JP4690446B2 - ジヒドロピリミジン脱水素酵素遺伝子発現の判定方法 - Google Patents

ジヒドロピリミジン脱水素酵素遺伝子発現の判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、内科治療、特に癌の化学療法に有用な予知方法に関する。本発明はまた、患者の腫瘍細胞の遺伝子発現の判定に関する。より具体的には本発明は、オリゴヌクレオチド、ならびにRT-PCRを用いたジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)mRNAの発現のレベルの検出にそれらを使用することを含む方法に関する。
癌は、正常な細胞が悪性の形質転換を受け、悪性細胞になるときに現れる。形質転換した(悪性)細胞は、正常な生理的制御が細胞の表現型を指定し、細胞増殖を抑制するのを免れる。こうして個体の体内の形質転換した細胞はこれらの正常な制御の不在下で増殖し、それによって腫瘍を形成する。
臨床上の目標は、腫瘍が発見された場合、治療を受ける個体中の正常な細胞に対して引き起こされるいかなる害も最小限に抑えながら選択的に悪性細胞を破壊することである。化学療法は、癌細胞に対して選択的な毒性(細胞毒性)をもつ薬剤を使用することに基づく。核酸合成、タンパク質合成、および他の生命代謝プロセスを妨げる薬剤を含めていくつかの一般等級の化学療法用薬剤が開発されている。
5-フルオロウラシル(5-FU)は、GI管および胸の癌などの主要な癌を含めて多くの様々な種類の癌の治療に対してきわめて広範囲に用いられる薬剤である(Moertel, C. G.の論文、New Engl. J. Med., 330: 1136〜1142, 1994)。結腸直腸癌に対する標準的な第一線の治療法は40年以上の間、5-FU単体の使用であったが、5-FUとCPT-11の組合せが「医療の基準」として取って代わった(Saltz等の論文、Irinotecan Study Group. New England Journal of Medicine. 343: 905〜14, 2000)。ここ最近は5-FUとオキサリプラチンの組合せが結腸直腸癌において高い応答率を示している(Raymond等の論文、Semin. Oncol., 25: 4〜12,1998)。したがって5-FUは依然として最新の化学療法の処方計画の中心的構成要素として残るため、これからも長年にわたって癌治療に用いられることになる可能性が大きい。これに加えて単一薬品の5-FUベースの療法は、CPT-11またはオキサリプラチンとの組合せ療法が過度の毒性を与えそうな患者に対して使用され続ける。
5-FUは、少数の患者のみがこの療法に対する良好な応答を経験する点でほとんどの抗癌剤によくあるものである。大規模な無作為臨床試験の結果は、転移性の結腸直腸癌をもつ患者に対する単一薬品としての5-FUに関する腫瘍の全体の応答率は15〜20%の範囲であることを示している(Moertel, C. G.の論文、New Engl. J. Med., 330: 1136〜1142, 1994)。前述の他の化学療法と組み合わせた場合、5-FUベースの処方に対する腫瘍の応答率はほぼ40%まで増加した。それにもかかわらず治療された患者の大多数が5-FUベースの化学療法を受けたことによる明確な利点が得られず、かなりの危険、苦痛、および費用にさらされる。治療の前に個体の腫瘍の応答性を予想する信頼性のある手段がないので、大多数が不満足な結果をこうむることになることを十分に認識しながら、標準的な臨床的医療行為においてはすべての患者に5-FUベースの治療を受けさせてきた。
この薬剤の抗癌活性の最も重要な生化学的決定基を特定するために、5-FUの作用機構および代謝経路が長年にわたって集中的に研究されてきた。その最終的な目標は、a)その細胞内代謝および生化学を調節すること、およびb)どの患者がこの薬物に最も応答する(または応答しない)可能性が強いかを予測するために治療の前に患者の腫瘍中の応答決定因子を測定することによって5-FUの臨床的効力を改善することであった。これらの研究から2つの主要な決定因子、1)5-FUの標的酵素、すなわちチミジル酸シンターゼ(TS)の正体、および2)5-FU異化酵素、すなわちジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)の正体が明らかになった。
5-FUベースの療法に対する腫瘍の応答の予知の領域における第一の研究は、結腸直腸癌中の標的酵素TSに集中した。Leichman等(Leichman等の論文、J. Clin. Oncol., 15:3223〜3229, 1997)は、5-FUに対する腫瘍の応答と、結腸直腸癌から得た前処理生検におけるRT-PCRによって決定されるTS遺伝子の発現とを相互に関係づけるために前向き臨床試験を行った。この研究の結果は、1)これら腫瘍間でTS遺伝子の発現レベルの大きさは50倍の幅があること、および2)応答性腫瘍と非応答性腫瘍の間でTS遺伝子の発現のレベルが著しく異なることを示した。応答性の群のTSのレベルの幅(内部対照を基準にして0.5〜4.1×10-3)は、非応答性の群のTSのレベルの幅(内部対照を基準にして1.6〜23.0×10-3)よりも狭かった。同研究者等は、その結果として得られるTSの発現の「非応答限界」閾値のレベルを決定し、これを超えると非応答個体群のみが存在する。したがってこの「非応答限界」閾値を超えてTSを発現する患者は、療法に先立って非応答個体群として明確に識別することができる。この「応答しない」区分には、<50%の腫瘍の縮小、>25%の腫瘍増加をもたらす進行性の増殖、ならびに<50%の縮小、無変化、または<25%の増加のいずれかをもつ非進行性腫瘍を含むすべての治療反応が含まれた。これらの腫瘍は最も高いTSのレベルを有した。したがって高いTSの発現は、特に抗療性腫瘍であると認定する。一定の閾値を超えるTSの発現のレベルは5-FUに応答しない腫瘍の部分集合と認定し、一方この数値未満のTSの発現のレベルはかなり高い応答率を予想したが、特に応答性の腫瘍とは認定しなかった。
その後の研究では、TSの発現のレベルと共に5-FU治療に対する腫瘍の応答決定因子としてのDPDの発現のレベルの有用性について検討した。DPDは、5-FUの5、6二重結合を還元する異化酵素であり、細胞毒性剤としてそれを不活性にする。以前の研究は、正常組織内のDPDのレベルが5-FUの生体内での利用可能な量に影響を及ぼし、それによってその薬物動力学および抗腫瘍活性を調節する可能性があることを示している(Harris等の論文、Cancer Res., 50: 197〜201, 1990)。これに加えて、腫瘍中のDPDのレベルが5-FUに対する鋭敏さと関連しているという証拠が提示された(Etienne等の論文、J. Clin. Oncol., 13:1663〜1670, 1995、およびBeck等の論文、Eur. J. Cancer, 30: 1517〜1522, 1994)。Salonga等(Clin Cancer Res., 6: 1322〜1327, 2000、その全体の内容を参照により本明細書に引用する)は、TSの発現がすでに測定されている一組の腫瘍における5-FU/ロイコボリン治療に対する腫瘍応答の決定因子としてDPD遺伝子の発現を調べた。TSの場合と同様に応答性の腫瘍間のDPDの発現の幅(内部対照を基準にして0.6〜2.5×10-3、4.2倍)は、非応答性の腫瘍間のDPDの発現の幅(内部対照を基準にして0.2〜16×10-3、80倍)と比べて比較的狭かった。約2.5×10-3の閾値のレベルより大きいDPDの発現を有する応答性の腫瘍は存在しなかった。さらにDPDとTSの発現のレベルは互いに何の相関もないことを示し、それらが独立に制御される遺伝子であることを示している。それらの「非応答限界」閾値のレベル未満のTSおよびDPDの発現のレベルをそれぞれ有する腫瘍群のなかでは92%が5-FU/LVに応答した。したがって応答性の腫瘍は、低い発現のレベルのDPDおよびTSに基づいて識別することができる。
DPDはまた、5-FU毒性に対する重要なマーカーである。5-FUベースの療法を受けるきわめて低いDPDのレベル(DPD欠乏症候群、すなわち尿にチミンウラシルの混在する症状の場合など)を有する患者は、生命をおびやかす毒性で苦しむことが観察された(Lyss等の論文、Cancer Invest., 11:2390240, 1993)。実際に5-FU療法におけるDPDのレベルの重要性は、5-FUと抗生物質ソリブジンの間の好ましくない薬物相互作用により日本で19人の死者が発生したことによって劇的に例示された(Diasio等の論文、Br. J. Clin. Pharmacol. 46, 1〜4, 1998)。その後、ソリブジンの代謝産物がDPDの強力な阻害物質であることが発見された。この治療は、患者にとって5-FUの毒性を増大させるDPD欠乏症候群のようなDPDのレベルの低下を招いた(Diasio等の論文、Br. J. Clin. Pharmacol. 46, 1〜4, 1998)。
したがってa)癌治療における5-FU臨床試験計画の広範な使用、b)5-FUに対する腫瘍の応答を予想するに当たってDPDの発現の重要な役割、およびc)通常の5-FUベースの治療に対するDPD欠乏症候群を有する個体の鋭敏さゆえに化学療法に先立ってDPDの発現のレベルを正確に決定することが癌患者に重要な利益をもたらすことになることは明らかである。
DPDの酵素活性の測定は、活性酵素を含有するかなりの量の新鮮な組織を必要とする。不幸にして大部分の前処理腫瘍生検は、固定したパラフィン包埋(FPE)組織、具体的には活性酵素を含有しないホルマリン固定パラフィン包埋組織としてのみ利用できる。さらに生検は一般にきわめて少量の異種組織を含有にすぎない。
RT-PCRプライマーおよびプローブの配列は、凍結した組織または新鮮な組織中でのDPDの発現を分析するために利用できる。しかしながらこれらのプライマーは、固定した組織からRT-PCRによってDPDのmRNAを定量化するには適さない。これまでの既存のプライマーは、何の結果も提供しないかまたは不安定な結果を示す。これは、a)DPDのRNAが元々低いレベルであり、b)きわめて少量の組織がパラフィンに包埋されており、c)RNAがパラフィン中で<100bpの短片に分解するせいであると考えられる。その結果、他の研究者達はパラフィン処理された組織でDPDの発現のそのような定量化を可能にするために猛烈に努力したが不成功に終わった。したがって提案された癌療法に対する早期の予知を提供するために固定された組織からDPDのmRNAを定量化する方法が求められている。DPDの酵素活性と対応するmRNAの発現のレベルには、よい相関があることが示されている(Ishikawa等の論文、Clin. Cancer Res.,5: 883〜889, 1999、およびJohnson等の論文、Analyt. Biochem. 278: 175〜184, 2000)ので、FPE試験片でのDPDのmRNAの発現の測定は、新鮮な組織で酵素活性を決定することを必要とせずに患者のDPDの発現のレベルの状況を評価する方法を提供する。さらにFPE試験片は容易に顕微解剖が適用でき、その結果間質組織で汚染されない腫瘍組織においてDPD遺伝子の発現を決定することができる。
したがって本発明の目的は、患者の腫瘍細胞中のDPDのmRNAの量を求め、それを予め決められる閾値の発現のレベルと比較することによって、組織中のDPDのレベルを評価する方法を提供し、かつ5-FUベースの療法による治療に対する患者の腫瘍の推定耐性を予知することである。
発明の概要
本発明の一態様において、DPD3A-51F (SEQ ID NO: 1)またはDPD3A-134R (SEQ ID NO: 2)の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにオリゴヌクレオチドプライマーDPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)およびDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8) およびこれらとほぼ同一の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。本発明はまた、DPD3A-51F (SEQ ID NO: 1)、DPD3A-134R (SEQ ID NO: 2)、DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) 、DPD3b-736R (SEQ ID NO: 8)、またはそれらの補体と緊縮条件下でハイブリッドを形成する配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを用意する。
さらに本発明は、腫瘍試験片からmRNA試料を得るステップ、その試験片中のDPD遺伝子発現のレベルを決定するステップ、この決定されたDPD遺伝子発現のレベルをその遺伝子について予め決められる閾値のレベルと比較するステップ、およびこの決定されたDPD遺伝子の発現のレベルをその遺伝子について予め決められる閾値のレベルと比較した結果に基づいて化学療法の処方計画を決めるステップを含む、化学療法の処方計画を決める方法に関する。
本発明はさらに、内部対照を基準にした以前に公表されたDPDの発現のレベルに対し、タクマン(Taqman)の技術を用いて分析した組織試料中の内部対照遺伝子を基準にして未補正DPDの遺伝子発現(UGE)を正規化する方法に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明者等は、組織中のDPDの発現の正確な評価を可能にするオリゴヌクレオチドプライマーおよびそれらと実質的に同一のオリゴヌクレオチドプライマーについて開示する。これらのオリゴヌクレオチドプライマーDPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2)(また本明細書中ではオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3Aと呼ぶ)ならびにオリゴヌクレオチドプライマーDPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8)(また本明細書中ではオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3 Bと呼ぶ)は、固定しパラフィン中に包埋した(FPE)腫瘍の試験片におけるDPD遺伝子の発現の測定に用いた場合、特に効果的である。
本明細書で用いられる核酸の文脈における「実質上それと同一」とは、オリゴヌクレオチドが緊縮(ストリンジエント)条件下でハイブリッドを形成して目標物になること、かつまた核酸セグメントまたはそれらの相補鎖が、適切なヌクレオチド挿入物および欠失物と比較した場合、適正に整列したときヌクレオチドの少なくとも約60%、典型的には少なくとも約70%、より典型的には少なくとも約80%、普通は少なくとも約90%、より普通には少なくとも約95〜98%が同一であることを意味する。選択的ハイブリッド形成は、そのハイブリッド形成が特異性の全体的欠乏より以上に選択的である場合に存在する。Kanehisa等の論文、Nucleic Acids Res., 12: 203〜213 (1984)を参照されたい。
本発明には、緊縮条件下(本明細書で規定する)でハイブリッドを形成してDPD3A-51F (SEQ ID NO: 1)、その補体、DPD3A-134R (SEQ ID NO: 2)、またはその補体のオリゴヌクレオチドプライマー配列の全体または一部になる実質上同一のオリゴヌクレオチドが含まれる。さらに本発明にはまた、緊縮条件下(本明細書で規定する)でハイブリッドを形成してDPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)、その補体、DPD3b-736R (SEQ ID NO: 8)、またはその補体のオリゴヌクレオチドプライマー配列の全体または一部になる実質上同一のオリゴヌクレオチドが含まれる。
緊縮ハイブリッド形成条件下で、高い相補性の、すなわち実質上同一の核酸配列のみがハイブリッドを形成する。好ましくはこのような条件は、核酸のハイブリッド形成が20個の隣接するヌクレオチドのうち4個以上の誤対合、より好ましくは20個の隣接するヌクレオチドのうち2個以上の誤対合、最も好ましくは20個の隣接するヌクレオチドのうち1個以上の誤対合を有しないようにする。
核酸のハイブリッド形成部分は、一般に長さが少なくともヌクレオチド10個(例えば15個)である。ハイブリッドを形成する核酸のハイブリッド形成部分は、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約95%、または最も好ましくは少なくとも約98%が、オリゴヌクレオチドプライマーDPD3A-51F (SEQ ID NO: 1)、その補体、DPD3A-134R (SEQ ID NO: 2)、またはその補体の一部または全体の配列と同一である。これに加えてハイブリッドを形成する核酸のハイブリッド形成部分は、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約95%、または最も好ましくは少なくとも約98%が、オリゴヌクレオチドプライマーDPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)、その補体、DPD3b-736R (SEQ ID NO: 8)、またはその補体の一部または全体の配列と同一である。
緊縮条件下でのオリゴヌクレオチドプライマーの核酸試料へのハイブリッド形成は下記で規定される。核酸デュプレックスまたはハイブリッドの安定性は、プローブが標的DNAから解離する温度である融解温度(Tm)として表され、この融解温度は必要とする緊縮条件を規定するために用いられる。配列はプローブと同一と言うよりはむしろほぼ同一であると認定された場合、それはまず特定濃度の塩(例えばSSCやSSPE)で同種ハイブリッド形成のみが起こる最低温度を確定するのに有用である。次に1%の誤対合がTmの1℃の低下をもたらすと仮定すれば、それに応じてハイブリッド形成反応物の最終洗浄温度を低下させる(例えばプローブと>95%同一の配列が求められる場合、最終洗浄温度は5℃の低下である)。実際にはTmの変化は、誤対合1%当たり0.5℃と1.5℃の間である可能性が強い。
緊縮条件は、5x SSC/5xデンハート溶液/1.0%SDS中で68℃においてハイブリッドを形成するステップおよび0.2x SSC/0.1%SDS中で室温において洗浄するステップを含む。中程度の緊縮条件は、3x SSC中で42℃において洗浄するステップを含む。塩濃度および温度のパラメータを変えて、プライマーと標的核酸の間の同一性の最適レベルを達成することができる。このような条件に関する追加の指針は当業界では容易に入手できる(例えばSambrook、Fischer、およびManiatis共著、「Molecular Cloning, a laboratory manual (2nd ed.)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press刊, New York, (1989)、およびF. M. Ausubel等編、「Current Protocols in Molecular Biology」, John Wiley and Sons刊 (1994))。
本発明のこの態様は、FPE試験片からRNAを引き出す信頼性の高い方法を使用すること、ならびに第二に逆転写酵素によるポリメラーゼ連鎖反応を行うためにオリゴヌクレオチドプライマー、すなわちオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))またはこれと実質的に同一のオリゴヌクレオチド、あるいはDPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))またはこれと実質的に同一のオリゴヌクレオチドを用いて試験片中のDPDのmRNA含量を決定することを含む。RNAは、米国特許出願第09/469,338号(1999年12月20日に出願され、その全体の内容が参照により本明細書に引用される)に記載されているような試料から、mRNAを単離するための任意の方法によりFPE細胞から取り出される。
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、固定しパラフィン中に包埋した(FPE)組織におけるDPDの発現の正確な評価を可能にする(図1)。これに加えて本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、新鮮または凍結した組織におけるDPDの発現のレベルを正確に決定する。すなわちこれらはその標的RNAに対して高い特異性を有する。したがって本発明の方法は、パラフィン包埋組織の使用には限定されない。本明細書中に開示されたオリゴヌクレオチドプライマーは、パラフィン包埋組織ならびに凍結または新鮮な組織におけるDPD遺伝子の発現の正確な評価を可能にすることができる(図2)。これは、FPE試料から採取したmRNAが新鮮または凍結した組織のmRNAと比べてより分断されており、したがって定量化するのがより困難であることによる。したがって本発明は、以前は適切な検定法が存在しなかったFPE組織におけるDPDの発現のレベルの検定に使用するのに適したオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。図1を参照されたい。
DPDのmRNAの発現は、5-FUベースの化学療法に対する臨床的耐性と相互に関係する。具体的にはDPDのmRNAの高レベルの発現は、5-FUベースの化学療法に対する耐性と相互に関係する。
本発明の方法は広範なタイプの腫瘍に適用される。これは、個々の「腫瘍発現の輪郭(プロファイル)」を準備することを可能にし、それによってDPDの発現のレベルを個々の患者の試料について決定することができ、またいろいろな化学療法に対する応答を予知することができる。最も好ましくは本発明の方法は、気管支肺胞性、小腸、または結腸の腫瘍に適用される。特定のタイプの腫瘍に本発明のいくつかの実施形態を適用する場合、測定された特定のDPD発現のパラメータと5-FUベースの化学療法に対する耐性との相互関係のデータセットを収集することによって、測定値と臨床的耐性の関係を確認することが好ましい。
本発明の方法は任意のタイプの組織に適用することができる。例えば腫瘍組織の耐性を試験する場合、その腫瘍組織を試験することが望ましい。好ましくはその腫瘍が得られる患者の正常組織の部分もまた試験することが望ましい。正常組織は5-FUベースの化学療法化合物に対して耐性があるが、腫瘍はそのような化合物に対して敏感に応答すると予想される患者は、次いでより多量の化学療法組成物で治療することができる。
本発明の方法には、患者の腫瘍から細胞の試料を得るステップが含まれる。充実性またはリンパ様腫瘍あるいはそれらの一部は、患者から外科的に切除される。その切除後直ちに組織試料からRNAを抽出することができない場合は、試料を固定または凍結することもできる。次いでこれを用いてRNAを得ることになる。切除した組織の凍結または固定した試料から抽出され単離されるRNAは、当業界で周知の任意の方法、例えばSambrook、Fischer、およびManiatis共著、「Molecular Cloning, a laboratory manual (2nd ed.)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press刊, New York, (1989)の方法によって抽出される。好ましくは抽出プロセスの間、RNAの分解を避けるように注意する。
別法では患者から得た組織を、好ましくは例えばホルマリン(ホルムアルデヒド)またはグルタルアルデヒド処理によって固定することができる。アルコール浸漬によって固定した生体試料もまた本発明で考慮される。固定した生体試料はしばしば乾燥され、または当業者に知られている他の固体支持体に包埋される。このような固体支持体は有機溶剤で除去可能であると考えられ、これはその後の保存試料の再水和を可能にする。本明細書で記述した固定またはパラフィン包埋(FPE)組織試験片は、貯蔵可能または永久保存組織試料を意味する。
RNAは、米国特許出願第09/469,338号(1999年12月20日に出願され、その全体の内容が参照により本明細書に引用される)に記載されている方法のいずれかによりFPE細胞から抽出される。最も好ましくはRNAは、ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織試験片由来の腫瘍細胞から抽出される。本発明の実施形態においてRNAは、最初に脱パラフィン処理される永久保存病理学試料または生検から単離される。脱パラフィン処理法の例は、パラフィン処理された試料をキシレンなどの有機溶剤で洗浄するステップを含む。脱パラフィン処理した試料は、低級アルコールの水溶液で再水和させることができる。好適な低級アルコールには、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールがある。脱パラフィン処理した試料は、低下する濃度の低級アルコール溶液による連続的な洗浄で再水和させることもできる。別法では試料の脱パラフィン処理と再水和を同時に行う。
試料が再水和されたらRNAをその再水和した組織から抽出する。脱パラフィン処理した試料は、機械的、音波式、または他の均質化手段を用いて均一化することができる。一実施形態では水和した試料を、チオシアン酸グアニジニウム(またイソチオシアン酸グアニジニウムとして販売されている)などのカオトロピック剤を含む溶液中で均一化する。
「カオトロピック剤の有効濃度」は、カオトロピック剤が不在の場合に単離される量の約10倍を超える量がパラフィン包埋試料から精製されるように選択される。カオトロピック剤には、グアニジニウム化合物、尿素、ホルムアミド、ヨウ化カリウム、チオシアン酸カリウム、および類似の化合物が含まれるがこれには限定されない。本発明の方法にとって好ましいカオトロピック剤は、チオシアン酸グアニジニウム(またイソチオシアン酸グアニジニウムとして販売されている)および塩酸グアニジニウムなどのグアニジニウム化合物である。多くのアニオンの対イオンが有用であり、当業技術者ならばこのような適切なアニオンを用いて多くのグアニジニウム塩を調製することができる。本発明で用いられるグアニジニウム溶液の有効濃度は、一般に約1 M〜約5Mの範囲の濃度を有し、好ましい値は約4Mである。RNAがすでに溶液の場合、試料中で達成される最終濃度が約1 M〜約5Mの範囲になるようにグアニジニウム溶液はより高濃度であることがある。グアニジニウム溶液はまた、好ましくはpHが約3〜約6、より好ましくは約4にトリスClなどの適切な生化学用緩衝液で緩衝される。カオトロピック溶液はまた、ジチオトレイトール(DTT)、βメルカプトエタノール(BME)、およびその組合せなどの還元剤を含有することもできる。カオトロピック溶液はまたRNアーゼ阻害剤を含有することもできる。
均一化した試料は、グアニジニウム化合物などの有効量のカオトロピック剤を含有するカオトロピック溶液中で約50℃〜約100℃の範囲の温度まで加熱することができる。好ましいカオトロピック剤はチオシアン酸グアニジニウムである。
次いでRNAを、例えばフェノール−クロロホルム抽出、イオン交換クロマトグラフィ、またはサイズ排除クロマトグラフィにより溶液から回収する。次いでRNAは、抽出、電気泳動、クロマトグラフィ、沈降、または他の適切な技術を用いてさらに精製することができる。
新鮮、凍結、または固定した試料由来の精製された全mRNAからのDPDのmRNAの定量化は、好ましくは例えば当業界ではあたりまえの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて行われる。DPDのmRNAを定量化する他の方法には、例えば分子標識、および多重PCRに有効な他の標識プローブの使用が含まれる。これに加えて本発明は、例えばInvader(登録商標)検定法(Third Wave Technologies, Inc.)のものと類似の蛍光標識プローブを採用した、PCRを使用しないシステムによるDPDのmRNAの定量化も考える。最も好ましくはDPDのcDNAならびに内部対照またはハウスキーピング遺伝子(例えばβアクチン)の定量化は、蛍光による即時検出法(ABI PRISM 7700または7900配列検出システム(TaqMan(登録商標))、Applied Biosystems社, Foster City, CA)またはHeid等(Genome Res. 1996; 6:986〜994)およびGibson等(Genome Res. 1996; 6: 995〜1001)によって記述された類似のシステムを用いて行われる。ABI 7700(TaqMan(登録商標)計測器)のアウトプットは、Ctすなわち「繰り返し回数の閾値」で表される。TaqMan(登録商標)のシステムの場合、試料中でより大きな数の標的分子を有する高度に発現した遺伝子は、より少ない標的分子を有する相対的により低い発現の遺伝子(高Ct)よりも小さいPCR繰り返し回数(低Ct)でシグナルを発する。
本発明は部分的には、DPDのmRNAの相対量が化学療法剤5-FUに対する耐性と相互に関係するという発見にある。高レベルのDPDのmRNAを発現する腫瘍が5-FUに対して耐性がある可能性が高いということがこの中で発見された。逆に言えば少量のDPDのmRNAを発現する腫瘍は、5-FUに対して敏感に応答する可能性が高い。患者の腫瘍DPDのmRNAの発現は、それをDPDの発現について予め決められる閾値の発現のレベルと比較することによって判定される。
本明細書で用いられる「ハウスキーピング」遺伝子または「内部対照」は、その存在がDPDのmRNAのレベルの評価を可能にする、構成要素としてまたは全体的に発現する任意の遺伝子を含むことを意味する。このような評価は、遺伝子転写の全体の構成レベルの決定およびRNA回収における変動の制御を含む。「ハウスキーピング」遺伝子または「内部対照」には、シクロフィリン遺伝子、βアクチン遺伝子、トランスフェリンレセプター遺伝子、GAPDH遺伝子などを含めることができるがこれらには限定されない。最も好ましくは内部対照遺伝子は、Eads等の論文、Cancer Research 1999; 59: 2302〜2306に記載されているβアクチン遺伝子である。
RNA回収における変動の制御には「較正RNA」の使用が必要である。「較正RNA」は、任意の利用可能な供給源の正確に予め定量化された対照RNAであることを意味する。好ましくはApplied Biosystems社から供給されるUniversal PE RNA、カタログ#4307281、ロット#3617812014が用いられる。
本明細書で用いられる「未補正遺伝子発現(UGE)」は、TaqMan(登録商標)計測器により得られる、内部対照遺伝子を基準にしたDPDの発現の数値的アウトプットを意味する。UGEを求めるために用いられる式を実施例4の中に示し、図3の試料の計算で例示する。
本発明の別の態様は、TaqMan(登録商標)計測器から得られた未補正遺伝子発現(UGE)の値を、非TaqMan(登録商標)の技術で得られた以前に公表された相対的な遺伝子の発現の値で正規化する方法を提供する。好ましくはこの非TaqMan(登録商標)の技術で得られた相対的なDPD、すなわちSalonga等の論文、Clinical Cancer Research, 6: 1322〜1327, 2000(その全体の内容を参照により本明細書に引用する)によって以前に公表されたβアクチンの発現の値は、組織試料から得られるDPD UGEで正規化される。
本明細書で用いられる「補正後の相対的DPDの発現」とは、UGEにDPD固有の補正係数(KDPD)を乗じて以前に公表された範囲の値と比較することができる値を得ることによって正規化されるDPDの発現を意味する。図3にこれらの計算を詳細に例示する。
「以前に公表された」相対的な遺伝子の発現の結果は、標的遺伝子のRT-PCRシグナルと構成要素として発現した遺伝子(βアクチン)との比に基づいている。事前のTaqMan(登録商標)の技術の検討においてPCR反応を一定の繰り返し数(すなわち30回)行わせ、終点の値をそれぞれの試料について記録した。次いでこれらの値をDPDの発現とβアクチンの発現の比として記録した。その全体の内容が参照により本明細書に引用されるSalonga等の論文、Clinical Cancer Research, 6: 1322〜1327, 2000を参照されたい。
本明細書中で定義される相対的DPDの発現の「予め決められた閾値」のレベルは、それを超えると腫瘍が5-FUに対して耐性をもつ可能性が高いことが分かっているDPDの発現のレベルである。この閾値のレベル未満の発現のレベルでは5-FUに対して敏感に応答する腫瘍が見出される可能性が高い。5-FUベースの化学療法の処方に応答する腫瘍に該当する腫瘍のなかで、相対的なDPDの発現の範囲は約0.6×10-3〜約2.5×10-3未満(約4.2倍の幅)である。5-FUベースの化学療法の処方に応答しない腫瘍は、相対的なDPDの発現が約0.2×10-3〜約16×10-3(約80倍の幅)である。相対的なDPDの発現が約2.0×10-3を超える、好ましくは約2.5×10-3を超える場合、腫瘍は一般に5-FU治療に応答しない。これらの数値は、特定の試料の「補正後の相対的なDPDの発現」が「予め決められた閾値」レベルより上にあるか、それとも下にあるかの決定を可能にする。補正後の相対的なDPDの発現のレベルの閾値レベルは約2.0×10-3〜約2.5×10-3である。
本発明の方法は広範囲の組織および腫瘍のタイプに適用可能であり、したがって患者の治療の評価用に、また胸部、頭部および首部、肺、食道、結腸直腸などを含めた、或る範囲の癌の診断または予知のツールとして使用することができる。好ましくは本発明の方法は、気管支肺胞性、小腸、または結腸の癌の予知に適用される。
腫瘍中で発現するDPDのmRNAの量の測定値から熟練した専門家は、5-FUベースの化学療法に対する腫瘍の臨床的耐性に関する予知を行うことができる。「5-FUベースの化学療法」は、5-FUまたはその誘導体単独の投与、あるいはロイコボリンなどの他の化学療法と共に、あるいはウラシル、5-エチニルウラシル、ブロモビニルウラシル、チミン、ベンジロキシベンジルウラシル(BBU)、または5-クロロ-2, 4-ジヒドロキシピリジンなどのDPD阻害剤と共に投与することを含む。さらに、式(I)の5´-デオキシ-シチジン誘導体を5-FUまたはその誘導体と一緒に共投与することにより、5-FUまたはその誘導体とDPD阻害剤5-エチニルウラシルとの組合せと比べて腫瘍組織への化学療法剤の選択的送達を顕著に改善し、またヒトの癌の異種移植モデルにおいて顕著に改良された抗癌活性を示すことが分かっている。
本発明はこのように記述されるが、下記に提供する実験例により本発明の実施について例示する。熟練した専門家ならば例示の実施例中で用いられる材料および方法を様々なやり方で修正することができることを理解するはずである。このような修正形態は本発明の範囲内に入ると考えられる。
FPE組織からRNAの単離:
RNAは、次の一般手順によりパラフィン包埋組織から抽出される。
A、切片の脱パラフィン処理および水和
(1)約10μMの切片の一部を1.5mLプラスチック製遠心分離管に入れる。
(2)キシレン600μLを加え、混合物を室温(およそ20〜25℃)で約10分間激しく振とうする。
(3)この試料を室温でベンチトップ型遠心分離機(約10〜20,000xg)の最大スピードで約7分間遠心分離する。
(4)ステップ(2)および(3)をパラフィンの大部分が溶解するまで繰り返す。元の試料部分に含まれるパラフィンの量によるが通常2回以上を必要とする。
(5)低級アルコール、好ましくは100%エタノール(約600μL)と一緒に約3分間激しく振とうすることによってキシレン溶液を除去する。
(6)ステップ(3)の場合と同様に管を約7分間遠心分離する。上澄みをデカントして廃棄する。ペレットは白色になる。
(7)逐次、より希釈されたエタノール溶液、すなわち最初約95%、次に約80%、最後に約70%エタノールを用いてステップ(5)および(6)を繰り返す。
(8)ステップ(3)の場合と同様に、試料を室温で7分間遠心分離する。上澄みを廃棄し、ペレットを室温で約5分間乾燥させる。
B、フェノール−クロロホルムによるRNAの単離
(1)サルコシン0.5%およびジチオトレイトール8μLを含むイソチオシアン酸グアニジン溶液400μLを加える。
(2)次いで試料を組織ホモジナイザー(Ultra-Turrax, IKA-Works, Inc., Wilmington, NC)を用いて低速(スピード1)から高速(スピード5)まで徐々にスピードを増しながら約2〜3分間均一化する。
(3)次いで試料を約95℃で約5〜20分間加熱する。加熱する前に細径の針で試料を入れた管のキャップに穴をあけることが好ましい。あるいはキャップをプラスチック製クランプまたは理化学用フィルムで留めてもよい。
(4)次いで試料を2M酢酸ナトリウム(pH4.0)50μL、それからフェノール18mLをイソアミルアルコール:クロロホルム1 : 49の溶液3.6mLと混合することにより新しく調製したフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(10 : 1.93 : 0.036)600μLで抽出する。この溶液を約10秒間激しく振とうし、次いで氷上で約15分間冷却する。
(5)この溶液を最大スピードで約7分間遠心分離する。上部(水性)の相を新しい管に移す。
(6)RNAをグリコーゲン約10μL、それからイソプロパノール400μLにより-20℃で30分間沈殿させる。
(7)RNAを最大スピードのベンチトップ型遠心分離機中で約7分間遠心分離することによってペレット化し、上澄みをデカントして廃棄し、ペレットを約70〜75%エタノール約500μLで洗浄する。
(8)試料を再度最大スピードで7分間遠心分離する。上澄みをデカントし、ペレットを空気乾燥する。次いでペレットを更なる実験のために適切な緩衝液に溶解する(例えば50pI. 5mMトリス塩化物(pH8.0))。
mRNAの逆転写およびPCR:
逆転写−実施例1に例示し、また米国特許出願第09/469,338号(1999年12月20日に出願され、その全体の内容が参照により本明細書に引用される)に記載されているように、RNAを顕微解剖または非顕微解剖によるホルマリン固定パラフィン包埋(FPE)組織から単離した。エタノールによる沈殿および遠心分離の後、RNAペレットを5mMトリス/Cl(pH8.0)50uL中に溶解した。得られたRNAをランダム六量体およびLife Technologies社から入手したM-MLV(カタログ#28025-02)で逆転写した。逆転写は、RNA溶液25μLを「逆転写混合液」(下記参照)25.5μLと混ぜることによって達成した。この反応物を26℃で8分間(ランダム六量体をRNAに結合させるため)、42℃で45分間(M-MLV逆転写酵素反応のため)、および95℃で5分間(DNアーゼの熱失活のため)サーモサイクラーの中に置いた。
「逆転写混合液」は、5x緩衝液(250mMトリスHCl(pH8.3)、375mM KCl、15mM MgCl2)10uL、ランダム六量体(10mMトリスHCl(pH7.5)550uL 中に溶解した50 O.D.)0.5uL、10mM dNTP(dATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)5uL、0.1M DTT 5uL、BSA(10mMトリスHCl(pH7.5)1mL当たり3mg)1.25uL、RNA Guard 24,800U/mL(RNアーゼ阻害剤;Porcine#27-0816、Amersham Pharmacia社)1.25uL、およびMMLV 200U/uL(Life Tech社カタログ#28025-02)2.5uLから構成された。
反応構成成分の最終濃度は、50mMトリスHCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCL2、1.0mM dNTP、1.0mM DTT、0.00375mg/mL BSA、0.62U/uL RNA Guard、および10U/uL MMLVであった。
mRNA発現のPCRによる定量化−DPDのcDNAおよび内部対照もしくはハウスキーピング遺伝子(すなわちEads等の論文、Cancer Research 1999; 59: 2302〜2306に記載されているβアクチン)の定量化を、Heid等(Genome Res. 1996; 6:986〜994)およびGibson等(Genome Res. 1996; 6: 995〜1001)により記述されている蛍光による即時検出法(ABI PRISM 7700または7900配列検出システム(TaqMan(登録商標));Applied Biosystems社, Foster City, CA)を用いて行った。簡潔に云えばこの方法は、正および逆プライマーにまたがる鋳型アンプリコン内で特異的にアニールする二重標識した蛍光性オリゴヌクレオチドプローブ(TaqMan(登録商標)プローブ)を用いる。反応混合液を含有するキャップされたウェル内のレーザー・シミュレーションによると、プローブがPCRによる伸長の間にDNAポリメラーゼの5´から3´へのヌクレアーゼ活性によって切断され、5´リポーター染料(6FAM)の放出を引き起こすまで3´消光染料(TAMRA)を発光させるこよになる。したがってアンプリコンの産生は、TaqMan(登録商標)CCD(電荷結合素子)検出カメラによって検出される蛍光シグナルの発光、および問題の配列の出発コピー数を反映するPCR反応の純粋に指数関数的な相内に閾値繰り返し回数で生ずるシグナルの量を引き起こす。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3) とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))に対するTaqMan(登録商標)プローブは、DPD-108Tc (SEQ ID NO: 9)である。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD2(DPD2p-1129F (SEQ ID NO: 5) とDPD2p-1208R (SEQ ID NO: 6))に対するTaqMan(登録商標)プローブは、DPD-2p-1154Tc (SEQ ID NO: 10)である。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))に対するTaqMan(登録商標)プローブは、DPD-71Tc (SEQ ID NO: 11)である。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))に対するTaqMan(登録商標)プローブは、DPD3b-685Tc (SEQ ID NO: 12)である。
このPCR反応は、オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3) とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))、DPD2(DPD2p-1129F (SEQ ID NO: 5) とDPD2p-1208R (SEQ ID NO: 6))、DPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)、Tm=58℃とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8)、Tm=60℃)、またはオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)、Tm=59℃とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2) 、Tm=59℃)由来のオリゴヌクレオチドプライマーを含有した。各PCR反応混合物は、cDNAを含有する逆転写反応物0.5μL、ならびに25μL以下の最終体積に対し、ただ1つの対(DPD1、DPD2、DPD3B、またはDPD3A)由来の両方のオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ600nM、対応するTaqMan(登録商標)プローブ(DPD1、DPD2、DPD3B、またはDPD3Aのいずれかに対する)を200nM、AmpliTaq Gold Polymeraseを5U、dATP、dCTP、およびdGTPをそれぞれ200μM、dTTPを400μM、MgCL2を5.5mM、および基準色素を含有する1 x タクマン緩衝液A(全試薬、Applied Biosystems社, Foster City, CA)から構成される。繰り返し条件は、95℃で10分間、続いて95℃で15秒間および60℃で1分間を45回であった。
FPE腫瘍試料におけるPDの発現:
オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))およびDPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))は、パラフィン包埋組織から抽出したRNAを用いたDPD遺伝子の発現の確固とした再現可能な定量化を可能にした(図1)。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))はまた、新鮮な凍結組織におけるRT-PCRによるDPD遺伝子の発現分析の感度を顕著に高めた(図2)。RT-PCRは、上記実施例2に記載したABI PRISM 7700配列検出システム(TaqMan(登録商標))を用いて行った。
PCR反応には30回の繰り返しを用いた。各繰り返しは、96℃で1分間変性するステップ、55℃で1分間アニーリングするステップ、および72℃で2分間伸長させるステップからなる。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))を用いた増幅産物の長さは84塩基対であった。この増幅産物は、5′非翻訳領域(UTR)の一部にまたがり、エキソン1に達するDPDのcDNA領域に対応した。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))を用いた増幅産物の長さは86塩基対であった。この増幅産物は、エキソン6に対応するDPDのcDNA領域の増幅に対応する。
オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))およびDPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))を、10個の別のFPE組織試料から得られたDPDのmRNAを増幅するそれらの能力を他の既存のプライマーの組と比較した。試料#1〜5および#8〜10は結腸の、#6は気管肺胞性の、また#7は小腸の腫瘍生検から得た。使用したその他のオリゴ核酸プライマー対は、DPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3) とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))およびDPD2(DPD2p-1129F (SEQ ID NO: 5) とDPD2p-1208R (SEQ ID NO: 6))である。
オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1) とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))は、様々な試料中のDPDのレベルを正確に確かめるのに最も効果的であった。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7) とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))もまた効果的であったが、それほど強いシグナルを提供しなかった。結果は図1に図示した。
DPDに関する未補正遺伝子発現(UGE)の決定:
2対の並行反応、すなわち「試験」反応および「較正」反応を行う。DPDの増幅反応およびβアクチン内部対照の増幅反応は試験反応である。別のβアクチンおよびDPDの増幅反応を較正用RNA上で行い、これらを較正反応と呼ぶ。タクマン計測器は4つの異なる繰り返し回数の閾値(Ct)、すなわち試験反応から得られるCtDPDとCt、および較正反応から得られるCtDPDとCtβ-actinを生み出すことになる。
2つの反応についてCt値の差を次式により求める。
ΔCttest= CtDPD - Ctβ-actin (「試験」反応から)
ΔCtca]ibrator = CtDPD - Ctβ-actin (「較正」反応から)
次に、これは次式により数値2を- Ct乗する手順を伴う。
2 -ΔCt test (「試験」反応から)
2 -ΔCt ca]ibrator (「較正」反応から)
次いでタクマン計測器からDPDに関する未補正遺伝子発現を得るために、次の計算を行う。
DPDに関する未補正遺伝子発現(UGE)=2 -ΔCt test / 2 -ΔCt ca]ibrator以前に公表された値によるUGEの正規化:
正規化の計算は、DPDおよび個々の較正用RNAに固有の補正係数(KDPD)をUGEに乗ずる手順を必要とする。補正係数KDPDは、任意の内部対照遺伝子および任意の正確に予め定量された較正用RNAを用いて求めることができる。好ましくは内部対照遺伝子βアクチンおよび正確に予め定量された較正用RNAには、Applied Biosystems社のUniversal PE RNAカタログ#4307281、ロット#3617812014が用いられる。
正規化は、Applied Biosystems社、すなわちタクマンの製造者によってUser Bulletin #2中に記載され、また上記で記述したΔCt法に修正を加えたものを用いて達成される。この手順を行うために上記のタクマンの方法を用いて6個の異なる以前に公表された試験組織のUGEについてDPDの発現を分析した。内部対照遺伝子βアクチンおよび較正用RNAには、Applied Biosystems社のUniversal PE RNAカタログ#4307281、ロット#3617812014を用いた。
Salonga等の論文(その全体の内容が参照により本明細書に引用される)中に以前に記述された各試料、L7、L91、L121、L150、L220、およびL164の相対的なDPD発現のレベル(PV)を、その対応するタクマンから得られるUGEで除して未平均の補正係数Kを得る。
Kunaveraged =PV / UGE
次に、すべてのKの値を平均してDPD、すなわち Universal PE RNAカタログ#4307281、ロット#3617812014の較正用RNAおよびβアクチンに固有の単一の補正係数KDPDを求める。
したがって以前に公表されたタクマンに先立つDPD発現の研究と整合性のある尺度で未知の組織試料における補正後の相対的なDPD発現を求めるには、同一の内部対照遺伝子および較正用RNAを使用すれば単にタクマンの装置から得られる未補正遺伝子発現データ(UGE)に固有の補正係数KDPDを乗ずるだけでよい。
補正後の相対的なDPDの発現= UGE × KDPD
KDPDは、任意の正確に予め定量された較正用RNAを用いて求めることができる。正確に予め定量されるRNAの今後の供給源は、上記の方法において述べたように公表された試料に対して較正することができ、あるいは今後は上記で述べたUniversal PE RNAカタログ#4307281、ロット#3617812014などの以前に較正された較正用RNAに対して較正することができる。
FPE結腸直腸腫瘍試料中のDPDの発現:
上記の方法を用いて進行した結腸直腸癌をもつ患者34人から採取した34個の腫瘍試料を分析した。すべての患者は、複数の医療機関にまたがる期待されている欧州5-FU / CPT11クロスオーバー試験V239の一部として静脈内5-FU / LV組合せ処方により治療された。すべての患者は、連続5日間15分間の点滴で投与される静脈内5-FU 425mg/m2、およびこれもまた連続5日間にわたる点滴により共投与されるロイコボリン20mg/m2により治療された。この処方は、第一または第二防御線のいずれかの待期療法として投与された。
応答を、完全な応答、部分的な応答、および最低限の応答を含むいずれかの応答として定義した場合、患者のうち9人(25%)が5-FU / LVに応答した。進行性の疾患または安定した疾患を有する患者を非応答個体(25人、73.5%)として分類した。顕微解剖したFPE前処理腫瘍試料から全RNAを単離し、次に述べるように定量用PCRを用いてDPD/βアクチンの相対的mRNA発現のレベルを測定した。
補正DPDの平均−応答および非応答患者の群のβアクチンのレベルは、それぞれ0.87×103および2.04×103であった。2つの独立した試料の組内の値の順位を比較するマン−ホイットニーU検定を用いて、応答および非応答患者群中の補正後の相対的DPD発現のレベルを比較した。相対的DPDのレベルは、非応答個体の群に比べて応答個体では著しく低かった(P=0.02)。これら患者におけるDPDのmRNAの発現と5-FU / LVに対する応答の関連を図4に示す。これらのデータは、DPDの発現が5-FUベースの化学療法に対する応答の予知因子であることを示す。
10個の別のホルマリン-FPE組織試料から得たDPDのmRNAを増幅する能力に関して4つの異なるオリゴヌクレオチドプライマー対の比較を示すグラフである。試料#1〜5および#8〜10は結腸の腫瘍から採取し、#6は気管支肺胞性の腫瘍から採取し、#7は小腸の腫瘍の生検から採取する。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3)とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))およびDPD2(DPD2p-1129F (SEQ ID NO: 5)とDPD2p-1208R (SEQ ID NO: 6))は、これら試料中のDPDのmRNAのレベルを測定するのに効果的でない。オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))およびDPD3B(DPD3b-651F (SEQ ID NO: 7)とDPD3b-736R (SEQ ID NO: 8))は、様々な試料中のDPDのレベルを突き止めるのに効果的である。 凍結組織試料におけるオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))およびDPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3)とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))のDPDのmRNA増幅効率の比較を示すグラフである。このグラフは、オリゴヌクレオチドプライマー対、DPD3A(DPD3a-51F (SEQ ID NO: 1)とDPD3a-134R (SEQ ID NO: 2))は凍結組織試料(およびFPE由来の試料)におけるDPDの発現のレベルの測定に効果的であるばかりでなく、またオリゴヌクレオチドプライマー対、DPD1(DPD-70F (SEQ ID NO: 3)とDPD-201R (SEQ ID NO: 4))よりも効率的であることを図示する。 内部対照遺伝子を基準にしてDPDの発現をどのように計算するかを例示した図表である。この図表は、2種類の試験試料(未知試料1および2)から得られたデータを含んでおり、未補正遺伝子発現データ(UGE)UCGをどのように決定するかを図示する。この図表はまた、タクマン計測器により生じたUGEを以前に公表されたDPDの値でどのように正規化するかを図示する。これは、UGEに補正係数KDPDを掛けることによって得られる。図中の内部対照遺伝子はβアクチンであり、また較正用RNAはUniversal PE RNA(Applied Biosystems社のカタログ# 4307281、ロット# 3617812014)である。 各種組織学的試験片に対する相対的な補正DPDの発現のレベルを示す箱型図である。箱は、25番および75番百分位数間(四分位数間)領域を示す。中央値は各箱において水平な線として示す。ヒゲは、25番および75番百分位数の外側のレベルを示すが中心から遠く離れた所にある値は除外し、箱の上方に示す。

Claims (15)

  1. SEQ ID NO: 1またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと、SEQ ID NO: 2の配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとの組合せからなるプライマー対。
  2. SEQ ID NO: 8またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと、SEQ ID NO: 7の配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとの組合せからなるプライマー対。
  3. (i)SEQ ID NO: 1またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとSEQ ID NO: 2またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチドプライマー対、または
    (ii) SEQ ID NO: 7またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとSEQ ID NO: 8またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチドプライマー対
    を含む、患者から得た組織中のジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)遺伝子の発現検出用キット。
  4. (a)ex vivo腫瘍試料からmRNAを単離するステップ、
    (b)SEQ ID NO: 1またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとSEQ ID NO: 2またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチドプライマー対を用いてmRNAを増幅するステップ、および
    (c)ステップ(b)からのDPDのmRNAの量を内部対照遺伝子のmRNAの量と比較するステップ
    を含む、組織試料中のDPD遺伝子の発現の相対的レベルを決定する方法。
  5. 前記ex vivo腫瘍試料が凍結されたものである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ex vivo腫瘍試料が固定されたものである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記ex vivo腫瘍試料が固定された後にパラフィン中に包埋されている、請求項6に記載の方法。
  8. RNAを有効量のカオトロピック剤の存在下で単離する、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記ex vivo腫瘍試料が非腫瘍組織および腫瘍組織を含む、請求項4、6、または7のいずれか一項に記載の方法。
  10. (a)ex vivo腫瘍試料からmRNAを単離するステップ、
    (b)SEQ ID NO: 7またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとSEQ ID NO: 8またはそれと少なくとも95%同一の配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチドプライマー対を用いてmRNAを増幅するステップ、および
    (c)ステップ(b)からのmRNAの量を内部対照のmRNAの量と比較するステップ
    を含む、組織試料中のDPD遺伝子の発現の相対的レベルを決定する方法。
  11. 前記ex vivo腫瘍試料が凍結されたものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ex vivo腫瘍試料が固定されたものである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記ex vivo腫瘍試料が固定された後にパラフィン中に包埋されている、請求項10に記載の方法。
  14. RNAを有効量のカオトロピック剤の存在下で単離する、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記ex vivo腫瘍試料が非腫瘍組織および腫瘍組織を含む、請求項10に記載の方法。
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