文字または画像等をシート等に印刷するプリンタとして、微細なインクの滴を用紙に吹き付けて印刷する方式を用いる、いわゆるインクジェットプリンタが広く利用されている。さらに近年では、従来、フォトリソグラフィ技術で加工されていた、液晶表示装置用カラーフィルタ等における微細パターンの形成や、プリント配線板での導体パターンの形成などに対して、このプリンタ技術が応用されている。
例えば、このインクジェット技術を応用して、微小なインクドットを描画対象(例えば、液晶表示用カラーフィルタやプリント配線板等)に塗布し、微細パターンを高い精度で形成することができる微小ドット形成装置の開発が活発となっている。
このような微小ドット形成装置では、描画対象にインクを安定して吐出するとともに、所望される位置に高精度にインクドットを着弾させることができるインクジェットヘッドが必要となる。
ところで、微小なインクドットを描画対象に塗布するためには、インクジェットヘッドから吐出する液体(インク)の形状を、例えばφ10μm以下といった微小形状に制御する必要がある。しかしながら、液体の形状が小さくなればなるほど、液体が有する慣性質量に比して、空気抵抗を受ける断面積の割合が大きくなる。このため、空気中を浮遊する液体に加速度を与えない吐出方法では、所望される位置にインクドットを着弾させる精度が著しく低下してしまう。
そこで、上記したような微小なインクドットを描画対象に的確に着弾させるために、空気中を浮遊する液体に静電気力を印加する静電吸引方式のインクジェットが用いられている。
この静電吸引方式のインクジェットヘッドでは、液体を描画対象に吹き付けるために、該インクジェットヘッドが備えるノズル面に形成された液体のメニスカス(湾曲した液面)に対して、十分に電解集中させる必要がある。
そして、上記メニスカスに対して、効果的に電解集中させるためには、液体吐出口をできるだけ突出した筒状の構造とすることが好ましい。また、描画対象に対して吐出するインクドットを微小とするためには、上記ノズルが備える開口部の形状はできるだけ小さいほうが望ましい。
上記したような微小なインクドットを吐出するインクジェット装置として、例えば、特許文献1には、図15に示す微細パターン形成装置が開示されている。同図は、従来の微細パターン形成装置の要部構成を示す断面図である。この微細パターン形成装置では、流体を吐出するための流路(吐出流体流路)として、シリコン基板に貫通孔を形成し、この貫通孔の一方の開口部を流体吐出口としている。
すなわち、特許文献1に記載の微細パターン形成装置は、図15に示すように、シリコン基板102、シリコン基板102の表面102a側に設けられた主電極106および支持部材108、シリコン基板102の裏面102b側に所定の間隔で配置された対向電極107、シリコン基板102と支持部材108との空隙部に吐出流体を供給する流路109を備えている。
そして、シリコン基板102は、表面102a側から裏面102b側に貫通する複数の微細孔103を備えている。この微細孔103の内部には珪素酸化物層104が形成されている。また、裏面102b側の開口部103bは、インクジェットヘッドと描画媒体との対向面に露出しており、シリコン基板の裏面102bから突出するように珪素酸化物からなるノズル105が形成されている。このノズル105は、上記の珪素酸化物層104と一体的に形成されている。
また、特許文献2には、微細ノズルの製造方法が開示されている。図16は、特許文献2に記載の微細ノズルの製造方法を示す断面図である。
上記微細ノズルの製造方法は、以下の処理工程を含んでいる。
まず、シリコン基板110の全面に珪素窒化物層111を形成する(図16(a))。
次に、シリコン基板110の一方の面に金属薄膜112を形成し、この金属薄膜112をフォトリソグラフィとエッチングによってパターニングすることによって、この金属薄膜112に微細開口113を形成する(図16(b))。
そして、金属薄膜112をマスクとして、微細開口113に対応する形状にシリコン基板110をディープエッチングし、貫通微細孔114を形成する(図16(c))。
さらに、金属薄膜112を除去し、貫通微細孔114の内壁に珪素酸化物層115を形成する(図16(d))。
次いで、シリコン基板110の一方の面からエッチングすることで、シリコン基板110のみをエッチングし、貫通微細孔114の内部に形成した珪素酸化物層115を、シリコン基板110のエッチングした側の面に突出させる(図16(e))。
また、特許文献3には、その表面から裏面に貫通したノズル孔121を有する樹脂製のノズルヘッド120と、ノズル孔121の内壁に形成され、一部がノズル孔先端部からコーン状に突出したNiメッキ膜122を有するインクジェットプリンタが開示されている。図17は、上記インクジェットプリンタの構成を示す断面図である。
上記インクジェットプリンタには、図17に示すように、複数(図17では2チャンネル)のノズル孔121が配されている。これらのノズル孔121には、すべてNiメッキ膜122が形成されている。また、すべてのチャンネルが電気的に短絡した状態となっている。
このインクジェットプリンタでは、各チャンネルにおいて、吐出液体123は、ノズルヘッド120とNiメッキ膜122とからなる液体流路内に充填されている。そして、この吐出液体123は、Niメッキ膜122に接続された吐出信号印加手段124により印加される電圧によって、ノズルヘッド120と対向して配置された対向電極126に静電吸引吐出され、描画媒体125に付着する。
また、特許文献3には、上記した構成のインクジェットプリンタが備えるノズルの製造方法が示されている。図18は、該製造方法を示す断面図である。
このノズルの製造方法では、まず図18(a)に示すように、樹脂製部材の表面と裏面とを貫通するようにノズル孔120aを形成したノズルヘッド120を準備する。
次に、内面がテーパー形状となったノズル突起部の型孔127aを有し、銅からなる型孔層127をノズルヘッド120に連接する(図18(b))。
次に、メッキによってNi層122を形成する(図18(c))。
そして、濃硝酸やアンモニア水といった、銅のみを溶解するエッチング液を用いて型孔層127のみを除去する(図18(d))。この型孔層127の除去に伴い、型孔層127の内壁に形成されたNi層122がノズルヘッドの樹脂部材から突出し、吐出口128となる。
特開2003−311944号公報(2003年11月6日公開)
特開2002−96474号公報(2002年4月2日公開)
特開平9−193400号公報(1997年7月29日公開)
〔実施の形態1〕
本発明の実施形態について図1〜図8に基づいて説明すると以下の通りである。
まず、本実施の形態に係るインクジェットヘッド1の構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、インクジェットヘッド1の概略構成を示す斜視図である。
(インクジェットヘッドの構成)
インクジェットヘッド1は、微細な液滴を描画対象に対して吐出するものである。上記液滴を形成する液体の一例として、インクを挙げて以下の説明を行う。なお、液体としてはインクに限らず、インクジェットヘッド1から飛翔可能な液滴を形成できれば足り、粘性については特に限定を要しない。
インクジェットヘッド1は、インクに電界を付与し、静電反発力により当該インクを描画対象に吐出する、いわゆる静電吐出型のインクジェットのヘッドである。このインクジェットヘッド1では電圧が印加されると、当該インクジェットヘッド1が備える液体流路部3の吐出口51近傍に電界を集中させ、描画対象に微細なインクを吐出する。
インクジェットヘッド1は、微小ドットによる微細パターンを描画対象(例えば、液晶表示用カラーフィルタやプリント配線板等)に形成するための微小ドット形成装置(不図示)に備えられており、下記に示す構成となっている。
すなわち、このインクジェットヘッド1は、図1に示すように、基板2、液体流路部3(中空部)、マニホールド6、および実装部7を備えている。
基板2は、液体流路部3を支持する部材であり、単結晶シリコンによって形成されている。また、基板2の側面のうち、液体流路部3の吐出部5が突出する側の基板端部26から延出する傾斜側面25は、基板上面24に対して垂直より内側に傾斜している。換言すれば、吐出部5が突出する側に位置する側面である傾斜側面25は、基板上面24に対して垂直な方向を基準として吐出口51から遠ざかる方向に傾斜している。
液体流路部3は、描画対象に噴射するインクが流れる通路であり、当該液体流路部3の内部をインクが通過できるように貫通孔を有する構造となっている。インクジェットヘッド1では、液体流路部3は、基板上面24に3つ形成されており、各液体流路部3同士は、169μmピッチ間隔で配置されている。そして、この液体流路部3は、その両端部に、インクを供給するための供給部4と、インクを描画対象に吐出するための吐出部5とを備えている。
供給部4は、インクを供給するための孔である液体供給口41を有しており、この液体供給口41を介して液体流路部3にインクが供給される。なお、各液体流路部3が有する液体供給口41は、同一線上に位置するように配置されている。
吐出部5は、供給部4から延びており、インクを吐出するための吐出口51をその末端部に有している。この吐出部5の一部は、基板端部26から突出している。本実施形態では、この基板端部26から突出する吐出部5の長さ(突出長)を100μmとしている。
液体流路部3の幅は、供給部4における幅よりも吐出部5における幅のほうが小さくなるように設計されている。すなわち、液体流路部3の内部における高さ方向の大きさは2μmで略一定であるが、液体流路部3内部の幅方向の大きさは、吐出口51近傍では3μm、液体供給口41近傍では70μmとなり、吐出口51と液体供給口41とにおいて断面積が変化するように構成されている。
また、吐出部5全体の形状は、長さ方向の大きさが120μm、幅方向の大きさが7μm、高さ方向の大きさが6μmである。また、吐出口51は、幅方向に3μm、高さ方向に2μmの略長方形形状をしており、液体供給口41は、50μm×50μmの略正方形である。
なお、上記長さ方向とは、液体流路部3において、供給部4から吐出口51に向かって液体が流れる方向(液体流路部3における長手方向)であり、上記高さ方向とは、基板上面24に対して垂直となる方向である。また、上記幅方向とは、基板上面24において供給部4から吐出口51に向かう方向に直角となる方向である。
マニホールド6は、供給部4にインクを供給するためのものであり、絶縁体物質によって構成されている。
このマニホールド6は、図1に示すように、基板2の上面に配置された液体流路部3の液体供給口41を覆うように、基板上面24に設けられている。
さらに、このマニホールド6は、その内部に80μm×80μmの断面積で深さ方向の長さが3mmである流体供給孔61を、供給部4と同数分だけ備えている。そして、流体供給孔61と液体供給口41とが通じるようにマニホールド6の端面が、供給部4に接合されている。
なお、上記断面積とは、流体供給孔61において、液体流路部3の液体供給口41と接する部分の面積であり、上記深さ方向とは、液体流路部3が備えられている基板2の面に対して垂直な方向である。
また、マニホールド6の流体供給孔61は、供給部4と接する側とは反対側で不図示の共通液体室に接合されている。そして、この共通液体室からすべての流体供給孔61に液体が供給されるように構成されている。
また、上記マニホールド6は、図3に示すように、共通液体室62と兼用して構成することもできる。
実装部7は、液体を描画対象に吐出するように制御する吐出信号が印加されるものである。実装部7は、吐出部5が接続されている側面とは反対側の、供給部4の側面に位置しており、液体流路部3の外殻31(図2参照)の一部から形成されている。また、この実装部7は、ワイヤーボンディングなどの実装技術によって図示しないフレキシブル基板などの外部信号伝達手段と電気的に接続している。
なお、実装部7は、図2に示す外殻31のうち、下部流路層32または上部流路層33のいずれから構成されていてもよい。すなわち、実装部7は、少なくとも導電体である下部流路層32または上部流路層33と電気的に接続されているものであればよい。
(液体流路部3の構造)
次に、液体流路部3の構造について、図2を参照しつつ説明する。
図2は、図1に示すインクジェットヘッド1のA−A断面図である。図2に示すように、液体流路部3のA−A断面において、当該液体流路部3の外周を構成する外殻31は、下部流路層32と上部流路層33とによって形成される。なお、この下部流路層32と上部流路層33とは、それぞれ厚さが2μmのNiを主成分とする導電体で構成されている。
なお、少なくとも下部流路層32または上部流路層33のいずれかがNiによって形成されていればよいが、後述する基板2のエッチングにおいてエッチング液による侵食を防ぐために両者がNiによって形成されていることが好ましい。
また、液体流路部3と基板2との接合部分には、0.2μm〜2μmの厚さのSi酸化膜やSi窒化膜などの絶縁層21(難エッチング層)が備えられている。さらに、基板2の裏面においても、同様の絶縁層22が備えられている。
上記の構成により、電気的に独立した液体流路部3を構成する外殻31に直接吐出信号を印加することができる。このため、特定の液体流路部3に対して吐出信号を容易に印加することができる。
更に、上述したように液体流路部3の外殻31は、Niで形成されているため、電荷移動にかかる電気抵抗が小さく吐出口に電荷が移動しやすくなる。このため、吐出口51に形成された液体メニスカスに電界集中させるための電荷がこの外殻31を通して吐出口51に集中する。すなわち、本実施形態のインクジェットヘッド1では、外殻31を、当該インクジェットヘッド1における電極として作用させることができる。
(インクジェットヘッド1の効果)
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッド1では、液体流路部3を基板2の表面に形成しているため、この液体流路部3の形状または、液体流路部3の外殻31によって形成される液体の流路形状をフォトリソグラフィのパターンを変えることで任意に変更することができる。
このため、基板の厚さ方向に流路を形成する従来の構造に比べ、液体流路部3を流れる液体の流路抵抗を自由に調整することができる。また、インクジェットヘッド1の用途に応じて、液体流路部3の設計を好適に変更することが容易となる。
また、上述したように、インクジェットヘッド1は、吐出口51の一部が基板端部26から突出した構成となっている。このため、吐出信号を印加した時に、効果的に吐出口51の近傍に電界を集中することができる。
したがって、インクジェットヘッド1において、吐出信号の電圧を低減することができる。このため、絶縁破壊などの放電によって隣接する他の液体流路部3等に電流が流れ、クロストークが生じることを防ぐことができる。
また、インクジェットヘッド1は、上記したように吐出信号の電圧を低減させることができるため、描画対象に対して放電し、当該描画対象を損傷させる危険性を低減することができる。
また、インクジェットヘッド1では、上記したように液体流路部3が備える外殻31を電極として作用させることができるため、吐出口51近傍の電界が、吐出に必要な電界強度に達する時間を短くすることができる。このため、インクジェットヘッド1の吐出応答性が向上し、描画速度が向上する。
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、インクジェットヘッド1の製造方法について、図4(a)〜図4(g)を参照しつつ説明する。なお、図4(a)〜図4(g)は、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法を示すものであり、インクジェットヘッド1の製造工程における図1のA−A断面図である。
まず、(100)単結晶シリコンにより構成される基板2の両面に絶縁層21・22を形成する(図4(a))。この絶縁層21・22の形成工程では、通常の熱酸化法によって0.5μmの厚さで、絶縁層21・22としてシリコン酸化膜を形成する。
なお、絶縁層21の層厚は、この絶縁層上に形成される液体流路部3が備える外殻31と、基板2との絶縁性を確保するために十分な層厚に設定することが望ましい。しかしながら、この層厚を厚く設定しすぎると、インクジェットヘッド1の製造プロセスに要する時間が不必要に長くなるため、絶縁層21の層厚は0.2μm〜5μmが好適である。
次に、裏面の絶縁層22のみをパターニング形成する(難エッチング層形成工程)。このパターニング形成は、一般的なフォトリソグラフィとエッチングにより行う。
次に、絶縁層21の上に下部流路層32を形成する(図4(b))。ここで、上述したように、下部流路層32は、Niを主成分とする金属材料から形成される。そして、この下部流路層32を、メッキ付着領域をレジスト等によって制限する選択メッキによって、絶縁層21の上に2μmの厚さで形成する。ただし、下部流路層32は、基板2の略全面に下部流路形成層を成膜した後、ドライエッチングあるいは湿式エッチングによって、所望される形状にパターニングすることにより形成されてもよい。
また、下部流路形成層の成膜にはメッキ以外に、蒸着やスパッタリングなどの成膜手法を用いることもできる。
なお、下部流路形成層の成膜を蒸着やスパッタリングなどを用いる場合、基板2の(110)面に対して垂直になる方向が、長手方向の形状となるように下部流路層32の形状をパターンニングする。
次に、下部流路層32にフォトレジストを露光・現像によってパターニングすることにより、液体流路層34を2μmの厚さで形成する(図4(c))。
そして、絶縁層21、下部流路層32、および液体流路層34が形成されている面の全面に対して上部流路層33の下地層35を蒸着によって形成する(図4(d))。
なお、この下地層35は、密着層とシード層との2層構造となっている。密着層は、Tiを主成分とする金属材料からなるものである。シード層は、密着層上に形成されたNiを主成分とする層であり、上部流路層33をメッキするためのものである。そして、下地層35の厚さは、密着層が50nmであり、シード層が50nmである。
また、上記密着層とシード層とは、両者の層の密着性を低下させないようにするために、同一真空中で連続して成膜される。また、上記蒸着においては、液体流路層34の側面への、下地層35の付着を促進するために、蒸着雰囲気にArを導入し、10−4Torr程度の真空度で成膜することが好適である。
また、蒸着ではなくスパッタによって下地層35を形成してもよい。
次に、上部流路層33となる領域を、フォトリソグラフィによってパターン化されたレジストパターンにより制限する。そして、メッキ法によってNiを主成分とする上部流路形成層を、2μmの厚さで下地層35上における上部流路層33となる領域に形成する。そしてさらに、不必要な領域に付着したメッキ膜とシード層とを湿式エッチングによって除去する(図4(e))。
ここで、上記エッチング液には硝酸:過酸化水素水:水の混合溶液を使用する。また更に、上記湿式エッチングでは除去できないTiを主成分とする密着層を、Arイオンを用いたドライエッチングで除去する。
なお、密着層の厚さは50nmであり、エッチングされる量が極めて少ない。このため、上部流路層33をエッチングマスクとして使用しても、上部流路層33の層厚は2μmから1.95μmに減少するだけであり、インクジェットヘッド1の構成上まったく影響がない。したがって、上記密着層をエッチングするために、特段のレジストパターンを形成する必要がない。
そして、更に、CF4ガスを主成分とする反応ガスを用いたリアクティブエッチング法(RIE)により熱酸化膜を除去する。ここでも、上部流路層33は、当該CF4ガスを主成分とする反応ガスによるRIEによってほとんどエッチングされないので、特段のレジストパターンを形成する必要がない。
次に、基板2の端部をダイシング等の切断手段で切断した後、エッチング液に浸漬し、基板2の上部断面がA−A断面において台形形状になるようにエッチングする(図4(f))。
そして、アセトンなどのレジストを溶解する溶剤、または東京応化製剥離液106のようなレジスト剥離液を用いて、液体流路部3内部に空隙を形成するためにレジスト(液体流路層34)を除去する(図4(g))。
(傾斜側面25の形成方法)
ここで、図4(e)〜図4(g)に示した工程を、以下に示す図5(a)〜図5(e)を参照してより詳細に説明する。特に傾斜側面25の形成工程について詳細に説明する。図5(a)〜図5(e)は、インクジェットヘッド1の液体流路部3の長手方向における断面図である。
まず、前提として、先に説明した図4(a)〜図4(d)の工程(中空部形成工程)により、基板2には、絶縁層21、絶縁層22(難エッチング層)、下部流路層32、液体流路層34、下地層35、および上部流路層33がそれぞれ形成されているものとする。そして、絶縁層22、下部流路層32および上部流路層33は、パターン化されている。絶縁層22は、上面24よりも面積の小さい難エッチング層であり、上面24とは反対側の面において、吐出口51から離れた位置に形成されている。
まず、図5(a)に示すように、吐出口51を形成する。すなわち、上部流路層33および下部流路層32の長手方向における先端部、ならびにこれらの下層にある絶縁層21を、Arを用いたドライエッチング、またはCF4ガスを用いたRIEにより除去し、吐出口51を形成する。
本実施形態では、液体流路部3の吐出口51を形成する端面のそれぞれが、(110)面に対して平行な直線上に配置されるように形成されることが好ましい。なお、ここではArによるドライエッチングによって吐出口51を形成したが、湿式エッチングによって吐出口51を形成してもよい。
次に、吐出口51の形成位置よりも突出した基板2の端部をダイシングなどの切断手段または研磨手段により除去し、基板上面24に垂直な(110)側面27を形成する(図5(b))。このように(110)側面27をエッチング前に予め形成することで、(110)面に依存した最も速いエッチング速度を得ることができる。
次に、形成されたチップ部分(側面27を含む基板2の端部)をSiのエッチング液に浸漬し、Siによって形成されている基板2をエッチングする(図5(c))。ここで、上記エッチング液は20〜50wt%のKOH水溶液を80℃に加熱して用いることが好ましい。
エッチングは、側面27からは(110)面に依存した速度で、また、基板2の裏面からは(100)面に依存した速度で、さらに、基板2裏面の絶縁層22近傍では、絶縁層端辺22a(端辺)を基点として(111)面が形成されるが、その時の速度においても(111)面に依存した速度で進行する。その速度の比較であるが、(110)面、(100)面、(111)面の順番で速く、500:50:1である。そして、エッチング後の側面27の形状は、(111)面のみ、または、図5(c)に示すように、(111)面(傾斜側面25)と(110)面との2面で構成された壁面が形成される。なお、切断及び研磨される側面27の形状としては、一つの平面、曲面或いは複数の平面であっても構わない。
(マニホールド6の取り付け工程)
次に、図5(d)に示すように、レジスト剥離液を用いて液体流路部3の内部の空隙を形成するためにレジスト(液体流路層34)を除去する。そして、マニホールド6を供給部4に接着剤8を用いて接着する。
マニホールド6を取り付ける場合、マニホールド6の内部に備えられる流体供給孔61の開口部分が液体流路部3の供給部4に設けられた液体供給口41と一致するように接着する。
なお、マニホールド6の接着には、エポキシ系の接着剤8を用いている。このとき、インクジェットヘッド1の後端(吐出口51とは反対方向となるインクジェットヘッド1の端部)に設けられる実装部7には、接着剤8およびマニホールド6が接触しないようにする。
上述したようにインクジェットヘッド1が基板2上に形成され、基板2の裏面(基板上面24の反対側の面)には微細構造物が形成されていない。このため、上記マニホールド6の接着工程において、基板2の裏面を吸着等することによって、インクジェットヘッド1を容易に固定することができる。したがって、マニホールド6の液体流路部3への接着工程を安定して行うことができる。
(実装部7の取り付け工程)
次に、図5(e)に示すように、ワイヤーボンディングなどの実装手段を用いて、外部の吐出信号発生装置(図示せず)と接続されたフレキシブル基板などの外部配線71を、実装部7に電気的に接続する。図5(e)は、実装部7の取り付け工程を説明するための断面図である。
液体流路部3の実装工程においても基板上面24の側から実装部7の接続のための押圧力を加えることができるので、実装部7の信頼性を向上させることができる。
(傾斜側面25の別の形成方法)
次に、傾斜側面25の別の形成方法について、図6〜図7を参照しつつ説明する。
まず、裏面に絶縁層22のない基板2に対して、エッチング前に予め傾斜側面25を形成しておく方法について説明する。図6は、傾斜側面25の他の形成方法について説明するための断面図である。
まず、図6(a)および(b)に示すように、基板2の突出した端部において、ダイシングなどの切断手段または研磨手段により傾斜側面25を形成する。
次に、切断されたチップ部分をSiのエッチング液に浸漬し、Siによって形成されている基板2をエッチングする(図6(c))。ここで、上記エッチング液は20〜50wt%のKOH水溶液を80℃に加熱して用いることが好ましい。エッチングは、切断および研磨手段により形成した傾斜側面25と基板上面24とのなす角度θを維持した状態で、液体流路部3に対して平行に進行する。
なお、この場合のエッチング速度であるが、基板上面24に対する傾斜側面25のなす角度θにより異なるが、(100)単結晶シリコンを用いた場合、θが90°の(110)面が最も速く、次いでθが0°の(100)面が速く、θが55°の(111)面が最も遅い。これらの速度比は500:50:1と大きく異なる。このように、傾斜側面25を形成し、KOH水溶液により基板をエッチングすることで、基板端部26から突出した吐出部5を形成する。
次に、側面27を凹状に形成する方法について、図7を参照しつつ説明する。図7は、傾斜側面25のさらに別の形成方法について説明するための断面図である。
この方法では、図7(a)および(b)に示すように、裏面に絶縁層22のない基板2の端部において、ダイシングによって側面27を凹状に形成する。上記凹状とは、段差を有する2つの平面が傾斜面を介して連なっている状態を意味している。そして、切断されたチップ部分をSiのエッチング液に浸漬し、エッチングする。
すると、基板上面24に対して垂直な面は(110)面に依存した速度でエッチングが進行し、基板上面24に対して平行な面は(100)面に依存した速度でエッチングが進行する。そのため、図7(c)に示すように、比較的速く傾斜側面25を得ることができる。
(傾斜側面25の効果)
次に、傾斜側面25を形成することの利点、換言すれば、基板上面24と基板端部26から延出する側面とによって形成される角度θを90°より小さくすることによって得られる利点について、図8を参照しつつ説明する。
図8(a)および(b)は、インクジェットヘッドの吐出状態を説明するための、基板2の側方から見た概略図である。図8(a)は、基板上面24と側面27とのなす角度θが90°の場合を示す図であり、図8の(b)は、基板上面24と側面27とのなす角度θが90°より小さい場合、例えば70°の場合を示す図である。
まず、インクが吐出口51から吐出されるまでの流れについて説明する。電源部11から液体流路部3に電圧を印加すると、液体流路部3内部に充填されたインク中に電荷が供給される。すると、インクは吐出口51の方向に移動する。吐出口51に到達したインクは、吐出口51近傍で強電界を受けて、描画対象基板9の方向に吐出する。インク滴28が描画対象基板9の上に着弾することにより、描画像12が形成される。
このようなインクの吐出過程において、インク滴28の一部は、吐出口51から吐出部5の外壁を伝って流出する。そして、図8(a)に示すように、基板上面24と側面27とのなす角度θが90°の場合には、インク滴28は側面27の表面に蓄積する(液滴29)。そして、その蓄積量が増加すると、蓄積したインクが描画対象基板9に滴下するか、または、電界の影響を受けて異常吐出するという問題が生じる。
しかし、図8(b)に示すように、基板上面24と側面27とのなす角度θが70°の場合(傾斜側面25が形成されている場合)には、インクが吐出口51から流出しても、重力の影響を受けて傾斜側面25の表面に大量に蓄積する可能性は少ない。そのため、角度θが90°の場合に起こる上記の問題が生じる可能性が低く、長時間安定した吐出状態を実現することが可能である。
〔実施の形態2〕
本発明の別の実施形態について図9〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、上記実施の形態1と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
(インクジェットヘッド10の構成)
図9は、本実施形態のインクジェットヘッド10の構成を示す斜視図である。
実施の形態1では、基板2上に難エッチング層である絶縁層21が液体流路部3の真下にのみ形成された構成であったが、本実施形態では、絶縁層21のパターン面積が液体流路部3のパターン領域に対し、少なくとも交差および接しない範囲で大きい構成となっている。換言すれば、基板2において液体流路部3が形成されている領域は、絶縁層21が形成されている領域に含まれており、絶縁層21が形成されている領域の面積は、液体流路部3が形成されている領域の面積よりも大きい。
基板2の材料がSiであり、KOHやNaOH、TMAH等の水溶液によって傾斜側面25を異方性エッチングし、基板端部26の近傍に吐出部5を形成する場合、難エッチング材料としては、Si酸化膜やSi窒化膜等の絶縁材料が好まく、その厚さは0.1〜1μmであることが好ましい。
(インクジェットヘッド10の形成方法)
次に、インクジェットヘッド10の形成方法について、図10〜図12を参照しつつ説明する。図10は、インクジェットヘッド10の形成方法を説明するための平面図である。図11は、図10に示すインクジェットヘッド10のB−B断面図である。
まず、基板2の上面全体に絶縁層21を形成する(図10(a)、図11(a))。この絶縁層21の形成は、スパッタ蒸着やSi酸化膜の場合には熱酸化等により行う。
そして、全面に形成された絶縁層21(難エッチング層)に対して、フォトリソグラフィとエッチングによってパターニングする(図10(b)、図11(b))(難エッチング層形成工程)。このとき、絶縁層端辺21aと絶縁層端辺21bとが形成される。絶縁層端辺21aは、液体流路部3が形成された場合に吐出部5と直交する端辺である。絶縁層端辺21bは、絶縁層端辺21aに対して段差を有する端辺である。そして、絶縁層端辺21aは、絶縁層端辺21bよりも、吐出方向前方に位置するように形成される。換言すれば、絶縁層端辺21bは、絶縁層端辺21aよりも吐出口51から離れた位置に形成される。また、パターニングされた絶縁層21は、上面24よりも面積の小さいものである。
それから、パターニングされた絶縁層21に対して、液体流路部3をパターニングする(図10(c)、図11(c))(吐出部形成工程)。このとき、吐出部5の一部が絶縁層端辺21aから突出するように、液体流路部3を形成する。そして、KOH水溶液等で、絶縁層端辺21aが位置する側(吐出部5が形成されている側)の基板2の端部をエッチングすることにより液体流路部3の先端(吐出部5)を突出させる(図10(d)、図11(d))(エッチング工程)。
ここで、液体流路部3のパターン形状について説明する。図10(c)に示すように、吐出部5の突出方向に対して、絶縁層端辺21aを垂直に形成している。そのため、図11(d)に示すように、難エッチング材料である絶縁層端辺21aを基点としてエッチングが開始し、基板上面24とのなす角θが最大55°の傾斜側面25が形成される。
このように、上記構成では、エッチングによる基板端部26の形成を絶縁層端辺21aにより規定しているため、より高精度で吐出部5の突出位置を設定することができる。また、吐出部5の突出長の設定が容易で、且つ、液体流路部3ごとの突出長ばらつきの少ない均一形状のマルチノズルヘッドを作製することができる。
(インクジェットヘッド10の変更例)
次に、上述した形状とは異なる形状のインクジェットヘッド10について、図12を参照しつつ説明する。図12は、インクジェットヘッド10の別の形成方法を説明するための平面図である。
まず、基板2の上面全体に絶縁層21を形成する(図12(a))。
次に、図12(b)に示すように、絶縁層21を、フォトリソグラフィとエッチングによってパターニングする。このとき、絶縁層端辺21aと絶縁層端辺21cとが形成される。絶縁層端辺21aは、液体流路部3が形成された場合に吐出部5と直交する端辺である。絶縁層端辺21cは、絶縁層端辺21aに連なる辺であり、絶縁層端辺21aに対して傾斜した端辺である。そして、絶縁層端辺21aは、絶縁層端辺21cよりも、吐出方向前方に位置するように形成される。換言すれば、絶縁層端辺21bは、絶縁層端辺21aよりも吐出口51から離れた位置に形成される。
これ以降の工程は、上述のものと同様のため省略する。
以上のように、絶縁層21のパターンを形成すると、エッチングは絶縁層端辺21aを基点に行われる。そのため、液体流路部3の吐出部5と交差する基板端部26が吐出部5と交差しない基板端部よりも吐出方向前方に位置する形状となる。
(インクジェットヘッド10の効果)
次に、インクジェットヘッド10が奏する効果について、図13を参照しつつ説明する。
図13(a)および(b)は、基板端部26の形状の異なるインクジェットヘッドの吐出特性を示した概略図である。図13(a)は、液体流路部3の形成領域に位置する基板端部26aと、液体流路部3の非形成領域である基板端部26bとを同一直線上に形成したインクジェットヘッドを示す図であり、図13(b)は、基板端部26aを基板端部26bより、吐出方向前方に形成したインクジェットヘッドを示す図である。
図13(a)に示すように、基板端部26aが、基板端部26bと同一直線状に位置すると、インクの吐出時に基板端部26bにインクが蓄積する虞がある。そして、蓄積したインク(液滴29)は、基板端部26bで電界集中し、基板端部26bから誤吐出される虞がある。
このような基板端部26bからのインクの誤吐出は、液体流路部3の吐出部5の突出長が短い場合、または、描画対象基板9に対するインクジェットヘッド取付の平行度が悪い場合に起きやすい。
一方、図13(b)に示すように、基板端部26aが基板端部26bより吐出方向前方に形成されていると、基板端部26aに流出したインクが鉛直方向に延びた基板端部26c上で重力を受けるため、インクは両側の基板端部26bまで広がりにくい。また、基板端部26bまで液体が到達しても、基板端部26bと描画対象基板9との間の距離が大きいため、電界集中することなく、誤吐出が発生する可能性が少ない。
以上のように、インクジェットヘッド10では、基板端部26aを基板端部26bより吐出方向前方に形成することにより、基板端部26bからインクが誤吐出する可能性を低減でき、安定したインクの吐出状態を実現することができる。
(インクジェットヘッド10の別の効果)
次に、インクジェットヘッド10の別の効果について、図14を参照しつつ説明する。図14は、図9に示すインクジェットヘッド10のA−A断面図である。
インクジェットヘッド1の断面図である図2と、インクジェットヘッド10の断面図である図14とを比較すると、図2の積層構成では絶縁層21が液体流路部3の真下にのみ形成されているのに対し、図14に示す構成では、絶縁層21は基板2の上面全体に形成されている。
図2に示すように、絶縁層21が液体流路部3の真下にのみ形成されていると、エッチング時に絶縁層21が形成されていない液体流路部3の間においてもエッチングが進行する。例えば、Si(100)基板を使用した場合は、基板上面24に液体流路部3の幅方向端部を基点とした(111)面の斜面が形成される。さらに、基板2と絶縁層21との間でサイドエッチングが進行するにつれて、エッチング後の(111)斜面の端部と絶縁層21との接点位置は、流路の中心に向かう方向に移動し、絶縁層21と基板2との間の剥離が進行する。
上記サイドエッチングの速度は、突出形状形成時に利用する(111)面および(100)面のエッチング速度に対して、15:1:1の関係であるため、突出長が大きい場合は、サイドエッチング量も大きくなり、液体流路部3の剥離が発生する。
一方、図14に示すように、液体流路部3の間においても絶縁層21を形成していると、基板上面24からのエッチング、サイドエッチングが進行しなくなり、突出長に関係なく剥離のない安定した突出流路形状を形成することが可能である。
さらに、少なくとも液体流路部3を形成する領域全体において、Si基板上に絶縁層21を形成しているため、液体流路部3の間の電気抵抗を大幅に大きくすることができ、基板2を介した隣接流路への電流のリーク、いわゆるクロストークを抑制することができる。
(変更例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上述の説明では、液体流路部3の吐出部5の、基板端部26からの突出長は100μmであったが、この突出長はこれに限定されるものではない。上記突出量は、インクの吐出安定性と、吐出部5の構造的安定性と、吐出口51近傍に電界を集中させるために供給する電圧の大きさとを考慮して適宜設定することができる。
また、上部流路層33および下部流路層32は、Niを主成分とするものであるとしたが、上部流路層33および下部流路層32の材質は導電性のものであればよく、Ni以外の導電性の物質を主成分としてもよい。上記導電性の物質として、例えば、AuやCrを挙げることができる。
また、上述した各部材の寸法は、一例として挙げたものであり、適宜変更可能である。
本発明のインクジェットヘッドは、液体を受け付け、電圧の印加に応じて、描画対象に該液体を吐出するものであって、基板の表面に形成された複数の液体流路部を有し、各液体流路部は中空の筒状形状で、その長手方向の一方の端部に液体吐出口を有し、他方の端部に液体流入口を有し、吐出口側の液体流路が基板側面から突出しており、液体吐出口側の基板側面が基板上面に対して少なくとも一部が垂直から傾斜している。
上記液体吐出口側の基板側面の位置に関して、複数の液体流路部と交差する領域側面部分の位置を、液体流路部と交差しない領域側面部の位置より吐出方向側に配置することが好ましい。
上記液体流路の突出部を基板のエッチングにより形成しており、上記液体流路部が上記基板上に形成された難エッチング層の上面に形成されており、上記難エッチング層の液体吐出口側の側辺が、液体流路の突出方向に垂直であることが好ましい。
上記難エッチング層の形成領域が、液体流路部の形成領域に対して、少なくとも交差および接することなく大きいことが好ましい。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、基板の表面に形成された複数の液体流路部を有し、各液体流路部は中空の筒状形状で、その長手方向の一方の端部に液体吐出口を有し、他方の端部に液体流入口を有し、吐出口側の液体流路が基板側面から突出したインクジェットヘッドの製造方法であって、基板側面に対する液体流路の突出部の形成をエッチングで行い、その突出長を複数の液体流路部と基板上面の間に形成された難エッチング材料の形成領域で規制するものである。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、基板の表面に形成された複数の液体流路部を有し、各液体流路部は中空の筒状形状で、その長手方向の一方の端部に液体吐出口を有し、他方の端部に液体流入口を有し、吐出口側の液体流路が基板側面から突出したインクジェットヘッドの製造方法であって、基板側面に対する液体流路の突出部の形成をエッチングで行い、液体流路を形成する面とは反対側の面上に難エッチング材料を形成することで液体吐出口側の基板側面を基板上面に対して垂直から傾斜させるものである。