフェニルグアニジンの組み合わせが好ましい。
【0052】
架橋部位が非共役ジエン等の不飽和基である場合や官能基を含まない場合、有機過酸化物架橋が行われる。架橋反応に用いられる有機過酸化物としては特に限定されない。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,4-ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、t-ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。これらの中で、好ましくはジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3である。
【0053】
さらに、共架橋剤を使用すると架橋効果が向上する。このような共架橋剤としては、p-キノンジオキシム、p,p-ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、マレイミド、フェニールマレイミドN,N'・m-フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1,2-ポリブタジエン等が挙げられる。これら共架橋剤の使用量は、アクリル系ゴム100重量部当たり好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。この量が10重量部を越えると、得られる樹脂組成物の成形加工性が著しく低下するおそれがある。また、架橋速度を調節する目的で架橋促進剤又は架橋遅延剤も併用することができる。
【0054】
架橋剤の添加量は、グラフト化前駆体とアクリル系ゴム、又はグラフト共重合体とアクリル系ゴムの合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部であるが、添加量は架橋点の濃度及び有機過酸化物の種類に依存する。架橋剤の添加量が10重量部を越えると成形加工性が低下し、0.01重量部未満では成形品のゴム弾性が低下する。
【0055】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の各成分に、さらにα-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体を追加して溶融混練しても良い。この場合、追加されるオレフィン系(共)重合体は、熱可塑性樹脂組成物中のオレフィン系(共)重合体とアクリル系ゴムとの相溶化剤としても機能するため、容易に混合することができる。そして、オレフィン系(共)重合体を追加して溶融混練された組成物は成形性に優れるとともに、得られる成形品は機械的物性が良好であるうえに、製造コストの低減を図ることができる。
【0056】
追加されるオレフィン系(共)重合体の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超超低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン等を挙げることができ、特にポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体が耐油性及び機械的物性の点で好ましい。また、オレフィン系(共)重合体の添加量としては、第1又は第2の発明で規定されている成分100重量部に対して、好ましくは0〜900重量部、さらに好ましくは0〜400重量部、特に好ましくは0〜100重量部である。900重量部を越えると、得られる成形品はゴム弾性に劣るため好ましくない。また、これらのオレフィン系(共)重合体は混合して使用することもできる。
【0057】
非相溶系であるオレフィン系(共)重合体とアクリル系ゴムを相溶化させる方法として、相溶化剤を混合する方法と、架橋剤の添加による方法があるが、第1の発明のグラフト化前駆体又は第2の発明のグラフト共重合体がアクリル系ゴム成分と相溶性を有しているため、良好な相溶性が得られる。そして、その成形品は優れた外観を発現することができる。
【0058】
しかも、第1の発明の場合には、グラフト化前駆体とアクリル系ゴムを溶融混練することで、グラフト化前駆体のラジカル重合性有機過酸化物からラジカルが発生し、このラジカルがオレフィン系(共)重合体への水素引き抜き反応によるグラフト化と、アクリル系ゴムへの水素引き抜き反応によるグラフト化反応を同時に引き起こす。従って、これまでにないほどの微細な分散状態を示すとともに、オレフィン系(共)重合体とアクリル系ゴムの界面接着力が向上し、優れた外観と物性を発現するものと考えられる。
【0059】
さらに、これに架橋剤を添加することで、成形性、機械的強度及び耐油性において優れたバランスを有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。一方、第2の発明の場合には、グラフト共重合体とアクリル系ゴムを溶融混練することにより、相溶性の優れた樹脂組成物が得られる。さらに、架橋剤を用いて架橋することで、成形性、機械的強度及び耐油性において優れたバランスを有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0060】
本発明の熱可塑性樹脂組成物にも通常のアクリルゴムと同様に、可塑剤、充填材、難燃剤、酸化防止剤等の安定剤、着色剤、スコーチ防止剤、滑剤、カップリング剤、発泡剤等を添加しても良い。具体的には、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、スルホンアミド等に代表される可塑剤、カーボンブラック、ホワイトカーボン、クレ-、マイカ、炭酸カルシウム、タルク等に代表される充填材、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等に代表される無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等に代表される有機難燃剤、置換ジフェニルアミン等に代表される老化防止剤、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド等に代表されるスコーチ防止剤、エステル系ワックス等に代表される滑剤等が例示される。
【0061】
これらの添加剤は、熱可塑性樹脂組成物の前記各成分の合計量に対して、好ましくは0〜200重量%、さらに好ましくは0〜150重量%を配合することができる。その配合量が200重量%を越えると成形品の耐油性が低下するので好ましくない。
【0062】
また、充填剤の表面は、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸又はそれらの金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はそれらの変性物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネ-ト等を使用して表面処理を行うことが好ましい。
【0063】
さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、他の熱可塑性樹脂などを添加しても差し支えない。そのような添加剤としては、具体的にはポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセア-ル系樹脂、ポリカ-ボネ-ト系樹脂、ポリフェニレンエ-テル系樹脂、ポリフェニレンエ-テル系樹脂、ポリアリレ-ト系樹脂などのエンジニアリングプラスチックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの汎用プラスチックス、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ブタジエンゴム、ブタジエン-スチレンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン-プロピレン系ゴム、ウレタンゴム、ケイ素ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等の合成ゴム、天然ゴムなどを挙げることができる。
【0064】
特に、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン-プロピレン系ゴム等の耐油性に劣る樹脂に添加することで、機械的物性を低下させずに耐油性を向上させることができる。
【0065】
熱可塑性樹脂組成物を溶融、混合する方法としては、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等の通常用いられる混練機により行うことができる。溶融、混合する温度としては通常100〜300℃、好ましくは120〜280℃の範囲である。上記温度が100℃未満の場合、溶融が不完全であったり、また溶融粘度が高く、混合が不十分となり、成形物に相分離や層状剥離が現れるため好ましくない。また300℃を越えると、混合される樹脂の分解又はゲル化が起こり好ましくない。
【0066】
また、熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、真空成形法及びブロー成形法の何れの成形方法でも成形することができる。なかでも、射出成形法は流動性、成形品外観の観点から、押出成形法は成形シ-トの成形性、シ-ト外観の観点から、また真空成形法は深絞り成形性の観点からより好ましい。
【0067】
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
・ 実施形態で説明した熱可塑性樹脂組成物によれば、グラフト化前駆体又はグラフト共重合体がアクリル系ゴムと優れた相溶性を有するとともに、グラフト化前駆体は溶融混練によりオレフィン系(共)重合体とグラフト化反応すると同時にアクリル系ゴムともグラフト化反応する。しかも、架橋剤によりグラフト化前駆体又はグラフト共重合体とアクリル系ゴムとの間で架橋構造が形成される。
【0068】
このため、熱可塑性樹脂組成物の成形時に良好な流動性が得られて成形性を維持できるとともに、得られる成形品の引張強度、伸び、硬度等の機械的物性に優れ、かつ耐油性が良好となる。従って、この熱可塑性樹脂組成物は自動車部品、電気及び電子部品、その他の工業部品などの広い分野で有用である。
【0069】
・ また、特定のラジカル重合性有機過酸化物を用いることにより、そのラジカル重合性有機過酸化物の特性に基づき、加熱溶融してグラフト共重合体を得る場合のグラフト効率を高めることができるとともに、各成分の相溶性を向上させることができる。
【0070】
・ グラフト化前駆体若しくはグラフト共重合体又はアクリル系ゴムに架橋のための官能基を含有することによって架橋構造を容易に、しかも高度に形成することができ、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の機械的物性を高めることができるとともに、耐油性を向上させることができる。
【0071】
・ 上記の熱可塑性樹脂組成物にさらにオレフィン系(共)重合体を配合することにより、各成分の相溶性を良好にできて成形性を高めることができるとともに、得られる成形品の機械的物性をより向上させることができ、製造コストの低減を図ることもできる。
【0072】
【実施例】
以下、参考例、参照例、実施例及び比較例により実施形態をさらに具体的に説明する。
(参考例1、グラフト化前駆体(a)の製造)
容積5L(リットル)のステンレス製オ-トクレ-ブに、純水2000gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコ-ル2.5gを溶解させた。この中にオレフィン系重合体としてポリプロピレン「住友S131」〔商品名、住友化学(株)製〕700gを入れ、撹拌、分散した。それとは別にラジカル重合開始剤としてベンゾイルペルオキシド「ナイパ-B」(商品名、日本油脂(株)製)1.2g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt-ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ-ボネ-ト6g、ビニル単量体としてブチルアクリレート262.5g、アクリロニトリル37.5gを前記オ-トクレ-ブ中に投入して撹拌した。
【0073】
次いで、オ-トクレ-ブを60〜65℃に昇温し、2時間撹拌することにより、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物をポリプロピレン中に含浸させた。続いて、温度を80〜85℃に上げ、その温度で6時間維持して重合を完結させ、水洗及び乾燥してグラフト化前駆体(a)を得た。このグラフト化前駆体(a)中のビニル共重合体をトルエンで抽出し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により数平均重合度を測定したところ、850であった。
【0074】
このグラフト化前駆体(a)を走査型電子顕微鏡「JEOL−JSM−T300」〔日本電子(株)製〕により観察したところ、粒子径0.3〜0.5μmの真球状樹脂が均一に分散した多相構造体であった。
(参考例2、グラフト化前駆体(b)の製造)
参考例1において、ビニル単量体をエチルアクリレート135g、ブチルアクリレート72g、メトキシエチルアクリレート84g、ビニルクロルアセテート9gに、またベンゾイルペルオキシド1.2gをジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド「パ-ロイル355」〔商品名、日本油脂(株)製〕2gに変更し、分子量調整剤としてα-メチルスチレンダイマ-「ノフマ-MSD」〔商品名、日本油脂(株)製〕0.12gを使用した以外は、参考例1を繰り返してグラフト化前駆体(b)を得た。このときグラフト化前駆体(b)中のビニル共重合体の数平均重合度は1100であった。また、このグラフト化前駆体(b)中に分散している樹脂の平均粒子径は0.3〜0.5μmであった。
(参考例3、グラフト化前駆体(c)の製造)
参考例2において、「S131」を「日石ポリプロJ150G」〔商品名、日本ポレオレフィン(株)製〕に、ビニルクロルアセテートをグリシジルメタクリレートにする以外は参考例2を繰り返してグラフト化前駆体(c)を得た。このとき、グラフト化前駆体(c)中のビニル共重合体の数平均重合度は1200であった。また、このグラフト化前駆体(c)中に分散している樹脂の平均粒子径は0.3〜0.5μmであった。
(参考例4、グラフト化前駆体(d)の製造)
参考例3において、グリシジルメタクリレートをメタクリル酸に変更した以外は参考例3を繰り返してグラフト化前駆体(d)を得た。
【0075】
このとき、グラフト化前駆体(d)中のビニル共重合体の数平均重合度は1250であった。また、グラフト化前駆体(d)中に分散している樹脂の平均粒子径は0.3〜0.5μmであった。
(参考例5、グラフト化前駆体(e)の製造)
参考例3において、ビニル単量体を本発明のアクリル酸アルキルエステルではなくスチレン300gに変更した以外は、参考例3を繰り返してグラフト化前駆体(e)を得た。
【0076】
このとき、グラフト化前駆体(e)中のスチレン重合体の数平均重合度は950であった。また、グラフト化前駆体(e)中に分散している樹脂の平均粒子径は0.3〜0.4μmであった。
【0077】
以上の参考例1〜5の組成を表1にまとめて示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004742406
参照例1)
参考例1で得たグラフト前駆体(a)100gと、アクリル酸アルキルエステルアクリル系ゴムとしてSUNIGUM〔商品名、グッドイヤーケミカル株製〕300g、架橋剤としてパーヘキサ25B〔商品名、日本油脂株製〕6gをドライブレンドした後、シリンダー温度180℃に設定されたスクリュ-径30mmの同軸方向二軸押出機に供給し、押出後造粒した。造粒した樹脂を用い、射出成形法によって試験片を作成し、以下の試験法により物性を測定した。その結果を表2に示した。
(1)引張試験
小型射出成型機で試験片(2号ダンベル)を成形し、JIS K-6301に準じ、引張強さと伸びを測定した。
(2)硬度
JIS K-6301に準じ、A型で測定した。
(3)流動性(メルトフローレート)
JIS K-7210に準じ、190℃、10kg荷重で測定した。(単位 g/10分)
(4)射出成形品の外観
成形品の表面のフロ-マ-ク、肌荒れ、シルバ-ストリ-ク、ブル-ミングなどを目視で判定した。
【0079】
判定基準 ◎:優、○:良、×:不可
(5)耐油性試験
試験片(2号ダンベル)をASTM No.3油に100℃、72時間浸漬した後、下記式により膨潤度を測定した。
【0080】
膨潤度=〔(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100
(実施例2)
参考例2で得たグラフト化前駆体(b)100gと、アクリル酸アルキルエステルアクリル系ゴムとしてNipol AR72LF〔商品名、日本ゼオン(株)製、活性塩素含有アクリルゴム〕200g、架橋剤としてサルファックスPMC〔商品名、鶴見化学工業(株)製、表面処理硫黄〕0.6g、加硫促進剤としてNSソープ〔商品名、花王(株)製、ステアリン酸ナトリウム〕6g、ノンサールSK-1〔商品名、日本油脂(株)製、ステアリン酸カリウム〕1g、ステアリン酸2g、滑剤としてグレックG-8205〔商品名、大日本インキ化学工業(株)製、エステル系ワックス〕2g、老化防止剤としてナウガード445〔商品名、白石カルシウム(株)製、置換ジフェニルアミン〕4gを、バンバリーミキサーに供給し、180℃で10分間混練した。
【0081】
この混練した樹脂をプレス成形し〔180℃、0.343Pa(350kgf/cm2)〕、シートから打ち抜きにより試験片(2号ダンベル)を切削した。この試験片について、参照例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(実施例3)
参考例3で得たグラフト化前駆体(c)100gと、アクリル酸アルキルエステルアクリル系ゴムとしてNipol AR72LF〔商品名、日本ゼオン株製、エポキシ基含有アクリルゴム〕300g、架橋剤としてバルノックAB〔商品名、大内新興化学工業株製、安息香酸アンモニウム〕4.5g、加硫促進剤としてノクセラーPZ〔商品名、大内新興化学工業株製、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛〕7,5g、ノクセラーTTFE〔商品名、大内新興化学工業株製〕、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛〕1,5g、ステアリン酸3g、滑剤としてグレックG-8205〔商品名、大日本インキ化学工業株製、エステル系ワックス〕3g、老化防止剤としてナウガード445〔商品名、白石カルシウム株製、置換ジフェニルアミン〕6gにした以外は実施例2と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(実施例4)
参考例4で得たグラフト化前駆体(d)100gと、ベイマックG〔商品名、昭和電工-デュポン株製、カルボキシル基含有エチレン-アクリル酸メチルアクリル系ゴム〕300g、架橋剤として1,3-ジフェニルグアニジン6g、4,4'-メチレンジアニリン1.8g、老化防止剤としてナウガード445〔商品名、白石カルシウム株製、置換ジフェニルアミン〕6gにした以外は実施例2と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(比較例1)
実施例2において、グラフト化前駆体(b)の代わりに、S131を使用した以外はすべて実施例2と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(比較例2)
実施例2において、グラフト化前駆体(b)の代わりにグラフト化前駆体(e)を使用した以外はすべて実施例2と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(比較例3)
実施例3において、架橋剤と加硫促進剤を使用しない以外はすべて実施例3と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(比較例4)
グラフト化前駆体(a)をラボプラストミル一軸押出機〔(株)東洋精機製作所製〕で180℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体(A)を得た。このグラフト共重合体(A)について参照例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(比較例5)
実施例3でグラフト化前駆体(c)を使用しない以外は、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
(実施例5)
参考例1で得たグラフト化前駆体(a)を比較例4と同じラボプラストミル一軸押出機で180℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体(A)を得た。このグラフト共重合体(A)を参照例1のグラフト化前駆体(a)の代わりに使用する以外は参照例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示した。
【0082】
【表2】
Figure 0004742406
表2に示したように、参照例1、実施例においては、引張強さ、伸び及び硬度とも良好で、機械的物性に優れていることがわかる。また、樹脂の流動性も良好で成形性が良く、外観に優れている。さらに、膨潤度が全般に低く、耐油性にも優れている。
【0083】
これに対して、比較例1〜5においては、機械的物性、流動性(成形性)及び耐油性のいずれかの物性が不良であることがわかる。
なお、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0084】
・ 前記グラフト化前駆体を形成するオレフィン系重合体又は共重合体は、エチレン又はプロピレンの単独重合体又はエチレンとプロピレンの共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。このように構成した場合、熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品の機械的物性及び耐油性を向上させることができる。
【0085】
・ 前記グラフト共重合体は、α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体中で、ラジカル重合性有機過酸化物とアクリル酸アルキルエステル単量体を含む単量体とを共重合してなるグラフト化前駆体を100〜300℃に加熱することにより得ることができるものである請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。このように構成した場合、グラフト化率の高いグラフト共重合体を容易かつ確実に得ることができる。
【0086】
・ 前記グラフト化前駆体中のラジカル重合性有機過酸化物とアクリル酸アルキルエステル単量体を含む単量体との共重合体部分の活性酸素量は0.003〜0.73%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。このように構成した場合、グラフト化前駆体を加熱してグラフト共重合体を得る場合にゲルの生成を防止し、グラフト化率を向上させることができる。
【0087】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果を奏する。
第1及び第2の発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形性を維持しつつ、得られる成形品の引張強度、伸び、硬度等の機械的物性に優れるとともに、耐油性が良好である。従って、この熱可塑性樹脂組成物を自動車部品、電気及び電子部品、その他の工業部品などの広い分野で有用である。加えて、得られる成形品の機械的物性を高めることができるとともに、耐油性を向上させることができる。
【0088】
第3の発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、第1の発明の効果に加え、加熱溶融してグラフト共重合体を得る場合のグラフト効率を高めることができるとともに、各成分の相溶性を向上させることができる。
【0090】
の発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、第1又は第2の発明の効果に加え、各成分の相溶性を良好にして成形性を高めることができるとともに、得られる成形品の機械的物性をより向上させることができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermoplastic resin composition having excellent physical properties such as tensile strength, elongation, and hardness, and oil resistance and having well-balanced physical properties while maintaining moldability. This thermoplastic resin composition is useful in a wide range of fields such as automobile parts, electrical and electronic machine parts, and industrial parts.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as olefin thermoplastic elastomers, those mainly composed of polypropylene and ethylene-propylene rubber have been widely known (Japanese Patent Laid-Open No. 48-26838). However, this composition has been cited as a disadvantage that it is inferior in oil resistance and heat resistance. Therefore, in order to improve this defect, a technique of blending polypropylene and acrylonitrile-butadiene rubber (hereinafter abbreviated as NBR) is known. However, although it has excellent oil resistance, it has a diene in the molecular structure. Therefore, the low weather resistance has been mentioned as a drawback.
[0003]
On the other hand, a material having moldability, heat resistance, weather resistance, and oil resistance has been demanded in recent years mainly for automobile applications. Acrylic rubber has all of these characteristics, but it is a crosslinked rubber, and therefore has a serious problem in that it requires a vulcanization step and poor recyclability.
[0004]
In view of these points, thermoplastic elastomers composed of olefin resins and acrylic rubber have recently been studied. However, both are essentially incompatible, and a simple blend will not yield a good material. So far, in order to increase the compatibility of both, the addition of a compatibilizing agent (Japanese Patent Laid-Open No. 60-156738), a blend with an olefin rubber typified by EPDM (Japanese Patent Laid-Open No. 62-280244), etc. The technology has been proposed.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, even when the compatibilizing agent is added, since the compatibilizing agent itself does not have a crosslinking point, a sufficient cross-linked structure is not formed in the obtained molded product. For this reason, the molded product has low mechanical strength such as tensile breaking strength, elongation, hardness, etc. and insufficient oil resistance, and there is still room for improvement for use as a substitute for vulcanized rubber. In addition, blending EPDM or the like has a problem that the good oil resistance of acrylic rubber is lowered.
[0006]
The present invention has been made paying attention to the problems existing in the prior art as described above. The object is to provide a thermoplastic resin composition having excellent mechanical properties such as tensile strength, elongation, hardness and the like of the molded product obtained while maintaining moldability, and having good oil resistance. .
[0007]
[Means for Solving the Problems]
  In order to achieve the above object, the thermoplastic resin composition of the first invention in the present invention is a radically polymerizable organic polymer in an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer. Oxide andEthyl acrylate or butyl acrylateMonomer containing as a main componentAnd monomers with functional groups for crosslinkingA monomer mainly composed of a grafting precursor obtained by copolymerization of an alkyl acrylate and an alkoxy alkyl acrylateAnd monomers with functional groups for crosslinkingIt contains an acrylic rubber made of a polymer or a copolymer formed from a polymer, and a crosslinking agent for crosslinking the grafted precursor and the acrylic rubber.
[0008]
  The thermoplastic resin composition of the second invention comprises an olefin polymer or copolymer segment formed from an α-olefin monomer,Ethyl acrylate or butyl acrylateMonomer containing as a main componentAnd monomers with functional groups for crosslinkingA graft copolymer formed of a vinyl copolymer segment, one of the two segments forming a dispersed phase as fine particles of 0.01 to 1 μm on the other, and an alkyl acrylate Monomers based on esters or alkoxyalkyl esters of acrylic acidAnd monomers with functional groups for crosslinkingAnd an acrylic rubber made of a polymer or a copolymer, and a crosslinking agent for crosslinking the graft copolymer and the acrylic rubber.
[0009]
A thermoplastic resin composition of a third invention is the thermoplastic resin composition according to the first invention, wherein the radical polymerizable organic peroxide is a compound represented by the following chemical formula (1) or (2).
[0010]
[Chemical Formula 3]
Figure 0004742406
(Wherein R1Is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 2 carbon atoms, R2Is a hydrogen atom or a methyl group, RThreeAnd RFourAre each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, RFiveRepresents an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group or a cycloalkyl group having 3 to 12 carbon atoms. m is 1 or 2. )
[0011]
[Formula 4]
Figure 0004742406
  (Wherein R6Is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, R7Is a hydrogen atom or a methyl group, R8And R9Are each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, RTenRepresents an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group, or a cycloalkyl group having 3 to 12 carbon atoms. n is 0, 1 or 2.)
[0012]
First4In the first or second invention, the thermoplastic resin composition of the invention of the invention further contains an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
  Hereinafter, embodiments of the thermoplastic resin composition of the present invention will be described in detail.
  First, the thermoplastic resin composition of the first invention is a monomer comprising a grafting precursor having a specific structure and an alkyl acrylate ester or an alkoxyalkyl acrylate ester as main components.And monomers with functional groups for crosslinkingIt contains an acrylic rubber made of a polymer or a copolymer formed from the polymer, and a crosslinking agent for crosslinking the grafting precursor and the acrylic rubber. The grafting precursor is an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer (hereinafter, the polymer or copolymer is also referred to as a (co) polymer), and is radically polymerizable. With organic peroxideEthyl acrylate or butyl acrylateMonomer containing as a main componentAnd monomers with functional groups for crosslinkingAre obtained by copolymerization. Accordingly, the grafting precursor comprises an olefinic (co) polymer portion, a radical polymerizable organic peroxide,Ethyl acrylate or butyl acrylateMonomer containing as a main componentAnd monomers with functional groups for crosslinkingAnd a copolymer part (hereinafter also referred to as a vinyl copolymer part or a vinyl copolymer).
[0014]
An olefinic (co) polymer formed from an α-olefin monomer is a homopolymer of an α-olefin monomer obtained by a high pressure radical polymerization method, a medium or low pressure ion polymerization method, or two or more types of α. -A copolymer of olefin monomers. Here, the α-olefin monomer means a non-polar monomer. The olefinic (co) polymer may be obtained by polymerizing a monomer mixture containing a small amount of monomers other than the α-olefin monomer. As the α-olefin monomer, ethylene and propylene are preferable.
[0015]
Specific examples of these α-olefin monomers include low density polyethylene, ultra low density polyethylene, ultra ultra low density polyethylene, low molecular weight polyethylene, ethylene-propylene copolymer, and polypropylene. In particular, polypropylene and ethylene-propylene copolymer are preferable from the viewpoint of oil resistance and mechanical properties of a molded product obtained from the thermoplastic resin composition. These olefinic (co) polymers can also be used as a mixture.
[0016]
Next, the radical polymerizable organic peroxide is represented by, for example, the following chemical formulas (1) and (2).
[0017]
[Chemical formula 5]
Figure 0004742406
(Wherein R1Is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 2 carbon atoms, R2Is a hydrogen atom or a methyl group, RThreeAnd RFourAre each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, RFiveRepresents an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group or a cycloalkyl group having 3 to 12 carbon atoms. m is 1 or 2. )
[0018]
[Chemical 6]
Figure 0004742406
(Wherein R6Is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, R7Is a hydrogen atom or a methyl group, R8And R9Are each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, RTenRepresents an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group, or a cycloalkyl group having 3 to 12 carbon atoms. n is 0, 1 or 2. )
Specific examples of the radical polymerizable organic peroxide represented by the above chemical formula (1) include t-butylperoxyacryloyloxyethyl carbonate; t-amylperoxyacryloyloxyethyl carbonate; t-hexylperoxyacryloyloxy. 1,1,3,3-tetramethylbutylperoxyacryloyloxyethyl carbonate; cumylperoxyacryloyloxyethyl carbonate; p-isopropylcumylperoxyacryloyloxyethyl carbonate; t-butylperoxymethacryloyloxyethyl T-amyl peroxymethacryloyloxyethyl carbonate; t-hexylperoxymethacryloyloxyethyl carbonate; 1,1,3,3-tetramethylbutylperoxymeta Liloyloxyethyl carbonate; cumylperoxymethacryloyloxyethyl carbonate; p-isopropylcumylperoxymethacryloyloxyethyl carbonate; t-butylperoxymethacryloyloxyethyl carbonate; t-amylperoxyacryloyloxyethoxyethyl carbonate; -Hexylperoxyacryloyloxyethoxyethyl carbonate; 1,1,3,3-tetramethylbutylperoxyacryloyloxyethoxyethyl carbonate; cumylperoxyacryloyloxyethoxyethyl carbonate; p-isopropylcumylperoxyacryloyloxyethoxyethyl Carbonate; t-butylperoxymethacryloyloxyethoxyethyl carbonate; t-amylperoxymeta T-hexylperoxymethacryloyloxyethoxyethyl carbonate; 1,1,3,3-tetramethylbutylperoxymethacryloyloxyethoxyethyl carbonate; cumylperoxymethacryloyloxyethoxyethyl carbonate; p-isopropyl Milperoxymethacryloyloxyethoxyethyl carbonate; t-butylperoxyacryloyloxyisopropyl carbonate; t-amylperoxyacryloyloxyisopropyl carbonate; t-hexylperoxyacryloyloxyisopropyl carbonate; 1,1,3,3-tetramethylbutyl Peroxyacryloyloxyisopropyl carbonate; cumylperoxyacryloyloxyisopropyl carbonate P-isopropylcumylperoxyacryloyloxyisopropyl carbonate; t-butylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate; t-amylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate; t-hexylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate; Examples thereof include 3-tetramethylbutylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate; cumylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate; p-isopropylcumylperoxymethacryloyloxyisopropyl carbonate.
[0019]
Furthermore, as the radical polymerizable organic peroxide represented by the chemical formula (2), t-butyl peroxyallyl carbonate; t-amyl peroxyallyl carbonate; t-hexyl peroxyallyl carbonate; 1, 1, 3, 3-tetra P-menthane peroxyallyl carbonate; cumyl peroxyallyl carbonate; t-butyl peroxymethallyl carbonate; t-amyl peroxymethallyl carbonate; t-hexyl peroxymethallyl carbonate; -Tetramethylbutyl peroxymethallyl carbonate; p-menthane peroxymethallyl carbonate; cumyl peroxymethallyl carbonate; t-butylperoxyallyloxyethyl carbonate; t-amyl T-hexylperoxymetalloxyethyl carbonate; t-butylperoxymetalloxyethyl carbonate; t-amylperoxymetalloxyethyl carbonate; t-hexylperoxymetalloxyethyl carbonate; t-butylperoxyallyloxy Examples include isopropyl carbonate; t-amyl peroxyallyloxyisopropyl carbonate; t-hexyl peroxyallyloxyisopropyl carbonate; t-butyl peroxymetalloxyisopropyl carbonate; t-amyl peroxymetalloxyisopropyl carbonate; can do.
[0020]
Among these, t-butyl peroxyacryloyloxyethyl carbonate, t-butyl peroxymethacryloyloxyethyl carbonate, t-butyl peroxyallyl carbonate, and t-butyl peroxymethallyl carbonate are preferable. The reason is that these radical polymerizable organic peroxides are inactive during the polymerization reaction and have a decomposition temperature at which radicals are generated during melt kneading.
[0021]
  Then copolymerize with radically polymerizable organic peroxideEthyl acrylate or butyl acrylateAs a monomer containing as a main component (usually 50% by weight or more), those having good compatibility with acrylic rubber are preferable. In particular,Ethyl acrylate or butyl acrylate,Single or 2SeedsUsed.
[0022]
If necessary, acrylonitrile, styrene, hydroxyethyl (meth) acrylate, hydroxypropyl (meth) acrylate, alkyl alkyl ester having 1 to 12 carbon atoms, bifunctional (meth) acrylates, trifunctional (meta ) Acrylates, divinylbenzene and the like may be copolymerized. The copolymerization ratio in the monomer is preferably 40% by weight or less, more preferably 30% by weight or less. If the copolymerization ratio of these monomers exceeds 40% by weight, the compatibility of each component and the mechanical strength of the resulting molded product are lowered, and the hardness is increased, which is not preferable.
[0023]
  Furthermore, monomers containing functional groups for cross-linking reactions are copolymerizedDo. For example, active chlorine-containing monomers, epoxy group-containing monomers, carboxyl group-containing monomers, unsaturated group-containing monomers, and the like. Specific examples thereof include 2-chloroethyl vinyl ether, vinyl benzyl chloride, vinyl chloroacetate, allyl chloropropionate, allyl chloroacetate, and allyl chloropropionate as active chlorine-containing monomers. 2-Chloroethyl vinyl ether and vinyl chloroacetate are preferable.
[0024]
Epoxy group-containing monomers include glycidyl acrylate, glycidyl methacrylate, glycidyl itaconate, allyl glycidyl ether, 2-methylallyl glycidyl ether, 3,4-epoxybutene, 3,4-epoxy-methyl-1-butene 3,4-epoxy-1-pentene, 3,4-epoxy-3-methylpentene, p-glycidylstyrene and the like. Preferred are glycidyl acrylate, glycidyl methacrylate, and allyl glycidyl ether.
[0025]
Examples of the carboxyl group-containing monomer include acrylic acid, methacrylic acid, crotonic acid, itaconic acid and cinnamic acid, among which acrylic acid and methacrylic acid are preferred.
[0026]
Examples of the unsaturated group-containing monomer include allyl acrylate, allyl methacrylate, and allyl glycidyl ether. Of these, allyl methacrylate is preferable.
[0027]
  Monomers containing functional groups for the crosslinking reaction are contained in the above vinyl copolymer.20% by weight or less copolymerizationGoodPreferably, it may be copolymerized in an amount of 10% by weight or less. If the copolymerization amount exceeds 20% by weight, the molding processability and mechanical properties are significantly reduced.TheThese monomers are appropriately used in accordance with the crosslinking agent described later.
[0028]
The number average degree of polymerization of the vinyl copolymer is preferably 5 to 10,000, more preferably 10 to 5000, and most preferably 100 to 2000. If the number average degree of polymerization is less than 5, it is possible to improve the moldability of the thermoplastic resin composition, but this is not preferable because the heat resistance of the resulting molded article is lowered and the appearance is deteriorated. On the other hand, when the number average degree of polymerization exceeds 10,000, the melt viscosity is high, the moldability is lowered, and the surface gloss of the molded product is lowered.
[0029]
Next, the proportion of the olefinic (co) polymer portion contained in the grafting precursor is usually 5 to 95% by weight, preferably 20 to 90% by weight, and most preferably 40 to 80% by weight. Accordingly, the proportion of the vinyl copolymer portion is 95 to 5% by weight, preferably 80 to 10% by weight, and most preferably 60 to 20% by weight. If the proportion of the olefinic (co) polymer is less than 5% by weight, the effect of improving moldability is insufficient, which is not preferable. On the other hand, when the proportion of the olefinic (co) polymer exceeds 95% by weight, an effect of improving the moldability can be obtained, but the compatibility with the acrylic rubber is deteriorated and the mechanical properties are lowered, which is not preferable.
[0030]
Next, the graft copolymer of the second invention will be described. This graft copolymer is usually obtained by melt-kneading the aforementioned grafting precursor. By melt-kneading, radicals are generated from the radical polymerizable organic peroxide in the vinyl copolymer, and this radical performs a hydrogen abstraction reaction to the olefinic (co) polymer to thereby convert the graft copolymer. Can be prepared. Specifically, the melt-kneading method is usually carried out in the range of 100 to 300 ° C., preferably 120 to 280 ° C., using a Banbury mixer, a pressure kneader, a kneading extruder, a twin screw extruder, a roll or the like. When the temperature is less than 100 ° C., the melting is incomplete, the melt viscosity is high, the mixing becomes insufficient, and phase separation and delamination appear in the molded product. Moreover, when it exceeds 300 degreeC, decomposition | disassembly or gelatinization of resin mixed will occur and it is unpreferable.
[0031]
  The thermoplastic resin composition of the second invention comprises a graft copolymer having a specific structure, the acrylic rubber described above, and a crosslinking agent for crosslinking the graft copolymer and the acrylic rubber. It is. The graft copolymer includes an olefinic (co) polymer segment formed from an α-olefin monomer,Ethyl acrylate or butyl acrylateMonomer containing as a main componentAnd monomers with functional groups for crosslinkingOf the two segments, one of the two segments forming the dispersed phase as fine particles of 0.01 to 1 μm, more preferably 0.1 to 1 μm on the other. Is.
[0032]
If the particle size of the dispersed particles is less than 0.01 μm or exceeds 1 μm, the compatibility when the graft copolymer is mixed with the acrylic rubber becomes insufficient, and the resulting molded product deteriorates in appearance or mechanical properties. Is unfavorable because of lowering.
[0033]
Here, the production method of the grafting precursor of the first invention or the graft copolymer of the second invention will be specifically described.
That is, 100 parts by weight of an olefin polymer is suspended in water, and 5 to 1900 parts by weight of at least one vinyl monomer is separately added to the radical polymerizable organic peroxide represented by the chemical formula (1) or (2). 0.1 to 10 parts by weight of one or a mixture of oxides with respect to 100 parts by weight of the vinyl monomer, and the decomposition temperature to obtain a half-life of 10 hours is 40 to 90 ° C. A solution in which 0.01 to 5 parts by weight of the radical polymerization initiator is dissolved with respect to 100 parts by weight in total of the vinyl monomer and the radical polymerizable organic peroxide is added.
[0034]
Next, heating is performed under the condition that decomposition of the radical polymerization initiator does not substantially occur, and the olefin polymer is impregnated with the vinyl monomer, the radical polymerizable organic peroxide and the radical polymerization initiator, and this aqueous suspension is added. The grafting precursor can be obtained by raising the temperature of the liquid and copolymerizing the vinyl monomer and the radical polymerizable organic peroxide in the olefin copolymer.
[0035]
The grafting precursor preferably contains 0.003 to 0.73% by weight of the vinyl copolymer contained therein as active oxygen. When the amount of active oxygen is less than 0.003% by weight, the grafting ability of the grafting precursor is extremely lowered, which is not preferable. On the other hand, if it exceeds 0.73% by weight, gel is often generated during grafting, which is not preferable. In this case, the amount of active oxygen can be calculated by extracting a vinyl copolymer from the grafted precursor by solvent extraction and determining the amount of active oxygen of the vinyl polymer by an iodometry method.
[0036]
Next, the graft copolymer can be obtained by kneading the grafted precursor under heating and melting at 100 to 300 ° C. The melt-kneading method can be carried out by a commonly used kneader such as a Banbury mixer, a pressure kneader, a kneading extruder, a twin screw extruder, or a roll.
[0037]
  Next, the acrylic rubber of the first or second invention is a monomer mainly composed of an acrylic acid alkyl ester or an acrylic acid alkoxyalkyl ester.And monomers with functional groups for crosslinkingIs a rubber obtained by copolymerizing Specifically, alkyl acrylate esters include methyl acrylate, ethyl acrylate, propyl acrylate, butyl acrylate, pentyl acrylate, hexyl acrylate, heptyl acrylate, 2-ethylhexyl acrylate, octyl acrylate, nonyl acrylate, decyl acrylate, dodecyl acrylate, and the like. Can be mentioned. Examples of the alkoxyalkyl acrylate include ethoxyethyl acrylate, methoxyethyl acrylate, butoxyethyl acrylate, ethoxypropyl acrylate and the like. One or more of these monomers are used as appropriate. Of these, ethyl acrylate, butyl acrylate and methoxyethyl acrylate are particularly preferred.
[0038]
In addition, acrylonitrile, styrene, divinylbenzene, hydroxyethyl (meth) acrylate, hydroxypropyl (meth) acrylate, 1 to 12 carbon atoms for the purpose of improving physical properties such as oil resistance, moldability (moldability) and rubber elasticity. Methacrylic acid alkyl esters, bifunctional acrylates, difunctional methacrylates, trifunctional acrylates, trifunctional methacrylates, α-olefins such as ethylene, propylene or isobutene, and conjugated dienes such as butadiene, isoprene and chloroprene Etc. may be copolymerized. The amount of these copolymers is preferably 40% by weight or less, more preferably 30% by weight or less in the monomer forming the acrylic rubber. When the copolymerization amount exceeds 40% by weight, the physical property balance of the acrylic rubber tends to be impaired.
[0039]
  Here, similar to the vinyl copolymer of the first invention, a monomer containing a functional group for crosslinking reaction is copolymerized.Do. Specific examples of such monomers include active chlorine-containing monomers, epoxy group-containing monomers, carboxyl group-containing monomers, and unsaturated group-containing monomers.
[0040]
These monomers may be copolymerized in an amount of 20% by weight or less, more preferably 10 parts by weight or less, in the monomer forming the vinyl copolymer. If the copolymerization amount exceeds 20% by weight, the molding processability is remarkably lowered, which is not preferable. In addition, these monomers are selectively used corresponding to the crosslinking agent mentioned later.
[0041]
In the first invention, the mixing ratio of the grafting precursor and the acrylic rubber, or the graft copolymer of the second invention and the acrylic rubber is preferably 95/5 to 5/95, more preferably on a weight basis. Is 90/10 to 10/90, particularly preferably 80/20 to 20/80. If the acrylic rubber exceeds 95/5, the molding processability is lowered, and the mechanical strength of the obtained molded product is lowered. If it is less than 5/95, the rubber elasticity of the molded product is low and the hardness is high.
[0042]
Next, the crosslinking agent of the first invention or the second invention is a functional group for crosslinking mainly contained in the grafting precursor of the first invention and the acrylic rubber, or the graft copolymer of the second invention. And it can react with the functional group for crosslinking contained in the acrylic rubber, and can be used properly depending on the introduced functional group.
[0043]
Therefore, as a specific example of the crosslinking agent when the crosslinking site is an active chlorine, epoxy group, carboxyl group or unsaturated group, a functional group capable of reacting with these functional groups such as sulfur, a sulfur-containing organic compound, and an amino group Examples thereof include compounds, acid anhydride group-containing compounds, carboxyl group-containing compounds, isocyanate group-containing compounds, epoxy group-containing compounds, and organic peroxides. It is preferable to use a known crosslinking accelerator in combination with these crosslinking agents.
[0044]
Examples of the sulfur-containing organic compound include tetramethyl thiuram disulfide, tetraethyl thiuram disulfide, tetrabutyl thiuram disulfide, dipentamethylene thiuram tetrasulfide and other thiurams, Se-diethyldithiocarbamate, Te-diethyldithiocarbamate, Se -Dithioacid salts such as dimethyldithiocarbamate, morpholine disulfide, alkylphenol disulfide and the like.
[0045]
Examples of the compound containing an amino group include aliphatic diamines such as trimethylhexamethylenediamine, ethylenediamine, and 1,4-diaminobutane, aliphatic polyamines such as triethylenetetramine, pentaethylenehexamine, and aminoethylethanolamine, and phenylenediamine. And aromatic amines such as 4,4′-methylenedianiline, toluenediamine, and diaminoditolylsulfone.
[0046]
Examples of the acid anhydride group or carboxyl group-containing compound include trimellitic anhydride, pyromellitic anhydride, terephthalic acid, isophthalic acid, adipic acid, sebacic acid, and cyanuric acid.
[0047]
Examples of the isocyanate-containing compound include toluene diisocyanate and isocyanates of prepolymers having an isocyanate group as a terminal group.
Examples of the epoxy group-containing compound include epoxides such as diglycidyl ethers such as bisphenol A, resorcinol, and hydroquinone.
[0048]
Examples of organic peroxides include ketone peroxides, peroxyketals, hydroperoxides, dialkyl peroxides, diacyl peroxides, diacyl peroxides, peroxydicarbonates, and peroxyesters. . Among these, peroxyketals, dialkyl peroxides, and diacyl peroxides are preferable.
[0049]
Specific examples of preferred crosslinking systems when the crosslinking site is active chlorine are sulfur, 2,4,6-trimercapto-s-triazine, dipentamethylene thiuram tetrasulfide as a crosslinking agent, sodium stearate as an accelerator, Examples include potassium stearate, zinc dibutyldithiocarbamate, and diethylthiourea. Particularly preferred are combinations of sulfur, sodium stearate and potassium stearate, 2,4,6-trimercapto-s-triazine, zinc dibutyldithiocarbamate and diethylthiourea, dipentamethylenethiuram tetrasulfide and potassium stearate.
[0050]
Specific examples of a preferable crosslinking system when the crosslinking site is an epoxy group include ammonium benzoate, isocyanuric acid, 4,4′-methylenedianiline, and 4,4 ′-(α, α′-dimethylbenzyl) as a crosslinking agent. Examples of diphenylamine, carbamic acids, diamine carbamate compounds, and accelerators include zinc dimethyldithiocarbamate, ferric dimethyldithiocarbamate, and stearyltrimethylammonium bromide. Especially ammonium benzoate alone, ammonium benzoate and zinc dimethyldithiocarbamate and ferric dimethyldithiocarbamate, isocyanuric acid and stearyltrimethylammonium bromide, 4,4 '-(α, α-dimethylbenzyl) diphenylamine and dimethyl-dithiocarbamic acid A combination of diiron is preferred.
[0051]
Specific examples of a preferable crosslinking system when the crosslinking site is a carboxyl group are hexamethylenediamine carbamate, 4,4′-methylenedianiline as a crosslinking agent, and 1,3-diphenylguanidine as an accelerator. In particular, a combination of 4,4′-methylenedianiline and 1,3-diphenylguanidine is preferable.
[0052]
When the crosslinking site is an unsaturated group such as a non-conjugated diene or does not contain a functional group, organic peroxide crosslinking is performed. The organic peroxide used for the crosslinking reaction is not particularly limited. Specifically, di-t-butyl peroxide, t-butylcumyl peroxide, dicumyl peroxide, α, α'-bis (t-butylperoxydiisopropyl) benzene, 2,5-dimethyl-2,5 -Di (t-butylperoxy) hexane, 2,5-dimethyl-2,5-di (t-butylperoxy) hexyne-3, 2,4-dichlorobenzoyl peroxide, benzoyl peroxide, 1,1 -Bis (t-butylperoxy) -3,3,5-trimethylcyclohexane, n-butyl-4,4-di (t-butylperoxy) valerate, t-butylperoxycumene and the like. Of these, preferably di-t-butyl peroxide, t-butylcumyl peroxide, dicumyl peroxide, α, α'-bis (t-butylperoxydiisopropyl) benzene, 2,5-dimethyl-2 , 5-di (t-butylperoxy) hexane, 2,5-dimethyl-2,5-di (t-butylperoxy) hexyne-3.
[0053]
Furthermore, the use of a co-crosslinking agent improves the cross-linking effect. Such co-crosslinking agents include p-quinone dioxime, p, p-dibenzoylquinone dioxime, lauryl methacrylate, ethylene glycol diacrylate, ethylene glycol dimethacrylate, triethylene glycol diacrylate, triethylene glycol dimethacrylate, Tetraethylene glycol diacrylate, tetraethylene glycol dimethacrylate, polyethylene glycol diacrylate, polyethylene glycol dimethacrylate, trimethylolpropane triacrylate, trimethylolpropane trimethacrylate, diaryl fumarate, diaryl phthalate, tetraaryloxyethane, triaryl cyanurate , Maleimide, phenylmaleimide N, N '· m-phenylenebismaleimide, maleic anhydride Acid, itaconic acid, divinyl benzene, vinyl toluene, 1,2-polybutadiene, and the like. The amount of these co-crosslinking agents used is preferably 10 parts by weight or less, more preferably 5 parts by weight or less per 100 parts by weight of the acrylic rubber. If this amount exceeds 10 parts by weight, the moldability of the resulting resin composition may be significantly reduced. Moreover, a crosslinking accelerator or a crosslinking retarder can be used in combination for the purpose of adjusting the crosslinking rate.
[0054]
The addition amount of the crosslinking agent is preferably 0.01 to 10 parts by weight, more preferably 0.01 to 100 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total of the grafting precursor and the acrylic rubber, or the graft copolymer and the acrylic rubber. Although it is 5 parts by weight, the amount added depends on the concentration of the crosslinking points and the type of organic peroxide. When the addition amount of the cross-linking agent exceeds 10 parts by weight, the molding processability decreases, and when it is less than 0.01 parts by weight, the rubber elasticity of the molded product decreases.
[0055]
An olefinic (co) polymer formed from an α-olefin monomer may be added to each component of the thermoplastic resin composition of the present invention and melt kneaded. In this case, the added olefinic (co) polymer also functions as a compatibilizer between the olefinic (co) polymer and the acrylic rubber in the thermoplastic resin composition, and therefore can be easily mixed. it can. And the composition melt-kneaded with the addition of the olefinic (co) polymer is excellent in moldability, and the obtained molded article has good mechanical properties and can reduce the production cost. .
[0056]
Specific examples of the added olefinic (co) polymer include low density polyethylene, ultra-low density polyethylene, ultra-low density polyethylene, low molecular weight polyethylene, ethylene-propylene copolymer, polypropylene, and the like. In particular, polypropylene and ethylene-propylene copolymer are preferable in terms of oil resistance and mechanical properties. The amount of the olefinic (co) polymer added is preferably 0 to 900 parts by weight, more preferably 0 to 400 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the component specified in the first or second invention. Parts, particularly preferably 0 to 100 parts by weight. If it exceeds 900 parts by weight, the resulting molded product is inferior in rubber elasticity, which is not preferable. These olefinic (co) polymers can also be used in combination.
[0057]
As a method of compatibilizing an olefinic (co) polymer that is an incompatible system and an acrylic rubber, there are a method of mixing a compatibilizing agent and a method of adding a crosslinking agent. The grafting precursor of the first invention Since the body or the graft copolymer of the second invention has compatibility with the acrylic rubber component, good compatibility can be obtained. And the molded product can express the outstanding external appearance.
[0058]
Moreover, in the case of the first invention, a radical is generated from the radically polymerizable organic peroxide of the grafting precursor by melting and kneading the grafting precursor and the acrylic rubber, and this radical is converted into an olefinic ( The grafting by the hydrogen abstraction reaction to the (co) polymer and the grafting reaction by the hydrogen abstraction reaction to the acrylic rubber are simultaneously caused. Accordingly, it is considered that the dispersion state is as fine as never before, and the interfacial adhesive force between the olefinic (co) polymer and the acrylic rubber is improved, and an excellent appearance and physical properties are exhibited.
[0059]
Furthermore, a thermoplastic resin composition having an excellent balance in moldability, mechanical strength and oil resistance can be obtained by adding a crosslinking agent thereto. On the other hand, in the case of 2nd invention, the resin composition excellent in compatibility is obtained by melt-kneading a graft copolymer and acrylic rubber. Furthermore, the thermoplastic resin composition which has the outstanding balance in a moldability, mechanical strength, and oil resistance is obtained by bridge | crosslinking using a crosslinking agent.
[0060]
In the thermoplastic resin composition of the present invention, a stabilizer such as a plasticizer, a filler, a flame retardant, an antioxidant, a coloring agent, a scorch inhibitor, a lubricant, a coupling agent, and a foaming agent, as in the case of ordinary acrylic rubber. Etc. may be added. Specifically, phthalates such as dimethyl phthalate and dioctyl phthalate, phosphate esters such as tributyl phosphate and triphenyl phosphate, trimellitic acid esters, adipic acid esters, azelaic acid esters, sulfonamides, etc. Representative plasticizers, carbon black, white carbon, clay, mica, calcium carbonate, talc and other fillers, magnesium hydroxide, aluminum hydroxide and other inorganic flame retardants, halogen and phosphorus Represented by organic flame retardants typified by anti-aging agents, anti-aging agents typified by substituted diphenylamines, etc., sulfonamide derivatives, diphenylurea, scorch proofing agents typified by N- (cyclohexylthio) phthalimide, and ester waxes And the like.
[0061]
These additives can be blended in an amount of preferably 0 to 200% by weight, more preferably 0 to 150% by weight, based on the total amount of the respective components of the thermoplastic resin composition. If the blending amount exceeds 200% by weight, the oil resistance of the molded product is lowered, which is not preferable.
[0062]
The surface of the filler is surface treated using stearic acid, oleic acid, palmitic acid or their metal salts, paraffin wax, polyethylene wax or their modified products, organic silane, organic borane, organic titanate, etc. It is preferable to carry out.
[0063]
Furthermore, other thermoplastic resins may be added without departing from the scope of the present invention. Specific examples of such additives include polyamide resins, polyester resins, polyacetal resins, polycarbonate resins, polyphenylene ether resins, polyphenylene ether resins, polyarylates. Engineering plastics such as polyethylene resins, polyethylene, polypropylene, olefin resins such as ethylene-ethyl acrylate copolymer, ethylene-glycidyl methacrylate copolymer, styrene resins such as polystyrene, high impact polystyrene, ABS resin, General purpose plastics such as acrylic resin and vinyl chloride resin, thermoplastic elastomers such as styrene thermoplastic elastomer, olefin thermoplastic elastomer, urethane thermoplastic elastomer, butadiene rubber, butadiene-styrene rubber, butadiene-acrylic Examples include nitrile rubber, chloroprene rubber, butyl rubber, ethylene-propylene rubber, urethane rubber, silicon rubber, fluorine rubber, acrylic rubber and other synthetic rubber, and natural rubber.
[0064]
In particular, by adding to a resin having poor oil resistance such as a styrene thermoplastic elastomer, an olefin thermoplastic elastomer, or an ethylene-propylene rubber, the oil resistance can be improved without deteriorating mechanical properties.
[0065]
As a method for melting and mixing the thermoplastic resin composition, it can be carried out by a commonly used kneader such as a Banbury mixer, a pressure kneader, a kneading extruder, a twin screw extruder, a roll or the like. The melting and mixing temperature is usually in the range of 100 to 300 ° C, preferably 120 to 280 ° C. When the temperature is less than 100 ° C., the melting is incomplete, the melt viscosity is high, the mixing becomes insufficient, and phase separation and delamination appear in the molded product. Moreover, when it exceeds 300 degreeC, decomposition | disassembly or gelatinization of resin mixed will occur and it is unpreferable.
[0066]
The thermoplastic resin composition can be molded by any molding method such as injection molding, extrusion molding, vacuum molding, and blow molding. In particular, the injection molding method is from the viewpoint of fluidity and the appearance of the molded product, the extrusion molding method is from the viewpoint of moldability and sheet appearance of the molding sheet, and the vacuum molding method is from the viewpoint of deep drawability. preferable.
[0067]
The effect exhibited by the above embodiment is described collectively below.
-According to the thermoplastic resin composition described in the embodiment, the grafting precursor or the graft copolymer has excellent compatibility with the acrylic rubber, and the grafting precursor is olefinic (co) by melt-kneading. Grafting reaction with the polymer and at the same time grafting reaction with acrylic rubber. In addition, a crosslinking structure is formed between the grafting precursor or graft copolymer and the acrylic rubber by the crosslinking agent.
[0068]
For this reason, good fluidity can be obtained during molding of the thermoplastic resin composition and moldability can be maintained, and the resulting molded article has excellent mechanical properties such as tensile strength, elongation, and hardness, and also has good oil resistance. It becomes. Therefore, this thermoplastic resin composition is useful in a wide field such as automobile parts, electric and electronic parts, and other industrial parts.
[0069]
In addition, by using a specific radical polymerizable organic peroxide, based on the characteristics of the radical polymerizable organic peroxide, it is possible to increase the graft efficiency when heating and melting to obtain a graft copolymer. The compatibility of each component can be improved.
[0070]
-Molding obtained from a thermoplastic resin composition that can easily and highly form a crosslinked structure by containing a functional group for crosslinking in a grafting precursor or graft copolymer or acrylic rubber The mechanical properties of the product can be improved and the oil resistance can be improved.
[0071]
-By adding an olefinic (co) polymer to the above thermoplastic resin composition, the compatibility of each component can be improved and the moldability can be improved, and the mechanical properties of the resulting molded product The manufacturing cost can be reduced.
[0072]
【Example】
  Reference examples,Reference examples,The embodiment will be described more specifically with reference to examples and comparative examples.
  (Reference Example 1, production of grafted precursor (a))
  In a 5 L (liter) stainless steel autoclave, 2000 g of pure water was added, and 2.5 g of polyvinyl alcohol was dissolved as a suspending agent. Into this, 700 g of polypropylene “Sumitomo S131” (trade name, manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd.) as an olefin polymer was added, stirred and dispersed. Separately, 1.2 g of benzoyl peroxide “NIPA-B” (trade name, manufactured by NOF Corporation) as a radical polymerization initiator and t-butylperoxymethacryloyloxyethyl carbonate as a radical polymerizable organic peroxide 6 g, 262.5 g of butyl acrylate as a vinyl monomer, and 37.5 g of acrylonitrile were put into the autoclave and stirred.
[0073]
Next, the autoclave was heated to 60 to 65 ° C. and stirred for 2 hours to impregnate polypropylene with a radical polymerization initiator and a radical polymerizable organic peroxide. Subsequently, the temperature was raised to 80 to 85 ° C., maintained at that temperature for 6 hours to complete the polymerization, washed with water and dried to obtain a grafted precursor (a). The vinyl copolymer in the grafted precursor (a) was extracted with toluene, and the number average degree of polymerization was measured by gel permeation chromatography (GPC).
[0074]
When this grafted precursor (a) was observed with a scanning electron microscope “JEOL-JSM-T300” (manufactured by JEOL Ltd.), a true spherical resin having a particle diameter of 0.3 to 0.5 μm was uniformly dispersed. It was a multiphase structure.
(Reference Example 2, production of grafted precursor (b))
In Reference Example 1, the vinyl monomer was added to 135 g of ethyl acrylate, 72 g of butyl acrylate, 84 g of methoxyethyl acrylate, 9 g of vinyl chloroacetate, and 1.2 g of benzoyl peroxide was added to di-3,5,5-trimethylhexanoyl peroxide “PA”. -Royl 355 ”(trade name, manufactured by NOF Corporation) 2 g, α-methylstyrene dimer“ NOFMA-MSD ”(trade name, manufactured by NOF Corporation) 0.12 g as a molecular weight regulator Reference Example 1 was repeated except that it was used to obtain a grafted precursor (b). At this time, the number average polymerization degree of the vinyl copolymer in the grafting precursor (b) was 1100. The average particle size of the resin dispersed in the grafting precursor (b) was 0.3 to 0.5 μm.
(Reference Example 3, Production of Grafting Precursor (c))
In Reference Example 2, “S131” was changed to “Nisseki Polypro J150G” (trade name, manufactured by Nippon Polyolefin Co., Ltd.) and vinyl chloroacetate was changed to glycidyl methacrylate. c). At this time, the number average polymerization degree of the vinyl copolymer in the grafting precursor (c) was 1200. The average particle size of the resin dispersed in the grafting precursor (c) was 0.3 to 0.5 μm.
(Reference Example 4, production of grafted precursor (d))
Reference Example 3 was repeated except that glycidyl methacrylate was changed to methacrylic acid in Reference Example 3 to obtain a grafted precursor (d).
[0075]
At this time, the number average polymerization degree of the vinyl copolymer in the grafting precursor (d) was 1250. The average particle size of the resin dispersed in the grafting precursor (d) was 0.3 to 0.5 μm.
(Reference Example 5, production of grafted precursor (e))
In Reference Example 3, Reference Example 3 was repeated to obtain a grafted precursor (e) except that the vinyl monomer was changed to 300 g of styrene instead of the alkyl acrylate ester of the present invention.
[0076]
At this time, the number average degree of polymerization of the styrene polymer in the grafting precursor (e) was 950. The average particle size of the resin dispersed in the grafting precursor (e) was 0.3 to 0.4 μm.
[0077]
The compositions of the above Reference Examples 1 to 5 are summarized in Table 1.
[0078]
[Table 1]
Figure 0004742406
  (Reference example1)
  100 g of the graft precursor (a) obtained in Reference Example 1, 300 g of SUNIGUM (trade name, manufactured by Goodyear Chemical Co., Ltd.) as an acrylic acid alkyl ester acrylic rubber, and 6 g of Perhexa 25B (trade name, manufactured by Nippon Oil & Fats Co., Ltd.) as a crosslinking agent After dry blending, the mixture was supplied to a twin screw extruder with a screw diameter of 30 mm set at a cylinder temperature of 180 ° C. and granulated after extrusion. Using the granulated resin, a test piece was prepared by an injection molding method, and physical properties were measured by the following test method. The results are shown in Table 2.
(1) Tensile test
  A test piece (No. 2 dumbbell) was molded with a small injection molding machine, and tensile strength and elongation were measured according to JIS K-6301.
(2) Hardness
  According to JIS K-6301, it was measured with A type.
(3) Fluidity (melt flow rate)
  According to JIS K-7210, measurement was performed at 190 ° C. and 10 kg load. (Unit: g / 10 minutes)
(4) Appearance of injection molded products
  The surface of the molded product, such as flow mark, rough skin, silver streak, blooming, etc., were visually judged.
[0079]
Judgment criteria ◎: Excellent, ○: Good, ×: Impossible
(5) Oil resistance test
After the test piece (No. 2 dumbbell) was immersed in ASTM No. 3 oil at 100 ° C. for 72 hours, the degree of swelling was measured by the following formula.
[0080]
Swelling degree = [(weight after immersion−weight before immersion) / weight before immersion] × 100
(Example 2)
100 g of the grafted precursor (b) obtained in Reference Example 2, 200 g of Nipol AR72LF (trade name, manufactured by Nippon Zeon Co., Ltd., active chlorine-containing acrylic rubber) as an acrylic acid alkyl ester acrylic rubber, and Sulfax as a crosslinking agent PMC [trade name, manufactured by Tsurumi Chemical Co., Ltd., surface treated sulfur] 0.6 g, NS soap as a vulcanization accelerator [trade name, manufactured by Kao Corporation, sodium stearate] 6 g, non-sar SK-1 [product] Name, Nippon Oil & Fats Co., Ltd., potassium stearate] 1 g, stearic acid 2 g, Greck G-8205 [trade name, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, ester wax] 2 g, Naugard as an anti-aging agent 4 g of 445 [trade name, manufactured by Shiraishi Calcium Co., Ltd., substituted diphenylamine] was supplied to a Banbury mixer and kneaded at 180 ° C. for 10 minutes.
[0081]
  This kneaded resin was press-molded [180 ° C., 0.343 Pa (350 kgf / cm 2)], and a test piece (No. 2 dumbbell) was cut by punching from the sheet. About this specimen,Reference exampleThe test was conducted in the same manner as in 1. The results are shown in Table 2.
Example 3
  100 g of the grafted precursor (c) obtained in Reference Example 3, 300 g of Nipol AR72LF (trade name, manufactured by Nippon Zeon Co., Ltd., epoxy group-containing acrylic rubber) as an acrylic acid alkyl ester acrylic rubber, and Barnock AB [product] Name, Ouchi Shinsei Chemical Co., Ltd., ammonium benzoate) 4.5 g, Noxeller PZ [trade name, Ouchi Shinsei Chemical Co., Ltd., zinc dimethyldithiocarbamate] 7.5 g, Noxeller TTFE [Product] Name, manufactured by Ouchi Shinsei Chemical Co., Ltd.), zinc dimethyldithiocarbamate] 1,5 g, stearic acid 3 g, Grec G-8205 as a lubricant (trade name, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, ester-based wax) 3 g, anti-aging The test was conducted in the same manner as in Example 2 except that Naugard 445 (trade name, manufactured by Shiraishi Calcium Co., Ltd., substituted diphenylamine) was used as an agent. The results are shown in Table 2.
Example 4
  100 g of the grafted precursor (d) obtained in Reference Example 4, 300 g of Baymac G [trade name, Showa Denko-DuPont, carboxyl group-containing ethylene-methyl acrylate acrylic rubber], 1,3- The test was conducted in the same manner as in Example 2 except that 6 g of diphenylguanidine, 1.8 g of 4,4′-methylenedianiline, and 6 g of Nauvard 445 [trade name, manufactured by Shiraishi Calcium Co., Ltd., substituted diphenylamine] were used as an antioxidant. The results are shown in Table 2.
(Comparative Example 1)
  In Example 2, tests were conducted in the same manner as in Example 2 except that S131 was used instead of the grafting precursor (b). The results are shown in Table 2.
(Comparative Example 2)
  In Example 2, tests were conducted in the same manner as in Example 2 except that the grafted precursor (e) was used instead of the grafted precursor (b). The results are shown in Table 2.
(Comparative Example 3)
  In Example 3, the test was performed in the same manner as in Example 3 except that no crosslinking agent and vulcanization accelerator were used. The results are shown in Table 2.
(Comparative Example 4)
  The graft copolymer (A) was obtained by extruding the graft precursor (a) at 180 ° C. with a lab plast mill single screw extruder (manufactured by Toyo Seiki Seisakusho Co., Ltd.) to cause a graft reaction. About this graft copolymer (A)Reference exampleThe test was conducted in the same manner as in 1. The results are shown in Table 2.
(Comparative Example 5)
  The test was performed in the same manner as in Example 3 except that the grafting precursor (c) was not used in Example 3. The results are shown in Table 2.
(Example 5)
  The grafted precursor (a) obtained in Reference Example 1 was extruded at 180 ° C. with the same Laboplast Mill single screw extruder as in Comparative Example 4, and grafted to obtain a graft copolymer (A). This graft copolymer (A)Reference exampleExcept to use instead of grafting precursor (a)Reference exampleThe test was conducted in the same manner as in 1. The results are shown in Table 2.
[0082]
[Table 2]
Figure 0004742406
  As shown in Table 2,Reference example 1,Example2~5It can be seen that the tensile strength, elongation and hardness are good and the mechanical properties are excellent. In addition, the resin has good fluidity, good moldability, and excellent appearance. Furthermore, the degree of swelling is generally low and the oil resistance is also excellent.
[0083]
On the other hand, in Comparative Examples 1-5, it turns out that any one of mechanical physical properties, fluidity (moldability), and oil resistance is inferior.
The technical idea grasped from the embodiment will be described below.
[0084]
The thermoplastic resin composition according to claim 1, wherein the olefin polymer or copolymer forming the grafting precursor is a homopolymer of ethylene or propylene or a copolymer of ethylene and propylene. When comprised in this way, the mechanical physical property and oil resistance of the molded article obtained from a thermoplastic resin composition can be improved.
[0085]
The graft copolymer is an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer, and a monomer containing a radical polymerizable organic peroxide and an acrylic acid alkyl ester monomer. The thermoplastic resin composition according to claim 2, which can be obtained by heating a grafting precursor obtained by copolymerizing to 100 to 300 ° C. 3. When comprised in this way, a graft copolymer with a high grafting rate can be obtained easily and reliably.
[0086]
The amount of active oxygen in the copolymer portion of the radical polymerizable organic peroxide and the monomer containing an acrylic acid alkyl ester monomer in the grafting precursor is 0.003 to 0.73%. Item 2. The thermoplastic resin composition according to Item 1. When comprised in this way, when a grafting precursor is heated and a graft copolymer is obtained, the production | generation of a gel can be prevented and a grafting rate can be improved.
[0087]
【The invention's effect】
  As described in detail above, the present invention has the following effects.
  According to the thermoplastic resin composition of the first and second inventions, while maintaining the moldability, the obtained molded product is excellent in mechanical properties such as tensile strength, elongation, hardness and the like, and has good oil resistance. . Therefore, this thermoplastic resin composition is useful in a wide field such as automobile parts, electric and electronic parts, and other industrial parts.In addition, the mechanical properties of the obtained molded product can be improved and the oil resistance can be improved.
[0088]
According to the thermoplastic resin composition of the third invention, in addition to the effects of the first invention, it is possible to increase the graft efficiency when obtaining a graft copolymer by heating and melting, and to improve the compatibility of each component. Can be improved.
[0090]
  First4According to the thermoplastic resin composition of the invention, in addition to the effects of the first or second invention, the compatibility of each component can be improved to improve the moldability, and the mechanical properties of the obtained molded product Can be further improved.

Claims (4)

α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体中で、ラジカル重合性有機過酸化物とエチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体とを共重合してなるグラフト化前駆体と、
アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体より形成される重合体又は共重合体からなるアクリル系ゴムと、
前記グラフト化前駆体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤と
を含有する熱可塑性樹脂組成物。
In an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer, a radical polymerizable organic peroxide and a monomer containing ethyl acrylate or butyl acrylate as main components and a functional group for crosslinking A grafting precursor obtained by copolymerizing a monomer having
An acrylic rubber comprising a polymer or copolymer formed from a monomer having a main component of an acrylic acid alkyl ester or an acrylic acid alkoxyalkyl ester and a monomer having a functional group for crosslinking ;
A thermoplastic resin composition comprising a crosslinking agent for crosslinking the grafting precursor and acrylic rubber.
α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体セグメントと、エチルアクリレート又はブチルアクリレートを主成分として含む単量体と架橋のための官能基を有する単量体から形成されるビニル系共重合体セグメントとからなり、前記二つのセグメントのうち一方が他方に0.01〜1μmの微細な粒子として分散相を形成しているグラフト共重合体と、
アクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする単量体と架橋のための官能基を有する単量体より形成される重合体又は共重合体からなるアクリル系ゴムと、
前記グラフト共重合体とアクリル系ゴムとを架橋するための架橋剤と
を含有する熱可塑性樹脂組成物。
It is formed from an olefin polymer or copolymer segment formed from an α-olefin monomer, a monomer containing ethyl acrylate or butyl acrylate as a main component, and a monomer having a functional group for crosslinking. A graft copolymer comprising a vinyl copolymer segment, wherein one of the two segments forms a dispersed phase as fine particles of 0.01 to 1 μm on the other;
An acrylic rubber comprising a polymer or copolymer formed from a monomer having a main component of an acrylic acid alkyl ester or an acrylic acid alkoxyalkyl ester and a monomer having a functional group for crosslinking ;
A thermoplastic resin composition comprising a crosslinking agent for crosslinking the graft copolymer and acrylic rubber.
前記ラジカル重合性有機過酸化物が、下記化学式(1)又は(2)で表される化合物である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
Figure 0004742406
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜12のアルキル 基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。mは1又は2である。)
Figure 0004742406
(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。nは0、1又は2である。
2. The thermoplastic resin composition according to claim 1, wherein the radical polymerizable organic peroxide is a compound represented by the following chemical formula (1) or (2).
Figure 0004742406
(In the formula, R 1 is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 2 carbon atoms, R 2 is a hydrogen atom or a methyl group, R 3 and R 4 are each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, and R 5 is an alkyl group having 1 carbon atom. An alkyl group of ˜12, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group or a cycloalkyl group of 3 to 12 carbon atoms, m is 1 or 2)
Figure 0004742406
(Wherein R 6 is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, R 7 is a hydrogen atom or a methyl group, R 8 and R 9 are each an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, and R 10 is 1 carbon atom) Represents an alkyl group of ˜12, a phenyl group, an alkyl-substituted phenyl group or a cycloalkyl group of 3 to 12 carbon atoms, n is 0, 1 or 2 )
さらにα-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重合体を含有する請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin composition according to claim 1 or 2, further comprising an olefin polymer or copolymer formed from an α-olefin monomer.
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