JP4739547B2 - ポリイミド複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド複合体の製造方法に関し、詳しくは、耐熱性、機械的特性、ガスバリアー性、寸法安定性等にすぐれるポリイミド複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリイミドは、耐熱性、機械的特性、電気絶縁性、耐薬品性等にすぐれているところから、フレキシブルプリント回路板、フラットケーブル、TAB等の電気、電子分野の製品の製造において、その材料として広く用いられている。しかしながら、電子工学が驚異的な発展を続けるなかで、電子機器の小型・軽量化、多機能化、高信頼化、低コスト化の要望がますます強まっており、かくして、ポリイミド材料の高性能化が強く要望されている。
【0003】
そこで、ポリイミド材料の高性能化を図って、このような要望に応えるために、層状粘土鉱物をホストとし、これにイオン性物質をインターカレートさせた層間化合物を分子レベルでポリイミド中に分散させた複合体が提案されている。例えば、特開平4−33955号公報や特開平11−349709号公報によれば、アルキルアンモニウムイオン等の有機オニウム塩をゲストとして層状粘土鉱物にインターカレートさせた層間化合物をポリイミド中に分散させて、ポリイミド複合体とすることが提案されている。しかし、このようなポリイミド複合体においては、層間化合物におけるゲストが低分子化合物である有機オニウム塩であるので、層間化合物を分散させたポリイミド複合体においても、耐熱性等の特性の改善が十分でなく、補強効果が満足できるものではない。そこで、有機オニウム塩のインターカレーション量を抑えると、層間化合物が完全層剥離するような複合体が得られないという問題がある。また、得られる複合体は、弾性率の向上はみられるものの、引張伸びや引張強さが著しく低下するという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、ポリイミド材料の高性能化における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、層状粘土鉱物にアルキルアンモニウムイオンをインターカレートしてなる層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量を所定値以下として、その存在下にポリイミドの原料モノマーであるジアミン成分と酸無水物成分とを反応させてポリアミド酸とし、これをイミド化させることによって、耐熱性にすぐれるのみならず、弾性率、伸び、強度等の機械的物性のバランスにすぐれるポリイミド複合体を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0005】
従って、本発明は、このように、耐熱性、機械的特性、ガスバリアー性、寸法安定性等にすぐれるポリイミド複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートした層間化合物の存在下、ポリイミドの原料モノマーであるジアミン成分と酸無水物成分を有機溶媒中で重合させて、上記層間化合物を分散させたポリアミド酸溶液を得る工程と、このポリアミド酸をイミド化させて、ポリイミド複合体を得る工程とからなるポリイミド複合体の製造方法において、上記層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量が500ppm以下であることを特徴とするポリイミド複合体の製造方法が提供される。
【0007】
更に、本発明によれば、このような方法によって製造されるポリイミド複合体が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によるポリイミド複合体の製造方法は、アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートした層間化合物の存在下、ポリイミドの原料モノマーであるジアミン成分と酸無水物成分を有機溶媒中で重合させて、上記層間化合物を分散させたポリアミド酸溶液を得る工程と、このポリアミド酸をイミド化させて、ポリイミド複合体を得る工程とからなるポリイミド複合体の製造方法において、上記層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量が500ppm以下であるものを用いるものである。
【0009】
アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートして層間化合物を得るには、例えば、層状粘土鉱物を適宜の溶剤中に分散させ、これに上記アルキルアンモニウムイオンの溶液、好ましくは、水溶液を加え、必要に応じて、加熱下に、混合、攪拌して、層状粘土鉱物の交換性陽イオン(代表的には、ナトリウムイオンやマグネシウムイオン)を上記アルキルアンモニウムイオンとイオン交換させる。次いで、このようにして得られた析出物を濾別し、洗浄、乾燥、解砕すれば、上記アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートしてなる層間化合物を粉末として得ることができる。
【0010】
本発明においては、上述したように、アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートする際、好ましくは、溶媒が用いられる。この溶媒としては、層状粘土鉱物の分散性がよい点から、水、アルコール等のプロトン性溶媒が好ましく用いられる。また、上記アルキルアンモニウムイオンも、上記水、アルコール等のプロトン性溶剤を用いて溶液として用いられる。
【0011】
上記アルキルアンモニウムとしては、主鎖が直鎖状又は分枝状の炭素鎖で構成されていることが好ましいが、主鎖の一部に環状構造を含んでいてもよい。
【0012】
しかし、本発明によれば、ポリイミド合成時に使用される有機溶剤の極性の点から、用いるアルキルアンモニウムイオンは、主鎖の炭素数が6〜18のものが好ましく、具体例として、例えば、ヘキシルアミンイオン、オクチルアミンイオン、デシルアミンイオン、ドデシルアミンイオン、テトラデシルアミンイオン、ヘキサデシルアミンイオン、オクタデシルアミンイオン等を挙げることができる。このようなアルキルアンモニウムイオンは、例えば、対応するアルキルアミンを溶液中、酸にてプロトン化して調製することができる。
【0013】
本発明において、上記アルキルアンモニウムイオンをゲストとして層間化合物を形成するためのホストとしての層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等を挙げることができるが、特に、スメクタイト系粘土鉱物が好ましく用いられ、これらのなかでも、交換性アルキルアルカリ金属イオンがナトリウムイオンである所謂ナトリウム型スメクタイト類がアルキルアンモニウムイオンによるイオン交換が容易であるところから、取り分け、好ましく用いられる。
【0014】
本発明によれば、これらの層状粘土鉱物の陽イオン交換量は、得られる層間化合物の溶剤又はポリイミドに対する親和性の点から、50〜200meq/100gの範囲にあることが好ましい。
【0015】
また、層状粘土鉱物の交換性陽イオンを上記アルキルアンモニウムイオンによってイオン交換するに際しては、層状粘土鉱物の陽イオン交換量と当量以上の上記アルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、このようにして、層間化合物を得るに際して、この層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量を500ppm以下とすることが必要である。ここに、得られる層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量を500ppm以下とする方法は、特に、限定されるものではないが、例えば、
(1)層状粘土鉱物の陽イオン交換量よりも過剰のアルキルアンモニウムイオンを用いて、層状粘土鉱物をイオン交換して、層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量を500ppm以下にする、
(2)層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量が500ppm以下となるまで、イオン交換の操作を複数回行う、
(3)イオン交換に際して、例えば、層状粘土鉱物に対して、より多くの分散媒(例えば、水)を用いる等、イオン交換時の層状粘土鉱物の濃度を調整する、
等の方法によることができる。
【0017】
粘土鉱物中のアルカリ金属イオンの定量方法も、特に、限定されるものではなく、通常の方法によればよいが、例えば、層間化合物をフッ酸のような強酸にて溶解し、中和、希釈した後、イオンクロマトグラフィー、IPC発光分析等によって定量することができる。
【0018】
本発明において用いる層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量が500ppmを越えるときは、層間化合物における層間の引き寄せ力が依然として強いために、層の分離、剥離が少なく、その結果として、目的とするすぐれた物性を有するポリイミド複合体を得ることができない。
【0019】
本発明によれば、このようにして、アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートして、層間化合物とし、その存在下に、有機溶媒中で、ポリイミドの原料モノマーであるジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを重合させて、ポリアミド酸溶液を得る。
【0020】
上記ポリアミド酸溶液の調製に用いる有機溶媒は、ポリイミド合成に一般的に用いられる非プロトン性の極性溶媒であればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジグライム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらに混合し得る溶媒ならば、その他の溶媒も併用することができる。
【0021】
ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮合反応によってポリアミド酸を得、これをイミド化反応(脱水反応)させることによって得られる樹脂であり、ここに、原料モノマーであるジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。他方、上記酸無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0022】
上記層間化合物の存在下にポリアミド酸溶液を得るには、先ず、ディスパー、超音波分散機等の適宜の分散手段を用いて、上記層間化合物を上記有機溶媒中に均一に分散させて分散物を調製する。この場合、用いる有機溶媒の沸点を越えない程度の加熱下に層間化合物を上記有機溶媒中に分散させるのが好ましい。
【0023】
次いで、このようにして調製した層間化合物の分散物を適宜の有機溶媒にて希釈した後、反応器に仕込み、これにポリイミドの原料であるジアミン成分を加えて、溶解させた後、更に、酸無水物成分を加えて、混合、攪拌して、上記ジアミン成分と酸無水物成分とを反応させ、かくして、層間化合物が均一に分散したポリアミド酸溶液を得ることができる。ここに、上記ジアミン成分と酸無水物成分との比率は、実質的に当量(等モル量)となるように調整される。
【0024】
本発明によれば、次いで、このようにして得られたポリアミド酸溶液からこのポリアミド酸をイミド化させて、ポリイミド複合体を得る工程である。上記ポリアミド酸からポリイミド複合体を得るには、例えば、上記ポリアミド酸溶液を加熱し、ポリアミド酸を脱水反応させて、イミド化する熱的方法と、ポリアミド酸溶液に脱水剤を加えて、ポリアミド酸をイミド化させる化学的方法のいずれによってもよい。
【0025】
上記熱的方法によるときは、イミド化が起こらない条件でポリアミド酸溶液から有機溶媒を乾燥により除去した後、通常、150〜400℃の温度範囲で適宜加熱処理を行うことによって、ポリアミド酸の脱水反応によるイミド化が進行して、ポリイミド複合体を得ることができる。他方、化学的方法によるときは、化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを含む溶液をポリアミド酸溶液に混合すればよい。上記脱水剤としては、例えば、無水酢酸、無水フタル酸等の脂肪族又は芳香族酸無水物が用いられる。また、上記触媒としては、例えば、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環第3級アミンが用いられる。
【0026】
本発明によれば、ポリイミド複合体における層間化合物の配合割合(含有量)は、通常、複合体の2〜7重量%の範囲であり、好ましくは、2〜5重量%の範囲である。層間化合物の配合割合が2重量%よりも少ないときは、得られるポリイミド複合体において、弾性率、線膨張係数、引張強度、透湿率等の改善効果に乏しく、他方、7重量%を超えるときは、複合体の脆化が著しく、伸びが大幅に低下するので、例えば、フィルムとしての取扱いが困難となる。
【0027】
一般に、層状粘土鉱物において、層間の正荷電を有するアルカリ金属イオンは、負の荷電を有するシリケート層を静電的な相互作用によって引き寄せて、層が分散、剥離するのを抑えている。ここに、本発明によるポリイミド複合体は、交換性アルカリ金属イオン量が500ppm以下である層間化合物の存在下にジアミン成分と酸無水物成分とを反応させてポリアミド酸を生成させ、このポリアミド酸をイミド化させてなるものであり、上記層間化合物における層間の引き寄せ力が低減した結果、シリケート層が完全に分散、剥離して、すぐれた物性を有するポリイミド、即ち、耐熱性すぐれるのみならず、弾性率、伸び、強度等の機械的物性のバランスにすぐれるポリイミド複合体を得ることができる。
【0028】
このような本発明の方法によって得られるポリイミド複合体には、目的に応じて、カーボン、酸化チタン、窒化ホウ素等の顔料成分、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加することができる。
【0029】
【実施例】
以下に比較例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF(交換性アルカリ金属イオンがナトリウムイオンであるモンモリロナイト、陽イオン交換容量119meq/100g、クニミネ工業(株)製)20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ドデシルアミン4.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌し、このようにして、イオン交換処理を行って、析出した固体を濾別した。
【0031】
このようにして得られたケーキ状固体を用いて、上記イオン交換処理を3回繰り返した後、得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が80ppmの粉末状の層間化合物を得た。この層間化合物3gをジメチルアセトアミド(DMAc)90g中、90℃で1時間攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0032】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物16.9g、DMAc16.9g及び4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)7.66gを均一に分散、溶解させた。これを攪拌機付きガラス製反応器に仕込み、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)8.34gを加え、室温で3時間重合させて、粘調なポリアミド酸溶液を得た。
【0033】
(ポリイミド複合体の調製)
アプリケーターを用いて、上記ポリアミド酸溶液をガラス基板上に手塗りし、これを乾燥機中、窒素気流下、100℃で1時間、次いで、150℃で1時間、この後、300℃で2時間、加熱乾燥させ、熱イミド化を行って、厚さ50μmのポリイミド複合体のフィルムを得た。
【0034】
比較例1
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ドデシルアミン4.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌した。
【0035】
析出した固体を濾別した後、温水で十分に洗浄した。得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が580ppmの粉末状の層間化合物を得た。この層間化合物3gをDMAc90g中、90℃で1時間攪拌して分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0036】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物を用いて、実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液を得た。
【0037】
(ポリイミド複合体)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0038】
比較例2
(ポリアミド酸溶液の調製)
DMAc150gにODA23.9gを溶解させ、これを攪拌機付きガラス製反応器に仕込んだ後、PMDA26.1gを加え、室温で3時間重合させて、粘調なポリアミド酸溶液を得た。
【0039】
(ポリアミド単体の調製)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
【0040】
実施例2
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF20gを蒸留水1200gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ドデシルアミン8.8g、濃塩酸4.8mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌し、イオン交換処理を行って、析出した固体を濾別した。
【0041】
このようにして得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が410ppmの粉末状の層間化合物を得た。この層間化合物3gをジメチルアセトアミド(DMAc)90g中、90℃で1時間攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0042】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物を用いて、実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液を得た。
【0043】
(ポリイミド複合体)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0044】
実施例3
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ヘキシルアミン2.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌し、このようにして、イオン交換処理を行って、析出した固体を濾別した。
【0045】
このようにして得られたケーキ状固体を用いて、上記イオン交換処理を3回繰り返した後、得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が80ppmである粉末状の層間化合物を得た。この層間化合物3gをDMAc90g中、90℃で1時間、攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0046】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物を用いて、実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液を得た。
【0047】
(ポリイミド複合体)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0048】
比較例3
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ヘキシルアミン2.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌し、このようにして、イオン交換処理を行った。
【0049】
析出した固体を濾別した後、温水で十分に洗浄した。得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が900ppmである粉末状の層間化合物を得た。
【0050】
この層間化合物3gをDMAc90g中、90℃で1時間、攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0051】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物を用いて、実施例1と同様にして、ポリアミド酸溶液を得た。
【0052】
(ポリイミド複合体)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0053】
実施例4
(層間化合物分散液の調製)
クニピアF20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、粘土分散液を調製した。別に、ドデシルアミン4.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記粘土分散液に加え、80℃で1時間攪拌し、このようにして、イオン交換処理を行って、析出した固体を濾別した。
【0054】
このようにして得られたケーキ状固体を用いて、上記イオン交換処理を3回繰り返した後、得られたケーキ状固体を凍結乾燥して水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が80ppmである粉末状の層間化合物を得た。この層間化合物3gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)90g中、90℃で1時間、攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0055】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物26g、NMP64.5g及びp−フェニレンジアミン(PDA)6.08gを均一に分散、溶解させ、これを攪拌機付きガラス製反応器に仕込み、次いで、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)16.54gを加え、室温で3時間重合させて、粘調なポリアミド酸溶液を得た。
【0056】
(ポリイミド複合体の調製)
アプリケーターを用いて、上記ポリアミド酸溶液をガラス基板上に手塗りし、これを乾燥機中、窒素気流下、100℃で1時間、150℃で1時間、次いで、300℃で2時間、加熱乾燥させ、熱イミド化を行って、厚さ50μmのポリイミド複合体フィルムを得た。
【0057】
比較例4
(層間化合物分散物の調製)
クニピアF20gを蒸留水400gに加え、攪拌、分散させて、分散液を調製した。別に、ドデシルアミン4.4g、濃塩酸2.4mL及び水100gを均一に混合し、これを上記分散液に加え、80℃で1時間攪拌した。析出した固体を濾別1た後、温水で十分に洗浄した。得られたケーキ状固体を凍結乾燥にて水分を除去した後、乳鉢で解砕して、ナトリウムイオン量が580ppmである粉末状の有機化粘土鉱物を得た。この有機化粘土鉱物3gをNMP90g中、90℃で1時間、攪拌、分散させて、ペースト状の層間化合物分散物を得た。
【0058】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物を用いて、実施例4と同様にして、ポリアミド酸溶液を得た。
【0059】
(ポリイミド複合体)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例4と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0060】
実施例5
(層間化合物分散物の調製)
実施例1と同様にして、層間化合物分散物を調製した。
(ポリアミド酸溶液の調製)
【0061】
上記層間化合物分散物37.6gとODA7.66gを均一に分散、溶解させ、これを攪拌機付きガラス製反応器に仕込み、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)8.34gを加え、室温で3時間重合させて、粘調なポリアミド酸溶液を得た。
【0062】
(ポリイミド複合体の調製)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0063】
比較例5
(層間化合物分散物の調製)
実施例1と同様にして、層間化合物分散物を調製した。
【0064】
(ポリアミド酸溶液の調製)
上記層間化合物分散物5.1gとDMAc28.7gとODA7.66gを均一に分散、溶解させ、これを攪拌機付きガラス製反応器に仕込み、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)8.34gを加え、室温で3時間重合させて、粘調なポリアミド酸溶液を得た。
【0065】
(ポリイミド複合体の調製)
上記ポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様にして、ポリイミド複合体フィルムを得た。
【0066】
上記実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたポリイミド(複合体)フィルムについて、以下のようにして、物性の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0067】
(貯蔵弾性率)
動的粘弾性スペクトルメーターDMS210(セイコー電子(株)製)を用い、引張モードで30〜480℃の範囲で温度分散を測定した。周波数は10Hzであり、昇温速度は5℃/分である。50℃と400℃における貯蔵弾性率をスペクトルから読み取った。
(ガラス転移温度)
動的粘弾性スペクトルメーターによりtanδの温度分散を測定し、その値の最大値を示す温度をガラス転移温度Tgとした。
(引張伸度及び引張強度)
ポリイミド(複合体)フィルムを短冊状(幅5mm、長さ50mm)に切り取り、テンシロンUTM−5000(東洋ボルドウィン(株)製)を用いて、温度22℃にて測定した。チャック間距離は50mm、引張速度は5mm/分とした。
【0068】
(線膨張係数)
TMA/SS100(セイコー電子(株)製)を用いて、TMA法により評価した。昇温速度20℃/分にて50〜250℃の温度範囲についての線膨張係数を評価した。
(透湿率)
透湿カップ法にて、温度60℃、湿度90%の恒温恒湿条件下での透湿係数を測定した。
(層間化合物中のナトリウムイオン量の定量)
層間化合物う塩酸とフッ酸との混合物を用いて分解し、中和、水希釈した後、IPC発光分析系にてナトリウムイオンを定量した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、層間化合物として、交換性アルカリ金属イオン量が500ppm以下であるものを用いることによって、従来のものに比べて、機械的特性、熱的特性、ガスバリアー性等にすぐれており、特に、伸びと破断強度にすぐれるポリイミド複合体を得ることができる。
Claims (3)
- アルキルアンモニウムイオンを層状粘土鉱物にインターカレートした層間化合物の存在下、ポリイミドの原料モノマーであるジアミン成分と酸無水物成分を有機溶媒中で重合させて、上記層間化合物を分散させたポリアミド酸溶液を得る工程と、このポリアミド酸をイミド化させて、ポリイミド複合体を得る工程とからなるポリイミド複合体の製造方法において、上記層間化合物の交換性アルカリ金属イオン量を500ppm以下とすると共に、得られるポリイミド複合体における上記層間化合物の含有量を2〜7重量%の範囲とすることを特徴とするポリイミド複合体の製造方法。
- 層状粘土鉱物がナトリウムイオンを交換性アルカリ金属イオンとするスメクタイト系粘土鉱物である請求項1に記載のポリイミド複合体の製造方法。
- 請求項1又は2の方法によって製造されるポリイミド複合体。
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