JP4688162B2 - 熱疲労用試験方法および熱疲労試験用試験片並びに熱疲労試験の試験片装着用継手 - Google Patents

熱疲労用試験方法および熱疲労試験用試験片並びに熱疲労試験の試験片装着用継手 Download PDF

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Description

本発明は、材料の熱疲労試験方法と、その方法に用いる試験片、並びにその熱疲労試験において試験片を負荷機構に装着するための継手に関し、更に詳しくは、実部品から切り出したような小型の試験片の熱疲労試験方法とその試験片、並びに当該試験片を負荷機構に装着するための継手に関する。
実部品から切り出したような小型の試験片に対して熱疲労試験を行う方法として、従来、試験温度範囲において試験片より熱膨張係数が小さく、かつ、熱膨張係数が急激に変化する温度特異点が存在しない低膨張材料からなり、両端部にそれぞれ刃を設けた2枚のホルダにより、試験片の両側を拘束するようにそれぞれの刃を試験片の両端部に圧入するとともに、その両端部を弾性部材を介してボルト等の結合手段により結合して試験片を拘束し、その拘束状態で加熱・冷却サイクルを繰り返し行うことで、試験片とホルダの熱膨張差により生じる熱歪みを試験片の評価部分に集中させるようにする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、従来から、油圧サーボ式材料試験機と、冷却ガスを直接試験片表面に吹きつけるためのノズルを備えた高周波誘導加熱用コイルを有している加熱・冷却装置を組み合わせた熱疲労試験機が知られている。この熱疲労試験機においては、試験片の熱歪みを伸び計によって常時計測し、油圧により機械的に試験片の歪みを制御することにより、試験片の熱歪みをあらかじめ設定されている目標値と一致させることができる。
特開2003−35644号公報
ところで、上記した従来の熱疲労試験方法によると、比較的簡単な装置構成のもとに熱疲労試験を行うことが可能となるのであるが、試験片とホルダの熱膨張差によって繰り返し熱歪みを生じさせるため、試験片やホルダの冷熱の繰り返しによる経時変化に伴う寸法変化が発生し、意図する一定値の繰り返し熱歪みを付与することが困難となるという問題があった。
一方、従来から知られている油圧サーボ式材料試験機と冷却ノズル付きの高周波誘導加熱用コイルを組み合わせた熱疲労試験機によると、試験片の刻々の伸びが伸び計により計測され、その計測結果を用いたフィードバック制御により試験片の歪みを機械的に制御するため、一定値の繰り返し熱歪みを付与することが可能となる。
しかしながら、油圧サーボ式材料試験機と冷却ノズル付きの高周波誘導加熱用コイルを組み合わせた従来の熱疲労試験機においては、試験片の両端部を直接的に掴み具で把持するため、実部品から切り出したような小型の試験片を用いて熱疲労試験を行う場合には、掴み具が高周波誘導加熱用コイルと近接するため、掴み具も誘導加熱されてしまい、試験片の標点部分の温度分布が崩れ、正確な冷熱を与えることが困難となるという問題があった。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、基本的には、試験片に対して一定値の繰り返し熱歪みを付与することのできる油圧サーボ式材料試験機と冷却ノズル付きの高周波誘導加熱用コイルを用いた熱疲労試験機を用いながら、上記のような小型の試験片であっても、掴み具の誘導加熱を防止して、試験片の標点間領域の温度分布を崩すことなく正確な試験を行うことのできる熱疲労試験方法と、その方法に用いるのに適した熱疲労試験用試験片、並びに同方法に用いるのに適した試験片装着用の継手の提供をその課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明の熱疲労試験方法は、試験片の両端部を一対の掴み具に把持した状態で、試験片の周囲に配置した高周波誘導加熱用コイルにより当該試験片を加熱する工程と、その高周波誘導加熱用コイルに設けたノズルを介して冷却ガスを吹き付けることにより試験片を冷却する工程を繰り返しつつ、伸び計の一対の検出棒を試験片の各標点にそれぞれ当接させてその伸びを計測するとともに、その計測結果が所要の値となるように上記一対の掴み具を介して試験片に負荷を加える熱疲労試験方法において、試験片の両端部に雄ねじを形成し、その各雄ねじを、それぞれに対応するアダプタに形成した雌ねじにねじ込んだ状態でナットにより当該各アダプタに対して締めつけ、上記一対の掴み具にはそれぞれアダプタを介して試験片を把持するとともに、上記アダプタおよびナットを非磁性体材料とし、かつ、ナットとして、その外周面と上記高周波誘導加熱用コイル側の端面との間のコーナー部分に、当該ナットの厚さの60%以上に及ぶ面取りを形成したものを用いるとともに、上記各ナットと試験片の両端部の雄ねじの関係を、各ナットを締めつけた状態で試験片の雄ねじのねじ山がナットで覆われて外部に露出しない関係とすることによって特徴づけられる(請求項1)。
ここで、本発明方法においては、上記高周波誘導加熱用コイルに対する試験片表面の距離を9〜30mmとした状態で試験を行うこと(請求項)が望ましい。また、本発明方法においては、試験片に対する上記伸び計の検出棒の押し付け力を240gf以上とすること(請求項)が望ましい。
一方、本発明の熱疲労試験用試験片は、請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いる試験片であって、上記アダプタに対する試験片の振れ量を0.1mm以下とすること(請求項)が望ましい。
また、請求項に係る発明の熱疲労試験片は、同じく請求項1,2または3に記載の熱疲労試験方法に用いる試験片であって、標点間における表面粗さを、1.6z以下とすることによって特徴づけられる。
また、本発明の熱疲労試験の試験片装着用継手は、請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、その材料が、熱伝導率が120W/m・K以上の材料であることによって特徴づけられる(請求項)。
また、請求項に係る発明の熱疲労試験の試験片装着用継手は、同じく請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、その材料が、引張強さ475MPa以上の材料であることによって特徴づけられる。
更に、請求項に係る発明の熱疲労試験の試験片装着用継手は、同じく請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、その材質がベリリウム銅であることによって特徴づけられる。
本発明は、油圧サーボ式材料試験機と冷却ノズル付きの高周波誘導加熱用コイルを組み合わせた熱疲労試験機を用いて、小型の試験片の試験を行うに当たり、試験片の両端部を継手を介して掴み具に把持することにより、掴み具を高周波誘導加熱用コイルから極力遠ざけるとともに、その継手の材料を非磁性体の材料としたうえで、種々の実験を行った結果としてなされたものである。
すなわち、本発明の熱疲労試験方法においては、試験片の両端部に雄ねじを形成し、その両端部の雄ねじをそれぞれ、非磁性体の材料からなるアダプタに形成した雌ねじにねじ込むとともに、その雄ねじに同じく非磁性体の材料からなるナットをねじ込んでアダプタに対して締めつけることにより、試験片の両端部にアダプタとナットからなる継手を装着する。その状態で、各継手を一対の掴み具にそれぞれ把持する。つまり、非磁性体の材料からなる継手を介して試験片の両端部を掴み具に把持し、機械的な負荷を掛けるようにする。
そして、継手を非磁性体としても、高周波誘導加熱用コイルに向く突起が存在すれば継手温度が上昇してしまい、正確な試験を行うことができないことが判った。そこで、請求項1に係る発明においては、継手を構成するナットの形状を、高周波誘導加熱用コイル側の端面と外周面とが交叉するコーナー部分の突起(エッジ)をなくするべく、その部分に、ナットの厚みの60%以上に及ぶ面取りを形成したものを用いた。これにより、ナットの昇温が抑制され、ひいては試験片の温度分布を乱すことを防止することができる。
更に、請求項に係る発明においては、上記に加えて、ナットを試験片の雄ねじにねじ込んでアダプタに対して締めつけた状態で、試験片の雄ねじのねじ山がそのナットにより覆われる状態とする。つまり、上記のように面取りを施したナットにより試験片のねじ山を隠す。このような試験片のねじ山とナットとの関係を採用することにより、試験片の雄ねじのねじ山部分が局所的に昇温することを防止することができ、試験片の標点間以外の部位が加熱されにくくなる。
また、熱疲労試験においては、試験片の標点間内の温度が極力均一であることが必要であるが、小型の試験片ではその熱容量が小さく、試験片を加熱する高周波誘導加熱用コイルとの距離に対して敏感となる。すなわち、試験片とコイルとの距離が大きいと雰囲気温度のバラツキの影響を受けやすくなり、標点間内の温度差が大きくなる。逆にその距離が小さいと、試験片の高周波誘導加熱用コイルとの同軸の程度の影響を受けやすくなり、標点間内の温度差が大きくなる。請求項に係る発明のように、試験片と高周波誘導加熱用コイルとの距離を9〜30mmとすると、標点間内の温度差が顕著に減少すること(図7参照)が判った。
更に、小型の試験片においては、その剛性が小さいため、伸び計の検出棒の押し付け力に対して敏感である。すなわち、検出棒の押し付け力が小さいと、試験片に熱歪みが発生したとき、検出棒が試験片表面ですべるため、熱歪みを正確に検知できない。請求項に係る発明のように、試験片に対する伸び計の検出棒の押し付け力を240gf以上とすることにより、検出棒のすべり量が顕著に減少する(図8参照)。
疲労試験においては、試験片の標点間内に発生する歪みが円周方向のどの位置で計っても極力均一であることが必要であるが、小型の試験片を継手を介して掴み具に把持する場合、試験片が敏感であるが故に曲げ応力が発生しやすく、標点間内に発生する歪みが不均一になりやすい。この把持状態で試験片に曲げ応力が発生する主たる原因の一つに、試験片の継手に対する振れがある。そこで、請求項に係る発明では、継手に対する試験片の振れ量を0.1mm以下とする。このような装着の仕方により、標点間の歪み差が顕著に減少する(図6参照)。
試験片を高温に加熱する熱疲労試験において、試験片の表面に伸び計の検出棒を接触させてその刻々の伸びを検出する場合、加熱により試験片が軟化し、伸び計の検出棒が次第に試験片に食い込んでいく場合がある。これによって生じた切欠きを起点として、試験片の本来の寿命よりも早期に熱疲労破壊が生じてしまうことがある。これは、小型の試験片を用いる場合に特に生じやすい。請求項に係る発明のように、この種の熱疲労試験に用いる試験片として、その標点間の表面粗さを1.6z以下にすると、試験片表面の粗さに起因する凸部への高周波加熱の集中が抑制される結果、伸び計の検出棒の試験片表面への食い込み量が顕著に減少し、食い込み部からの破壊を抑制することができる(図9参照)。
本発明のように小型の試験片を継手に装着した状態で掴み具に把持して熱疲労試験を行う場合、試験片の熱容量が小さいため、その降温速度が継手の熱伝達率に敏感となる。継手の材料として、請求項に係る発明のように、熱伝導率が120W/m・K以上の材料を採用すると、試験片の冷却時における降温速度が顕著に増大する(図4参照)。
本発明においては、試験片の両端部に雄ねじを形成して、その各雄ねじを各アダプタに形成された雌ねじにねじ込み、更に雄ねじにナットをねじ込むことによって各アダプタに締めつけ、そのアダプタ並びにナットからなる継手を介して試験片の両端部を掴み具に把持するのであるが、試験中の加熱・冷却の繰り返しに伴い、ナットの締結トルクが初期の値から低下し、ナットの緩みが生じる。この結果、試験片の機械的歪みを付与するクロスヘッドのストロークが長くなり、試験条件の1サイクル当たりの時間に追従できないと、正確に機械的歪みを与えることができなくなる。請求項に係る発明のように、アダプタおよびナットとして、引張強さが475MPa以上の材料を用いると、締結トルクの低下率が顕著に減少し、試験片に初期に設定した機械的歪みを継続的に付与することが可能となる(図5参照)。
ここで、本発明において用いる継手は、上記から明らかなように、その形状ばかりでなく材質も、正確な試験を行ううえで重要なポイントとなる。継手の材質は、請求項に係る発明のようにベリリウム銅とすることがよい。ベリリウム銅は非磁性体であり、熱伝導度が大きく、かつ、相応の引張強さを有しており、この種の熱疲労試験を行う際の継手の材料として適している。
本発明によれば、実部品から切り出したような小型の試験片であっても、その両端部を非磁性体からなる継手を介して一対の掴み具に把持した状態で、高周波誘導加熱用コイルによる加熱と、そのコイルに設けた冷却用ノズルからの冷却ガスの吹きつけによる冷却を繰り返しつつ、各標点に伸び計の検出棒を当接させて歪みを検出し、その検出値が目標値に一致するように油圧サーボ機構により試験片に負荷を加える正確な熱疲労試験を行うことが可能となった。
また、試験片に形成した雄ねじのねじ山をナットで覆った状態で試験を行うことで、試験片の局所的な昇温を防止して主として標点間の温度分布を均一なものとすることができるとともに、アダプタに対する試験片の振れ量を0.1mm以下とすることで標点間の歪み差が少なくなり、正確な試験を行うことが可能となる。
更に、高周波誘導加熱用コイルに対する試験片表面の距離を9〜30mmとして試験を行うことにより、標点間における温度差を小さくすることができ、また、試験片に対する伸び計の検出棒の押し付け力を240gとすることで、検出棒が試験片の表面に対してすべることを抑制することができ、正確な歪みの付与が可能となる。
更にまた、このような試験に供する試験片としては、標点間における表面粗さを1.6z以下とすることによって、粗さの山部に高周波加熱が集中することを抑制でき、検出棒の試験片表面への食い込みに起因する試験片の早期破壊の発生を防止することができる。
そして、試験片の両端部に装着されるアダプタとナットからなる継手としては、熱伝導率が120/m・K以上の材料を採用することで、特に試験片の冷却時における降温速度が向上し、また、これらのアダプタおよびナットの引張強さを475MPa以上とすると、加熱・冷却を繰り返し行ったときのナットの締結トルクの低下を抑制して正確な歪みを与えることができる。そして、このような継手の材料としてベリリウム銅を用いることにより、上記の各条件を満足して再現性よく正確な試験を行うことができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の要部構成図であり、図2はその高周波誘導加熱用コイル2の1ターン分の部分断面図で、図3は試験片Wに継手1を装着した状態を示す部分断面正面図である。
試験片Wは、その全長が約60mm程度であって、標点間距離は20mmである。この試験片Wは、その両端部にそれぞれ後述する継手1が装着された状態で、各継手1を介して上下一対の掴み具21,22に把持されている。各掴み具21,22は油圧サーボ式の材料試験機に取り付けられており、そのうち下方の掴み具21はテーブルに、上方の掴み具22はクロスヘッドに取り付けられている。クロスヘッドは油圧サーボ機構によりテーブルに対して上下方向に接近/離隔し、これにより試験片Wに負荷が加えられる。
試験片Wの周囲には、3ターンの高周波誘導加熱用コイル3が配置されている。この各ターンは接続部(図示せず)により相互に直列に接続されており、その接続部の両端は高周波電源に接続され、その高周波電源からコイル3に高周波電圧が流され、これによって試験片Wが誘導加熱される。
高周波誘導加熱用コイル3は、その1ターン分の部分断面図を図2に示すように2つの角パイプ31,32を内外に配置した二重のパイプ構造となっており、内側の角パイプ31内には冷却ガスが流されるとともに、その内側の壁体には周方向に多数のノズル31aが形成されており、この各ノズル31aから内側の試験片Wに向けて冷却ガスを吹きつけることによって試験片Wを冷却することができる。外側の各パイプ32には、コイル自体を冷却するための冷却水が流される。
試験片Wは、図3に示すように、その両端部に継手1が装着された状態で、その各継手1が掴み具21,22に把持される。すなわち、継手1はアダプタ11とナット12によって構成され、アダプタ11にはその一端面に雌ねじ11aが形成されている。試験片Wにはその両端部に雄ねじWaが形成されており、この雄ねじWaがアダプタ11の雌ねじ11aにねじ込まれ、かつ、中心側からナット12により締めつけることにより、試験片Wの両端部に継手1が装着固定された状態となる。その状態で両側の継手1のアダプタ11を掴み具21,22に把持し、試験を行う。
ナット12は、その高周波誘導加熱用コイル3側の端面(アダプタ11と反対側の端面)12aと外周面12bとの間のコーナー部分に、その厚み(軸方向寸法)の60%以上に及ぶ面取り12cが形成されている。また、このナット12は、継手1を試験片Wに装着固定した状態で、試験片Wに形成されている雄ねじWaのねじ山を覆った状態とされている。そして、これらのアダプタ11およびナット12は、いずれもベリリウム銅によって形成されている。
試験片Wの2箇所の標点には、伸び計4の2本の検出棒41,42が高周波誘導加熱用コイル3の間を通るようにして当接しており、この伸び計4により試験中における試験片Wの標点間の刻々の伸びが計測される。
さて、以上の構成において、試験片Wは高周波誘導加熱用コイル3により加熱と、ノズル31aからの冷却ガスの吹きつけによる冷却が繰り返され、その間、伸び計4による試験片Wの標点間の刻々の伸びの計測結果を目標値にフィードバックすることにより、試験片Wにあらかじめ設定されている伸びが加わるように、上方の掴み具22が取り付けられているクロスヘッドが上下動する。
このような熱疲労試験において、継手1は非磁性体であり、かつ、そのナット12の面取りの存在により、ナット12に凸部が存在しないため、局所的に誘導加熱されることがない。また、ナット12により試験片Wの雄ねじWaのねじ山が全て覆われているため、試験片Wの雄ねじWaのねじ山に高周波加熱が集中することもない。
また、ベリリウム銅はその熱伝導率が120〜130W/m・Kであり、試験片Wの冷却時における降温速度が速いという利点があり、試験時間を短縮することができる。継手1の材料を種々に変更して、その熱伝導率と試験片Wの標点間の降温速度、具体的には250℃から50℃にまで降温する際の速度との関係を調査した結果を図4にグラフで示す。このグラフから明らかなように、継手1の材料として、熱伝導率が120W/m・K以上の材料を用いることにより、試験片Wの冷却過程における降温速度が顕著に増大することが判った。
また、ベリリウム銅はその引張強さが500MPa以上であり、繰り返しサイクルの後にもアダプタ11とナット12との締結トルクの低下率が少なく、機械的歪みを継続的に付与することができる。継手1の材料を種々に変更して、その引張強さと一定の冷・熱サイクルの経過後のアダプタ11とナット12との締結トルクの低下率との関係を調査した。すなわち、50〜250℃で100サイクル経過後のアダプタ11とナット12との締結トルクの低下率を調査した結果を図5にグラフで示す。このグラフから明らかなように、引張強さが475MPa以上の材料を用いることにより、締結トルクの低下率が顕著に減少し、試験片Wに初期に設定した機械的歪みを継続して付与できることが判った。
また、継手1に対して試験片Wを取り付ける際、これら相互の振れ量が大きくなると試験片Wに曲げ応力が発生し、標点間内の歪み差が生じることが判った。すなわち、この振れ量を種々に変更して試験片Wの標点間内の全歪み範囲差を測定した結果を図6にグラフで示す。このグラフに示されるように、振れ量を0.1mm以下にすることにより、標点間内の歪み差が顕著に減少することが明らかになった。
更に、試験片Wの表面と高周波誘導加熱コイル3との距離を種々に変更して、試験片Wの標点間内の温度差を計測した結果、その距離は9〜30mmとすることがよいことが判った。図7にその結果を示す。試験片Wの表面と高周波誘導加熱コイル3との距離を9〜30mmとすることで、標点間内の温度差が顕著に減少する。熱疲労試験においては、試験片の標点間内での温度が極力均一あることが望ましく、9mm以下では試験片と高周波誘導加熱用コイル3との同軸度の影響を受けやすくなり、標点間の温度差が大きくなり、30mm以上では雰囲気温度のバラツキの影響を受けやすいことが判った。
小型の試験片の試験に際しては、その剛性が小さいため、伸び計4の検出棒41,42の試験片Wの表面への押し付け力をある程度以上大きくしなければ、試験片Wに熱歪みが発生したとき、検出棒41,42が試験片Wの表面で滑ってしまい、熱歪みを正確に計測できないということが判明した。押し付け力を種々に変更して、伸び計4の検出棒41,42の試験片Wの表面に対するすべり量を測定した結果を図8に示す。このグラフから明らかなように、押し付け力を240gf以上とすることにより、そのすべり量が顕著に減少することが判った。
そして、試験片Wの加熱状態で伸び計4の検出棒41,42をある程度以上の力で押し付けると、加熱による試験片の軟化により検出棒41,42が次第に試験片Wに食い込んでいき、それを起点に試験片が熱疲労破壊することがあり、正確な試験結果が得られないという問題が生じる。この問題は特に試験片の平行部の径が小さい小型の試験片において生じやすい。試験片Wの誘導加熱による軟化は、試験片Wの表面粗さを小さくすることによって抑制することができる。すなわち、試験片Wの表面粗さに起因する微小な凸部への高周波誘導加熱の集中を抑制することにより、試験片Wの軟化に起因する検出棒41,42の食い込みを防止できることが判った。図9に試験片Wの表面粗さを種々に変えて熱疲労試験を行い、試験片Wの表面粗さと検出棒41,42の試験片Wへの食い込み深さとの関係を計測した結果をグラフで示す。このグラフに示されるように、試験片Wの表面粗さ(標点間)を1.6z以下とすると、検出棒41,42の食い込み深さが顕著に減少し、食い込み部を起点とした試験片Wの破壊を抑制することができる。
本発明の実施の形態の要部構成を示す部分断面図である。 図1における高周波誘導加熱用コイル3の1ターン分の部分断面図である。 図1で用いている試験片Wに継手1を装着した状態を示す部分断面正面図である。 継手1の熱伝導率と試験片Wの標点間の降温速度との関係の調査結果を示すグラフである。 継手1を構成するアダプタ11とナット12の引張強さと、熱サイクルを付与後のこれら両者間の締結トルクの低下率を調査した結果を示すグラフである。 継手1に対する試験片Wの振れ量と、標点間内の歪み差の関係の調査結果を示すグラフである。 試験片Wの表面と高周波誘導加熱コイル3との距離と、試験片Wの標点間内の温度差との関係の調査結果を示すグラフである。 試験片Wの表面に対する伸び計4の検出棒41,42の押し付け力と、試験片Wの表面に対するすべり量の関係の調査結果を示すグラフである。 試験片Wの表面粗さと伸び計4の検出棒の食い込み量との関係の調査結果を示すグラフである。
1 継手
11 アダプタ
11a 雌ねじ
12 ナット
12c 面取り
21,22 掴み具
3 高周波誘導加熱用コイル
31a 冷却用ノズル
4 伸び計
41,42 検出棒
W 試験片
Wa 雄ねじ

Claims (8)

  1. 試験片の両端部を一対の掴み具に把持した状態で、試験片の周囲に配置した高周波誘導加熱用コイルにより当該試験片を加熱する工程と、その高周波誘導加熱用コイルに設けたノズルを介して冷却ガスを吹き付けることにより試験片を冷却する工程を繰り返しつつ、伸び計の一対の検出棒を試験片の各標点にそれぞれ当接させてその伸びを計測するとともに、その計測結果が所要の値となるように上記一対の掴み具を介して試験片に負荷を加える熱疲労試験方法において、
    試験片の両端部に雄ねじを形成し、その各雄ねじを、それぞれに対応するアダプタに形成した雌ねじにねじ込んだ状態でナットにより当該各アダプタに対して締めつけ、上記一対の掴み具にはそれぞれアダプタを介して試験片を把持するとともに、上記アダプタおよびナットを非磁性体材料とし、かつ、ナットとして、その外周面と上記高周波誘導加熱用コイル側の端面との間のコーナー部分に、当該ナットの厚さの60%以上に及ぶ面取りを形成したものを用いるとともに、上記各ナットと試験片の両端部の雄ねじの関係を、各ナットを締めつけた状態で試験片の雄ねじのねじ山がナットで覆われて外部に露出しない関係とすることを特徴とする熱疲労試験方法。
  2. 上記高周波誘導加熱用コイルに対する試験片表面の距離を9〜30mmとした状態で試験を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱疲労試験方法。
  3. 試験片に対する上記伸び計の検出棒の押し付け力を240gf以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載の熱疲労試験方法。
  4. 請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いる試験片であって、
    上記アダプタに対する試験片の振れ量を0.1mm以下とすることを特徴とする熱疲労試験用試験片。
  5. 請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いる試験片であって、
    標点間における表面粗さを、1.6z以下とすることを特徴とする熱疲労試験用試験片。
  6. 請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、
    その材料が、熱伝導率が120W/m・K以上の材料であることを特徴とする熱疲労試験の試験片装着用継手。
  7. 請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、
    その材料が、引張強さ475MPa以上の材料であることを特徴とする熱疲労試験の試験片装着用継手。
  8. 請求項1、2または3に記載の熱疲労試験方法に用いるアダプタおよびナットからなる継手であって、
    その材質がベリリウム銅であることを特徴とする熱疲労試験の試験片装着用継手。
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