JP4689101B2 - 干渉波抑圧装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、干渉波を抑圧する干渉波抑圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からよく知られているように、アダプティブアレーアンテナを用いて、意図せずに受信される干渉波を信号処理によって抑圧することが可能である。アダプティブアレーアンテナでは各アンテナ素子に接続されている適応荷重係数を適切に制御し、適応荷重で重み付けした信号を加算することによって干渉信号を抑圧する。ところが、各チャネル(各アンテナ素子に対応する適応荷重係数の入力)の間に、周波数特性(振幅特性、位相特性、群遅延特性)の不一致(以下、不整合という)があると、特に広帯域干渉波抑圧性能が劣化することがある。
【0003】
チャネル間の周波数特性の不整合は、おもに受信機内のアナログフィルタ等の特性ばらつきに起因する。例えば、アナログフィルタの振幅特性や位相特性のリップルは、一般に許容される範囲内でフィルタによってばらつきがある。ここで「広帯域」とは、適応荷重の重み付けによる干渉波抑圧信号処理におけるサンプリング周波数に近い帯域幅を意味する。
【0004】
従来技術文献1(K.Treitelbaum,“A flexible processor for a digital adaptive array radar”,IEEE AES Systems Magazine,pp.18−22,May 1991)に示されているように、適応荷重で重み付けする前にディジタルフィルタを接続して、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる。
【0005】
図12は上記従来技術文献1に示された従来の干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、1−1,1−2,…,1−NはN個のアンテナ素子であり、アレーアンテナを構成する。2−1,2−2,…,2−Nはアンテナ素子1−n(n=1,2,…,N、断らない限り以下同様)により受信されたRF(radio frequency)信号を増幅し、そのRF信号をIF(intermediate frequency)信号にダウンコンバートする受信機、3−nはアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、4−nはディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する位相検波器、5aは位相検波器4−1の出力信号を遅延させる遅延器、6a−n(n=2,…,N;以下、n≠1と記すが、明らかな場合はn≠1という表記を略す)は自己の出力における周波数特性と、遅延器5aの出力における周波数特性との不整合を補償するディジタルフィルタ(以下、補償フィルタE’(z)と呼ぶ)、9−nは適応荷重、10は加算器である。適応荷重9−nと加算器10から荷重加算手段11を構成しており、適応荷重9−nは適当な適応アルゴリズムで制御される。
【0006】
ここでは、z −1は荷重加算手段11における信号のサンプリング間隔であって1サンプル分の信号遅延を表し、遅延器5aの遅延量をdサンプルとする。そのサンプリング周波数をfs1とする。また、ここでは、チャネル間の周波数特性不整合の補償のために、アンテナ素子1−1に対応するチャネル番号1を基準にして、他チャネルの周波数特性をチャネル番号1に合わせることにする。ただし、基準にするチャネルの選択は任意である。
【0007】
次に動作について説明する。
アンテナ素子1−nにより受信されたRF信号は受信機2−nで増幅され、ダウンコンバートされてIF信号となる。A/D変換器3−nがアナログIF信号をディジタルIF信号に変換し、位相検波器4−nがディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する。位相検波器4−nの後の信号は、実部が同相成分、虚部が直交成分の複素信号として扱うことにする。遅延器5aが位相検波器4−1の出力信号を適当に遅延させる。これは補償フィルタE’(z)を挿入することで何らかの遅延が発生するので、それと遅延を合わせるためである。
遅延器5aと補償フィルタE’(z)の出力信号を適応荷重9−nで重み付けし、加算器10が適応荷重9−nの出力信号を加算することにより、干渉波が抑圧された受信信号を得る。ここで、サンプリング周波数fs1は荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数と同じである。
【0008】
次に、補償フィルタE’(z)の係数計算について図13を参照して説明する。図13では、アンテナ素子1−1に対応するチャネル番号1と、アンテナ素子1−n(n≠1)に対応するチャネル番号nを抜き出している。30は適当なRF信号を発生させる信号発生器、31a,31bは信号発生器30からチャネル番号1とチャネル番号n(n≠1)の信号入力点32a,32bへ信号を伝送するための信号ケーブルである。信号入力点32a,32bはなるべくアンテナ素子に近いことが望ましい。ここでは、アンテナ素子1−1から信号入力点32aまでの信号遅延時間と、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでの信号遅延時間がほぼ等しいものとする。また、信号ケーブル31a,31bの長さがほぼ等しいものとする。
【0009】
信号入力点32a,32bに対して、信号発生器30が発生したRF信号を信号ケーブル31a,31bを介して同時に入力する。RF信号の帯域幅は、荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数fs1以上とする。同時に入力した信号に対して、遅延器5aの出力信号のスペクトルと、補償フィルタE’(z)の出力信号のスペクトルがなるべく等しくなるように、第1の補償フィルタ係数設定手段21が補償フィルタE’(z)の係数を計算する。従来技術文献1では、補償フィルタE’(z)をFIR形とし、上記両者のスペクトル差の平均2乗誤差が最小になるように係数を計算している。以下、それについて説明する。ここで、スペクトルは複素数である。
【0010】
補償フィルタE’(z)の伝達関数を式(1)のようにおく。e’(m)(m=0,1,…,M−1)は補償フィルタE’(z)のインパルス応答、Mは補償フィルタE’(z)のインパルス応答長である。
位相検波器4−1の出力信号と位相検波器4−n(n≠1)の出力信号に対してFFTを行う。位相検波器4−1の出力信号に対するFFT結果をC(F)、位相検波器4−n(n≠1)の出力信号に対するFFT結果をC(F)(n≠1)とする。Fは−0.5以上0.5未満の等間隔の離散値をとる正規化周波数である。
【数1】
Figure 0004689101
【0011】
平均二乗誤差最小の意味で、チャネル番号1とチャネル番号nの周波数特性を一致させるように、補償フィルタの特性近似問題を以下のように定式化する。つまり、式(2)の誤差関数Errを最小にする補償フィルタのインパルス応答e’(m)を求める。E’(F)はE’(z)の周波数応答、W(F)は適当な荷重関数である。ΣはFFTでの周波数サンプル点における和を意味する。
【数2】
Figure 0004689101
【0012】
式(2)の最小化問題は、式(4)の最小二乗問題に帰着できる。Wは式(9)で定義される対角行列である。diagはかっこ内を要素とする対角行列を表す。式(4)を最小化するベクトルe’は、一般に多元1次連立方程式(WA)(WA)e’=(WA)(Wb)を解けば得られる(肩文字Hは共役転置)。これをn=2,3,…,Nに対して行う。F,F,…,FはFFTにおける周波数サンプル点である。
【数3】
Figure 0004689101
【0013】
一方、従来技術文献2(R.T.Compton,Jr.“AdaptiveAntennas”Prentice−Hall,1988)に示されているように、補償フィルタを使わずに、アダプティブアレーアンテナがタップ付き遅延線回路15−nを持つ構成にして(図14、図15を参照)、その係数をまとめて干渉波抑圧を行うように適応的に制御すれば、結果的にチャネル間の周波数特性の不整合を考慮せずに干渉波を抑圧することができる。図14において、15−nは図15の内部構造を持つタップ付き遅延線回路である。図15において、16は信号を1サンプル遅延させる遅延器、17は干渉波抑圧を行うように制御する適応荷重、18は加算器である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の干渉波抑圧装置は以上のように構成されているので、荷重加算手段11における全帯域(−0.5fs1から0.5fs1)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することが困難である課題があった。
【0015】
具体的には次の通りである。チャネル間の周波数特性不整合は主にアナログフィルタの周波数特性のばらつきに起因する。IF帯では、IF周波数をfIFとすれば、−0.5fs1+fIFから0.5fs1+fIFの周波数帯域の特性不整合が問題になる。IF帯のアナログフィルタの周波数特性は、一般に周波数−0.5fs1+fIFと周波数0.5fs1+fIFにおける周波数特性は不連続である。これは、ベースバンドでは、補償フィルタで近似すべき特性が、2つの周波数−0.5fs1と0.5fs1で不連続であることを意味する。ところが、サンプリング周波数fs1のディジタルフィルタはこの2つの周波数での周波数特性が連続である。従って、ディジタルフィルタである補償フィルタで荷重加算手段11における全帯域(−0.5fs1から0.5fs1)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することが困難となる。
これは、従来技術文献1のFig.10で示されているように、−0.5fs1と0.5fs1に近い周波数で近似が極端に悪くなっていることからも明らかである。そして、これは、広帯域干渉波抑圧性能の劣化を引き起こす可能性がある。
【0016】
また、信号ケーブル31aと31bの長さはほぼ等しくなければならないが、やむを得ず等しくできない場合には、せっかく補償フィルタを用いても結局チャネル間の周波数特性の不整合は補償できていない。群遅延特性の不整合が補償できていないのである。アンテナ素子1−1から信号入力点32aと、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bとの信号ケーブルの長さが異なる場合も同様である。これは広帯域干渉波抑圧性能の劣化を引き起こす可能性がある。
【0017】
図14、図15のような構成でタップ付き遅延線回路15−nの係数を適応的に制御すれば、チャネル間の周波数特性の不整合を考慮せずに干渉波の抑圧ができるが、適応的に制御すべき荷重の数が非常に多くなる。チャネル間の周波数特性不整合は、干渉波の数、入射方向、電力が変わるなどの電波環境の変化に比べたら、それほど頻繁に時間的に変化するものではない。それにもかかわらず、電波環境の変化のたびに多くの荷重を制御するのは信号処理演算量の点で負担が大きい。また、適応アルゴリズムにLMSアルゴリズム等のフィードバック形のアルゴリズムを用いた場合、一般にタップ付き遅延線回路構成は収束が遅い傾向にある。
【0018】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、荷重加算手段における全帯域(−0.5fs1から0.5fs1)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる干渉波抑圧装置を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数が荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、周波数低減手段が、その荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げるようにしたものである。
【0020】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けたものである。
【0021】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号との差の電力が最小になるように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けたものである。
【0022】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、遅延手段の出力信号から荷重加算手段の出力信号を減算する減算手段を備え、その遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数が荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、周波数低減手段が、その荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げるようにしたものである。
【0023】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けたものである。
【0024】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、主アンテナ及び補助アンテナが干渉波信号を受信するとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と複数の補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号の和との差の電力が最小になるように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けたものである。
【0025】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、信号発生器が所定信号を発生してから、その所定信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0026】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、アンテナ素子が信号を受信してから、その受信信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0027】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、所定の信号入力点から所定信号を入力する代わりに、所定信号をアンテナ素子に向けて無線送信する信号入力手段を設けたものである。
【0028】
この発明に係る干渉波抑圧装置は、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するようにしたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図において、1−1,1−2,…,1−NはN個のアンテナ素子であり、アレーアンテナを構成する。2−1,2−2,…,2−Nはアンテナ素子1−n(n=1,2,…,N、断らない限り以下同様)により受信されたRF信号を増幅し、そのRF信号をIF信号にダウンコンバートする受信機、3−nはアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、4−nはディジタルIF信号をディジタル同相・直交信号に変換する位相検波器である。ここではIF信号をA/D変換後、ディジタル信号処理によりディジタル同相・直交信号を得る構成としたが、IF信号をアナログ信号処理によりアナログ同相・直交信号に変換し、その後A/D変換してディジタル同相・直交信号を得る構成としてもよい。他の実施の形態でも同様である。なお、受信機2−n,A/D変換器3−n及び位相検波器4−nから変換手段が構成されている。
【0030】
5bは位相検波器4−1の出力信号を適当な遅延量dだけ遅らせる遅延器(遅延手段)、6b−n(n≠1)は自己の出力における周波数特性と、遅延器5bの出力における周波数特性との不整合を補償するディジタルフィルタである補償フィルタE(z)(補償手段)、7−nは所定のカットオフ周波数を持つ低域通過ディジタルフィルタ、8−nは低域通過ディジタルフィルタ7−nの出力信号から適応荷重9−nに与える信号をDサンプル(Dは整数)おきに取り出すダウンサンプラである。なお、低域通過ディジタルフィルタ7−nとダウンサンプラ8−nから周波数低減手段が構成されている。
【0031】
9−nは適応荷重、10は加算器である。適応荷重9−nと加算器10から荷重加算手段11が構成されており、適応荷重9−nは適当な適応アルゴリズムで制御される。
なお、補償フィルタE(z)をFIR形とするとき、遅延器5bの遅延量dの目安は、補償フィルタE(z)のインパルス応答長の半分程度である。
【0032】
次に動作について説明する。
位相検波器4−nの出力信号は、従来技術と異なり、荷重加算手段11での信号のサンプリング周波数fs1より高い、サンプリング周波数fs2のディジタル同相・直交信号にしておく。従って、遅延器5bと補償フィルタE(z)における信号のサンプリング周波数もfs2である。z −1はサンプリング周波数fs2の信号1サンプル分の遅延を表す遅延演算子である。
【0033】
そして、遅延器5bと補償フィルタE(z)の出力信号のサンプリング周波数をfs2からfs1に低減する。これはカットオフ周波数fs1程度の低域通過ディジタルフィルタ7−nとダウンサンプラ8−nによってなされるが、必ずしも低域通過ディジタルフィルタとダウンサンプラの縦続構成でなくてもよい。サンプリング周波数をfs1に低減された信号は、適応荷重9−nで重み付けし、適応荷重9−nの出力信号を加算器10で加算して干渉波が抑圧された受信信号を得る。
【0034】
周波数低減手段が低域通過ディジタルフィルタ7−nとダウンサンプラ8−nの縦続接続で構成される場合、図3に示すように低域通過ディジタルフィルタ7−nと、補償フィルタE(z)(n≠1)と遅延器5bの位置を入れ替えてもよい。
【0035】
この実施の形態1では、前述のように補償フィルタE(z)を適用するときの信号のサンプリング周波数fs2を、荷重加算手段11におけるサンプリング周波数をfs1より高くしておく。これによって、荷重加算手段11における全帯域(−0.5fs1から0.5fs1)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる。これについて説明する。
【0036】
図2(a)は従来技術におけるサンプリング周波数と補償フィルタE’(z)で補償できる帯域幅との関係を表した説明図である。前述した理由により、補償フィルタはそれを適用するときのサンプリング周波数全域(図2(a)では−0.5fs1から0.5fs1)に渡って良好な特性近似を得ることができない。どうしてもそれより狭い範囲でしか良好な特性近似を得ることができない。干渉波の帯域幅Bがfs1に近ければ、補償帯域外では周波数特性の不整合の補償ができず、干渉波抑圧性能が劣化する可能性がある。
【0037】
一方、補償フィルタE(z)での信号のサンプリング周波数fs2を荷重加算手段11におけるfs1より高くしておけば、図2(b)に示すように、補償フィルタで補償できる帯域幅はそのときのサンプリング周波数fs2より狭くても、干渉波の全帯域(せいぜいfs1)をカバーすることが可能となる。こうすることによって、荷重加算手段11における全帯域(−0.5fs1から0.5fs1)にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償することができるようになり、干渉波抑圧性能を高く保つことが可能となる。
【0038】
補償フィルタE(z)の係数計算については、図13に示す従来技術と同様にすることができる。つまり、遅延器5bの出力信号のスペクトル(複素数、以下同様)と補償フィルタE(z)の出力信号スペクトルとの差の絶対値2乗平均値が最小になるように計算する。ただし、信号発生器30で発生させるRF信号の帯域幅は、補償フィルタE(z)での補償帯域幅程度とする。補償帯域幅がfs2より狭いので、以下に説明するように特異値分解を利用して計算することが望ましい。これは、式(7)の行列Aは事実上フルランクでなくなることが多いためである。そこで、連立方程式を解くときの数値的不安定性を防ぐために特異値分解を利用する。従来技術と同様に、アンテナ素子1−1から信号入力点32aまでの信号遅延時間と、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでの信号遅延時間はほぼ等しいものとする。また、信号ケーブル31aと31bの長さはほぼ等しいものとする。
【0039】
補償フィルタE(z)をFIR形とし、その伝達関数を式(10)のようにおく。そして、式(2)の評価関数Errは式(11)のように設定する。式(11)などで、Fはサンプリング周波数fs2で正規化した周波数である。式(11)で、FminとFmaxはそれぞれ補償帯域の下端と上端の周波数、ΣはFFTによる周波数サンプル点での和を意味する。行列Aとベクトルbはそれぞれ式(7)と式(6)と同じ形だが、F,F,…,FをFminからFmaxの間のFFTにおける周波数サンプル点とする。
【数4】
Figure 0004689101
【0040】
式(11)の最小化問題は、式(13)の最小二乗問題に帰着できる。式(13)を最小化するベクトルeは、一般に多元1次連立方程式AAe=Aを解けば得られるが、実際には、行列AAのランクは事実上Mより小さくなることが多い。つまり、行列Aの特異値には大きいものと無視できる小さいものが現れることが多い。そうなると数値的不安定性により連立方程式をうまく解くことができなくなる。このとき、仮に補償フィルタE(z)の係数が得られても、その絶対値は非常に大きな値となってしまうことがあり、事実上実装不可能になってしまう。そのようなときは特異値分解を利用するとうまく最小2乗問題を解くことができ、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防げる。
【0041】
行列Aを式(15)のように特異値分解する。
A=USV (15)
S=diag[σ,σ,…,σ] (16)
ここで、Uは列が正規直交しているI×M行列、SはM×M対角行列、VはM×M直交行列である。Sの対角要素σ(m=1,2,…,M)は特異値であり、0でない特異値の数がAのランクである。実際には雑音があるので0の特異値は存在しない。しかし、特異値の大きさにかなりの差を生ずることがある。そこで、無視し得る小さい値を除いた特異値が寄与する分のみを考慮する。
【0042】
次に、ベクトルβを式(17)のように定義する。そして、式(18)のベクトルγを計算する。ここで、[・]はそのベクトルの第m要素を表す。補償フィルタE(z)のインパルス応答は式(19)のようになる。以上の操作をn=2,3,…,Nについて行う。
【数5】
Figure 0004689101
【0043】
ここでは、補償フィルタE(z)の係数を計算するための最小2乗問題を特異値分解を用いて解いたが、従来技術文献3(鷹尾、内田、“ビームスペース・パーシャリーアダプティブアレーに関する検討” 電子情報通信学会技術研究報告A・P88−52、1988)に示されているように、行列AAの固有値分解を利用して解いてもよい。
【0044】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、位相検波器4−nの出力におけるディジタル直交・同相信号のサンプリング周波数を、荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数より高くするため、チャネル間の周波数特性不整合を補償する補償フィルタによる補償帯域を、荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数と同程度にすることが可能となる。そのため、広帯域干渉波に対する干渉波抑圧性能を高く保つことができる効果を奏する。
【0045】
なお、補償フィルタE(z)の係数計算に特異値分解法や固有値分解法を利用すれば、数値的不安定性を生じることなく係数計算が可能となる。そして、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防ぐことが可能となる。
【0046】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、補償フィルタE(z)の係数を、信号発生器30から信号を入力したときに遅延器5bの出力信号のスペクトルと補償フィルタE(z)の出力信号のスペクトルがなるべく等しくなるように決定するものについて示したが(周波数領域での計算)、図4のように補償フィルタE(z)の係数計算のためにRF信号を入力したときに、ダウンサンプラ8−1と8−n(n≠1)の出力信号の差の電力がなるべく小さくなるように補償フィルタE(z)の係数を決定するようにしてもよい(時間域での計算)。
【0047】
具体的には次の通りである。
まず、周波数低減手段が低域通過ディジタルフィルタ7−nとダウンサンプラ8−nの縦続接続で構成される場合、図3に示すように低域通過ディジタルフィルタ7−nと、補償フィルタE(z)と遅延器5bの位置を入れ替えてもよい。また、このとき、ダウンサンプラ8−1と8−n(n≠1)の出力信号の差の電力と、図3の遅延器5bの出力信号と補償フィルタE(z)の出力信号の差の電力は統計的に等しい。そのことに注意すると、図4の構成は、図5のような構成をとることができる。図5において、22はこれから動作内容を説明する第2の補償フィルタ係数設定手段である。そして、それは、遅延器5bの出力信号(あるいは低域通過ディジタルフィルタ7−1)と低域通過ディジタルフィルタ7−n(n≠1)の出力信号を利用する。
【0048】
第2の補償フィルタ係数設定手段22の動作について説明する。低域通過ディジタルフィルタ7−1と7−n(n≠1)の出力信号をそれぞれx(k),x(k)とする。kはその点でのサンプリング間隔で正規化した時刻を表す。また、遅延器5bの出力信号をy(k)、補償フィルタE(z)の出力信号をy(k)とする。これらは同相成分を実部、直交成分を虚部とする複素信号として扱う。
【0049】
(k)とx(k)、y(k)とx(k)の関係はそれぞれ式(20)、(21)のようになる。式(22)のようにy(k)とy(k)の差をz(k)とする。z(k)の電力E[|z(k)|](E[・]は統計平均)を最小にするように補償フィルタE(z)の係数e(m)(m=0,1,…,M−1)を決める。式(23)のように、E[|z(k)|]を評価関数Jとおく。式(20)、(21)から、式(23)はさらに式(24)のように変形できる。ここで肩文字*は複素共役を表す。
【数6】
Figure 0004689101
【0050】
評価関数Jを最小とするe(m)を求めるために、Jのe(m)に関する偏微分を求める。それは式(25)のようになる。m=0,1,…,M−1について式(25)を0にするようなe(m)が、求める補償フィルタの係数である。よって、式(26)の正規方程式、つまりe(m)(m=0,1,…,M−1)を未知数とする連立方程式を解けば、e(m)が求められる。実際には、式(26)で統計平均E[・]は単なる時間平均で代用してよい。また、式(26)左辺の正方行列対角項はx(k)の電力で同じ値をとる。以上の連立方程式を解く操作をn=2,3,…,Nに対して行う。
【数7】
Figure 0004689101
【0051】
以上説明したように、チャネル間の周波数特性不整合を補償するための補償フィルタE(z)(n≠1)の係数は、時間域で計算することもできる。
【0052】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、アンテナ素子1−1から信号入力点32aまでの信号遅延時間と、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでの信号遅延時間がほぼ等しいものとして説明した(これは2つのアンテナ素子から信号入力点までのケーブルの長さがほぼ等しいということである)。また、信号ケーブル31aと信号ケーブル31bの長さがほぼ等しいものとして説明したが、実際には、実装上それらの条件が満足されない場合がある。その場合、補償フィルタでチャネル間の周波数特性不整合を補償したとしても、上記のような信号遅延差のために干渉波抑圧性能が向上しない可能性がある。
【0053】
もしアンテナ素子1−1から信号入力点32aまでのケーブルの長さと、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでのケーブルの長さの差、および信号発生器30から信号入力点32aの長さと、信号発生器30から信号入力点32bまでのケーブルの長さの差が計測でき、それらに対応する信号遅延時間差がわかる場合、それらを考慮して補償フィルタE(z)の係数を計算することができる。
【0054】
アンテナ素子1−1から信号入力点32aまでの信号遅延時間に対するアンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでの信号遅延時間の差をΔ(時間の次元、n≠1)、信号発生器30から信号入力点32aまでの信号遅延時間に対する信号発生器30から信号入力点32bまでの信号遅延時間の差をδ(時間の次元、n≠1)とする。チャネル番号1に対してチャネル番号nの方が信号の遅れがある場合、Δあるいはδは正の量とする。説明はおもに周波数領域で補償フィルタE(z)の係数計算を行う場合について行う。上の2つのケースは異なるので、それぞれ説明する。
【0055】
[1]アンテナ素子から信号入力点までに遅延時間差がある場合
アンテナ素子1−1と他の1つのアンテナ素子1−n(n≠1)について、この場合の周波数応答をブロック構成図で示すと、図6(a)のようになる。ここでは簡単なため、周波数応答は等価低域系で表現する。図6で、B(F),B(F)はそれぞれ信号入力点32a,32bから位相検波器4−1,4−n(n≠1)出力までの周波数応答、Href(F)は式(3)と同じである。35はチャネル番号1に対してチャネル番号nの方が信号の遅れがあることを示す遅延素子である。この場合、観測される位相検波器4−1,4−nの出力信号のフーリエ変換C(F),C(F)とB(F),B(F)はそれぞれ等しい。
【0056】
補償フィルタE(z)(n≠1)の係数を計算した場合、得られる補償フィルタの周波数応答E(F)は、理想的には式(27)のようになる。しかし、チャネル番号nにはアンテナ素子1−nから信号入力点32bまでにΔの遅延があるから、補償フィルタが本来持つべき周波数応答E’(F)は式(28)のようになる。式(27)と(28)を比べると、式(27)にはチャネル番号1の信号の進みが足りないことになる。これを補償フィルタ係数計算に反映させるには、式(3)のHref(F)の代わりに、信号の進みを加えた式(29)のHref’(F)を用いる。
【数8】
Figure 0004689101
【0057】
[2]信号発生器から信号入力点までに遅延時間差がある場合
アンテナ素子1−1と他の1つのアンテナ素子1−n(n≠1)について、この場合の周波数応答をブロック構成図で示すと、図6(b)のようになる。36は信号発生器30から信号入力点32a,32bまでに、チャネル番号1に対してチャネル番号nの方が信号の遅れがあることを示す遅延素子である。この場合、チャネル番号nにおいて、観測される位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換C(F)と信号入力点32bから位相検波器4−nの出力までの周波数応答B(F)は異なる。つまり、式(30)のようになる。U(F)は信号発生器30で発生する信号のフーリエ変換である。
【数9】
Figure 0004689101
【0058】
補償フィルタE(z)の係数を計算した場合、得られる補償フィルタの周波数応答E(F)は、理想的には式(31)のようになる。一方、実際に信号を受信したときの信号経路には遅延がないから、補償フィルタが本来持つべき周波数応答E”(F)は式(32)のようになる。式(31)と(32)を比べると、式(31)はチャネル番号1の信号の進みが余分である。これを補償フィルタ係数計算に反映させるには、式(3)のHref(F)の代わりに、信号の遅れを加えた式(33)のHref”(F)を用いる。
【数10】
Figure 0004689101
【0059】
[3]各素子アンテナから信号入力点までと、信号発生器30から信号入力点までの両方に遅延時間差がある場合
アンテナ素子1−1,アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32a,32bまでのチャネル番号1とチャネル番号nとの間の信号遅延時間差、および信号発生器30からチャネル番号1とチャネル番号nの信号入力点32a,32bまでの信号遅延時間差の両方がある場合、以上の議論から、式(3)のHre (F)の代わりに式(34)のHref’’’(F)を用いる。
【数11】
Figure 0004689101
【0060】
[4]時間域で補償フィルタの係数を計算する場合
式(29),(33),(34)は、遅延器5bの遅延時間dサンプルをそれぞれd−fΔ,d+fδ,d+f(δ−Δ)サンプルの遅延に置き換えることに等しい。これらは一般に非整数であるので、遅延器5bの代わりに、上記遅延時間相当の遅延を近似的に持つディジタルフィルタを用いればよい。あるいは、これらの遅延をFFTと逆FFTを介して周波数領域で与えてもよい。実際に干渉波抑圧を行うときには、元の遅延器5bに戻しておく。
【0061】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、アンテナ素子から信号入力点、および信号発生器30から信号入力点までの信号の遅延時間差を考慮してチャネル間の周波数特性不整合を補償できるため、良好な広帯域干渉波抑圧性能を得ることができる。
【0062】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、信号発生器30から信号入力点32aと32bまでのケーブルの長さの差が計測でき、それらに対応する信号遅延時間差がわかるものとして説明したが、それができない場合、以下のようにすればよい。
即ち、信号発生器30から信号入力点32aと32bまでの信号ケーブル31a,31bの長さの差が実測できなくても、それらの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償できる。なお、ここではアンテナ素子1−1から信号入力点32aまでのケーブルの長さと、アンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでの信号ケーブルの長さはほぼ等しいか、あるいはそれが計測でき、対応する信号遅延時間差がわかるものとする。
【0063】
以下、アンテナ素子1−1から信号入力点32aまでの信号ケーブルの長さとアンテナ素子1−n(n≠1)から信号入力点32bまでのケーブルの長さの差がほぼ等しいとして説明する。等しくないが長さの差が計測できて対応する信号遅延時間差がわかる場合は、これから説明する方法に加えて、上記実施の形態3と同様な操作を行えばよい。また、補償フィルタE(z)の係数計算は周波数領域で行うものとする。信号等は等価低域系で表現する。
【0064】
チャネル番号1の信号入力点32aから位相検波器4−1の出力までの周波数特性をM(F)、チャネル番号nの信号入力点32bから位相検波器4−nの出力までの周波数特性をM(F)とする。また、信号発生器30から信号入力点32aまでの信号ケーブル31aの周波数特性をA(F)、信号発生器30から信号入力点32bまでの信号ケーブル31bの周波数特性をA(F)とする。これをブロック構成図で示すと図8(a)のようになる。
【0065】
信号発生器30から信号u(k)を入力する。チャネル番号1の位相検波器4−1の出力信号のフーリエ変換をD(F)、チャネル番号nの位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換をD(F)とすると、式(35),(36)のようになる。U(F)はu(k)のフーリエ変換である。
(F)=A(F)M(F)U(F) (35)
(F)=A(F)M(F)U(F) (36)
【0066】
次に、図7のように、信号ケーブル31aを信号入力点32bに、信号ケーブル31bを信号入力点32aに接続する。つまり、信号ケーブルのつなぎ替えを行って再び信号を入力する。信号発生器30から信号u(k)を入力したときの、チャネル番号1の位相検波器4−1の出力信号のフーリエ変換をD’(F)、チャネル番号nの位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換をD’(F)とすると、式(37),(38)のようになる。なお、信号発生器30から入力する信号は図8(a)と同じでなくてよい。式(35),(36)から式(39)を、式(37),(38)から式(40)を得る。
【数12】
Figure 0004689101
【0067】
チャネル間の周波数特性不整合を補償する場合、補償フィルタ係数計算には位相検波器の出力信号のフーリエ変換D(F)とD(F)をそれぞれ式(11)のC(F)とC(F)として用いる。しかし、それはA(F)=A(F)が前提である。ここでは、A(F)≠A(F)であり、このままではD(F)とD(F)を使えない。これは次のように解決できる。式(39),(40)から式(41)を得る。式(41)の左辺はすべて得られる量である。式(41)の左辺をQ(F)とおく(式(42))と、式(39)から式(43)を得る。
【数13】
Figure 0004689101
【0068】
式(11)のC(F)/C(F)はA(F)=A(F)のときのM(F)/M(F)に等しい。そこで、式(11)のC(F)/C(F)の代わりにすべて計測できる量である式(43)の左辺を用いれば、信号発生器30から信号入力点32aと32bまでの信号ケーブル31a,31bの長さの差が実測できなくても、それらの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償する補償フィルタの係数を計算することができる。
【0069】
以上説明したように、信号発生器30から信号入力点32aと32bまでの信号ケーブル31a,31bの長さの差が実測できなくても、これらの信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後のチャネル番号1の位相検波器4−1の出力信号のフーリエ変換とチャネル番号nの位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換から、信号ケーブルの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償できる補償フィルタ係数を計算することができる。
【0070】
実施の形態5.
上記実施の形態1等では、補償フィルタE(z)の係数計算のために信号発生器30から適切な箇所(信号入力点32a、32b)にRF信号を入力するものについて示したが、その代わりに、図9に示すように、外部に設けたアンテナ37(信号入力手段)からRF信号をアレーアンテナに電波によって送信してもよい。そうすれば、信号発生器30から2つの信号入力点32a,32bまでのケーブル31a,31bの長さの差や、アンテナ素子1−1,1−n(n≠1)から信号入力点32a,32bまでの信号ケーブルの長さの差を考慮する必要がなくなるという利点がある。
【0071】
実施の形態6.
上記実施の形態1等をサイドローブキャンセラに適用することが可能である。図10はこの発明の実施の形態6による干渉波抑圧装置を示す構成図であり、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
50は所定の方向(所望波方向、あるいは信号を受信したいと思う方向)に主ビームを向けた主アンテナ、51−1,51−2,…,51−Nは指向性が等方性に近い補助アンテナである。主アンテナ50のアンテナ形式は問わない。アレーアンテナを使って主アンテナを構成することも可能である。またここでは補助アンテナをN素子としている。補助アンテナ51−n(n=1,2,…,N)に連なる適応荷重9−nと、それらの出力信号を加算する加算器10で、荷重加算手段11を構成している。
【0072】
主アンテナ50に連なる受信機、A/D変換器、位相検波器、低域通過ディジタルフィルタ、ダウンサンプラを表す符号はハイフンの後に0を付けている。12は主アンテナ50に連なるダウンサンプラ8−0の出力信号と、荷重加算手段11の出力信号の差をとる減算器(減算手段)である。減算器12の出力がサイドローブキャンセラの出力であり、適応荷重9−nを減算器12の出力電力をなるべく小さくするようにSMI(sample matrix inversion)法などの適当な適応アルゴリズムで制御する。その結果、主アンテナ50のサイドローブから入射する干渉波が抑圧された信号を得る。
【0073】
チャネル間の周波数特性の不整合は、主アンテナ50に連なる位相検波器4−0の出力における周波数特性と各補助アンテナに連なる位相検波器4−n(n≠0)の出力の周波数特性がなるべく一致するように、あるいは、遅延器5bの出力信号と各補償フィルタE(z)(n=1,2,…,N)の出力信号との差の電力がなるべく小さくなるように、補償フィルタE(z)で補償する。その方法は今まで説明してきた実施の形態1〜5と同様である。
【0074】
チャネル間の周波数特性の不整合を補償するための基準とするチャネルは、実施の形態1〜5ではチャネル番号1としてきたが、図10の構成の干渉波抑圧装置では、主アンテナ50に連なるチャネルを基準とするのが一般的である。従って、図4、図5、図7、図13における信号入力点32aは、図10の構成では主アンテナ50の出力と受信機2−0の間に設ける。また、信号入力点32bは補助アンテナ51−nの出力と受信機2−nの間に設ける。
【0075】
サイドローブキャンセラ構成の干渉波抑圧装置でも、上記実施の形態1で説明したのと同様に、位相検波器4−nの出力におけるディジタル直交・同相信号のサンプリング周波数を、荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数より高くすれば、チャネル間の周波数特性不整合を補償する補償フィルタによる補償帯域を、荷重加算手段11における信号のサンプリング周波数と同程度にすることが可能となる。そのため、広帯域干渉波に対する干渉波抑圧性能を高く保つことができる。
【0076】
上記実施の形態1で説明したのと同様に、補償フィルタE(z)の係数計算に特異値分解法や固有値分解法を利用すれば、数値的不安定性を生じることなく係数計算が可能となる。そして、補償フィルタE(z)の係数絶対値が非常に大きな値となることを防ぐことが可能となる。
【0077】
また、上記実施の形態3で説明したのと同様に、アンテナ素子から信号入力点、および信号発生器30から信号入力点までの信号の遅延時間差を計測できれば、それらを考慮してチャネル間の周波数特性不整合を補償できるため、良好な広帯域干渉波抑圧性能を得ることができる。
【0078】
また、上記実施の形態4で説明したのと同様に、信号発生器30から信号入力点32aと32bまでの信号ケーブル31a,31bの長さの差が実測できなくても、これらの信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後の主アンテナ50につながる位相検波器4−0の出力信号のフーリエ変換と補助アンテナ番号nにつながる位相検波器4−nの出力信号のフーリエ変換から、信号ケーブルの長さの差の影響を排除してチャネル間の周波数特性不整合を補償できる補償フィルタ係数を計算することができる。
【0079】
さらに、上記実施の形態5で説明したのと同様に、信号を信号入力点に入力する代わりに、外部に設けたアンテナ37からRF信号を主アンテナ50と補助アンテナ51−nに電波によって送信して補償フィルタE(z)の係数を決めてもよい。そうすれば、信号発生器30から2つの信号入力点32a,32bまでの信号ケーブル31a,31bの長さの差や、主アンテナ50,補助アンテナ51−nから信号入力点32a,32bまでの信号ケーブルの長さの差を考慮する必要がなくなるという利点がある。
【0080】
実施の形態7.
サイドローブキャンセラ構成の干渉波抑圧装置では、補償フィルタE(z)の係数計算に受信される広帯域干渉波を利用することができる。その手順について説明する。
図10において、補償フィルタE(z)の係数が決まっていない場合、まず、適応荷重9−nの値をすべて同じ値、例えば1に固定する。その状態でサイドローブキャンセラの出力信号の電力をなるべく小さくするように、後述する方法で補償フィルタE(z)の係数を計算する。この時点で干渉波は抑圧されている。
【0081】
チャネル間(主アンテナ50と各補助アンテナ間)の周波数特性の不整合は、干渉波の入射方向等には関係しない。そこで、一旦補償フィルタE(z)の係数を計算した後はその係数を固定しておく。干渉波の入射方向等が変わっても、今度は減算器12の出力信号の電力がなるべく小さくなるように、適応荷重9−nだけを制御することによって干渉波抑圧を行える。そうすれば、チャネル間の周波数特性の不整合があっても、図14のような適応荷重を持つタップ付き遅延線回路構成にせずに適応荷重9−nだけの制御で、比較的少ない信号処理演算量で干渉波抑圧性能を保持することが可能となる。補償フィルタE(z)の係数計算は、適応荷重9−nの計算ほど頻繁に行う必要はない。ただ、補償フィルタE(z)の係数を計算する際の干渉波は広帯域である必要がある。
【0082】
次に、補償フィルタE(z)の係数計算について説明する。補償フィルタE(z)の係数計算時には適応荷重9−nの値をすべて同じ値に固定する。その値を1とする。このとき、サイドローブキャンセラの出力信号の電力の最小化は、ダウンサンプラ8−0の出力信号と、ダウンサンプラ8−1,…,8−Nの出力信号の和との差信号の電力の最小化と等価である。また、上記実施の形態2での説明と同様、図11に示すように、遅延器5b,補償フィルタE(z)と、低域通過ディジタルフィルタ7−nの接続順を入れ替えてもよい。このとき、サイドローブキャンセラの出力信号の電力の最小化は、遅延器5bの出力信号と、各補償フィルタE(z)の出力信号の和との差信号の電力の最小化と等価である。よって、干渉波を利用して補償フィルタE(z)の係数を計算する場合は、図10は図11の構成とする。図11の構成で補償フィルタE(z)の係数計算、即ち図11の第3の補償フィルタ係数設定手段23の動作について説明する。
【0083】
図11で、低域通過ディジタルフィルタ7−nの出力信号をx(k)(n=0,1,…,N)、遅延器5bの出力信号をy(k)、補償フィルタE(z)の出力信号をy(k)(n=1,…,N)とする。このとき、式(44),(45)の関係が成り立つ。式(46)のように遅延器5bの出力信号y(k)と各補償フィルタE(z)の出力信号y(k)の和との差信号z(k)を定義し、z(k)の電力式(47)を最小化する補償フィルタE(z)の係数e(m)(m=0,1,…,M−1)を決める。式(47)はさらに式(48)のように変形できる。
【数14】
Figure 0004689101
【0084】
式(48)の評価関数Jを最小とするe(m)を求めるために、Jをe(m)に関して偏微分する。式(48)のe(m)に関する偏微分として式(49)を得る。n=1,2,…,N、m=0,1,…,M−1について式(49)を0にするようなe(m)が、求める補償フィルタの係数である。よって、式(50)の正規方程式、つまりe(m)(n=1,2,…,N;m=0,1,…,M−1)を未知数とする連立方程式を解けば、e(m)が求められる。式(50)の行列R,ベクトルe,pは式(51)〜(54)のようになる。実際には、式(53),(54)で統計平均E[・]は単なる時間平均で代用してよい。
【数15】
Figure 0004689101
【0085】
以上説明したように、図11の構成の干渉波抑圧装置では、従来技術のようにタップ付き遅延線回路の係数を電波環境の変化のたびに適応的に制御する必要がなく、干渉波抑圧処理とは独立して、干渉波を利用してチャネル間の周波数特性の不整合を補償することが可能となる。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数が荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、周波数低減手段が、その荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げるように構成したので、荷重加算手段における全帯域にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償して、広帯域干渉波に対する干渉波抑圧性能を高く保つことができる効果がある。
【0087】
この発明によれば、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けるように構成したので、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0088】
この発明によれば、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号との差の電力が最小になるように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けるように構成したので、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0089】
この発明によれば、遅延手段の出力信号から荷重加算手段の出力信号を減算する減算手段を備え、その遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数が荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、周波数低減手段が、その荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を遅延手段及び補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げるように構成したので、サイドローブキャンセラ構成でも、荷重加算手段における全帯域にわたってチャネル間の周波数特性不整合を補償して、広帯域干渉波に対する干渉波抑圧性能を高く保つことができる効果がある。
【0090】
この発明によれば、所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けるように構成したので、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0091】
この発明によれば、主アンテナ及び補助アンテナが干渉波信号を受信するとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と複数の補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号の和との差の電力が最小になるように、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けるように構成したので、チャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0092】
この発明によれば、信号発生器が所定信号を発生してから、その所定信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、信号発生器が所定信号を発生してから、その所定信号が信号入力点に到達するまでの時間に差異がある場合でも、精度よくチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0093】
この発明によれば、アンテナ素子が信号を受信してから、その受信信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、アンテナ素子が信号を受信してから、その受信信号が信号入力点に到達するまでの時間に差異がある場合でも、精度よくチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0094】
この発明によれば、所定の信号入力点から所定信号を入力する代わりに、所定信号をアンテナ素子に向けて無線送信する信号入力手段を設けるように構成したので、信号発生器が所定信号を発生してから、その所定信号が信号入力点に到達するまでの時間や、アンテナ素子が信号を受信してから、その受信信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮しなくても、精度よくチャネル間の周波数特性不整合を補償することができる効果がある。
【0095】
この発明によれば、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するように構成したので、数値的不安定性を招くことなくディジタルフィルタの係数を設定することができるとともに、その係数の絶対値が非常に大きな値になることを防ぐことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図2】 補償フィルタで補償できる帯域と干渉波の帯域との関係を表した説明図である。
【図3】 遅延器・補償フィルタと低域通過フィルタの接続順を替えた干渉波抑圧装置の構成の一部を表した構成図である。
【図4】 補償フィルタ係数計算を行うために、信号を外部からケーブルを介して入力することを模式的に表した構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による干渉波抑圧装置の一部を示す構成図である。
【図6】 遅延時間差がある場合の周波数応答を示すブロック構成図である。
【図7】 補償フィルタ係数計算に関して、信号ケーブルの繋ぎ替えを行うことを模式的に表したブロック構成図である。
【図8】 補償フィルタ係数計算に関して、信号ケーブルの繋ぎ替えを行う前と後の周波数応答に関するブロック構成図である。
【図9】 補償フィルタ係数計算に関して、信号をケーブルを介して入力する代わりに、外部から電波で信号を送ることを表したブロック構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態6による干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図11】 遅延器・補償フィルタと低域通過フィルタの接続順を替えた干渉波抑圧装置の構成の一部を表した構成図である。
【図12】 従来の干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図13】 補償フィルタ係数計算を行うために、信号を外部からケーブルを介して入力することを模式的に表したブロック構成図である。
【図14】 係数を適応的に制御する従来のタップ付き遅延線回路を用いた干渉波抑圧装置を示す構成図である。
【図15】 係数を適応的に制御するタップ付き遅延線回路の内部構成図である。
【符号の説明】
1−1,…,1−N アンテナ素子、2−0,2−1,…,2−N 受信機(変換手段)、3−0,3−1,…,3−N A/D変換器(変換手段)、4−0,4−1,…,4−N 位相検波器(変換手段)、5b 遅延器(遅延手段)、6b−1,6b−2,…,6a−N 補償フィルタ(補償手段)、7−0,7−1,…,7−N 低域通過ディジタルフィルタ(周波数低減手段)、8−0,8−1,…,8−N ダウンサンプラ(周波数低減手段)、9−1,…,9−N 適応荷重、10 加算器、11 荷重加算手段、12 減算器(減算手段)、21 第1の補償フィルタ係数設定手段、22 第2の補償フィルタ係数設定手段、23 第3の補償フィルタ係数設定手段、30 信号発生器、31a,31b信号ケーブル、32a,32b 信号入力点、35,36 遅延素子、37 アンテナ(信号入力手段)、50 主アンテナ、51−1,…,51−N 補助アンテナ。

Claims (10)

  1. アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子の受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の変換手段と、上記複数の変換手段のうち基準チャネルに係る変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、上記複数の変換手段のうち基準チャネル以外のチャネルに係る変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記遅延手段の出力信号と上記複数の補償手段の出力信号とを重み付け加算する荷重加算手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記遅延手段及び上記補償手段における信号出力のサンプリング周波数が上記荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、
    上記荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を上記遅延手段及び上記補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げる周波数低減手段を設けたことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  2. 所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の干渉波抑圧装置。
  3. 所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号との差の電力が最小になるように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定する係数設定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の干渉波抑圧装置。
  4. 主アンテナの受信信号を同相・直交信号に変換する第1の変換手段と、上記第1の変換手段から出力された同相・直交信号を遅延する遅延手段と、複数の補助アンテナの受信信号をそれぞれ同相・直交信号に変換する複数の第2の変換手段と、上記複数の第2の変換手段から出力された同相・直交信号の周波数特性をそれぞれ補償する複数の補償手段と、上記複数の補償手段の出力信号を重み付け加算する荷重加算手段と、上記遅延手段の出力信号から上記荷重加算手段の出力信号を減算する減算手段とを備えた干渉波抑圧装置において、
    上記遅延手段及び上記補償手段における信号出力のサンプリング周波数が上記荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数より高く設定されており、
    上記荷重加算手段における信号入力のサンプリング周波数を上記遅延手段及び上記補償手段における信号出力のサンプリング周波数より下げる周波数低減手段を設けたことを特徴とする干渉波抑圧装置。
  5. 所定の信号入力点から所定信号を入力したとき、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとが一致するように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の干渉波抑圧装置。
  6. 主アンテナ及び補助アンテナが干渉波信号を受信するとき、遅延手段に接続されている周波数低減手段の出力信号と複数の補償手段に接続されている周波数低減手段の出力信号の和との差の電力が最小になるように、上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定するとともに、減算手段の出力信号の電力が最小になるように荷重加算手段の荷重を決定する係数設定手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の干渉波抑圧装置。
  7. 係数設定手段は、信号発生器が所定信号を発生してから、その所定信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定することを特徴とする請求項2、請求項3または請求項5記載の干渉波抑圧装置。
  8. 係数設定手段は、アンテナ素子が信号を受信してから、その受信信号が信号入力点に到達するまでの時間を考慮して、補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定することを特徴とする請求項2、請求項3または請求項5記載の干渉波抑圧装置。
  9. 所定の信号入力点から所定信号を入力する代わりに、所定信号をアンテナ素子に向けて無線送信する信号入力手段を設けたことを特徴とする請求項2、請求項3または請求項5記載の干渉波抑圧装置。
  10. 係数設定手段は、遅延手段の出力信号のスペクトルと補償手段の出力信号のスペクトルとの差の重み付き絶対値2乗平均値が最小になるように、固有値分解もしくは特異値分解を利用して上記補償手段を構成するディジタルフィルタの係数を設定することを特徴とする請求項2または請求項5記載の干渉波抑圧装置。
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