以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する玉切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。なお、始動入賞記憶については、後で詳しく説明する。
可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。この継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、スピーカ27および遊技効果ランプ・LED28a,28b,28cに信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置97が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。なお、図3には、中継基板33が例示されている。
賞球払出制御を行うために、すべての入賞球を検出する入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、主基板31から賞球基板37に賞球個数信号が送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、その場合に、主基板31から、賞球基板37に賞球個数信号が与えられる。例えば、始動口スイッチ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「6」が出力され、カウントスイッチ23またはVカウントスイッチ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「15」が出力される。そして、それらのスイッチがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「10」が出力される。
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
図5は、表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82および主基板31の出力ポート(ポートA,B)571,572および出力バッファ回路63とともに示すブロック図である。出力ポート571からは表示制御コマンドデータが出力され、出力ポート572からはストローブ信号(INT信号)が出力される。
表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31からノイズフィルタ107および入力バッファ回路105を介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ回路105を介して表示制御コマンドを受信する。入力バッファ回路105として、例えば汎用ICである74HC244を使用することができる。なお、表示制御用CPU101がI/Oポートを内蔵していない場合には、入力バッファ回路105と表示制御用CPU101との間に、I/Oポートが設けられる。
そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D−A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。
なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。
入力バッファ回路105は、主基板31から表示制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、表示制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。なお、出力ポート571,572の出力をそのまま表示制御基板80に出力してもよいが、単方向にのみ信号伝達可能な出力バッファ回路63を設けることによって、主基板31から表示制御基板80への一方向性の信号伝達をより確実にすることができる。また、高周波信号を遮断するノイズフィルタ107として、例えば3端子コンデンサやフェライトビーズが使用されるが、ノイズフィルタ107の存在によって、表示制御コマンドに基板間でノイズが乗ったとしても、その影響は除去される。
次に遊技機の動作について説明する。
図6は、主基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。CPU56が起動されると、CPU56は、まず、クロックモニタ制御を動作可能状態にするために、CPU56に内蔵されているクロックモニタレジスタをクロックモニタイネーブル状態に設定する(ステップS1)。なお、クロックモニタ制御とは、入力されるクロック信号の低下または停止を検出すると、CPU56の内部で自動的にリセットを発生する制御である。
次いで、CPU56は、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS2)。この例では、スタックポインタに00FFHが設定される。そして、システムチェック処理を行う(ステップS3)。システムチェック処理では、CPU56は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。
次に、表示制御基板80に送出されるコマンドデータをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS4)、コマンドデータを表示制御コマンドデータとして出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS5)。
次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS6)。また、ランプタイマを1減ずる処理を行い、ランプタイマがタイムアウトしたら(=0になったら)、ランプデータポインタを更新するとともに新たな値をランプタイマに設定する(ランプタイマ処理:ステップS7)。
また、ランプデータポインタが示すアドレスのデータ、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS8)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS9)。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。
図7は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り決定用)
(2)ランダム2−1〜2−3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチの種類を決定する(リーチ種類決定用)
なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(5)の乱数以外の乱数も用いられている。
ステップS10では、CPU56は、(1)の大当り決定用乱数および(3)の大当り図柄判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数である。
次に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS11)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS12)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、各スイッチの状態を入力し、スイッチ状態に応じて必要な処理を行う(スイッチ処理:ステップS13)。また、後述するプロセスデータ中の音声データを音声制御基板70に送出する処理を行う(音声処理:ステップS14)。
基本回路53は、さらに、表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS15)。すなわち、ランダム2,4,5を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。
また、基本回路53は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS16)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球個数を示す賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、受信した賞球個数に応じて玉払出装置97を駆動する。
その後、基本回路53は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS17の表示用乱数更新処理を繰り返す。
次に、始動入賞口14への入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される図柄の決定方法について図8〜図10のフローチャートを参照して説明する。図8は打球が始動入賞口14に入賞したことを判定する処理を示し、図9は可変表示部9の可変表示の停止図柄を決定する処理を示す。図10は、大当りとするか否か決定する処理を示すフローチャートである。
打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。メイン処理のステップS11の特別図柄プロセス処理において、図8に示すように、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り図柄決定用乱数の値を抽出する。そして、それを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する(ステップS44)。なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶可能である。
また、CPU56は、ステップS11の特別図柄プロセス処理において、図9に示すように、始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS50)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS51)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする(ステップS52)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する乱数値格納エリアに格納する。
そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り決定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り決定用乱数は0〜299の範囲の値をとることにする。図10に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
大当りと判定されたときには、CPU56は、大当り図柄決定用乱数の値にもとづいて大当り図柄(確定図柄)を決定する(ステップS62)。また、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)。
はずれと判定された場合には、CPU56は、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。例えば、リーチ判定用の乱数であるランダム4の値が「105」〜「1530」のいずれかである場合には、リーチとしないと決定する。そして、リーチ判定用乱数の値が「0」〜「104」のいずれかである場合にはリーチとすることを決定する。リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
この実施の形態では、ランダム2−1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2−2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2−1およびランダム2−2の値の0〜15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当り図柄と一致しないようにする。そして、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)
ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2−1〜2−3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。なお、後述するように、この実施の形態では、高確率状態では、はずれ時の変動パターンとして変動時間が短縮されたものも使用される。そこで、高確率状態では、CPU56は、通常のはずれ時の変動パターンを用いるか短縮された変動パターンを用いるのかを、例えば所定の乱数等を用いて決定する。
以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様を大当りとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。
なお、高確率状態において、次に大当りとなる確率が上昇するとともに、7セグメントLEDによる可変表示器10の可変表示の確定までの時間が短縮され、かつ、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められるようにパチンコ遊技機1が構成されていてもよいし、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たりの確率が高くなるように構成されていてもよい。また、それらのうちのいずれか一つまたは複数の状態のみが生ずるパチンコ遊技機1においても本発明は適用可能である。
例えば、可変表示部9の停止図柄の組合せが特定図柄となった場合に、大当りとなる確率は上昇しないが可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められる遊技機においても、リーチとすることが決定されたら、左右の停止図柄を特定図柄の表示態様と一致させるか否か、すなわちどの図柄でリーチ状態を発生させるかが所定の乱数等の手段によって決定される遊技機においても本発明を適用可能である。
また、この実施の形態で用いられた乱数および乱数値の範囲は一例であって、どのような乱数を用いてもよいし、範囲設定も任意である。
図11は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄プロセス処理は、図6のフローチャートにおけるステップS11の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図11に示すステップS300〜S309のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り決定用乱数を抽出する。すなわち、図8に示された処理が実行される。
特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定する。すなわち、図9に示された処理の前半が実行される。
停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。すなわち、図9に示された処理の中半が実行される。
リーチ動作設定処理(ステップS303):リーチ判定用乱数の値に応じてリーチ動作するか否か決定するとともに、リーチ用乱数の値に応じてリーチ態様の種類を決定する。すなわち、図9に示された処理の後半が実行される。
全図柄変動開始処理(ステップS304):可変表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、表示制御基板80に対して、左右中最終停止図柄とリーチ態様を指令する情報とが送信される。また、可変表示部9に背景やキャラクタも表示される場合には、それに応じた表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御する。
全図柄停止待ち処理(ステップS305):変動期間が終了するのを待ち、変動期間が経過すると、可変表示部9において表示される全図柄を停止すべきことを示す全図柄停止コマンドが表示制御基板80に送出されるように制御する。
大当り表示処理(ステップS306):停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。なお、大当り図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、左右図柄が揃うとリーチとなる。
大入賞口開放開始処理(ステップS307):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。
大入賞口開放中処理(ステップS308):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ内部状態をステップS307に移行するように更新する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS309に移行するように更新する。
大当り終了処理(ステップS309):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部フラグ等を初期状態に戻し、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、基本回路53は、ステップS11(図6参照)の特別図柄プロセス処理において、大当りとするかはずれとするか、停止図柄およびリーチ態様を決定するが、その決定に応じた表示制御コマンドを表示制御基板80の表示制御用CPU101に与える。表示制御用CPU101は、主基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行う。
次に、図柄の変動を具体例を用いて説明する。
図12は、左右中図柄の例を示す説明図である。この例では、左右中図柄として表示される各図柄は、左右中で同一の12図柄である。図柄番号12の図柄が表示されると、次に、図柄番号1の図柄が表示される。そして、左右中図柄が、例えば、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」または「メロン」で揃って停止すると高確率状態となる。すなわち、それらが確変図柄となる。
図13〜図16は、この実施の形態で用いられる主基板31から表示制御基板80に送信される図柄変動に関する表示制御コマンド例を示す説明図である。この例では、1つの表示制御コマンドは2バイト(CMD1,CMD2)で構成される。
図13は、変動の態様および全図柄の停止を指示する表示制御コマンドを示す説明図である。図13に示すように、この例では、変動態様を特定可能な表示制御コマンドとして、「はずれ」、「確変時全図柄変動」、「リーチ1(再抽選なし)」〜「リーチ3(再抽選なし)」および「リーチ1(再抽選あり)」〜「リーチ3(再抽選あり)」がある。なお、リーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり)の変動態様では、それぞれ、リーチ1(再抽選なし)〜リーチ3(再抽選なし)の変動態様に対して再抽選期間を除いて同一の変動パターンが用いられる。また、CPU56は、例えば、リーチ1(再抽選なし)〜リーチ3(再抽選なし)の変動態様を、大当りとすることに決定した場合に選択する。
また、リーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり)の変動態様には、それぞれ、再抽選期間が異なる複数の複数の変動パターンがある。ただし、それぞれの変動期間(変動開始〜図柄確定の期間)は同じである。すなわち、例えば、リーチ1(再抽選あり)には再抽選期間が異なる複数の変動パターンがあるが変動期間はいずれも同じである。このことは、リーチ2(再抽選あり),リーチ3(再抽選あり)についても同様である。よって、表示制御手段すなわち表示制御基板80の表示制御用CPU101は、リーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり)のいずれかの表示制御コマンドを受信したら、独自に再抽選期間を決定する。
なお、主基板31のCPU56は、図9に示されたステップS57の決定結果に応じて、リーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり),リーチ1(再抽選なし)〜リーチ3(再抽選なし)のいずれかの表示制御コマンドを選択する。
図14には、左図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドが示されている。図14に示すように、2バイトの制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の制御データCMD1の値は、「8B(H)」である。
図15には、中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドが示されている。図15に示すように、2バイトの制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の制御データCMD1の値は、「8C(H)」である。
図16には、右図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドが示されている。図16に示すように、2バイトの制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の制御データCMD1の値は、「8D(H)」である。
図17は、主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドを示す説明図である。図17に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドは、表示制御信号CD0〜CD7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、表示制御基板80の電源となる+5V,+12Vの供給線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。
図18は、主基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドの送出タイミングの例を示すタイミング図である。この例では、表示制御コマンドデータを構成する2バイトの表示制御データは、図18に示すように、2ms毎に送出される。そして、各表示制御データに同期してストローブ信号(表示制御信号INT)が出力される。表示制御用CPU101には、ストローブ信号の立ち上がりで割込がかかるので、表示制御用CPU101は、割込処理プログラムによって各表示制御データを取り込むことができる。
以下、図19〜図22を参照して図柄の変動パターンの例について説明する。図19は、リーチとしないはずれ時の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。また、図20〜図22は、リーチ時(大当りの場合および大当りとしない場合)の図柄の変動の一例を示すタイミング図である。
この実施の形態では、はずれ時には、図19(A)に示すように、可変表示部9における「左」の図柄表示エリアにおいて、まず、パターンaに従って図柄の変動が行われる。パターンaは、少しずつ変動速度が上がるパターンである。その後、パターンbの一定速の高速変動が行われ、例えば停止図柄の3図柄前の図柄が表示されるように図柄差し替え制御された後、パターンcに従って3図柄の変動が行われる。パターンcは、徐々に遅くなって停止するパターンである。
なお、表示制御基板80の表示制御用CPU101は、中図柄が確定するまで、左右図柄を変動方向の正方向と逆方向に繰り返し変動させる。すなわち、左右図柄を、いわゆる揺れ変動による停止状態に表示制御する。揺れ変動とは、図柄が上下に揺れる表示されることをいう。また、揺れ変動は、最終停止図柄(確定図柄)が表示されるまで行われる。従って、遊技者は、左右中図柄が最終停止するまで各図柄がまだ確定していないこと、すなわち、大当りの対象となる各図柄によって大当りが生ずる可能性があることを左右中図柄が最終停止するまで期待することができる。揺れ停止状態における揺れ変動は、図柄が上下に揺れるだけでなく、左右に揺れたりその他の方向に揺れるように制御されてもよい。
そして、主基板31から全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信すると、左右図柄の揺れ変動状態を終了させて左右中図柄が動かない確定状態になる。なお、中図柄も、パターンcによる変動の後に揺れ動作を行い、その後確定状態になるようにしてもよい。
表示制御用CPU101は、左右中の図柄表示エリアにおいて、指定された停止図柄で図柄変動が停止するように、所定のタイミングで停止図柄の3図柄前の図柄を表示制御する。変動開始時に左右中の停止図柄が通知され、かつ、はずれ時の変動パターンはあらかじめ決められているので、表示制御用CPU101は、パターンaからパターンbへの切替タイミングおよびパターンbからパターンcへの切替タイミングを認識することができるとともに、差し替えるべき3図柄前の図柄も決定できる。決定された差し替え図柄はVDP103に通知され、VDP103は、そのときに表示している図柄に関係なく、通知された図柄を表示する。
図19(B)は、確率変動状態におけるはずれ時の変動パターンの一例を示す。この変動パターンでは、図に示されるように、パターンa、パターンbおよびパターンcに従って左右中図柄の変動が行われた後に、左右中図柄が同時に停止する。
図20は、リーチ1(ノーマルリーチ)の変動パターン例を示す説明図である。(A)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が確定するリーチ態様、すなわち再抽選なしの場合のリーチ態様を示す。図20(A)に示すように、左右図柄はパターンa,b,cによる変動が行われた後に停止する。このとき、左右図柄は同じ図柄で停止する。そして、中図柄があらかじめ決められたパターンで変動するリーチ動作が行われる。あらかじめ決められたパターンとは、例えば、徐々に変動速度が増加し、その後高速一定速で変動し、最後に徐々に速度が低下するようなパターンである。
そして、主基板31から全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信すると、中図柄が停止し、左右中図柄が確定した状態になる。なお、中図柄が停止するまで、左右図柄を揺れ変動状態にしてもよい。
(B)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が一旦停止し、その後左右中図柄が再び変動を開始するリーチ態様、すなわち再抽選ありの場合のリーチ態様を示す。左右中図柄が再変動する再抽選期間の長さは複数種類ある。ただし、変動開始(タイミングA)〜全図柄確定(タイミングC)までの変動期間の長さは一定である。例えば、リーチ動作期間が所定の条件に応じて可変されるような場合に、変動期間を一定にするために再抽選動作期間の長さが増減される。また、再抽選期間の長さが異なっても、変動パターン中の各動作パターンは同じである。すなわち、変動期間中の各動作パターンの時間は異なるものの、各動作パターンの発生順序は同じである。なお、動作パターンとは、例えば、上述したパターンa、パターンb、パターンcである。
図21は、リーチ2(コマ送りリーチ)の変動パターン例を示す説明図である。(A)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が確定するリーチ態様、すなわち再抽選なしの場合のリーチ態様を示す。図21(A)に示すように、左右図柄はパターンa,b,cによる変動が行われた後に停止する。このとき、左右図柄は同じ図柄で停止する。そして、中図柄がコマ送り変動する。
そして、主基板31から全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信すると、中図柄が停止し、左右中図柄が確定した状態になる。なお、中図柄が停止するまで、左右図柄を揺れ変動状態にしてもよい。
(B)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が一旦停止し、その後左右中図柄が再び変動を開始するリーチ態様、すなわち再抽選ありの場合のリーチ態様を示す。リーチ2でも、左右中図柄が再変動する再抽選期間の長さは複数種類ある。ただし、変動開始(タイミングA)〜全図柄確定(タイミングC)までの変動期間の長さは一定である。よって、所定の条件に応じてコマ送り数が可変されるような場合には、変動期間を一定にするために再抽選期間の長さが増減される。また、再抽選期間の長さが異なっても、変動パターンの動作パターンは同じである。すなわち、変動期間中の各動作パターンの時間は異なるものの、各動作パターンの発生順序は同じである。
図22は、リーチ3(一時スロー変動)の変動パターン例を示す説明図である。(A)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が確定するリーチ態様、すなわち再抽選なしの場合のリーチ態様を示す。図22(A)に示すように、左右図柄はパターンa,b,cによる変動が行われた後に停止する。このとき、左右図柄は同じ図柄で停止する。そして、中図柄があらかじめ決められたパターンで変動するリーチ動作が行われる。あらかじめ決められたパターンとは、例えば、徐々に変動速度が増加し、その後高速一定速で変動し、最後に徐々に速度が低下するパターンである。ただし、中図柄の高速変動中に、中図柄の表示が左右図柄と一致するときに、すなわち大当り図柄の表示がなされるときに、中図柄の変動は低速(スロー変動)になって遊技者に大当り図柄をアピールする。
そして、主基板31から全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信すると、中図柄が停止し、左右中図柄が確定した状態になる。なお、中図柄が停止するまで、左右図柄を揺れ変動状態にしてもよい。
(B)は、中図柄によるリーチ動作が行われた後に左右中図柄が一旦停止し、その後左右中図柄が再び変動を開始するリーチ態様、すなわち再抽選ありの場合のリーチ態様を示す。左右中図柄が再変動する再抽選期間の長さは複数種類ある。ただし、変動開始(タイミングA)〜全図柄確定(タイミングC)までの変動期間の長さは一定である。よって、例えばリーチ動作期間が可変されるような場合には、変動期間を一定にするために再抽選期間の長さが増減される。また、再抽選期間の長さが異なっても、変動パターンの動作パターンは同じである。すなわち、変動期間中の各動作パターンの時間は異なるものの、各動作パターンの発生順序は同じである。
図23は、リーチ1のリーチ動作例を示す説明図である。図23に示すように、リーチ1では、中図柄は徐々に変動速度を速め((b1),(b2)参照)、その後、高速一定速変動し((b3)参照)、最後に変動速度が徐々に低下する((b4)参照)。このような図柄の表示制御は、例えば、表示制御用CPU101が、VDP103に時々刻々変動速度に応じて表示図柄の位置を指示することによって実現される。
図24は、リーチ2のリーチ動作例を示す説明図である。図24に示すように、リーチ2では、リーチ確定後((b1)参照)、中図柄はいわゆるコマ送り変動で可変表示される((b2),(b3)参照)。
図25は、リーチ3のリーチ動作例を示す説明図である。図25に示すように、リーチ3では、中図柄は徐々に変動速度を速め((b1),(b2)参照)、その後、高速一定速変動し((b3),(b6)参照)、最後に変動速度が徐々に低下する((b7)参照)。ただし、図25(b4),(b5)に示すように、大当り図柄(左右中図柄が揃った図柄の組み合わせ)が表示される前後で、中図柄は低速変動される。このような図柄の表示制御も、例えば、表示制御用CPU101が、VDP103に時々刻々変動速度に応じて表示図柄の位置を指示することによって実現される。表示制御用CPU101は、大当り図柄を認識しているので、中図柄を低速変動すべきタイミングを容易に決定することができる。
図26は、図20(B),図21(B),図22(B)に示された再抽選ありの変動パターンにおける画像表示例を示す説明図である。図26に示すように、左右中図柄が変動後((a)参照)、左右図柄が同じ図柄で停止してリーチ成立となる((b)参照)。その後、リーチ1、リーチ2またはリーチ3のリーチ動作が行われ、中図柄も停止して大当りが確定する(タイミングB:(c)参照)。
そして、この実施の形態では、左右中図柄は一旦停止(仮停止)する。表示制御用CPU101は、仮停止図柄を例えば大当り図柄とするが、再抽選動作を開始するときに特有に用いられる図柄としてあらかじめ決められている左右中図柄の組み合わせとしてもよい。
また、表示制御用CPU101の制御によって、左右中図柄は、揺れ変動状態で画面の端に小さく表示される((d)参照)。また、表示制御用CPU101は、画面の大部分を用いてキャラクタを運動表示することによって遊技演出を行う。特に、図26に例示されたように、最終停止図柄が確変図柄(この例では「7,7,7」)であり、仮停止図柄(一旦停止図柄)が非確変の大当たり図柄(この例では「4,4,4」)であるような場合に、キャラクタの動きによる演出によって非確変図柄が確変図柄に変化したかのように遊技者に感じさせることができる。
なお、表示制御用CPU101は、背景の表示を制御することによって、また、背景およびキャラクタを制御することによって遊技演出を行ってもよい。
そして、所定のタイミングが到来すると、左右中図柄を高速一定速で変動させ((e)参照)、確定図柄で停止させる((f)参照)。左右中の確定図柄は主基板31のCPU56から通知された図柄である。しかし、図26(c)に例示された仮停止図柄は、表示制御用CPU101によって決定される。
すなわち、表示制御用CPU101は、乱数等を用いて仮停止図柄を決定する。例えば、乱数の生成範囲を1〜10に設定し、抽出された乱数値が確定図柄と仮停止図柄との差を示すものとする。
また、表示制御用CPU101は、再抽選期間の長さを決定する。例えば、リーチ動作の期間をリーチ図柄の種類等に応じて可変とする場合、全体の変動期間が一定になるように、再抽選期間の長さを決定する。このような制御によって、再抽選期間の長さが3種類となるとすると、1種類の変動期間を特定可能なコマンド(この例では、リーチ1(再抽選有り)、リーチ2(再抽選有り)またはリーチ3(再抽選有り))に応じて、変動期間が同一であって再抽選動作態様の期間が異なる複数の変動パターンを実現することができ、合計で(リーチ1〜リーチ3)×3の9種類の再抽選変動パターンが存在することになる。
しかし、主基板31のCPU56が扱う表示制御コマンドは、あくまで、リーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり)の3種類である。つまり、変動パターンを増やしても、表示制御コマンドの数は増えず、主基板31のCPU56すなわち遊技制御手段の負担は増えない。再抽選期間の長さまで遊技制御手段が表示制御手段に通知するように構成した場合には、9種類の表示制御コマンドが必要になり、それだけ遊技制御手段の負担が増えてしまう。
また、再抽選期間の長さが異なっても、リーチ1〜3のそれぞれについて、変動期間は同一である。よって、リーチ1〜3のそれぞれについて、変動期間の長さは同じであるから、遊技制御手段は、再変動ありのリーチ態様を表示制御手段に指示した場合に、全図柄確定のタイミングを容易に識別することができる。
表示制御コマンドの数を増やさず、かつ、表示制御手段の独自の制御によって変動期間の長さを可変にした場合(再抽選期間の長さを一定にした場合)には、遊技制御手段の負担は増えないものの、遊技制御手段が、全図柄確定のタイミングを認識することができなくなってしまう。よって、現実には、表示制御コマンドの数を増やさず、かつ、表示制御手段の独自の制御によって変動期間の長さを可変にすることはできない。しかし、この実施の形態のように、再抽選期間の長さを可変にして変動期間を一定にした場合には、遊技制御手段は全図柄確定のタイミングを認識できるので、表示制御コマンドの数を増やさずに変動の種類を増やすことができる。
なお、この実施の形態では、リーチ1(再抽選なし)〜リーチ3(再抽選なし)およびリーチ1(再抽選あり)〜リーチ3(再抽選あり)のように、再抽選ありの場合となしの場合とで別々の表示制御コマンドを用いるようにしたが、リーチ1〜リーチ3の表示制御コマンドと「再抽選あり」の表示制御コマンドとを用いてもよい。すなわち、遊技制御手段は。再抽選を含む変動を実現させたい場合には、リーチ1〜リーチ3の表示制御コマンドと「再抽選あり」の表示制御コマンドとを続けて送出する。その場合には、コマンド数は4種類に減る。
以下、上述した再抽選動作期間を常に一定にした図柄変動を実現するための遊技制御手段および表示制御手段の動作を説明する。図27は、図11に示された特別図柄プロセス処理における全図柄変動開始処理(ステップS304)を示すフローチャートである。ステップS302,S303の停止図柄設定処理およびリーチ動作設定処理においてリーチ態様と停止図柄が決定されると、それらを指示するための表示制御コマンドの送出制御が行われるのであるが、ステップS304では、CPU56は、まず、コマンドの送出完了を待つ(ステップS304a)。なお、コマンド送出完了は、メイン処理(図6参照)中の表示制御データ出力処理(ステップS5)から通知される。
この実施の形態では、CPU56は、図柄の変動を開始させるときに、図13に示されたコマンド[80(H),01(H)]〜[80(H),08(H)]のいずれかを表示制御基板80に送出する。また、続けて、既に決定されている左右中の停止図柄(確定図柄)を示す表示制御コマンドを表示制御基板80に送出する。よって、ステップS304aのコマンド送信完了処理では、それら全てのコマンドの送出が完了したか否か確認される。なお、CPU56は、左右中の停止図柄を示す表示制御コマンドを送出してからコマンド[80(H),01(H)]〜[80(H),08(H)]のいずれかを送出してもよい。
表示制御コマンドの送出が完了すると、CPU56は、表示制御基板80に通知した変動時間を測定するための変動時間タイマをスタートする(ステップS304b)。変動時間タイマには、使用されるリーチ態様の変動期間に応じた時間が設定される。そして、ステップS305に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS304c)。
図28は、図11に示された特別図柄プロセス処理における全図柄停止待ち処理(ステップS305)を示すフローチャートである。ステップS305では、CPU56は、変動時間タイマがタイムアップしたか否か確認する(ステップS305a)。タイムアップしたら、全図柄停止を指示する表示制御コマンドを設定する(ステップS305b)。そして、表示制御コマンドデータ送出要求をセットし(ステップS305c)、ステップS306に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS305d)。なお、表示制御コマンドデータ送出要求は、メイン処理(図6参照)中の表示制御データ設定処理(ステップS3)で参照される。
以上のように、特別図柄プロセス処理において、CPU56は、変動の開始時に変動態様を特定可能な情報と停止図柄を指示する情報とを表示制御基板80に送出する。そして、変動時間タイマがタイムアップしたら、すなわち指示した変動態様に応じた時間が終了したら、全図柄変動を指示する情報を表示制御基板80に送出する。その間、CPU56は、表示制御基板80に表示制御コマンドを送出しない。従って、主基板31のCPU56の表示制御に要する負荷は大きく低減されている。
図29は、表示制御データ設定処理(図6に示されたメイン処理におけるステップS4)の動作例を示すフローチャートである。表示制御データ設定処理において、CPU56は、まず、データ送出中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS411)。セットされていなければ、表示制御コマンドデータの送出要求フラグがセットされているか否か確認する(ステップS412)。送出要求フラグがセットされていれば、送出要求フラグをリセットする(ステップS413)。また、送出すべき表示制御コマンドデータを出力データ格納領域に設定するとともに(ステップS414)、ポート出力要求をセットする(ステップS416)。なお、表示制御コマンドデータの送出要求フラグは、特別図柄プロセス処理においてセットされる。また、データ送出中フラグは、後述する表示制御データ出力処理においてセットされる。
図30は、図6に示されたメイン処理における表示制御データ出力処理(ステップS5)を示すフローチャートである。表示制御データ出力処理において、CPU56は、ポート出力要求がセットされているか否か判定する(ステップS421)。ポート出力要求がセットされている場合には、ポート出力要求をリセットし(ステップS422)、ポート格納領域の内容(表示制御コマンドの1バイト目)を出力ポート571に出力する(ステップS423)。そして、ポート出力カウンタを+1する(ステップS424)。さらに、INT信号をローレベル(オン状態)にし(ステップS425)、データ送出中フラグをオンする(ステップS426)。
ポート出力要求がセットされていない場合には、ポート出力カウンタの値が0であるか否か判定する(ステップS431)。ポート出力カウンタの値が0でない場合には、ポート出力カウンタの値が1であるか否か確認する(ステップS432)。ポート出力カウンタの値が1である場合には、表示制御コマンドの1バイト目に関するINT信号オフタイミングになっているので、INT信号をオフ(=1)にする(ステップS433)。また、ポート出力カウンタの値を1増やす(ステップS434)。
ポート出力カウンタの値が2である場合には(ステップS435)、表示制御コマンドの2バイト目の出力タイミングになっているので、ポート格納領域の内容(表示制御コマンドの2バイト目)を出力ポート571に出力する(ステップS436)。そして、ポート出力カウンタを+1する(ステップS437)。さらに、INT信号をローレベルにする(ステップS438)。
そして、ポート出力カウンタの値が2でない場合には、すなわち3である場合には、表示制御コマンドの2バイト目に関するINT信号オフタイミングになっているので、ポート出力カウンタの値をクリアするとともに(ステップS441)、INT信号をオフ(ハイレベル)にする(ステップS442)。また、データ送出中フラグをオフする(ステップS443)。
この実施の形態では、図30に示された表示制御データ出力処理は2msに1回実行される。従って、図30に示されたデータ出力処理によって、図18に示されたように、2ms毎に1バイトのデータが出力される。
次に、表示制御用CPU101の動作を説明する。
図31は、表示制御用CPU101のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、表示制御用CPU101は、まず、RAM、I/OポートおよびVDP103等を初期化する(ステップS701)。そして、可変表示部9にデモンストレーション画面が出現するように表示制御する(ステップS702)。その後、表示用乱数更新処理(表示用乱数を生成するカウンタの更新処理)を繰り返し実行する(ステップS703)。表示制御用CPU101が扱う表示用乱数として、例えば、仮停止図柄を決定するための乱数がある。
上述したように、再抽選動作期間は、例えばリーチ動作期間の増減に応じて決定されるのであるが、図32に示すように再抽選動作期間を乱数を用いて決定してもよい。この例では、乱数値は0〜29の範囲の値をとり、乱数値に応じて図32に例示されたように再抽選動作期間の長さが決定される。
この実施の形態では、実際の変動制御等は、タイマ割込処理によって行われる。タイマ割込は、例えば2ms毎に発生する。図33に示すように、タイマ割込処理では、表示制御用CPU101は、表示制御プロセス処理(ステップS711)を実行する。表示制御プロセス処理では、表示制御プロセスフラグの値に応じた表示制御処理が行われる。
主基板31からの表示制御コマンドは、IRQ2割込によって表示制御用CPU101に受信される。図34は、表示制御用CPU101のIRQ2割込処理を示すフローチャートである。IRQ2割込処理において、表示制御用CPU101は、まず、データ受信中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS601)。セットされていなければ、この割込が表示制御コマンドデータにおける第1バイトの表示制御データ送出による割込である。そこで、ポインタをクリアするとともに(ステップS602)、データ受信中フラグをセットする(ステップS603)。そして、ステップS604に移行する。ポインタは、表示制御用CPU101が内蔵しているRAMにおける表示制御コマンドデータ格納エリアにおける何バイト目に受信データを格納するか指し示すものである。
データ受信中フラグがセットされている場合には、ストローブ信号がオフしたら(ステップS604)、表示制御用CPU101は、入力ポートからデータを入力し、表示制御コマンドデータ格納エリアにおいてポインタによって示されているアドレスに、入力データを格納する(ステップS605)。
そして、表示制御用CPU101は、ポインタの値を+1する(ステップS606)。そして、ポインタの値が2になった場合には(ステップS607)、2バイトで構成される表示制御コマンドデータの受信が完了したことになるので、データ受信完了フラグをセットするとともに、データ受信中フラグをリセットする(ステップS608,S609)。以上のような処理によって、表示制御データCMD1,CMD2が、表示制御基板80において受信される。
図35は、図33に示されたタイマ割込処理における表示制御プロセス処理(ステップS711)を示すフローチャートである。表示制御プロセス処理では、表示制御プロセスフラグの値に応じてステップS720〜S870のうちのいずれかの処理が行われる。各処理において、以下のような処理が実行される。
表示制御コマンド受信待ち処理(ステップS720):IRQ2割込処理によって、変動態様を特定可能な表示制御コマンドを受信したか否か確認する。
リーチ動作設定処理(ステップS750):再変動を行う場合に、再抽選動作期間の長さを決定する。
全図柄変動開始処理(ステップS780):左右中図柄の変動が開始されるように制御する。
図柄変動中処理(ステップS810):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度や背景、キャラクタ)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する。また、左右図柄の停止制御や再抽選制御を行う。
全図柄停止待ち設定処理(ステップS840):変動時間の終了時に、全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信していたら、図柄の変動を停止し最終停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行う。
大当り表示処理(ステップS870):変動時間の終了後、確変大当り表示または通常大当り表示の制御を行う。
図36は、表示制御コマンド受信待ち処理(ステップS720)を示すフローチャートである。表示制御コマンド受信待ち処理において、表示制御用CPU101は、まず、変動態様を特定可能な表示制御コマンドを受信したか否か確認する(ステップS721)。変動態様を特定可能な表示制御コマンドは、図13に示されたコマンド[80(H),01(H)]〜[80(H),08(H)]のいずれかである。変動態様を特定可能な表示制御コマンドを受信した場合には、表示制御プロセスフラグの値をリーチ動作設定処理(ステップS750)に対応した値に変更する(ステップS722)。
なお、主基板31から表示制御基板80に最初に送信される表示制御コマンドは、変動態様を示すコマンドと左右中図柄の停止図柄を指定するコマンドであるが、それらは、表示制御データ格納エリアに格納されている(図34におけるステップS605参照)。
図37は、リーチ動作設定処理(ステップS750)を示すフローチャートである。リーチ動作設定処理において、表示制御用CPU101は、まず、変動態様を特定可能な表示制御コマンドから、リーチにもならないはずれか否か判断する(ステップS751)。具体的には、コマンドA0またはA2を受信していたらはずれである。
はずれであるならば、主基板31から通知された左右の停止図柄が異なっているものであるか否か確認する(ステップS752)。一致していた場合には、右停止図柄を1図柄ずらしたものとする(ステップS753)。そして、左右中の停止図柄を所定の記憶エリアに格納する(ステップS754)。また、監視タイマに7.9秒を設定する(ステップS755)。7.9秒は、はずれ時の変動時間7.8秒に対して余裕を持たせた値であり、監視タイマがタイムアウトする前に全図柄停止を指定するコマンドを受信できなかったときには所定の処理が行われる。
ステップS751において、はずれでなかったら、すなわち、コマンド[80(H),03(H)]〜[80(H),08(H)]のいずれかを受信していたら、左右の停止図柄が同一か否か確認する(ステップS756)。異なっていた場合には、右停止図柄を左停止図柄と同じものにする(ステップS757)。そして、左右中の停止図柄を所定の記憶エリアに格納する(ステップS754)。また、表示制御用CPU101は、コマンド[80(H),03(H)]〜[80(H),08(H)]に応じた変動時間に0.1秒を加算した値を監視タイマに設定する(ステップS759)。
また、主基板31から再抽選ありの変動態様を通知されていたら、すなわち、コマンド[80(H),05(H)]〜[80(H),08(H)]を受信していたら(ステップS760)、例えばリーチ動作期間の長さに応じて再抽選期間の長さを決定する(ステップS761)。なお、表示制御用CPU101は、リーチ動作期間の長さを例えばリーチ成立時の図柄の種類に応じて決定する。例えば、変動期間が30秒と決められていて、リーチ確定までの期間が8秒と決定されている場合に、リーチ動作期間を15秒としたら、それに応じて決定再抽選期間を7秒と決定する。
以上のように、この実施の形態では、表示制御用CPU101は、可変表示を開始させる際に主基板31から送出されたコマンド[80(H),01(H)]〜[80(H),08(H)]と受信した左右中停止図柄とが矛盾しているときには停止図柄を補正する。従って、何らかの原因で左右中停止図柄に誤りが生じたととしてもその誤りは是正される。誤りとは、例えば、主基板31から表示制御基板80に至るケーブルにノイズが乗ってコマンドにビット誤りが生じたような場合である。この結果、遊技制御手段が決定したはずれ/リーチと矛盾するような確定図柄の表示がなされることが防止される。
次いで、表示制御用CPU101は、最終的に決定された変動態様に応じたプロセステーブルを使用することを決定する(ステップS763)。各プロセステーブルには、その変動態様中の各変動状態(変動速度やその速度での変動期間等)が設定されている。また、各プロセステーブルはROMに設定されている。そして、表示制御用CPU101は、表示制御プロセスフラグの値を全図柄変動開始処理(ステップS780)に対応した値に変更する(ステップS764)。
図38は、プロセステーブルの構成例を示す説明図である。それぞれの変動態様に対応した各プロセステーブルには、時系列的に、変動速度やその速度での変動期間、背景やキャラクタの切替タイミング等の図柄変動データが設定されている。また、ある速度での変動期間を決めるためのプロセスタイマ値も設定されている。また、各プロセステーブルは、複数の3バイト単位のプロセスデータで構成され、3バイト中の2バイトがプロセスタイマ値として用いられ1バイトが図柄変動データとして用いられている。なお、1バイトでは全ての図柄変動データを表現できない場合には、プロセステーブルのサイズが例えば4バイトとされる。
表示制御用CPU101は、プロセスタイマのタイムアップによって何らかの表示状態を変更しなければならないことを知ることができる。そして、変更すべき表示状態は、プロセステーブルにおける次のプロセスデータの3バイト目の設定値から知ることができる。
一例として、図39に、図20(B)に示された変動パターンが使用される場合のプロセステーブルの構成例を示す。表示制御用CPU101は、図柄の変動開始時に、まず、左右中図柄を低速で変動させるようにV103DPを制御する。そして、プロセステーブルの最初に((1)に)設定されているプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる。タイマがタイムアップすると、(1)の図柄変動データに設定されている制御内容でVDP103の制御状態を変更するとともに、(2)のプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる。タイマがタイムアップすると、(2)の図柄変動データに設定されている制御内容でVDP103の制御状態を変更するとともに、(3)のプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる。
そして、タイマがタイムアップすると、(3)の図柄変動データに設定されている制御内容でVDP103の制御状態を変更するとともに、(4)のプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる。この段階で、左右中図柄は、パターンaの変動態様において変動速度が一段上昇したことになる。
以下、タイマがタイムアップしたら図柄変動データにもとづく制御状態の変更を行うとともに、プロセステーブルにおける次のプロセスタイマ値を用いてタイマをスタートさせる。従って、左右中の全ての図柄がパターンbによる高速変動状態に入ってから((9)に対応)、4.2秒が経過すると、左図柄の変動状態をパターンcによるものとするために、左図柄の変動速度を中速にするように制御状態を変更する((10)に対応)。
(11)〜(13)のプロセスタイマがタイムアウトすると、リーチ確定となる。その後、リーチ動作中の各変動パターンに対応したプロセスタイマが順次スタートされ(図39では省略)、(14)のプロセスタイマがタイムアウトすると、大当り確定となって左右中の仮停止図柄が停止表示される。また、再抽選動作中に可変表示部9内で運動するキャラクタが表示開始される。具体的には、VDP103に表示キャラクタを示す情報を与える。その後、VDP103は、あらかじめ決められている運動パターンにもとづいてキャラクタを可変表示部9内に表示する。
さらに、左右中図柄の仮停止期間を設定するためのプロセスタイマがスタートされ((15)に対応)、プロセスタイマがタイムアウトすると、再変動期間を設定するためのプロセスタイマがスタートされる((16)に対応)。そして、プロセスタイマがタイムアウトすると、表示制御用CPU101は、左右中図柄を最終停止させる制御を行う。
なお、プロセステーブルには、さらに、背景およびキャラクタの切り替えタイミングも含まれるが、図39では、再抽選動作期間におけるキャラクタに関するデータ以外は省略されている。
図40は、全図柄変動開始処理(ステップS780)を示すフローチャートである。全図柄変動開始処理において、表示制御用CPU101は、使用することが決定されたプロセステーブルの最初に設定されているプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる(ステップS781)。また、3バイト目に設定されている変動状態を示すデータにもとづいて図柄変動制御、背景およびキャラクタの表示制御を開始する(ステップS782)。そして、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理(ステップS810)に対応した値に変更する(ステップS783)。
図41は、図柄変動中処理(ステップS810)を示すフローチャートである。図柄変動中処理において、表示制御用CPU101は、プロセスタイマがタイムアウトしたか否か確認する(ステップS811)。プロセスタイマがタイムアウトした場合には、プロセステーブル中のデータを示すポインタを+3する(ステップS812)。そして、ポインタが指す領域のデータが終了コードであるか否か確認する(ステップS813)。終了コードでなければ、ポインタが指すプロセスデータの3バイト目に設定されている変動状態を示すデータにもとづいて図柄変動制御、背景およびキャラクタの表示制御を変更するとともに(ステップS814)、1,2バイト目に設定されているプロセスタイマ値でタイマをスタートさせる(ステップS815)。
ステップS813で、終了コードであれば、表示制御プロセスフラグの値を全図柄停止待ち処理(ステップS840)に対応した値に変更する(ステップS816)。
図42は、全図柄停止待ち処理(ステップS840)を示すフローチャートである。全図柄停止待ち処理において、表示制御用CPU101は、全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信しているか否か確認する(ステップS841)。全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信していれば、記憶されている停止図柄で図柄を停止させる制御を行う(ステップS842)。そして、表示制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS870)に対応した値に設定する(ステップS843)。
全図柄停止を指定する表示制御コマンドを受信していない場合には、監視タイマがタイムアウトしているかどうか確認する(ステップS844)。タイムアウトした場合には、何らかの異常が発生したと判断して、可変表示部9にエラー画面を表示する制御を行う(ステップS845)。
以上のように、この実施の形態では、可変表示部9に可変表示される図柄の変動態様と停止図柄を特定可能な情報を遊技制御手段すなわち主基板31のCPU56から表示制御手段に送出し、表示制御手段が、図柄変動に関わらない背景やキャラクタの表示および表示切替を制御する。従って、1回の図柄変動について遊技制御手段から表示制御手段に送出される表示制御コマンドの数が低減されている。
そして、遊技制御手段は変動期間が終了した時点で全図柄停止を示す表示制御コマンドを表示制御手段に与え、表示制御手段は、全図柄停止を示す表示制御コマンドによって図柄を確定する。従って、図柄は、遊技制御手段が管理するタイミングで確実に確定する。この実施の形態のように、遊技制御手段が図柄の変動開始に関連する時点で変動時間を特定可能な情報と停止図柄に関する情報を送信し、その後、表示制御手段が独自に変動パターンを決めたり図柄の差し替え制御等を行ったりする場合には、表示制御のかなりの部分が表示制御手段によって実行されていることになる。
すると、遊技制御手段は具体的な変動パターンを認識できないので、何らの対策も施さないと、遊技制御手段が決定した変動時間とずれた変動が行われているおそれもある。しかし、遊技制御手段が変動期間が終了した時点で全図柄停止を示す表示制御コマンドを表示制御手段に与えるように構成すれば、遊技制御手段が決定した変動時間の終了時に図柄は確実に確定する。また、全図柄停止を指示する表示制御コマンドが受信できない場合にエラー表示を行うようにすれば、異常が生じたことは直ちに認識される。
さらに、この実施の形態では、再抽選期間を含む場合には、それぞれのリーチ態様について再抽選期間の長さがどのように制御されても変動期間は同一である。従って、遊技制御手段は、再抽選ありのリーチ態様を表示制御手段に指示した場合でも、全図柄確定のタイミングを容易に識別することができる。よって、遊技制御手段は、再抽選期間の長さに応じた数の表示制御コマンドを扱わなくてもよい。すなわち、遊技制御手段は、リーチ態様の種類に応じた数の表示制御コマンドを扱うだけでよく、再抽選動作パターンの種類が多くても、遊技制御手段の可変表示に関する制御負荷が増大することはない。
また、図26に示されたように、再抽選動作期間において、図柄の変動が一旦停止する仮停止期間が設けられ、その期間では、表示制御用CPU101およびVDP103は、可変表示部9における左右中図柄の表示領域を小さくし、かつ、可変表示部9の端に寄せる。そして、可変表示部9における広い領域において、キャラクタを運動表示したり背景を変化させるような表示を行う。よって、再抽選期間における再変動が単純な高速一定速であっても、遊技者は、キャラクタや背景の変化によって、より大きな期待感を抱く。このとき、左右中図柄は小さく表示されているので、キャラクタや背景による演出を阻害することはない。また、キャラクタや背景による演出の期間の長さが他種類あるので、遊技者は、様々な演出時間長の存在によって、さらなる期待感を抱く。
なお、この実施の形態では、再抽選動作期間において、再変動開始前では左右中図柄を仮停止させるようにしたが、その期間でも、高速変動させるようにしてもよい。そのような制御を行っても、キャラクタや背景の変化による再抽選動作の演出を図柄が阻害することはない。
また、再変動期間では左右中図柄を高速変動させ、期間経過時に直ちに図柄を最終停止させるので、再抽選期間における図柄可変表示制御は容易である。なお、再変動期間をなくして、仮停止図柄から直ちに最終停止図柄に差し替えるような表示制御を行っても効果的である。
図43は、再抽選ありの場合のリーチ態様の他の例(第2の実施の形態)を示すタイミング図である。この例でも、各リーチ態様について、図柄の変動開始(タイミングA)から再変動が終了して全図柄が確定するとき(タイミングC)までの時間は常に一定に制御される。ただし、この例では、再抽選動作期間において、まず、図柄の再変動が行われ、仮停止期間をおいて再度再変動が行われた後に図柄は最終停止する。
図44は、図43に示された第2の実施の形態における図柄変動例を示す説明図である。図44に示されたような変動態様は、画像表示可能なCRTやLCDのような可変表示部9によっても実現可能であるが、ドラム式の可変表示部でも可能である。よって、図44には、ドラム式の可変表示部に可変表示される図柄の例が示されている。なお、ドラム式の可変表示部を用いた場合にも、表示制御用CPUが設けられ、表示制御用CPUは、主基板31のCPU56から表示制御コマンドを受信し、受信した表示制御コマンドに応じた図柄変動制御を行う。
図44に示すように、左右中図柄が変動後((a)参照)、左右図柄が同じ図柄で停止してリーチ成立となる((b)参照)。その後、中図柄変動によるリーチ動作が行われ、中図柄も停止して大当りが確定する(タイミングB:(c)参照)。そして、この実施の形態では、再抽選動作期間において、左右中図柄は再変動してから仮停止するのであるが((d),(e)参照)、仮停止時に、表示制御用CPUは、中図柄を上下に揺らすように制御する((e)参照)。すなわち、中図柄のリールを駆動するモータの順方向回転と逆方向回転を繰り返すように制御する。
また、このとき、表示制御用CPUは、表示部に、確変図柄によるリーチおよび非確変図柄によるリーチが成立したように図柄表示を行う((e)参照)。さらに、確変状態に突入させる場合には、確変図柄の組み合わせを遊技者に対して表示する((f)参照)。その後、左右中図柄が再変動してから((g)参照)、左右中図柄は最終停止する((h)参照)。
この例でも、再抽選動作期間(図44における(c)〜(h))は可変長に制御される。すなわち、表示制御用CPUは、リーチ動作の期間長が所定の条件に応じて可変されるような場合に、(d)〜(h)の期間を増減させて、全体の変動時間を一定に保つ。
第2の実施の形態では、再抽選動作期間において、確変図柄と非確変図柄の表示を組み合わせることによって遊技者の期待感を向上させる。よって、上述した第1の実施の形態のようにキャラクタや背景によって再抽選動作期間における遊技者の期待感を向上させる場合に比べて、表示制御は簡単である。
なお、この実施の形態ではドラム式の可変表示部を用いた場合について説明したが、画像表示式の可変表示部9を用いても同様の表示制御を行うことができる。その場合には、確変図柄と非確変図柄の表示の組み合わせによって遊技者の期待感を向上させることができるとともに、キャラクタや背景によって再抽選動作期間における遊技者の期待感を向上させることもできる。また、画像表示式の可変表示部9を用いた場合には、再抽選期間における再抽選期間で、図柄変動を直ちに高速一定速変動とすることもできる。可変表示部が画像表示式である場合には、変動期間において速度調整制御を行わず、変動期間の最後に所定の図柄を差し替え表示することによって、変動期間における変動速度を常に同じにしても一定の再抽選動作期間を実現することができる。
上記の各実施の形態では、リーチ1〜リーチ3のそれぞれについて変動期間が同一であって再抽選動作期間の長さが異なる複数の変動パターンが実現された。そして、遊技制御手段から表示制御手段に送信されるコマンドは、リーチ1〜リーチ3の3種類であった。しかし、大当り時には1種類のコマンドを用いるようにしてもよい。その場合には、表示制御手段がリーチ種類(例えばリーチ1〜3)も決定する。
図45は、そのような実施の形態で用いられる変動の態様および全図柄の停止を指示する表示制御コマンドを示す説明図である。図45に示すように、この例では、変動態様を特定可能な表示制御コマンドとして、「はずれ」、「確変時全図柄変動」、「リーチ(はずれ)」、「リーチ(当り:再抽選なし)」および「リーチ(当り:再抽選あり)」がある。
この実施の形態では、表示制御基板80の表示制御用CPU101は、「リーチ(当り:再抽選あり)」の表示制御コマンドを受信した場合に、再抽選動作を含むリーチ変動パターンを用いることにする。図46は、リーチ種類および再抽選動作時間を決定するための乱数の例を示す説明図である。
図47は、この実施の形態におけるリーチ動作設定処理(ステップS750)を示すフローチャートである。リーチ動作設定処理において、表示制御用CPU101は、はずれでない場合には、すなわち、表示制御コマンド[80(H),04(H)]または[80(H),05(H)]を受信していた場合には、リーチ種類決定用乱数を抽出し、図46(A)に示された関係に従ってリーチ種類を決定する(ステップS765)。その他の処理は、上述した実施の形態の場合と同様である。
この実施の形態では、主基板31のCPU56は、大当りとすることに決定した場合に、1種類のコマンド([80(H),04(H)]または[80(H),05(H)])を表示制御基板80に送出するだけでよい。従って、遊技制御手段の図柄の可変表示に関する制御の負担はさらに低減される。
そして、表示制御基板80の表示制御用CPU101が、リーチ種類(リーチ1〜3)を決定し、リーチ動作の期間を決定したら、再抽選動作を行う場合には、決定したリーチ動作期間に応じて再抽選動作期間の長さを決定する。ここで、再抽選動作期間の長さを図46(B)に例示されたような乱数にもとづいて決定するようにしてもよい。なお、この実施の形態では、リーチ1〜3の変動期間は同一である。また、上述した各実施の形態と同様、表示制御用CPU101が、再抽選期間の長さに関わらず常に変動期間を一定にするように、1つの変動態様を構成する各動作パターンのうちのいずれかのパターンの長さを調整する。
なお、上記の実施の形態では、以下のような遊技機も開示されている。
変動期間が同一であって再抽選動作態様の期間が異なる複数の変動パターンは変動パターンを構成する各動作パターンの出現の仕方が同じである遊技機。なお、変動パターンとは、変動開始時から終了時までの表示を指し、動作パターンとは、1つの変動パターンを構成する幾つかの図柄の可変動作パターン(例えば、低速変動、高速変動、コマ送り変動等)である。
そのような構成によれば、遊技制御手段から表示制御手段に送出されるコマンドの種類と実際に実行される変動パターンとが矛盾しないようにすることができる。
また、変動期間が同一であって再抽選動作態様の期間が異なる複数の変動パターンは変動パターンを構成する各動作パターンの出現の仕方が異なっているものを含む遊技機。
そのような構成によれば、遊技制御手段からの1つのコマンドで実現可能な変動パターンの種類をさらに増すことができる。
再抽選動作態様における仮図柄は特定表示態様である遊技機。
そのような構成によれば、有利な状態を生じさせる特定表示態様を遊技者に対して一旦提示することによって、遊技者の期待感をより向上させることができ、その結果、遊技の興趣をさらに増進させることができる。
遊技制御手段が、特定表示態様決定手段が特定表示態様とすることに決定した場合に表示内容決定手段によって決定された図柄の種類に応じて、特定表示態様が生じやすくなる状態である特別遊技状態に移行するか否かを決定するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、特別遊技状態に突入することがわかりやすいという効果がある。
特別遊技状態は特定表示態様発生確率が向上している確率変動状態である遊技機。
そのような構成によれば、確率変動状態に突入することがわかりやすいという効果がある。
再抽選動作態様は図柄の変動以外にキャラクタや背景画像を変化させる表示演出を含む態様である遊技機。
そのような構成によれば、キャラクタや背景の変化によって遊技者に大きな期待感を与えることができる。
再抽選動作態様は確率変動状態を発生させる確変図柄と非確変図柄の組み合わせによる表示演出を含む態様である遊技機。
そのような構成によれば、図柄表示の組み合わせのみによって遊技者の期待感を向上させることができる。よって、画像表示式の可変表示部を用いる場合のみならず、ドラム式等の機械的な可変表示部を用いる遊技機でも、遊技者の期待感を向上させる遊技演出を行うことができる。
表示制御手段が、確変図柄と非確変図柄の組み合わせによる表示演出を行っているときには図柄の仮停止状態を維持するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、確変図柄と非確変図柄の組み合わせによる表示演出を遊技者に見やすくすることができたり、画像表示式の可変表示部を用いた場合に図柄の変動表示によってキャラクタや背景による演出が阻害されることはない。
表示制御手段が、再抽選動作を行っているときには図柄の大きさを小さくするように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、図柄によってキャラクタや背景による演出が阻害されることはない。
表示制御手段が、再抽選動作を行っているときには図柄を可変表示部における端部に表示するように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、図柄によってキャラクタや背景による演出が阻害されることはない。
表示制御手段が、再抽選動作態様における最終停止状態直前の変動パターンを高速一定速変動とするように構成されている遊技機。
そのような構成によれば、再抽選動作における図柄再変動制御を容易にすることができる。