JP4728843B2 - 水素供給方法 - Google Patents

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本発明は、水素の輸送及び貯蔵のための媒体として水溶性有機化合物水溶液を用いる水素供給方法に関し、特に、原理的に輸送中及び貯蔵中における水素の損失がなく、また、高エネルギー密度での水素の輸送と貯蔵とが可能であって水素の長距離輸送や長期間貯蔵に適するとともに、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とすることができる水素供給方法に関する。
近年、水素を燃料とする燃料電池やコジェネレーションシステムについての開発が進んでいる。例えば、水素を燃料とする燃料電池を用いる電気自動車(水素燃料電池自動車)が公道を走行するようになってきている。さらには、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話機などの携帯機器において、水素を燃料とする燃料電池を電源として用いることが検討されている。水素燃料電池自動車の普及のためには、現在のガソリン自動車やディーゼル自動車に対してガソリンスタンドで燃料を供給するように、水素燃料電池自動車に対して簡便に水素を供給する水素供給方法を確立する必要がある。そこで、水素燃料電池自動車あるいは水素を燃料とするコジェネレーションシステムに代表される水素消費機器に対してどのように水素を供給するかについての検討が進められている。
水素供給方法の一形態として、オフサイトで水素を製造し、すなわち、水素供給場所以外の場所で水素を製造し、製造された水素を高圧水素(気体)または液体水素の形で水素の消費サイトまで輸送して貯蔵設備に貯蔵した後に水素消費機器に供給する水素供給方法が、非特許文献1、2に開示されている。この形態の水素供給方法は、化学プラントなどで発生する副生水素を利用することを念頭に置いているので、水素製造時に発生する地球温暖化排出ガスである二酸化炭素を水素の製造サイトで一括回収できるという利点を有する。しかしながら、水素の製造サイトから水素の消費サイトまでパイプラインを敷設して水素を輸送する場合を除いて、特に気体の場合にエネルギー密度の低い燃料である水素をタンクローリーで水素の製造サイトから水素の消費サイトまで輸送する必要があり、輸送に伴うエネルギー損失が大きいという問題点を有する。液体水素は、高圧水素よりもエネルギー密度は高いものの、輸送や取り扱いに極低温を必要とし、極めて取り扱いが煩雑であり、輸送及び貯蔵コストが高くなる。さらに、液体状態の水素が蒸発することによる水素の損失も無視できない。なお、水素輸送のためのパイプラインの敷設には莫大なコストがかかるため、水素消費量があまり多くない現状では、オフサイトで水素を製造しパイプラインで水素の消費サイトまで輸送する水素供給方法は、経済性の面で現実的ではない。
また、従来の水素供給方法の他の一形態として、水素の消費サイト、すなわち、オンサイトで、脱硫ガソリン、液化石油ガス(LPガス)、天然ガス(都市ガス)、メタノール、ナフサ等の燃料を改質することによって水素を製造し、製造された水素を貯蔵または加圧・貯蔵した後に水素消費機器に供給する水素供給方法が、非特許文献3〜7にそれぞれ開示されている。これらの燃料のうち、天然ガスは、メタンを主成分とするものであって都市ガスとして広く用いられており、このため天然ガスを輸送するパイプラインも普及しているので、容易にパイプラインで供給可能である。液化石油ガスは、常温においてせいぜい0.8MPa程度の圧力で液体となり、また、その他の燃料は、常温、常圧で液体であり、これらはいずれも水素と比較してエネルギー密度が高いため、タンクローリーで輸送してもエネルギー損失を小さく抑えることが可能である。オンサイトで燃料を改質して水素を製造するこれらの水素供給方法は、水素の消費サイトで効率的に水素を製造することが可能であるが、燃料を改質することによって生成する二酸化炭素、水蒸気等を含む改質ガスからの水素の分離と加圧が必要であり、多くのエネルギーを消費するという問題点を有する。また、改質ガスから水素を分離した後の二酸化炭素、水蒸気、水素等を含む排ガスを空気と燃焼させて燃料の改質に必要な熱を得るため、二酸化炭素を含む燃焼排出ガス中には多量の窒素が含まれており、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素を分離回収しようとすると、大規模な二酸化炭素の分離回収装置が必要で、二酸化炭素の分離回収に多くのエネルギーを消費するという問題点もある。
さらに、回収した二酸化炭素をそのままにしておくわけにはいかず、例えば、地中や深海に投棄するする必要があるが、このように、従来の水素供給方法では、回収した二酸化炭素の処理が別途必要となり、そのための処理コストも必要である。
広谷 龍一、"オフサイト方式水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、25〜29頁(2004)、日本工業出版 橋本 辰彦、"液体水素貯蔵水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、30〜34頁(2004)、日本工業出版 服部 禎之、"脱硫ガソリン改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、20〜24頁(2004)、日本工業出版 吉田 博貴、"千住水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、22〜26頁(2004)、日本工業出版 森 哲哉 他、"天然ガス改質水素ステーション(WE−NET)"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、27〜31頁(2004)、日本工業出版 真鍋 岳史、"メタノール改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、32〜36頁(2004)、日本工業出版 池松 正樹、"ナフサ改質水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、37〜40頁(2004)、日本工業出版
前述したように、水素ガスや液体水素による従来の水素供給方法では、輸送中及び貯蔵中における水素の損失があるほか、輸送や貯蔵される水素のエネルギー密度が小さいので、輸送や貯蔵にコストがかかるという問題点がある。一方、炭化水素などの改質によってオンサイトで水素を供給する方法では、二酸化炭素の回収を効率的に行うことが難しいという問題点がある。さらに、これらの従来の水素供給方法では、水素製造のために二酸化炭素が副生するが、副生した二酸化炭素をどのように処分するかという、根本的な問題も抱えている。
そこで、本発明の目的は、原理的に輸送中及び貯蔵中における水素の損失がなく、また、高エネルギー密度での水素の輸送と貯蔵とが可能であって水素の長距離輸送や長期間貯蔵に適するとともに、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とすることができる水素供給方法を提供することにある。
本発明の水素供給方法は、水素の輸送及び貯蔵のための媒体として水溶性有機化合物水溶液を使用し、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とする水素供給方法において、所定のエネルギー源から得た電力によって水の電気分解を行い、水素と酸素とを分離して生成させる水電解工程と、回収二酸化炭素と水電解工程で得られた水素から水溶性有機化合物を合成する水溶性有機化合物合成工程と、水溶性有機化合物合成工程で合成された水溶性有機化合物と水とを混合して所定の濃度の水溶性有機化合物水溶液を調製する水溶性有機化合物水溶液調製工程と、所定のエネルギー源から得た電力によって、水溶性有機化合物水溶液調製工程で調製した水溶性有機化合物水溶液の電気分解を行い、水素と二酸化炭素とを分離して生成させる水溶性有機化合物水溶液電解工程と、水溶性有機化合物水溶液電解工程で生成させた二酸化炭素を回収し、回収された二酸化炭素を回収二酸化炭素として水溶性有機化合物合成工程に供給する二酸化炭素回収工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、水溶性有機化合物合成工程と水溶性有機化合物水溶液調製工程とを設けず、その代わり、回収二酸化炭素と水電解工程で得られた前記水素から水溶性有機化合物水溶液を合成する水溶性有機化合物水溶液合成工程を設け、水溶性有機化合物水溶液電解工程では、水溶性有機化合物水溶液合成工程で合成された水溶性有機化合物水溶液が電気分解されるようにしてもよい。
本発明において、水溶性有機化合物は、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
本発明では、水溶性有機化合物水溶液電解工程で生成した水素を水素の供給先に供給する工程をさらに設けてもよい。水素の供給先とは、典型的には水素を消費する機器、例えば、水素燃料電池自動車、水素を燃料とする燃料電池を有する各種の携帯機器、さらには、水素を燃料とするコジェネレーションシステムである。
水溶性有機化合物の水溶液を水素の貯蔵及び輸送のための媒体とすることにより、原理的に輸送中及び貯蔵中における水素の損失がなく、また、高エネルギー密度での水素の輸送と貯蔵とが可能であって、特に水素の長距離輸送や長期間貯蔵ができるようになる。さらに、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とすることができ、二酸化炭素の放出による地球温暖化を防止することができるとともに、二酸化炭素の処分のための手間やコストを削減することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の水素供給方法を示す工程図である。
本実施形態の水素供給方法では、まず、特定のサイトで得られる太陽光、風力、波力、海洋温度差、水力、地熱等の再生可能な自然エネルギーを利用して発電した電力や、原子力を利用して発電した電力を利用して、水電解工程1において、水の電気分解を行い、水素と酸素とを生成させる。これらの電力は、発電過程で二酸化炭素の発生を伴わないので、地球温暖化の防止に有効である。
次に、水溶性有機化合物合成工程2において、水電解工程1で生成させた水素と後述する回収二酸化炭素とを反応させて、水溶性有機化合物を合成するとともに、必要に応じて水溶性有機化合物を分離する。本実施形態の水素供給方法では、この水溶性有機化合物の水溶液が、水素供給先に対して水素を供給する際に、水素の貯蔵及び輸送のための媒体として使用されることになる。
水溶性有機化合物としてメタノール(CH3OH)を用いる場合には、水溶性有機化合物合成工程2では、(1)式に示す発熱反応により、水素と回収二酸化炭素からメタノールと水とを生成させる。
3H2+CO2 → CH3OH+H2O (1)
生成させたメタノールは、水を分離して高濃度メタノールの形で次の水溶性有機化合物水溶液調製工程3に供給してもよいし、そのままメタノール水溶液の形で次の水溶性有機化合物水溶液調製工程3に供給してもよい。
3番目の工程である水溶性有機化合物水溶液調製工程3では、次の水溶性有機化合物合成工程2で合成された水溶性有機化合物、もしくは、次の水溶性有機化合物合成工程2でメタノールのように水溶液の形で合成されたものは水溶性有機化合物水溶液を、水と混合することにより、水溶性有機化合物水溶液における水溶性有機化合物の濃度を所定の濃度に調製する。この水溶性有機化合物水溶液調製工程3で水溶性有機化合物の濃度が調製された水溶性有機化合物水溶液を水素の消費サイトに輸送し、貯蔵する。
4番目の水溶性有機化合物水溶液電解工程4では、前述した水素の消費サイトに輸送して貯蔵された水溶性有機化合物水溶液を、深夜電力等を用いて電気分解し、水素と二酸化炭素とを分離して生成させる。水溶性有機化合物にメタノールを用いた場合には、水溶性有機化合物水溶液電解工程4において、(2)式と(3)式に示す電気化学反応により、水素と二酸化炭素とが分離して生成する。
CH3OH+H2O → CO2 +6H++6e- (2)
6H++6e- → 3H2 (3)
(2)式はアノードでの反応であり、(3)式はカソードでの反応である。メタノール水溶液の電気分解反応は、(2)式と(3)式とをまとめたものであって、(4)式に示すような、メタノールと水が反応して二酸化炭素と水素が生成する反応となる。
CH3OH+H2O → CO2+3H2 (4)
メタノール水溶液の電気分解の電解電圧は、図2に示すように、水の電気分解の電解電圧の30〜42%である。電解電力は電解電圧によって決まるので、同じモル数の水素を得るために必要な電解電力を考えると、メタノール水溶液の電気分解の場合の電解電力は、水の電気分解の場合の電解電力の30〜42%である。したがって、本実施形態の水素供給方法では、消費エネルギーの増加に伴うエネルギーコストの上昇を招くことはない。なお、図2は、メタノール水溶液の電気分解及び水の電気分解を行った場合の電解電圧と電解電流の関係を表したものである。メタノール水溶液の濃度は17mol/l(メタノールと水のモル比が1:1)とした。図3に示すように、メタノール水溶液の電気分解では、電解電流に見合った理論生成速度で水素が生成することを確認した。
水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた水素は、水素消費機器に供給されて消費される。一方、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた二酸化炭素は、二酸化炭素回収工程5に供給される。
5番目の工程である二酸化炭素回収工程5では、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた二酸化炭素を回収し、回収二酸化炭素として水溶性有機化合物合成工程2に供給する。回収二酸化炭素は、前述したように水溶性有機化合物合成工程2において、水電解工程1で生成させた水素と反応させて水溶性有機化合物を合成するために使用される。
本実施形態によれば、メタノール水溶液等の水溶性有機化合物水溶液の形態で、水素を水素の生成サイトから水素の消費サイトに輸送することができ、水素をそのまま水素の消費サイトに輸送する場合と比べ、高エネルギー密度での水素輸送と水素貯蔵とが可能になる。したがって、本実施形態の水素供給方法は、水素の長距離輸送や長期間貯蔵に適している。
また、水素の消費サイトでの水溶性有機化合物水溶液電解工程4では、従来の水の電気分解と比較して、低電力で水溶性有機化合物水溶液から水素と二酸化炭素とを分離して生成させることが可能である。このため、本実施形態によれば、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた水素を容易に水素消費機器に供給することができるとともに、生成した二酸化炭素を回収し、水素の生成サイトに輸送して水素と再び反応させることで、水溶性有機化合物を生成させるのに利用することができる。その結果、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とすることが可能で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の系外への放出を抑制することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の水素供給方法について、図4を用いて説明する。第2の実施形態の水素供給方法は、図1に示した第1の実施形態の水素供給方法と同様のものであるが、水溶性有機化合物水溶液調製工程が設けられていない点で、第1の実施形態の方法と異なっている。
まず、水電解工程1において、特定のサイトで得られる太陽光、風力、波力、海洋温度差、水力、地熱等の再生可能な自然エネルギーを利用して発電した電力や、原子力を利用して発電した電力を利用して、水の電気分解を行い、水素と酸素とを生成させる。これらの電力は、発電過程で二酸化炭素の発生を伴わないので、地球温暖化の防止に有効である。
次に、水溶性有機化合物水溶液合成工程6において、水電解工程1で生成させた水素と後述する回収二酸化炭素とを反応させて、第1の実施形態においてメタノールを水溶性有機化合物として用いた場合と同様に、水溶性有機化合物水溶液を合成する。この水溶性有機化合物水溶液合成工程6で合成された水溶性有機化合物水溶液を水素の消費サイトに輸送し、貯蔵する。
3番目の水溶性有機化合物水溶液電解工程4では、前述した水素の消費サイトに輸送して貯蔵された水溶性有機化合物水溶液を、深夜電力等を用いて電気分解し、水素と二酸化炭素とを分離して生成させる。水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた水素は、水素消費機器に供給されて消費される。一方、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた二酸化炭素は、二酸化炭素回収工程5に供給される。
4番目の工程である二酸化炭素回収工程5では、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成した二酸化炭素を回収し、回収二酸化炭素として水溶性有機化合物水溶液合成工程6に供給する。回収二酸化炭素は、前述したように水溶性有機化合物水溶液合成工程6において、水電解工程1で生成させた水素と反応させて水溶性有機化合物を合成するために使用される。
本実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様に、メタノール水溶液等の水溶性有機化合物水溶液の形態で、水素を水素の生成サイトから水素の消費サイトに輸送することができ、水素をそのまま水素の消費サイトに輸送する場合と比べ、高エネルギー密度での水素輸送と水素貯蔵とが可能になる。したがって、本実施形態の水素供給方法は、水素の長距離輸送や長期間貯蔵に適している。また、水素の消費サイトでの水溶性有機化合物水溶液電解工程4では、従来の水の電気分解と比較して、低電力で水溶性有機化合物水溶液から水素と二酸化炭素とを分離して生成させることが可能である。このため、本実施形態によれば、水溶性有機化合物水溶液電解工程4で生成させた水素を容易に水素消費機器に供給することができるとともに、生成させた二酸化炭素を回収し、水素の生成サイトに輸送して水素と再び反応させることで、水溶性有機化合物水溶液を合成するのに利用することができる。その結果、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とすることが可能で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の系外への放出を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態の水素供給方法について説明したが、本発明に係る水素供給方法においては、水素を輸送し貯蔵するための媒体として、メタノール水溶液の代わりに、他の水溶液有機化合物の水溶液を用いることもできる。本発明に用いられる水溶性有機化合物としては、水溶性を有する有機化合物であれば特に限定されるものではないが、中でも水に対して任意の割合で溶解する有機化合物が好ましい。また、構成元素が、水素、炭素、及び所望により酸素である有機化合物が好ましい。具体的に本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、水溶性を有するアルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル(環状エーテルを含む)、もしくはアルデヒド、またはそれらの誘導体などが挙げられる。アルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル、及びアルデヒドの炭素原子数は1〜20程度が好ましい。また、環状エーテルは、4〜6員環骨格であることが好ましく、環状エーテルの炭素原子数は5〜10程度が好ましい。
水溶性を有するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソブロパノール(2−プロパノール)、ノルマルブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−へキサノール、2−へキサノール、3−へキサノール、5−メチル−1−へキサノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、sec−イソアミルアルコール(3−メチル−2−ブタノール)、イソウンデシレンアルコール、イソオクタノール、イソペンタノール、イソゲランオール、イソへキサノール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素原子数1〜20の一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール,1,2−ペンタンジオール等の二価アルコール類、または、ブタントリオール、グリセリン、ジグリセリン等の炭素原子数3〜10の多価アルコール等が挙げられる。
水溶性を有する有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。水溶性を有するケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、イソホロン等が挙げられる。水溶性を有するアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン等が挙げられる。水溶性を有するニトロアルカンとしては、例えば、ニトロエタン等が挙げられる。水溶性を有するエーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。水溶性を有する環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン等が挙げられる。水溶性を有するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
その他、本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、酢酸エチル等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、炭素原子数4〜30の一価アルコール、炭素原子数6〜30のフェノール系化合物、炭素原子数6〜30のアルキレングリコール、炭素原子数6〜30の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレンポリアミン等の炭素原子数2〜6のポリアミン(窒素原子数2〜4)等からなる活性水素含有化合物にエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加した水溶性液状アルキレンオキシド付加物(エチレンオキシドのモル数が1〜10)、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、サッカロース、グルコース等の各種糖類、メチルセルロース、水溶性でんぷん等の水溶性多糖類もしくはその誘導体等も挙げられる。
なかでも、本発明で用いる水溶性有機化合物としては、炭素原子数3〜10の多価アルコール、炭素原子数1〜20の一価アルコール、及び炭素原子数3〜20のケトンが好ましく、さらに、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールがより好ましい。なお、本発明で用いる水溶性有機化合物は、前述したような化合物1種類のみを単独に用いてもよいし、前述したような化合物を2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、本発明では、水溶性有機化合物水溶液には、前述したような水溶性有機化合物が含まれていれば、それ以外の他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることは勿論である。
本発明の第1の実施形態の水素供給方法を示す工程図である。 メタノール水溶液の電気分解及び水の電気分解を行った場合の電解電圧と電解電流の関係を示すグラフである。 メタノール水溶液の電気分解における水素生成速度と電解電流の関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態の水素供給方法を示す工程図である。
符号の説明
1 水電解工程
2 水溶性有機化合物合成工程
3 水溶性有機化合物水溶液調製工程
4 水溶性有機化合物水溶液電解工程
5 二酸化炭素回収工程
6 水溶性有機化合物水溶液合成工程

Claims (3)

  1. 水素の輸送及び貯蔵のための媒体として水溶性有機化合物水溶液を使用し、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とする水素供給方法において、
    所定のエネルギー源から得た電力によって水の電気分解を行い、水素と酸素とを分離して生成させる水電解工程と、
    回収二酸化炭素と前記水電解工程で得られた前記水素から水溶性有機化合物を合成する水溶性有機化合物合成工程と、
    前記水溶性有機化合物合成工程で合成された前記水溶性有機化合物と水とを混合して所定の濃度の前記水溶性有機化合物水溶液を調製する水溶性有機化合物水溶液調製工程と、
    所定のエネルギー源から得た電力によって、前記水溶性有機化合物水溶液調製工程で調製した前記水溶性有機化合物水溶液の電気分解を行い、水素と二酸化炭素とを分離して生成させる水溶性有機化合物水溶液電解工程と、
    前記水溶性有機化合物水溶液電解工程で生成させた前記二酸化炭素を回収し、回収された前記二酸化炭素を前記回収二酸化炭素として前記水溶性有機化合物合成工程に供給する二酸化炭素回収工程と、
    を有し、
    前記水溶性有機化合物合成工程で合成される水溶性有機化合物が、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする水素供給方法。
  2. 水素の輸送及び貯蔵の手段として水溶性有機化合物水溶液を使用し、二酸化炭素の物質収支を実質閉鎖系とする水素供給方法において、
    所定のエネルギー源から得た電力によって水の電気分解を行い、水素と酸素とを分離して生成させる水電解工程と、
    回収二酸化炭素と前記水電解工程で得られた前記水素から水溶性有機化合物水溶液を合成する水溶性有機化合物水溶液合成工程と、
    所定のエネルギー源から得た電力によって、前記水溶性有機化合物水溶液合成工程で合成された前記水溶性有機化合物水溶液の電気分解を行い、水素と二酸化炭素とを分離して生成させる水溶性有機化合物水溶液電解工程と、
    前記水溶性有機化合物水溶液電解工程で生成させた前記二酸化炭素を回収し、回収された前記二酸化炭素を前記回収二酸化炭素として前記水溶性有機化合物水溶液合成工程に供給する二酸化炭素回収工程と、
    を有し、
    前記水溶性有機化合物水溶液合成工程で合成される水溶性有機化合物水溶液が、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の水溶液であることを特徴とする水素供給方法。
  3. 前記水溶性有機化合物水溶液電解工程で生成した水素を水素の供給先に供給する工程を有する、請求項1または2に記載の水素供給方法。
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