JP4737805B2 - 止血材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は止血材に関するものであり、更に詳しくは外傷に伴う出血、術中あるいは術後の出血、骨性出血、抜歯後出血に利用可能な止血材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、外科施術等の出血を止血するものとして、薬剤を中心にして多くのものが商品として使用されている。 その中で出血箇所に止血材を押し当てることにより止血を行う止血材として、塩酸化コラーゲン、塩酸化キチンなどが用いられてきた。
塩酸化コラーゲンは、牛の真皮から無機物などを除去した後、精製して得られたコラーゲン繊維の非水溶性部を塩酸化することで得られる。そして、塩酸化コラーゲンは、血小板を活性化する作用があるので、活性化した血小板が凝集塊をつくって血小板栓子を形成することにより止血する。
【0003】
また、塩酸化キチンは、キチンを塩酸処理後、凍結乾燥することにより得ることができる繊維性の材質である。この塩酸化キチンは、血小板を活性化するとともに、血小板第4因子やβ-スロンボグロビンの凝固因子を放出して血小板が凝集塊をつくって血小板栓子を形成する作用を促進することにより止血する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の止血材のうち、塩酸化コラーゲンを用いたものは、コラーゲンが牛、豚から作製された異種蛋白質である為、止血材が生体内部に残留した場合に、人体内で免疫反応を引き起こす可能性がある。また、生体内での分解吸収性が遅く、縫合面から細菌が侵入した場合には細菌繁殖の場になる危険性がある。従って、止血後、出血箇所に付着した止血材を完全に除去する必要がある。
また、塩酸化キチンは膨潤度(水中への浸漬前後の長さの比)が約2と高い為、神経近傍に使用した場合に膨潤により神経を圧迫する危険性がある。加えて、この材料が生体内に残存した場合、炎症反応や無菌性膿瘍を発生させてしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、迅速な止血が要求される外科的施術における優れた止血効果を達成するとともに、膨潤度が低くて神経近傍に使用しても神経を圧迫することがなく、また、止血後生体内に残存させても速やかに分解・吸収され、人体に害を与えることがない安全な止血材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意検討の結果、脱アセチル化した特定種類のキチン誘導体は、血小板を活性化して止血する作用が大きいとともに、膨潤度が低く、しかも生体内での分解・吸収性及び安全性に優れることを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の止血材は、カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基とする脱アセチル化されたキチン誘導体のスポンジ状の多孔体から成ることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基としたキチンの誘導体によって、血小板を活性化させて効果的に止血するとともに、このような材料は多孔体であって血液を吸収・貯留することが可能で、多量の出血箇所であっても、この貯留した血液の血小板を活性化することで迅速に止血を行うことができる。また、上記キチンの誘導体は、膨潤度が低いので神経近傍に使用しても神経を圧迫することがなく、また、止血後、生体内に残存させても速やかに分解・吸収され、人体に害を与えることがない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
本発明の止血材は、カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基とする脱アセチル化されたキチン誘導体から構成される。このキチン誘導体は、多孔体であり、80〜95%程度の気孔率、数μm〜300μm程度の平均孔径を有するものである。
【0010】
上記キチン誘導体の多孔体からなる止血材は、スポンジ状で、容易に変形させることができ、はさみで切り出したり、指先で変形させることにより容易にその形状を止血部位の形状に適合させることができる。また、血液を吸収する際に、若干膨潤するので、上記形状適合が良好である。膨潤度は、水中への浸漬前後の長さの比で定義することができ、上記止血材の膨潤度は概ね1.1〜1.5である。この程度の膨潤度では、神経近傍に使用しても神経を圧迫するおそれはない。なお、仮に、膨潤度が1.1未満となった場合には、そのような止血材は、血液を吸収する量が少なく、十分な止血作用を発揮できないおそれがある。他方、膨潤度が1.5を超えると、血液を吸収した際の機械的強度が著しく低くなり、すぐに崩壊して、止血部位より脱落してしまうおそれがある。
【0011】
上記止血材は、また、生体内、例えば骨内での分解時間が約4週間程で早期に分解代謝され、その際、生体に対して何等危害を加えない安全なものである。
【0012】
また、上記止血材は、多孔体からなることから、トロンビン、フィブリン等の血液凝固剤を孔内に充填保持することにより止血能を向上させることが可能である。
【0013】
さらに、上記止血材は、脱アセチル化工程によりキトサンを含有しているので、白血球やマイクロファージを活性化させ、出血部の化膿を防ぐことができ、さらに、かかるキトサン含有の止血材は鎮痛作用を有する。
【0014】
前記キチン誘導体の脱アセチル化度は0.2〜0.9の範囲内であることが好ましい。脱アセチル化度が0.2以下では止血能が低下し、また、脱アセチル化度が0.9を超えると、止血能が低下するとともに、血液を吸収した際の機械的強度が著しく低くなり、崩壊して、止血部位より脱落してしまう恐れがある。ここで、脱アセチル化度とは、キチン1分子当たり、脱アセチル化している割合と定義される。脱アセチル化度の測定方法としてはコロイド滴定による法がある。かかる止血材は、図1に示す手順により得ることができる。すなわち、まず、原料からキチンを得る。得られたキチンを脱アセチル化してキトサンを含むキチンとし、さらにカルボキシルメチル基を付与する(以下、CM化という)工程、及び/またはリン酸基を付与する(以下、リン酸化という)工程を経てキチンの誘導体とする。そして、このキチン誘導体を水溶液に溶解し、これを凍結乾燥することでキチン誘導体の多孔体を得る。この際、凍結乾燥前または後に架橋処理を施す。熱架橋の場合には、凍結乾燥後に架橋処理を施し、他方、化学薬剤を用いた架橋の場合には、凍結乾燥前に架橋処理を施す。概略このようにして、本発明の止血材を作製することができる。なお、キチンおよび脱アセチル化によりキトサンを含むキチンは市販のものを適宜用いても良い。
【0015】
具体的な製造方法は次のとおりである。まず、甲殻類、または甲虫類などの外骨格を塩酸処理、NaOH処理することで無機物を除去し、脱ダンパク化することによってキチン、すなわちポリ−アセチル−Dグルコサミンを得る。
ポリ−アセチル−Dグルコサミンのアセチルアミノ基を脱アセチル化することでキトサンを含んだキチンを得ることができる。脱アセチル化方法としては、キチンをNaOH溶液に溶解し、反応後塩酸にてPH調製する。この脱アセチル工程で得られるキトサンの一部は、後工程を経ても、キトサンのまま材料中に残留する。
【0016】
ポリ−アセチル−DグルコサミンのCH OH基をカルボキシルメチル基に置換し(CM化)、カルボキシル基を官能基としたキチン誘導体(以下、CMキチン誘導体という)を得ることができる。具体的にはキチンをCM化するには、キチンを水酸化ナトリウム水溶液で分散させ、ゲル状のアルカリキチンを作製する。そして、これを低温(−20℃程度)で静置後、プロパノールを加えて粉砕する。この粉砕物を攪拌しながら、モノクロロ酢酸を中和するまで加え、その生成物を洗浄する。これによりCMキチン誘導体を得ることができる。
【0017】
また、ポリ−アセチル−DグルコサミンのCH OH基をリン酸基に置換(リン酸化)することでリン酸基を官能基としたキチン誘導体(以下、リン酸キチン誘導体という)を得ることができる。キチンをリン酸化するには、キチンをメタスルホン酸に加え、更に五酸化二リンを加えて攪拌する。得られた混合物を低温(−20℃程度)に静置し、これにエーテルを加えて沈殿させる。この生成物をアセトン、エーテルによって洗浄する。このようにしてリン酸キチン誘導体を得ることができる。
【0018】
また、リン酸基およびカルボキシルメチル基の両方を官能基とするキチン誘導体は、上記リン酸化工程をおこなってから、さらにCM化工程を行うことで得ることができる。
【0019】
以上のようにして得られたキチン誘導体、すなわち、カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基とする脱アセチル化したキチン誘導体の粉末を水溶液に溶解し、その水溶液を凍結乾燥することで多孔体を得ることができる。水溶液の最大濃度は、CMキチン誘導体の場合に約5wt%、リン酸キチン誘導体の場合に約10wt%とする。この際、容器の大きさや形状を変えることで、所望の大きさ、形状の多孔体とすることができる。
【0020】
なお、前記キチン誘導体のCM化度およびリン酸化度は合計で0.3〜1.0の範囲であることが好ましい。CM化度およびリン酸化度が0.3未満の場合、水に溶解し難く、また止血能が低下する傾向があり、他方、1.0を超えると、止血能が低下するとともに、水溶性が高くなって血液を吸収した際の機械的強度が著しく低くなり、崩壊して、止血部位より脱落してしまう恐れがある。
【0021】
ここで、CM化度、リン酸化度とはキチン1分子当たり、CH OH基がカルボキシルメチル基、リン酸基に置換している割合として定義される。CM化度についてはキチン誘導体に含まれる炭素,窒素の含有量を元素分析にて測定し、1/2×[(C/Nモル比)8]にて、リン酸化度についてはキチン誘導体に含まれる炭素、リンの含有量を元素分析にて測定し、7×(P/Cモル比)により求める。
【0022】
前述の架橋について、熱架橋は、120℃〜160℃の温度、約24時間、大気炉中で行うことができる。
【0023】
また、化学薬剤による架橋の場合、架橋剤としてエポキシ化合物を用いることができる。上記エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等、エポキシ基を分子内に2ヶ以上導入した化合物が使用可能である。
【0024】
ところで、上記多孔体は凍結の方法により、平均孔径や気孔率を調整することが可能である。その例を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004737805
【0026】
表1から明らかなように、CMキチン誘導体、リン酸キチン誘導体の両方について、液体窒素による凍結、ドライアイスによる凍結、エタノール冷媒による凍結、−10℃の大気中での凍結の順(No.1〜4、5〜8の順)に平均孔径と気孔率が大きくなっていく。
【0027】
また、上記多孔体は熱架橋時の温度或いは架橋剤として用いる化学薬剤の量によって膨潤度を調整することが可能である。その例を表2に示す。なお、架橋剤はエポキシ系架橋剤のデコナールを用いた。
【0028】
【表2】
Figure 0004737805
【0029】
表2から明らかなように、CMキチン誘導体、リン酸キチン誘導体の両方について、熱架橋処理を行う場合は温度が高いほど膨潤度が低くなり、また、化学薬剤を用いた架橋を行う場合は、薬剤の添加量が多いほど膨潤度が低くなる。
【0030】
次に、本発明の具体的な実施例、および比較例についての説明、並びに、これら実施例品、比較例品を用いた実験例の説明、そして、実験の結果について説明する。
【0031】
【実施例】
実施例1
8段階の脱アセチル化度、0.18,0.2,0.22,0.25,0.5,0.55,0.87,0.95のキチン10gをそれぞれ95,90,80,40,20%水酸化ナトリウム水溶液40mlに分散させ、ゲル状のアルカリキチンを得た。このアルカリキチンに2−プロパノールを加えながらこれを粉砕した。さらに、この粉砕物に対して反応が中和されるまでモノクロロ酢酸を加えた。この生成物を濾過、洗浄し、アセトン中に注いでCMキチン誘導体からなる止血材を得た。CMキチン誘導体のCM化度は、キチンの脱アセチル化度の大小に関わらず、水酸化ナトリウムの濃度によって決まった。その関係を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0004737805
【0033】
表3から明らかなように、水酸化ナトリウムの濃度が高いほど、CM化度が高い結果となった。また、脱アセチル化度は上述のCM化工程の前後で変化がなかった。
【0034】
以上のようにして、8段階の脱アセチル化度と5段階のCM化度の組み合わせによる40種類のCMキチン誘導体を得た。
【0035】
これらCMキチン誘導体にて5wt%の水溶液を作製し、ドライアイスにて凍結乾燥し、平均孔径100μ,気孔率90%の多孔体を作製後、140℃×24時間の熱処理により膨潤度1.4の止血材を得た。
【0036】
実施例2
8段階の脱アセチル化度0.18,0.2,0.22,0.25,0.5,0.55,0.87,0.95のキチン2gをそれぞれメタスルホン酸14mlに加え、さらに5段階の量の五酸化二リンをそれぞれ加え、攪拌した。静置後これにエーテルを加え、沈殿を生じさせ、その沈殿物を洗浄した後、脱イオン水で透析し、アセトンにて洗浄を行った。このようにしてリン酸キチン誘導体を得た。リン酸キチン誘導体のリン酸化度は、キチンの脱アセチル化度の大小に関わらず、五酸化二リンの添加量によって決まった。その関係を表4に示す。
【0037】
【表4】
Figure 0004737805
【0038】
表4から明らかなように、五酸化二リンの添加量が多いほど、リン酸化度が高い結果となった。また、脱アセチル化度は上述のリン酸化工程の前後で変化がなかった。
【0039】
以上のようにして、8段階の脱アセチル化度と5段階のリン酸化度の組み合わせによる40種類のリン酸キチン誘導体を得た。
【0040】
これらリン酸キチン誘導体にて10wt%の水溶液を作製し、リン酸キチン誘導体の重量に対して、5wt%のエポキシ系架橋剤(デコナール)を加えた。そして、ドライアイスにて凍結乾燥し、平均孔径80μm,気孔率90%の多孔体からなる膨潤度1.2の止血材を得た。
【比較例】
比較例1
塩化リチウム7wt%含んだジメチルアセトアミド溶液にキチンを溶解し、ノズルから熱水中に押しして凝固させ、繊維を作製した。この繊維を短繊維にカットし、NaOH処理にて中和し、これを綿状体に作製した。さらに、この綿状体を塩酸に浸漬後、洗浄し、塩酸化キチンの止血材を作製して比較例1品とした。なお、このようにして作製された塩酸化キチンの止血材の脱アセチル化度0.1であった。
比較例2
市販されている繊維性の塩酸化コラーゲンを綿状体に作製して比較例2品の止血材とした。
【0041】
【実験例】
実験例1(イヌを用いた止血実験)
イヌ大腿骨幹端部(海綿骨)に径5.5mmで深さ4mmまで穿孔した。そして、各止血材50mgを穿孔箇所に充填後、5秒間、圧迫止血してからこれを抜き出した。同じ箇所にポリウレタン製スポンジを5分間充填して、このポリウレタン製スポンジが吸収した血液の量を測定した。
実験例2(最大血液吸収量実験)
ロート上に各止血材200mgを置き、クエン酸を加えたイヌ新鮮血液を滴下し最初の滴がロートの先端から落ちる時までに滴下した量を最大血液吸収量とした。
実験例3(家兎を用いた止血実験)
家兎大腿骨内側顆に径8mmの円筒状の欠損を形成した。欠損部分表面の血液を除去した後、各止血材を欠損穴内に挿入し、その上から軽く止血材をガーゼで押さえて、圧迫止血を行った。完全に止血するまでの所要時間を測定した。
【0042】
【実験結果】
実験例1(イヌを用いた止血実験)の結果を表5、表6に示す。表5はCMキチン誘導体の止血材の結果を示し、表6はリン酸キチン誘導体の止血材の結果を示す。なお、比較例品、実施例品ともに5分以内に完全に止血することができた。
【0043】
【表5】
Figure 0004737805
【0044】
【表6】
Figure 0004737805
【0045】
比較例1品、比較例2品ともに血液吸収量が150mgであったのに対して、表5、表6から明らかなように、実施例品では脱アセチル化度が0.2〜0.87、且つCM化度が0.33〜0.95の領域あるいはリン酸化度が0.35〜0.98の領域で血液吸収量が比較例品以下で、出血量がそれほど多量でない出血部位において止血材を出血部位に短時間押し当てるだけで優れた止血作用を奏した。
【0046】
次に実験例2(最大血液吸収量実験)の結果を表7、表8に示す。表7はCMキチン誘導体の止血材の結果を示し、表8はリン酸キチン誘導体の止血材の結果を示す。
【0047】
【表7】
Figure 0004737805
【0048】
【表8】
Figure 0004737805
【0049】
比較例1品の塩酸化キチンの最大血液吸収量は3000mgで、比較例2品の塩酸化コラーゲンが1000mgであったが、これら表7、表8から明らかなように本実施例品の最大血液吸収量は全て塩酸化コラーゲンの最大血液吸収量の2倍の2000mgよりも多い結果であった。特に、脱アセチル化度が0.2〜0.95で且つCM化度が0.78〜0.95或いはリン酸化度が0.5〜0.98の領域では、上記比較例1品の塩酸化キチンとほぼ同等以上、すなわち、2900mg以上の最大血液吸収量を示した。このように、実施例品は多量の血液を貯留するので、効率的に止血作用を奏することができる。
【0050】
続いて、実験例3 (家兎を用いた止血実験)の結果を表9、表10に示す。表9はCMキチン誘導体の止血材の結果を示し、表10はリン酸キチン誘導体の止血材の結果を示す。
【0051】
【表9】
Figure 0004737805
【0052】
【表10】
Figure 0004737805
【0053】
比較例1品の塩酸化キチンの止血時間が3.5分、比較例2品の塩酸化コラーゲンの止血時間が4分であったのに対して、本実施例品は悪くても、4.5分と比較例2品と大差がなかった。特に、脱アセチル化度が0.25〜0.55の場合は、いずれのCM化度或いはリン酸化度の場合でも塩酸化キチンの止血時間3.5分よりも短時間で止血した。この結果から本実施例品は、多量の出血の患部であっても止血材を出血部に適用し続けることで効果的に止血を行うことができることが判った。
【0054】
これらの結果から、総合的に本発明の止血材は脱アセチル化度が0.2〜0.9、且つCM化度が0.3〜1.0およびリン酸化度が0.3〜1.0の範囲が好ましい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明の止血材によれば、カルボキシルメチル基および/またはリン酸基の官能基を有する脱アセチル化されたキチンの誘導体によって、血小板を活性化することで迅速に止血を行うことができる。また、上記キチンの誘導体は、膨潤度が低くて神経近傍に使用しても神経を圧迫することがなく、また、止血後生体内に残存させても速やかに分解・吸収され、人体に害を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の止血材を製造する手順を説明するフローチャートである。

Claims (4)

  1. カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基とする脱アセチル化されたキチン誘導体のスポンジ状の多孔体から成る止血材。
  2. 上記多孔体の平均孔径が、5μm〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の止血材。
  3. 上記キチン誘導体のカルボキシルメチル化度およびリン酸化度の合計が0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の止血材。
  4. カルボキシルメチル基および/またはリン酸基を官能基とする脱アセチル化されたキチン誘導体から成る止血材であって、前記キチン誘導体のカルボキシルメチル化度およびリン酸化度の合計が0.3〜1.0であることを特徴とする止血材。
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