JP4714280B2 - 移動体通信ネットワークにおいてデータパケットを送受信するための送受信機装置および方法 - Google Patents
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Description
本発明は、移動体通信ネットワークにおける効率的な無線リソースの割当および管理に関する。
無線リソースの割当および管理は、例えばチャネル予約プロトコルによって実行することができる。リソースは従来のシステムでは集中管理されているが、R−ALOHA(reservation ALOHA)(例えば非特許文献1参照)などの分散型チャネル予約プロトコルの研究も行われている。
別の例としてはPRMA(packet reservation multiple access)プロトコル(例えば非特許文献2参照)がある。このPRMAによれば、分散型チャネル予約プロトコルをセルラ無線ネットワークで使用することができる。PRMAによれば様々な情報源が同じ無線アクセスチャネルを共有することができる。例えばスピーチ端末(speech terminals)などのこのような情報源の一部は定期的(periodic)なものに分類でき、シグナリングなどの他のものはランダムなものとして分類できる。全ての情報源からのパケットは、チャネル時間スロットのアクセス権を争う。定期的な情報端末は、アクセス権の獲得に成功すると、競合なく送信するために後続の時間スロットを予約する。
以下、競合(contention)の原理について説明する。図13は、3つの基地局BS1、BS2およびBS3が存在するシナリオを示している。さらに、このシナリオには3人のユーザUT1、UT2およびUT3が存在している。上付き文字「Rx」は受信機を表しており、上付き文字「Tx」は送信機を表している。さらに、実線の矢印はペイロードデータの送信を示しており、点線の矢印はネットワーク内における他の送受信機への干渉を示している。
送信前にユーザはチャネルを走査し、チャネルがアイドル状態にある場合には、例えばslotted-ALOHA(例えば非特許文献3参照)を使用することによってパケットが送信され、その結果、予約されていないスロットをめぐって他の端末と競合する。図13に示すように衝突が起こる可能性がある。つまり、アイドル状態にある特定のスロットに複数の送受信機、場合によってはユーザ端末または基地局が同時にアクセスしようとする事態が生じる可能性がある。端末は、第1の未予約スロットにおいて第1のポケットを送信するのに失敗すると、次の未予約スロットにおいて確率qでそのパケットを再送することができる。端末は、基地局がパケットの受信の成功を確認(acknowledge)するまでそれを継続する。
図13に示されたシナリオに関して言えば、端末UT1 Rxは受信機として動作する。基地局BS1 Txは、UT1 Rxにペイロードデータを送信しようと試みる。同時に、他の2つの端末UT2 TxとUT3 Txは、ペイロードデータをそれぞれの基地局BS2 RxとBS3 Rxへ送信しようと試みる送信機として動作する。この結果、UT1 Rxにとってみれば干渉が発生する。
BS1 TxからUT1 Rxへの送受信が、干渉により失敗する可能性がある。従来のプロトコルによれば、BS1 Txは受信機がパケットの受信の成功を確認するまで確率qでそのパケットの再送を継続することができる。図13は一例を示しているに過ぎず、アップリンクについても同じことがいえる。例えば、あるユーザ端末は、図13におけるUT2 TxとUT3 Txのようにペイロードデータを基地局に送信しようと試みる。
次に、予約モード(reservation mode)について説明する。各パケットを受信した後、基地局または端末は、確認パケット(acknowledgement packet)によりその結果をブロードキャストすることができる。受信が正常であることを基地局が確認すると、パケットを送信した端末は、将来の送信のためにスロットを予約(確保)する。このとき、確認パケットは当該スロットがアイドル状態にないことを示しているため、他の全ての端末は将来のフレームにおいて当該スロットの使用を控える。予約を行った端末は、これにより当該スロットを他の端末と競合することなく使用することができる。
図14を参照して予約モードの原理について説明する。図14は、時間次元(横軸)と周波数次元(縦軸)とを有するダイアグラムを示している。時間次元(時間軸)に沿って無線フレーム(radio frame)が示されている。無線フレームは「psts」と記されたペイロード信号時間スロット(データ・スロットとも言う)と、「bsts」と記されたビジー信号時間スロット(ミニ・スロットとも言う)に分けることができる。図示されている無線フレームは、例えばレイヤ2、すなわちMAC(Medium Access Control)層におけるフレームを指すと考えることができる。図14において、ユーザ1のペイロード信号時間スロットにおいて送信されたデータパケットは白色であり、ユーザ2のペイロード信号時間スロットにおいて送信されたデータパケットは灰色である。ビジー信号時間スロットすなわちミニ・スロットにおけるユーザ1の確認パケットは灰色で示されており、ユーザ2の確認パケットは黒色で示されている。図14から、ペイロード信号時間スロットの期間は、ビジー信号時間スロットの期間よりもずっと長いことがわかる。これは、ビジー信号時間スロットにおいては、確認応答のみが送信されるからである。さらに、図14は、無線フレームの同様の時間構造を周波数軸に沿って複数の周波数で再利用できることも示している。加えて、異なる周波数における異なるペイロード信号時間スロットとビジー信号スロットの割当は、ユーザごとに異なるものとすることができる。
かかるチャネル予約を例えばOFDMA−TDD(Orthogonal Frequency Division Multiple Access-Time Domain Duplex)方式において実行するためには、非特許文献4において導入されているビジートーンコンセプトを用いることができる。
著者等は、OFDMのための動的サブチャネル選択アルゴリズムと組み合わせた分散型の干渉を意識した(interference-aware)MAC(medium access control)プロトコルを提案している。このプロトコルは、OFDM方式のための既存の無線リソース割当技術のいくつかの欠点、例えば隠れノード(hidden node)および露出したノード(exposed node)の問題と経時的に変化しない(time-invariant)チャネル要件とを解決する。提案されたスキームにより、送信機は送信に先だって、既にアクティブなリンクに生じるであろう干渉レベルを決定することができる。これは、TDDモードによって与えられるチャネルの相互関係(reciprocity)を活用したビジースロットシグナリングで実現できる。既存の無線リソース割当スキームと比較すると、必要となるシグナリングオーバヘッドは大きく低減できる。干渉の認識によりシステムは同一チャネル干渉(CCI:co-channel interference)を避けるとともに、完全な周波数再利用を用いて動作することができる。ブロードバンドOFDM無線インタフェースに適用される場合には、この原理を、目的とする周波数選択性フェージングチャネルだけではなく、干渉リンクでも利用することができる。この結果、経時的に変化するチャネルに対して動的に適応できる自律型サブキャリア割当アルゴリズムが得られる。その分散性により、このアルゴリズムはセルラネットワークとアドホックネットワークの両方に利用することができる。
分散型チャネル予約プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)または無線アドホックネットワークとして使用されるランダムアクセスチャネルに特有の衝突(collisions)を低減するために適用される。衝突は、チャネルが競合状態にあり、幾人ものユーザがそのチャネル、例えば同じスロットに同時刻にアクセスしようするときに発生する。チャネル予約を導入することで、競合状態の発生率が初期の割当、つまりスロットの割り当てかまたはチャネルのアクセスの初回にまで低下させることができる。
アドホックネットワークとは異なり、セルラネットワークにおけるリソース割当は、一般的に集中方式で実施される。この集中方式では、基地局は、異なるユーザへのスロットの割当を完全に制御する。そうすることによって、あるセル内の干渉を完全に避けることができる。他方、セル間の干渉を緩和するための集中型アプローチは、多くの場合、中央スケジューラは各受信機が行った干渉測定の値を収集するために、シグナリングオーバヘッドが非常に大きくなり、実施不可能なものとなる。
集中型アプローチの基本的な問題について、従来のセルラシステムではセル間干渉の影響は一般的には、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)または低レートチャネルコードを用いた平均化、および/またはリソース分割(非特許文献5参照)によって対処することができる。著者等は、セルラシステム設計における再利用分配(reuse partitioning)のコンセプトを提案している。また著者等は、再利用分配を行うことにより、所与のパフォーマンス目標に対して単一の再利用係数を用いる場合よりも、システム容量を大きくできることを示している。さらに、提案されたコンセプトは、重なり合ったセルおよび保持されたチャネルセットのコンセプトと完全に両立することができる。
リソース分割は、セルごとに異なる再利用ゾーンを導入する方法である。つまりこの方法は、セルのカバーエリアを再利用係数の異なる同心円ゾーンに分割する(例えば非特許文献6参照)。著者等は、カバーエリアが広くスペクトル効率が高いセルラパケットデータシステムのダウンリンク無線インタフェースを提案している。時間周波数ビン(bin)がダウンリンクセクタまたはビーム内の異なるユーザへチャネル品質に基づいて適応的に割当てられるスロット化OFDM無線インタフェースを使用する。最大100km/hの車速によって生じるフェージングチャネルまで適応できる。周波数分割複信(FDD:Frequency division duplex)を前提とするため、端末におけるチャネル予測と、基地局のパケットスケジューラに対する情報のフィードバックが必要となる。セクタまたはビーム内の良好なカバレッジと高いスペクトル効率を両方獲得するため、同じサイドのセクタ間で調整されるスケジューリングとセクタの外部でのみ周波数再利用係数が1を超えるような配置に基づくスキームが提案され、評価されている。
シンプルでなおかつポピュラーな形のリソース分割によれば、再利用係数が1の内側ゾーンと再利用係数が例えば3の外側ゾーンとにセルを分割する。リソース分割のよく見られる実施態様はFFR(fractional frequency reuse:部分的な周波数再利用)である。これは、一般的には全てのセルが共通して使用する、つまり再利用係数1のサブバンドを含むが、残りのサブバンドの割当は、セルごとにセル間干渉レベルをより低下させる1つのサブバンドが生成されるよう、隣接するセル間で調整される。FFRは、ユーザが隣接セルに割り当てられたセル端サブバンドで送信することが許されないことを意味する。再利用係数3のFFRは、六角セル(図15参照)のほかにマンハッタングリッド配置(図16参照)にも適用可能である。
図15は、基地局のクラスタが存在する従来のネットワークシナリオを示している。基地局は、異なる基地局グループ(BSグループ)に属し、これらのグループは、図では「1」、「2」、および「3」と記されているとともに、異なるグレースケールで示されている。クラスタ中心にある基地局は、基地局グループ1に属する。クラスタ中心にあるこの基地局を取り囲む基地局は、グループ2と3に交互に割り当てられている。各セルの中心エリア内にある白色の円形ゾーンは、再利用係数1の周波数、つまり同じ周波数を使用するエリアである。またセルの端部(cell-edges)では異なる周波数を異なる基地局グループに応じて使用する。これにより、セルの端部では、異なる周波数を用いることによってセル間干渉を防止できる。
図16は、マンハッタングリッド(Manhattan grid)シナリオを示している。この図によれば、基地局の配置は、再利用係数3の場合のものであり、異なる基地局グループのアイコンによって示されている。マンハッタングリッドシナリオ内の信号は、ストリート・キャニオン(street canyon)に沿って導かれるため、ネットワーク計画によって異なる配置を定めることができる。図16から分かるように、各基地局グループが異なる周波数を使用する周波数再利用は、ある1本の道については、異なる基地局グループに割り当てられている基地局が現れるように定められている。
平均化による干渉の緩和とFFRは、両方とも深刻な制限がある。前者は、セル境界におけるSIR(Signal-to-Interference-and-Noise-Ratio:信号対干渉雑音比)が低いことから、基本的にセル端にいるユーザに不利益をもたらす。一方、後者はトラフィック負荷またはセルラシステム内におけるユーザの分布の変化に適応することのできない静的なスキームである。このために、時として大半のユーザはセル中心近くにおり、結果として、独占的な周波数帯域の予約はリソースの浪費を意味する。他方、ユーザが主にセル境界の近くにいる場合には、セル端部のユーザは帯域の保護されていない部分で送信を一時余儀なくされる必要があるほど、セル端部のサブバンドは過密になりがちである。その結果、この場合もセル間干渉によりシステムスループットが低下する。
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本発明の目的は、通信ネットワークにアクセスするための無線リソースを調整するためのより効率的なコンセプトを提供することにある。
上記目的は、請求項1に記載の送受信機装置、請求項17に記載の方法、請求項18に記載のコンピュータプログラム、請求項19に記載の移動局、請求項20に記載の基地局、および請求項21に記載の中継局によって解決される。
本発明は、CARMAC(Contention Avoidance Reservation Medium Access Control)と呼ばれ、無線チャネルにアクセスするためのリソースは、例えば競合モードにおいて、ネットワーク機器間で調整でき、予約モードの場合にはリソースは予約されたままとすることができるという知見に基づいている。競合モードで使用することができるリソースは、繰り返される無線フレーム(repetitive radio frame)で使用される少なくとも第1および第2の異なる所定の無線リソースグループにグループ分けすることができ、それと共に競合モードにおける衝突(collision)を低減または完全に回避することができるということが本発明の知見である。異なる所定スキームを有する異なるユーザが互いにあまり競合しないようにまたは互いに全く競合しないように、最初の送信に際しては所定のスキームに従って特定の送信リソースグループが選択される。ユーザの所定スキームが互いに完全に直交(orthogonal)しない態様、または競合している可能性のある全てのユーザが異なるリソースを受け取ることが完全に保証されない態様では、それでもなお衝突が発生する可能性のある衝突発生の確率が残るものの、衝突を大幅に減少させることができる。送信機に対してリソースのグルーピングと所定のスキームが使用されない状況と比較して、システム容量を改善できる。
本発明の実施例では、無線ネットワークをセルにより構成するにあたって、ビジートーン(busy tone)コンセプトを採用することができる。特に、時間周波数リソースユニット、いわゆるスロット(slot)またはチャンク(chunk)を分散させて、最初の割当における競合問題を解決することができる。
本発明の実施例では、新規のスキームを実行して、一般的には予約ベースのMACプロトコルで起こる競合段階を、統計的な程度まで、ある態様によっては完全に回避することができる。本発明の一部の実施態様によれば、周波数またはリソースの再利用コンセプトを使用して、セルラ無線ネットワークのダウンリンクにおける競合を回避することができる。同時に、本発明によれば、例えば時間および/または周波数スロットをセルに割り当てる静的な割当ルールに代えて、動的な割当を実行することができる。
このほかにも本発明の実施例は、基地局で利用可能であって通信システムによって提供される全てのリソースは、調整の行き届いた例えば逐次的な方法で、各基地局が利用できるという利点がある。言い換えると、本発明の実施例は基地局に実装することができ、あるセルについての特定のスロットにアクセスする許可が、全てのスロットにわたって循環的に(cyclically)シフトされていくことになる。態様によっては、スロットにアクセスすると、例えばビジートーンプロトコルのような予約プロトコルによって、これらの割り当てられたスロットが隣接する基地局により干渉されないようにする。言い換えると、予約モードのリソース割当・再利用は、例えばビジートーンプロトコルのような従来のプロトコルを利用することによって、既に調整されている。しかしながら、競合モードの間は、競合中に衝突を完全に避ける動的周波数再利用スキームが利用できる。他の態様では、少なくとも衝突は調整可能であり、従来の予約プロトコルと比べて衝突数を減らすことができる。
本発明の実施例は、システム容量を改善できるという利点がある。ネットワーク全体での衝突数が減少するので、システム容量を多くすることができる。さらに、チャネルへのアクセスは衝突数が減少するにつれ短い時間で成功するので、本発明によれば、端末のアクセス待ち時間を改善することができる。本発明の解決手段は、周波数プランニングを考慮に入れたセルラ構造を活用してコンテンションフリーの(競合のない)動的チャネル割当アルゴリズムを実現できるという利点も提供する。本発明の実施例によれば、スケジューラに対する最も少ない制約で衝突を完全に回避できる可能性がある。それと共に本発明の実施例は、セルラシステムにおける干渉の分散管理を可能にするビジー信号コンセプトを本質的に補完できるという利点をもたらす。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1aは、移動体通信ネットワークにおいてデータパケットを送受信する送受信機装置100を示している。ここで、移動体通信ネットワークは、繰り返される無線フレーム(repetitive radio frame)で使用される少なくとも第1および第2の異なる所定のリソースグループを有する。送受信機装置100は、送信リソースを使用して送信データパケットを送信する送信機110と、送信データパケットに関する確認応答(acknowledgement)を受信する受信機120とを備えている。しかしながら、確認応答は受信機120を使用することなく送受信機によっても受信することができる。
さらに、送受信機装置100は、送信機110のために第1または第2の無線リソースグループから送信リソースを選択する送信リソースセレクタ130を備えている。加えて、送受信機装置100は、最初の送信に際して所定のスキームに従って第1の送信データパケットを送信するために第1の無線フレームにおいて第1の無線リソースグループから送信リソースを選択し、第1の無線フレームにおいて第1の送信データパケットに関する確認パケットを受信すると、第2の送信データパケットを送信するために第2の無線フレームにおいて同じ送信リソースを選択するように送信リソースセレクタ130をコントロールするコントローラ140も備えている。
好ましくは、確認パケットが受信されない場合には、第2の無線リソースグループから送信リソースが選択される。このため、コントローラ140は、最初の送信に際して所定のスキームに従って送信リソースを選択するように送信リソースセレクタ130をコントロールする。さらにコントローラ140は、送信データパケットを送信機110に提供することができ、その結果、対応するデータパケットが選択された送信リソースにより送信がなされる。
一実施形態において、例えば一連の無線フレームに基づくシステムでは、所定のスキームとして、一連の無線リソースグループを後続の無線フレームに割り当てることができる。各無線フレームにおいては、ある特定の無線リソースグループ内のリソースのみをチャネルにアクセスするために選ぶことができる。次の無線フレームにおいては、別の無線リソースグループのリソースのみを考慮することができる。実施形態では、無線リソースのグループを所定の方法で指定することによって、利用するリソースの調整を図ることができる。
一実施形態では、所定のスキームとして、複数の無線リソースグループを連続する無線フレームへ循環的に割り当てることができる。一例として、3つの無線リソースグループを考える。送受信機装置100は、第1の無線フレームにおいて第1のグループのリソースのみを使用することができ、第2の無線フレームにおいて第2のグループのリソースのみを使用することができ、第3の無線フレームにおいて第3のグループのリソースのみを使用することができ、そして第4の無線フレームにおいては、元に戻って第1のグループのリソースのみを使用することができるといった具合である。これにより、異なる送受信機装置100の間で無線リソースの利用を調整することができる。もちろん実施形態によれば、このようなシーケンシャルなパターンには限定されない。他の実施形態では、無線リソースグループの数はもっと多く、例えば100に及ぶ場合がある。順次的ではなく、例えばランダムなシーケンスを指定することもできる。ある特定のグループからリソースをランダムに採用するスキームにおいても、衝突は統計的にプラン調整(planned coordinated)される。
異なる実施形態では、第1および第2の無線リソースグループは、一連の周波数、複数のサブキャリア、無線フレームにおける時間スロット、チャネライゼーションコード、スクランブリングコード、インターリービングルールまたは空間フィルタリングルールのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含むことができる。
実施の一形態において、送信機110は、ペイロード信号時間スロット(payload signal time slot)において送信データパケットを送信することができ、受信機120は、ペイロード信号時間スロットに関連するビジー信号時間スロット(busy signal time slot)において確認パケットを受信することができる。言い換えると、本実施形態は、既に述べたように、ビジートーン(busy tone)コンセプトに関連していると言える。実施形態によれば、第1および第2の異なる所定の無線リソースグループはオーバラップすることもできる。つまり、これらのグループは同一の無線リソースを含むことができる。実施形態によれば、少なくとも統計的に衝突が予測可能であり、無線リソース管理の一部として考慮できるときには、衝突の調整をすることができる。
実施形態によれば、第1および第2の異なる所定の無線リソースグループを、ある別の送受信機装置から受け取ることができる。言い換えると、他の送受信機装置が無線リソースグループについてのアップデートを配信することができる。一部の実施形態では、無線リソースグループを事前設定することができる。他の実施形態では、移動体通信システムで通信する移動機であって、その移動体通信システムの無線リソースの一部を利用する移動機の要素として、送受信機装置を実装することができる。実施形態によれば、送受信機装置100は、異なる移動体ネットワークに適応することができる。例えば、送受信機装置100、あるいは送信機110および受信機120は、ビジートーンコンセプトと組み合わせることが可能なCDMA(Code Divisional Multiple Access:符号分割多重接続)方式、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式、FDMA(Frequency Division Multiple Access:周波数分割多元接続)方式、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式、IDMA(Interleaved Division Multiple Access:インターリーブ多元接続)方式において動作することができる。その結果、これらの実施形態によれば、FDD(Frequency Domain Duplex:周波数分割複信)またはTDD(Time Domain Duplex:時分割複信)方式で動作することができる。
実施形態では、第1および第2の無線リソースグループは、周波数または時間のスロットの組み合わせの直交グループ(orthogonal group)とすることができる。
実施形態では、受信機120は、受信した信号電力をある閾値と比較することによって確認パケットを受信し、受信電力がその閾値を上回る場合にその確認パケットを受信することができる。例えば、ビジートーンコンセプトを用いる実施形態によれば、ビジー信号時間スロットにおいて受信電力を閾値に対して評価することによってビジートーン(busy tone)を検出することができる。受信電力がその閾値を超える場合にのみ、関連するペイロード信号時間スロットは確保(予約)されていると見なすことができる。受信電力が閾値を下回る場合には、先に進み、関連するペイロード信号時間スロットにおいて送信をスケジュールすることができる。
他の実施形態では、受信機120は、近傍において使用されたリソースに関する情報をコントローラ130に提供するために、その近傍における無線リソースの消費量をモニタすることができる。つまり、受信機120は、他の送受信機装置によって利用されたリソースに関して、周波数・時間ドメイン、同じく空間ドメイン等のその他の無線リソースドメインをそれぞれ走査することができる。この観点から、実施の一形態において、受信機120から走査結果の報告を受けたコントローラ140は、どういった無線リソースまたはどの無線リソースグループが使用できる見込みがあるかを決定することができる。
図1bは、図1aで説明した装置100と同じようなコンポーネントを有する別の実施形態による装置100を示している。図1bでは、受信機120は近傍をモニタし、近傍における使用リソースについての情報をコントローラ140に報告する。コントローラ140は、図1bに示された実施形態によれば、複数の無線リソースグループから選択することができる送信リソースセレクタ130のコントロールの仕方を評価することができる。コントローラ140は、例えば近傍で使用されていない無線リソースグループを選択することにより衝突が起こる確率を最適化できるように送信リソースを選択し、送信機110へ提供するといった方法で送信リソースセレクタ130をコントロールすることができる。別の実施形態では、コントローラ140は受信機120によって最も弱い信号がモニタされた無線リソースグループを決定することができる。
実施の一形態によれば、コントローラ140は、近傍における使用量が別のグループの使用量よりも低いグループの送信リソースを選択するように送信リソースセレクタ130をコントロールすることができる。言い換えると、ある無線リソースグループが送受信機装置100の近傍において既に使われすぎている場合には、コントローラ140はかかるグループのリソースを選択しないようにすることができる。コントローラ140は異なるグループの送信リソースを選ぶようにコントロールすることができる。
コントローラ140は、それまでのいくつかの無線フレームにわたってモニタされたリソースに基づいて送信リソースセレクタ130をコントロールする。言い換えると、コントローラ140は、その間に近傍におけるリソースの利用が受信機120でモニタされる時間窓(time window)を利用するように構成できる。例えば、ある特定の無線リソースグループがそれまでのいくつかの無線フレームにおいて使用されなかった場合、コントローラ140はこのグループ内のリソースを採用することを決める。
上記の実施形態において、近傍は、受信信号の受信電力をある閾値と比較することによって近傍を決定する受信機120によって決定できる。かかる近傍は、その受信電力が閾値を上回るような送受信機装置を含むことがある。つまり、近傍は無線インタフェースのカバーエリアによって画定できる。別の実施形態では、送信リソースの選択は、ある無線リソースグループを使用する他の送受信機装置の受信電力に基づく場合がある。言い換えると、実施の一形態において、弱い受信信号、つまり閾値を下回る受信電力を受信した無線リソースグループから送信リソースを選択することができる。
実施形態によれば、移動体通信ネットワークで動作する移動局に実装できる。さらに、実施形態によれば、移動体通信ネットワーク内の基地局内または移動体通信ネットワークの中継局内の送受信機に実装できる。言い換えると、本発明の実施形態によれば、移動体通信ネットワークのいくつかのコンポーネントに実装できる。この場合、競合モード(コンテンションモード)において、基地局間のリソースの割当は、ダウンリンクに対して調整できるが、移動局にも本発明を実施している場合にはアップリンクに対しても調整できる。さらに、中継局も上記の実施形態による方法を使用してリソースを調整することができる。
1つのシナリオでは、移動局は他の送受信機を取り囲むゲートウェイとしての機能を果たすことができる。他の実施形態では、移動局は、NFC(Near Field Communication:近距離通信)の無線リソースの調整を利用して、その近傍で通信するためにNFCを利用することができる。言い換えると、多元アクセススキームに対してリソースを調整するハイブリッドまたはマルチプロトコルのアクセスネットワークの一部として本発明を実施することができる。本発明の実施形態は、それにより、全ての種類のネットワーク、すなわちセルラネットワーク、アドホックネットワーク、マルチホックネットワークおよびこれらのネットワークの混合ネットワークに適用できる。
次に実施形態をもっと詳細に説明する。実施の一形態において、予約ベースの動的チャネル割当(DCA:dynamic channel allocation)の競合段階が対象となる。本実施形態によれば、未予約スロットの利用(アクセス)が、互いに直交する時間周波数ホッピングパターンによってコントロールされるような周波数再利用分配を用いて、競合を回避することができる。図2は、本提案のCARMAC(Contention Avoidance Reservation Medium Access Control)の1つの実施形態を示している。図2には左から右に沿った時間軸と下から上に沿った周波数軸が示されている。色の異なる(小さな)四角形は異なる基地局グループを表している。図2の実施形態には3つのグループが存在している。
各セルにはR個(本例ではR=3)の再利用パターンの1つが、隣接するセルが同じパターンを共有しないように割り当てられるものとする(Rは再利用係数である。)。本実施形態では、R個の時間周波数ホッピングパターンは、第1に、互いに直交している必要があり、第2に、R個のフレーム内に全てのスロットが全てのセルによって利用可能であることが許される。この要件を満たす1つの可能な実施形態は、再利用パターンを時間周波数軸に沿って周期的にシフトさせるものである。スロットが一旦確保されると、もはや競合状態にはなく、送信が完了するまで保護される。図2は、周期的なシフトパターンを示している。周期的なシフトパターンは単に説明のために例示したものであり、本発明の実施形態はもちろんこうした定期的なシフトパターンに限定されることはなく、一般に全ての種類のシーケンス、衝突シーケンスも考えられる。
図2の例では、サブバンドあたりのスロット数Nbは1である。図3は、サブバンドあたりのスロット数Nbが3である別の例を示している。次に、分散型でコンテンションフリーの(競合のない)予約ベースの媒体アクセススキームを実行するためのプロトコルの実施形態について説明する。システムのセルはG∈{1,...,R}と表すことができるR個のグループにグルーピングできる。本実施形態では、無線リソースグループは、同じグループに関連するセルまたは送受信機装置100の干渉が低くなるように配置されなければならず、例えば、従来のセルラネットワークにおける周波数プランニングで図2および図3に示したような周波数再利用分配を組み合わせたものに相当する。無線リソースグループは、次式に示すように、周期的にシフトする時間周波数再利用パターンに従って周波数スロット1≦n≦Nsに割り当てることができる。
ここで、nとtは、周波数nと時間tに関するスロットのインデックスである。既に言及したように、1つのサブバンドを形成する連続したスロットの数をNbで表す。R=3に対してスロットとサブバンドの関係とサブバンドのセルグループへの割当を図2と図3に示す。
図2から分かるように、サブバンドあたり1つのスロットが割り当てられるNb=1の実施形態では、図のようなセルグループの分散パターンが結果として得られる。Nb=Ns/Rであれば、図3に示すように同じグループの全てのスロットが連続して割り当てられる局所的なパターンが得られる。
式(1)によれば、全てのセルグループへアクセスするために、あるサブバンドを交互に利用できることが保証される。本発明の実施形態において、このことはあるグループの基地局のみが特定のサブバンドにアクセスすることを許すことによって未予約リソースをめぐる競合を避ける鍵となり得る。つまり同じグループに属する基地局間の相互干渉が存在しないのであれば、衝突は完全に避けられる。既に言及したように、無線リソースグループは直交(orthogonal)している場合があるが、他の実施形態では直交していない場合もある。無線リソースグループがオーバラップしている実施形態では、衝突は少なくとも統計的に避けることができる。
さらに、
が予約インジケータまたはビジー信号もしくはビジートーンを表すとすると、スロット(n,t)がアイドル状態にあれば、
であり、そうでなければ、
である。本実施形態では、グループGに関連する基地局は、以下の条件が満足される場合にスロットにアクセスすることができる。
全てのnに対して
である場合には、利用可能な全てのリソースの1/Rまでをある時刻において特定のセルに割当てることができる。このため、本発明の実施形態では、全てのスロットを完全に割り当てるのにR個の時間スロットを要する場合がある。しかしながら一般には隣接するセルによって非ゼロの予約インジケータ
が設定されるため、ある特定のセルが全てのスロットにアクセスできないことが起こり得る。
実施の一形態において送受信機装置100がスロットnでより多くのデータを送信しようとする場合には、予約インジケータは1、つまり
と設定され、これによりスロットnが他のセルグループからの干渉から効果的に保護される。こうして、動的周波数リソース分割スキームがかかる実施形態によって導入できる。このスキームは従来のリソース分割よりもフレキシブルであるが、セル端ユーザへの過度な干渉を避ける。かかるスキームの本実施形態では、ユーザが所与のチャネルにいつどのようにアクセスすることが許されるかに関して制約を課すため、このスキームは競合を避ける予約ベースの動的スロット割当アルゴリズムと見なすことができる。
本発明の実施形態によれば、周波数に関して利用可能な帯域幅を細分化するFDMA方式で使用することができる。本発明の実施形態によれば、以下に説明するように、TDMAまたはOFDMA方式でも使用することができる。最初に、TDMA方式に対する実施形態について説明する。
TDMAでは、利用可能なリソースは時間で分割される。1つのTDMAフレームは、Ns個のスロットから成る。本実施形態ではスロットの利用許可は、時間軸に沿って循環的にシフトすることができる。セルグループは以下の関係(1≦n≦Ns)に従ってフレームtのスロットnを利用することが許される。
TDMAの実施形態は、FDMAの実施形態と非常に似ていると考えられる。図4は、TDMAシステムにおけるCARMACグルーピングを示している。図4は、左から右に沿った時間軸を示しており、時間軸に沿って無線フレームt−1、t、t+1、t+2などが示されている。無線フレームごとに、1、2および3と番号付けされた3つの時間スロットが存在する。さらに、それぞれ異なる色を持つ3つの基地局グループが示されている。見て分かるように、フレームt−1においてスロット1は第1基地局に属し、スロット2は第3基地局に属し、スロット3は第2基地局に属する。
フレームtにおいて、グループ割当はスロットに関して循環的にシフトされている。このとき、スロット1は基地局グループ2に属し、スロット2は基地局グループ1に属し、スロット3は基地局グループ3に属する。図4は、循環的シフトが時間軸に沿って繰り返し実行されていることを示している。図4に示した実施形態は、R=3とNs=3に対してセルのスロットへのアクセスをコントロールしている。式(2)と同様に、グループGの基地局は、次の条件を満たすときにスロットにアクセスすることが許される。
ここで、
はスロットsとフレームtに対する予約インジケータである。
次に図5を参照して別のCARMACグルーピングについて説明する。図5は、左から右に走る時間軸と下から上に走る周波数軸とを示している。さらに、6つの連続する時間スロットが時間軸に沿って示されており、3つの異なるサブバンドが周波数軸に沿って示されている。各無線リソース、本実施形態ではそれぞれスロットまたはチャンク(chunk)は、ある時間スロットとあるサブバンドとを含む。各無線リソースまたは無線リソースグループには、それぞれ右下角にグループ番号が示されている。さらに、各リソースの中央には2つの番号が与えられている。最初の番号は周波数軸に沿ったサブバンドを示しており、次の番号は時間軸に沿った時間スロットを示している。図5に示された実施形態は、周期的シフトが周波数および時間軸に沿ってどのように実行できるかを示している。
次に、OFDMA方式に対する実施形態について議論する。OFDMAは、FDMAの特別な例と見なすことができる。従って、OFDMAへの適用は直接的である。OFDMAにおいて、1つの時間周波数リソース単位(スロットまたはチャンク)は、nSC個のサブキャリアとnOS個のOFDMシンボルとから成る。スロットはOFDMA方式の精度を定める。例えば、WINNER(Wireless Word Initiative New Radio)方式のTDDモードにおいて、帯域幅が100MHzのシステムは208個の周波数スロットを有し、有効信号帯域幅は81.25MHzである。残る10.75MHzは、周波数ガードバンドとして利用される。スロットはフレームに編成される。このとき各フレームは、アップリンクサブフレームが後に続くダウンリンクサブフレームから成る。
図6は、別のCARMACグルーピングスキームを示しており、これはOFDMA方式で実行することができる。図6は、1つの送信リソース、またはリソースグループ内に、実際には3つの送信リソースまたはチャンクが含まれている(このことは各時間・周波数の無線リソースグループ内の3つのチャンクのグループによって示されている)ということ以外は、図5と非常によく似ている。さらに、図6は、ソリッドカラーで表示される実際にアクセスされたチャンク(accessed chunk)と、透明色で表示されたアイドル状態のチャンク(idle chunk)とを区別する。加えて、図6における基地局グループの割当は、図5に示されたものと同様である。従って簡単のため番号付けは図6では省略する。図6に示された実施形態は、それぞれの基地局グループ(基地局グループは3つ存在し、各グループは3つの異なるチャンクを含む)のリソースのみを割り当てる。
図6の下段に示された最初のサブバンドでは、時間スロットごとに、最初のチャンクがアクセスされ、2番目と3番目のチャンクはアイドル状態にあることが見て取れる。図6の3つのサブバンドの中央に示された2番目のサブバンドにおいては、最初のチャンクは常にアイドル状態で、2番目のチャンクは常にアクセスされる。3番目のチャンクは最初の2つの時間スロットにおいてのみアイドル状態であり、その後、最後の6つの時間スロットの間はアクセスされる、といった具合である。
次に、ビジー信号コンセプトを利用する実施形態について説明する。コンテンションフリーの動的チャネル割当(DCA:dynamic channel allocation)アルゴリズムの実施形態の自然な組み合わせは、ビジー信号コンセプトとの組み合わせである。Tdは全ての送信機のデータ送信電力を表すものとし、Tbは全ての受信機のビジー信号送信電力を表すものとする。さらに、Hn,t (x,y)は、スロットnおよびフレームtに関するノードxとyの間のリンクのチャネル利得を表すものとする。これは高速フェージングと対数正規シャドーウィング(log-normal shadowing)を考慮する。スロットnおよびフレームtでのセルG=μ(μ≠1)からの送信に起因するセルG=1で引き起こされる干渉の潜在量は、Id n,t=Hn,t (μ,1)・Tdで与えられる。
チャネル相互依存(channel reciprocity)が成り立つとすると、つまりHn,t (μ,ν)=Hn,t (ν,μ)とすると、ミニスロットで送信する受信機からの「干渉」は、Ib n,t=Hn,t (1,μ)・Tb=Id n,tTb/Tdである。このことはセル1が隣接セルに及ぼす干渉が、隣接セルからのビジー信号電力のセル1における測定値に等しいことを意味する。ビジー信号コンセプトは、時間多重化ミニスロットのビジー信号が次式のように、ある閾値を下回る場合にスロットがアクセス可能になるような形でスロット予約プロトコルを実行するためにチャネル相互依存を活用する。
閾値テストは既に予約されたスロットに対してのみ有効であることに気づくことは重要である。他方、競合段階では、スロットは未予約であり、これはセル間干渉を防止するためにビジー信号がブロードキャストできないことを暗に意味する。明らかに、式(5)における閾値テストは、式(2)で導入された予約インジケータとしての役割を効果的に果たす。それ故、本発明のビジー信号コンセプトとの組み合わせは次のような形になる。
ビジー信号コンセプトと組み合わせたコンテンションフリーのDCAの実施形態では、完全に相互に補完し合うことがわかる。つまり、本提案のDCAアルゴリズムは競合による過度な干渉を回避する。それと同時にビジー信号コンセプトはチャネル予約プロトコルの効率的な実現を提供する。
コンテンションフリーのDCA(dynamic channel allocation)の実施形態は、セルラシステムに最適であるが、ネットワークプランニングのないアドホックネットワークへの適用も可能である。ネットワークプランニングがないため、周波数再利用係数Rはセルラシステムよりも若干大きくする必要がある。理論的には、両隣が同じ色を示す境界がなくなるように4色のみを使ってどんな2次元エリア内でも地図を色分け(group)することができる。この問題は4色問題として知られている(例えば非特許文献[K. Appel and W. Haken, “Solution of the Four Color Map Problem," Scientific American, vol. 237, no. 4, pp. 108-121, October 1977]参照)。他方、分散方式で適切な色分けを見つけることは非常に複雑な問題になる可能性があり、結果、実際にはR>4であることが必要になると考えられる。
あるノードに対して適切なグループを見つける問題も本発明の実施形態によれば対処することができる。ノードは送信前の与えられた時間の間だけそのローカルな環境を測定し、その近傍内のどのノードも使用していないグループを選択する。こうしたフリーなグループが見つけられない場合は、最も弱い受信信号電力に関連するグループが選択されるか、または代わりに送信が最も少ないグループが選択されることが許される。これにより残りの干渉が最小に保つことが保証できる。
次に、本発明の実施形態を用いて得られる利点を示すシミュレーション結果を示す。実施するシミュレーションでは、WINNERにおけるシナリオB1で定義されるような(例えば非特許文献[IST-4-027756 WINNER II, “D1.1.2 WINNER II Channel Models," September 2007]参照)マイクロセルラ配置環境を想定する。この配置シナリオは、ビルディングブロックの寸法が200m×200m、その間を縦横(x、y軸方向)に走る道幅が30mの、図7に示すようなマンハッタングリッド(Manhattan grid)と呼ばれるものである。図7は、マンハッタン街を思わせるような、2次元地図を用いたマンハッタングリッドシナリオのスナップショットを示している。図7には、左から右に走るx座標と、下から上に走るy座標の2つの座標が示されている。図7の上部には、2つの基地局とそれらといくつかの移動局とを結ぶリンクを示す拡大図がある。エッジ効果を軽減するため、パフォーマンスの統計は、11×12のビルディングブロック群から成るサイズのグリッドのうちの破線で囲まれた3×3のビルディングブロック群の中心コア部分でのみ収集する。
加えて、シミュレーションに関して、WINNER−TDD(例えば非特許文献[IST-4-027756 WINNER II, “D6.13.7 Test Scenarios and Calibration Cases Issue 2," December 2006]参照)の物理レイヤは100MHzの帯域幅を張る2048個のサブキャリアからなることを想定する。これら2048個のサブキャリアのうち、1840個のサブキャリアのみがデータ伝送に使用される。
WINNER−TDDにおけるMACフレームは691.2μsであり、2つの時間スロットから成る。これらの2つの時間スロットの各スロットは、15個のOFDMシンボルを含む。WINNER−TDDにおける1つのチャンクは、8個の隣接するサブキャリアのグループから成り、MACフレームにおける1つの時間スロットを張る。
以下に示す結果を得るために実行されたシミュレーションでは、アウトドアユーザだけを議論する。これらのユーザは道路に均一に分布しており、かつ一定速度5km/hで移動していると仮定する。スナップショットの最初において、1基地局(BS)あたり平均10個の移動局(MS)が分布している。移動局と基地局が両方とも同じ道路にある場合には、移動局は基地局までのある最小距離に基づいて基地局に接続される。それ以外の場合、移動局は、異なる道路にある基地局までのパスロス(path loss)が同じ道路にある基地局のものよりも低くなるような場合に限り、異なる道路にある基地局に割り当てられる。シミュレーション環境とユーザ分布の一例を図7に示す。この中で拡大図の中の実線は、移動局が基地局に接続している様子を示している。
シミュレーションでは、送信機と受信機との間のパスロスは、スナップショットの期間は変化しない。移動速度5km/hとシミュレーションの期間50msでは、移動局はパスロスの大きな変化が得られるほどあまり遠くには移動しない。しかしながら、高速フェージング効果は考慮される。この目的のため、周波数選択性時変モデルが、WINNERチャネルモデルのようなチャネルモデルB1からのパラメータを使用するモンテカルロ法を用いて生成される。送信機と受信機との間のパスロスが140dB未満の場合には、高速フェージング効果と遅速フェージング効果の両方が考慮される。パスロスが140dBを超える場合は、チャンクあたりの送信電力が16.4dBmであるときには、干渉電力に対するこのユーザの寄与は平均で−123.6dBm未満である。チャンクあたりの熱ノイズは−117dBmである。このユーザから受信した干渉は平均で熱ノイズレベルよりも低いので、かかる干渉リンクに対するチャネル選択性は無視される。
さらに、シミュレーションでは、各移動局がデータを継続的に送受信しようと試みるフルバッファトラフィックモデル(full buffer traffic model)を議論する。時間と周波数に関する送信機と受信機の間の完全同期が想定される。
システムは、本提案のコンテンションフリーのDCAアルゴリムを用いてシミュレートされる。予約アルゴリズムのように、既に言及したビジー信号コンセプト(非特許文献[IST-4-027756 WINNER II, “D4.7.2 Interference avoidance concepts," June 2007]参照)が使用される。これはBT−OFDMA(Busy Tone OFDMA)とも呼ばれる。比較のため、アイドルスロットでの送信がアクセス確率pで起こるp-persistent型BT−OFDMAに対してもパフォーマンスを評価する。p-persistent型BT−OFDMAでは競合期間中の衝突は、未予約スロットが確率p∈(0,1]でユーザに割り当てられるようにして軽減される。ただしp=1は、アイドル状態と見なされる全てのスロットが利用されるオリジナルのBT−OFDMAに相当する。
さらに、干渉を完全に無視するチャネル割当は、周波数再利用係数1のセルラシステムをモデル化するベンチマークシステムとして利用される。以下に示す統計データは100個の独立するスナップショットにわたって収集されている。次の表は、それぞれのシミュレーションで用いられるパラメータをまとめたものである。
異なるコンセプトを比較するため、3つのメトリック、すなわちシステムスループット、経時的な目減り(outage over time)および距離あたりのスループットでパフォーマンスが評価される。スループットは、所要SINR目標値以上で受信されるビット数である。目減り(アウテージ)は、ユーザに割り当てられた、所要SINR目標値を満足しないスロットの割合(パーセンテージ)である。
図8と図9は、時間スロット数に対する目減りチャンク(checks in outage)の数のシミュレーション結果を示している。図8はダウンリンクに対するシミュレーション結果を示しており、図9はアップリンクに対するシミュレーション結果を示している。各グラフにおいて4つの異なるコンセプト、すなわちp∈{0.3,0.6,1.0}に対するp-persistent型BT−OFDMAと、CARMACを示している。
図8と図9は、フレームで測定された、ダウンリンクとアップリンクに対する経時的な目減りを示している。時間0では全てのスロットはアイドル状態にあり、あらゆるセルは、選ばれたスロット割当ポリシーに基づいてスロットを予約(確保)しようと試みる。従来のBT−OFDMAは、特にpが高い場合に、大きな衝突確率に悩まされる。pが低下するにつれ目減りスロット数は大きく減少するが、安定状態に達するまでの時間は増加する。他方、CAMCARの場合は、目減り率が低下して、3フレーム足らずの後に安定状態に達する。このことは本発明の実施形態の利点を示している。
図10と図11は、時間スロット数に対する割当済み周波数チャンク数のシミュレーション結果を示す2つのグラフを示している。図10は、ダウンリンク伝送に対するシミュレーション結果を示している。図11は、アップリンク伝送に対するシミュレーション結果を示している。図10および図11において、割当が成功したスロットの数に対して同じような傾向が見られる。この場合も同じように、CAMCARを実行する実施形態では、DCAは3フレーム足らずで安定状態に達する。注目点は、特に図10に示されたダウンリンクでの、安定状態のパフォーマンスの違いである。図において、CAMCARの場合は、アクセス確率がp=0.3のp-persistent型BT−OFDMAと同じようなスループットを実現する。しかし、アクセス確率pが高くなるほど、より良い安定状態パフォーマンスが達成される。
ダウンリンクでの安定状態パフォーマンスの違いの原因は、図12を用いて説明できる。図12は、図8から図11で議論した4つのコンセプトと上述したベンチマークシステムに対するダウンリンクにおけるスループットと(基地局までの)距離との関係を示している。図12は、ストリート・キャニオン(street canyon)に沿って測定されたスループット対距離の関係を示している。CAMCARはセル内の全てのユーザに対してリソースの公平な割当を維持していることが見て取れる。この点は、得られるスループットの大半がセル端ユーザのスループットを犠牲にしてセル中心のユーザに持って行かれる従来のBT−OFDMAとの大きな違いである。言い換えると、従来のBT−OFDMAのシステムスループットの方が高いが、公平さは著しく欠いている。干渉緩和のない再利用係数1のシステムをエミュレートするベンチマークシステムでは、セル端ユーザにはほとんど全く割当がない。
以上の説明から本発明の実施形態は、予約プロトコルシナリオの中でユーザに対する公平さを改善することができるという利点を提供する。セル端ユーザが最も悩まされる衝突を回避することで、システムの公平さを高めることが可能である。さらに、衝突が効果的に避けられるので、システム容量が高められる。公平さを向上させたことで、特にセル端ユーザは従来ほど頻繁にサービス故障を経験することがなくなることから、ユーザ満足度が高まる。
本発明の方法の実施要件に応じて、本発明の方法はハードウェアまたはソフトウェアで実施することができる。本発明の実施は、本発明のそれぞれの方法が実行されるようにプログラマブルなコンピュータシステムと相互作用することができるデジタル記憶媒体、特に電子的に可読な制御信号が格納されたフラッシュメモリまたはDVDまたはCDを使用して行うことができる。一般に、本発明は従って本発明の方法をコンピュータに実行させる働きをするプログラムコードが機械可読媒体に格納されたコンピュータプログラム製品の形態を採ることもある。言い換えると、本発明は本発明の少なくとも1つの方法をコンピュータに実行させるプログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実現することができる。
100 送受信機装置
110 送信機
120 受信機
130 送信リソースセレクタ
140 コントローラ
110 送信機
120 受信機
130 送信リソースセレクタ
140 コントローラ
Claims (19)
- 移動体通信ネットワークにおいてデータパケットを送受信する送受信機装置(100)であって、前記移動体通信ネットワークは、繰り返される無線フレームにおいて使用される第1および第2の異なる所定の無線リソースグループを少なくとも有し、
送信リソースを使用して送信データパケットを送信する送信機(110)と、
ある送信データパケットに関する確認応答を受信する受信機(120)と、
送信機(110)に対して、前記第1または前記第2の無線リソースグループから送信リソースを選択する送信リソースセレクタ(130)と、
第1の送信データパケットを送信するための第1の無線フレームにおいて前記第1の無線リソースグループから送信リソースを選択し、前記第1の無線フレームにおいて前記第1の送信データパケットに関する確認応答を受信した場合には、第2の送信データパケットを送信するための第2の無線フレームにおいて同じ送信リソースを選択し、その他の場合には前記第2の無線リソースグループから送信リソースを選択するように、前記送信リソースセレクタ(130)をコントロールするコントローラ(140)であって、前記コントローラ(140)は、最初の送信に際し、所定のスキームに従って送信リソースを選択するように前記送信リソースセレクタ(130)をコントロールし、さらに前記コントローラ(140)は、前記送信データパケットを前記送信機(110)へ提供するものである、コントローラ(140)と
を備える送受信機装置(100)。 - 前記所定のスキームは、無線リソースグループを後続の無線フレームに割り当てるものである、請求項1に記載の送受信機装置(100)。
- 前記所定のスキームは、複数の無線リソースグループを連続する無線フレームに対して周期的に割り当てるものである、請求項1または2に記載の送受信機装置(100)。
- 前記第1および前記第2の無線リソースグループは、一連の周波数、複数のサブキャリア、無線フレームにおける時間スロット、チャネライゼーションコード、スクランブリングコード、インターリービングルール、もしくは空間フィルタリングルールのうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記送信機(110)は、ペイロード信号時間スロットにおいて送信データパケットを送信するものであり、
前記受信機(120)は、前記ペイロード信号時間スロットに関連するビジー信号時間スロットにおいて確認応答を受信するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。 - 前記第1および前記第2の異なる所定の無線リソースグループはオーバラップするものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 別の送受信機装置が、前記第1および前記第2の異なる所定の無線リソースグループを受信する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記移動体通信ネットワークは、CDMA方式、TDMA方式、FDMA方式、OFDMA方式またはIDMA方式である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記移動体通信ネットワークは、FDD方式またはTDD方式である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記第1、前記第2および第3の無線リソースグループは、周波数時間スロットの組み合わせの直交グループである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記受信機(120)は、受信した信号電力をある閾値と比較することにより確認応答を受信し、受信した前記信号電力が前記閾値を上回る場合には前記確認応答を受信するものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。
- 前記受信機(120)は、近傍における無線リソースの消費をモニタして、その近傍で使用された無線リソースに関する情報をコントローラ(140)へ提供するものであり、
前記コントローラ(140)は、前記近傍における使用量が別の無線リソースグループの使用量よりも少ない無線リソースグループから送信リソースを選択するように、送信リソースセレクタ(130)をコントロールするものである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)。 - 前記コントローラ(140)は、それまでのいくつかの無線フレームにおいてモニタしたリソースに基づいて、前記送信リソースセレクタ(130)をコントロールするものである、請求項12に記載の送受信機装置(100)。
- 前記受信機(120)は、受信信号の受信電力をある閾値と比較することにより、その受信電力が前記閾値を上回る送信機を含む近傍を決定するものである、請求項12または13に記載の送受信機装置(100)。
- 移動体通信ネットワークにおいてデータパケットを送受信する方法であって、前記移動体通信ネットワークは、繰り返される無線フレームにおいて使用される第1および第2の異なる所定の無線リソースグループを少なくとも有し、
ある送信リソースを用いて送信データパケットを送信するステップと、
ある送信データパケットに関する確認応答を受信するステップと、
送信するために、前記第1または前記第2の無線リソースグループから送信リソースを選択するステップと、
第1の送信データパケットを送信するための第1の無線フレームにおいて、前記第1の無線リソースグループから送信リソースを選択するようにコントロールするステップと、
前記第1の無線フレームにおいて前記第1の送信データパケットに関する確認応答を受信した場合には、第2の送信データパケットを送信するための第2の無線フレームにおいて同じ送信リソースを選択するステップと、
その他の場合には前記第2の無線リソースグループから送信リソースを選択するステップと、
最初の送信に際し、所定のスキームに基づいて送信リソースを選択するようにコントロールするステップと、
送信する前記送信データパケットを提供するステップと
を含む方法。 - 請求項15に記載の方法をプロセッサに実行させるプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
- 移動体通信ネットワークにおいて動作する移動局であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)を備える移動局。
- 移動体通信ネットワークにおいて動作する基地局送受信機であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)を備える基地局送受信機。
- 移動体通信ネットワークにおいて動作する中継局であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の送受信機装置(100)を備える中継局。
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