JP4677055B1 - 竹材表面加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】青竹材や建材等の竹材の表面に簡便で安価に放射状の焼付模様を形成する竹材表面加工方法を提供する。
【解決手段】竹材10,32の表皮側表面18,18´に焼付模様を形成する竹材表面加工方法であって、バーナーの円筒状の火口12と前記表面とを近づけた状態で、火口12から噴出する火炎20を前記表面に短時間吹き当てることにより、火炎20の外炎14を利用した放射状の焼付模様2,3,4,6,7,8を形成する、焼付工程を含む。
【選択図】図1
【解決手段】竹材10,32の表皮側表面18,18´に焼付模様を形成する竹材表面加工方法であって、バーナーの円筒状の火口12と前記表面とを近づけた状態で、火口12から噴出する火炎20を前記表面に短時間吹き当てることにより、火炎20の外炎14を利用した放射状の焼付模様2,3,4,6,7,8を形成する、焼付工程を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、竹材の表面を加工する方法に関し、特に竹材の表皮側表面に焼付模様を形成する竹材表面加工方法に関する。
従来、竹は日本国内に広く分布し、例えば、竹筒を利用した筒状容器等の工芸品、尺八等の楽器、長尺の竹筒を縦割りにして分割した建材(又は建築材)等の竹製品としてその用途も多岐に亘っている。
このような竹製品は実用品として用いられることはもちろんのこと、観賞用としても用いられており、その表面に様々な表面処理が施されてきた。これまで、この表面処理として、例えば加熱煙により黒色を帯びた煤竹に変色させる、或いは燻焼により表面全体を茶褐色や琥珀色に変色させる等、表面全体に処理が施される伝統的な処理方法が主流であった。
これに対して昨今では、例えば竹製品に優れた美観や独特の審美性を付与する等の目的のため、竹材の表面に模様を施す技術に関して、様々な提案がされている(例えば特許文献1、特許文献2)。
特許文献1によれば、竹材製品にゆう薬を塗着し、焼成した竹製品焼物の発明が開示されている。
また、特許文献2によれば、竹製の板状部材を、該板状部材を貫通する電熱線により所定の模様または文字の形状に沿って切り抜く工程と、前記切り抜いた模様部分または文字部分をその切抜き部分にて前記板状部材に対して該板状部材の板厚よりも小さい量だけ板厚方向に変位させた位置に保持する工程と、前記保持した模様部分または文字部分を前記板状部材に接着する工程と、を有する装飾板の製造方法が開示されている。
また、特許文献2によれば、竹製の板状部材を、該板状部材を貫通する電熱線により所定の模様または文字の形状に沿って切り抜く工程と、前記切り抜いた模様部分または文字部分をその切抜き部分にて前記板状部材に対して該板状部材の板厚よりも小さい量だけ板厚方向に変位させた位置に保持する工程と、前記保持した模様部分または文字部分を前記板状部材に接着する工程と、を有する装飾板の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の竹製品焼物を制作する際には、ゆう薬を用いる必要があり、また例えば1000℃等の高温の窯が必要になる等で製造コストアップにつながる虞があるという問題があった。
また、特許文献2によれば、所定の模様を形成する為に、竹製の板状部材を、該板状部材を貫通する電熱線により所定の模様の形状に沿って切り抜き、次にその切抜き部分にて板状部材に対して板状部材の板厚よりも小さい量だけ板厚方向に変位させた位置に保持し、保持した模様部分を前記板状部材に接着する必要があるため、例えば所定の模様部分を切抜く際に熟練の技量が必要とされ、また切抜くための時間がかかる等で装飾板の製造に手間暇がかかりすぎ、そのため装飾板の製造コストの上昇を招く虞があるという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、竹材の表面に簡便で安価に放射状の焼付模様を形成する竹材表面加工方法を提供することにある。
請求項1の発明は、竹材の表皮側表面に焼付模様を形成する竹材表面加工方法であって、バーナーの筒状の火口と前記表面とを近づけた状態で、前記火口から噴出する火炎を前記表面に短時間吹き当てることにより、前記火炎の外炎を利用した放射状の焼付模様を形成する、焼付工程を含む竹材表面加工方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の竹材表面加工方法において、前記焼付工程は、前記火炎の火力を調整し、複数の前記焼付模様を略同心円状に形成することを含む。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の竹材表面加工方法において、前記竹材は、青竹材からなり、前記表面のうち前記焼付模様が形成された領域を除く領域を前記バーナーで焙り、前記領域の油抜きをするとともに、象牙色又は琥珀色に前記領域を焼成する焼成工程を含む。
請求項4の発明は、請求項3に記載の竹材表面加工方法において、前記表面に蝋を塗布する工程であって、前記焼成工程の後にしかも竹材の温度が、融解した蝋が固化して流動性を失う温度に低下する前に、融解した蝋を前記表面に塗布する蝋塗布工程を含む。
請求項5の発明は、請求項4に記載の竹材表面加工方法において、前記青竹材は、筒体からなり、前記焼成工程と前記蝋塗布工程との間に、前記筒体の縁に墨汁を塗布する墨汁塗布工程を含む。
請求項6の発明は、請求項1又は2に記載の竹材表面加工方法において、前記竹材は、油抜き処理を施された長尺板体からなり、前記焼付工程の後に、融解した蝋を前記表面に塗布し、前記バーナーで前記表面を焙って加熱する蝋処理工程を含む。
本発明によれば、竹材の表皮側表面に焼付模様を形成する竹材表面加工方法であって、バーナーの筒状の火口と前記表面とを近づけた状態で、前記火口から噴出する火炎を前記表面に短時間吹き当てることにより、前記火炎の外炎を利用した放射状の焼付模様を形成する、焼付工程を含む構成であるから、吹き当てられた火炎が表面に沿って放射状に飛散するため、その火炎の外炎部分を利用し、簡便で安価竹材の表面に放射状の焼付模様を形成可能な竹材表面加工方法を提供できる。
また、前記焼付工程は、前記火炎の火力を調整し、複数の前記焼付模様を略同心円状に形成することを含む構成であるから、例えば所定の火力で第1の放射状焼付模様を形成し、次に火力を下げた状態で第1の放射状焼付模様の内側に第2の放射状焼付模様を形成することにより、簡便な工程により安価に竹材の表面に放射状の焼付模様を同心円状に形成できる。従って、この竹材を用いた竹製品の審美性や意匠効果を高めることが可能な竹材表面加工方法を提供できる。
また、前記竹材は、青竹材からなり、前記表面のうち前記焼付模様が形成された領域を除く領域を前記バーナーで焙り、前記領域の油抜きをするとともに、前記領域を象牙色又は琥珀色に焼成する焼成工程を含む構成であるから、青竹材であってもその表皮側表面を伝統的な竹特有の象牙色又は琥珀色の風合いとしつつその中に放射状の焼付模様が浮かび上がらせることができる。したがって、簡便な工程により安価に、この竹材を用いた竹製品の審美性や意匠効果をさらに高めることが可能な竹材表面加工方法を提供できる。
また、前記表面に蝋を塗布する工程であって、前記焼成工程の後にしかも竹材の温度が、融解した蝋が固化して流動性を失う温度に低下する前に、融解した蝋を前記表面に塗布する蝋塗布工程を含む構成であるから、融解した蝋が竹材の繊維中に浸透しやすくなり、竹材を用いた竹製品の表面につやをムラなく生じさせることができるとともに、焼成工程から蝋塗布工程完了までの時間を短縮でき、加工工程の短時間化及び簡略化を図ることができる。
また、前記青竹材は、筒体からなり、前記焼成工程と前記蝋塗布工程との間に、前記筒体の縁に墨汁を塗布する墨汁塗布工程を含む構成であるから、縁が黒色の竹筒体を用いた竹製品を作ることができ、筒状竹製品の意匠効果がさらに高まる。
また、前記竹材は、油抜き処理を施された長尺板体からなり、前記焼付工程の後に、融解した蝋を前記表面に塗布し、前記バーナーで前記表面を焙って加熱する蝋処理工程を含む構成であるから、簡便な工程により安価に、竹材の表皮側表面に放射状の焼付模様を形成できるとともに、この竹材を用いた竹製品や構築物の耐湿性向上や長寿命化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態に係る竹材表面加工方法について説明する。
本実施形態の竹材に使用される竹の種類は特に限定されないが、上述した筒状の容器や建築材としての用途に適した例えばマタケ、モウソウチク、ハチク等を用いるとよい。また、最初の筍が芽をだしてから3〜5年経過した年の竹が強度の点や、加工後の色合い等の点で好ましい。
本実施形態の竹材に使用される竹の種類は特に限定されないが、上述した筒状の容器や建築材としての用途に適した例えばマタケ、モウソウチク、ハチク等を用いるとよい。また、最初の筍が芽をだしてから3〜5年経過した年の竹が強度の点や、加工後の色合い等の点で好ましい。
また竹材は、青竹材であってもよいし、青竹材に公知の油抜き処理が施されていてもよい。ここで青竹材とは、例えば生竹から伐採直後の竹筒のように、外周面側すなわち表皮側が青色を帯びた竹材のことである。なお、竹材の形状は、竹筒を輪切りにした筒体あってもよいし、長尺状の竹筒を縦割りして分割したものでもよい。
なお、前記油抜き処理とは、青竹の主に表皮に含まれる油脂分等を除去する処理を意味する。この油抜き処理は、例えば湯の中或いは水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液の中に青竹を漬けて煮沸し、油脂分等を溶出させ除去する湿式処理法によるものであってもよい。また、青竹を火熱によって焙り、表面に滲みだしてくる油脂分等を拭き取って除去する乾式処理法によるものでもよい。
次に、本実施形態のバーナーは、例えば燃焼ガス等と空気とが混合した予混合ガスを燃焼させる市販のガスバーナーを用いることができる。より詳しくは、バーナーは、例えばプロパンガス等の燃焼ガスが充填されたガスボンベと、ガスボンベに連結されて火炎を噴出すトーチとを備える。
本実施形態のトーチは、ガスボンベと気密状に連結する連結部、火炎の吹出口である円筒状の火口12(図1参照)、燃焼ガスに混合される空気をトーチ内に導く空気孔、前記空気孔の開口を調整する空気調整レバー、燃焼ガスの吐出量を調整する吐出調整レバー、点火ボタン等を備える。
このようなバーナーの火口12から吹出される火炎20は、図5に示すように、火炎の中心部分に相当する内炎16と、内炎16の外に形成される外炎14とを備える。外炎14は、火炎20の最外部を形成し酸素の供給が充分で略1000℃〜1600℃と高く、また物質の酸化反応が進行しやすいため酸化炎とも呼ばれる。また、内炎16は、酸素の供給が不十分のため温度が例えば略300℃〜500℃と低く酸化反応はあまり進行しないことが知られている。また、内炎は還元作用があるため還元炎とも呼ばれる。また、以下の説明で、火口12の中心と火炎の頂点とを結ぶ線を火炎の中心軸という(図5参照)。
以下、実施例に基づいて本実施形態の竹材表面加工方法について図を用いて説明する。以下の実施例の竹材表面加工方法は、手作業で行ない、バーナーは市販の携帯用のガスバーナーを用い、火口12は、直径が略2cmの円筒状のものを用いた。
〔実施例1〕
以下、実施例1について、図1〜図6を用いて説明する。
なお、図4は、複数の放射状焼付模様を略同心円状に形成する様子を説明する正面図であり、図4(a)は、一重の放射状焼付模様を形成した様子を示し、図4(b)は、二重の放射状焼付模様を形成した様子を示し、図4(c)は、三重の放射状焼付模様を形成した様子を示す。
本実施例において、竹材は、図1に示すように、例えば外径が略7cm、肉厚が略6mmで長さが略12cmの略円筒体からなる青竹材10を用いた。
〔実施例1〕
以下、実施例1について、図1〜図6を用いて説明する。
なお、図4は、複数の放射状焼付模様を略同心円状に形成する様子を説明する正面図であり、図4(a)は、一重の放射状焼付模様を形成した様子を示し、図4(b)は、二重の放射状焼付模様を形成した様子を示し、図4(c)は、三重の放射状焼付模様を形成した様子を示す。
本実施例において、竹材は、図1に示すように、例えば外径が略7cm、肉厚が略6mmで長さが略12cmの略円筒体からなる青竹材10を用いた。
まず、焼付工程により、青竹材10の表皮側表面(以下「表面」という。)18に放射状の焼付模様を形成する。具体的には、図1及び図2に示すように、バーナーの火口12と表面18とを対向させつつ、火口12と表面18とを近づけた状態で、所定の火力で火口12から噴出する火炎20を表面18に吹き当てた。その際、図2に示すように、火口12と表面18との距離Lは略5mm〜7mmに調整した。
そうすると、表面18に吹き当った火炎20は、図1及び図2に示すように、略表面18に沿って飛散する。より詳しくは、火炎は、図1及び図2に示すように、上述した中心軸Aと表面18との交点Mを略中心とした放射状に飛散する。そして、内炎16に曝される領域の酸化反応は殆ど進まず、外炎14に曝される領域の酸化反応が進む。従って、外炎14に曝される領域の表皮が燃焼し、さらに表皮の内側の竹本体表面の炭化が進み、図4(a)に示すように、略黒色の焼付跡からなる焼付模様2が表面18に形成された。なお、火炎20を吹き当てた時間は、略5〜8秒と短時間で形成できた。
その際火炎20は、上述した様に放射状に飛散するので、焼付模様2も、交点Mを略中心とした放射状に形成される。さらに詳しくは、内炎16に曝される領域は酸化が進まないため、図4(a)に示すように、内炎16に曝された円状領域22の外側に放射状の焼付模様2が形成される。
そして、表面に滲みだしてきた油脂分を布等ですばやく拭き取った。
そして、表面に滲みだしてきた油脂分を布等ですばやく拭き取った。
次に、吐出調整レバーや空気調整レバーにより火炎の火力を調整し、図3及び図4(b)に示すように、上記焼付工程で形成した放射状焼付模様2の内側に、第2放射状焼付模様3を同心円状に形成し、二重模様1とした。
具体的には、火炎の火力を前記所定の火力よりやや下げた状態で、前記焼付工程と同じ手順により焼付を行った。その際、火炎20の火力は、図3に示すように、外炎14が上述した円状領域22内に収まるように調整した。このように、火炎20の火力を調整して、内炎16ないし外炎14の径を変化させることで放射状焼付模様の径を変化させることができる。
具体的には、火炎の火力を前記所定の火力よりやや下げた状態で、前記焼付工程と同じ手順により焼付を行った。その際、火炎20の火力は、図3に示すように、外炎14が上述した円状領域22内に収まるように調整した。このように、火炎20の火力を調整して、内炎16ないし外炎14の径を変化させることで放射状焼付模様の径を変化させることができる。
本実施例では、さらに火力を調整し、図4(c)に示すように、第2放射状焼付模様3の内側に第3放射状焼付模様4を略同心円状に形成し、これらの放射状焼付模様が同心円状で三重に形成された三重模様5を形成した。
そして、このような多重模様どうしが重ならないように離隔させつつ、複数の三重模様や二重模様を表面に形成した(図6参照)。
そして、このような多重模様どうしが重ならないように離隔させつつ、複数の三重模様や二重模様を表面に形成した(図6参照)。
特に青竹材の場合、図4(c)に示すように、外側に形成される放射状焼付模様2,3は、外周線21,23の凹凸が激しく形成される傾向にある。これは、放射状焼付模様2,3を形成する際の火力が最内側の第3放射状焼付模様4を形成する際の火力より強いこと、また上述したように表皮が燃焼する際に油脂分等と一緒に燃焼することにより、燃焼範囲が激しく変化し、一つ一つの放射の広がり方等の放射態様に影響を与えるためと考えられる。従って、青竹材の場合、あらかじめ油抜きが施された竹材と異なった青竹材特有の変化に富んだ放射状焼付模様2,3を形成できる(図6及び図7参照)。
次に、バーナーで青竹材10の表面を焙る、焼成工程を施した。
具体的には、図5に示すように、青竹材10の表面のうち既に焼付模様が形成された領域を除く領域24、すなわち青色を維持している領域24を、例えばバーナーの火炎の頂点よりやや先の部分17に曝した。曝し初めて5〜8秒で当該領域24の色が青色から略白色へと変化した。これは、この間に表皮が燃焼して竹本体の色があらわれたためと考えられる。引き続いて5〜7秒曝すことにより、領域24の色が略白色から象牙色又は琥珀色に変化したところで焙りを止めた。そして、表面に滲みだしてきた油脂分を布等ですばやく拭き取った。
具体的には、図5に示すように、青竹材10の表面のうち既に焼付模様が形成された領域を除く領域24、すなわち青色を維持している領域24を、例えばバーナーの火炎の頂点よりやや先の部分17に曝した。曝し初めて5〜8秒で当該領域24の色が青色から略白色へと変化した。これは、この間に表皮が燃焼して竹本体の色があらわれたためと考えられる。引き続いて5〜7秒曝すことにより、領域24の色が略白色から象牙色又は琥珀色に変化したところで焙りを止めた。そして、表面に滲みだしてきた油脂分を布等ですばやく拭き取った。
このように、外炎14より低温(例えば略500℃)で当該領域24を加熱して、油抜きを行うとともに、象牙色又は琥珀色に領域24を焼成するのである。
そしてこの焼成工程を、当該領域24の全体に施すことで、青竹材10の表面のうち既に焼付模様が形成された領域を除く領域24を、象牙色ないし琥珀色等の竹特有の伝統的な風合いに変化させた。
そしてこの焼成工程を、当該領域24の全体に施すことで、青竹材10の表面のうち既に焼付模様が形成された領域を除く領域24を、象牙色ないし琥珀色等の竹特有の伝統的な風合いに変化させた。
次に、墨汁塗布工程を施した。
具体的には、焼成工程後に素早く円筒体の縁11に墨汁を塗布し、円筒体の縁11を黒色にした(図1及び図6参照)。その際、青竹材の温度が高いため、墨汁が竹材の縁に十分しみ込み、長期間使用しても黒色部分の色あせ等を起こしにくくなる。
具体的には、焼成工程後に素早く円筒体の縁11に墨汁を塗布し、円筒体の縁11を黒色にした(図1及び図6参照)。その際、青竹材の温度が高いため、墨汁が竹材の縁に十分しみ込み、長期間使用しても黒色部分の色あせ等を起こしにくくなる。
次に、例えば木蝋等の植物由来の蝋を表面18に塗布する蝋塗布工程を施した。
具体的には、前記墨汁塗布工程の後に、しかも青竹材の温度が、融解した蝋が固化して流動性を失う温度に低下する前に、素早く融解した蝋を表面に滴下させつつ表面全体に蝋を塗布した。そして、最後に表面を布で磨いた。
このように青竹材の温度が高いうちに蝋を塗布することにより、竹材の温度が低下して繊維が収縮する前に、液状の蝋を繊維中に充分しみ込ませることができる。したがって、竹材の表面につやをムラなく生じさせることができるとともに当該竹材を用いた竹製品の耐湿性向上や長寿命化を図ることができる。また、焼成工程から蝋塗布工程完了までの時間を短縮でき、加工工程の短時間化を図ることができる。
なお、この蝋塗布工程は、例えば筒状容器等に用いられる筒体のように、焼付工程や焼成工程で加熱された熱が逃げ難い形状の竹材に好適である。
具体的には、前記墨汁塗布工程の後に、しかも青竹材の温度が、融解した蝋が固化して流動性を失う温度に低下する前に、素早く融解した蝋を表面に滴下させつつ表面全体に蝋を塗布した。そして、最後に表面を布で磨いた。
このように青竹材の温度が高いうちに蝋を塗布することにより、竹材の温度が低下して繊維が収縮する前に、液状の蝋を繊維中に充分しみ込ませることができる。したがって、竹材の表面につやをムラなく生じさせることができるとともに当該竹材を用いた竹製品の耐湿性向上や長寿命化を図ることができる。また、焼成工程から蝋塗布工程完了までの時間を短縮でき、加工工程の短時間化を図ることができる。
なお、この蝋塗布工程は、例えば筒状容器等に用いられる筒体のように、焼付工程や焼成工程で加熱された熱が逃げ難い形状の竹材に好適である。
このように、本実施例によれば、象牙色ないし琥珀色の竹特有の伝統的な風合いの中に略黒色で変化に富んだ形状の放射状模様が形成された加工竹材を、短時間で簡便にしかも安価に製作できた。図6に、本実施例の竹材表面加工方法により製作した、竹容器製品30の例を示す。
〔実施例2〕
以下に、実施例2について主に図7を用いて説明する。
本実施例において、竹材は、図7に示すように、長尺板状の市販の建材32を用いた。具体的には、建材32は、竹筒を縦割りして分割し、さらに幅や厚さを調整した長尺板体からなり、上述した湿式処理法により油抜き処理が施されたものである。油抜き処理が施されたことにより、建材32の表面は、象牙色又は琥珀色等の竹特有の風合いに形成されていた。
以下に、実施例2について主に図7を用いて説明する。
本実施例において、竹材は、図7に示すように、長尺板状の市販の建材32を用いた。具体的には、建材32は、竹筒を縦割りして分割し、さらに幅や厚さを調整した長尺板体からなり、上述した湿式処理法により油抜き処理が施されたものである。油抜き処理が施されたことにより、建材32の表面は、象牙色又は琥珀色等の竹特有の風合いに形成されていた。
まず、この建材32の表面18´に上述したと同様の焼付工程を施し、図7に示すように、第4放射状焼付模様6、第5放射状焼付模様7及び第6放射状焼付模様8からなる三重模様9を複数形成した。建材32の場合、図7に示すように、それぞれの放射状焼付模様の外周線の凹凸が、青竹材の場合に比べると穏やかな形状で形成された。これは、建材32の表面18´は油脂分等が既に除去されているため、表面18´における燃焼の広がりが穏やかになるためと考えられる。
次に、表面18´を植物由来の蝋で処理する蝋処理工程を施した。
本実施例の建材32は長尺板状に形成されているため、焼付工程を経て加熱された建材32の温度が低下しやすい。そのため、具体的には、融解した蝋を表面18´に塗布し、再度バーナーで表面18´を焙って加熱しつつ蝋を建材32にしみ込ませた。
そして、布等を用いて表面を磨いた。
本実施例の建材32は長尺板状に形成されているため、焼付工程を経て加熱された建材32の温度が低下しやすい。そのため、具体的には、融解した蝋を表面18´に塗布し、再度バーナーで表面18´を焙って加熱しつつ蝋を建材32にしみ込ませた。
そして、布等を用いて表面を磨いた。
このように、本実施例によれば、象牙色又は琥珀色等の竹特有の伝統的な風合いの中に略黒色の放射状模様が形成された建材32を、短時間で簡便にしかも安価に製作できた。本実施例による建材32は、例えば日本家屋の玄関や茶室等に用いられる建材として利用価値が高まる。
なお、本実施形態において火口12は円筒状で説明したが、火口の形状は円筒状に限るものではなく楕円筒状或いは多角形筒状であってもよい。
また、手作業を前提として説明したが、例えば竹材を所定の姿勢で保持する竹材保持機構や、バーナーの火口を竹材の表皮側表面に近接離隔自在に支持する火口支持機構等を用いて自動化された方法でもよい。
また、手作業を前提として説明したが、例えば竹材を所定の姿勢で保持する竹材保持機構や、バーナーの火口を竹材の表皮側表面に近接離隔自在に支持する火口支持機構等を用いて自動化された方法でもよい。
これまで説明してきた様に、本実施形態の竹材表面加工方法によれば、竹材10,32の表面18,18´に簡便で安価に放射状の焼付模様2,3,4,6,7,8を形成する竹材表面加工方法を提供することができる。
以上、本発明の実施形態のうちいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらはあくまでも例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
2,3,4,6,7,8 放射状の焼付模様
10 竹材(青竹材)
11 縁
12 火口
14 外炎
16 内炎
18,18´ 表皮側表面
20 火炎
32 竹材(建材)
10 竹材(青竹材)
11 縁
12 火口
14 外炎
16 内炎
18,18´ 表皮側表面
20 火炎
32 竹材(建材)
Claims (6)
- 竹材の表皮側表面に焼付模様を形成する竹材表面加工方法であって、
バーナーの筒状の火口と前記表面とを近づけた状態で、前記火口から噴出する火炎を前記表面に短時間吹き当てることにより、前記火炎の外炎を利用した放射状の焼付模様を形成する焼付工程を含む竹材表面加工方法。 - 前記焼付工程は、前記火炎の火力を調整し、複数の前記焼付模様を略同心円状に形成することを含む請求項1に記載の竹材表面加工方法。
- 前記竹材は、青竹材からなり、
前記表面のうち前記焼付模様が形成された領域を除く領域を前記バーナーで焙り、前記領域の油抜きをするとともに、象牙色又は琥珀色に前記領域を焼成する焼成工程を含む請求項1又は2に記載の竹材表面加工方法。 - 前記表面に蝋を塗布する工程であって、前記焼成工程の後にしかも竹材の温度が、融解した蝋が固化して流動性を失う温度に低下する前に、融解した蝋を前記表面に塗布する蝋塗布工程を含む請求項3に記載の竹材表面加工方法。
- 前記青竹材は、筒体からなり、
前記焼成工程と前記蝋塗布工程との間に、前記筒体の縁に墨汁を塗布する墨汁塗布工程を含む請求項4に記載の竹材表面加工方法。 - 前記竹材は、油抜き処理を施された長尺板体からなり、
前記焼付工程の後に、融解した蝋を前記表面に塗布し、前記バーナーで前記表面を焙って加熱する蝋処理工程を含む請求項1又は2に記載の竹材表面加工方法。
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