JP4726892B2 - オークションシステム及び保険金受領権を含んだ投資信託商品の構築システム - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータネットワークを使った遠隔オークションシステム及び前記システムで運用する証券取引システムに関し、特に、受領権に関連した証券の取引価格を適正且つ自動的に調整する権利/責務の分権化(電子株化)に関するものである。
従来のネットワークオークションシステムでは、参加する対象者に制限を付すことなく不特定多数の人が取引できることを原則としていることが多い。このため、実際には入札者に購入資金不足があったり、過去のオークション取引で不正なトラブルを起こしたためにブラックリストに登録されている出品者や入札者であってもオークションに参加することが可能となり、落札後にトラブルを発生させてしまうという問題がある。
また、ネットオークションで例えば数億円、数千万円単位の高額商品を個人で購入することは困難なことから、複数人で購入し共有したいというニーズもかなりある。しかしながら、ネットオークションに参加した不特定多数の人が任意の額を出資して商品を購入し、各人の出資額の比率に応じてその所有権を共有することを実現するサービスの提供機構は現在のところ存在していない。
複数の出資者が分担して所有する高額商品としては、物理的に実在する「物」に限らず、例えば、保険金を受領する権利又は保険料支払い責務といった受領権を含んでいるが、この受領権を共有可能にするサービスの提供機構も勿論存在しない。以下では、本発明をより理解するために、保険金を受領する権利(保険金受領権)をとり挙げて説明する。
特別高額な医療費が請求される米国において多くの事例が見られるように、毎月の保険料支払いに苦しむような低所得者又は高額な医療費の支払いに苦しむ大多数の中流階級の米国民(以下、被保険者と称する)は、患っている病気のために余命が残り少ないと医者から宣告されると、死後に受領するはずの保険金を生前に売却することによって継続した医療を受けている。つまり、医者が算定した被保険者の推定余命年数に応じて保険金受領権の価格が決められるのだが、被保険者は自己の生前中に死後保険金の受領資格のある者(遺族など)に保険金受領の権利を放棄させ、且つ当該権利を投資家に売却して保険金を前倒しで受領するのである。このような保険金の前倒しの受領は、被保険者及び家族のひっ迫した生活苦を回避することにもなり、被保険者が余生を有意義に過ごすことに一役かっているのが現実である。
しかしながら、医者が算定した被保険者の推定余命に対する保険金受領権の市場価格そのものが適正か否かを公正に判定する機関やシステムが存在しておらず、またこの保険金受領権を公正さを担保した上で不特定多数の人によって共有することができるという仕組みも存在していない。このような現状から、被保険者、医療現場、及び投資家の各立場からみた保険金受領権についての問題点が生じている。
(1)被保険者にとっての問題点:
被保険者は医者によって算定された自分の余命に対する保険金受領権を投資家に売却しようとする際、仲介業者を通して投資家と接触を図る(被保険者→仲介業者→投資家)。一方で、各々の保険金受領権の適正価格を判定するいわゆる「公正取引所」の機能を果たす機関や査定システムが存在せず、保険金受領権の正確な市場価格が常に不明確である。したがって、仲介業者の中には、保険金受領権の適正な市場価格がないこと及び一刻も早く保険金を得たい被保険者の立場の弱さを逆手にとって、保険金受領権の値段を故意に低額に設定しようとする悪徳業者が多数いる。医者の算定余命に基づいた保険金受領権の価格は、仲介業者側の恣意的な判断によるその時々の価格基準の設定と変更操作で決められることが可能なので安く買い叩かれ、被保険者とその家族はそれに甘んじるしかなかったのである。また、被保険者等がその不当性に気づき実際に不服を申し立てたとしても保険金受領権が有価証券でないので証券法違反とならず、結局は泣き寝入りするしかないという社会問題が生じていた。
(2)医療現場にとっての問題点:
保険料の未払いのために被保険者(患者)の保険が自動キャンセルされた場合、治療費、入院費、手術代などの医療費の支払いが滞りがちになる。病院側はこれを回収するため又はこれ以上の未払いを累積させないようにするために、被保険者(患者)への治療をストップするしかないという事態が現実に生じている。しかしながら、これを厳格に行えば治療費が払えない患者を完全に見捨てることを意味することになり、医療に携わる側の行為として容認しても良いかという人道的論争を招いている。一方で、医者へ高額な報酬金を支払うこと、医療事故の損害賠償請求金などを常時備えること、さらには未払いの医療費を回収する手段が存在しない(実際、患者からの医療費踏み倒しで不良債権となることが多々ある)という問題を抱えているので、病院経営は決して楽ではない。このため、治療費未払いの患者に対する医療を中断することなく、且つ病院経営が赤字とならないようにする何らかの解決策が早急に望まれていて、その一例として前述したような保険金受領権の買取りシステムがなければ成り立たないという問題が生じていた。
(3)投資家にとっての問題点:
前述したように、被保険者が仲介業者を通して投資家に接触可能であるのに対して、投資家から被保険者に対しての接触もこの仲介業者を通さなければならない(投資家→仲介業者→被保険者)。すなわち、被保険者と投資家の両者間では互いが匿名とされているため、両者でやりとりされるべき情報を仲介業者だけが伝達できる仕組みになっている。したがって、仲介業者が故意に情報操作を図ることにより、保険金受領権への投資に関する必要情報の開示をきちんと行わないようにすることもできてしまう。仲介業者は、投資家には都合の良いことだけを言い、逆に都合の悪い情報は隠蔽して販売するという営業行為が現実には行われているという問題が生じていた。
なお、従来の保険金受領権の基本的な構造によると、被保険者が延命するほど投資家の受取るリターンが減ってゆくことから、投資家にすれば被保険者の延命を好ましく思わない感情が芽生えるだろう。例えば、算定余命よりも延命している患者を直接または間接的に殺害する可能性を否定できない。また、被保険者の死亡後、投資家に保険金が払われる段階となってから、被保険者の遺族が権利放棄したはずの保険金受領権の所有権を主張し始めて、投資家に返金を求めたり嫌がらせをしたりなどの迷惑をかける可能性もある。これらの理由から被保険者と投資家は互いに匿名とされて相手を特定することができず、仲介業者による間接取引が不可欠になっている。
このように、従来の保険金受領権システムは、被保険者(患者)と投資家との間で直接的な取引が行われず、仲介業者が受領権の買取り及び転売業務を行うことによって実現されている。このため、仲介業者による仲介業務の不正が容易であるとともに、この不正を取り締まる実体が存在しないという状況から、これを利用した仲介業者による不誠実な行為がはびこっている。したがって、医者と仲介業者との間で保険金受領権の値段を査定するという従来の方法ではなく、この保険金受領権に対するきちんとした市場適正価格を算定し、これに基づいて投資家と被保険者との間で公正な取引が行われる必要がある。
但し、投資家と被保険者の双方が互いに適正な市場価格に基づいて公正な取引が直接できる際にも、特に被保険者側は、例えば本人とその家族の書面による同意書がない限り、個人情報(氏名、住所、連絡先など個人が特定できる情報)を匿名にして不用意に開示されないようにする必要があるだろう。また、投資家及び被保険者の識別のために固有IDを付したりこれを暗号化するなどして、特定の誰かを識別できないが互いの情報を把握し、適正な市場価格と照合しながら双方による直接の公正な取引が可能となる仕組みの実現が望まれる。
そこで、本発明は前述した問題点に鑑み、任意の受領権利(受領権)が売り手と買い手(当事者)の間で売買される際に、この受領権に関する情報が当事者のみならず受領権取引に関連するあらゆる人又は機関にとって透明且つ公正に開示され、適正な価格で売買することができる商取引システム及びその方法を提供することを目的とする。
本発明のオークションシステムは、通信ネットワークを介した出品者と入札者間のオークション取引をオークション管理手段が介在して行うオークションシステムであって、
前記オークション管理手段が、前記出品者及び前記入札者からの情報を受付ける情報受付手段と、前記出品者及び前記入札者が配信済みの鍵情報を用いてログインしようとしているかを検証するログイン確認手段と、前記出品者及び前記入札者が電子決済の可能な取引口座を保持しているか、及び前記取引口座から代金の引き落としが可能かを確認する口座確認手段と、前記出品者又は前記入札者が過去のオークション取引において代金不払い又は不正行為を行った事実が存在するかを記憶手段から読み出すことによって確認するトラブル確認手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明のオークションシステムは、通信ネットワークを介した被保険者と投資家間の保険金受領権に関するオークション取引をオークション管理手段が介在して行うオークションシステムであって、前記オークション管理手段が、前記被保険者及び前記投資家からの情報を受付ける情報受付手段と、前記被保険者及び前記投資家が配信済みの鍵情報を用いてログインしようとしているかを検証するログイン確認手段と、前記被保険者及び前記投資家が電子決済の可能な取引口座を保持しているか、及び前記取引口座から代金の引き落としが可能かを確認する口座確認手段と、前記被保険者又は前記投資家が過去のオークション取引において代金不払い又は不正行為を行った事実が存在するかを記憶手段から読み出すことによって確認するトラブル確認手段と、前記被保険者に掛けられた保険金額と、医者が算定した被保険者の算定余命、前記被保険者が支払うべき保険料と、投資信託機関の手数料利率と、前記保険金受領権の年利とを基に前記保険金受領権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、前記被保険者及び前記投資家のオークション取引経緯を記憶手段から読み出して現在の取引と比較することにより、不正行為が行われていないかを識別する自動パトロール手段とを備えることを特徴としている。
本発明の投資信託商品の構築システムは、医師が診断する被保険者の余命情報に基づいて価格が設定される保険金受領権を複数含んで組成する投資信託商品の構築システムであって、前記医師によって算定される被保険者の余命情報を入力する入力手段と、前記入力された余命情報を記憶媒体に記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている余命情報を読み出して、前記入力手段により新たに入力された余命情報とを比較して算定余命の誤差情報を算出する余命誤差算出手段と、前記算定余命の誤差情報が所定のしきい値を超えた場合、前記投資信託商品の構成内容を変更する商品構成変更手段とを有することを特徴としている。
本発明のオークションシステムによれば、通信ネットワークを介した出品者と入札者間のオークション取引の際に、出品者及び入札者が配信済みの鍵情報を用いてログインしようとしているか、電子決済の可能な取引口座を保持して代金の引き落としが可能か、又は過去のオークション取引において代金不払い又は不正行為を行った事実が存在するかを検証するように構成したので、出品者及び入札者のオークション参加資格を取引前にチェックすることが可能となり、金銭未払い等のトラブルを格段に低減することができる。
また、本発明のオークションシステムによれば、オークションシステムにおいて、被保険者に掛けられた保険金額と、医者が算定した被保険者の算定余命、前記被保険者が支払うべき保険料と、投資信託機関の手数料利率と、及び保険金受領権の年利とを基に、保険金受領権の適正価格を算出するように構成したので、保険金受領権が不当に安く設定されることを防止することが可能となり、被保険者は取引の公正さが維持された状況で最適化された市場価格の受領権を売却できる。
本発明の投資信託商品の構築システムによれば、被保険者の算定余命情報が更新されると既に記憶してある算定余命情報と比較して誤差を算出し、所定のしきい値を超えれば投資信託商品の構成内容を変更するように構成したので、最新且つ正確な誤差データを基に投資信託商品の運用シミュレーション実行することが可能となり、顧客のリスクを低減することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
<ネットワークオークションシステム100の全体構成>
図1は、本発明のネットワークオークションシステム100(以下、オークションシステム100と略す)の概略構成を示す図である。図1に示すように、オークションシステム100は、出品者側が出品した商品に対して、商品ごとにその購入を希望する者が入札者側として参加できるようになっており、入札金額の最も高い入札者が落札してその商品を購入することができる。
本発明のオークションシステム100は、データベース5が接続されたオークション管理者用の端末装置3と、複数の出品者側の端末装置1(1)〜1(n)(以下、出品者と出品者の端末装置とを同一視し、代表して示す場合は出品者1(x)とする)と、複数の入札者側の端末装置2(1)〜2(n)(以下、入札者と入札者の端末装置とを同一視し、代表して示す場合は入札者2(x)とする)とが、通信ネットワーク4を介して、互いに通信可能なように接続された構成になっている。
オークション管理者用の端末装置3は、出品者1(x)及び入札者2(x)間の取引が正常且つ円滑に行われるように管理及び運営するためのものである。オークション管理者は、任意の金融機関に開設された電子口座6を保有するが、当該電子口座6に対してオークション管理者用の端末装置3からアクセス可能になっている。また、オークション管理者用の端末装置3はデータベース5へアクセスして、オークションを行う上で必要な情報又はオークション成立後の出品者1(x)と入札者2(x)との取引に関する情報を入手する。さらに、オークション管理者用の端末装置3は、出品者1(x)及び入札者2(x)に対してオークションシステム100にログインするための鍵情報を配信する。オークション管理者用の端末装置3は1台に限らず複数存在していても構わない。
出品者1(x)はオークションシステム100に参加する出品者側の情報端末であり、入札者2(x)はオークションシステム100に参加する入札者側の情報端末である。いずれも、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ハンディコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)など、通信ネットワーク4にアクセス可能な情報端末であれば特に制限されることはない。
なお、これらの情報端末3,1(x),2(x)の詳細な構成については後述するが、当業者であれば、データプロセッサ又は中央処理装置(CPU)と、メモリと、ユーザインタフェースと、通信インタフェース回路と、バスとを含んでいることは明らかであろう。
また、出品者側及び入札者側は、それぞれの端末装置である出品者1(x)又は入札者2(x)からアクセス可能な任意の金融機関に開設された電子口座7(x),8(x)を有しており、オークションが成立し落札した入札者(x)から出品者(x)への商品代金の支払いは、これらの電子口座7(x),8(x)を通じて行われる。さらに、出品者側及び入札者側は、オークションに参加するための費用や売買成立時の手数料などをオークション管理者に支払う必要があり、この支払いもそれぞれの電子口座7(x),8(x)からオークション管理者用電子口座6へ振り込まれるようになっている。
データベース5には、詳細は後述するが、少なくとも出品者1(x)及び入札者2(x)に関する様々な情報が記録される。例えば、出品者1(x)及び入札者2(x)の電子口座7(x),8(x)の開設状況、出品履歴、入札履歴等が出品者及び入札者と関連付けて記憶される。
通信ネットワーク4は、出品者1(x)及び入札者2(x)と、オークション管理者用の端末装置3とを相互に接続させるためのものである。通信ネットワーク4は他のネットワーク(不図示)と相互接続可能だがサブネットワーク(不図示)を含むことも可能で、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、都市データ(メトロポリタン)ネットワーク(MAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、又は大規模ネットワーク(インターネット)によって具体化される。
さらに通信ネットワーク4は、アクセスサービスのタイプ(例えば公衆交換電話網(PSTN)、総合ディジタル通信ネットワーク(ISDN)、ディジタル加入者線システム(DSL)、非同期伝送モード(ATM)等)を限定するものでない。加えて、通信ネットワーク4は、プロトコルのタイプ(例えば、無線アプリケーション・プロトコル(WAP)、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)、NetBIOS拡張ユーザインタフェース(NetBEUI)、又はインターネットワークパケット交換/シーケンスパケット交換(IPX/SPX)等)を限定するものではない。
<オークションシステム100の全体動作>
次に、オークションシステム100の全体動作について説明する。図2はその概略的な手順を示したフローチャートである。また、図6は、管理者用の端末装置3が有する処理手段を表したブロック図である。なお、モニタ画面へのデータ出力手段など本発明に直接関係のない構成手段については図示及びその説明を省略するが必要なものである。
本オークションシステム100では、電子口座確認手段34と、ログイン確認手段35と、トラブル確認手段36とを備えた参加資格確認手段33を有し、これによってオークション取引におけるコンプライアンス(規則遵守)を自動的に行うようにしている。したがって、この自動コンプライアンスについての目的(存在意義)について詳述しておく。
自動コンプライアンスが必要なのは以下の理由による。
1.法律に従って、取引が正常かつ公正に行われるため。
2.マネーロンダリングとそれに関連する法律上、問題とされるような調査すべき資金での取引を取締まり、それらが起こらないよう防衛するため。
3.本システムが提供する取引用の口座を、詐欺などの違法行為や犯罪行為に悪用されないため。また、その取締りのための予防策を張るため。
4.取引の最中、「さくら行為」として複数で協力し合って故意に値を吊り上げるなどの操作したり工作を行うなど、ブラックリストに上るような不正かつ違法な取引の行い方を随時チェックして警告を発し、再発の禁止のために取り占めるため。警告後も同様の不正取引行為を行うなどして改善がみられない場合、ブラックリストに掲載してオークションへの参加権を剥奪するため。
5.本人認証のため。しかも、より確実な本人認証を厳密に実施するため。取引を行う購入者(落札者およびオークション参加者、即ち、投資家、出資者)は、本システムにて取引を行う資格のある本人のみでなければならない。また、マネーロンダリングとそれに伴う法律の観点からしても、その人間の資金の出所や収入源が合法かつ正当なものでなければならず、第三者が他人の口座や個人IDを借りて成りすましを図り取引をしてはならない大前提がある。このため、本システム内で口座の保持/管理や実際の取引はその本人のみでなければならない。
したがって、いかなる場合でも、成りすましを図る人間が取引に参加したりしてはならない。コンプライアンス上問題ありと指定されたり、すでに金融機関などのブラックリストに名前が掲載されている人物は正常かつ公正な取引を妨害する可能性が高いため、参加権をそもそも与えないようにすることがネット上の取引やオークションなどにおいては重要な課題である。
そこで、管理者用の端末装置3の出品情報受付け手段32及び入札情報受付け手段31(図6参照)が出品者1(x)及び入札者2(x)からのログインを検知すると、ログイン確認手段35は、出品者1(x)及び入札者2(x)が鍵情報を使ってオークションシステム100にログインしているかをチェックし、オークションに対するログインの許可/不許可を行う(図2のステップS20)。この鍵情報は、オークションで取扱う商品のカテゴリ又は商品アイテム毎に固有な情報であるのが好ましい。出品者1(x)及び入札者2(x)は、オークションに参加する前に予めオークション管理者からこの鍵情報を入手しておく必要がある。なお、鍵情報が第三者へ不正に漏洩されることを防ぐために、管理者用の端末装置3は、一般解放されたネットワーク(例えば、インターネット)を経由しない専用通信回線、又はVPN(仮想パーソナルネットワーク)を使用した仮想専用回線によって、出品者1(x)及び入札者2(x)にこの鍵情報を配信することができる。
ここで、出品情報受付け手段32及び入札情報受付け手段31をあわせて、特許請求の範囲の「情報受付手段」に相当するものである。
あるいはまた、次のようにして自動コンプライアンスを実現してもよい。
まず最初に、オークション(公正取引所での取引をする権利を得るための会員になる)申込書(ネットから、または、ファックス、書簡にて)を本システムの管理局(会社)に送り、コンプライアンステストと調査を受ける。このコンプライアンステストは、米国のSEC(米国証券取引委員会)が規定するもの、または日本の金融監督庁が承認および規定する投資家としての適正審査である。自動コンプライアンスの首脳となる中枢(行動の基となる考え方の機軸)は、法律であるので、自動コンプライアンスとは、証券取引法(通称、証取法)や金融商品販売法などのその他一切の金融業種と金融取引に特化し、それらに関連する存在するすべての法律をメインに備えてデータベース化したものを活用しているといえる。なお、これは日本における金融業と金融取引に関するすべての法律に限ったことではなく、国際金融に基づく米国の「連邦証券取引法」などの金融に関する米国での一切の法律をはじめ、英国、中国、ユーロ経済圏、中国、台湾、カナダなど主要国26カ国の証券取引法および金融商品販売法など、金融業会と金融取引に関する一切すべての法律を包括してデータベース化したものを活用したものである。そして、自動コンプライアンスはこれら法律を基本的考えとして機能する。法律に違反する行為や取引が見られた場合これをマークし監視し、例えば取引高が旧に高くなるなどする場合は必要に応じて投資家にメールを自動送付する。
そして、債権者協会にて多額債務者として認識されている者、指名手配中の人間、金融機関やクレジットカード会社でブラックリストに載っている人間などは排除される。そして、本システムのオークション(公正取引所)にて、保険金受領権およびその他の商品の取引を行うため、口座開設の申し込み依頼した投資家が、コンプライアンステストをパス(合格)した場合、当該投資家は本システムの会員となり、専用口座と個人認証のためのカード及びカードリーダー端末機を受領する。
コンプライアンステストをパスした投資家は以下の手順でオークションシステム100に参加する。
手順1:コンプライアンステストをパスした投資家(購入者、落札者、オークション参加者、及び出資者であるが、ここではまとめて投資家と呼ぶ)に本人確認のための個人認証の物証としてカードを与える。このカードは、例えば、16桁の数字で識別できるものである。なお、投資家は始めに「カード保持者の投資家」と「カードなしの投資家」に識別されることとなる。カードを保持する投資家のカードには以下の3種類がある。
(ア)VISAやMASTERなどのクレジットカード機能を兼ねるカード。(クレジットカードは発行可能だが、取引履歴により一定以上の信用がある投資家にのみその本人の希望で送る。)
(イ)デビットカードと兼用するカード。(口座に入金してある残高の約50%はATMにて現金化できるような仕組みを提供する。)
(ウ)オークション(および公正取引所)への参加するための個人認証カード。(デビットカード機能も、クレジットカード機能もなく、単に本システムのコンプライアンステストに合格し、参加権を保持する人間に提供するカード。運転免許書のようなもので、毎回個人のカードをカードリーダー端末機に読み込ませなければ取引に参加できない規定とする。)
カードなしの投資家とは、カードとカードリーダー端末機のセットを事前に購入したくないがオークションには参加したい投資家である。このような投資家には、取引高の上限を例えば20〜30万円までとかなり低く設定しその範囲でしか取引ができないようにしておく。つまり、有益な商品(受領権を含む)を購入及び落札する場合は不可能な場合が多くなる可能性が高いためウェイティングリストで待つような状況となる場合が多いと想定される。
手順2:投資家の端末装置(PC)に接続可能なカードリーダー端末機を取り付け、オークションへ参加する際は常にカードを読み込ませる。
手順3:ネットワークにデータ送信する際、データ暗号化を実施し、機密管理を強化する。
手順4:さらに、カードを第三者に譲渡および売却することによって本来的に参加資格のない者が参加できてしまうことを徹底的に排除するため、二次的(付加的)な個人認証を行う。これは投資家が端末装置にログインする時に、投資家の身体の情報(例えば、指紋や声、唾または毛髪などのDNAの識別、(ハロゲン光やレーザーなどによる)手や顔などの体積を測定した情報)を瞬時に読みこむ装置により、本人の正確な識別を行う。しかし、この装置は一般に高額なため、指紋と声、虹彩、DNA識別などが望ましい。なお、この技術の詳細は既知であることは明らかである。
手順5:各投資家の個人認証の番号がオークションシステム100のデータベース5に記憶してあるので、例えば、RM氏の認証番号がA1234567とすれば、カードリーダー端末機を介して投資家RM氏に配布済みのカードから読み取れる番号と一致したときのみ本人認証がなされる。これによって、オークション(公正取引所)の取引に参加することができる。なお、個人認証番号は固有で変更されることがないのが原則である(システム管理者側が、変更する意思があり変更を指示する場合は除く)。
手順6:各々の投資家の取引履歴や構築された信用を基に、所定の期間ごとに新しい番号のカードに自動的に更新される。これは、カードを第三者に譲渡したりして、口座を悪用されないためのさらなる予防のためである。この場合、管理者用の端末装置3は、更新したカード番号の情報を自動的にアップデートしてデータベース5に記録する。
手順7:その後に投資家がオークションに参加する場合、投資家のカードから読み取れる新しいカード番号とデータベース5に記憶された個人認証番号との一致を検証し、新しいカード番号の投資家が本人かどうかの識別が図れるようにする。
以上の手順で本人認証を行うのだが、システムの管理側(会社)自体が、コンプライアンスの中枢機能を果たすものであり、全システムの正常な運営を取締まるべく全館業務義務を負っているのが基本である。そのため、最初のコンプライアンステストでは、明らかな重罪の犯罪歴や金融機関などですでにブラックリストに記載されているか否かを自動的に調査する以外、システムの管理業者(会社)がその業務上の責任として行うことが好ましい。
特に、オークションシステム100で使用するカードは下記の特徴を備えるのが好ましい。
1.カードの色(例えば、普通、シルバー、ゴールド、プラチナなど)によって投資家をランク分けする。各々のカード色は、投資家の収入や口座に常時ある資金、社会的信用度により決定される。基本的に、どのカード色のランクにある投資家も、各自の口座にある資金残高の範疇であればどんな高額な商品および保険金受領権でも一人または複数で購入することができる。また、通常のクレジットカードとは違い、年間の会員費を多く支払えばランクがグレードアップされるものではなく、本人の意思や希望や購買力により、カード色自分で決めることはできない。これは、オークションシステム100側のコンプライアンスが判断した「社会的信用度」、「定収入金額」、「資産高と資産力」、「他の金融機関の評価」、「落札した総額と利用数」などに基づいて一方的に決定される。また、取引の回数、落札数の回数、及び金額の統計により、優良と見なされる投資家であれば、カード色も当然高くなる。ただし、「さくら行為」や「故意に値を吊り上げるような操作」などの不正行為が見られる場合は、取引高と利用回数が「優良」であっても、ルール違反として優良の対象とはならない。
2.取引の履歴から判断して、「さくら行為」や「不正な値の吊り上げ行為」等の不正をせず、しかも不正に協力していない正当な取引をする投資家には、取引履歴が一定期間を過ぎると特定数のポイントをつけ、加算されるようにする。そして、当該ポイントがある一定値を超えればカード色のランクアップが可能となる。しかし、シルバー色以上へのランクアップは、単に不正をしないという条件では可能にしないこととする。
3.カードのポイントは投資家の信用度、不正取引と無関係とし、利用回数と落札回数、毎回の最終落札値、各取引での投資金額とその累計金額によりそれぞれポイントが加算されて自動的にアップデートされる。なお、このポイントは、オークションシステム100において各々の投資家の評価と信用度合いを示す数値であって、ポイントをためて現金化するためのものではない。
4.植物や名前など特定の呼び方をつけ、特殊な傾向やパターンが見られる投資家を識別するようにしておき、その情報をカードに入力する。特殊な傾向やパターンとは、毎回の取引でその投資家の取る特徴あるやり方であり、具体的には例えば、多くの取引に参加するものの落札回数は少ないとか、毎回の落札値がどれぐらいかなどである。
5.各々の投資家が毎回の取引において、どれぐらいの金額になれば取引を止めてしまうのかの平均の数字により、より多くの点数を加算して投資家をランク別に識別する。
次に、管理者用の端末装置3はさらに、参加資格確認手段33によって管理者用の端末装置3から入手済みの鍵情報を使ってログインした出品者1(x)及び入札者2(x)が、オークションシステム100に参加できる資格を有しているか否かをチェックする。具体的には、電子口座確認手段34によってオークションに参加したい出品者1(x)及び入札者2(x)に対して電子口座7(x),8(x)の設置を要求する(ステップS21)。これら電子口座がない場合は開設の要求を行い続ける(ステップS22)。
次に、管理者用の端末装置3はさらに、トラブル確認手段36によってこの入札を希望する入札者2(x)のこれまでのオークション履歴を検索して金銭トラブルを含む任意の問題を生じさせた経緯の対象者であるか否かをチェックする(ステップS23)。なお、入札者2(x)のみならず出品者1(x)の過去の状況を調べるようにしてもよい。例えば、出品者1(x)のオークション履歴を検索してこれまでに出品された商品等に関連するトラブル歴の有る無しをチェックする。これらの情報はデータベース5に蓄積されおり、管理者用の端末装置3から検索することができる。
図3にデータベース5のデータ構造例を示す。図3に示すように、オークションシステム100への参加を許可された出品者1(x)を識別する出品者ID情報、同じく入札者2(x)を識別する入札者ID情報が、出品者1(x)及び入札者2(x)の電子口座情報、オークション履歴情報(個人入札又はグループ入札、出品又は入札した商品、出品又は入札日時、落札日時、落札金の振込み状況、管理口座への支払い状況、トラブル経緯、落札価格不正吊り上げ行為履歴(出品者が入札者になりすまして落札金額を吊り上げるさくら行為))などと関連付けられて記憶されている。トラブル確認手段36は、出品者1(x)から出品者ID情報と特定し、出品者1(x)のトラブル経緯の情報を取得することができる。同様に、入札者2(x)から入札者ID情報と特定し、入札者2(x)のトラブル経緯の情報を取得することができる。
ステップS23で、出品者1(x)又は入札者2(x)が過去に何らかのトラブル経験があると判断できた場合、トラブル確認手段36は当該出品者1(x)又は入札者2(x)の入札を拒否する(ステップS29)。これに対して、過去のトラブル問題が発見されなければ、管理者用の端末装置3の入札者グルーピング手段37は、次に、入札者2(x)が個人で入札するのか又はグループで入札するのかを特定する(ステップS24)。これについて詳細に説明する。
まず、入札者グルーピング手段37は、希望仕様項目に関する入力画面を各入札者2(x)に提示し、希望の仕様項目にチェックしたものを入札情報受付手段31にそれぞれ返信してもらう。希望仕様項目としては、特に、商品分類カテゴリ、出品(予定)商品ID、出品者ID、グループ最大落札価格を含む。入札者グルーピング手段37は、入札情報受付手段31からこれらを受け取り、希望チェック項目数がある一定数以上超える入札者2(x)を抽出し仮想グループを形成する(ステップS25)。そして、この仮想グループメンバーに仮想グループとしての仕様項目の内容を提示する。提示される仕様項目は、各メンバー内で一致数の多い項目の論理積(AND)である。入札者グルーピング手段37は、仮想メンバーが提示した仕様項目に対して入札する意思があるか否かの確認を促すため、グループ参加希望の可否を各グループメンバーから返信してもらう。最終的に、当該仕様項目でのグループ参加を希望する入札者2(x)が一定数(2人以上)集まった場合、正式にそのような入札者2(x)をグループメンバーとするグループを生成する。
入札者グルーピング手段37は、グループとして入札することを希望すると回答してきた複数の入札者2(x)にグループ入札の資格及びグループ識別IDを付与する。これに対して、あくまで個人として参加したいという回答を送信してきた入札者に対しては、個人入札の資格及び個人識別IDを付与する。
入札者グルーピング手段37は、グループ入札資格で参加した入札者2(x)に対して、好ましくはグループ結成時でのメンバー合意の下、メンバーの出資比率を固定的又は可変的に設定する(例えば、Aさん50%、Bさん30%、CとDさんそれぞれ10%など)。そして、グループ入札の入札金額として、例えば現在の価格4900万円に対して新たに5000万円で入札することに同意するかどうかをメンバーが投票してグループの最終入札意思を決定する。その際に、前述したメンバーの出資比率に基づいて投票権重み付けを施し、最終入札意思を決めるようにしてもよい。メンバー間のコミュニケーションは、オークション管理者と切り離された形態で行ってもよいが、管理者用の端末装置3側がそれぞれの入札者2(x)からの情報を統括して管理できることが好ましい。
また、本グループが商品を落札した場合、商品に対する所有権の割合はグループ内で決定した持分の割合(グループの各入札者2(x)が支払う出資比率)に順じて決定するのが好ましい。このように、グループ単位での意思決定を形成し、且つ当該グループとしての意思決定がオークションシステム100に反映されることになる。なお、本実施例ではグループ単位の入札を「オークション代理入札」、このグループを「オークション代理入札者」と称することとする。
次に、電子口座確認手段34は、入札希望の入札者2(x)の電子口座8(x)を調べて、商品の代金が引き落とし可能かどうかを確認する(ステップS26)。ここで必要とされる口座残高は、個人入札の場合は落札に必要な金額の有無で決定するのが好ましいが、オークション代理入札の場合は必ずしもメンバー全員が落札に必要な金額を電子口座に保有している必要はない。以下に限定するものではないが、前述したようにオークション代理入札の場合は各メンバーに出資比率が設定されていることから、落札希望金額にこの出資比率を乗じた金額を引き落とせるかを確認するようにしてもよい(例えば、先の出資比率の例で言えば、5000万円の落札希望金額に対して、Aさんの口座に2500万円以上、Bさんの口座に1500万円以上あるかをチェックする)。また例えば、1億円の商品をオークション代理入札することを希望し、オークション代理入札者(グループ)のメンバーが10人であれば、1億円/10人の1千万円が各自の電子口座にあることを要求したり、所定の金額以上の商品であれば(例えば、1000万円)、オークション代理入札であれば3割、個人入札であれば8割の口座残高を要求したり、又はオークション代理入札及び個人入札を問わず常に所定の口座残高を要求したりしてもよい。
なお、この口座残高の確認処理は少なくとも入札時点で行うことを必要とするが、入札から落札時まで時間を要するオークションである場合は、任意の時間間隔(例えば、数時間毎、半日毎、1日毎など)で確認するようにすることがより安全である。また、このような残高の確認処理は、後述するユニット分割方式あるいはそれ以外の通常方式に適用することができる。
前記ステップS26の引落し確認処理の結果、参加資格確認手段33は、入札希望の入札者2(x)の電子口座8(x)に必要金額以上の預金が確保されておらず入札代金の引き落としが不可能と判断できた場合にその入札を拒否する(ステップS29)。特に、参加資格確認手段33は、資金不足のメンバーの存在によりグループがオークション代理入札者として失格であると判断した場合、そのグループを一旦、解散させて消滅させる。なお、メンバーの一部に入札拒否対象者が含まれている場合、当該対象者を除いたメンバーでグループを再構成すること、他の者がメンバーに参加することを許可するようにしてもよい。
これに対して、入札代金の引き落としが可能である場合、出品情報受付け手段32によって出品された商品毎に識別ID(出品ID)が付与された後、いわゆる落札者を決定する実際のオークション処理がオークション実行制御手段39によって開始される(ステップS27)。好ましい一実施例において、オークションシステム100は、複数の入札者2(x)の購入要求を統合した「代理入札者機能」を備えている。つまり、従来のオークションシステムでは入札者は個人であることが前提であり、複数の入札者が1つの意思決定を行い落札することは想定されていなかった。本発明は複数入札者による分割落札を実現可能にするものである。分割落札のためのオークション手順を図4に示す。
したがって、図4で扱うオークションの対象商品は、物理的に分割可能な商品(例えば、任意の債権)であって、図4のフローチャートは、複数の個人入札又はオークション代理入札(グループ入札)があったときに、オークション対象商品を動的にユニット分割しながら実施する手順を示している。分割落札処理手段40の開始指示により、分割オークションが開始する(ステップS40)。次にステップS41で、出品商品を仮想的にn個の代価ユニットに分割する。例えば、希望販売価格1億円という高額な商品をn=1000個のユニットに分割する。この場合、オークション上では、1ユニットが10万円の商品が1000ユニット分出品されたことになる。オークション開始時の分割数nの値は、出品者1(x)の意思で自由に設定してもよいし、分割落札処理手段40が希望販売価格から任意に設定してもよいし或いはデータベース5から読み出した過去の類似商品の落札状況に基づいて妥当な分割数を設定するようにしてもよい。
オークションの進行上、所定の時間を1セッションと決めておく。当該所定の時間に達して1セッションが終了する時点で、いま、例えば、2000ユニットの入札があったとする。つまり、本オークションシステム100は、入札者全員から提示された希望購入ユニット総数(=2000)が発売ユニット数(n=1000)を超えた場合でも入札可能として受付けるのである。この2000ユニットの入札は、個人入札による口数とオークション代理入札(グループ入札)による口数とを合わせた数である。一例として1個人が100ユニット(1千万円)及び1グループが1900ユニット(1900万円)の入札があった場合が挙げられる。なお、前述したようにオークション代理入札もオークションの進行上では個人入札と同様に取り扱われるので、1個人が1900ユニットの入札を行っていることに相当する。仮にオークション代理入札者がこの1900ユニット分を落札したときは、オークション代理入札者の各メンバーは、1900ユニットを各自の持分の割合だけ配分して取得することになる。
当初、発売ユニット数(n=1000)の出品に対して、1セッション終了後には2倍の2000ユニットの入札があったので、1ユニットの単価を上げてもオークションが成立し得ると判断できる。そこで、入札者全員の希望購入ユニットの総数が発売ユニット数(n)よりも多かった場合、分割落札処理手段40は、2000U/1000U=2により、ユニットの単価を10万円*2=20万円に設定し直してオークションに再出品する(ステップS42)。
再び、1セッション終了した時点で、例えば、1500ユニットの入札があったとする。同様に、分割落札処理手段40は、1500U/1000U=1.5により、ユニットの単価を20万円*1.5=30万円に設定し直してオークションに再出品する(ステップS43)。そして再び、1セッション終了した時点で、例えば、800ユニットの入札があったとする。この場合、発売ユニット数n=1000よりも少ないユニット数の入札希望があったことになる。このように、タイムアウトによるオークションの1セッション終了時、入札者全員の希望購入ユニット数が発売ユニット数以下の場合、オークションの終了とするか、あるいはユニット単価を下げて再出品するかを後述する方法によって判断する(ステップS44)。本判断の結果、オークションを終了させない場合、分割落札処理手段40は、800U/1000U=0.8により、ユニットの単価を30万円*0.8=24万円に下げる(ステップS45)。
さらに再び、1セッション終了した時点で、例えば、900ユニットの入札があったとする。このときも入札者全員の希望購入ユニット数が発売ユニット数以下の場合なので、オークションの終了とするか、あるいはユニット単価を下げて再出品するかを判断する(ステップS46)。本判断の結果、オークションを終了させない場合はユニット単価を同様の方法によって変化させて次の1セッションのオークションを行うことを繰り返す。これに対して、分割落札処理手段40が本オークションを終了させると判断した場合は、最終入札ユニット数が落札され、残りのユニット数を出品者が引き取るようにする(ステッS47)。例えば、ステップS46の判断の結果、オークションの終了が行われる場合、入札者2(x)が900ユニットを落札し、残りの100ユニットは当該商品の出品者1(x)が引き取る。そして最後に、ステップS48で、オークションが終了する。
なお、タイムアウトによるオークションの1セッション終了時、入札者全員の希望購入ユニット数が発売ユニット数以下の場合にオークションを終了させるか、ユニット単価を下げるかの判断は、出品者1(x)が落札最低ユニット数を予め決めて入札情報受付手段31に送信しておくことで可能にしたり、或いは分割落札処理手段40が1セッション終了時ごとに出品者1(x)側にどうするのかを通信ネットワーク4を介して判断の要求依頼を送信し、出品者1(x)はユニット数及びユニット単価の変化を把握しながらその決定を入札情報受付手段31へ通信ネットワーク4を介して返信して行うようにする。
図4に示すオークション手順が終了すると図2のステップS28に戻り、オークション後処理手段42は落札商品の全権利を代理保管するとともに、権利発生時にはユニット落札数に対応した権利分の資産を落札者に対して供与し、責務発生時にはユニット落札数に対応した責務分の資産を落札者に対して代理徴収するよう機能する。なお、代理保管の際に、落札商品毎にID番号(代理保管者ID)が付与される。
さらに、出品者1(x)及び入札者2(x)の電子口座1(x),8(x)から所定の手数料等を管理者用の電子口座6へ引き落とす。一方で、複数回のセッション実行によっても出品者1(x)と入札者2(x)の希望が折りあわずに最終的に落札されず、オークション不成立になる状況も生じる。この場合、オークション後処理手段42は、電子口座1(x),8(x)から所定の手数料のみを徴収する。
このように、本実施例のオークションシステム100によれば、オークションの1セッション終了時に、出品者が出品時に提示した発売ユニット数が、入札者全員の希望購入ユニット数と一致しなかった場合、自動的にユニット単価が変更して再出品することができるオークション単価の動的設定機能をオプション機能として有している。
なお、前述した図4に示すフローチャートが複数入札者によって分割落札を実現する手順であることを説明したが、従来のような一人の入札者が独占して落札するオークションシステムを排除することを意図していない。本発明は従来のオークション手順に分割入札を可能にする機能を組み入れることで出品者及び入札者の便宜を向上できるようにするものである。
なお、図2のフローチャートに示した本発明の処理手順では、説明を簡単にするために各手順を一連のブロックにして示して説明しており、幾つかのブロックは図示され説明されるものとは異なる順序及び/又は他のブロックと同時に起こり得ることから、本方法はブロックの順序によって厳密に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、ステップS26の引落し確認処理を先に行い、ステップS23のトラブル対象者の処理を行った後にステップS24,25のグループ入札処理を行うようにするなど、ステップS27におけるオークション処理の開始の前で順不同でこれらの各処理の確認が終了していればよい。
更に、図示された全てのブロックより少ないブロックが実施例の方法を実施するのに必要とされる場合もある。更に、付加的な方法及び/又は別の方法では、図示されていない追加のブロックを用いてもよい。この場合、矩形ブロックは、例えばソフトウェアで実施することができる「処理ブロック」を意味する。また同様に、ダイヤモンド形ブロックは、例えばソフトウェアで実施することができる「決定ブロック」又は「フロー制御ブロック」を意味する。なお、この処理ブロック及び決定ブロックは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ASIC、及びこれらに類するもののような機能的に等価な回路で実施することができる。
また、図2のフローチャートは、ある特定のプログラミング言語、方法、或いはスタイル(例えば手続き型、オブジェクト指向)に対する構文を表していない。逆に、当該フローチャートは、当業者がソフトウェアのプログラム、回路設計などに用いることができる機能的情報を示している。本実施例を含む幾つかの実施例において、ループ及び変数の初期化、一時変数の使用、ルーチンループなどのプログラム要素は示されていないことを理解されたい。
本実施例によれば、管理者用の端末装置3は出品者1(x)及び入札者2(x)が通信ネットワーク4を介してオークションに参加する際に、予め付与した鍵情報を使用してログインしているか否かをチェックするようにしている。しかも、この鍵情報は、インターネット等の一般の公共通信ネットワークを経由しない専用回線やVPN回線で出品者1(x)及び入札者2(x)に配信するようにしているので、鍵情報が第三者に漏洩される危険性が少なく、通信ネットワーク型オークションの実現のためにはより安全性を考慮することができる。
また、本実施例によれば、オークションシステム100に参加を希望する入札者を受付ける際に、入札代金の引き落としが可能な状態であるかやトラブル履歴の有る無しをチェックし、可能ならば及び問題が無い場合にのみ入札を受付け、不可能ならば又は問題が有る場合は入札を拒否するように構成している。これにより、従来のオークションシステムで生じていた金銭未払い等のトラブルを格段に低減することができる。
また、本実施例によれば、従来のオークションシステムでは不可能だった、高額商品を複数人で購入し且つその商品の所有権を分割保有することを、容易にしかも安全に実施することが可能なネットワークオークション技術を提供することができる。
(実施例2)
次に、前述したオークションシステム100を保険金受領権の売買取引に適用した例を示す。
保険金受領権とは、医者等によって余命数年と診断された致死疾患患者または高年齢者等(被保険者)の死後に発生する生命保険金を受取る権利である。本来は、被保険者の遺族等が受取るものであるが、被保険者側は生前にこの保険金受領権を取得して第三者に売却し、保険金受領権を購入した第三者は被保険者が実際に死亡した後に保険金を受領する。なお、保険金受領権を省略して受領権と呼ぶこともあるが、「任意の」受領権として保険金受領権を含んだ受領権を表す以外は、保険金受領権と受領権は同一の意味である。
前述したように、この保険金受領権は仲介業者を通じて被保険者と第三者(以下、投資家と称する)間で売買される。ところで、医者等によって余命が診断された場合、従来では余命の長さによって所定の固定リターン率が適用されていた。例えば、算定余命が1年であれば12%、2年であれば28%、3年であれば42%、4年であれば50%、5年であれば60%、…等である。いま、被保険者が1億円の生命保険に加入していて余命3年と診断されたとしよう。余命3年という値はあくまでも医者による推測であるから当然ながら被保険者が3年で死亡するとは限らない。このため通常は、1億円から、3年の1.5倍の年数である4.5年分の保険料分(3万円/月とする)と、仲介業者の手数料分(15%とする)とを差引いた金額、即ち、
1億円−3万円*12ヶ月*4.5年−1500万円−事務手数料=約8300万円、
を被保険者は保険金受領権の売却によって取得していた。
一方、投資家は信頼のある銀行口座(通称、エスクロ口座)に保険金額に相当する1億円を預ける(投資する)とともに、被保険者の支払い義務であった月々の保険料を支払っていた。そして、被保険者が死亡すると、1億円に対して余命3年に対するリターン率である42%のリターン分(配当金)が加算された1億4200万円を受領していた。
投資家にとって保険金受領権が投資対象となるのは、実際の余命年数が算定された値から変動するからである。具体的に先の例で言えば、算定余命が3年の場合、保険金受領権のリターン率が42%であるので年利に換算すると42%÷3=14%となるが、被保険者が仮に1年で死亡した場合は3年後に受領するはずの保険金を1年後に受領することになる。これを年利にすれば14%*3=42%という高リターンを受領できることを意味する。つまり、投資家は被保険者が実際にいつ死亡してもリターン分を含んだ生命保険金の1億4200万円を死亡後に受領することが約束されるが、被保険者が算定余命よりも早く死亡すれば予定した日よりも早くこの生命保険金を受領する。投資家はこれを別の保険金受領権等に投資するために使用できるので、保険金受領権はリターン分の変動を常に含んだ投資対象になるのである。これとは逆に、被保険者が4年で死亡した場合、投資家は低リターンの投資物を保有していたことになる。
ここで問題となるのは、被保険者と投資家とが互いに匿名であって仲介業者を通じてしか保険金受領権に関連する情報を入手できないことにある。したがって、仲介業者の悪意を含んだ故意的な情報操作によって正当に情報が伝達されずに仲介業者が不当に保険金を着服できてしまう。
そこで、本問題点を解決することが可能な、オークションシステム100を応用した保険金受領権に関するオークションシステム200(以下、受領権オークションシステム200)について説明する。
受領権オークションシステム200の全体構成図を図5に示す。受領権オークションシステム200は、通信ネットワーク24を介して保険金受領権のオークション取引を実施し、受領権の市場取引価格を調整する機構を提供するものである。
受領権オークションシステム200は、受領権データベース25が接続されたオークション管理者用の端末装置23と、複数の被保険者側の端末装置21(1)〜21(n)(以下、被保険者と被保険者の端末装置とを同一視し、代表して示す場合は被保険者21(x)とする)と、複数の投資家側の端末装置22(1)〜22(n)(以下、投資家と投資家の端末装置とを同一視し、代表して示す場合は投資家22(x)とする)とが、通信ネットワーク24を介して、互いに通信可能なように接続された構成になっている。図7は、オークション管理者用の端末装置23が有する処理手段を表した構成ブロック図である。
なお、受領権オークションシステム200の構成要素の機能は、対応するオークションシステム100の構成要素の機能と基本的には同一である。本実施例2では、オークションシステム100と共通する構成要素の機能についての詳細な説明を省略し、受領権オークションシステム200が付加的に備える機能について示すこととする。具体的には、オークション管理者用の端末装置23における、適正価格算出手段48及び自動パトロール手段51を中心に説明する。
オークション管理者用の端末装置23のデータ記憶/読出手段53(図7参照)は、被保険者21(x)から出品される保険金受領権毎に識別子となるID番号(出品ID)が付与されているので、このID番号に出品された各々の受領権の詳細データを関連づけて受領権データベース25に記憶して本データベースの管理を行う。保険金受領権の詳細データは、限定するものではないが、具体的には例えば、被保険者の性別や年齢やDNA情報、医師の診断書から入手可能な被保険者の病名及び病状、被保険者の健康状態、算定余命、算定余命の検診医師名、算定余命の算出基準、契約保険内容、保険契約書の約款、保険会社の格付け、保険会社の各種情報(例えば、保険会社の保険金支払能力を数値化した数字、本店がある国によって保険会社に適用される法律が異なることから保険会社の法的な立場など)を含む。
また、参加資格確認手段43は、被保険者21(x)及び投資家22(x)に対して、受領権オークションシステム200へ参加する資格を有しているか否かをチェックする。つまり、オークションシステム運営機関のコンプライアンステストをパスした被保険者21(x)又は投資家22(x)のみに、出品許可又は入札許可を与える。
受領権オークションシステム200の特徴としては、オークションシステム100におけるデータベース5がオークション管理者用の端末装置3を介してのみアクセス可能でなかったのに対して、参加資格確認手段43からの参加資格を得た被保険者21(x)及び投資家22(x)からのアクセスを許可していることである。適正価格算出手段48が、受領権データベース25に記憶された保険金受領権の詳細データを被保険者21(x)及び投資家22(x)に開示することによって、被保険者21(x)は自己の正確な情報に基づいて保険金受領権の適正価格が算出されているかを確認することができ、投資家22(x)は出品された保険金受領権の購入に必要な詳細情報を取得することができる。
なお、当然ながら、被保険者21(x)の保険金受領権の実際の購入に不必要と思われる情報は、出品者の人権を保護するためにも開示しないように配慮される。その情報とは、例えば出品者の氏名、居住所、担当医の名前、又は病院名など、被保険者21(x)である出品者を特定できる個人情報の全てを意味する。また、オークション管理者用の端末装置23のデータ漏洩防止手段(不図示)は、受領権データベース25の機密保持及び漏洩防止を図るため、通常行われるような安全処置を実行する。例えば、データ漏洩防止手段は、被保険者21(x)及び投資家22(x)がオークションに参加することを最終的に許可されたのを確認してから受領権データベース25にアクセスする権限を付与してその他の者には付与しないようにする。
また、適正価格算出手段48は、単品の保険金受領権に限らず、複数の保険金受領権を合体させた組成品(つまり、各種組合の商品ならびに投資信託商品、共済商品など)も商品として扱い、単品及び組成品ともに公的監査/法規に基づいて最低取引価格を設定する。さらに、適正価格算出手段48は、実際のオークション処理(図2のステップS27)において、受領権データベース25に記憶されたデータ等に基づき保険金受領権の市場における適正な価格を自動的に算出する。
以下、適正価格の自動算出方法について詳細に説明する。
自動算出のためには、オークションシステム200で新規に取り扱う単品受領権のDB(以下、単品受領権DBと称する)と、過去に取引済みの単品受領権のDB(以下、グローバル受領権DBと称する)と、算定余命誤差の統計データDB(以下、算定余命DBと称する)と、項目評価DBとを必要とし、保険金受領権の適正価格を計算する演算機構(例えば、オークション管理者用の端末装置23)がこれらのDBをアクセスして適正な価格を求める。
単品受領権DBには少なくとも以下の項目を含んでいる。
・被保険者年齢,性別,国籍、
・算定余命(P1)、
・病種(P2)、
・平均余命(平均寿命から被保険者年齢を引いた値)(P3)、
・DNA判定余命(DNA判定寿命から被保険者年齢を引いた値)(P4)、
・免疫能測定値(P5)、
・保険会社格付け情報/保険金支払い条件(P6)、
・受領権評価ポイント(Pt)、
・受領権評価指数(Ph)、
算定余命DBには、病種、国籍、年齢層、性別ごとの算定余命死亡確率(算定余命で亡くなる確率)のデータが格納されている。
項目評価DBには、検索項目(P1〜P6)毎にポイント変換表と重み付け係数とが格納されている。
まず、単品受領権の信頼性の定量化を意味する評価指数の算出を行う。それには、項目評価DBを参照して検索項目毎にポイント変換表で評価値を求め、さらにポイントに重み付けを施した各項目のポイントを集計し、これを当該単品受領権の評価ポイント(Pt)とする。具体的に、Ptの計算例を以下に示す。Piは10点満点の評価値、riは重み付け係数で1〜5の値である。
算定余命:2年 :P1=8、r1=3
病種:肺ガン :P2=5、r2=5
平均余命:10年 :P3=7、r3=2
DNA判定余命:15年 :P4=3、r4=1
免疫能測定値:5(10点満点) :P5=5、r5=1
保険会社格付け情報/保険金支払い条件:シングルA/死亡時無条件:P6=7、r6=4
とすると、
受領権評価ポイントPt= P1・r1+P2・r2+P3・r3+
P4・r4+P5・r5+P6・r6+
=24+25+14+3+5+28
=99
となる。
なお、評価値(P1〜P6)、及び受領権評価ポイント(Pt)は、保険金受領権の適正価格を算出する処理実行時に前記項目評価DBにアクセスして求めてもよいし、各データベースのデータが更新された任意の時点で最新データに基づいて行うようにしてもよい。項目評価DBは最新の医学情報等に基づいて、常にアップデートされるのはいうまでもない。
また、重み付け係数(r1〜r6)は特に受領権リスク度を大きく反映するように設定するのが望ましい。前記例では、病種、保険会社各付け/保険金支払い条件の重み付け係数(r2,r6)が他の重み付け係数よりも大きな値であるが、これは特効薬の開発がなされるなど医学が劇的に進歩して病気の治癒が可能になったり、保険会社の経営悪化によって急に投資家が保険金を受け取ることが困難になったりする場合、これらのイベントを受領権評価指数(Ph)に大きく反映させるためである。
受領権評価ポイント(Pt)が求まったならば、次に、グローバル受領権DBの全評価ポイントのサンプルを母数として、当該単品受領権の評価ポイントの偏差値を求め、これを当該単品受領権の評価指数(Ph)とする。なお、受領権評価指数(Ph)は、保険金受領権の適正価格を算出する処理実行時に前記グローバル受領権DBにアクセスして求めてもよいし、グローバル受領権DBのデータが更新された任意の時点で最新データに基づいて行い、これを単品受領権DBに格納しておいてもよい。
受領権評価指数(Ph)の算出例として、平均値を50、ばらつきを示すシグマとして1シグマ10とする計算例を挙げる。
Ph = 50 + 10・(Pt Ptm)/s
s=√v
ここで、Ptm:業界で過去に買取り実績のあった全受領権の評価指数Ptの平均値、
s:標準偏差、
v:ばらつき、
である。
例えば、Ptm=89、v=100、s=10の場合は、
受領権評価指数 Ph=50+10・(99−89)/10=60、
となる。受領権評価指数(Ph)は、Ptm全体の平均値に近ければ50に近い値となり、+/- 1シグマである40〜60範囲内ならば全体の2/3を占める順位内に位置することが直感的に分かる。
このようにして算出可能な受領権評価指数(Ph)を受領権標準利率(Rm)と相関させて、当該受領権の受領権年利Rを求めることができる。なお、受領権標準利率(Rm)は、投資運用ビジネスモデルが成立する値から逆算して求め、例えば公的機関が運営する公正取引委員会等がこれを承認する形式で決定すればよい。また、受領権評価指数(Ph)からの利率変換作業は公正価格を演算するコンピュータ(例えば、オークション管理者用の端末装置23)内に変換表を予め準備しておき、この変換表を使って機械的に変換してもよいし、受領権利率関数(Fr)を定義して計算で求めてもよい。
受領権利率関数(Fr)での計算例を示す。
R=受領権利率関数(Ph,Rm)=(50/Ph)・Rm、
ただし、Rll > Rの場合は、R=Rll、
Rul < Rの場合は、R=Rul、
Rll:R下限値、Rul:R上限値である。
いま、Ph=60、Rm=12%とすれば、R=(50/60)・12%=10%、Rll=8%、Rul=16%となる。
つまり、受領権評価指数(Ph)が高いとRが下がるが、これは受領権のリスク度が低いので利率であるリターンも下がるという投機メカニズムが働くことを意味している。逆に、受領権評価指数(Ph)が低ければRが上がり、この受領権はリスクが高いことの引き換えに利率が高いことを意味している。R下限値(Rll)/R上限値(Rul)は利率の下限/上限を指定するパラメータであり、これも受領権標準利率(Rm)同様に、現実のビジネスモデルを勘案して決定し、公正取引委員会等で承認を得ることが望ましい。
受領権適正価格(J)は、保険金(H)、算定余命(SY)、毎年の保険料(hy)、投資信託機関手数料利率(α)、受領権年利(R)により算出することができる。投資信託機関手数料利率(α)は、本実施例では適正価格に一定の比率をかけた金額とする。なお、実際の運用における手数料は、例えば総投資額に一定の比率を掛けて徴収したりするが、一実施例として前記計算方法を採用している。
投資家の投資額(I)は、I=J+SY・hy・1.5+J・α、
とする。
投資家は総額として、受領権買取金額(譲渡金額)J、算定余命(SY)分の保険料、投資信託機関への手数料を投資金として必要とするが、予め算定余命のぶれを見込んで多めに保険料を支払う前提で前記Rを求める。このために、保険料支払い分をSY・hy・1.5として計算している。
受領権年利(R)=(H―I/I)/SYであり、本式に前述した投資家の投資額(I)を代入して受領権買取金額(譲渡金額)として相当な額、即ち受領権適正価格(J)を求めると、
J=((H/(R・SY+1))― SY・hy・1.5)/(1+α)………(式1)、
となる。例えば、H=1億円,R=10%,SY=2年,hy=100万円,α=5%とすれば、前記計算式より受領権買取金額(譲渡金額)J=約7650万円となる。このようにして、保険金受領権の適正価格を算出することができる。
適正価格算出手段48は、算出した適正価格の保険金受領権を被保険者21(x)及び投資家22(x)に提示する。提示される画面上には、出品アイテムの商品内容紹介欄に適正価格が表示され、適正価格を算出するために使用した評価項目を表示するのが好ましい。特に、評価指数を重要なファクターとして表示することが好ましい。
なお、前述した単品受領権の評価指数の算出を行う際には、そのような算出がなされた理由又はその理由の背景(すなわち、保険会社の格付け、保険契約書の約款の法的検証、保険会社の支払能力、保険会社の法的な立場などの保険会社の詳細情報、及び被保険者の病状、病名、算定余命と算定余命の根拠の情報、健康状態、年齢など)について、被保険者21(x)及び投資家22(x)に開示することが好ましい。
オークション管理者用の端末装置23には、保険金受領権に関する公正取引監視委員会に相当する自動パトロール手段51を備えるのが好ましい。自動パトロールとは、取引の履歴や取引の最中に、その経緯を記録したデータの中から取引における動きが不自然であったり、不正ではないかと疑うべき動向とその経緯をチェックする機能をいう。そして、自動パトロール手段51は、この不正取引を見つけ出すこととともに、その事実をすばやく本システムの管理局に知らせ、一定の基準を満たせば不正を行っている投資家に警告を発することを自動で行う取引経緯の動向チェックを実行する。
自動パトロールの手順と方法論について説明する。
(1)各取引の一部始終の動向と経緯の履歴と記録を保存するデータベースを作成する。誰が、いつ、どの受領権の取引において、どういう風に値を付け合ったか、いくらで落札したかなどの経緯と一切の記録のことである。これにより、各々の投資家の趣向や投資スタイルや使用可能金額などが判明するので、ポイントをつけたりランク分けしやすい。
(2)各投資家の各々のランク(例えば、色分けされるランク)と、ポイント数による信用度合いから、ある投資家が突然に購入(投資)する金額が目だって大きくなれば、その動向を不自然なものと見てチェックし、監視する。(具体的には例えば、今までは2000万円の口座残高であったのに、突然3億円となり、通常は200万円程度を購入してきたのが、突然に1億円ぐらいの投資を開始するようになるなどである。このように、これまでの履歴と対比して目立って投資金額が増えているかを判断し、その結果、増加している場合には「この資金はどこから来ましたか? 誰のものですか? あなたのものですか? どういう資金(収入)ですか? 今までどこにありましたか?・・・」などの事前に用意された特定の項目の質問が書かれたチェックシートを、本システムのサーバー側(例えば、オークション管理者用の端末装置23)からその投資家に自動的にメールする。
(3)投資家は前記チェックシートの該当項目をクリックしながら回答し、前記メールをサーバー側に返信する。なお、投資家が前記チェックシートの回答を無視する場合もある。
(4)本システムのサーバーへ投資家からの回答メールが返信されなかった場合、自動パトロール手段51は、「もしかすると、本人が取引しているのではない可能性か、本人であっても、突然取引高が目立って上がるので、その資金がどこから来て、どういう資金なのか」について疑問に持つようにプログラムされている。そのために、もしかすると、マネーロンダリング上、調査すべき資金である可能性もあるので、先のメールでのチェックシートによる質問を複数回送信したにもかかわらず、返信メールが投資家より来ない場合、自動パトロールは、その報告をシステム管理局の担当者に自動的に通知する。
(5)その後は、人間によるコンプライアンスがその投資家に電話し、本人しかわからない質問をすることで本人確認をした後、チェックシートの質問をして回答を得る。
(6)投資家より回答メールでチェックシートが返信されてきた場合、パトロール手段51は、予めプログラムした項目のチェックを行い、正常な回答欄にチェックがない場合、システム管理者に連絡する。この場合、後日、その投資家に対してシステム管理局からの人間から、直接、本人確認の質問をし、その後資金の素性と背景を質問することがある。そのときに答えた内容が妥当であれば、そこでコンプライアンスのチェックは終了する。妥当でなければ、その資金に対する回答を裏付ける証拠となる書類の提出を願い出ることもある。(例えば、突然増えた取引高の出所が、「親からの遺産だ」と答えた場合、その証書があるはずなので、そのコピーを提示してもらう。「別口座に預金していた資金だ」と答えたなら、その口座の通帳のそのページの取引経緯がわかるコピーを提出してもらう、などの証拠の提示とそのチェックのこと)
(7)投資家が、本システムのコンプライアンス(本体)に対して、資金の正当性を証明できなければ、警告が発せられイエローカードが渡される。場合によれば、オークションシステム200に口座を保有しオークションを利用する権利を有することの証明カードやオークション参加権を没収されて、次からの参加は見直されることになる。警告などが数回続けば当該投資家はブラックリストに載ることとなり、本オークションシステム200の利用を一切断絶する。
(8)取引の際に、過去の実例に基づくコンプライアンスにより特定の趣向やパターンを展開する特定の投資家に対してタイプ別を分類し識別するが、それぞれのタイプ別の投資家がオークション(公正取引所)で、取引を開始する際には、自動パトロール手段51は、そのタイプのレッテルが貼られた投資家の動向を、何も付けられていない投資家よりも特に集中的に注目をするようにプログラムされている。
自動パトロール手段51による他のパトロール手順について以下に示す。
(i)まず、落札金額の集計値をM1、未落札金の集計値をM2とする。未落札金の集計値とは、入札して落札しないか、あるいはオークション終了後に落札キャンセルした場合であって、その時の最大入札金額記録し集計した値である。次に、M2/M1が一定値を超える人をマークし、オークション上で公示することをアナウンス(送信)し、不正操作を未然に防止するようにすることが好ましい。
(ii)オークション出品者毎にオークションに参加(入札)した未落札者を記憶し、未落札者毎に参加回数と未落札金集計M3を記録する。ここで、参加回数又は未落札金集計M3が一定値を超えたらマークしておく。
(iii)オークション参加メンバー間の商業取引実績、資本関係(同系列会社等)のデータベースを設置し、毎年の商取引金額を記録する。なお、データベース設置をアナウンス(送信)し、不正操作を未然に防止するようにすることが好ましい。
(iv)前記(ii)でマーキングされたら前記(iii)のデータベースをチェックし、商取引の実績あった場合にはマーキングしオークションへの参加を一時停止処分にする。さらに、人為的調査の後、場合によってはオークションに参加する資格を剥奪するようにしてもよい。
このようにして自動パトロール手段51は、通信ネットワーク24を介して、被保険者21(x)及び投資家22(x)を周期的にアクセスして、オークションの取引において不当に入札価格を吊り上げたりする人を自動的に抽出する。
そして、自動パトロール手段51は、最終落札者以外の者で不当に入札価格を吊り上げていた入札者2(x)を、オークション実行制御手段49を介して又は直接的に、受領権データベース25にその都度記録する。この記録回数が所定回数(例えば、3回)以上であれば自動パトロール手段51はオークション拒否対象者としてブラックリストテーブル(不図示)に記憶するようにする。これにより、オークション参加時の投資家22(x)及び被保険者21(x)をチェックするとともに、オークション進行中においても常時、不正行為を図ろうとしている対象者を自動監視又は自動排除することができる。
オークションシステム100と同様、受領権オークションシステム200においても、複数の投資家22(x)からの入札要求を統合したオークション代理入札を設ける。入札者グルーピング手段47は、複数の投資家22(x)からの落札希望の保険金受領権に対して、前述したようなグルーピング手法によって当該仕様が近似する入札者を自動的に抽出/グルーピングし、グループ毎に入札権を付与することができる。オークション代理入札者の意志決定権は、オークションシステム100で述べた方法で決定する他に、例えば落札希望の受領権に対する各グループメンバーの最大支払可能金額に応じて決定するようにしてもよい。この場合、本グループが希望の保険金受領権を落札すれば、落札時における保険金受領権の権利所有率/保険料支払い義務率は、前記各メンバーの最大支払可能金額の比率に順じて決定するのが好ましい。例えば、1億円の保険金受領権に対して1人のメンバー(Aさん)が5000万円支払って落札すれば、Aさんは50%の所有権と50%の保険料支払い義務を負うことになる。なお、出品者である被保険者21(x)は、落札後に投資家22(x)が保険料を払わないトラブルを未然に防止するために、保険料分を予め含んだ価格の保険金受領件をオークション出品するようにしてもよい。例えば、算定された余命年数×2年分の保険料を上乗せした価格設定にする。
なお、オークションシステム100ではグルーピングする際に入札者2(x)に提示する希望仕様項目としては、商品分類カテゴリ、出品(予定)商品ID、出品者ID、グループ最大落札価格を含んでいたが、受領権オークションシステム200での保険金受領権に関する提示仕様項目には、算定余命範囲(3年以下等)、病種(複数表示可能)、年齢下限(被保険者何歳以上)を含んでいることが好ましい。
オークションシステム100と同様、受領権オークションシステム200においても、複数の投資家22(x)が1つの保険金受領権を分割落札することができる機能(分割落札処理手段50)を有している。複数の投資家22(x)は、1以上の個人投資家、又は複数の個人投資家をメンバーとする1以上のオークション代理入札者である。分割オークションの手順は、図4に示したフローチャートの流れに沿って行う。
なお、オークションが終了した後、図2のステップS28で行われる権利分担化の処理は、オークション後処理手段52を備えたオークション管理者用の端末装置23の他に、例えば代理委託会社が行うようにしてもよい。また、本受領権オークションシステム200における被保険者21(x)は仲介業者である代理人を含み、投資家22(x)は機関投資家、年金基金・共済・組合・財団・各種法人に対する投資信託会社の代理人を含んでいる。
本受領権オークションシステム200によれば、公的監査/法規に基づいて出品された保険金受領権の最低取引価格を設定していること、及び適正価格算出手段48によって被保険者21(x)の保険金受領権に対する適正な市場価格を自動的に算出している。これにより、被保険者21(x)が投資家22(x)に保険金受領権を売却する際に、買取転売の業務一般を仲介代理する受領権プロバイダーやその仲介ブローカーなどによって、保険金受領権が不当に安く設定されることを防止することが可能となり、被保険者21(x)は取引の公正さが維持された状況で最適化された市場価格の受領権を売却できるようになる。
さらに、米国に見られるような従来の受領権プロバイダー側の情報開示の不透明さや違法性を解決すること可能になる。特に投資家22(x)にすれば保険金受領権の購入を考慮する際の受領権に関する情報が透明化されるので、従来よりもはるかに適正且つ公正な取引を行えるようになる。
さらに、受領権プロバイダーの詐欺商法、開示情報の不透明さ、虚実の説明、弱い者いじめによる不正利益の追求に大きく貢献できる。
また、従来では保険金受領権の金利が固定され、満期が被保険者の死亡時期であることから、投資家22(x)は保険金をどの時点で利回り配当として得られるのかが不確定ではあった。
これに対して本受領権オークションシステム200によれば、保険金受領権を複数ユニットに分割し、分割したユニットに識別子IDを付与し、IDに基づいて電子データベースで管理する。ユニットは登録後、ユニットから派生する電子マネー決済を含む事務処理に必要な属性情報を持たせることで、コンピュータによる自動手続きが可能になるようにする。データベース登録後も保険金受領権運営機関を通じて自由に売買、所有者登録変更が可能であり、保険金受領権の証券化を自動的に実施することができる。これは保険金受領権の電子証券化が可能になることを意味する。
これにより、現存する有価証券と同様に、その純資産価格(ネットアセットバリュー)の値が保険金受領権に関する様々な詳細データによって常時変動し、有価証券と同じ特性を持たせることができる。このことは、証券取引法に基づいた証券市場の取引レベルと同様の透明性が、保険金受領権の取引にも要求することにつながる。したがって、従来のように仲介業者等が不当に低く受領権価格を設定することで補保険者21(x)から叩き買って大きな利幅を稼ぐことや、情報の開示操作を不正に行って保険金受領権を販売する詐欺商法など、証取法違反に該当する不正取引を未然に防止することが容易になる。これは、将来、全世界の国々で保険金受領権の市場を、有価証券あるいは有価証券並みの厳しい監査状況下における透明感あふれる健全な市場として育成させることに大きく貢献できることを意味している。
(実施例3)
ここでは、実施例2の受領権オークションシステム200における各関連機関(被保険者21(x),投資家22(x),オークション管理者23など)で必要となる手続を自動化するとともに関連機関同士で自動決済を実現するための受領権データベース25の更新について説明する。これを実現するために、本実施例のオークション管理者用の端末装置23は、図7に示す構成手段の他に自動決済手段54を更に備え、通信ネットワーク24を介して、オークション管理者用の端末装置23と、病院端末装置(不図示)と、保険会社端末装置(不図示)とが互いに通信可能なように接続された構成になっている。
前述したように、受領権オークションシステム200では出品された保険金受領権をユニット単位に分割して行う分割オークションを実施することが可能であるが、例えば数億円の受領権を数百〜数千人規模の不特定多数の者が落札して分権譲渡させるような場合、オークション管理者23側の事務手続きが膨大となり業務運営を円滑に進行させるのに手間を要する。これを解決するため、分割オークションの場合は、前記分割落札処理手段50によって出品ユニット毎にユニットIDを付与し、これとリンク付けされたユニット属性情報が受領権データベース25に記憶されるようにする。ユニット属性情報は、ユニット総数である受領権分割数n、保険会社情報及び保険金額含む保険契約内容、算定余命日付、入札者ID、落札者ID、オークション後処理手段52によって付与された代理保管者IDを含むのが好ましい。
例えば出品者である被保険者21(x)が保険金10億円で月額保険料10万円の保険金受領権を、譲渡希望価格1億円で分割数n=100ユニットでオークションに出品し、最終的にこの条件で落札されたとする。このうち、ある投資家Aが10ユニットを1000万円で落札していれば、投資家Aは持分10%(=10ユニット/100ユニット)の保険金である1億円を受け取る権利と、持分10%の保険料1万円(=10万円*10%の支払い義務を負うことになる。そこで、分割落札処理手段50は、例えば、正式な落札内容(全体保険金、全体保険料、Aの持分率、Aの受取保険金額、Aの支払保険料、落札日時など)を投資家Aに報告するための契約書類については、ユニットIDをキーにして各ユニットの属性情報を受領権データベース25から抽出し、そのうち落札者IDが同一のユニットをまとめて処理することで投資家Aが落札した分の契約書類を作成することができる。なお、これら一連の帳票類作成は、オークション管理者用の端末装置23の有する事務処理手段(不図示)又はその他のコンピュータによって自動的に行えることは当業者にとって明らかである。
このように本実施例によれば、ユニット情報の管理により、落札後の投資家Aに対する事務連絡又は代金の徴収/支払い等の処理を自動化することが可能であるため、様々な手続き業務の高効率化を実現できる。なお、分割オークションでない場合も、被保険者ID又は出品商品(保険金受領権)毎の出品IDによって落札後の処理を自動化することができる。
自動決済手段54は、被保険者21(x)の健康管理者(例えば病院など)が病院端末装置(不図示)を介して定期的に(例えば三ヶ月一度あるいは毎月など)送信してくる被保険者の死亡に関する情報(即ち、被保険者がいつ、何の病名で死亡したかの情報)、健康状態、又は医療費(医療報告)を受信する。次に、この受信した死亡情報等と、既に受領権データベース25に記録してある当該被保険者の算定余命情報とを検索し比較することによって、投資家の保険料支払い分及び保険金受け取り分の計算を行い、投資家への毎年の返還金を算出する。そして、自動決済手段54は、返還金を投資家に毎年キャッシュバックする場合は、毎年、投資家口座82に送金するよう決済指令を出す。これにより、投資家及び保険会社の電子口座間で(電子マネーによる)収支決済が実行される。なお、データ記憶手段53は、収支決済指令が出されたことや、当事者の電子口座で収支決済の事実があれば、最新情報として受領権データベース25に記憶する。
前述したような収支決済は、返還金に限らず、且つ投資家及び保険会社の電子口座間だけを対象とするものではでない。図8は、受領権オークションシステム200に示した被保険者21(x),投資家22(x),オークション管理者23の各電子口座(それぞれ、被保険者口座81、投資家口座82、管理者口座80)に加えて、被保険者医療機関(病院)が保有する病院口座83と、被保険者が契約する保険会社が保有する保険口座84との間の金銭データのやり取りの全体を示したマネートランザクション(マネーフロー)図である。各電子口座の収支決済のために生じる具体的なマネーフローは以下のとおりであるが、これらすべてが前述した返還金のように受領権データベース25に記憶された最新情報を基に所定の電子口座間において自動決済されるのである。
(i)保険金受領権の譲渡金の流れ :投資家口座→管理者口座→被保険者口座、
(ii)月々の保険料支払いの流れ :投資家口座→管理者口座→保険口座、
(iii)生命保険金支払いの流れ :保険口座→管理者口座→投資家口座、
(iv)医療費保険の負担分支払いの流れ :保険口座→病院口座、
(v)(iv)の保険で賄えない自己負担分の
医療費支払いの流れ :被保険者口座→病院口座、
(vi)手数料支払いの流れ :各口座→管理者口座、
また、自動決済手段54は、病院端末装置からの定期的な受信で被保険者の死亡情報を知る他に、人の生存を自動的に識別する任意のセンサ(例えば、体温センサ、赤外線センサ等)を使って被保険者の生存を確認したり、さらには被保険者の位置情報を位置検出装置(例えばGPS装置)で特定して、被保険者の生存情報や現在位置を把握するようにしてもよい。特に限定するものではないが、肩こりなどが取れるというような腕輪やネックレスなどのアクセサリー又はペースメーカー装置などを被保険者に常に装着してもらうことでその健康状態(又は生存状況)を自動的にチェックすることもできる。そして、データ記憶手段53は、取得した被保険者の死亡情報又は健康状態を最新情報として受領権データベース25に記憶する。
このように本実施例によれば、保険金受領権に関連する収支決済処理を自動化することが可能となり、病院側は取立屋を雇ったり法的処置を取らなくても治療費や入院代金を確実且つ自動的に回収できるようになり、不良債権がない安定した病院経営を行うことができる。また、収支決済処理に付随する事務処理も、分割オークションでの事務処理と同様に帳票類の作成等を自動化して、様々な業務の効率化を図ることができる。
さらに、被保険者の健康状態を定期的に取得して受領権データベース25を更新させるので、保険金受領権を基に金融商品を組成し運用する機関(例えば、投資信託、投資銀行、各種組合の営業者、ファンド運営会社、及び証券会社など)が、この精度の高い情報を保有した受領権データベース25を活用して運用を行うことを可能にする。したがって、投資信託機関のみならず顧客投資家にとっての利便性を高めることもできる。
なお、本実施例では、電子口座を介して被保険者の医療費を病院が回収する態様及び効果について言及したが、これは老人ホームや高齢者生活施設の介護施設側での資金回収についても全く同様に適用できるものである。この場合、図8に示す「病院口座」を「介護施設口座」に、「被保険者口座」を「高齢者口座」に置き換えればよい。ただし、高齢者の生命保険金が少なく、それまで高齢者介護のために要した費用の合計(未回収債権の金額)を下回る場合は、介護施設側がその分を損益として抱えることになる。したがって、保険金の金額を超える費用については高齢者側で負担することになることを事前に合意した上でオークションの実行をすることが実際上の留意点として挙げられるだろう。より好ましくは、オークション管理者23が高齢者の健康状態を基に保険金受領権の適切な価格査定を行い、介護施設側が負担できるリスク/負担できないリスクを判断すべきであろう。
したがって本実施例によれば、老後の生活資金が足りないために老人ホーム等で生活できない高齢者は、自らの保険金受領権をオークションにかけて売却することで老人ホームの加入金や月々の使用料の支払いを心配することなく過ごすことができる。すなわち、身寄りのない老人や資金に乏しい高齢者であっても保険金受領権を担保にすることで彼らが介護施設での介護を受け入れやすい状況を作り出すので、高齢者及び介護施設側の双方にメリットを与えることができる。
(実施例4)
ここでは、実施例3で示した各電子口座の収支決済のマネーフローに、義援金(見舞金)に関する金銭データのやり取りが追加する内容について説明する。
実施例3と同様に、自動決済手段54は、受信した死亡情報等と受領権データベース25の算定余命情報とを比較する。当該比較の結果、算定余命よりも寿命の方が短い誤差であれば、見舞金/義援金支払手段55は、前記誤差に応じた調整金を被保険者口座81から管理者口座80へ自動的に送金し、これとは逆に算定余命よりも寿命の方が長い誤差であれば、管理者口座80から被保険者口座81に自動送金する。この送金は長生きした被保険者への見舞金の意味を有する。なお、被保険者口座81とは別にお見舞い口座85を設けて、ここに前記調整金を送金するようにしてもよい。
また、任意の広告等によって、保険金受領権に限らない任意の受領権に対する被保険者義援金を募るとする。この結果、投資家22(x)は投資家口座82経由で投資信託および金融商品組成機関の電子口座(不図示)に、投資家22(x)以外の第三者からは直接、この投資信託および金融商品組成機関の電子口座に当該義援金が入金された場合には、見舞金/義援金支払手段55は、この義援金を算定余命誤差に準じた金額の見舞金に割り当てて被保険者口座81に自動送金するようにする。
本実施例の見舞金/義援金支払手段55による義援金送金機能によれば、被保険者が算定余命よりも長生きすることを望まないという従来の保険金受領権の仕組みが持つ悪循環と同義的な根本問題を解消することができる。
なお実際には、被保険者が自らの保険金受領権を転売する最初の段階で、「被保険者相互互助の会」(以下、互助会)と称するような被保険者同士の相互互助を目的とする会に入会することも有り得る。被保険者がこのような会に入会する/しないは被保険者の自由意志により決められる。加入する場合、被保険者は予め定められた会費を、例えば保険金受領権の売却の際に互助会の電子口座(不図示)に支払うようにする。互助会の電子口座に集められた会費は、前述した見舞金のためだけに管理され且つ使用され、被保険者口座81に送金される。
さらに、互助会の電子口座の資金が枯渇した場合でも被保険者に資金を送金できるようにするため、世界中の不特定多数の方々からの寄付金を受付ける専用口座の寄附口座を設けて、互助会の電子口座と同様の管理/使用を行うようにしてもよい。
(実施例5)
ここでは、被保険者の保険金受領権を担保に取ることで、被保険者の保険料及び治療にかかる毎月の必要経費の資金を融資できる仕組みについて説明する。
オークション管理者23の融資管理手段56(図7参照)は、図9に示すように、投資運用口座86から被保険者口座81を経由した保険口座84への保険料の支払い、及び投資運用口座86から被保険者口座81を経由した病院口座83への医療費の支払いを所定の期日が来ると定期的に自動実行する。ここで、融資機関とは、例えば、オークション管理者23、銀行、さらに被保険者への融資目的に設けられた会社や機関や融資サービス提供団体のことを総称している。
融資機関は、被保険者の保険金受領権を融資の担保として保有し融資する。被保険者は例えば治療に成功し社会復帰した場合、融資金を金利付きで返済することができる。また、被保険者が所定期間内に利子付きで融資金の返済を完了した場合は、融資機関が担保に取った被保険者の保険金受領権を返還することを当該融資の契約事項に含むようにすることもできる。端的に言えば質屋の論理と同じで、被保険者は質屋(融資機関)に受領権を質(担保)に入れることで月毎や半年毎に一定の融資を分割して受け取り、その間は融資機関が保険金受領権を融資担保として保管し、融資金及び利子の返済が完了できた場合には質屋(融資機関)が被保険者に保険金受領権を返すという構成である。ただし、融資機関は、公的機関/法規に基づいて被保険者の保険金受領権の最低取引額を予め調査してから融資金額を算定することが好ましい。
本実施例の融資機能によれば、被保険者が長生きするほど融資機関の金利収入増えることになるので、被保険者が算定余命よりも長生きすることを望まないという従来の保険金受領権の仕組みが持つ悪循環と同義的な根本問題を解消することができる。また、実施例3と同様にすべての関連機関の資金フロー及びその業務フローの自動化を図ることができる。
(実施例6)
ここでは、被保険者が算定余命よりも長生きしたときの投資家が負担する保険料の支払い義務(リスク)に対してリスクヘッジできる仕組みについて説明する。
本実施例は、投資家と被保険者が双方で協力し合って、延命分の保険料を融資し合うようにし、銀行融資ではなく投資家の利益から融資することが特徴である。本実施例に適用され得る被保険者のタイプとしては、例えば高年齢者で毎月の保険料の支払いに苦心している者が該当し、また投資家のタイプとしては、例えば年金基金などの長期的な資産運用を主に扱うことを目的とする任意の法人や年金基金団体等が該当する。
複数の投資信託を組み入れた金融商品に対する分散投資と同様、単品の保険金受領権を複数組み入れた保険金受領権の場合、算定余命及び病種を基に分散配分した投資金の配当利子は毎年回収したり満期時に一括回収したりするのが従来であった。
本実施例では、投資運用資金を貯蓄管理する電子口座(投資運用口座)86を設け、複数の保険金受領権を分散配分して組成する金融商品(例えば投資信託等)の満期まで、投資運用手段57(図7参照)は投資家口座82から投資運用口座86に投資金をプールする。そして被保険者の保険料や治療費を支払うために、投資運用手段57は、投資運用口座86から保険口座84へ自動送金したり、投資運用口座86にプールした投資金を被保険者口座81に回して医療費として病院口座83へ自動送金したり、或いはプールされた投資金を基に他の投資信託商品に投資する。
一方、満期になれば、投資運用手段57は、保険金受領権の買取金額から医療費を引いた金額を投資運用口座86から被保険者口座81に送金することで、投資家はプール金の残りを受け取る。この受取金には保険金が含まれている。また、満期は、複数組み入れたそれぞれの単品保険金受領権のうちで最大の算定余命に例えば1.5を乗じて設定しておくのが好ましい。つまり、複数の保険金受領権のうち満期4年が最大であれば1.5倍の6年を本実施例での満期にする。このように満期を長くすることで、受領権譲渡金を投資信託機関で長くプールし運用することが可能となり、その利回りで投資家が負担する保険料をまかなうことができるようになる。また、被保険者が算定余命よりも長生きすることを望まないという陰湿なイメージを払拭するとともに、従来の保険金受領権の仕組みが持つ悪循環と同義的な根本問題を解消することができる。
なお、満期時に被保険者の算定余命と実際の死亡時点から生じる誤差に応じて、被保険者が受け取る保険金に補正を加えるようにするのが好ましい。被保険者の実際の寿命が算定余命より短ければマイナス補正を、長ければプラス補正を施すことで算定余命の誤差分を矯正することが可能となり、投資家と被保険者間で公正な利益供与を実現することができる。
(実施例7)
次に、算定余命の異なる複数の保険金受領権を組合せた金融商品(例えば、満期固定型の投資信託や、任意の組合商品などを意味し、以下、「組成受領権」とよぶ)を自動組成する受領権組成システムについて説明する。
保険金受領権の価格を設定する基本的な情報は被保険者の算定余命情報であるが、従来は医者によって算定余命がひとたび決められれば時間の推移にあわせて見直されるようになっていなかった。このため、被保険者が算定余命よりも早く死亡したり或いは長く生存することによって、算定余命が決められた時点での保険金受領権の価値が大きく変動することになる。したがって、投資家の中には満期までの運用期間中に発生するさまざまなリスクのために甚大な損失を被ってしまうという問題があった。そこで、本実施例の受領権組成システムは、保険金受領権に関連する情報を入手することでリスクが発生する可能性のある受領権を抽出し、それを他の受領権に入れ替えて組成受領権の構成を動的に変更し、これにより投資家にとってのリスクヘッジを行うことができることを大きな目的の一つとしている。
受領権組成システムはデータベースとアクセス可能に接続された受領権組成装置と、当該データベースの情報を更新するための1以上の情報端末とが、通信ネットワークを介して互いに通信可能なように接続された構成になっている。情報端末とは、例えば被保険者の余命を算定する医者がアクセスする機器を含む。データベースは1つで構成してもよいが、後述する各種のデータベースごとに分けて複数で構成するようにしてもよい。また、組成受領権の売買取引のために実施例2に示したオークションシステム200と同様なオークションシステムを構築するようにしてもよい。
組成受領権を商品化する際には、単品の保険金受領権の調査を総合して様々な用途向けに対応しながら構築する必要がある。そこで、受領権組成装置は、様々なデータベースに記憶された情報を基に、単品の受領権の価格査定と複数の市場要因との関連性を分析することで単品の受領権の市場適正価格を算出し、組成受領権の構成を動的に組替えることができるようにする。また、組成受領権の構築に付随してくる様々な業務についてもその作業を自動化して省力化が図れるようにする。また、単品受領件を複数ユニットに分割(電子受領権株化)して処理できるようにする。
まず、単品の保険金受領権に関する適正価格の算出方法についての一例を示す。
このためには、算定余命誤差DBと、項目評価DBと、投資運用機関が購入済みあるいは購入対象として扱う単品受領権及び業界で過去に取引された単品受領権のDB(以下、単品受領権DBと称する)とを必要とし、受領権組成装置がこれらのDBをアクセスして適正な価格を求める。
単品受領権DBには少なくとも以下の項目を含んでいる。
・被保険者年齢,性別,国籍、
・算定余命(P1)、
・病種(P2)、
・平均余命(平均寿命から被保険者年齢を引いた値)(P3)、
・DNA判定余命(DNA判定寿命から被保険者年齢を引いた値)(P4)、
・免疫能測定値(P5)、
・保険会社格付け情報/保険金支払い条件(P6)、
・受領権買取金額、
・受領権価値=保険金−(受領権買取金額+(算定余命*毎年保険料*1.5+受領権買取金額*手数料利率))=保険金―投資金、
・年利=(保険金―投資金/投資金)/算定余命、
これらの項目から後述する計算式によって、以下の項目を算出し、単品受領権DBに記録しておく。
・受領権評価ポイント(Pt)、
・受領権評価指数(Ph)、
なお、前記受領権買取金額は、未購入受領権の場合、受領権評価指数より適正価格を計算して受領権買取金額の代わりとする。
算定余命誤差DBは、医者が被保険者死亡前に最終的に算定した余命(最終算定余命)と被保険者の実際の死亡日との誤差(算定余命誤差)が記録されたデータベースである。本システムの大きな特徴の一つは、定期的に最新算定余命情報を収集することで投資家リスクを事前に予測し、組成受領権の構成を動的に組替えて、自動リスクヘッジする機構にあるため、最終算定余命を機軸として算定余命誤差データを収集管理する。受領権組成装置は、病種、年代、性別、国籍、平均余命、DNA判定余命、免疫能測定値、医療機関、主治医を検索条件として算定余命誤差を参照したり、誤差の偏差値を求め、ばらつき、ひずみ等をチェックし、検索条件と算定余命誤差の相関を調べることができる。
項目評価DBには、検索項目(P1〜P6)毎にポイント変換表と重み付け係数とが格納されている。
単品の保険金受領権の適正価格は、受領権評価ポイント(Pt)を算出して、これから受領権評価指数(Ph)を算出してから所定の計算式(式2)から求める。すなわち、
H=保険金、R=年利、SY=算定余命、hy=毎年の保険料、α=信託投資運用機関手数料比率としたとき、
適正価格J=((H/(R・SY+1))―SY・hy・1.5)/(1+α)…(式2)、
となる。
ここで、受領権評価ポイント(Pt)及び受領権評価指数(Ph)は、実施例2で前述した算出方法と同じなので省略する。
なお、評価値(P1〜P6)、及び受領権評価ポイント(Pt)は、保険金受領権の自動組成の実行時に前記項目評価DBにアクセスして求めてもよいし、各データベースのデータが更新された任意の時点で最新データに基づいて行うようにしてもよい。そして受領権評価ポイント(Pt)が求まったならば、次に、単品受領権DBの全評価ポイントのサンプルを母数として、当該単品受領権の評価ポイントの偏差値を求め、これを当該単品受領権の評価指数(Ph)とする。受領権評価指数(Ph)は、保険金受領権の自動組成の実行時に前記単品受領権DBにアクセスして求めてもよいし、単品受領権DBのデータが更新された任意の時点で最新データに基づいて行い、これを単品受領権DBに格納しておいてもよい。保険金受領権未購入の場合は、受領権の適正価格をコンピュータで演算して求め、この価格を使って自動組成及びシミュレーション実行することになる。
以上説明した単品受領権の適正価格の算出方法は一例であってこれに限定されるものではない。以下に示す情報を用いて任意のアルゴリズムで算出することができることに留意されたい。
・被保険者の健康状態の推移。
・被保険者の算定余命。
・被保険者の算定余命の根拠となる主治医の診断書。
・被保険者の算定余命の根拠となる過去一定期間のカルテに記載された主治医の診断。
・被保険者の主治医の実績(算定余命に対する過去の的中率)。
・被保険者の主治医の過去の主な業績、特化技能など。
・被保険者の主治医以外の医師による被保険者の算定余命。
・主治医以外の医師による算定余命の根拠と診断内容。
・主治医以外の医師の実績(算定余命に対する過去の的中率)。
・主治医以外の医師の過去の主な業績、特化技能など。
・被保険者が契約している保険会社の格付け。
・保険会社の支払能力、経営安定度。
・保険会社の保険契約書の法的検証(死亡原因・場所等で保険金額に相違があるため)。
・保険会社の本店所在地にかかわる法的規制。
・被保険者の国籍。
・被保険者の年齢。
・被保険者の過去の病歴。
・被保険者の現在の病状。
・各病気における医療技術の革新度とその変化に関する情報。
・各病気の現状(医療技術に対する治癒率)。
・国別・年間ごとの保険金受領権の取引高総額(即ち、被保険者の総数と出品総額と、投資家の総数と入札総額との総和であり、米国、日本、中国、英国、ドイツ、フランス、インド、スイス、カナダなどの主要26カ国ごとにデータを収集する)。
・保険金受領権対象の被保険者の死亡時期の累積データと、確率密度関数による年間死亡率データ(なお、余命算定ごと、病種ごと、年齢別、性別、米国・日本・ドイツ・英国・フランスを中心に26カ国ごとにデータを収集する)。
・保険金受領権対象の被保険者の死亡時期に関する外部要因ごとの統計データ(即ち、余命算定ごと、病種ごと、年齢別、性別、米国・日本・ドイツ・英国・フランスを中心に26カ国ごとのデータに基づく死亡率のシグマ偏差値)。
前述したこれらの情報を実際に格納するのが、以下の複数のデータベースである。本実施例では、複数のデータベースを含んで構成するようにしたが、すべてのデータを1つのデータベースで記憶するように構成してもよいことは言うまでもない。なお、各関連機関同士の事務手続き、各種取次ぎ、対応、事務作業、決算報告書の作成や配布など、保険金受領権における関連機関へのあらゆる業務フローに必要となる情報も、各関連機関のデータベースに記憶されるようにしておく。
(1)患者の個人情報DB(DB=データベースのこと):
健康状態ではなく、氏名と個人ID、住所、連絡先、職業、家族構成、現在の経済状況、受領権を転売する動機、死亡までに達成した夢や希望、かかりつけ病院と医師名などの個人情報を含む。本DBにアクセス可能な情報端末等で、例えば「医師名」をクリックすればその医師のデータを取得することができる。
(2)個人投資家の個人情報DB:
氏名、住所、性別、連絡先、職業、勤務暦、年収、勤め先、役職、資産状況、現在の収入源、この人物が例えば25%以上の株を保有する企業の名、家族構成、べネフィシャリー、保険金受領権への投資回数とその商品のリスト、受領権に投資する動機、国籍、目的とする配当金利値、資金の種類、収入源、投資目的を含む。
(3)機関投資家の法人情報DB:
法人名、住所、連絡先、職種、資本金額、経常利益金額、従業員数、設立年月日、株主構成、資金の種類及び投資目的、申込者が社長以外の経理などの場合は代表取締役からの許可証または委任状、目的とする配当金値、登記簿謄本を含む。
(4)年金基金および各種財団、各種法人のDB:
名前、財務諸表、積立(年金目的など)を支払っている人数、目的とする運用計画、毎年の目標金利額、資産額と過去の運用による利益及び損益の累積、最低限の運用数字を含む。
(5)病院の情報DB:
病院名、創業年月日、専門分野、従業員数、病院の経営状態、受領権を譲渡した被保険者情報。
(6)システム管理業者の情報DB:
財務諸表、年間の損益貸借表と決算報告書の開示、監査法人からのコメント、格付け、資本金、本社住所、年間経常利益、実績、企業理念、社会的な貢献の実施の報告を含む。
(7)各種病気の現状調査DB:
医療革新進捗データと病気の完治度の実態とに関する情報、及びその情報の履歴を含む。
(8)医師DB:
医師の名前、所属病院、専門分野とその実績、算定余命の的中データ(スコア度)、特技、キャリア履歴、専門研究を含む。
(9)業務フローDB:
各種の業務フローごとの情報、及びその情報の履歴を含む。
(10)マネーフローDB:
各種のマネーフローの実績データ、及びその累積データを保持/管理するデータ(即ち、口座詳細に記載するのに必要な、いつ、誰が、どこに、いくらなどの詳細なトランザクション情報)を含む。
(11)単品保険金受領権証券DB:
現在、保持中かつ運用中の受領権に関する情報又は信頼性を示すデータで、投資決定に必要なあらゆるデータを含む。
(12)受領権の金融商品DB:
現在、保持中かつ運用管理中の受領権に基づく金融商品のデータで、商品の構成、目標達成利子額、現在運用進行中の金融商品の中身を構成する受領権や各種証券や債権など現在の純資産価値の推定値、及びそれに基づくリスクヘッジの計算と分析値、戦略の提案データを含む。
(13)投資家への決算書(運用報告書)作成DB:
受領権証券の金融商品の運用報告書、決算の計算式のドキュメントを含む。
(14)電子コンプライアンスDB:
投資家及び被保険者に対するコンプライアンスの基準、調査項目を含む。
(15)ブラックリストDB:
悪徳商法をしてブラックリストに載った、または該当可能性のある人物の素性と特質、写真、趣味、ブラックリストに乗った理由と履歴を含む。
(16)電子パトロール用DB:
怪しい取引処理をする人物に関するデータ、及びその情報の履歴を含む。
(17)公正取引委員会DB:
受領権の売買を適正価格にて行うための業務フロー等のチェックデータを含む。
(18)見舞金患者のDB:
見舞金を誰が、いつ、いくら取得する/したかに関する情報を含む。
(19)寄附エスクロ口座DB:
誰が、いつ、いくら、寄付してくれた等の各々のトランザクションにおける記録データ、及びその情報の履歴を含む。
(20)老人ホームおよび高齢者生活施設DB:
各施設のデータであり、名前、場所、条件、入会料、年間にかかる料金、どんな条件の受領権を担保に老人を入会させるかを決定するための条件、どんな条件の老人を受け入れるかその各々の条件、実際に受領権を担保に老人ホームに入った老人の個人データ、施設側からの報告情報である老人の生活状況と健康状態に関する情報、その情報の履歴を含む。
(21)本システム内に設置する各種口座DB:
各種口座の状態情報及びその情報の履歴を含む。なお、口座の種類は、患者口座、病院口座、高齢者施設口座、保険口座、管理者口座、見舞金口座、寄付金口座、受領権仲介転売口座、受領権への投資口座、組成受領権口座、組成受領権運用口座、入札者(落札者)口座、出品者口座を含む。
(22)本システム内に設置する銀行のエスクロ口座:
口座の種類は、被保険者口座、病院口座、高齢者施設口座、保険口座、管理者口座、見舞金口座、寄付金口座、受領権仲介転売口座、受領権への投資口座、組成受領権口座、組成受領権運用口座、入札者(落札者)口座、出品者口座を含む。
(23)被保険者(患者)の死亡情報DB:
被保険者が死亡したときの病気、時期、場所、状況に関するデータ、及び死亡前三ヶ月〜半年等の行動範囲と健康状態の推移データを含む。
前記データベース群で留意すべき点は、これらの情報は所定の電子IDにより管理され、且つ時間の経過と共に各関連機関のマネーフローや業務フローで新たな情報が発生すると、自動的又は手動で所定のデータベースに逐次追加され更新が図られていることである。データベース内の情報の更新により、本実施例の受領権価格−市場要因間の分析が現実に即して更に精度良く行えることにもなり、組成受領権の商品価値を向上させることにつながる。
次に、前述した方法で求めた単品の保険金受領権の自動組成方法について説明するが、はじめに、本実施例の受領権組成装置が組成する金融商品(組成受領権)の種類と特徴について以下に記す。
(a)被保険者が死亡することで金融商品組成機関、年金基金、信託銀行、投資信託、組合資金運営会社などあらゆる機関投資家が受領する保険金の合計額を算定し、それを各々投資家の投資(出資)比率に応じて分配した配当金を現金化し、キャッシュバックという形式で、投資家に支払うタイプの金融商品である。毎年キャッシュバック、あるいは、半年に一度(年2回)のキャッシュバックなど様々な形態をとれるが、例えば3年満期、5年満期、7年満期というような短期中期型の運用目的に適した満期に時間設定することが望ましい。
(b)前述した(a)のような金融商品ではなく、満期終了時まで毎年の保険金および元本の一部が配当金として支払われるもののこれを現金で受領せずに、さらなる受領権の金融商品について循環投資(再投資)を毎年行うタイプの金融商品である。この金融商品の特徴は、毎年のキャッシュバック分の利益を満期まで常に再投資し続けることで、株式投資の「複利の法則」でその配当利益を時間の経過に連動させて増やしてゆくことができることである。なお、配当金の支払いは満期時に一括で行われる。
(c)前述した(b)と同様の金融商品であるが、満期まで資金がロックイン(引き出し不可能であること)されてしまうのではなく、資金が必要になれば満期前でも解約せずにその時点で投資家の口座に引き出して現金化できるタイプの金融商品である。しかし、引き出し可能金額は、口座残高を限度である。
(d)前述した金融商品(a)〜(c)を基本として、さらに投資信託や金融商品、株式、債券、証券化された不動産リート株などを交合させて一つの金融商品にまとめるタイプの金融商品である。つまり、保険金受領権の金融商品に、経済市場(アジア市場、米国市場、ユーロ市場など)における投資信託や組合商品や各種株式などを自由に組み入れることで投資金を分散投資させポートフォリオを形成する。これにより、予め狙った希望リターンを達成できる。また、これら金融商品の複合(ファンズオブファンズのような構図である)した金融商品において、従来の基本形である満期不確定でリターン固定型の保険金受領権の単品を複数組み合わせ、元本確保型、元本保証型の金融商品を含む。
(e)単品の保険金受領権、及び保険金受領権を基にした前記(a)〜(d)のような金融商品を、従来の国債および銀行の0クーポン債の利子で元本を確保する、いわゆる元本確保型の各種投資信託および組合商品において、その元本を確保する部分に運用するタイプの金融商品である。
(f)保険金受領権を銀行が担保に取ることで資金を被保険者に融資し、そこから得る利子を前記(a)〜(e)のような金融商品に循環投資することで利益を上げながら利子を分配するタイプの金融商品である。満期固定型で、利子の配当を満期時一括又は毎年のキャッシュバックで受け取るかを投資家自身が選択できる。
(g)金融商品化された受領権及び複数の受領権で組成した金融商品をそのまま銀行ないし資金融資機関が担保に取ることで、その金融商品そのものを「満期固定型で、かつ元本確保(保証)型、ならびに金利固定型」に組成したタイプの金融商品である。つまり、保険金受領権の「満期固定で、金利も固定の元本確保(保証)」の金融商品である。
(h)本実施例の受領権組成装置では、単品の保険金受領権が電子化・証券化されているため、複数に分割して売買取引を展開することが可能である。つまり、車一台をそのまま売るのではなく、車を様々な部品に分解してその各々の価値や重要度から市場価格を自動的につけて市場でばら売りできる。例えば、10,100,500などのユニットに分割された受領権は、さまざまな用途にあわせて個人投資家や機関投資家などによって適正に市場で売買され、その各々が証券のように自由に売買できる。
したがって、単品の受領権を複数に分け、複数の異なる用途や、多種の運用方法・多種のスキームにあった各々の金融商品に分散して組み込んでいくことができる様々な有価証券を組み合わせたタイプの金融商品である。また、前記(a)〜(g)のような金融商品のタイプ別に、受領権を自由に組み入れたり、途中で転売したり、買い換えたり、他の商品と移行したりできる金融商品を含む。
(i)前記(a)〜(h)のような金融商品の組成に付帯するあらゆる金融商品である。
次に、受領権組成装置による組成受領権の自動生成の手順を示す。図10にその手順を示す。
(1)組成受領権の購入を希望する顧客の希望仕様を入力する。
希望仕様の項目には、
・運用タイプ(毎年の配当金のキャッシュバック有無等)、
・最大投資額、
・最低受領権価値(=保険金−投資金)、
・最低年利、
・満期、
・病種(複数選択可能にする)、
・年齢層、
・投資総金額に対する算定余命毎の最大投資比率(図11の入力画面例に示すように、6年満期の場合、1年ものを20%以下、2年ものを40%以下、3年ものを40%以下、4年ものを50%以下、5年ものを60%以下とするような値)、
・単品受領権の最低評価指数、
・利率型、安心型(評価指数重視型)、分散型、ランダム型のいずれかのタイプの選択、
を含むのが好ましい。
なお、図11は、保険金受領権の買取金額が固定された、固定リターンの受領権の商品を組成する場合で、ポートフォリオからの毎年の配当(リターン)をキャッシュバックする場合の入力画面を示している。当然、ない年の配当金(リターン)を再投資して、満期まで受領権にて循環運用する商品の構成もあるが、これは毎年の配当金をキャッシュバックする商品の画面例である。例えば、ポートフォリオを作成する際、利率優先型、安定型、分散型、ランダム型と運用スタイルを選べる。
(2)次に、受領権組成システムを管理運営する信託機関が投資運営対象とする受領権の内で仕様条件を満足する単品受領権を、1以上の当該仕様条件を検索キーにして単品受領権DBの中から検索しリストアップして、必要に応じてそれを画面表示する。
(3)次に、(リスク分散させることを目的として)算定余命毎にn個の単品受領権を(2)でリストアップされたものの中から選択する。希望仕様として利率重視タイプが選択されている場合は利率Rの高い順に選択し、安定型タイプが選択されている場合は評価指数Phの高い順に選択し、分散型タイプが選択されている場合は利率Rの高いものと評価指数Phの高いものを複数選択し、ランダム型タイプが選択されている場合は無作為に選択する。
(4)次に、希望仕様として入力した最大投資額と算定余命毎の最大投資比率とに応じて構成すべき受領権の株数を決定する。このとき、構成すべき受領権株の買取り金、もしくは前述した方法により算出した単品受領権の適正価格の総額が前記最大投資額の範囲内に納まるように組成する。また例えば2年ものをn個の単品受領権で構成する場合、利率型、安心型、分散型、ランダム型のスタイルに応じて、受領権株数の構成比率に重み付けしてもよいし、等分割(1/n)してもよく、例えば仕様入力画面にオプションの詳細仕様設定機能を設け、いずれかを選択可能にすればよい。
(5)次に、顧客の希望仕様に沿った組成受領権の運用シミュレーションを実行する。運用シミュレーションとは、満期までに顧客が得ることができるリターンを計算することである。図12の画面表示は、運用シミュレーションの実行結果の一例を示すが、保険金受領権の買取金額が固定された、固定リターンの受領権にて商品を組成する場合、また、ポートフォリオからの毎年の配当(リターン)をキャッシュバックする場合の結果表示である。受領権組成装置は、図11に示す入力画面例で条件付けした内容で、そのカテゴリーに見合う保険金受領権を検索し、ポートフォリオを作成し、表示する。このポートフォリオで組成商品仕様の可否判断を求められるので、YESなら組成処理終了し、NOならまた別の受領権を検索する。本画面では、各単品の保険金受領権の評価価値指数の下の分析データの各キー項目(例えば、各々の病気の過去の統計と死亡平均値、各国、各年齢の各々の病気による死亡率、過去の保険金受領権の取引高による統計値と平均値、被保険者の主治医、専門医、DNA鑑定医師、免疫検査意志、栄養士など、単品の受領権の価値に大きく影響するキー項目)の過去の統計と業界の平均値データを参照できる(DBから最新情報を提示することで可能)。また、その各データと、自分が金融商品のポートフォリオの中に組み込もうとしている各々の単品の受領権とを比較対比させることができる。
前述したように、データベースに記録された最新の算定余命情報を基に算定余命誤差DBを更新して単品受領権の適正価格を算出しているので、適正価格の単品受領権を基に構築する組成受領権のための本シミュレーションは最新の算定余命情報を基に行っていることになる。ただし、これは組成で病種を評価することで算定余命誤差を間接的に評価することを意味している。前記(2)で評価指数Ph,利率Rの項目を参照してリストアップする際に、評価指数Phの算出で病種のポイントを求める目的で項目評価DBを参照するが、この項目評価DBの病種毎のポイントは算定余命誤差DBも参照して決定する。例えばエイズならば算定余命誤差が2年以上大幅にずれて偏差値ばらつき大きいため10点満点の3点、胃がんはずれが小さいので7点といった値になる。
一方、運用シミュレーション実行時でも算定余命誤差DBをアクセスして算定余命誤差統計データを用いている。これは、運用シミュレーションでは余命誤差が重要なファクターになるので、余命誤差を直接的に評価するためである。このため、シミュレーション対象となる受領権と同一カテゴリの受領権の余命誤差を集め、その平均値を算定余命に足し込んで、予測死亡タイミングの確度を上げてシミュレーション精度上げることが望ましいと考えられる。そこで、例えば、平均誤差が+0.5年で算定余命が3年ならば3.5年、平均誤差が−0.7年ならば2.3年を、運用シミュレーション時の算定余命(被保険者の死亡時期)とすればよい。
(6)シミュレーション対象となる受領権と同一カテゴリの受領権の余命誤差平均値を算出する際、単品受領権DBのサンプル数が多い場合は、単品受領権DBから単品受領権を抽出する際の検索条件(希望仕様)を細かく設定して、シミュレーション結果の精度を高めることが好ましい。例えば、病種、算定余命、主治医(医療機関)ランク、平均余命、DNA判定余命、免疫能測定値、国籍、性別のAND条件で検索実行し、指定した条件と一致する受領件をリストアップする。逆に、単品受領権DBのサンプル数が所定数より少ない場合は、検索条件を少なくして(例えば、病種のみ指定するなど)リストアップされる受領権の候補数が多くなるようにする。なお、検索条件数は、単品受領権DBからの検索候補数を基にフィードバックして自動的に決定することもできる。
なお、算定余命誤差統計データを用いることでこの他にも種々の算定余命に対する補正が可能であることはいうまでもない。
(7)次に、運用シミュレーション結果が、顧客の希望する最低年利を満足しているか否かをチェックする。これは、組成受領権が対象とする被保険者の算定死亡時期(算定余命)がまちまちであることと、運用シミュレーションの際に算定余命誤差の平均値を算定余命に加算させるので、当初の組成受領権で想定していた算定余命と相違し、平均値を加算した算定余命での運用シミュレーション実行するまで年利を満足するか分からないためである。運用シミュレーション実行後、最低年利を満たしていない場合は、利率型タイプならば、前記(1)の仕様入力に戻って、最低年利を下方修正して、再度、運用シミュレーションを実行する。安心型タイプ又は分散タイプならば前記(3)のリストから受領権選択する処理に戻って、最初に選択した評価指数Phの一番高い受領件の次に評価指数Phの高い受領権を選択し直して、再度、運用シミュレーションを実行する(注:評価指数Phを下げるということは利率Rを上げことを意味する)。これを繰り返してNGの場合は前記(1)の仕様入力に戻って最低年利を下方に修正した後、再度、運用シミュレーションを実行する。さらに、ランダム型タイプで最低年利を満たしていない場合は前記(3)に戻ってランダムに選択し直して、再度、運用シミュレーションを実行する。
図13は、単品の保険金受領権の各キー項目のデータDBと、自分の購入した受領権の対比した時の画面例を示している(例えば、主治医、専門医、DNA医師、免疫医師、栄養士の5つの見地から、算定余命を定期的に繰り返すので、常にほぼ正確な患者の病状の変化が把握できる)。図13中のポートフォリオの画面にて、ポートフォリオに組み込んだ各単品の保険金受領権の評価価値指数の各々の分析データの各キー項目(例えば、各々の病気の過去の統計と死亡平均値、各国、各年齢の各々の病気による死亡率、過去の保険金受領権の取引高による統計値と平均値、被保険者の主治医、専門医、DNA鑑定医師、免疫検査医師、栄養士など、単品の受領権の価値に大きく影響するキー項目)のデータと、過去の統計と業界の平均値データを対比させて、参照することができる。図14、15は各々の病気の過去の統計と死亡平均値に関する「各病種と国、年齢ごとの統計と平均」ボタンをクリックして表示させた次画面である。
最終的に、最低年利を満たしている場合、そのときの組成受領権の内容を画面表示し、顧客がこれを了承するか否かの判断を待つ。その結果、顧客が了承しない場合には、前記(1)の仕様入力に戻って前述した処理を繰返し、顧客が了承する場合には組成処理が終了する。
前記例でも分かるように受領権の場合、他の株等で構成するファンドと違って、利率を明確に算出できるため、コンピュータによる自動組成と相性が良いという大きな特徴がある。ただし不確定要素として算定余命誤差の構造的問題を含む。この為、算定余命誤差の精度を高める機構が不可欠となるが、本実施例の受領権組成装置では算定余命誤差データを医者等の医療機関から最新の算定余命情報を情報端末を介して収集し、データベースに記録する構成にしている。このため、最新且つ正確な誤差データを得てこれを基に運用シミュレーション実行することが可能となり、顧客のリスクを低減することができるようになる。受領権組成装置によって保険金受領権の金融商品化(組成)を行う場合、満期までの運用期間中に発生するさまざまなリスク(治らない病気が治るようになったことにより起こるリスク、または受領権の関係機関の保険会社の倒産、買収、合併による保険金の支払いに関するリスクなど)のリスクヘッジを考慮することが重要である。具体的には、例えば肺がんが治る特効薬や治療法ができれば、被保険者の病種が肺がんである保険金受領権の価値が下がり始める。そこで、それをできるだけ早く予知し、リスクが発生する可能性のある受領権を売却して他の受領権に買い換えるなどのリスクヘッジを行う必要が有る。
さらに、本受領権組成システムは、組成受領権毎のデータベースを備え、属性情報として、構成する単品受領権、及び受領権譲渡投資者の項目を含む構成にするのが好ましい。これらの属性情報より、組成受領権に関係する保険金受け取りイベント、保険料支払い義務が発生した場合、関係者間に発生する所定の料金支払い手続きの一部をコンピュータ処理で自動化することが可能となる。
さらに、図16に示すように、本受領権組成システムの大きな特徴は、単品の受領権を電子受領権株として分割してその各々を独立した保険金受領権電子証券(株)とし、これを様々なスキームの金融商品に組み入れたり、分散および分割することで複数の金融商品にて分散したりして、自動運用することを可能としている点にある。つまり、単品受領権を複数ユニットに分割し(以下、ユニットを電子受領権株と称する)、算定余命の異なる複数受領権の電子受領権株を組合せて金融証券を自動組成/運営することができる。これは、単品受領権単位の組み合わせに比べて電子受領権株単位で組成できるため、より柔軟な組成が可能となり、より効果的なリスクヘッジが期待できることを意味する。
また、株単位の組成品の場合は諸手続きが非常に煩雑になるが、本実施例では、属性情報として、受領権ID(どの受領権の株か)、受領権分割数(発行電子受領権株の総数)、自身が組み込まれている組成商品ID、投資家ID、前記投資家の当該電子受領権株を含む組成品に対する出資比率の各項目を含ませた電子受領権株をデータベース管理することで、緒手続きの自動化を支援でき、信託機関の業務効率を向上させることができる。例えば、組成品の保険金や保険料は株数比率で決定すればよい。また、電子受領権株毎に投資家IDを付し、このIDに関連する電子受領権株の属性情報より、保険金受け取りイベント、保険料支払い義務が発生した場合に、各電子受領権株の所有者である投資家に対する料金支払い/払込手続きを自動的に遂行する機構を構築できる。すなわち、組成品の決済手続きについても、従来の単品受領権を組成した商品と同様に、自動処理することができる。
次に、外部条件に応じて組成受領権の組成内容をダイナミックに変更する実施例について説明する。外部条件とは、算定余命変更(患者健康状態変化、医学の劇的進歩等)、保険会社の経営状態(この経営状態の中には、突然の天災による被害、企業の買収および合併により生じる株価の誤差などのイベントも含まれる)、保険会社による患者死亡時の保険金支払い法務条件の変化(保険契約書の約款のみならず、保険会社の本店所在地がある国の法律の変化、被保険者が有する国籍の法律の変化もこの中に含まれる)等が挙げられる。医療機関などによって被保険者の余命算定を定期的に行い、一定間隔で最新の算定余命と保険会社格付け情報を更新し、データベースの内容に応じて保険金受領権組成品の内容を動的に変更して自動リスクヘッジを行う。従来、算定余命は被保険者が保険金受領権を譲渡する時に一度しか判定されていない。これを、被保険者の余命を定期的に(例えば半年や年に一回など)再算定する制度に改め、予め算定余命変動を予測できるようにすることで、より的確で安全な自動リスクヘッジを可能にする。
図17にその概略的な手順を示す。組成受領権を構成する受領権の最新の評価指数、年利、算定余命、保険会社格付け情報を受領権組成システムに定期的に入力する機能を設け、変動が著しい場合、組成商品を構成する電子受領権株数を自動的にダイナミックに変更する機能を持たせる。例えば、評価指数、年利が20%以上減少する、当初の算定余命が3年の被保険者が、再検査したところ最新の算定余命として6年が告げられて延命状態となり、算定余命の変動値が所定のしきい値(例えば、2年)を超えたような場合、あるいは、保険会社の経営が悪化して格付けが下がった場合などを想定する。受領権組成システムは、前記のようなイベントが生じたことを検出した場合、関連する電子受領権株の構成比率を減らすという変更をダイナミックに自動実行し、リスク回避を図ることができる。なお、前記所定のイベント及びしきい値などは予めルールとして決めておき、受領権組成システムが参照できるようにしておく。
受領権組成システムが組成受領権の組成内容を変更する際、前述した顧客の希望に沿った自動組成処理を再実行することはいうまでもない。また、算定余命の変動値が所定のしきい値を超えた場合は、その受領権を組成品から外したり、もしくはその受領権の電子株構成比率を下げて他の受領権の充当処理を行うために自動組成処理を再度実行する。そして、例えば顧客の希望する最低年利等を満たしているかチェックし、満たす場合には再作成したものを新しい組成品として顧客にアナウンス後に運用継続する。新たに作成した組成品の仕様を必要に応じて顧客に自動的にアナウンスし、顧客の了承を得るプロセスをシステムに組み込むことも可能である。一方、利率を満たしていないとして顧客が満足しない場合には、他の受領権をあてがう等の処理を行えばよい。
このような単品受領権を基にして組成した金融商品の自動運用において、外部条件としての各項目変動を随時チェックし、これをデータベース化することで、様々な要因や情報を分析し、将来起こりえる危機を事前に予測することが可能である。そして、受領権組成システムの管理者や、各金融商品のファンドマネージャー及びその金融商品を運営管理する金融商品組成会社や、その金融商品を運営する各種組合商品の営業者及び管理者に、その予測情報と理由である分析結果とを事前に自動的に通知する機能を備えるようにしてもよい。また、受領権組成システムによってリスク度が高いと予測判断した電子株の適正価格を前述した方法によって自動計算した上で、ネットオークションに自動出品する機能を備えておくようにしてもよく、この場合にはリスク回避をシステムが自動的に行うことができるようになる。
前述した実施例1のオークション管理者用の端末装置3、実施例2のオークション管理者用の端末装置23、及び実施例7の受領権組成装置のハードウェア構成(以下、演算装置700と略す)の一例について説明する。図18は、演算装置700の構成を示したものである。
演算装置700は、前記図18に示すように、バス708によって作動的に接続されたプロセッサ702、メモリ704、ディスク706、入出力ポート710、及びネットワークインタフェース712を含むいわゆるコンピュータ700である。本明細書で説明されたコンピュータ実行可能な方法は、コンピュータ700のようなコンピュータ上で実施することができる。なお、コンピュータ700の構成に限定されるものではなく、他のコンピュータもまた本明細書で説明される方法に用いることができる点を理解されたい。
プロセッサ702は、デュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む種々のプロセッサの種類とすることができる。プロセッサ702が備える構成手段を表したブロック図の一例が図6や図7となる。なお、図6及び図7において、入出力デバイス718(モニタ画面)に対するデータ出力手段など本発明に直接関係のない構成手段については省略している。
メモリ704は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含むことができる。不揮発性メモリは、限定するものではないが、読出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読出し専用メモリ(PROM)、電気的プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、及びこれらに類するものを含むことができる。揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、及びダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)を含むことができる。ディスク706は、限定ではないが、磁気ディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード、及び/又はメモリスティックのようなデバイスを含むことができる。更に、ディスク706は、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、CD書き込み可能ドライブ(CD−Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD−RWドライブ)、及び/又はデジタル多機能ROMドライブ(DVD ROM)のような光ドライブを含むことができる。また、メモリ704は、例えばプロセス714及び/又はデータ716を記憶することができる。
データ716は、例えば、出品者1(x)、入札者2(x)、被保険者21(x)、投資家22(x)、又は実施例3の医療機関などの情報端末から送信されるデータを含むことができる。ディスク706及び/又はメモリ704は、コンピュータ700のリソースを制御し且つ割り当てるオペレーティングシステムを記憶することができる。
バス708は、単一の内部バス相互接続アーキテクチャ及び/又は他のバスアーキテクチャとすることができる。バス708は、限定するものではないが、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス又は外部バス、及び/又はローカルバスを含む種々の形式のものとすることができる。ローカルバスは、限定するものではないが、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス、ユニバーサルシリアル(USB)バス、及び小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)バスを含む種々のものとすることができる。
コンピュータ700は、入出力ポート710を介して入出力デバイス718と対話する。入出力デバイス718は、限定するものではないが、カテーテルのような挿入可能なデバイスに取り付けられたハンドル、キーボード、マイクロフォン、ポインティング及び選択デバイス、カメラ、ビデオカード、ディスプレイ、及びこれらに類するものを含むことができる。入出力ポート710は、限定するものではないが、シリアルポート、パラレルポート、及びUSBポートを含むことができる。入出力デバイス718は、入力デバイスと出力デバイスの2つに分離して構成してもよい。
コンピュータ700はネットワーク環境で動作することができ、従って、ネットワークインターフェース712によってネットワーク720に接続される。ネットワーク720によって、コンピュータ700は遠隔のコンピュータ722に論理的に接続することができる。従って、本明細書に説明される方法は、2つ又はそれ以上の通信し協働するコンピュータ間に分散することができる。ネットワーク720は、限定するものではないが、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及び他のネットワークを含むことができる。ネットワークインターフェース712は、限定するものではないが、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線配線データインターフェース(CDDI)、イーサネット/IEEE802.3、トークンリング/IEEE802.5、及びこれらに類するものを含むローカルエリアネットワーク技術に接続することができる。同様に、ネットワークインターフェース712は、限定するものではないが、ポイントツーポイントリンクと、統合サービスデジタル通信網(ISDN)、パケット交換ネットワーク、及びデジタル加入者回線(DSL)のような回線交換ネットワークとを含むワイドエリアネットワーク技術に接続することができる。
このような意味で、本発明のオークションシステムや組成受領権の生成を実行するハードウェア装置が図18に示す構成に限定されないことも言うまでもない。つまり、演算装置700が、ネットワーク720を介して複数の機器が相互に必要なデータを送受信する演算装置又はシステムを構築するようにしてもよい。例えば、複数のハードウェア装置を通信ネットワーク(例えば、インターネット等)によって互いに通信可能なように接続してデータ等をやり取りした構成のシステムである、サーバー/クライアントシステム又はグリッドコンピュータシステムなどにおいても本発明を実現することは可能である。
以上、本実施例1〜7に共通して言えることだが、従来のネットワークオークションでは、不特定多数の人が取引をするが、入札者購入資金不足や、過去に不正トラブルを起こしたブラックリストに登録されている出品者、入札者であってもオークションに参加でき、落札後のトラブルを多々招くという問題があったが、本実施例によるオークションシステムでは、入札者購入資金不足や、過去に不正トラブルを起こしたブラックリストに登録されている出品者、入札者を予めオークションから締め出すことができ、落札後のトラブルを低減できる。
また、オークションシステムで、例えば、数億円、数千万円単位の巨額金融商品を個人ではなく不特定多数で購入することにより、落札証券の所有権、例えば受領権(保険金受け取り権利/保険料支払い責務)を分担所有するサービスを提供できる。
また、受領権関連証券取引の適正価格を決める機構、システムを提供し、被保険者(患者)が仲介業者に買い叩かれるといった社会問題を解消できる。受領権を不特定多数で保有しても事務手続の自動化で、迅速なサービスを提供できる。
また、受領権の金融商品の組成を自動化でき、事務手続き、決算手続きなどの書類による各種バックオフィス業務が煩雑となることから生じる人件費の増大を抑え、投資信託会社、金融商品組成機関、金融商品運営会社、銀行等のバックオフィスにかかる経費、営業コストを低減できる。
また、受領権証券で、被保険者の算定寿命に誤差が発生した場合に、受領権の買い取り金額を補正/保証する技術を提供できる。
また、被保険者が治療を受ける医療施設で、毎月の治療費に占める保険金負担分も含めた医療費清算を自動化でき、関係機関の効率を大幅に向上することができる。
また、従来の受領権譲渡機構では、算定余命誤差による受領権買い取り値の不整合が発生することから医療関係の必要経費と受領権譲渡金額との乖離が生じ、需要と供給のバランスに欠ける部分があることや、被保険者(患者)への多額の譲渡金が一度に発生してしまって電子的な自動分割払込機構の導入がし辛く、この結果、手続きの煩雑化や非効率化を招いたり投資家が支援目的で投資したくともできないなどで支援機会損失の問題が発生するといった問題を、保険金を担保とした融資システム技術提供することで解決できる。
また、医療技術等の進歩で算定余命が大幅に伸びた場合に投資家利回りが大幅に低減するという問題を解消できる。
また、受領権に基づく各種投資信託及び各種組合の金融組成商品を電子受領権株で構成する技術を提供し、より柔軟なリスクヘッジが可能となる。
本発明の一実施例であるネットワークオークションシステムの概略構成を示す図である。 本発明の一実施例であるネットワークオークションシステムの全体動作の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施例であるネットワークオークションシステムにおけるデータベースのデータ構造例を示す図である。 本発明の一実施例であるネットワークオークションシステムにおいて、複数入札者による分割落札をする際の手順を示す図である。 本発明の一実施例である保険金受領権に関する受領権オークションシステムの全体構成図を示す図である。 本発明の一実施例であるネットワークオークションシステムを運用・管理する管理者用の端末装置が有する処理手段を表したブロック図である。 本発明の一実施例である受領権オークションシステムを運用/管理する管理者用の端末装置が有する処理手段を表したブロック図である。 受領権オークションシステムで扱う各電子口座間の金銭データの流れを示したマネートランザクション(マネーフロー)図である。 本発明の一実施例である受領権オークションシステムにおいて、投資運用口座に関係するマネートランザクション(マネーフロー)図である。 本発明の一実施例である受領権組成システムにおいて、組成受領権を自動生成する手順を示す図である。 受領権組成システムにおいて、組成受領権の購入を希望する顧客の希望仕様を入力する画面例を示す図である。 運用シミュレーションの実行結果の一例を示す図である。 保険金受領権の買取金額が固定された、固定リターンの受領権の商品を組成する場合で、ポートフォリオからの毎年の配当(リターン)をキャッシュバックする場合の入力画面例を示す図である。 図13の分析データキー項目の中の特定のキー項目をクリックした場合に表示される統計グラフの一例を示す図である。 図13の分析データキー項目の中の特定のキー項目をクリックした場合に表示される統計グラフの一例を示す図である。 受領権組成システムにおいて、保険金受領権の電子証券株を生成/運用することを示す概念図である。 受領権組成システムにおいて、組成受領権の自動リスクヘッジを実現するための概略的な手順を示す図である。 本発明の各実施例で用いる端末装置のハードウェア構成を示す図である。
符号の説明
1 出品者側の情報端末
2 入札者側の情報端末
3、23 オークション管理者用の情報端末
4、24 通信ネットワーク
5 データベース
6、26 オークション管理者用の電子口座
7 出品者用の電子口座
8 入札者側の電子口座
21 被保険者側の情報端末
22 投資家側の情報端末
25 受領権データベース
27 被保険者用の電子口座
28 投資家用の電子口座
31、41 入札情報受付手段
32、42 出品情報受付手段
33、43 参加資格確認手段
34、44 電子口座確認手段
35、45 ログイン確認手段
36、46 トラブル確認手段
37、47 入札者グルーピング手段
39、49 オークション実行制御手段
40、50 分割落札処理手段
42、52 オークション後処理手段
48 適正価格算出手段
51 自動パトロール手段
54 自動決済処理手段
55 見舞金/義援金支払手段
56 融資管理手段
57 投資運用手段
83 病院口座
84 保険口座
85 お見舞い口座
86 投資運用口座
700 コンピュータ
702 プロセッサ
704 メモリ
706 ディスク
708 バス
710 入出力ポート
712 ネットワークインタフェース
714 プロセス
716 データ
718 入出力デバイス
720 ネットワーク
722 遠隔コンピュータ

Claims (12)

  1. 被保険者の推定余命に応じて金額が変動する保険金を受領する権利として定義される保険金受領権を、オークションシステムを通じて市場取引する方法であって、
    通信ネットワークを介して、前記保険金受領権の売主及び購入希望者の各端末と接続された前記オークションシステムが、
    (a)前記保険金受領権の売主の端末から送信された、前記保険金受領権の売値価格及び前記保険金受領権を複数のユニットに分割するための分割数を受信し、
    (b)前記保険金受領権が複数の所有者で共有されるようにするため、前記保険金受領権を前記分割数で仮想的に分割して複数のユニットを生成し、
    (c)前記売価格を前記分割数で除算することにより、ユニット単価を決定して記憶媒体に記憶し、
    (d)前記購入希望者の各々の端末から、前記ユニット単価に対する購入ユニット数を受信し、
    (e)前記購入希望者すべてについて前記購入ユニット数を合算した購入ユニット総数の、前記(b)において保険金受領権を前記分割数のユニットに分割したときのユニット総数に対する比率に基づき、前記記憶媒体に記憶されたユニット単価を増減させ、
    (f)前記増減後のユニット単価に対する、新たな購入ユニット数を前記購入希望者の各々の端末から受信し、
    (g)所定の時間が経過するまで前記(e)及び(f)を繰り返し、
    (h)前記保険金受領権に関する属性情報をユニット毎に管理して前記記憶媒体に記憶する、処理を実行する保険金受領権の取引方法。
  2. 前記処理(e)における前記ユニット単価の増減は、前記購入ユニット総数が、前記処理(b)において保険金受領権を前記分割数のユニットに分割したときのユニット総数を超えていれば、現在の前記ユニット単価よりも増額し、そうでないときは減額するように処理される、請求項1に記載の取引方法。
  3. 前記所定の時間が経過後、前記購入希望者すべてについて前記決定された購入ユニット数を合算した購入ユニット総数が、前記(b)において保険金受領権を前記分割数のユニットに分割したときのユニット総数以下になる場合、又は前記通信ネットワークを介して前記保険金受領権の売主から前記取引の完了指示を受信した場合、前記処理(e)〜(g)を行わずに前記取引の完了が決定される、請求項1又は2に記載の取引方法。
  4. 前記複数のユニットに分割された保険金受領権の各ユニットに対して識別IDを割当てる処理を実行することを更に含み、前記オークションシステムは、前記識別IDの属性情報を基に、前記保険金受領権を共有する複数の所有者のそれぞれが有するユニットをまとめて処理するとともに、他の所有者が有するユニットとは独立に管理する、請求項1〜3の何れか1項に記載の取引方法。
  5. 前記オークションシステムが、前記各ユニットの取引で生じた代金引落しを含む決済処理を前記識別IDに基づいて自動的に実行する、請求項4に記載の取引方法。
  6. 前記オークションシステムは、データベースから読み出した、前記売値価格に類似する過去の保険金受領権の落札状況に基づき、前記(b)において保険金受領権を複数のユニットに分割するためのユニット総数設定する、請求項1〜5の何れか1項に記載の取引方法。
  7. 前記被保険者の保険金受領権の市場価格を、所定の周期間隔で更新される前記被保険者の余命期間及び保険会社の格付け情報の変動にあわせて前記オークションシステムにより一定間隔で修正する処理を更に含み、
    前記オークションシステムは、前記保険金受領権の売主及び購入希望者に対して前記保険金受領権の市場価格が記憶されたデータベースへアクセスする権限を与えることにより、前記保険金受領権の売主は、前記被保険者の正確な情報に基づき前記保険金受領権の市場価格が算出されているかを確認し、又は前記保険金受領権の購入希望者は、当該保険金受領権の購入に必要な情報を取得することができる、請求項1〜6の何れか1項に記載の取引方法。
  8. 前記保険金受領権の市場価格(J)に関し、当該保険金受領権に関する保険金(H)、前記被保険者の最新の算定余命期間(SY)、当該保険金受領権に関する毎年の保険料(hy)、当該保険金受領権を投資商品として運用を委託する投資信託機関に支払う手数料の利率(α)、当該保険金受領権に設定される年利(R)、比例係数(C)としたとき、 J=((H/(R・SY+1))―SY・hy・C)/(1+α)
    より算出する、請求項7に記載の取引方法。
  9. 前記保険金受領権に関する被保険者の算定余命期間を少なくとも含む評価項目に対応する評価値(Pi)に重み付け係数(ri)を乗じた保険金受領権評価ポイント(Pt)から前記保険金受領権の定量化をあらわす評価指数(Ph)を算出し、当該評価指数(Ph)からの利率変換又は前記評価指数(Ph)を用いた所定の利率関数によって、前記保険金受領権に設定される年利(R)を算出する、請求項8に記載の取引方法。
  10. 前記算定余命期間で死亡する確率をあらわす算定余命死亡確率を更に用いて、少なくとも1つの前記評価項目に対応する評価値(Pi)を増減させることにより、前記保険金受領権の市場価格に反映させる、請求項9に記載の取引方法。
  11. 前記保険金受領権は、比較的短期間内で死亡する可能性のある被保険者又は高齢者のみならず、若年層又は健康状態にある者を対象とした保険金受領権も含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記オークションシステムが、前記若年層又は健康状態にある被保険者を対象とした保険金受領権の市場価格を、平均余命、免疫力又は被保険者の年収を含む情報を基に算出する処理を含む、請求項11に記載の取引方法。
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