JP4690582B2 - 量子化誤差を考慮した色変換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検査物を撮像してHSI変換するとき、そのHSIの量子化誤差を考慮して変換する色変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、CCDカメラを用いて被検査物を撮影して、このカラー画像の色等を自動判定する場合は、R、G、Bデータによらないで、H(色相;hue)、S(彩度;saturation)、I(明度;intensity)に変換して判定するのが一般的である。
【0003】
このHSI変換は、人間の視覚に従った色変換であり、かつ演算が最も簡単な変換方法といわれ、例えばS(彩度;saturation)の変換は、
【数7】
また、H(色相;hue)に関しては、
【数8】
として変換する。
【0004】
このようなHSI変換は、例えば缶(食品缶詰用缶、飲料缶詰用缶)の印刷図柄模様の良否の検査装置にも用いられるようになって来ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像処理におけるHSI変換は、数7に示すように輝度Yの値が小さくなると、S(彩度;saturation)が大きくなる。
【0006】
また、輝度Yが大きくなるとS(彩度;saturation)が小さくなる。
【0007】
つまり、被検査物の基準画像上における光の強さによって彩度Sが変化する。このため、彩度Sが小さい場合は粗い色となる。
【0008】
また、Hの誤差が大きくなるような条件の場合は、後工程の処理に悪影響を及ぼす。
【0009】
従って、輝度に変動があっても、HSIの変動を抑えることができる色変換方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1は、被検査物の外観の良否を判定する検査の際に、被検査物の撮像画像の1画素あたりのRGB画像を入力し該RGB画像を設定されたHSI変換式でHSIデータに変換する量子化誤差を考慮した色変換方法であって、
前記RGBデータが入力する毎に、それぞれを、デジタル変換してシューディング補正し奇数成分と偶数成分とを加算して出力する画像入力工程と、
前記画像入力工程からのR画像、B画像、G画像が入力する毎に、設定されている変換式に基づいてH、S、I変換した前記HSIデータを出力する色変換工程と、
前記画像入力工程からのR画像、G画像、B画像を入力し、これらに所定係数を乗算して輝度Yを求め、この輝度に基づくH、S、I変換式を前記色変換工程に設定するHSI変換処理工程と、
を行い、
前記輝度Yは、
【数9】
として設定し、
前記Iは、
【数10】
として設定し、
前記Sは、
【数11】
として設定する
ことを要旨とする。
【0011】
これにより、輝度が低い場合のHSIの変動を抑えることができる。
【0012】
また、輝度の値が小さいときS、Hの変動を低減するようにしているので、輝度に変動があってもHSIの変動を抑えることができる。
【0013】
また、請求項2は、 前記Hは、
【数12】
ただし、
【数13】
【数14】
として設定することを要旨とする。
【0014】
これにより、入力されたRGBデータの輝度レベルを求め、その輝度レベルに量子化誤差を考慮した所定の係数を含ませたH、S、I毎の変換式でRGBをHSI変換するので、HSIの変動が抑えられ、後工程に悪影響を与えない。
【0015】
また、これにより、Sレベルが小さいときHの値を一定にするようにしているので、Sが非常に小さいときの色相Hの変動を無視することが可能となり、この色相Hの変動が全体の検査に悪影響を与えないようにすることができる。
【0016】
請求項3は、前記変換されたHSIデータと前記被検査物の標準色と比較して良否を判定し、この判定結果を知らせる工程とを行うことを要旨とする。
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】
本実施の形態では、缶表面の印刷図柄模様及びキズ等を検査する検査装置として説明する。
【0019】
図1は本実施の形態の概略構成図である。図1の検査装置1は、搬送系2から缶3が回転台4に搭載されると、この回転台4を回転させながら3板式CCDカメラ5で撮影する。この缶3には、例えばバーコード、ABCの模様や文字等が予め印刷されている。また、缶3の近傍にはバーコードスキャナ6、光源7、レンズ8が設けられている。
【0020】
前述の3板式CCDカメラ5は、画像処理装置10が接続され、この画像処理装置10は、3板式CCDカメラ5からのR成分の画像(以下単にR画像という)、G成分の画像(以下単にG画像という)、B成分の画像(以下単にB画像という)を所定の処理を行って表示制御部11を介して表示部12に映像を表示する。
【0021】
また画像処理装置10は、R画像用入力部13aと、G画像用入力部13bと、B画像用入力部13cと、R用の濃度変換部15aと、G用の濃度変換部15bと、B用の濃度変換部15cと、色変換部16と、コンピュータ部19等を備え、輝度に変動があっても、HSIの変動を抑えた色変換を行う。
【0022】
前述のR画像用入力部13aの構成を説明する。G画像用入力部13b及びB画像用入力部13cについては、R画像用入力部13aと同様であるので説明を省略する。
【0023】
R画像用入力部13aは、3板式CCDカメラ5からの1画素当たりのR画像が入力する毎に、デジタル変換してシェーディング補正した後に奇数成分と偶数成分とを加算した1画素当たりのR画像を、R画像用フレームメモリ(図示せず)に順次書き込む。
【0024】
R用の濃度変換部15a、G用の濃度変換部15b、B用の濃度変換部15cは、それぞれ入力するR画像、G画像、B画像をコンピュータ部19からの所定条件に基づいて平均化してR、G、Bの濃度を調整する。
【0025】
色変換部16は、R画像と、G画像と、B画像とを後述するコンピュータ部19によって設定された式に基づいてHSI変換して、フレームメモリ22a、22b、22cに書込む。
【0026】
そして、判定部(図示せず)により、フレームメモリ22a、22b、22cの合成画像(H、S、I)から色を特定し、この色と標準色とを比較して不良品かどうかを判断させると共に、合成画像を表示部12に表示させる。
【0027】
コンピュータ部19は、R用の濃度変換部15a、G用の濃度変換部15b、B用の濃度変換部15cからのR画像、G画像、B画像を入力し、この画像を輝度Yに基づいて量子誤差を考慮した色変換式を色変換部16に設定するHSI設定工程を備えている。このHSIの色変換については詳細に後述する。
【0028】
上記のように構成された検査装置の色変換方法について以下に動作を説明する。
【0029】
R画像用入力部13aは、3板式CCDカメラ5からの1画素当たりのR画像が入力する毎に、デジタル変換してシェーディング補正した後に奇数成分と偶数成分とを加算した1画素当たりのR画像を、R画像用フレームメモリ(図示せず)に順次書き込む。
【0030】
また、G画像用入力部13bは、3板式CCDカメラ5からの1画素当たりのG画像が入力する毎に、デジタル変換してシェーディング補正した後に奇数成分と偶数成分とを加算した1画素当たりのG画像を、G画像用フレームメモリ(図示せず)に順次書き込む。
【0031】
さらに、B画像用入力部13cは、3板式CCDカメラ5からの1画素当たりのB画像が入力する毎に、デジタル変換してシェーディング補正した後に奇数成分と偶数成分とを加算した1画素当たりのB画像を、B画像用フレームメモリ(図示せず)に順次書き込む。
【0032】
一方、コンピュータ部19は、HSI設定工程がR用の濃度変換部15a、G用の濃度変換部15b、B用の濃度変換部15cからのR画像、G画像、B画像を入力し、この画像を輝度Yに基づいて量子誤差を考慮した色変換式を色変換部16に設定する。
【0033】
このコンピュータ部19においては、輝度Yを数15に示すように定義している。
【0034】
【数15】
そして、R画像、G画像、B画像が入力したとき、これらの値を数16、数17の式に代入して色変換部16に設定する。但し、IはYの式と同様であるので本説明では省略する。
【0035】
【数16】
【数17】
前述の数16のSを求める式は、YにPが乗算され、かつQが加算されている。このためYが小さくとも、Sの値は小さくなる。また、前述の数16は、Yが大きくなっても誤差が小さくなることを示している。
【0036】
すなわち、数15、数16、数17は、Yが大きい場合、Sの相対誤差が小さくなり、反対にYが小さい場合はSの相対誤差が増大しない。この結果、Yの大小によらずSの安定した検査が可能になっている。また、数16はSが小さくなったときHの相対誤差が増大するのを防いでいる。つまり、彩度の低い画像でも検査可能である。
【0037】
従って、3板式CCDカメラ5が缶3の一こまの画像を得る毎に、リアルタイムでその缶3のRGBに対して濃度変換を行うようにし、さらにこの濃度変換されたRGBに対するHSI変換を、輝度に応じた量子化誤差を考慮して変換している。
【0038】
なお、上記実施の形態では、被検査物を缶を例にして説明したが板、瓶等であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように請求項1によれば、輝度が低い場合のHSIの変動を抑えることができるという効果が得られている。
【0040】
請求項2によれば、被検査物の撮像画像のRGBデータの輝度レベルに量子化誤差を考慮した所定の係数を含ませたH、S、I毎の変換式でRGBをHSI変換するので、HSIの変動が抑えられ、後工程に悪影響を与えないという効果が得られている。
また、輝度に変動があってもHSIの変動を抑えることができる。
【0041】
また、Sレベルが小さいときはHを一定値にすることにより、Sが非常に小さいときの色相Hの変動を無視することが可能となり、この色相Hの変動が全体の検査に悪影響を与えないようにすることができる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の概略構成図である。
【符号の説明】
2 搬送系
3 缶
4 回転台
5 3板式CCDカメラ
6 バーコードスキャナ
13a R画像用入力部
13b G画像用入力部
13c B画像用入力部
15a R用の濃度変換部
15b G用の濃度変換部
15c B用の濃度変換部
16 色変換部
19 コンピュータ部
Claims (3)
- 被検査物の外観の良否を判定する検査の際に、被検査物の撮像画像の1画素あたりのRGB画像を入力し該RGB画像を設定されたHSI変換式でHSIデータに変換する量子化誤差を考慮した色変換方法であって、
前記RGBデータが入力する毎に、それぞれを、デジタル変換してシューディング補正し奇数成分と偶数成分とを加算して出力する画像入力工程と、
前記画像入力工程からのR画像、B画像、G画像が入力する毎に、設定されている変換式に基づいてH、S、I変換した前記HSIデータを出力する色変換工程と、
前記画像入力工程からのR画像、G画像、B画像を入力し、これらに所定係数を乗算して輝度Yを求め、この輝度に基づくH、S、I変換式を前記色変換工程に設定するHSI変換処理工程と、
を行い、
前記輝度Yは、
前記Iは、
前記Sは、
ことを特徴とする量子化誤差を考慮した色変換方法。 - 前記変換されたHSIデータと前記被検査物の標準色と比較して良否を判定し、この判定結果を知らせる工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の量子化誤差を考慮した色変換方法。
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